白夜の炎

原発の問題・世界の出来事・本・映画

タイの洪水

2011-11-09 17:45:46 | アジア
「タイ洪水、速度遅くなる 首都北方には大量の水

 8日、バンコク北部で、洪水の影響により一部で水没する高速道路(ロイター=共同)

 【バンコク共同】タイ大洪水は9日までに、首都バンコク北部に設置した大型土のうが水をせき止め、中心部に向かって流れ込む水の速度が遅くなった。ただ、首都北方には大量の水が滞留しており、専門家は1週間もすれば土のうを超えて流れ込んでくる可能性があると指摘、依然予断を許さない状況だ。

 中心部に向かい南下を続ける水は、5日に北部と中心部の境界にあるチャトチャック地区まで到達。同地区の広い範囲で冠水し避難勧告も出され、中心部でも緊張が高まった。しかし、その後は水の速度が次第に遅くなり、さらに南方の地域への浸水拡大は今のところ防げている。」

低線量居住―可能なのか?

2011-11-09 14:43:01 | 放射能
「原発20キロ圏に帰還困難域 政権、低線量地居住を検討

 野田政権は東京電力福島第一原発から半径20キロ圏内の警戒区域内で、放射線量が高い地域を「長期帰還困難地域」とする方向で調整に入った。

 放射線量が低い地域に生活拠点をつくって、将来の帰還に備える「2段階帰還」への支援も検討する。近く警戒区域内で線量を測定し、年内をめどにしている原発の冷温停止状態の達成にあわせて該当地域を公表する考えだ。

 長期帰還困難地域では立ち入り禁止の措置が長く続く。対象住民には国や自治体による土地の借り上げや買い上げ、復興公営住宅の提供などを検討する。

 10月中旬の文部科学省の調査によると、警戒区域内で避難の目安とされる年間被曝(ひばく)量20ミリシーベルト以上だったのは、50地点中37カ所だった。

 20ミリシーベルト未満に自然に下がるまでに10年以上かかる100ミリシーベルト以上の地点も15カ所にのぼった。


http://www.asahi.com/politics/update/1108/TKY201111080694.html

 しかしこのようなことが可能なのか。高線量地域に戻れないのは当然だ。しかし低線量―具体的に何ミリシーベルトかわからないが―地域で、例えば妊娠して、出産して、子育てができるのか。

 今はむしろ3.11から数週間のうちに、東電福島第一原発周辺で妊娠した女性のその後や、子供たちの健康の実態を徹底してフォローすべきなのではないか。

ヨーロッパ金融危機―南ドイツ新聞より

2011-11-09 14:21:30 | EU
http://www.worldtimes.co.jp/wtop/paper/html_fr11/sr111007.html

「南ドイツ新聞(独) 2011年10月6日

終わりなき金融危機

 アンゲラ・メルケル独首相は危機をいくつかの段階に小分けしてみせた。
 これは物事の先行きを透明にし、見通しをよくする手立てである。メルケルの見方では世界はグローバルな金融危機の第3段階にある。危機は2007年の銀行危機に始まり、2009年の経済危機を触発した。そして2011年の国家の債務危機に引き継がれ、最高潮に達したという。

 メルケルの見解はここまでは概ね正しい。だが、「最高潮」という言葉はおかしい。実際の動きを見ていると、第3段階で危機は終りそうもないからだ。第4段階が来そうなのだ。

 これまでの経緯を段階ごとに当たってみると、第2段階は第1段階よりも状況は明らかに悪化していた。銀行、企業、国家の危機に対する備えは第1段階のときよりも劣っていた。第2段階では金融機関は、国家の破産を呼び起こした大浪に対応するには資金不足だった。

 そして2009年。欧州各国はさらなる巨額の包括的景気対策を組もうにも、全くの「金欠」で、お手上げだった。そして現在、危険はユーロの防護壁が崩壊して最終的に利かなくなるところまで拡大した。端的に言って通貨同盟の崩壊が現実的になっている。

 ドイツがこのカタストロフィー(大災厄)のシナリオを回避するには、危機管理の大改変が不可欠になっている。根源的な方向転換に踏み切らねばならない。

 ここで浮上してくるのが、負債の形を換える方策だ。つまり、借り手がより有利な条件でカネを借りられる方式に、乗り換える「借り換え」を負債者に奨励することである。ギリシャにはこれが不可欠となる。

