白夜の炎

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青瓦台とソウル市内の反動統治機関を撃滅、掃討するための長距離砲兵大集中火力打撃演習を指導/ネナラより

2016-03-26 17:08:50 | 軍事
 北朝鮮のメディアが伝える北の動向。


「朝鮮労働党第1書記・朝鮮民主主義人民共和国国防委員会第1委員長・朝鮮人民軍最高司令官である金キム正ジョン恩ウン同志は、青チョン瓦ワ台デとソウル市内の反動統治機関を撃滅、掃討するための朝鮮人民軍前線大連合部隊の長距離砲兵大集中火力打撃演習を指導した。

史上、最大規模で策定された長距離砲兵大集中火力打撃演習は、不作法にも朝鮮革命の最高首脳部と党中央委員会の執務室を狙って「精密打撃訓練」を公開的に行った朴パッ槿グン恵ヘ逆賊一味の本拠地であるソウル市を火の海にするための前線大連合部隊の長距離砲兵大集中火力打撃を行って、米帝とかいらい逆賊一味に最も悲惨な滅亡を与えようとする白ペク頭トゥ山銃剣の威力を再度全世界に誇示することに目的を置いた。

大集中火力打撃演習には、前線大連合部隊の各最精鋭砲兵部隊が装備したチュチェ砲をはじめとする百数十門に及ぶ各種口径の長距離砲が投入された。

演習に先立って、朴パク永ヨン植シク・人民武力部長(陸軍大将)が演説を行った。

演説者は、今日の砲兵火力打撃戦は金正恩最高司令官を生命を賭して守るための領袖死守戦、領袖防衛戦であり、朴槿恵逆賊に最も悲惨な滅亡を与えるという白頭山銃剣の無尽強大な威力を見せる正義の報復戦であると強調した。 」

http://naenara.com.kp/ja/

北朝鮮の核ミサイルは本当に恐れるに足りるか? /スプートニクより

2016-03-18 14:03:52 | 軍事
「北朝鮮がミサイルや核技術の分野で大きな進歩を遂げたのは事実だが、すべての問題が克服されたわけではない。ロシアの軍事専門家ウラジーミル・エフセーエフ氏はそう語る。

「ある情報によると、北朝鮮の第三の核実験では、核弾頭に使用可能な、相当小型の核爆弾が用いられた。今年2月の初めに重量200㎏もの衛星が打ち上げられたことも、北朝鮮の技術が進歩していることの証だ。『北朝鮮は熱核兵器の開発に取り組んでいる』との情報もある。しかし、こうした開発には、非常に多額の資金が必要だ。ゆえに、おそらく、今後数年間でこうした兵器が完成されることはない。しかし、北朝鮮は、核爆弾をブースト、つまり、強化することは出来るだろう。核爆弾の威力が20キロトン程度にまで高められる可能性はある。ただ、目下、北朝鮮は、緻密な大気の層を通る際に弾頭を保護するための耐熱コーティング技術に集中している。このようなコーティングがなければ、ミサイル本体の燃焼と損失は不可避である。この問題が解決されたら、次のステップは、弾頭の飛行試験を行い、遠隔測定データを集めることである。それなくして、弾道ミサイルを用いて核弾頭を正確にターゲットに届けることは出来ない。こうしたテストがすべて完了してはじめて、『北朝鮮は戦略的抑止力を手にした』と言える。韓国や日本は強力なミサイル防衛システムを持っている。自由落下型核兵器を持っていても、それで有効な攻撃ができるとは限らないのだ」

しかし北朝鮮は、ロシアと中国を含む国際社会全体の支持のもと採択された、国連安全保障理事会による厳しい制裁を受けている。こんな中でどうやって、核ミサイル開発に必要な技術を取得できるのか。エフセーエフ氏は次のように語る。

「基本的な部品や技術は、すでに北朝鮮は持っているのだと思う。また、国連決議によって、北朝鮮への物資の輸送は検査を受けているが、だからといって、核開発につながるような資材が、たとえば中国・北朝鮮の国境を通って、送られていないかどうか、絶対的な保証はない。加えて、制裁の中で技術や特定の機器が秘密裏に譲渡されたケースは、これまでにもあった。その点は理解しておくべきだ。そのことは一番最近の人工衛星打ち上げによっても確認されている。ロケットの一段目の打ち上げに西側の技術の適用の痕跡が見つかったのだ。また、耐熱コーティングの開発にドネプロペトロフスク市にあるウクライナの設計事務所『ユジュマシ』が携わっていることを示す間接的な証拠もある。これが事実なら、旧ソ連圏から北朝鮮への重大な技術漏洩がある、ということになる。加えて、北朝鮮が中国の耐熱コーティングを使用していることも知られている。これは以前、中距離弾道ミサイルに使用されていたものだ」

北朝鮮が核ミサイル開発を進めたなら、韓国領土にミサイル防衛システムが大規模に展開されることになるだろう。イスラエルのミサイル防衛システムによく似た、様々なレベルの兵器が配備される。そうなれば、朝鮮半島のミサイル軍拡競争は活性化するだろう、とウラジーミル・エフセーエフ氏は語る。


続きを読む http://jp.sputniknews.com/opinion/20160318/1800039.html#ixzz43EBmvmrr」

http://jp.sputniknews.com/opinion/20160318/1800039.html

ロシア軍のシリア撤退 3つの狙い/小泉悠より

2016-03-16 16:32:11 | 軍事
「昨年9月、突如としてシリアに軍事介入を行って世界を驚かせたロシアが、今度は突然の撤退発表によって耳目を集めている。その狙いはなんなのか。
シリアを離れていく空軍機の姿から考察してみたい。

突然の撤退発表

3月14日、ロシアのプーチン大統領は、シリアに展開しているロシア空軍部隊主力に撤退を命じたことを明らかにした。理由は、ロシア軍の任務が概ね完遂されたため、としている。
これについては、撤退完了期限が示されていないこと、ロシア軍が展開していたアル・フメイミム航空基地やタルトゥース港の物資補給拠点が「これまでどおり機能する」とされていたことから、実際にはデモンステレーション的な撤退に過ぎないのではないかとの見方もあった。
ところが翌3月15日、ロシア国防省は、アル・フメイミム基地を次々と離陸するロシア空軍機の映像をリリースした。


撤退第一陣となったのは、ロシアがシリアに展開させている中で最も強力な対地攻撃力を有するSu-34戦闘爆撃機である。ロシア軍が現在調達中の新鋭機で、どす黒い迷彩塗装の爆撃機が次々と離陸していく様子はなるほど「撤退」を実感させる。
映像には少なくとも4機のSu-34が写っており、これはシリアに展開していた機体のほぼ全力と思われる。
シリアから帰還し、歓迎を受けるSu-34のパイロット
シリアから帰還し、歓迎を受けるSu-34のパイロット
さらにロシア側の報道によると、今後は12機ずつ配備されていたSu-25攻撃機とSu-24戦闘爆撃機も順次撤退の予定であるという。
ロシア国防省のサイトでも、大型輸送機を先導機にして順次撤退するなど細かい撤退手順を明らかにしており撤退は今後とも続く可能性が高い。
ちなみに第一陣のSu-34はすでにロシア本国の基地に帰還している。

何が「これまでどおり」なのか

しかし、こうなるとアル・フメイミム基地が「これまでどおり機能する」という話はどうなってしまうのか。
実はアル・フメイミム基地には上記の攻撃機や戦闘爆撃機のほかにも、主に対航空機戦闘を任務とするSu-30SM戦闘機とSu-35S戦闘機が配備されており、上記報道ではこれらの撤退について言及がない。
また、アル・フメイミム基地には最新鋭防空システムS-400など複数の防空システムが展開しているが、これも撤退するとの情報が今のところ見られない。
つまり、今回の撤退では地上攻撃部隊が撤退する一方、防空戦力はシリアに残る、ということになる可能性がある。

シリア撤退:3つの狙い

仮にこの見立てが正しかった場合、今回のシリア撤退に関するロシアの狙いははっきりしてくる。
すでに指摘されているように、今回のプーチン大統領によるロシア軍撤退決定は、ジュネーブでのシリア和平協議再開とほぼ同時であった。つまり、ロシアとしては今後のシリア和平を有利に運ぶための撤退であったと言える。しかも、そこには複数の狙いが見て取れる。
1. シリア和平をめぐる対西側関係の改善
第一に、ロシアがシリアでの空爆を継続していることは欧米諸国から非難の的となっており、シリア和平に関するロシアと西側の協力を難しくしていた。これに対してプーチン大統領は、今回の撤退発表に先立ち、オバマ米大統領と電話会談を行って撤退開始の意向を明らかにしていた。撤退を米露関係改善のシグナルとする姿勢が見て取れよう。
2. トルコ・サウジアラビアへの牽制
しかし、第二に、ロシアにとって都合の悪い軍事活動が行われることをロシアは認めるつもりはない。特にロシアの軍事プレゼンス低下の隙をついてトルコやサウジアラビアがシリア領内への軍事介入を行うことは絶対に認められず、それだけに防空戦力は残したものと思われる。サウジアラビアは2月、トルコのインジルリク基地にF-15S戦闘爆撃機を展開させてシリア介入を伺うような動きを見せていたが、ロシアの空軍力が存在する限りは純軍事的にも政治的にもシリア介入は困難であると思われる。トルコも昨年11月のロシア空軍機撃墜事件以来、シリア領内への空爆は行っていないとされる。
3. アサド政権への圧力
第三に、シリアのアサド政権への圧力が考えられる。昨年9月末にロシアが軍事介入を開始して以降、一時は崩壊寸前とまで見られていたアサド政権軍は大きく勢力を盛り返すことに成功していた。それだけにアサド政権は停戦に消極的と見られ、アサド大統領はプーチン大統領による退陣勧告をはねつけてきたと伝えられる。こうした中でロシア空軍の対地攻撃部隊が撤退してしまえば、停戦が破られた場合、アサド政権軍は再び劣勢に陥りかねない。
このように、米国、トルコ、サウジアラビア、そしてアサド政権への複合的な影響力を狙ったのが今回の撤退劇なのではないか、というのが現時点での筆者の見方である(もっとも、以上は現時点での観測であり、今後は撤退の実際を注意深く観察する必要があろう)。

