最近買ったヘッケルのボーカルGVCDE1。調子が良いので昨夜も以前レッスンで使用した楽譜を引っ張りだして吹きまくった。
私の師匠は、私が最も尊敬するバスーン奏者の故田中雅仁先生である。社会人になってから師事したのだが、8年間ほどお世話になった。先生の多くのお弟子さんの中でも私は出来の悪い弟子であったが、先生は見放すことなくレッスンしてくださった。
田中先生の初めてのレッスンの日、私はテレマンのソナタを持っていった。当然ながらまともに吹けなかったのだが、レッスン初日ということもあり、これからの練習曲や運指のことボーカルのことなどのアドバイスを受けた。
昨夜、そのテレマンの楽譜を引っ張りだしたとき、楽譜の余白にV-CDEと私の汚い字で書かれているのを発見して驚いた。初日のレッスンのときに先生は、そのボーカルが良い、とアドバイスをしてくれていたのだ。今から15年も前に。
その当時は私は金銭的に余り余裕はなく、楽器店にもCCやCDは置いてあっても、Vのついたボーカルは置いてなかった。ヘッケル社に直接オーダーするという発想もなかった。 先生がヘッケルの他に勧めてくれたのはカラムスのボーカルだった。カラムスのボーカルは今はないが、池袋のダブルリード専門店で販売されていて、田中先生がそのボーカルの設計にも関わっていたようだ。私は結局そのカラムスを買ったのだが、その後何回か楽器を買い換えるうちに一緒に売ってしまったようで現在手元にはない。
その後、やはり先生の勧めでヤマハのスーパーボーカルPBにした。Pタイプは先生が設計に関わったボーカルで、はっきりとはおっしゃらなかったが、ヘッケルの戦前のボーカル「プリ・ウォー」をモデルにしたものだと思う。先生は、スーパーボーカルはPタイプかEタイプにしなさいと言われた。
話は戻って、テレマンの楽譜のすみに書かれたV-CDEの文字を見て、私は15年かかってやっと先生が勧められたボーカルを手にすることができたと、やはり不肖の弟子であったとあらためて実感した。思わず「先生、やっと手に入れましたよ」と口に出してしまった。
今回GVCDE1を購入したきっかけは、先生が生前に書かれたボーカルについての記事にそのボーカルが登場していたことと、先日渋谷の専門店でVCDE(こちらはゴールドブラスではなくジャーマンシルバー)を試奏させてもらったことによる。そのボーカルを購入しようかどうか相当悩んだが、先生はジャーマンシルバーではなくゴールドブラスを使っているとのことで、どうせ購入するならゴールドブラスにしようと、思った次第であった。
何にしても、今回のボーカル購入は大成功で大満足である。
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