 一方ポルトガル、あるいは多分、スペイン、イタリアにも債務の減免が必要になる。債務のこの「切り落とし」は、危機の当該国に経済的再興を実現させるための「前提」になる。「借り換え」が処方の主流に浮上した場合、とばっちりは欧州中央銀行(ECB)に来る。ギリシャへの「貸付」が戻ってこなくなるからだが、「切り落とし」がギリシャの財政再建に役立った場合は、ECBは逆に最大の受益者になる。

 最後に、これまた重要だが、今の危機を終らせ、次の危機を回避しようとする者は、金融市場との馴れ合いをやめなければならない。自己資金の増額に消極的な銀行など、現状の突破に後ろ向きな者は「次の危機」を迎えることになる。」

カダフィ-南ドイツ新聞より

2011-11-09 14:17:02 | 中東
http://www.worldtimes.co.jp/wtop/paper/html_fr11/sr111024.html より

「南ドイツ新聞(独) 2011年10月21日

カダフィという虚妄の終わり

 ムアマル・カダフィは政治的にはもうとっくの昔に死んでいた。世界に友人は一人もいなかった。権力の最盛期でさえ、彼はアラブ世界の国々にとって既に厄介者だった。カダフィにとっては空想の方が現実よりも重要だった。8月23日、暫定権力たるリビア評議会とリビア西部の部族戦士が、首都トリポリを制圧して以来、彼は地下に潜り、ラジオを通じて、シルトの支持基盤との接触を保つにすぎなくなっていた。

 彼は生涯をかけて紡いできた「カダフィ像」の終わりを自ら正しく受けとめた。降参もしなければ、国外脱出もしなかった。反逆者の弾丸によってであれ、北大西洋条約機構(NATO)軍のヘリの銃撃によってであれ、その死は彼にとって、捕虜になるよりははるかに意味のある終わりになった。

 それはまた勝者をも安堵させた。復讐裁判は西側の好みに合わないし、第一、客観的な裁判などリビアでは想像もできないからだ。42年間にわたり武器で権力を維持してきた者が、武器で生命を奪われたことで、歴史の公正さが証明された。

 シルトの陥落で暫定政府は「真実」と向き合うことになった。勝利は何も解決せず、反対に問題の始まりを意味するからである。

 リビア評議会は秩序正しい政府の速やかな立ち上げを迫られる。だが、極めて多様な勢力が、政権に参加したがっていて、しかもシリアの資源への関与に目を光らせているから、これは簡単には行かない。

 カダフィの「負」の遺産がまず後継者にとって障害になる。彼は反帝国主義を世界的な規模で呼びかけ、黒いアフリカの団結を鼓吹し、自己の政治路線貫徹に狂奔し、その挙句に西側に馴れ合い、取り入るという奇矯な道を選び、これに膨大な資金を投じた。結果として恩恵に浴したのは中間層だけで、文明社会の自由と発展は停滞した。反動としてリビアの国民は今、富裕な石油資源の恩恵に自分たちも浴したいと渇望するようになった。

 8カ月続いた内戦は、リビアのインフラを壊滅状態にしたから、石油資源が内戦前のように機能し始めるまでには数年はかかる。生産的な経済の構築には国外の専門家と外国人労働者が必要になる。

 リビア国民の多くが、過去と現在を比較して、かつての方がましだったと、「郷愁」を感じ出すまでに時間はかかるまい。中間層が当て込んでいた「カダフィ・ボーナス」は長続きしないのだ。

 状況の見極めに関しては、勝者たちはほとんどアマチュアである。満面歓喜して、戦勝の花火を打ち上げても、戦争の苦衷から彼らは何も学ばなかった。外国の支援がなかったら早い段階で敗北したはずだという認識を欠いている。今、必要なのは、リビア人自身の徹底的な自己検証である。

東電・被災・賠償 展望なき流浪に落ち込む日本

2011-11-09 14:03:12 | 原発
「東電は延命に値せず 賠償訴訟は兆円単位   久保利 英明    弁護士[日比谷パーク法律事務所代表]

                  2011年10月号 [インタビュー] by インタビュアー 磯山友幸 阿部重夫

久保利 英明(くぼり ひであき) 弁護士[日比谷パーク法律事務所代表]