戦費負担軽減の狙いも

もちろん、シリアでの戦費が膨大な負担になっていることも事実である。
ロシア経済の危機は歳入のおよそ半分を占める原油価格の下落という構造的な要因によるものであり、当面は劇的な改善は望めない。
シリアでの軍事作戦の費用は1日200万ドルとも800万ドルとも言われており、このような経済状況下でいつまでも続けられないことは明らかであった。プーチン政権は当初、国防費だけは経済危機下でも削減しないとしていたが、昨年は予算補正でついに国防費削減に踏み切り、今年も国防費の5%カットが予定されている。
この意味でも、シリアでの軍事作戦縮小が必要とされていたことは間違いないと思われる。


小泉悠
軍事アナリスト
早稲田大学大学院修了後、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究などを経て、現在はシンクタンク研究員。ここではロシア・旧ソ連圏の軍事や安全保障についての情報をお届けします。『軍事研究』誌でもロシアの軍事情勢についての記事を毎号執筆。」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/koizumiyu/20160316-00055480/

国連の北朝鮮制裁決議は本当に「最強」?――核・ミサイルを止められない5つの理由/辺

2016-03-03 15:04:23 | 軍事
「国連の5度目となる対北朝鮮制裁決議「2270」が3月2日、採択された。

水爆実験と称される1月6日の4度目の核実験から57目と、北朝鮮制裁決議では過去最長となった。それでも制裁内容は「過去20年間では最強の制裁」(パワー駐国連米大使)と言われている。韓国では「国連創設以来、史上最強の制裁となった」と評価するメディアもある。果たしてこれで北朝鮮の核・ミサイル開発にブレーキが掛かるのだろうか?結論は無理だろう。以下、国連決議の問題点を5つ挙げてみる。

その一、中・露が障害となっている
中国は北朝鮮制裁に今回は一歩も、二歩も踏み込んだ。それでも日米韓が求めた「強力で包括的な制裁」には全面的に同調はしなかった。今回の制裁が選択的だったことからも伺いしれる。実際に中国は▲北朝鮮への原油供給の全面的な中断(空軍用とロケット用燃料に限定)▲海外人力(5万人)の送金(2~3億ドル)停止▲貿易の全面中断(大量破壊兵器と無関係の地下資源の輸出や7億4千万ドル相当の対中繊維輸出はOK)▲セカンダリーボイコット(北朝鮮と取引する第三国への制裁)には首を縦に振らなかった。

ロシアにいたってはさらに手を加え、わざわざ「北朝鮮の民間機の海外での給油(燃料販売と供給)は許可する」との例外規定を加えさせた。また、当初制裁対象者に含まれていた朝鮮鉱業貿易開発会社の駐ロシア代表を外させた。北朝鮮経由のロシアの貿易や鉱物資源を担保にした北朝鮮への経済協力を進めているロシアには障害になるからだ。

中露の妨害は今に始まったことではない。2006年7月のテポドン発射の際に日米が制裁決議案を上程したが、拒否権を持つ中露が反対したため通らず、拘束力のない非難決議(1695号)で終わった。また、同年10月の核実験の際には日米は制裁決議案に北朝鮮の船舶に対して強制的な検査の実施を盛り込んだが、公海上での強制検査は北朝鮮との軍事衝突の恐れがあるとして反対したためこれまた通らなかった。

さらに2009年4月に安保理決議を無視して「衛星」と称して長距離弾道ミサイルを発射した際にも制裁決議に反対し、結局は議長声明に格下げさせた。国連制裁委員会による資産凍結指定企業も14企業から大幅にカットし、3つの企業に限定させてしまった。

その二、制裁が中途半端である
安保理決議(1718号)では制裁対象人物は「北朝鮮の核関連、弾道ミサイル関連及びその他の大量破壊兵器関連の計画に関係のある北朝鮮の政策に責任を有している(北朝鮮の政策を支持し又は促進することを通じた者を含む)者」と定められている。となると、真っ先に金正恩国防委員長がリストアップされなければならない。その理由は、水爆実験は金正恩国防委員長が12月15日に決断し、また長距離弾道ミサイル「光明星」の発射も「2月7日に打ち上げろ」との命令を出しているからだ。北朝鮮は金第一書記の直筆のゴーサインも公開している。それなのに今回も制裁対象から外されている。

また「北朝鮮の政策を支持し又は促進することを通じた者」とは水素爆弾成功祝賀平壌市軍民大会やミサイル発射成功を祝った宴会の出席者である金永南最高人民会議常任委員会委員長や黄炳誓軍総政治局長、朴奉柱総理ら党・軍、政府幹部らである。国際会議の場で核実験やミサイル発射の正当性をPRする外務省の李スヨン外相らも対象とならなければならない。ところが、幹部では李万建党軍需工業部部長が今回指名されたのが唯一で、他誰一人制裁対象にされてない。イラクのケースとは大違いだ。

サダム政権下のイラクに対する経済制裁では制裁委員会が作成したブラックリストにはフセイン大統領を含め89人の個人と205の組織、団体がリストアップされていた。北朝鮮の制裁対象は今回個人16人と12の団体が追加され、個人が28人、団体42に増えたものの、その数はイラクと比べればはるかに少ない。同じ核開発で制裁を受けていたイランでさえ4度の制裁で個人41人とアフマディネジャド大統領(当時)との支持基盤である革命防衛隊の関連企業を含む75の団体が制裁対象にされていた。

まして、第二自然科学院長にせよ、宇宙開発局長にせよこれまで制裁対象とされたミサイルや原子力関係者らは海外に資産もなければ、海外に出ることもない面々だ。さらに制裁の対象になった貿易会社など組織、団体は看板を変えれば、事業再開はいくらでも可能だ。名義を変更するか、新しい会社を作るか、あるいはダミー会社を使えば、関連業務はいくらでも継続できる。

現に、数日前に安保理に提出された制裁履行状況を調査している制裁委員会の専門家パネルの年次報告書では北朝鮮の船舶が外国の旗や別名を掲げて海外の港に入港している実態が明かにされている。制裁対象の北朝鮮の海運企業「オーシャン・マリタイム・マネジメント(OMM)」に属する9隻が名前を変えたりして運航を続けていたとされる。

その三、国連加盟国が決議を履行していない
さらにこの報告書では、北朝鮮は外交官や一部友好国との長期にわたる貿易関係を通じて制裁を逃れてきたという。アフリカなど一部の加盟国に制裁逃れの報告を求めているが、応じていない国もある。ナミビアでは北朝鮮企業が軍需工場の建設に関与していたし、シリアやエジプトへの武器輸出も中国を経由して行われていた。違反しても決議にペナルティーが科されてないのが問題だ。

北朝鮮に現在適応されている制裁は国連憲章第7章第41条に基づくもので、第41条には「経済関係及び鉄道、航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信の手段の全部又は一部の中断並びに外交関係の断絶を含むことができる」と書かれてある。

国際社会が4度にわたる核実験や6度にわたる長距離弾道ミサイルの発射に憤りを覚えるならば「外交関係の断絶」も義務付けられているわけだから、国交のあるEUを中心に北朝鮮と国交を断絶する国が続出しても良さそうなものだ。しかし、核問題で断交した国は北朝鮮と国交のある163か国のゼロである。人権問題では2か国が断行しているが、いずれも小国だ。加盟国の積極的な関与がなければ制裁の効果は十分に発揮されない。

その四、国際社会の人道支援が北朝鮮経済を助けている
国連安保理で北朝鮮制裁が論議され、北朝鮮への輸出入を規制する制裁決議が採択される直前の3月1日、ロシア政府が北朝鮮に人道支援した小麦粉2千5百トンが南浦港に到着した。総額で400万ドル相当(約4億5千万円)。世界食糧計画(WFP)を通じての支援だ。WFPへのロシアの今年の支援金900万ドルの一部である。ロシアは、昨年も6月に400万ドル、10月に200万ドル相当の食糧支援を行っている。

北朝鮮に経済制裁を掛けているオーストラリアもWFPの対北朝鮮栄養支援事業に220万ドルを寄付している。オーストラリア政府は2002年から毎年、年平均400万ドル相当の支援を行ってきた。ちなみにWFPは2013年7月から2016年6月までの3年間で約2億ドルの対北支援を検討している。

スイスも今年、外務省傘下の開発協力庁(SDC)を通じて北朝鮮に保健事業支援として835万ドル、食糧事業関連で67万ドル、併せ約900万ドルの支援を行う。スイスは昨年もWFPに560万ドル相当の粉ミルク支援を行っている。EUも昨年、北朝鮮の食糧支援を行っている英国、ドイツなど7つのNGO団体に760万ドルの資金を拠出している。

NPO法人の国際救護団体「ワールドビジョン」が植樹や農業支援の名目で120万ドルの支援を行う他、世界基金も国連児童基金が北朝鮮で結核を退治するための事業費として2018年6月までの2年間2,840万ドルを支援する。国連も干ばつに見舞われた昨年、北朝鮮に630万ドルの人道支援を行っていた。

国際社会の人道支援は北朝鮮が2度目の核実験を行った翌年の2010年には2500万ドル、また3度目の年の2013年には3千万ドルと大幅に減少したが。10年前までは年平均3億ドルもあった。

