私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

おろかなる情とは

2013-05-30 09:27:34 | Weblog

 高尚の「歌のしるべ」を紹介しています。
 彼は万葉が最高で、その歌の情をいかに詠むかこの書で綴っております。その中で「「おろかなる情」について書いております。
 山部赤人の

  ふじのねにふりおける雪はみな月のもちにけぬればその夜ふりける

を取り上げております。
 この歌を、もし赤人が「みな月のもちにも消ぬふじのしら雪」と詠んでいたなら、それこそと何処にでもあるような平凡な歌になってしまうのだが、彼の言う“かいなでの歌よみ”になってしまうのだが、そうでなく、雪が消えて、その消えたことが知られないように、すぐ降るからこの富士のお山の”をかしもをかしく、めでたしともめでたし”と云う情がこもって、“世々の歌よみのさらにおよびがたき所なり”と言われる所以であると。

 高尚は、更に、この歌と人麻呂の“野をなつかしみ”の歌をくらべてみて
 “赤人は人麻呂のしもにたヽんことかたしとも、歌にあやしくたへなりともいわれつる貫之主は、歌のさまをよくしられたる人なりとぞおもひしられける”
 とも、書いております。


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