 1944年埼玉県生まれ。68年東京大学法学部卒業。71年弁護士登録。01年に第二東京弁護士会会長、日弁連副会長、11年東京証券取引所社外取締役(現任)。コンプライアンスなどの権威で、一票の格差是正運動にも参加。著書に『想定外シナリオと危機管理 東電会見の失敗と教訓』など。

⇒この記事はFACTAより http://facta.co.jp/article/201110001002.html

――企業弁護士の第一人者が、福島原発事故で強制避難させられた住民や甚大な被害を受けた農家などの代理人になって、東京電力に損害賠償を求める先頭に立ちました。

久保利 正直、集団訴訟の規模は予測がつきません。いま僕がJA(農協)の代理人として請求しているのは総額600億円ですが、九牛の一毛です。4月段階で締めたのもあり、土壌汚染やコメは全然入っていない。現在は11県。セシウム汚染の稲ワラにしても三重や島根などまで波及している。8月に立ちあがった農協もあり、あと7、8県は加わって、すぐ数千億円に達する見込みです。

 農業関係だけなら1兆円規模でしょうが、30キロ圏内とか20キロ圏内の土地をどうするのか。買い上げるしかないと思いますが、対価はいくらになるのか。農畜産物を生産してずっと使えたはずの土地ですから、何十年、何百年単位で賠償費がかさみ、単なる地価で買い上げるのとは話が違ってくる。


――請求書を突きつける相手は東電ですが、とても払えない。面倒を見るのは国です。

 久保利 東電が基本的に債務超過なのは明らか。破産か会社更生で法的整理をせざるをえない。ところが、それをしないで東電を生かしておく理由が不鮮明です。賠償支援法で国のカネは東電にどんどんつぎこまれ、東電が食い残した滓が被害者に行く。東電はリストラせずに数千人を賠償査定に投入する。それなら、被害者には国が直接支払ってちょうだい、と言いたい。


原賠法は違憲、東電は解体を

――7月に「公正な社会を考える民間フォーラム」を結成して、現行の賠償スキームでは不公正だと訴えましたが。

 久保利 原子力損害賠償法(原賠法)には国家賠償法(国賠)は適用されないとあります。検事総長OBに言われました。「憲法(17条)には、公務員の不正行為により損害を受けた場合には、法律に基づいて賠償を請求できると書いてあるが、法律に基づいて請求できないとは書いてない。原賠法は憲法を否定した違憲の立法ではないか」と。原賠法さえなければ国賠で勝てるんです。でも、違憲訴訟だと最高裁まで10年かかる。いま生きている農民たちが耐えられますか。

――それでとりあえず東電を被告に?

 久保利 国賠ができないなら東電がいてくれたほうがいい。支援法や支援機構ができ、運営委員会も動くのであれば、依頼者のためにやりようがある。ただ、東電を法的整理すべしというのは、賠償面からだけではないんです。東電が事故を起こしたのは、ガバナンス(企業統治)がなってないから。危険な原子力を扱う企業はガバナンスもコンプライアンス(法令順守)も日本一でなければならないが、いまの東電では組織を解体して役員を総とっかえするしかない。会社更生は柔軟で、電力供給を続けながら送電線や発電所など資産を売却でき、発送電分離もできる。支援法による延命より圧倒的に優れています。

――法的整理で東電債をデフォルト(債務不履行)にすれば、社債市場が崩壊するので金融の連鎖リスクを招くと言われますが。

 久保利 定期預金金利が限りなくゼロに近いなかで、東電株は実質配当利回りが3%。そんな株が安全なわけがない。資産の最後の砦にするなんてバカです。まず株主が責任を取るのは当然。株価が80%を超す大幅安の今は「もう十分泣いてる。残る10%や15%はどうでもええわい」という心境でしょう。

 債権はどうなるか。5兆円+震災後の緊急融資2兆円と言われますが、銀行などの社債権者のために、東電を生かしてカネをじゃぶじゃぶ入れるのは合理性がない。東電債には担保があるという見方と、総財産担保だから優先的担保債権を全部払った残りしか回収できないという見方に分かれますが、発電所や送電線を売っていけば、国民総負担を大きく減らせます。国自身が壊れそうなときに東電の信用がどうこうなんて本末転倒。社債を満額保証しなければならないという論理は通りません。下河辺委員会が遊休資産を売ろうとしていますが、それくらいでは足りない。人をつけて設備を売って会社分割すればいい。