北朝鮮の国防費は40億4千万ドルで世界36位だ。GDP(170億ドル)は世界101にもかかわらず、GDPに占める国防費支出は世界1位である。国際社会の人道支援があるからこそ北朝鮮は予算を核やミサイル開発など国防に回すことができる。今回の制裁決議「2270」でも人道支援や人道目的に関する協力は除外されていた。

その五、伝家の宝刀である「第42条」を適応しないことにある
一度目の核実験の時は、日米両国とも「第42条」を押し通そうとしていた。それ以降の国連制裁決議では「第42条」について触れようともしない。

「42条」には「安全保障理事会は、第41条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍または陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる」となっている。

北朝鮮が「41条」を無視して、核実験を再度強行したわけだから、本来ならば、速やかに「42条」の適応を求めるのが筋のはず。ところが、中露を含め関係国の間では「暴発(戦争)を招く恐れがあるから」ということで「禁句」となっている。

結論を言うなら、関係各国が覚悟をもって「42条」に踏み込み、「政策を転換しなければ体制を維持させない」との本気度を示さない限り、金正恩政権が核とミサイル開発をそう簡単に断念することはない。」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/pyonjiniru/20160303-00055001/

安倍政権が目指す集団的自衛権の中核はミサイル防衛/ハンギョレ

2016-02-21 17:39:51 | 軍事
「 「北朝鮮のミサイル発射では、平和安全法制(安全保障関連法)と新たなガイドラインのもとで強化された日米同盟が円滑に効果をあげた」
 今月16日の夜、東京の首相官邸。安倍晋三首相が訪日したハリー・ハリス米太平洋軍司令官に、両国が昨年4月、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の改正により、「グローバル同盟」に強化された日米同盟とミサイル防衛(MD)の相関関係について、このような意味深長な発言を行った。ガイドライン改正を通じてMDのための両国の協力が強化され、北朝鮮のロケット発射に対する共同対応がより円滑に行われたと感謝の意を伝えたのだ。

 毎日新聞は19日、北朝鮮がロケットを打ち上げた今月7日、日米がガイドライン改正で新設した「同盟調整メカニズム」(ACM)を通じた初めての合同指揮所演習(キーンエッジ)を実施する真っ最中だったと伝えた。この同盟調整メカニズムは、韓米同盟の韓米連合司令部に対応する両国軍当局間の常設協議機構だ。

 北朝鮮のロケット発射予告が出るとすぐに、演習の拠点とされている東京の横田基地がそのまま北朝鮮の「ミサイル(ロケット)対応のための指令塔」となった。自衛隊の幹部は、「おかげで、(日米両国軍当局が)イージス艦などの配置を円滑に調整できた。北朝鮮が直前に発射予告期間を前倒ししても慌てずに済んだ」と話した。両国は、横田基地に日米共同統合作戦調整センター(BJOCC)を設置し、MD情報をリアルタイムで交換している。

 同紙はさらに踏み込み、「弾道ミサイル防衛(BMD)は、米国を標的とした弾道ミサイルを自衛隊が迎撃することを想定している。集団的自衛権の行使なしに成り立たない」とし、米国が日本の集団的自衛権を許可した主な理由が、最終的にMDを通じた米国の防衛だと指摘した。

 実際、昨年4月に改正されたガイドラインによると、「日本以外の国(米国)に対する武力攻撃がされた場合」、自衛隊が「弾道ミサイルの迎撃で協力する」と定めている。それ伴い現在、日本政府は、米空軍基地があるグアムに向け打ち上げた北朝鮮の中距離弾道ミサイルを自衛隊が撃ち落とす「想定シナリオ」を既に用意していると同紙は伝えた。ここで使用される迎撃手段としては、日米が共同開発しているイージス艦搭載用SM3ブロック2Aが挙げられている。

東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )」

http://japan.hani.co.kr/arti/international/23380.html

サウジが「パキスタンの核弾頭」を手にする日:ミサイルは中国製の東風21/ハフポト

2016-02-21 11:19:07 | 軍事
「世界の株式・金融市場の急速な収縮をよそに、イランを取り巻く経済活動が過熱化している。イランとの「核合意」に伴う対イラン制裁解除で、凍結されていた推定総額約12兆円もの資金をイランが手にするため、商機が到来したというわけだ。

しかしイランは将来の核武装化を完全に断念したわけではなく、核開発を先送りしたにすぎない。このため中東のアラブ諸国などがひそかに核開発を進め、米国などの情報機関が神経を尖らせている。中でも最も懸念すべき動きを見せているのが、イスラム教シーア派大国イランのライバルであるスンニ派大国サウジアラビアだ。


パキスタンから5~6発

「イスラム爆弾」が差し迫った危険として世界に注目され始めたのは1981年、イスラエルが予兆もなく突然、イラクのオシラク原子炉を爆撃して以後のことだ。その後、パキスタンの核開発が注目を集め、同時にパキスタンの核開発に対してサウジアラビアが資金援助したとの情報が流れた。さらに2002年8月、イラン反体制派が、イランは秘密のウラン濃縮施設建設をイラン中部ナタンズに建設したと暴露。2003年にはイラク戦争でフセイン政権が打倒され、イランの政治的立場が強まった。

中東の核開発競争は、最初にイスラエルの核武装があり、次いでイラクなどアラブ諸国とイランの核開発、という形で拡大した。

こうした動きを受けて2003年9月、英紙ガーディアンで、サウジの最高レベルで①抑止力として核能力を持つ②防衛してくれる既存の核大国と同盟を組む③中東を非核地帯とする地域協定を締結する――の3つの選択肢から成る戦略案が検討中、と報道された。この報道の正しさは、2008年にサウド王家からも数人が出席して開かれた英国際戦略研究所(IISS)での中東の核開発に関するシンポジウムで確認された。

さらに、2010年の英王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)の研究会で複数の西側情報筋が「サウド王家はパキスタンの核開発計画の費用60%以下を負担、近隣諸国との関係が悪化した場合、5~6発の核弾頭をその見返りに得るとのオプションが付いている」との情報が明らかにされたという(ガーディアン紙)。 


CIAが非核を確認して引き渡し

サウジによる核兵器の運搬手段の入手については、近年になって次々と極秘情報が明らかにされた。イランに対する抑止力を示すため、サウジ側が情報を意図的にリークし始めたとみていい。

2014年1月、米週刊誌ニューズウィークで米中央情報局(CIA)に情報源を持つジャーナリスト、ジェフ・スタイン氏がサウジによる中国製ミサイル入手を暴露した。

それによると、サウジが1988年に極秘裏に中国から入手したのは中距離弾道ミサイル「東風3」(射程3300~4000キロ)。36~60基ともいわれる。東風3は1段ロケットで液体燃料式、命中精度が低い。

問題は、この事実を探知した米国の怒りを買ったこと。当時のロバート・ゲーツCIA長官(後の国防長官)はサウジ側に抗議した。

次にサウジが中国から調達したのは中距離ミサイル「東風21」(射程1500~1700キロ)。2段の固形燃料式で命中精度が向上した。スタイン氏によると、このミサイル入手に当たっては、CIAが仲介した。

サウジ側としては米国の了解を得る必要があり、米側としてはサウジの抑止力を強化する狙いがあったとみていい。

2007年当時のスティーブン・カッペスCIA副長官がCIA本部あるいは近隣のレストランなどで両国担当者と協議を重ねた。技術的な協議には、CIA側から分析官やCIAリヤド支局長らも加わった。中国から積み出された東風21ミサイルがサウジで荷揚げされると、CIA技術者が出張し、核兵器搭載装置が付いていないことを確認した上でサウジ側に引き渡したとしている。


「イランが持てばサウジも」

元CIA高官で国家安全保障会議(NSC)中東担当も務めたケネス・ポラック氏はニューズウィーク誌に対して、「1980年代から保有していた中国製ミサイルより射程が短く、核弾頭を入手しない限り、中東地域の軍事バランス上、あまり重要な意味はない」との見方を示している。

他方、ジェフリー・ルイス・モントレー国際問題研究所核戦略部長は「CIA技術者がチェックしたあと、核搭載用に改造された場合には、サウジは優位に立つことになる」との見方をしている。

しかし、その後サウジは戦略ミサイル軍を発足させ、リヤドでは同軍付属の士官学校も設置、専門的な訓練を行っているようだ。

2015年春、ソウルで行われた国際会議に出席したトゥルキ・ビンファイサル元サウジ総合情報局長官は記者会見で、「イランが保有するものが何であろうと、われわれも持つ」と発言、イランの核武装に対抗してサウジも核武装する構えを鮮明に示した。

2月5日付で米議会調査局が発表した「サウジアラビア:バックグラウンドと米国との関係」と題する報告書はトゥルキ氏が別の場所で行った、もっと詳細な、次のような見解を紹介している。

「パキスタンあるいは別の筋から核兵器を購入することはない。第1に、核兵器を売る国はない。第2に、在庫の核兵器を買って『この核兵器を持って帰る』などということはあり得ない。どこに格納するのか? 誰が扱うのか? 誰が守るのか? 核兵器を取り扱う総合的なインフラが必要だ。パキスタンから買うという単純なことではない。サウジはそんな選択肢を決して検討してはいない」
この発言から、サウジが核保有のための総合的な核武装の体制整備を検討していることが確認できた。戦略ミサイル軍もその一環だろう。


サウジとパキスタンの合意とは

サウジ側はこのようにパキスタンからの核兵器入手について徹底的に否定し続けている。

しかし、米情報コミュニティは、そんな建前を信じてはいない。ホワイトハウスの元核不拡散対策担当調整官ゲーリー・セイモア氏は2013年当時、英BBCテレビで「サウジ側は、極端な場合にはパキスタンから核兵器を請求できることでパキスタン側の了解を得ている、と確信していると思う」と語っている。やや回りくどい言い方だが、サウジとパキスタンの間には何らかの核合意があり、今もその合意は生きていると米国はみていることが分かる。

