一言。つまらなかった。
1巻は予想できない展開の連続と、どんな展開さえ踏み越えていく主人公駆真の傍若無人ぶりを大いに楽しんだ。期待していた2巻は、まるで正反対の出来で非常にがっかりした。
展開は全て予想の範囲内。見え見え。一片の驚きもない有様。1巻が何だったのかと思うほど酷い様相だった。
更に問題なのは主人公である駆真の魅力をどん底に叩き落してしまったこと。騎士の誇りや人類の平和のためではなく、ただ最愛の姪である在紗のためだけに必死になる駆真。1巻では、在紗の授業参観に出るために、上官の命令を拒否し、悪の魔王と取引し、神の迷宮を打ち破った。その破天荒なキャラクターが魅力だった。
ところが本書では、在紗の誕生日のプレゼントを買うことを新登場のキャラクター松永に妨害される。松永が傍若無人に振舞えば振舞うほど、本来それが魅力だった駆真の存在感は薄れていく。また、同じく新キャラクター槙奈が推進剤を駆真の装備から抜き去ったときも、それにまんまと引っ掛かってしまう。一流の騎士ならば戦いの前にそれくらい確認しろよと思う。一冊まるまる使って駆真の良さを消し去ろうとしているかのようだった。
この新キャラクターの二人、松永と槙奈がありがちなキャラクターでうんざりさせられた。特に松永は駆真を振り回して、駆真の魅力を削ぎ落とす存在だった。駆真が振り回されてもいいが、それは在紗のためでなくてはならない。例えば、上官が在紗を利用して駆真が苦労するのなら楽しむこともできる。しかし、それ以外で、それどころか在紗のための行為でさえ、駆真が思い通りにできないならそれは駆真ではない。
厳しい言い方だが、2巻を読むと1巻の出来はまぐれだったと感じてしまう。計算ではなく偶然面白い作品が出来ただけ。ここまで期待外れとなるのも珍しいくらいだ。
(☆)
これまでに読んだ橘公司の本の感想。(☆は評価/最大☆10個)
『
蒼穹のカルマ 1』(☆☆☆☆☆)