白夜の炎

原発の問題・世界の出来事・本・映画

日本學者:中共與日軍共謀對抗國軍/BBCより

2016-03-24 17:22:24 | アジア
「今年抗日戰爭結束七十週年之際,中台雙方圍繞國共兩黨當時誰才真正抗日發生爭論。

雖然在中國9月3日「紀念抗戰勝利七十週年」大閱兵時,日本各大傳媒均指出,在抗戰勝利時,中華人民共和國還沒誕生,當時中國的中央政府是國民黨領導的中華民國政府,抗戰的主流不是中共,但日媒也沒有提出證據來說明共軍在抗戰中的表現。

今年11月,日本筑波大學名譽教授遠藤譽撰寫的《毛澤東 與日軍共謀的男人》一書在日本出版。作者遠藤根據她收集的中國、台灣、日本三方面資料,來論證中國國民黨軍隊抗日時,前中共領導人毛澤東率領的中共與日本駐上海的特務機關-岩井公館合作打擊國民黨的史實。

遠藤的這本書在出版後立即引起不少日本國民的關注,一個月內印了5次。
日本《每日新聞》、《富士晚報》等媒體也就此書發表了書評,富士電視台、朝日電視台等更邀請遠藤介紹其這本歷史書。
遠藤譽的書《毛澤東 與日軍共謀的男人》正以一個月印5次的速度在日本暢銷。

遠藤對BBC中文網記者說,她是讀了《潘漢年傳》等中國書籍後,開始懷疑中共的解釋,然後著手凖備寫書的。她希望通過日本方面的資料來解開有關疑問,而結果則令她自己也震驚了。

中共特務與日本特務
《毛澤東 與日軍共謀的男人》敘述說,「1937年日中全面戰爭開始後不久,毛澤東就向上海和香港派遣中共特務,與日本外務省旗下的特務機構『岩井公館』的岩井英一、設置日本陸軍參謀部特務機構『梅機關』的影佐禎昭等接觸」。

遠藤收集的中方資料對此解釋說,這一切的目的都是為了取得抗戰勝利,收集日本秘密情報,為八路軍和新四軍勇敢地與日軍作戰發揮了作用。
但遠藤收集的岩井回憶錄《回想的上海》中則明確說,「事實完全相反,是中共特務把通過國共合作得到的蔣介石為首的國民黨軍隊的情報提供給日方,目的存在弱化國民黨的意圖」。

遠藤的書詳細記述了1932年作為日本駐上海領事館情報部副領事的岩井赴任後,因漢語流暢,負責接待記者中日雙方20多名記者,包括後來被稱作「五重間諜」的新聲通訊社中國記者袁殊(袁學易)。當時中共報章上不時有岩井和影佐的名字,在延安的毛澤東也獲悉。岩井還建議在上海加強收集情報工作、並獲准設置了「公使館情報部」。

1935年6月岩井解救了被國民黨逮捕的袁殊,更添了兩人交情。岩井雖知袁殊多重間諜身份,但不介意並援助袁殊再次留學日本,直至西安事變後才回到中國。岩井本人也在1937年回國,1938年2月重返上海,目的是「早期結束軍方挑起的戰爭」。

共產黨人與岩井公館
2002年旅美中國學者謝幼田的《中共壯大之謎》也根據中文資料敘述中共向岩井出賣國民黨情報得以壯大的史實。

岩井在上海領事館設置了特別調查班,搜集蔣介石政府內部情報,尋求「講和」的機會。岩井全權委托袁殊組織新黨,並說:「為了達成全面和平的共存共榮日中新關係理念,不光是黨名,還要以真正理解這一理念的民眾、知識分子為對象,前身是藍衣社、中統團、以及其它黨派相關者,共產黨員都不要緊」。

結果袁殊招募了大批中共地下黨員,而所有經費由岩井取得公使館情報部長河相達夫同意,由日方支付。不過最終新黨運動演變成「興亞建國運動」,並在袁殊建議下,興亞建國運動總部起名「岩井公館」。

這個時期,袁殊還把匿名為胡越明,直接在毛澤東指揮下從事特務活動的前中共特工頭子潘漢年介紹給岩井,袁殊形容潘漢年地位相當於周恩來(中國前總理)。

岩井在《回想的上海》中描寫首次見潘漢年的印象是「非常穩重的知識人,卻又是瀟灑的都市人而令人好感」。並回憶說,此後每次都是潘漢年求見、提供國民黨政府和國軍情報,且以岩井公館作據點,擴大中共在香港的間諜活動。

日本情報費資助中共
岩井委托日本駐香港領事館的小泉清一每月向潘漢年支付2000港元作為收購情報費,加上由潘漢年籌辦多種定期出版的刊物費等,每次另支付潘漢年1萬港元。

當時,2000港元相當於一名香港華人警員5年的薪水,而日本每年向潘漢年支付的費用相當於一名香港華人警員60年薪水,而且尚不包括刊物費,最終這筆可觀的收入落入中共手中。

