さて、「どうしたらいいもんか」と、あれでもないこれでもないと思案を重ねていた岸駒です。
たまたま、或る時、京の茶屋かどこかで芸子の踊りを見て、はたと手を打ち、早速家に帰った岸駒は、山陽先生宅を訪れます。
「これはこれは岸駒の先生、この前にはいい虎の絵を頂きありがとうございました。今日は如何様なるご用事で」
「うん・・、今日は ちと貴殿にお頼みしたい事があって罷り越したのじゃ」
そこはどちらも相当な狡獪なる人物です。ややあって、岸駒先生が切り出します。
「ちょっと入用があって、是非、先生の書を2枚ほど所望したいのじゃがお願いできませんか」
「私の書ですか。いいでしょう。だがいいですか、一枚が100両ですよ」
と平然と言う。
「ああ、結構」と、これもやおら懐から200両の金を取り出し、山陽の前に置く。
それからしばらくして、「出来上がった」と言う山陽からの知らせに、待ってましたとばかりにさっそく取りに行く岸駒。
「してやったり。はまったな山陽先生よ」
とさも満足そうな顔をしながら出来上がった山陽の書を見ます。途端に岸駒の顔から血の気が引き、二の句が継げなかったという。
それもそのはず、出来上がっていた書には、堂々と「天照皇大神宮」と書かれていたそうです。
岸駒の計画では、山陽に漢詩か何かを書いてもらって、それを祇園の芸子の浴衣か何かにしつらえ着せて、客人の前に繰り出そうと言うのだったらしいのです。
でも、浴衣に「天照皇大神宮」とは、天下の岸駒といえども何が何でも出来るもんではなかったようです。
「ううむ・・・」と言ったきりで、その書を押抱いて退散したと言う事です。
こんな一面も持っている山陽先生です。
これも蛇足になりますが、この山陽先生の書は今どうなっているかは分らないのですが、岸駒の描いた虎の絵は、真偽のほどは分らないのですが、吉備津の某家にあると伝えられているとかや。
たまたま、或る時、京の茶屋かどこかで芸子の踊りを見て、はたと手を打ち、早速家に帰った岸駒は、山陽先生宅を訪れます。
「これはこれは岸駒の先生、この前にはいい虎の絵を頂きありがとうございました。今日は如何様なるご用事で」
「うん・・、今日は ちと貴殿にお頼みしたい事があって罷り越したのじゃ」
そこはどちらも相当な狡獪なる人物です。ややあって、岸駒先生が切り出します。
「ちょっと入用があって、是非、先生の書を2枚ほど所望したいのじゃがお願いできませんか」
「私の書ですか。いいでしょう。だがいいですか、一枚が100両ですよ」
と平然と言う。
「ああ、結構」と、これもやおら懐から200両の金を取り出し、山陽の前に置く。
それからしばらくして、「出来上がった」と言う山陽からの知らせに、待ってましたとばかりにさっそく取りに行く岸駒。
「してやったり。はまったな山陽先生よ」
とさも満足そうな顔をしながら出来上がった山陽の書を見ます。途端に岸駒の顔から血の気が引き、二の句が継げなかったという。
それもそのはず、出来上がっていた書には、堂々と「天照皇大神宮」と書かれていたそうです。
岸駒の計画では、山陽に漢詩か何かを書いてもらって、それを祇園の芸子の浴衣か何かにしつらえ着せて、客人の前に繰り出そうと言うのだったらしいのです。
でも、浴衣に「天照皇大神宮」とは、天下の岸駒といえども何が何でも出来るもんではなかったようです。
「ううむ・・・」と言ったきりで、その書を押抱いて退散したと言う事です。
こんな一面も持っている山陽先生です。
これも蛇足になりますが、この山陽先生の書は今どうなっているかは分らないのですが、岸駒の描いた虎の絵は、真偽のほどは分らないのですが、吉備津の某家にあると伝えられているとかや。
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