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涼宮ハルヒ既刊読了~『涼宮ハルヒの憤慨』

2006年12月04日 19時28分55秒 | 本と雑誌
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『涼宮ハルヒの憤慨』読了。これで、既刊8冊全てを読み終えたことになる。今作には短編というか中篇2作が収録されている。ともに前作より時間的に進行したもので、第1作『憂鬱』での高校入学から1年経過ということになる。

「編集長★一直線!」は、文芸部機関誌発行を巡るどたばた。ついに生徒会との対決という図式だったが、自作自演を暴露してしまったのはどうだろう。展開は悪くなかったが、全体として「惹き」が物足りない感じがした。

「ワンダリング・シャドウ」は、「ハルヒ」初の幽霊登場かと思わせておいてSF的オチに至る作品。まあ長門が万能すぎて盛り上がるまでにはいかないのが残念か。

これでついに新刊出るまで辛抱しなきゃならなくなった。まあ仕方ないが。楽しい時間はすぐに終わってしまうもの。まあ待つ楽しみもあるわけだし(作者によっては楽しみなんて言ってられないほど待つ必要があったりするが)。


記憶の彼方~『涼宮ハルヒの陰謀』

2006年12月04日 01時32分35秒 | 本と雑誌
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久々の長編『涼宮ハルヒの陰謀』読了。
キョンが活躍すればするほど、ハルヒの蔭が薄くなるという困ったお話。むしろ鶴屋さんの方がインパクトあったくらいだしね。

以下、ネタばれ若干含むかも。

長編の前作にあたる『消失』に続いて時間もの。細かな辻褄合わせが大変でもあり、面白さに繋がるわけだが、この作者の本領はその辺にあるっぽいね。アクションやミステリよりもタイムトラベルに「らしさ」を感じる。まあアクションシーンは下手だけどさ(笑)。
で、まあSOS団の結束も固くなり、その辺りは『人間以上』っぽい展開でいい感じなのだが、最後のみくる(大)とのやり取りあたりで出てきた記憶の消去に、既視感を覚えた。既視感というか、タブーに触れて実際に記憶を消された描写があったなぁという感じ。それが何の作品だったか、パッと出てこなかったのは年のせいかもしれないが、何とか思い出すことが出来た。

それは、『姫ちゃんのリボン』。姫ちゃんが魔法を使えるという秘密を、大地以外に知られたとき、姫ちゃんや大地を含む全ての記憶から魔法に関するものが消され、姫ちゃんと大地はただのクラスメイトとなっていた。まあ魔法少女などではよくある古典的な展開だが、実際に記憶が消された様を描くのは少ない気がする。
「ハルヒ」における記憶うんぬんは、未来改変(あるいは過去改変)の話とリンクするものだから、絶対者の恣意というものではないが、『消失』では自分以外の記憶の改竄がなされ、これまで短編等でSOS団として積み重ねた様々な思い出というものへの愛着を読者と共有させてきただけに、記憶の消去というものがテーマ(方向性)として出てくるのかなと感じた。まあ違うかもしれないけどね。

あと「ハルヒ」との微妙な共通性として取り上げるべき作品としては、やはり新井素子の『……絶句』が挙げられる。交通事故(?)により、インナースペースがリアルとリンクした主人公の新井素子は、ハルヒ同様にある意味「神」にも似た存在となる。それを巡ってどたばたする、様々な宇宙人や、特殊な能力を兼ね備えた、リアルスペースに登場した彼女の書いたキャラクターたち。
世界どころか宇宙そのものの存亡が争点となる。彼女が生きれば生きるほど宇宙の滅亡の可能性が増大する中で、彼女に死ぬ義務があるのか。死ねば世界が救われるという命題を突き破ってしまう彼女のパワフルさが魅力の作品だった。

「ハルヒ」の場合、彼女が無自覚な立場に置かれているため、周りばかりが目立ってハルヒの存在感が薄れてしまうことが多い。彼女に面と向かって立ち向かう敵もいないし、どのような事態が起きてもその解決には彼女の活躍は望めないからだ。もっとハルヒを軸にした描き方もできたとは思うが、ストーリーの仕掛けとしては扱いがたく、長門の方が便利なのだろうが…。
キャラクターだけで言えば、どれもよく立ってはいるが、他にないキャラクター性としてはハルヒのみだ。だが、長編だとストーリーに凝る分、彼女の活躍の場がなくなってしまう。『溜息』は悪くなかったが。
要するに、もっと彼女に活躍して欲しいってことなんだけどね。今作も出来は悪くないが、活躍が物足りない。かなり足りない。難しいだろうが、彼女をもっと活躍させながら堪能できるストーリーを組み上げてもらいたいものだ。