![]() | 旅人の表現術 |
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集英社 |
新刊情報。『旅人の表現術』という単行本が24日に集英社より発売となります。雑誌で書いた雑文や文庫本解説、あと最近はすっかり誘いがなくなった対談の記事等を、ごっそりとまとめたものです。前から雑誌に書いて、このまま埋没させるのはもったいないなと思っていた、出来のいい原稿がけっこうあったので、それらを単行本というかたちでのこすことができました。
一応、①旅を書く、自分を書く(表現論)②人はなぜ冒険をするのか(冒険論)③旅から見えること(文化論)と三部構成となっていますが、当然、各原稿を書いたときはこんな構成で本を出すことは想定していないので、それぞれの対談、原稿を関係のありそうな部門にふりわけたという感じです。なかにはかなり強引にふりわけたものもありますが。
しかし、まあ、やはり探検・冒険の行為の意味や、行為をしてそれをさりげなく書くことの罪悪感とか、冒険したら何が書けるのかとか、登山したら日本社会はこんなふうに見えてくるだとか、そんな感じのテーマの原稿を集めてます。二、三陳腐な内容のものも入れてしまいましたが、まあそれは読み飛ばしていただくとして、私のおススメは、開高健論、富士山論、本多勝一の冒険論にたいする考察、あと最近のもので評判がよかった宮城君の『外道クライマー』の解説、「小説すばる」にかいた『神々の山嶺』の書評などでしょうか。本の雑誌にかいた松本清張の『影の地帯』についてのエッセイも面白いかな。この松本清張のエッセイは、この本のテーマからは唯一完全に浮いている文章で、本来なら前著の『日々本本』におさめるべき作品だったんですが、書いたのが『本本』のあとで、しょうがなくこっちに収録しました。
対談のお相手は沢木耕太郎さん、増田俊成さん、石川直樹さん、鈴木涼美さん、三浦しをんさんです。どうもありがとうございました。
まあ、雑文集なので、電車のなかなどで気楽に読んでいただければ。
ちなみに今後のスケジュールですが、じつは今年はけっこう忙しくて、八月末に小説新潮で連載していた『ある鮪漁師の漂流』がついに『漂流』と改題して刊行されます。原稿料800枚の超大作取材ノンフィクション。前代未聞の壮大な海の叙事詩。この二週間、こいつの校閲、加筆、修正作業に没頭していて、今夜ようやく終わって、ひさしぶりにブログを書く気になった。
あと10月に文春から探検余話的なエッセイ集をだす予定ですが、これが全然書けてない! しかも子供にかんする軟派なエッセイの連載と、自由と管理の観点から冒険の政治性を考察する硬派な冒険論連載も引き受けてしまった。しかも夏は山に行きまくって、来年は山の本を書くぞ!と思っていたりもする。
そしてもちろん11月からは極夜探検で長期不在。いやー、これは無理だ。どれを断ろうかな。