ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

天空の一本道

2010年10月26日 11時50分07秒 | 雑記
NHKハイビジョンで「天空の一本道 チベット開山大運搬」(再放送)を見る。チベットのツアンポー峡谷中流部の村ジャラサに住むロパ族の村人たちが、険しい山道を越え、荷駄隊で荷物を運ぶ模様を描いたドキュメンタリー。彼らは4600メートルの峠を越え、ポミというチベット東部の比較的大きな町まで行き、そこから大量のコメなどの物資を運搬する。彼らにとっては貴重な現金収入だ。山道は非常に危険で、命を落とすものが後を絶たないという。

ジャラサは私も昨年訪れた。ツアンポー峡谷の核心部を越えた後、私もまたポミに向かったが、その途中でジャラサに一泊したのだ。番組では私の泊った村の役場なども映し出されており、思わず懐かしさに心打たれた。あと、あのツアンポー峡谷のうっとうしいジャングル。夏の間は特に雨がしとしとずっと降っており、ヒルなどもうようよしていてうっとうしいことこの上ない。

番組を見るとジャラサ‐ポミ間の道は非常に険しそう。このルートは冬の間は雪で通れないので、私はもっと下流のヤオリンパという車道のある村まで行き、そこからもう少し低い峠を越えてポミに向かった。番組の中で、中国政府はツアンポー峡谷の村々を車道で結ぶ計画だと説明していてが、ちょうど私がヤオリンパを訪れた時、ジャラサまで続く車道を建設している最中だった。

素朴な村人たちが懐かしい。車道が通ったら、彼らの昔ながらの生活も失われるのだろう。

番組はNHKオンデマンドで配信中です。興味のある人はご覧になってください。

http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2010021042SC000/
コメント (5)
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