――東電は生き残るに値しないと? 6月の株主総会にはあきれたそうですね。

久保利 これまで全くお付き合いがなかったので、もう少しちゃんとした会社かと思っていたが、ガバナンスもコンプライアンスもメディア対応も劣悪です。「想定外」と平気で言い続けて、結局は単なる怠慢だったということが分かったんですから。総会も(総会屋を封じ込めて不毛な総会を避けるため)これまで僕がせっかく工夫してきた久保利方式(一括上程・一括審議・個別採決)を採用していない。NTTやソニー、中部電力など大会社は採用しているのに……。1万人近く株主が集まる総会で個別上程なんて、議論が混乱するだけですよ。あんな低レベルのシナリオとは思っていなかった。これが日本を代表する企業かと、その落差に愕然としました。

「逆シャンシャン」の株主総会

――そもそも株主とのコミュニケーションの場と考えていないから?

久保利 ええ、これまでは反原発派株主の敵役がいて、それを叩き伏せて問答無用で採決する「逆シャンシャン総会」だったんでしょう。反原発派だってどうせ会社がまともに答弁しないから言いっぱなし。議論がまったくかみ合わない。僕は月一度、東電に賠償請求の請求書を持っていくんですが、いつも応対は西澤俊夫社長と広瀬直己常務だけ。顧問弁護士が出てきたためしがない。リーガル対リーガルという企業法務がないんでしょうかね。これはすごい会社だと思いました。

――新聞などのマスコミも、東電を法的整理しないことを批判しません。

久保利 なんで東電を助けなければならないのか。助けたって電力は不足するし、助けなくたって不足する。供給能力次第です。地域独占で宣伝活動が不要な東電に、総会屋対策費と同じように広告費をばらまかれてきたんでしょう。メディアの信用は失墜しました。私もつくづくだめだなと思ったね(笑)。

――支援法には無理があるから、東電を改めて破綻処理させてもいいと言う人もいます。

久保利 いや、できっこない。破綻処理するには、債務超過と資金繰り困難という二つの理由しかありません。しかし債務超過にしないために国がカネをつぎこむことにしたんだから、破綻させるのは無理です。東電は国の寄付を受けて焼け太りするだけ。国民は結局、ばか高い電力費用を払わなければいけない。資本主義の国なら会社更生法がまっとうなのに、それを跨いでしまったため、日本を守ったつもりで復興のいいチャンスを失った。

オリンパス報道が露呈する日本の大手メディアの無能―FTより

2011-11-09 13:28:53 | 報道


「(2011年10月29/30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

今やオリンパス元CEO(最高経営責任者)となったマイケル・ウッドフォード氏は今夏、日本の小さな雑誌に掲載された気になる記事について仲間の取締役たちに質問した。定期購読のみの月刊誌FACTA(ファクタ)――読者数は3万人、スタッフは数人――は、同氏の前任者が日本企業3社の不可解な買収で多額の資金を浪費したと告発していた。

 その後何が起きたかは、もう周知の通りだ。オリンパスは10月14日、同社いわく経営スタイルの問題を巡ってウッドフォード氏を解任した。

 英国人のウッドフォード氏はこれに対し、一連の買収に対して抱いた疑念――オリンパスは国内企業の買収で投資資金の大半を失ったことは認めた――だけでなく、別件の英国企業買収で払った異常に高い投資顧問料について公表した。もっとも会社側は、その手数料には価値があったと主張している。

 株価は半値に落ち込み、米連邦捜査局(FBI)が調査に乗り出し、25日にはオリンパス会長の菊川剛氏が辞任した。

 オリンパスの問題は、日本のメディアにスポットライトを当てた。日本では、大手新聞が――粘り強く醜聞を暴くFACTAの記者と異なり――、オリンパスのニュースを軽く扱ったと批判されている。

控えめな報道に批判も

 「大手メディアは慎重だった」。慶応大学の曽根泰教教授(メディア研究科)はこう話す。「日本の新聞は初期段階では、経営側の視点から記事を書く傾向がある」

 批判的な向きは、オリンパスを担当する数十人の記者はFACTAのスクープを追いかけなかっただけでなく、ウッドフォード氏の告発に関する報道は慎重で、概ね新聞の後ろの方に埋もれていたと言う。日本の一流経済紙、日経新聞がオリンパス問題を1面で報じたのは会長辞任を伝える記事で、問題が表面化してから2週間近く経った10月27日のことだった。

