2月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2249ページ
ナイス数:75ナイス
天下人の時代 (日本近世の歴史)
信長、秀吉、家康、忠秀という四代の天下人を政治史の面から描いている。歴史学の新たな研究成果等を織り込んだものではあるが、通史を描くのに精いっぱいでそうした切り口が目立たなかったのはとても残念。細部をメインとするなら一人一冊くらいの密度が欲しい。「天下人」というテーマを中心とするならば、通史の部分をもう少し削ってもよかったかもしれない。(☆☆☆)
読了日:02月11日 著者:藤井 讓治
誰かが足りない
宮下奈都らしい繊細な内面描写が光る連作短編集。予約1はいかにもありがちでもうひとつだったが、2と3は非常に良かった。4と5はまあまあ。6はもう少し話を膨らまして欲しい感じ。こうしてみると、女性主人公の話の方が魅力的。男性主人公だとドロドロした部分がスッパリと削られているので物足りなく感じるが、今の草食系はこんなものだったりするのかね。(☆☆☆☆)
読了日:02月15日 著者:宮下 奈都
ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈1〉接触編
自衛隊パートはいいが、ファンタジーパートのあまりの世界観の薄っぺらさに慄いた。まるで小学生レベル、というか、日本社会の描写とつり合いが取れない。ただ、それが著者の狙いだとしたら別の読み方も可能だが、果たしてそれは単なる深読みのし過ぎなのだろうか。(☆☆☆☆)
読了日:02月18日 著者:柳内 たくみ
捨て猫王女の前奏曲―スクラップド・プリンセス (富士見ファンタジア文庫)
以前アニメは見ていたが、原作は初めて読む。最近のライトノベルには感じられない、作り込まれた世界観がかえって新鮮にさえ思う。(☆☆☆☆☆)
読了日:02月21日 著者:榊 一郎
消失グラデーション
久しぶりに叙述トリックにちゃんと引っかかることができて満足(笑)。学園ものでやってのけたのはお見事。ミスリードも上手い。ミステリ的にはスーパーマンがいるので評価落とす感じだけどね。文章のタッチもやや読みにくく感じたけど、叙述ミステリならこれくらいは仕方ないか。十分に楽しめる一冊だった。(☆☆☆☆☆)
読了日:02月23日 著者:長沢 樹
羽月莉音の帝国 10 (ガガガ文庫)
最後はまとめただけになった感じだなあ。流れ的にハッピーエンドが必要だから仕方ないけれど。でも、エンターテイメントでは終わり良ければよりも、密度や速度のある展開こそがワクワクさせてくれるし、特にリアルタイムに読んでいると強く引き込まれる。その意味でこの作品と巡り合えて幸せに感じたし、いろいろと欠点もあったけれど記憶に強く残ることは間違いない。ホント面白かった。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:02月26日 著者:至道 流星
赦されざる者達の騒動歌―スクラップド・プリンセス〈2〉 (富士見ファンタジア文庫)
「棄てプリ」の設定が物語の根幹になっていると実感できる巻。いろんなスタイルがあっていい。でも、ファンタジーが定番のファンタジー像を借りるだけじゃもったいない。最近はそんなのばかりが氾濫している感じがして残念。キャラクター頼みとなる前のライトノベルのほうが読み応えはあるね。(☆☆☆☆☆)
読了日:02月28日 著者:榊 一郎
2012年2月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
『ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈1〉接触編』については、「世界構造マニアからの苦言―感想:『ゲート1 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり <接触編>』」の記事に書いた。
『スクラップド・プリンセス』についてはいつになるか分からないが全巻読み終えたら感想を書いてみたい。
完結した『羽月莉音の帝国』についても独立した記事を書きたいところ。まだ明確な内容は定まっていないが。
宮下奈都については、内面描写に優れているが、構成力に物足りなさを感じる。ここには挙げられなかったが桜庭一樹『傷痕』を読んだあとだと特に。
『消失グラデーション』は叙述ミステリ。当然だが、叙述ミステリは小説ならではの表現方法だ。通常のトリックだとどれほど凝ったものであってもなかなか驚きに繋がらないが、叙述ミステリはそれまでの前提をひっくり返される面白さがある。もちろん簡単にネタバレするような作品ではそれは味わえないが。
2月はわずか7冊に終わってしまった。いつものことながら来月こそは、と強く思う。そのモチベーションが継続することを祈っている。
2012年1月に読んだ本
2011年に読んだ本
2012年2月に読んだコミック
『GIANT KILLING』22巻(ツジトモ)
『へうげもの』14巻(山田 芳裕)
『孤独のグルメ』(久住 昌之 谷口 ジロー)
『きんいろモザイク』1巻(原 悠衣)
『魔法使いの娘ニ非ズ』2巻(那州 雪絵)
『Aチャンネル アンソロジーコミック』1巻(アンソロジー)
『トニーたけざきのエヴァンゲリオン』(トニー たけざき)
コミックもわずか7冊。
この中では那州雪絵が印象深い。傑作『ここはグリーン・ウッド』はもちろん、白泉社時代の短編などにも好きな作品が多かった。
Twitterにも書いたが、『魔法使いの娘ニ非ズ』は長編『魔法使いの娘』の後日談・スピンオフ作品で、一話読み切り形式となっている。1巻は『魔法使いの娘』を読み終えた直後に読んだため、強い印象を残さなかったが、今回2巻を読むにあたり読み返すと非常に素晴らしい作品だと気付いた。繰り返し読むことで味わい深くなる作家性がある。
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2249ページ
ナイス数:75ナイス
![天下人の時代 (日本近世の歴史)](http://ecx.images-amazon.com/images/I/513ut8dclfL._SL75_.jpg)
信長、秀吉、家康、忠秀という四代の天下人を政治史の面から描いている。歴史学の新たな研究成果等を織り込んだものではあるが、通史を描くのに精いっぱいでそうした切り口が目立たなかったのはとても残念。細部をメインとするなら一人一冊くらいの密度が欲しい。「天下人」というテーマを中心とするならば、通史の部分をもう少し削ってもよかったかもしれない。(☆☆☆)
