ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

衝撃的事実 しをん本解説

2012年09月08日 11時46分21秒 | 雑記
最近発覚した衝撃の事実からひとつ。

5、6年前に南アルプスでアイスクライミングをして凍傷に罹って以来、私の右足の親指の爪は黒ずみ、かさかさになり、外側に膨れ上がって、気持ち悪い感じになっている。その後もヤル・ツアンポーとか、北極とかで定期的に軽度の凍傷に罹り、爪の状態はしだいに悪化し、今ではカキの殻みたいになっている。放っておくとぼろぼろと崩れることもある。

最初は右足の親指だけだったのだが、何度も足に定期的にダメージを与えていたせいか、両の薬指の爪も内側から膨らみ始めている。爪と皮膚の組織が固い発泡スチロールのように変形し、外側に膨らんでいるような感じだ。ランニングする時には、この膨らんだ爪が靴に引っかかるのか、指先が水膨れになり、ひどく痛むこともある。

私はてっきりこの症状は凍傷でダメージが与えられて、爪が駄目になってしまったせいだと思っていた。夏場なんかはサンダル履きで、よく人から、「すごい爪ですね、どうしたんですか?」と訊ねられることも珍しくはなく、そんな時は、「いやー、昔、凍傷やっちゃって、それでこんなんなっちゃったんですよ」などと心持ち誇らしげに話していたものである。要は、自分の爪がひどいのは度重なる登山や探検による、いわば名誉の負傷みたいなもんだと思っていたわけだ。だから、治るわけがないとずーっと放置していた。そしてこれからも放置するつもりだった。

しかし先日、某山岳雑誌の取材で平ケ岳に行った時、カメラマンの西田君に、例によって「爪が最近ひどくてさ」と話すと、「それ、爪水虫じゃないですか?」と言われた。
「え、これ水虫なの?」
名誉の負傷だと思っていたのだが……。
「カイセンキンとかいうらしいですよ、確か。薬飲んだら治るらしいですが」
そんな簡単に治るのか!

帰宅して、爪水虫で検索して写真を見てみると、確かに私の爪の症状は、まさに爪水虫のそれである。そうだったのか……。凍傷とかヤル・ツアンポーとか北極は全然関係なかったんだ。ちなみにウィキペディアによると、菌の名称はカイセンキンではなく白癬菌だった。

ちょっとびっくりだが、治るのはよかった。今度、皮膚科に行こう。

   *   *


神去なあなあ日常 (徳間文庫)
三浦しをん
徳間書店



こんな話の後で恐縮だが、三浦しをんさんの『神去なあなあ日常』の文庫版が発売された。解説は、なぜか私が書いている。テーマは林業。非常に深い内容だと思うので、三浦ファンならずとも読んでみてください。林業だの、辞書編纂など、三浦さんの目のつけどころはとても面白い。大ベストセラー作家の尻馬に乗り、私の知名度もアップ、本の売り上げもアップ、となったら大変うれしい。
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