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2012年2月に読んだ本

2012年03月01日 22時02分44秒 | 本と雑誌
2月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2249ページ
ナイス数:75ナイス

天下人の時代 (日本近世の歴史)天下人の時代 (日本近世の歴史)
信長、秀吉、家康、忠秀という四代の天下人を政治史の面から描いている。歴史学の新たな研究成果等を織り込んだものではあるが、通史を描くのに精いっぱいでそうした切り口が目立たなかったのはとても残念。細部をメインとするなら一人一冊くらいの密度が欲しい。「天下人」というテーマを中心とするならば、通史の部分をもう少し削ってもよかったかもしれない。(☆☆☆)
読了日:02月11日 著者:藤井 讓治
誰かが足りない誰かが足りない
宮下奈都らしい繊細な内面描写が光る連作短編集。予約1はいかにもありがちでもうひとつだったが、2と3は非常に良かった。4と5はまあまあ。6はもう少し話を膨らまして欲しい感じ。こうしてみると、女性主人公の話の方が魅力的。男性主人公だとドロドロした部分がスッパリと削られているので物足りなく感じるが、今の草食系はこんなものだったりするのかね。(☆☆☆☆)
読了日:02月15日 著者:宮下 奈都
ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈1〉接触編ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈1〉接触編
自衛隊パートはいいが、ファンタジーパートのあまりの世界観の薄っぺらさに慄いた。まるで小学生レベル、というか、日本社会の描写とつり合いが取れない。ただ、それが著者の狙いだとしたら別の読み方も可能だが、果たしてそれは単なる深読みのし過ぎなのだろうか。(☆☆☆☆)
読了日:02月18日 著者:柳内 たくみ
捨て猫王女の前奏曲―スクラップド・プリンセス (富士見ファンタジア文庫)捨て猫王女の前奏曲―スクラップド・プリンセス (富士見ファンタジア文庫)
以前アニメは見ていたが、原作は初めて読む。最近のライトノベルには感じられない、作り込まれた世界観がかえって新鮮にさえ思う。(☆☆☆☆☆)
読了日:02月21日 著者:榊 一郎
消失グラデーション消失グラデーション
久しぶりに叙述トリックにちゃんと引っかかることができて満足(笑)。学園ものでやってのけたのはお見事。ミスリードも上手い。ミステリ的にはスーパーマンがいるので評価落とす感じだけどね。文章のタッチもやや読みにくく感じたけど、叙述ミステリならこれくらいは仕方ないか。十分に楽しめる一冊だった。(☆☆☆☆☆)
読了日:02月23日 著者:長沢 樹
羽月莉音の帝国 10 (ガガガ文庫)羽月莉音の帝国 10 (ガガガ文庫)
最後はまとめただけになった感じだなあ。流れ的にハッピーエンドが必要だから仕方ないけれど。でも、エンターテイメントでは終わり良ければよりも、密度や速度のある展開こそがワクワクさせてくれるし、特にリアルタイムに読んでいると強く引き込まれる。その意味でこの作品と巡り合えて幸せに感じたし、いろいろと欠点もあったけれど記憶に強く残ることは間違いない。ホント面白かった。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:02月26日 著者:至道 流星
赦されざる者達の騒動歌―スクラップド・プリンセス〈2〉 (富士見ファンタジア文庫)赦されざる者達の騒動歌―スクラップド・プリンセス〈2〉 (富士見ファンタジア文庫)
「棄てプリ」の設定が物語の根幹になっていると実感できる巻。いろんなスタイルがあっていい。でも、ファンタジーが定番のファンタジー像を借りるだけじゃもったいない。最近はそんなのばかりが氾濫している感じがして残念。キャラクター頼みとなる前のライトノベルのほうが読み応えはあるね。(☆☆☆☆☆)
読了日:02月28日 著者:榊 一郎

