ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

北西航路の資料などなど

2010年10月10日 11時52分59秒 | 雑記
二週間ほどかけてウッドマン「フランクリンの謎を解く」という英書を読む。19世紀中頃、北極の北西航路探検に出かけ、129人が行方不明となった極地探検史上最大の謎、フランクリン隊のミステリーを、イヌイットの当時の目撃証言や間接情報を再構成して解き明かすという内容だ。

英書であるというだけではなく、ジグソーパズルのように様々な証言、証拠が複雑に入り組んでいるので、理解するのが大変なことこのうえない。しかし同時にエキサイティングなことこのうえない本でもあった。簡単に説明すると、フランクリン隊の消息を説明するこれまで学説は、彼らの記録が書かれたたった一枚の紙切れに引きずられ、それに矛盾するという理由でイヌイットたちの目撃証言は無視されてきた。しかしウッドマンはイヌイットの証言をつなぎ合わせれば、それまでお互いに一致しなかった物的証拠もつながることを証明し、フランクリン隊の行方を示す新たなストーリーを作りあげた。生き残った最後の数人がどこを目指したのか。最後のシーンは感動的ですらあった。

それにしても毎日のようにアマゾンから資料が届くので恐ろしい。
フランクリン「北極海沿岸への旅」
ギルダー「シュワトゥカ・リサーチ」
シュワトゥカ「フランクリンを探して」
ラスムッセン「北極アメリカ横断」
マクリントック「フォックス号の航海」
バック「北極圏内陸探検記」
といった未読の英書が現在、目の前に山積みされていて、おまけにその倍以上の本がこれから届く。好きでやっていることなので、しょうがないが、さすがにうんざりする。

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