 日経新聞に25年間勤めたFACTA編集長の阿部重夫氏は、日本の主要紙は、広告主を失ったり、企業経営者との関係を損なったりすることを恐れているのではないかと推測している。特に経済紙は、比較的小さなスクープ――例えば、正式発表の前日に買収などを報じること――に依存しており、記者が醜い秘密を暴けば、そうした流れが絶たれる恐れがある。

 オリンパス事件は、日本の報道機関にとって困難な時期に起きたと阿部氏は言う。全国紙は何百万人もの読者がいる――世界最大の日刊紙である読売新聞は発行部数が1000万部、朝日新聞は800万部に上る――が、若い日本人は世界各地の若者と同様、紙を離れてインターネットに移っており、金銭的な損失が増加している。

 3月の津波後に起きた原発危機での政府発表に偏った報道が事態を悪化させたと阿部氏は考えている。「新聞はかなり信用を失った。読者は違う目で新聞を見るようになった」と同氏は言う。

 日本では昔から大衆週刊誌がスキャンダルを暴いてきたが、こうした週刊誌は原告側に有利となる傾向が増す名誉毀損訴訟に妨げられてきた。

 裸の女性の写真と並べて政治スクープを掲載する週刊誌の1つ、週刊現代は八百長疑惑を取り上げた2007年の連載記事に関して、力士たちに4000万円の損害賠償金の支払いを命じられた。しかし、今年に入って日本相撲協会が八百長を認めた後は反訴に出ている。

 確かに、英国におけるニューズ・コーポレーションのスキャンダルの余波からも明白なように、メディアが体制との馴れ合いを批判されているのは日本だけではない。

次第に勢いづく報道、FACTAは読者が急増

 また、オリンパス問題で日本のメディアが出遅れたのは、言葉の問題と物理的な問題で概ね説明できるかもしれない。ウッドフォード氏は最初に東京で本紙(英フィナンシャル・タイムズ)に話をした後、英国に戻ったため、一部の日本人記者は同氏の居所を突き止めるのに数日間かかった。

 日本のメディアはこの1週間、政治家や規制当局の発言に勇気付けられてか、より積極的にオリンパスの報道に取り組んできた。27日の記者会見では、経営陣が質問に答えていないと不満を述べ、1時間で会見を打ち切ろうとした広報担当者を怒鳴りつけ、20分間延長させた。

 一方で、FACTAは読者の増加を謳歌している。阿部氏の話では、FACTAのウェブサイトのアクセス数は従来の2倍以上の1日10万件となり、新規購読者数は通常の3倍のペースで増えているという。「調査力が評価される新しいタイプの報道が必要だ」と阿部氏は語っている。

By Jonathan Soble」

 オリンパスがいい顧客だから厳しい報道ができない。

 これは東電と同じだ。

 つまり日本の大手メディアはたんに電波や紙をばらまいているだけで、社会の批判的勢力としてはないも同然だということか。

 なるほどお笑い芸人ばかりが目立ち、女子アナがタレント化するわけだ。

 ジャーナリズムではないのだから。

(追伸)

 オリンパス報道では常に「投資家」に対する情報が操作されたことに問題がある、と語られている。

 しかしそれだけではないのではないか。

 懸命に働いてオリンパス製品の品質を担保してきた従業員。

 オリンパス製品のユーザー。

 彼らはもしかしたらより高い給与・処遇を得られたかもしれず、ユーザーはより安価に優れた製品を利用できたのかもしれない。

 オリンパスは医療用の内視鏡も確か製造していたはずだ。

 病院ではより高品質のものを利用可能だったところもあるのではないか―より安価に提供されていたとしたら。

 企業が成立するのは何らかの社会的ニーズを満たしているからのはずだ。

 そのユーザーへの責任が欠落したり、経営陣のもとで誠実に仕事を行っている人々への配慮や経緯が無視されることがあってはならないのではないだろうか。

福島原発の廃炉―原子力委員会専門部会の報告書出る

2011-11-09 13:22:00 | 原発
「廃炉研究施設、近くに整備を=プール燃料、2年以内取り出し-工程表の年内作成指示

 東京電力福島第1原発事故で、国の原子力委員会の専門部会は9日、1~4号機の廃炉に30年以上かかるとした報告書案をまとめた。報告書案は、国際協力を含めた幅広い技術開発の必要性を指摘、同原発近くに研究施設などを整備するよう提言した。