2012年2月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター




『ゲート―自衛隊彼の地にて、斯く戦えり〈1〉接触編』については、「世界構造マニアからの苦言―感想:『ゲート1 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり <接触編>』」の記事に書いた。

『スクラップド・プリンセス』についてはいつになるか分からないが全巻読み終えたら感想を書いてみたい。

完結した『羽月莉音の帝国』についても独立した記事を書きたいところ。まだ明確な内容は定まっていないが。

宮下奈都については、内面描写に優れているが、構成力に物足りなさを感じる。ここには挙げられなかったが桜庭一樹『傷痕』を読んだあとだと特に。

『消失グラデーション』は叙述ミステリ。当然だが、叙述ミステリは小説ならではの表現方法だ。通常のトリックだとどれほど凝ったものであってもなかなか驚きに繋がらないが、叙述ミステリはそれまでの前提をひっくり返される面白さがある。もちろん簡単にネタバレするような作品ではそれは味わえないが。

2月はわずか7冊に終わってしまった。いつものことながら来月こそは、と強く思う。そのモチベーションが継続することを祈っている。

2012年1月に読んだ本
2011年に読んだ本




2012年2月に読んだコミック

『GIANT KILLING』22巻(ツジトモ)
『へうげもの』14巻(山田 芳裕)
『孤独のグルメ』(久住 昌之 谷口 ジロー)
『きんいろモザイク』1巻(原 悠衣)
『魔法使いの娘ニ非ズ』2巻(那州 雪絵)
『Aチャンネル アンソロジーコミック』1巻(アンソロジー)
『トニーたけざきのエヴァンゲリオン』(トニー たけざき)

コミックもわずか7冊。
この中では那州雪絵が印象深い。傑作『ここはグリーン・ウッド』はもちろん、白泉社時代の短編などにも好きな作品が多かった。
Twitterにも書いたが、『魔法使いの娘ニ非ズ』は長編『魔法使いの娘』の後日談・スピンオフ作品で、一話読み切り形式となっている。1巻は『魔法使いの娘』を読み終えた直後に読んだため、強い印象を残さなかったが、今回2巻を読むにあたり読み返すと非常に素晴らしい作品だと気付いた。繰り返し読むことで味わい深くなる作家性がある。


「消化試合」の戦い方~日本対ウズベキスタン戦雑感

2012年03月01日 17時42分20秒 | スポーツ
■日本代表はなぜ負けたか?

答えは簡単である。コンディションとメンタルで劣っていたからだ。

「心技体」と言われる。そのうちの心と体が戦うに十分な状態ではなかった。

ザッケローニ監督や選手たちもこの試合に勝ちたいとコメントしていた。ホームでの試合であり、もちろん勝つに越したことはない。でも、それだけではモチベーションとしては不十分だった。

海外組が多数を占める日本代表。その多くは毎試合結果を求められている。レギュラーの座が安泰だなんて思っている選手はいない。それに比べるとこの「消化試合」はぬるく感じてしまう。

もちろん日本代表でも招集されるかどうかやレギュラーの座を巡っての争いはある。ただコンスタントに招集されているメンバーにとってはクラブでの熾烈な争いに比べると見劣りするものだっただろう。

また、週末に試合をして、半日近いフライトで日本に戻り、時差も存在する状況で、フィジカルなコンディションを万全にしろというのは無理がある。
この試合でも後半になって著しく運動量が落ちた。それは事前に予想できたことだ。

シーズン中のミッドウィークの試合開催は確実にコンディションに影響を与える。最終予選となれば、もう少しは気持ちでカバーできるだろうが、ベストのパフォーマンスを90分続けることは難しい。そういうものと最初から思って戦わなければならない。

■視聴率のための戦い

6月まで代表の試合がない。そのためあえて海外組を招集したと協会は説明しているが、1試合戦ったところで何が変わるのか理解不能だ。
少ない機会を有意義に使いたいのであれば、もっと別のやり方があったのではないか。