北朝鮮が核実験と事実上のミサイル発射を繰り返す裏には、中東への売り込みの意図もあるかもしれない。ネオコン系の米誌ナショナル・インタレストは電子版で「究極の悪夢:北朝鮮がサウジに核兵器売却も」と伝えた。しかし、サウジは米国の同盟国であり、北朝鮮の売り込みは容易ではない。いずれにしても、米国は「サウジの核」にどう対応するか。難題である。」

http://www.huffingtonpost.jp/foresight/saudi-arabia-nuclear-armed_b_9248640.html?utm_hp_ref=japan-world

【報告】2/7武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)発足集会/ちきゅう座

2016-02-20 15:55:02 | 軍事
「10日ほど経ってしまいましたが、2月7日に開催した「武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)」発足集会のご報告です。

さる2月12日の夜にフジテレビで放映された<池上彰緊急スペシャル>「なぜ世界から戦争がなくならないのか」は、武器輸出や軍産複合体、民間軍事会社、戦争広告代理店などをわかりやすく解説した力作でした。こうしたテーマへの関心が徐々に高まっているように感じます。

NAJATはいよいよこれから、進行する武器輸出=戦争加担を本当に止めるために、具体的な活動を展開していきます。ご注目とご協力、そしてご参加をよろしくお願いします。後ろに賛同の呼びかけも付けていますので、ぜひ応援してください。

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【報告】武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)発足集会 「Made in Japanの武器はいらない」 http://bit.ly/20GdQnE

2月7日午後、東京・北とぴあドームホールで武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)の発足集会を行ないました。参加者は222人以上と関心の高まりが感じられました。

奈良本英佑さんによる主催者あいさつの後、3人が講演。まずNAJAT代表の杉原浩司は、「武器輸出のキーマンである堀地徹(ほっちとおる)防衛装備庁装備政策部長の名前を覚えておいてほしい。彼は2014年パリの武器見本市で「(イスラエルの)機体と日本の技術を使うことでいろいろな可能性が出てくると思う」と述べた。イスラエル軍が2000人以上を虐殺したことを知らないのか。猪口邦子軍縮大使(当時)が小型武器軍縮会議の議長時代、「モラルハイグラウンド」(道義的高み)と誇ったが、今や「モラルハザード」だ。当面、米国の後押しを得て仏独と競い合うオーストラリアへの潜水艦輸出と、露骨な殺傷兵器である空対空ミサイル「ミーティア」の日英共同研究(三菱電機が参加)を食い止めたい」。

池内了さん(宇宙物理学者)は、「「軍学共同反対アピール署名の会」を作り、署名運動をしている。2015年に防衛省が始めた「安全保障技術研究推進制度」は軍学共同の具体的バージョンだ。この軍事研究公募に参加する豊橋技術科学大学は、学長が日本学術会議の大西隆会長であり、学術会議の存在自体も問われている。また、理研やJAXAなど日本を代表する大研究機関が平気で軍事研究に手を出している。「科学技術の発達」「デュアルユース(軍民両用)」「防衛のため」などが軍事研究に手を染める言い訳になっている。「選択と集中」政策の強化の中、研究費不足から軍事研究になびいている。「研究者版経済的徴兵制」だ」。

古賀茂明さん(元経産省職員/フォーラム4)は、「秘密保護法は戦争するための法律。情報が嘘でも、最長60年間秘密にできるので「自分は責任取らなくていい」となり、戦争するハードルがものすごく下がる。また、検討途中の役所情報は秘密保護法ができる前からほとんど隠せる。情報公開法の改正が必要だ。フランス製戦闘機ラファールが2015年になって急に売れ始めた。「なぜ急に?」と聞かれたフランス国営テレビのレポーターは、後ろめたい感じもなく「やっぱりアフリカや中東で空爆をやって実績を見せましたからね」と答えた。製造するダッソー社の従業員もみんな喜んでいた。庶民が喜ぶようになると歯止めがなくなる。いずれ、「人が死なない戦争が起きればいい」と戦争を欲する人が出てくるだろう」。

パネルディスカッションでは、望月衣塑子さん(東京新聞経済部記者)が現場取材を踏まえて報告。「防衛省の研究公募に通った研究者に話を聞いたが、「基礎研究だから」「守る技術にしか適用できない」と説明し、「選り好みしている場合ではない」とも話されていた。しかし、防衛省の本音は、有事の際に攻撃を含めて優位に立てるかにある」。池内了さんは、「軍学共同の基本的問題は研究者の倫理観にかかっている。誰のための、何のための研究か、常に原点に立ち戻るしかない」「学生は軍事研究が人殺しにつながるときちんと話せば分かってくれる。軍事研究の問題を倫理教育の一環としてやるべき」と発言。

古賀茂明さんは「官僚が守りに回るようになってしまった。武器輸出は大きな利権に発展する可能性があり、天下りが堂々とできるようになる」「官僚も弱い人間。倫理観への期待は無理だ。いい事をすると出世する仕組みづくりと、仕組みを作り人事権を持つ政治家を選ぶことだ」と指摘。

連帯アピールでは、浜田盛久さん(軍学共同反対アピールの会)が、「科学者だけでは日本の軍事化の波に抵抗するのは難しい」として、オンライン署名運動を呼びかけ、集約して学長に届けると述べました。塚本美季さん(安保関連法に反対するママの会)は、「夢一杯の息子の未来に恨みをかう武器輸出は必要ない。子どもたちの命を犠牲に成り立つ経済成長を、見て見ぬふりでやり過ごす操り人形にはなりたくない」と強調しました。

内海旬子さん(NGO非戦ネット、JIM-NET)は、現場で会ったシリア人が「どうしたらシリア紛争は終わると思いますか?」との質問に「誰も武器を持ってこないことだ」と答えたことを紹介しました。

千葉泰真さん(SEALDs)は、「武器輸出ではなく反戦をビジネスにしよう。この国に根付いた戦後ナショナリズムは、日本国憲法を基調とした反戦平和のリベラルなナショナリズムだ」と述べました。

最後に、運営メンバーから5人が、軍需企業めぐり、企業への不買を含むキャンペーン、武器見本市への対抗アクション、選挙とメディアへの取り組み、ロゴマーク入りシールやタグ、バッジの活用などを提案しました。

大勢の方にご参加いただきありがとうございました。ご足労頂いたにもかかわらず、満員のため会場に入れなかった方には大変ご迷惑をおかけしました。今後、具体的な取り組みを通して、武器輸出にしっかりと歯止めをかけていきたいと思います。

◆さらに詳細な報告はこちらから(ぜひご一読ください)
http://bit.ly/1QD8lAP

http://chikyuza.net/archives/60464

イランはパレスチナ、レバノン、シリア、イラク、イエメンに強力な基盤を築いた/メリム

2016-02-17 14:10:44 | 軍事
「イランはパレスチナ、レバノン、シリア、イラク、イエメンに強力な基盤を築いた
―革命防衛隊サラミ副司令官の証言―
2015年12月16日、マシュハドで第2回バシジ最高会議が開催され、席上イスラム革命防衛隊副司令官サラミ(Hossein Salami)が、シリアに対するロシアの武力介入に伴う中東の地政学的変化を論じた。サラミは、イランが中東で勝利し、〝後裔〟即ちイラン革命の使節が東地中海沿岸に存在することを強調、イランはパレスチナ、レバノン、シリア、イラク及びイエメンに強固な基盤を築いていると述べた。更にサラミは、イランの敵が進退きわまった状態にあると指摘した。彼によると、トルコは地域に覇を唱えようとしたが、その国境から10メートル先にすらインパクトをおよぼすこともできない。サウジアラビアの政策は、イエメン、イラクそしてシリアで後退を重ねるばかりである。アメリカは、中東における影響力の大半を失い、今は只の参加者になってしまった。サラミは、友人を含むイランの力があったからこそ、イランの核交渉チームは交渉を有利に進めることができた、と言った。次に紹介するのは、副司令官の演説内容である※1。


写真①サラミ革命防衛隊副司令官(Image: Tasnimnews.com)

トルコ、サウジ、アメリカを批判する革命防衛隊副司令官

「イスラムが勃興する度に、多神教者とイスラムの敵は、神の宗教に対して武力で攻撃してくる。しかし、このような妨害があるにも拘わらず、イスラムはジハードの道をしっかり固め、影響圏をひろげ、衝撃域を拡大している。

イスラムを広げたのは、アブ・タリブ(Shaab Abi Taleb) の時代経済制裁を経験し、ムハンマドと共にメッカからメディナへ移住した人々であった※2。イスラム世界域で起きた大規模戦争は、いずれも、イスラムの運命を変えるのを目的としていた。ムスリム打倒の戦争は、ヨーロッパで計画されることすらあった。

イスラム革命の勝利の時(1979年)から、アメリカとシオニスト政権は、14のムスリム国を打撃した。アメリカ単独でもムスリム7ヶ国を攻撃している。しかし、神の恩寵とホメイニ師時代と最高指導者(ハメネイ)時代の(指導者の)祝福を得て、イランはイスラム共和国にたいする敵の戦略の裏をかいたのである。(イランに対する)武力封鎖のピーク時にことごとく破砕したのは、まさに芸術的であり、神業といえた。敵の火砲がアフワーズその他の諸都市を狙っていた。勿論、イスラム世界の政治地図からイスラムと呼ばれる概念を抹殺するのが狙いであった。しかし、イスラムそして革命が、戦場の状況を変えることができたのである。

