私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

「とう惰」「蕩逸」、どんな意味でしょう

2008-02-09 12:16:30 | Weblog
 久しぶりに大学で漢文の先生をしていた友人を訪ね、このブログで取り上げた頼山陽の竹堂の長男守成墓誌に記してある文について教えてもらいました。
 その墓誌には「宮内が山陽道一の歌舞郷である」と記してあります。これは誰が読んでも分ります。が、問題はその後の言葉です。「婾惰」「蕩逸」「涅而不緇」と言った難しい言葉が並んで書き込まれています。これらの言葉について尋ねました。

 さすが漢文の先生だけはあります。直ぐに答えてくれました。
 まず、「涅而不緇」です。
 すぐその言葉の持つ意味を自分の持つ書物までが出して説明してくれました。まこっと、うすぼけて、私の物だったらとっくの昔に捨ててしまっておるのではと思われるような汚げな書物です。消え入りそうに、字だけは達者に金文字で「論語」書かれてありました。
 
 まず、読みについて;
 『涅(でつ)すれど緇(くろ)まず』
 そして、その意味は;
 『黒い土にまぶしても黒く染まらない。宮内という山陽道一のヤクザな地域に有っても少しもその垢に染まらない何処までも高潔な人であった、ということを言っているのだ』

 それから、ついでのように「婾惰(とうだ)」「蕩逸(とういつ)」についても説明をされます。怠け癖が付いてしまって、悪賢く、その上しまりがなく、いい加減にその日暮らしをしているような無頼な者のことを言う言葉なのだそうです。
 
 『宮内は、こんな人々の集まりの町でだと、大変けなし、けちをつけ、馬鹿にされているのにもかかわらず、地元の人たちは頼山陽先生に「山陽道一の町だといわれたとか、鯉山と名を付けていただいた」と、大層自慢しているそうではないか、それも、まあ、いっか』
 と、例のあの豪快な「あはははは」という高笑いにも驚いたりしながら話を聞きました。

 友達とはいいもんですね。