読了日:02月11日 著者:藤井 讓治
![誰かが足りない](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51lod8lcsOL._SL75_.jpg)
宮下奈都らしい繊細な内面描写が光る連作短編集。予約1はいかにもありがちでもうひとつだったが、2と3は非常に良かった。4と5はまあまあ。6はもう少し話を膨らまして欲しい感じ。こうしてみると、女性主人公の話の方が魅力的。男性主人公だとドロドロした部分がスッパリと削られているので物足りなく感じるが、今の草食系はこんなものだったりするのかね。(☆☆☆☆)
読了日:02月15日 著者:宮下 奈都
![ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈1〉接触編](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51HNML-5pfL._SL75_.jpg)
自衛隊パートはいいが、ファンタジーパートのあまりの世界観の薄っぺらさに慄いた。まるで小学生レベル、というか、日本社会の描写とつり合いが取れない。ただ、それが著者の狙いだとしたら別の読み方も可能だが、果たしてそれは単なる深読みのし過ぎなのだろうか。(☆☆☆☆)
読了日:02月18日 著者:柳内 たくみ
![捨て猫王女の前奏曲―スクラップド・プリンセス (富士見ファンタジア文庫)](http://ecx.images-amazon.com/images/I/515KAHBAFRL._SL75_.jpg)
以前アニメは見ていたが、原作は初めて読む。最近のライトノベルには感じられない、作り込まれた世界観がかえって新鮮にさえ思う。(☆☆☆☆☆)
読了日:02月21日 著者:榊 一郎
![消失グラデーション](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41%2BdWdErluL._SL75_.jpg)
久しぶりに叙述トリックにちゃんと引っかかることができて満足(笑)。学園ものでやってのけたのはお見事。ミスリードも上手い。ミステリ的にはスーパーマンがいるので評価落とす感じだけどね。文章のタッチもやや読みにくく感じたけど、叙述ミステリならこれくらいは仕方ないか。十分に楽しめる一冊だった。(☆☆☆☆☆)
読了日:02月23日 著者:長沢 樹
![羽月莉音の帝国 10 (ガガガ文庫)](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51pXD03lULL._SL75_.jpg)
最後はまとめただけになった感じだなあ。流れ的にハッピーエンドが必要だから仕方ないけれど。でも、エンターテイメントでは終わり良ければよりも、密度や速度のある展開こそがワクワクさせてくれるし、特にリアルタイムに読んでいると強く引き込まれる。その意味でこの作品と巡り合えて幸せに感じたし、いろいろと欠点もあったけれど記憶に強く残ることは間違いない。ホント面白かった。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:02月26日 著者:至道 流星
![赦されざる者達の騒動歌―スクラップド・プリンセス〈2〉 (富士見ファンタジア文庫)](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51ZEYK6EJBL._SL75_.jpg)
「棄てプリ」の設定が物語の根幹になっていると実感できる巻。いろんなスタイルがあっていい。でも、ファンタジーが定番のファンタジー像を借りるだけじゃもったいない。最近はそんなのばかりが氾濫している感じがして残念。キャラクター頼みとなる前のライトノベルのほうが読み応えはあるね。(☆☆☆☆☆)
読了日:02月28日 著者:榊 一郎
2012年2月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
『ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈1〉接触編』については、「世界構造マニアからの苦言―感想:『ゲート1 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり <接触編>』」の記事に書いた。
『スクラップド・プリンセス』についてはいつになるか分からないが全巻読み終えたら感想を書いてみたい。
完結した『羽月莉音の帝国』についても独立した記事を書きたいところ。まだ明確な内容は定まっていないが。
宮下奈都については、内面描写に優れているが、構成力に物足りなさを感じる。ここには挙げられなかったが桜庭一樹『傷痕』を読んだあとだと特に。
『消失グラデーション』は叙述ミステリ。当然だが、叙述ミステリは小説ならではの表現方法だ。通常のトリックだとどれほど凝ったものであってもなかなか驚きに繋がらないが、叙述ミステリはそれまでの前提をひっくり返される面白さがある。もちろん簡単にネタバレするような作品ではそれは味わえないが。
2月はわずか7冊に終わってしまった。いつものことながら来月こそは、と強く思う。そのモチベーションが継続することを祈っている。
2012年1月に読んだ本
2011年に読んだ本
2012年2月に読んだコミック
『GIANT KILLING』22巻(ツジトモ)
『へうげもの』14巻(山田 芳裕)
『孤独のグルメ』(久住 昌之 谷口 ジロー)
『きんいろモザイク』1巻(原 悠衣)
『魔法使いの娘ニ非ズ』2巻(那州 雪絵)
『Aチャンネル アンソロジーコミック』1巻(アンソロジー)
『トニーたけざきのエヴァンゲリオン』(トニー たけざき)
コミックもわずか7冊。
この中では那州雪絵が印象深い。傑作『ここはグリーン・ウッド』はもちろん、白泉社時代の短編などにも好きな作品が多かった。
Twitterにも書いたが、『魔法使いの娘ニ非ズ』は長編『魔法使いの娘』の後日談・スピンオフ作品で、一話読み切り形式となっている。1巻は『魔法使いの娘』を読み終えた直後に読んだため、強い印象を残さなかったが、今回2巻を読むにあたり読み返すと非常に素晴らしい作品だと気付いた。繰り返し読むことで味わい深くなる作家性がある。