今日、我々の行動半径がどうなっているのか。東地中海沿岸に我革命の子供達がいて、この地域の状況をモニターしている。列強がつくりあげた秩序は、完全に崩壊した。紅海、地中海、レバノン、シリアそしてバーレーンは、(かつてアメリカの影響力にあったが)、最早その状態にない。彼等(アメリカ)は広大な地域を失った。今日我々は複雑な展開に直面している。しかし我々は、その状況展開を研究すると、神の御加護があることを認識するのである。勝利は我々の手にある。

我々に歯向かってくるすべての敵には、共通点がある。全員が戦略的な行き詰まりに逢着し、今後自分達の政策をどうしていいのか判らずに、うろうろしている。まさに低迷状態である。トルコを見るのがよい。この国は地域大国として振舞いたいのだが、国境から10メートル先に対してすら、何のインパクトも与えることができない。環境がととのった、役割の拡大とその行使の時がきていると判断したのであろうが、5年間財政、政治及び経済上いろいろやってはみたが、どの分野でも全然成功していない。トルコは戦略的な能力がない。きらびやかな軍隊を以てしてもそうである。威張ったり威嚇したりするのは、アメリカのうしろ盾があってのことである。恰好のよい兵器を揃えたきらびやかな軍隊をもっているが、クルド族ともまともに戦えないのである。

サウジアラビアはどうか。これもアメリカの力に頼っている。イスラム国イランは急速に拡大し、巨大な力を(イランの)国境を越えた地域に築きあげた。パレスチナ、レバノン、シリア、イラクそしてイエメンに築いたのである。地図でイランの勢力と傲慢野郎(アメリカ)の展開との拮抗状況を見れば一目瞭然である。イランがアメリカにその戦略を変えさせたことが判る。

サウジアラビアは、イエメンで戦うため原油価格を35ドル/バレルでとめた。しかしサウジは、そのイエメンでも足をとられてしまった。イエメン域は、サウジにとって泥沼と化し、そこにはまりこんで身動きできないのである。(サウジの)政策はイラクとシリアでも破綻した。我等の聖なる体制との代理戦争でイスラム世界に覇を唱えようとしたが、残念ながらそれで終りである。彼等はガラスの城に住んでいる。我々とはタフな領域で戦うことができない。原油価格は安くなるばかりで、サウジが一番大きい損失をこうむった。財源は劇的に少なくなっている。

アメリカはどうか。IS(イスラム国)の力が増大し、アメリカの大きい脅威になっている。アメリカはISを攻撃する。しかるに我々がISを攻撃すれば、アメリカはISを支援する。面白い構図ではないか…シリアにおける(アメリカの)戦略は、彼等にとって重い問題になってしまった。アメリカは、アサド大統領が地位にとどまるべきかそれとも退陣すべきか、判らない。イラクの関しても然り、アメリカはとどまるべきか撤収すべきか迷っているのである。

アメリカは只の参加者になってしまった。我々は、彼等の活動を分析している。その地上部隊は強くない。この領域における(武力)のバランスは我々に有利である。イニシアチブをとれる者が政治領域で力を得る。これは、核の交渉で証明されている。(イラン・イスラム)革命の子供達が、抵抗枢軸のなかで極めて強大な力をつくりあげ、イランの核交渉団に交渉の場で援護射撃をしてくれたのである。

テロリストとその支援者は、誰かが預言者ザイナブ※3を殴れた時代は終ったことを、知る必要がある。そのような奴は我々が八つ裂きにしてやる。我々が許さない」。

※1  Tasnimnews.com/fa/news, 16 December, 2015.

※2 アブ・タリブは―預言者ムハンマドの叔父でアリーの父親。アリーはシーア派の教えによると、ムハンマドの正統な後継者―若い頃のムハンマドの保護者として行動した。ムハンマドがイスラムの伝道を始めると、クライシュ族の偶像崇拝者達が、アブ・タリブとその一族との商取引をボイコットすべく、ほかの部族を糾合した。

サラミは、歴史上の類似性を引合いにだして、〝経済制裁〟に苦しんだ初期ムスリム(シーア派にとって重要性のあるアブ・タリブを強調する)と、今日経済制裁をうけたシ      

ーア派のイランを、同列におくのである。

※3 アリー ・イブン・タリブの娘で預言者ムハンマドの孫娘である人物をさしている、と考えられる。ダマスカス近郊にあるその墓は、シーア派にとって重要な巡礼地である。」

http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=SP630416

ロシア S-400 対空ミサイルシステム

2016-02-01 13:27:32 | 軍事
「アカデミー会員 A・A・ラスプレーチン記念「対空防衛コンツェルン『アルマース=アンチェーイ』」主要システム設計局(ロシア語版)により、従来の長射程高射ミサイルシステム(コンプレックス) S-300 の改良型として開発された。ロシア連邦軍が最初に採用している。以前は S-300PM3 (С-300ПМ3)もしくは S-300PMU3 (С-300ПМУ3)として知られていた。

このミサイルシステムは性能で従来のS-300シリーズを凌駕し、またアメリカ合衆国のパトリオットミサイルに比べ少なくとも二倍の射程距離を誇るとも言われている。

ロシアの資料によれば、S-400は400km先の六つの目標に対する同時処理能力を有しているとされる。
さらには高次元の対ステルス戦能力も備えているとされる。

S-400はS-300Pシリーズ用のミサイルが運用可能の他、9M96系列、48N6系列、40N6という3種類のミサイルを運用する。

9M96系列は短~中距離用で、元はS-300PMU2用に開発されたもので、弾道ミサイルへの限定的な対処能力がある。9M96E1と9M96E2があり、9M96E1は重量333kg、射程40km。9M96E2は重量420kg、射程120km。小型で48N6用キャニスター1本に9M96が4本入る。パトリオットミサイルPAC-3と類似点が多く、サイドスラスターを装備しており目標突入時にサイドスラスターの噴射で弾体を直接制御するモードを備える。

48N6系列は中~長距離用で、最新型の48N6DMが開発されている。
40N6は長~超長距離用で、超水平線(OTH)攻撃を可能とするセンサーとデータリンクシステムを搭載し、航空機、巡航ミサイル、そして弾道弾迎撃ミサイル制限条約の効力で縛られるため限定的だが、射程3500km、秒速4.8kmまでならば弾道ミサイルにも対処可能である。

S-400は将来的には2012年に完成が期待されるS-500シリーズに代替される可能性がある。

S-400システムの開発は1990年代末から開始された。ロシア空軍による正式発表は1999年1月。同年の2月12日にアストラハンのカプースチンヤールで行われた初試験が成功。この成功によってS-400は2001年の配備が決定した。

しかし同年、計画は事故により延期に直面する。2003年に配備への準備が整ったと明らかにされたが、しかし八月に二人の上級参謀によってS-400は陳腐化したS-300Pを用いた試験ではまだその段階には無いとの発表がなされた。

最終的に、開発終了は2004年2月だとされる。また同年4月に新型迎撃ミサイル48N6DMを用いた試験で弾道弾迎撃に成功した。

報道によれば、標準的なS-400装備の大隊は8機の発射機と32発のミサイル、移動司令部から構成される。将来的には23個師団にそれぞれ8から12機のS-400を2015年までに調達すると計画されている。

2007年5月21日、ロシア空軍は7月よりS-400をモスクワと中央ロシアへ実戦配備すると発表した。さらに情報では、詳しい配備場所はエレクトロスターリ近郊だと言われる。

2007年8月6日、ロシアのテレビ報道はS-400を装備した最初の連隊がモスクワ州のエレクトロスターシ近郊で活動を開始したと報じた。ロシアの情報では、この連隊は特別目的コマンド(Special Purpose Command)、第1防空軍軍団、第9防空軍師団、第606"ゼニス"ロケット連隊であるとされ、モスクワと中央工業地帯の防衛を担っている。

2008年2月8日、Vladimir Sviridov中将はロシア軍は北西においてS-300をさらに進化したS-400で代替すると発表した。これはロシアは彼らの弾道ミサイル防衛システムの主要要素を2020年ごろまでS-400に担わせることを計画していることを意味した。

S-400の簡略化版も輸出市場を狙っており、伝えられるところでは中国がすでに5億ドルを費やしたとされる。また、中国が開発計画の一部を担う可能性もあるとも報告されている。ロシアはアラブ首長国連邦とギリシャにも購入を打診した。また、イスタンブルで開かれた第9回国際防衛産業フェアにおいて、トルコも購入に意欲を見せたとされる。

イランのような国がこのミサイルの購入に意欲を見せることはアメリカの注意を呼ぶ。下院国家会議副議長ウラジーミル・ジリノフスキーは最優先でS-400をイランへ輸出することを促した。このようなモスクワとテヘランの関係を強化するように見える動きに対しワシントンは対応に苦慮している。

韓国はアルマズの支援を受けCheolmae-2と呼ばれるS-400の簡易版の開発を行っている。Cheolmae-2はアルマズ製多機能X-バンドレーダー車両、指揮管制車両、韓国版"9M96"ミサイルを装備した複数のTEL車両から構成される。主契約者はサムスン電子とタレス・グループの合弁会社サムソンタレス。

2009年3月17日、RIAノーボスチはロシアがS-400を数年以内に輸出することは無いと報道した。また翌日にはベラルーシが二個大隊分のS-400システムの輸入を正式に要請していたと報じた。

インドやイランがこのミサイルの購入に興味を示しており、トルコでは長距離対空ミサイルの選考においてS-400とパトリオット PAC3を比較し2010年に決定するとされる。
2009年8月26日、ロシアの高級将校は北朝鮮のミサイル実験への対抗処置としてロシア極東にS-400を配備すると発言した。
最近の報道では20億ドル分の輸出契約がロシアとサウジアラビアの間に成立したとされる。この契約の元、少なくとも8機の発射機と32発のミサイルが購入された。

