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2012年10月に読んだ本

2012年11月01日 21時46分13秒 | 本と雑誌
2012年10月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2018ページ
ナイス数:77ナイス

GJ部(9) (ガガガ文庫)GJ部(9) (ガガガ文庫)感想
卒業だけど、らしい終わり方。部長(前部長かw)はこの最終巻読めないね(笑)(☆☆☆☆☆)
読了日:10月3日 著者:新木 伸
アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者3 (講談社ラノベ文庫)アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者3 (講談社ラノベ文庫)感想
相変わらず、手堅い面白さをキープしている。ネタの広がり具合もいい感じ。新ヒロイン登場の伏線かと思わせておいて、そう落とすかと思わず唸った展開も○。(☆☆☆☆☆)
読了日:10月5日 著者:榊 一郎
きょうも料理―お料理番組と主婦 葛藤の歴史きょうも料理―お料理番組と主婦 葛藤の歴史感想
タイトルと着眼は秀逸だが、牽強付会の印象が強く残った。修士号を取っていてコレとはと思ってしまう。良妻賢母にせよ社会システムからの圧力は確かにあるが、一方で女性自身がそれを望んだという面もあった。個々の事例についてつぶさに検証していかないと、すべて社会が悪いで終わってしまう。家事への意欲が低くても経済力のある男性の方がその逆よりも、社会的にも女性の側からも遥かに求められている現状があり、そこに風穴を開けないと大きな変化は望めない。もう少しそうした点に示唆を富む内容であればよかったのに。(☆☆☆)
読了日:10月11日 著者:山尾 美香
ケルベロスの肖像ケルベロスの肖像感想
ミステリではなく因縁劇。それは構わないのだけれど、シリーズのみならず桜宮サーガを数多く読んでいてもなお、描こうとした「業」についていけず、どうにも浅薄な内容に感じられてしまった。シリーズ完結ということで、オールキャストで盛り上げたが、物語自体は盛り上がることもなくあっさりとした終わり方となった。海堂尊って、当たればデカいけど、空振りも多い作家って印象だね(笑)。(☆☆☆)
読了日:10月19日 著者:海堂 尊
戦国の軍隊: 現代軍事学から見た戦国大名の軍勢戦国の軍隊: 現代軍事学から見た戦国大名の軍勢感想
戦後日本の歴史研究に軍事的な視点が不足していることについては同感で、社会的な空気に左右される部分が非常に色濃い歴史学らしいと思う。論理展開もしっかりしていて非常に興味深かった。もっと軍事学的観点から照射して欲しい。また、あとがきにある本書に書かれなかった点についても読んでみたい。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:10月22日 著者:西股 総生
舟を編む舟を編む感想
初、三浦しをん。本屋大賞受賞作ということもあり、期待値が高すぎたせいか、物足りず。辞書作りが題材なので本好きの評価が甘くなったのか。これなら欠点も多かったけれど、同じ出版社が舞台の『プリティが多すぎる』の方が印象的だったかもしれない。主人公の造型がハーレム系ラブコメの安直さよりもひどく感じてしまったしなあ・・・。(☆☆☆)
読了日:10月27日 著者:三浦 しをん
サエズリ図書館のワルツさん 1 (星海社FICTIONS)サエズリ図書館のワルツさん 1 (星海社FICTIONS)感想
滅亡しつつある世界観は悪くない。ストーリー、キャラクター、文体などもよく描かれている。ただ、「紙の本」であることがテーマにしっかりと結びついているのはコトウさんの話くらいで、物足りなさも感じた。私自身、本に埋もれて暮らしているが、それほど「紙の本」にこだわりを持っていないせいかもしれない。もう少し、その辺りを強く印象付けるものが欲しい。(☆☆☆☆)
読了日:10月31日 著者:紅玉 いづき

読書メーター




先月に引き続き7冊。残り2ヶ月をこのペースで読むと年間80冊と酷い数字になってしまう。なんとかしたいけれど、なんとも難しいところ。

核戦争後の世界というと、ひとむかし前は『北斗の拳』や『AKIRA』など生命力溢れた作品が印象的だったが、『サエズリ図書館のワルツさん』の描く世界は、滅びを受け入れる黄昏的な世界観が味わい深い。『人類は衰退しました』も明るさはあるものの基本的には似た路線だろう。社会の空気の反映でもあるが、たとえ滅びるにしてもしみったれたものではなく、顔を上げて生きようとする姿勢が心地よく感じる。決して肩肘張ろうとはしないけど。