ザッケローニのサッカーはかなり細かな約束事で構成されている。そのことはアイスランド戦に招集された大久保がコメントしていた。今回、海外組は1日か2日しか事前に練習できず、そうしたザッケローニの戦術を理解するには時間が足りなかった。

久しぶりの招集となった乾は後半途中から出場したが、試合中に監督から細かく指示された。初召集の宮市が出る可能性は限りなくゼロに近かった。

試合前に宮市出場の可能性をほのめかすコメントがあったが、TV局の要請によるものではなかったかと勘繰りたくなる。日本代表の試合といえども「消化試合」である。視聴率を稼ぐためには、海外組の招集やいま最も話題となっている宮市は欠かすことができない。

■最終予選のために

本来であれば、この試合はアイスランド戦同様に国内組メインで戦い、戦力の拡充を目指すべきだった。アイスランド戦との継続性が藤本の抜擢だけで終わってしまったのは非常に残念だ。

ウズベキスタンは中心選手を欠いたメンバーだった。意図的にイエローカードをもらったことによる裁定で最終予選の初戦もこのメンバーで戦うことになるだろう。
事前に韓国で調整してきたという今回のメンバーは、大きなチャンスを得ている。この試合で活躍することがレギュラー獲得へと繋がる。彼らのモチベーションは高かった。
また、フィジカルなコンディションもしっかりと整えられ、運動量は90分間継続した。

主力を欠くウズベキスタン相手だからと日本は油断していなかったか。海外組の「心」と「体」が万全ではないことは事前に分かっていたはずなのに、そのための準備を欠いたことは明らかだろう。

世界の一流の選手であっても「心」と「体」のコンディションを維持することは難しい。プロだからできて当たり前といったものではない。これらを見極めケアするのは監督やスタッフの仕事だろう。

この試合でザッケローニが積極的に動かなかったのは、こうした状況でどんなパフォーマンスが残せるか見定めようとしたのかもしれない。だが、「心」「体」が万全でない中での試合は怪我に繋がりやすく、実際に長友が負傷により退場してしまった。

■負けるべくして負けた試合である

個々の選手がどうこうというよりも、戦う前から勝負が決まっていたような試合だ(もちろん、前半のうちに得点していれば違う結果にはなっただろうが、それで勝利したところでどんな成果と呼べただろうか)。

W杯に出場し、そこで結果を残すことが目標であるはずだ。すべてはそのためにでなければならない。
代表で戦うことだけが選手の成長に繋がるわけじゃない。特に海外のクラブで戦っている選手たちに対しては一律に招集するのではなく、個々の立場まで考慮して呼ぶべきだっただろう。クラブで結果を残している長友、香川、岡崎の招集は間違いだ。

昨年の清武のように、明らかなハードワークは怪我に至る可能性が非常に高い。しかし、日本では選手の怪我は自己責任と言わんばかりの扱いをされる。一方で、代表招集を断るという選択肢は与えられていない。
清武の負傷は日本サッカー協会の責任だったのに、その影響は選手やクラブが全て負担することとなった。目先の勝利ばかり優先し、代表強化を疎かにしている実例とも言える。

■W杯で結果を残すには

もっともっと日本代表は強くならなければならない。南アフリカでの戦い方はお世辞にも褒められたものではなかった。
W杯に出るためならばどんな戦い方でも構わないが、W杯の舞台ではこれが日本の戦い方だと胸を張れるものを見せて欲しい。

そのために何が必要なのか。

男子U-23が五輪で出られるかどうかが本当に強化に繋がるのかどうか。Jリーグのあり方は今のままでいいのかどうか。海外移籍のあり方は。海外組の代表での使い方は。

もちろんブラジルW杯だけでなくその後まで見据えて。

目的を達成するための一歩かどうか。そこを凝視していかねばならない。


2012.02.29 つぶやきし言の葉

2012年03月01日 02時20分44秒 | Twitter