 これを受け、枝野幸男経済産業相と細野豪志原発事故担当相は同日、経産省資源エネルギー庁と原子力安全・保安院に対し、廃炉に向けた具体的な工程表を年内に策定するよう指示。使用済み燃料プールからの燃料取り出しを報告書案から1年前倒しし、2年以内に開始するよう求めた。(2011/11/09-13:07)」

 膨大な時間とコスト。

 そして日本国内でこれからどの程度の将来性を見込めるかわからない分野に、どの程度の人材を集められるか大きな不安がよぎる。

 それにしても使用済み燃料の取りだしと処理は頭の痛い問題だ。

 充分冷却できているものならばともかく、そうではない使用済み燃料の処理はどうするのか。

 どこまでも面倒が付きまとう問題である。
 

タイの洪水―バンコク週報より

2011-11-09 12:02:40 | アジア
① 11/8

国防相、「工業団地を死守」


 バンコク都庁は11月7日、水位のさらなる上昇に伴い、ミンブリ区バンチャンの住民に避難を勧告した。これで同勧告が出された区は合計12となった。

 一方、同地区に位置するバンチャン工業団地も浸水の恐れが増しており、ユタサク国防相は7日、「バンチャンと(やや離れた)ラートクラバンの両工業団地を洪水から守るため政府は全力をあげる。アユタヤとパトゥムタニでは(7工業団地の浸水回避に)失敗した。バンチャンとラートクラバンだけは死守しなければならない」と強調した。

⇒それよりも長らく汚水が引かないでいる地域の問題をどうするかに重点を移した方がいいのではないか。感染症が本格的に蔓延すれば国家的大惨事になる。

② 11/8

郵便局60カ所が臨時休業へ


 国営郵便会社、タイランド・ポスト社によれば、洪水の影響でこれまでにバンコク都内だけで計60カ所の郵便局が臨時休業となった。さらに、今週は都内被災エリアの郵便配達業務も一時停止するとのことだ。

 その対応策として、各地に郵便物受け取り所を設置することになった。場所などの詳細は近日中にホームページで公表する予定という。

 なお、現在、都内チェンワタナ通りのタイランド・ポスト社本社には3000個以上の小包が留め置かれている。

③ 11/8

陛下、心労で容体が一時悪化


 チュラポン王女殿下によれば、プミポン国王陛下は、国民が洪水に苦しめられていることに心を痛められ、容体が一時悪化した。

 陛下は回復に向かっていたが、国民のことを心配して体調を崩されたものという。しかし、現在は以前の状態に戻られているとのことだ。

 同殿下は、「国王陛下は1週間ほど前、洪水に関するテレビニュースを5時間も見られていた。愛する国民が苦しい状況にあることから、心を痛められたようだ。だが、陛下はこれをことばにされず、(心労がたまって)容体の一時的悪化につながったようだ」と説明された。

④ 11/8

バンコク隣県で工場が被災へ


 タイ工業連盟(FTI)によれば、バンコクに隣接するサムットサコン県は、バンコクなどからタイ湾への排水ルートに当たることから、数日中に深刻な洪水に見舞われ、冠水が最長で1カ月ほど続く見通しという。

 このため、県内の多くの工場が影響を受けることになり、被害総額が1500億バーツにのぼるおそれもあるとのことだ。

 同県で操業している工場は合計5000あまり。従業員数は50万人にのぼる。同県は海に面していることから工場は魚介類の処理・加工に関連したものが大半を占める。

 FTIサムットサコン支部のアピチット支部長は、「県内全域が浸水する見通しだ。水かさは最大で2メートルに達するだろう。また、工場の約半数は、道路より低い場所にあるなど洪水を想定した造りになっていない」と懸念を示した。


⑤ 11/8

ポンプ追加で首都の排水強化へ


 政府の水害被災者救援センターは11月7日、バンコク都庁の要請に応えて、都内の主要道路などの排水を強化するため、排水ポンプを先の24台に加え新たに48台提供する方針を明らかにした。

 追加のポンプは排水能力が毎秒96立方メートルで、購入費は総額5000万バーツあまり。15日以内に設置が完了する予定という。