本屋大賞は第6回まではノミネート作のうち読んだのが1~3冊。第7回第8回は10冊のうちの半数の5冊。そして、今年の第9回は受賞作の『舟を編む』で4冊目。2位以下に大差をつけての受賞ということもあり、かなり期待していただけに非常に残念だった。
三浦しをんは読書メーターでも非常に人気の作家で、以前から読みたいと思っていた。辞書作りをテーマとした作品ということもあり、『舟を編む』は初めて読む良いきっかけになるはずだったのだが。
感想にも少し触れたが、キャラクターに魅力がなかったことが楽しめなかった最大の要因だった。例えば、主人公。コミュニケーション不全なのに、簡単にヒロインに惚れられる。どこにそんな魅力があるのか、さっぱり伝わってこない。ヒロインも外見以外に魅力を感じられなかったが。
ライトノベルに限らず、サブカル系の作品ではキャラクターの魅力をどう伝えるかに多大な熱意が注がれている。その進化の果てに、重層的に記号化されたキャラクター像が生み出され、理解するためのリテラシーが必要とされるまでになってしまった一面もある。
そんな文化を知っていると余計に、ただ真面目なだけのキャラクター像に魅力を感じなくなってしまう。『神様のカルテ』も似たような印象だが。

ハーレム系ラブコメの主人公で、家事、特に料理が普通に出来るキャラクターといえば、柾木天地や衛宮士郎が思い浮かぶが、こうした主人公の魅力を引き出すひとつのスキルとして料理ができることが使われている。
『きょうも料理』は主に明治以降の主婦業について書かれたものだが、終盤にあった「男の料理」に対する考察はそれをメインに著してもらいたいと思わせるものだった。料理人の料理やいかにも男っぽい男の料理ではない、家事としての男の料理の意識の変遷とその背景は興味深い。もちろん、それに対する女性の視線が変化したのかどうかも気になるところだ。
感想に書いたように、「家事への意欲が低くても経済力のある男性の方がその逆よりも、社会的にも女性の側からも遥かに求められている現状」に将来変化が訪れるのかどうか。今の日本では難しそうに思うが、現在のライフスタイルが今後も成り立っていけるのかもまた難しいと感じる。
社会とは基本的にどこかにシワ寄せをすることで成立しているものだが、いつかはそれが破綻し、急激な変化をもたらす。地球的規模でのシワ寄せを思えば、その破綻は滅びにも繋がりかねない。滅びつつある中をそれでもなんとか生きていくという認識が今の日本に広がっているのかもしれない。

『戦国の軍隊』は良書。この観点での研究をもっと読んでみたい。

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2012年10月に読んだコミック

『下町鉄工所奮闘記ナッちゃん東京編』3巻(たなかじゅん)
『グラゼニ』6巻(アダチ ケイジ)
『ラストイニング』34巻(中原 裕 神尾 龍)
『あさひなぐ』6巻(こざき 亜衣)
『はじめの一歩』101巻(森川 ジョージ)
『ダイヤのA』33巻(寺嶋 裕二)
『銀の匙 Silver Spoon』5巻(荒川 弘)
『昭和元禄落語心中』1-3巻(雲田 はるこ)
『おおきく振りかぶって』20巻(ひぐち アサ)
『MIX』1巻(あだち 充)

今月は特にスポーツものばかりって感じに。『MIX』は始まったばかりでまだなんとも言えない感じ。

『銀の匙 Silver Spoon』は序盤の勢いが影を潜め、少しトーンダウン。北海道ネタ・農業ネタが薄まると、ラブコメとしてはちょっと辛い感じかな。

落語はひとりで何役もこなす話芸。噺家は男が大半だが、落語には当然女も出て来る。そういうところでの「色気」が際立っている『昭和元禄落語心中』。雲田はるこはBL系ということもあり、さすがといったところ。2巻途中から回想編となり、長々と続く様は『ベルセルク』かよ!とツッコんでしまうが、本編主人公が全く登場しない(生まれる前の話だしねえw)という意味ではその上を行くような展開。今後に期待。


2012.10.31 つぶやきし言の葉

2012年11月01日 02時18分35秒 | Twitter