S-400は400km先の空中目標の迎撃を想定している。
弾道ミサイル防衛能力は弾道弾迎撃ミサイル制限条約によって制限されるギリギリの能力を有する。
ロシアの軍事情報に精通するCarlo Kopp氏はS-400の先進的なレーダーシステムは低RCS目標へも十分な性能を有すると主張している。
レーダー探知距離は将来的に500~600kmへもなるとの説もある」

https://ja.wikipedia.org/wiki/S-400_(ミサイル)

シリア戦争はロシア製兵器のショーケース ―兵器商談を進めるロシア―

2016-02-01 12:15:57 | 軍事
「シリア戦争はロシア製兵器のショーケース
―兵器商談を進めるロシア―
ロシア防衛産業の諸企業は、楽観主義にひたりながら2016年を迎えた。契約額は優に500億ドルを越え、シリアにおける軍事作戦は、ロシア製兵器の宣伝にはまさにうってつけである。

先週、評論家サフロノフ(Ivan Safronov)が、ロシアのコメルサント誌(Kommersant-Dengi)で、新しい年の兵器輸出に影響する内外の(経済)ファクターを分析、2016年にロシアから兵器を調達する国と調達額について予想した。

次に紹介するのは、中東を含む各地に売り込まれるロシア製兵器の実態。サフロノフの記事である※1。

S-500ミサイル(Source: Indiandefense.com); スホイSU-27SKM(Source: Airliners.net)

…ロシア連邦軍事技術協力局(MTC)によると※2、過去11年の間にロシア製兵器の輸出は50億ドルから113億ドルに増加した。まさに劇的な増加である。しかしながら、ロシアが60ヶ国ほどと兵器の売買契約を持つとはいえ、主要な取引先は5ないし6ヶ国である。2015年の売上実績は公表されていないが、我々は、12月1日の時点で116億ドル分の軍事機材が輸出されたことを、知っている。これから輸出される契約分は、570億ドルもある。

MTC関連のコメルサント誌(Kommersant-Dengi)資料によると、2015年にロシアの兵器産業は、アメリカとNATOから極めて不公平な輸出競争をいどまれ、政治的意図を以て排除される事態にも直面した。それと同時に、ロシアは厳しい経済的苦境に陥った。MTC筋によると、モスクワはこれまで相手国に多額のローンを与えることができた。例えばベネズエラに対しては、2005年―07年に40億ドルの兵器契約で20億ドルのローンを与えている。しかし現在は、経済的苦境のため、ローンを提供することが極めて難しく なっている。一方、米ドル及びユーロに対するルーブルの交換レートがさがって、輸出上は有利となった…現在ロシアは、いくつかの兵器市場でサービスも提供しており(例えば売却後の保証)、更に顧客のニーズに応じた兵器の体系化も提案している。

サウジアラビアにくい込むロシア

軍事技術分野における対外協力は、随分前から実施されている。ロシア・インド間の協力は、特別のレベルにある。ロシア製兵器の契約の3分の2は、毎年インド側とかわされているのである…今年もインドとの広範囲な軍事分野の契約交渉が続けられる。特に注目すべきものに、最新式C-400地対空ミサイルシステム、ジーゼル発電式潜水艦2隻、軍用輸送ヘリ48機が含まれる。更に別の案件もいくつか交渉が進められている。インドの2隻目の原子力潜水艦(アクラ級、プロジェクト971)のリース契約、スホイSU-30MKI戦爆機の購入契約等がある。ロシアとインドは第5世代戦闘機(FGFA)の共同開発に関しても話合いを続けている。

アルジェリアとの軍事協力も疑いなく続いていく。両国の協力は2000年に始まった。当時のブーテフリカ大統領(`Abd Al-`Aziz Bouteflika)がロシア製兵器の取得を希望し、60億ドル分の契約を結んだのである。…ロシア国防省幹部によると、シリア作戦でSU-34戦闘機の性能が実証され、これがアルジェリアに強いインパクトを与え、同国がロシアとの軍事協力を継続する決断に影響した。MTCに関するプーチン大統領アドバイザー(Vladimir kozhin)は「ロシアの兵器産業に対する関心が各地にひろがりつつある」と述べ、これまでロシアと軍事協力のなかった諸国でも、ロシア製兵器に対する関心を強めている、とつけ加えた。

イランとの軍事協力に関しても、期待が持たれている。5隊分のS-300PMU-1地対空ミサイルシステムの引渡し契約にからむ問題は、解決した…MDT筋によると、イランに対する兵器輸出は大きい潜在力を有する。イラン制裁が解除され、兵器輸出の劇的増加が機体されている。戦闘攻撃機、防空システム、海軍用兵器の需要が極めて高い。イランが境界防衛に力を入れているからである。

ロシア兵器産業界の首脳によると、現在の中東紛争が、ロシア製兵器の劇的需要をひき起す。サウジアラビアは、アメリカ及びNATOとの軍事協力をベースとしている。しかし最近になってサウジは、ロシアのミサイル艇、沿岸警備艦、中距離上陸用舟艇に関心を持つようになった。Kommersant-Dengi筋によると、ロシアは近く訪ロ予定のサルマン国王に100億ドルの兵器取引を提案する。それには航空機材、数タイプの防空システムが含まれる。

2016年、エジプトに対するAntey-2500システム※3の供給(35億ドルの契約)は、主要構成部分の引渡しが完了する。新しくMIG-46戦闘機46機の契約(20億ドル)が調印される。

C-400地対空ミサイルシステム(4隊分、19億ドル)を最初に取得したのは、中国であった。その中国は、2015年に戦闘機24機の契約(20億ドル)をロシアと結んだ。

Rosoboronexport※4に近い筋によると、ロシアはアジア太平洋地域(インドネシアとマレーシア)に重点をおく。支払い能力のあるアフリカ諸国(アンゴラ及びウガンダ)に対する交渉も進める。MTC高官によると、2016年の兵器輸出は、140-150億ドルはくだらない。いくつか交渉がたとい失敗し、内外のネガティブな動きで阻害されても、その程度の額は確保される。

※1 2016年1月26日付 Kommersant.ru

※2 兵器輸出分野における外交政策実施担当の政府機関。

※3 Antey -2500は対弾道ミサイル防空システムAlmaz-antey.ru

※4 Rosoboronexportはロシア技術機構の一部で、兵器及び軍民用機材、技術の輸出入及びサービスを担当するロシア唯一の仲介機関。」

http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=SP627916

空自と英戦闘機部隊 今秋にも共同訓練へ/NHK

2016-01-31 16:29:47 | 軍事
 こうやって戦闘のしかたを勉強、というより思い出していくのだろう。

 イギリス人は植民地の分割支配で有名だが、未だにそれを世界で展開している。

 インドとパキスタン。

 中東の分断。

 チベット。

 そして日本と中国。


「防衛省は、イギリス空軍の戦闘機の部隊を日本に初めて招き、ことし秋にも航空自衛隊との共同訓練を実施することにしていて、中国が海洋進出を強めるなか、東アジア地域でイギリス軍との連携を強化するきっかけにしたい考えです。

中谷防衛大臣は今月上旬、日本を訪れたイギリスのファロン国防相と会談し、ことし中に、イギリス空軍の戦闘機「ユーロファイター・タイフーン」の部隊を日本に初めて招くことで合意しました。これを受けて防衛省は、ことしの秋にも、航空自衛隊との共同訓練を実施する方向で調整を進めています。

防衛省の担当者は「同じ価値観を共有するイギリスが、東アジア地域での存在感を高めれば、海洋進出を強める中国へのけん制にもなる」と話しており、この共同訓練の実施を、東アジア地域でのイギリス軍との連携を強化するきっかけにしたい考えです。また、実戦経験が豊富なイギリス空軍との訓練は、航空自衛隊の能力強化にもつながるとして、今後、具体的な実施時期や地域について調整を進めることにしています。」

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160131/k10010392181000.html

辺野古代執行訴訟 破綻した国の「継続性理論」

2016-01-29 16:18:25 | 軍事
「 昨年12月20日、私は沖縄タイムス「行政の継続性 国の切り札」の中で、国の主張は「時代錯誤」とし、県との間で本格的な法廷論争を期待すると記した。というのも、国側の訴状を見れば明らかなように、国側は今回の代執行訴訟における主要争点を二つに限定している。

 (1)翁長知事が仲井真前知事の埋め立て承認を取り消したことは、「行政の継続性」(以下、公定力)を破壊するもので、明らかに違法。

 (2)埋め立てについて仲井真前知事の承認は正当・合法である(埋め立て論争)。

 注意しなければならないのは、国側はこの二つについて、並行的なものではなく、(1)が主要論点であり、(2)は付随的なもの、つまり、前者を判断すればもう後者は審理するまでもなく、国側の勝訴は明らかであると主張しているということである。

 この国側の自信のほどは、県側が複数の証人申請を行っているのに対し、国側は全く証人申請を行っていない、という事実からも推測されよう。つまり、軍事基地優先か、それともジュゴンの保護が重要かの優位性を証明するには多くの専門的な証人や証拠が必要となるのに、これをほとんど無視しているのは、公定力の理論一つで勝てるともくろんでいるとみてよいのではないか。

 先の紙面ではこの公定力について詳しく触れることができなかったので、今回はこの公定力とはいかなるものか、「学説」(判例の検討は別途行う)を中心にして検証を行い、国側の論理破綻を指摘したい。


■国側の主張する「公定力」とは何か
 国側の訴状によれば


 「行政処分はそれが仮に違法であったとしても、無効の場合は別として、取り消し権限あるものによって取り消されるまでは、何人もその効果を否定することはできない」というものであった。


 その上であえてそれを取り消す場合には


 「処分の取り消しによって生ずる不利益と、取り消しをしないことによる不利益を比較衡量し、しかも該処分を放置することが公共の福祉の要請に照らして著しく不当であると認められるに限り、これを取り消すことができる」(最高裁判所昭和43年11月7日判決)というのである。


 この主張を簡単に解説すると


 (1)前知事の処分には公定力がある。したがって原則として取り消すことができない。

 (2)翁長知事はあえてこれを取り消したが、この場合、二つの要件を満たさなければならない。

 ・取り消すことによって得られるもの、大浦湾(辺野古湾)の環境回復は、軍事基地を造るよりもはるかに価値がある。

 ・このまま埋め立てを続けることは、県民・国民の幸福(公共の福祉)にとって著しく不当である
 (3)一方、国側は翁長知事の取り消し処分は(1)と(2)に違反している。なぜなら、軍事基地の建設は、日本とアメリカの長年の検討の結果であり、これを中止させることは、双方の「国益」を失う。そもそも辺野古移設は、普天間基地被害を解消するためのものである。すでに辺野古基地建設のため莫大な費用(税金)が投入されている。これらと比較すると大浦湾の保全の価値の利益は問題にならないくらい少ない。


 付け加えれば、このような「利益考量」を行えば、埋立が合法か違法かなどという論は、無意味なことであり、仮にそれが違法だったとしても、あくまで軍事基地の建設は必要で、取り消すことは認められないというのである。

 しかし、誰が見ても、埋立が「違法」であっても、軍事基地が認められるというのはおかしい。なぜこのような理論が通用するのか。これがこの代執行裁判の大きな特徴であり、マジックなのである。


 これまで、市民が国や自治体を被告とする行政裁判は、全国で山ほど行われてきた。もちろん、この公定力をめぐる裁判例も若干ある。しかし、今回のように国側が自治体を相手に真正面から公定力を論じるのはおそらく史上初めてである。

 少し皮肉っぽく言うと、国側にとっても高等裁判所裁判官の人事あるいは国側代理人の最強メンバーの編成という舞台装置の整備と並んで、このような大上段の理論武装をしなければならないほど、今回の裁判は史上かってない「大裁判」だということなのであろう。


 では学説はこの公定力はどのように説明してきたか。国がその震源として挙げたのが「行政学の父」としてのドイツの行政法学者オットー・マイヤーである。

■「公定力の震源」 オットー・マイヤー

 オットー・マイヤーは、今からほぼ100年前、立憲君主制を背景とするプロイセン憲法(1850年)、ビスマルク憲法(1871年)、そして当時世界で最も進歩的、自由主義的・民主主義的な憲法といわれたワイマール憲法(1919年)の体制下で「行政権」を研究。ドイツ最大の「論理的教条主義者」といわれるようになった。

 彼の学説は、その後も、ワイマール憲法とは正反対のファッシズムを構築したナチス憲法(1933年)の下でも揺らぐことなく、君臨し生き続けた。ここから有名な「憲法変われど、行政法変わらず」という格言が生まれている。

 それでは、マイヤーの行政法はどのようなものであるか。

 端的に言うと、

・行政権は本質的に「偉大なる事実としての国家」に源泉を持つ万能なものである

・だが、それはあくまでも「法規」のもとにあり、その中で、行政権の優越的地位に基づき、国民を支配する。

 この理論は、一方で立憲君主制の中では「法規」の名前で「君主」の裸の権力による暴走を抑え、他方でナチズムの下では国民の権利を守るために機能したといわれる。

 「公定力理論」はこのような全体の脈絡を背景に、行政権の神髄を語る骨太な理論として構築された。

 「行政処分は、権限ある行政庁が公益のため、自ら適法なものと確認して行う国家権力の発動であるから、裁判所の判決と同様、それ自体権威を有し、適法性が推定される」とする。

 そしてこの理論は、国側は戦前の美濃部達吉によって紹介され、戦後も田中二郎、塩野宏、そして、藤田宙靖など名だたる行政法学者(最高裁判所判事や文化勲章受章者など)に受け継がれてきたとし、これを、今回の代執行裁判で、最も早くかつ簡単に勝てる議論として、訴状の冒頭に持ってきたという次第である。



■公定力理論の変化

 しかし、現代日本は「立憲君主制国家」ではなく「国民主権の近代国家」である。国家の思想も制度も180度変わった。

 オットー・マイヤーの行政法はプロイセン憲法時のものであり、ここでの国家体制は「君主」が頂点にある。日本はこのプロイセン憲法をモデルに明治憲法を制定したが、君主は日本の場合「天皇」であった。明治憲法によると「天皇イコール神」であり、行政は神の僕として、神の言葉にしがって仕事を行う。それは「権威」あるものであり、原則として誤りはない。それゆえ、国民の行政に対する異議申し立ても厳格に制限される。このような体制の下では、マイヤー行政法の導入もある意味で至極自然なことであり、この行政法が天皇体制を支えた。

 しかし、昭和憲法の制定は革命的なものであった。権力者は、天皇から国民に転換されたのである。行政権は「偉大なる事実としての国家」から演繹されるものではなく、主権者たる国民から信託されたのである。行政権は、天皇ではなく内閣に属するものであり、かつ三権分立のもと最高で唯一の国会のコントロール下に置かれとして具体化された。そして、行政は国会の定める法律を実施するだけでなく、国民に対し、情報を公開し、裁判を含めて、様々な異議申し立てや参加を許容しなければならないとされるようになったのである。

 明治憲法から昭和憲法への転換はいわば「革命」とでもいうべき根源的な価値観の転換であり、マイヤーからみても、ワイマール憲法およびナチズム体制をもはるかに超える事態が出現している、と認識され納得されたであろう。したがって、このような行政をめぐる環境の大きな変化は当然のことながら「公定力理論」にも大きな変化を生み出す。



■公定力理論の終焉

 つまり、行政は、もはや「権威の象徴」ではなく、国民の信託の下での代行者である。また、行政行為は、裁判所内部での異議申し立てしか認めない「判決」と同じようなものではなく、いつでも、誰でも、どこでも、異議を申し立てることができる「意思表示」の一つとして考えなければならない。さらに「違法ではあっても取り消されるまで有効」というような不可侵で永久不変なものではなく、適宜、修正されたり、撤回されたりしなければならない。

 もちろん、行政の意思表示は、私人と私人との個別的な意思表示と異なり、一方的に、一度に多くの国民を対象として行われることがある。

 道路建設を一つの意思表示としてみると、計画決定から事業決定、土地収用などへというように「連続展開」し、さらには民事や刑事裁判と異なって、行政に独特な行政不服申立・行政事件訴訟法があるなど、通常の市民間の意思表示とは異なる部分も多く持つが、国民の信託に基づき、それは適宜修正されなければならないという本質は変わりないのである。

 これは、行政の今日的な実態をみればさらに説得力を増す。

 日本では戦後高度経済成長以降、行政は従来の消極的な権力行政(軍隊・警察そして税と個別的な許認可など)の執行から、福祉・公共事業、国際的な対応などへと国民の生活に全面的かつ広範囲に介入するようになった。それこそ、朝起きて就寝するまで、水道、電気、交通、教育や労働、介護、保険、そして医療から葬儀まで「行政」なしには、一日たりとも過ごすことができない時代となっているのである。

 ここではそれぞれの行政には触れないが、行政の仕事は、時代の変化を受けて変転極まりなく、絶えず「変化と修正」の連続を不可避としている。「違法であっても取り消されるまでは有効である」というような行政の固定化は、行政だけでなく、国民の生活全体を窒息させてしまうだろう。変転し、絶えず修正される行政には「間違い」も必然であり、国会・国民はもとより、内閣も既存の行政について絶えず、時代や国民の要望に応えて点検していかなければならないのである。

 重要なことは間違いを認めないことではなく、間違いを犯した場合の被害者に対する損害賠償などをルール化したうえで、直ちに修正することである。このような行政の実態と考え方は、公定力論に関する「学説」にも変更を迫るであろう。

 国側の引用した学説は、古くは明治憲法下のものから、戦後初期から中期にかけての学者のそれが多く、そこには残念ながら、ここまで見てきた行政概念の転換は、充分には反映されていないようである。

 現にそれ以降の学者、例えば桜井敬子・橋本博之著「行政法」(第4版 弘文堂、2010年)は「公定力の根拠」として

 「かっては、行政行為には適法性の確定が働くからであるという説明がなされた。この見解は、国家は正しい処分を行うものである公権力に対する信頼が背景にあり、一種の権威主義的な考え方があるといえる。

 しかし、行政が行う判断が正しいという論理必然性はなく、今日、このような国家権力に対する権威主義的な考え方を維持することはできない。現在、公定力は、過去の行政法理論の延長上に、脆弱な根拠に基づいてかろうじているにすぎない」

 と断言していることに、注目すべきであろう。

 公定力理論は破綻したのである。

■二重効果論と利益衡量

 公定力理論の終焉は、オットー・マイヤーの「憲法変われど、行政法変わらず」ではなく、「憲法変わり、行政法も変わる」によって生まれた。そしてそれは国側の公定力論だけでなく、それに引き続く「利益考量論」にも変化をもたらす。

 そこでもう一度、国側の利益考量論を復習しておくと、原則、仲井真知事の処分は取り消せない。やむを得ず翁長知事がこれを取り消す場合には、取り消したほうが圧倒的に国民の利益になる、ということを証明しなければならない、というのであった。これについて国側は、軍事をめぐる日米双方の国益を筆頭に置き、これに勝る価値はほかに存在しない、としていた。

 しかし、裁判は政治の場ではなく法律の場である。法律の場であるということは、軍事が上か、ジュゴンが上かというような命題を「裸」で持ち出すのではなく、あくまで両知事の処分が公有水面埋立法に照らして、合法・正当かということ判断するということなのである。この点はまず、国側の主張が公定力理論にこだわりすぎたためか、冒頭に見たように、いきなり利益衡量論として日米双方の国益などを持ち出すようなそれこそ、自ら県を批判してやまない「政治論」に堕してしまっているのではないか。これが第一の問題点である。次いで、公有水面埋立法の下での解釈にあたっても、国側の主張はいかにも公定力論に引きずられているようである。

 オットー・マイヤーの時代、あるいは日本の戦前あるいは戦後初期まで、行政は、国家と国民・個人の間を規律するものであった。そこでは、行政の国民に対する優越性が認められていた。日本の多くの学者が追随したのも、この行政法が「国家と国民の関係」つまり二面的な関係を規律する法である、という観念が前提になっていた。しかし、先に見たように現代の行政は、国家と国民の関係を大幅に、しかも質的に転換させている。

 公有水面埋め立てについてみれば、埋め立て自体は、確かに、国家と国民(沖縄防衛局はそもそも国民かという根源的な問題はここでは触れない。以下、受益者とする)の関係の問題である。しかし問題は、現代の行政の困難は、国と受益者以外にこの行為によって不利益を受ける国民(環境や財政あるいは文化といったようなものも含む)というものを無視できない、ということなのである。これは先の二面的関係に比していえば三面関係から成り立っているといってよい。これを学界では「二重効果論」という。

 二面関係から三面関係へ、このような行政の本質に変化が認められるようになったのは、それこそ国民の側からの、工場建設の認可と公害の発生、薬の認可と薬害あるいは、商品表示と消費者、そしてダム、道路、埋め立てなどをめぐる公共事業と強制移転や環境破壊などの問題提起があったからである。不利益者の存在とその法的位置づけの重要性はもはや行政だけでなく、裁判所にとっても、また議会にとっても回避できないものになっている。

 二重効果論に即していえば

(1) 古典的な行政法理論では、不利益を受けるものの、法による行為で国民が間接的に受ける利益は「反射的」なものにすぎないとして無視した。

(2)無視された側は、情報公開、人権侵害などの実態の宣伝、審議会などへの参加要求、議会での追及などを開始し、不服審査や裁判を行うようになった。

(3)政府もこれら国民の要求や運動により、次第に情報公開法、不服審査・行政事件訴訟法などの一般法の制改定、さらには裁判所による原告適格の拡大や処分の取り消し、さらには行政処分に対する様々な懐疑を生み出し、

(4)河川法など一部実定法の改正や自治体による条例の制改定

 などとして発展し、具体化されていっているのである。

 この流れを概括的に言えば、受益者だけでなく、不利益を被る国民も「対等」に行政処分の当事者として位置づけられる、というものであり、場合によって、受益者が受ける利益よりも、国民の受ける不利益が大である場合には、処分は行われないし、すでに行われた処分を取消しあるいは撤回もありうるということなのである。ここには国家の国民に対する優越性とか、受益者は保護されるが不利益者は保護されない、などという法理論は存在し得なくなったということを確認しておこう。


■代執行訴訟はこう見る

 そして、このような視点で代執行裁判を見ると、国側の公定力理論とそれに引き続く利益衡量論は、この受益者・沖縄防衛局の利益にのみ固執し、対等な当事者である国民を軽視。さらに公有水面埋立法の下での法的な利益考量を飛び越えていきなり政治論を行っているように見えるのである。

 反対に、このような視点で見ると、私が世界2015年12月号「沖縄・辺野古 公有水面埋め立て承認の取り消しを考える」で分析・解説したように、翁長知事が任命した第三者委員会の「検証検査報告書」(2015年7月16日)は、この二重効果論の展開に誠実に答える優れた傑作である、と思えて仕方がないのである。報告書の結論は公有水面埋立法の下で、利益者と国民の利益考量を行った結果、仲井真前知事の処分には「法的な瑕疵がある」、つまり「違法」であるということであった。国も県も、この点について世界最高の「知と証拠」を持って正々堂々議論する、というのが私が先に指摘した「本格的な法廷論争」という意味なのである。」

http://www.okinawatimes.co.jp/cross/?id=369

【識者評論】辺野古代執行訴訟 行政継続性、国の切り札 

2016-01-29 16:16:09 | 軍事
「今回の行政代執行裁判には、国によれば二つの論点がある。一つは仲井真弘多前知事が行った公有水面埋め立て承認処分を、翁長雄志知事が取り消したのは、「行政の安定性」を害する。もう一つは、仲井真前知事が行った埋め立て承認は合法であって違法ではないという。そして、「裁判はこの第一の論点ですべて決着がつき、第二の論点はもうほとんど審議する必要性すら認められない」と、国が言っていることを、直視しなければならない。

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 国側の決定的な切り札となっているのが「行政の継続性」という行政法学上の独特な概念(公定力)で、「行政処分は国家権力の発動であり、裁判所の判決と同じようにそれ自体が、権威を有し、いったんなされた行政処分は違法だとしても、取り消されるまで、何人もその効力を否定できない」というのである。

 国はこれを学説と判例によって根拠づける。学説は行政法学の父と言われる「オットー・マイヤー」(1846~1924年)を元祖とする。現代日本でも行政法学界の重鎮である田中二郎や塩野宏東京大名誉教授などによって支持され、最高裁判所の判例(1968年11月7日)によって確定している。

 これによれば、仲井真前知事の行った処分は「権威」があり原則取り消しできない。仮に翁長知事が取り消す場合は「取り消すことによって得られる利益が、取り消し前よりもはるかに大きい」という場合に限られる。これまでの日米双方の交渉の経過、沖縄の軍事的地位などを衡量すると、その結果は明らかで「勝負あり」という。

 オットー・マイヤーはドイツ立憲君主制時代の学者だ。その学説は「国家統治」から出発する「官治主義的」なもので、ワイマールとナチスという両翼の政治体制に耐えた。ここから「憲法変われど、行政変わらず」という格言が生まれた。

 しかし、戦後日本は国家統治の国から国民主権の国に180度変わった。行政は国民の信託によって仕事を行うにすぎない。そして行政の違法性の判断は裁判所が行う。この国民主権と三権分立の日本国憲法構造の下では、「違法であっても有効だ」というような神がかりのような議論は入り込む余地がない。違法な処分はあくまで違法で、取り消されて当然なのであり、そこには双方の利益を衡量するというような発想もあり得ないのである。

 しかし、残念ながら沖縄県側の主張もこの点に関する反撃は極めて弱く、法廷での本格的な論争を期待したい。(法政大学名誉教授・五十嵐敬喜、公共事業論)」

http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=151481

中谷元防衛相が自衛隊に破壊措置命令

2016-01-29 16:08:08 | 軍事
「[東京 29日 ロイター] - 北朝鮮が長距離ミサイルを発射する兆候があることを受け、中谷元防衛相が自衛隊に破壊措置命令を出したことが29日、分かった。政府筋が明らかにした。自衛隊はミサイル迎撃能力を備えたイージス艦などを展開し、警戒を強める。

米政府関係者によると、北朝鮮のミサイル発射場周辺の活動が活発化しており、数週間以内に打ち上げを実施する可能性があるという。

菅義偉官房将官は29日の閣議後会見で、「(北朝鮮が)事前の予告なく挑発行動に出る可能性は否定できない。いかなる事態にも対応できる態勢はしっかりとっている」と語った。

日本は2014年にも、北朝鮮のミサイル発射に備えて破壊措置命令を発令。自衛隊は海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載したイージス艦を日本海に派遣した。」

http://jp.reuters.com/article/nakatani-north-korea-idJPKCN0V70B2

<宜野湾市長選>民意どこに? 辺野古言及なかった佐喜真氏/毎日より

2016-01-25 17:18:54 | 軍事
「 米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市の市長選が24日投開票され、普天間飛行場の名護市辺野古への県内移設計画を推進する政府・与党が推す現職の佐喜真淳(さきま・あつし)氏(51)が、移設に反対する沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事が全面支援した新人の元県幹部、志村恵一郎氏(63)を大差で破って再選を果たした。

          ◇

 佐喜真氏が宜野湾市長選を制したのは、政府の支援を受けて地域振興の政策を打ち出す作戦が奏功した形だ。しかし一方で普天間飛行場の移設問題について佐喜真氏側が「辺野古移設」に言及しなかったのは、明らかな争点隠しだった。この勝利で政府が「移設問題で民意を得た」とするならば、それは誤りだ。政府が辺野古移設を強行すれば、沖縄の強い反発を生み出すだけだ。

 市の真ん中に位置する普天間飛行場は約481ヘクタールで市の4分の1を占める。頭上を飛び交う米軍機の墜落の恐怖や絶え間ない騒音に市民は日常的に悩まされている。選挙戦では、佐喜真氏が辺野古に触れなかった以外は、両者の主張はほとんど同じだった。ともに危険性の除去に向けた一日も早い返還実現を繰り返し訴えた。

 移設問題がかすむ中、佐喜真氏はディズニーリゾート誘致構想など経済振興策を強調。「選挙では移設問題でなく、宜野湾市民の生活の問題が問われるべきだ」と語る有権者は少なくなかった。

 普天間飛行場は早くなくなってほしい→でも同じ県内に移すのは「危険のたらい回し」ではないのか→それでは普天間は固定化されるのでは--。多くの市民はそう悩んでいる。毎日新聞の出口調査によると、政府の辺野古移設推進姿勢を「支持しない」とした人のうちの約3割が佐喜真氏に投票したとしている。この市民の葛藤をを理解せずに、勝ち負けだけを見て「市民も辺野古移設を望んでいる」とするのであれば乱暴すぎないか。

 沖縄知事や県民が反対している限り、移設計画の行方は不透明だ。政府の強硬姿勢は県民を分断しかねない。対決姿勢でなく、沖縄の声に耳を傾けるべきだ。【佐藤敬一】」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160124-00000080-mai-pol