遠藤在書中指出「這就是謝幼田(美國斯坦福大學胡佛研究中心前客座研究員)著書《中共壯大之謎》的中共壯大理由」,而日本支付的費用大部分源自外務省機密費,岩井回憶說,支付的總額達30多億日元(超過2500萬美元)。

1937年,面對入侵的日軍,中共八路軍和新四軍希望抗戰,但毛澤東則堅持只拿出10%兵力用於抗戰。岩井《回想的上海》還披露,潘漢年通過袁殊向岩井提議,商談共軍與日軍在華北戰場上「停戰」的事宜,岩井因不懂軍事,把該建議轉手影佐,潘漢年從此開始直接與日軍接觸。
曾著書談在華經歷

遠藤1941年出生在中國長春,父親在長春經營自己研製的戒毒藥品「吉福祿」的製藥廠,父母都是日本人,本來還有哥哥和弟弟。但在1948年八路軍圍困長春之戰中,遠藤的哥哥和弟弟都餓死,而她也幾近餓死並遭遇流彈受傷,導致兩臂殘疾。
1953年,12歲的遠藤回到日本,又受到日本本地人的欺凌。她取得物理學博士以後,從1983年起從事指導中國留學生的工作至今,並從那時起還兼任中國社科院社會研究所客座研究員、教授,上海交大客座教授。
1983年遠藤在日本出版《不合理的彼方》,自述其當年在長春的生活經歷,獲得《讀賣新聞》女性人類記錄優秀獎。
後來,遠藤應《讀賣新聞》邀請,在1984年再著書《卡子-沒有出口的大地》,描述她在中國12年的苦難經歷。90年代,她希望此書譯成中文版,可是中國出版社一直以「過於敏感」的理由拒絕和拖延此事,去年她覺得年事已高,不能再等下去,於是選擇在台灣出版中譯本。
「只想追求歷史真相」
遠藤對BBC中文網記者說,「我對中國愛恨交集,但到了這個年齡,我只想追求歷史真相」。
遠藤說,《毛澤東 與日軍共謀的男人》「最大的難題是找日本有關岩井的記載,我去了外務省和防衛省研究所都找不到,後來在網絡上偶然看到岩井出版過回憶錄《回想的上海》,於是開始找,並終於在網絡上買到,我如獲至寶!現在覺得我小時候沒餓死、活到現在,就是為了找到這本書」。
當記者問到,日本是否也刻意抹去當年岩井與中共合作的記錄,遠藤則說「不是,岩井對中國來說重要,但日本當時對他重視不夠」。
對於台海兩岸官方有關誰是真正抗日力量的爭論,遠藤表示「日本不知道也不關心,我在防衛研究所裏看戰史資料,厚厚的一本防衛研究所編寫的戰史資料,居然是引用中共黨史來編寫,簡直令人大失所望,所以我才要挖掘真相,來填補真實的歷史空白」。
(責編:李文)」

http://www.bbc.com/zhongwen/trad/world/2015/12/151225_japan_professor_book

公開状「習近平は下野せよ」嫌疑で拘束か?/遠藤誉

2016-03-24 17:19:54 | アジア
「3月4日に党系列メディアに公開状「習近平は辞職せよ」が現れハッカーの仕業とされたが、内部に犯人がいることが判明。コラムニストの賈葭(かか)氏が拘束された。筆者は彼が元いたメディアから取材を受けたばかりだ。

◆なぜ賈葭氏は拘束されたのか?
3月15日付の本コラムで筆者は<新華社が「中国最後の指導者習近平」と報道――ハッカーにやられたか?>を書いた。その中で新疆ウィグル自治区の党委員会が創設者の一つになっている「無界新聞」に、3月4日、「習近平は辞職せよ」という趣旨の公開状が現れたことをご紹介した。それはハッカーによるものとされていたが、その後、ハッカーの仕業ではなく、内部に犯人がいて操作したという痕跡が見つかったという。

それも海外を含めた外部と内部とのタイアップによることが分かり、無界新聞関係者がつぎつぎに調査を受ける羽目になっていた。
コラムニストでジャーナリストでもある賈葭(かか)氏(35歳)は、3月4日に無界新聞に公開状がアップされる前、実はアメリカにいた。帰国後、微信(ウェイシン)を通してネットにアクセスしたときに「習近平は辞職せよ」という公開状が無界新聞のニュースサイトにアップされているのを発見。急いで、無界新聞のCEOである欧陽洪亮氏に連絡した。欧陽洪亮氏は、賈葭氏の昔の同僚だ。

当局の調べに対して欧陽洪亮氏は「このようなおぞましい公開状は、賈葭氏からの連絡で初めて知った。彼はしばらくアメリカにいた」と述べている。まるで責任転嫁だ。そこで賈葭氏は「もしかしたら、自分に嫌疑がかかってくるのではないか」とそれとなく予感していたという。
3月15日、賈葭氏は香港に行くために北京空港にいた。

「今から香港行きの飛行機に搭乗する」という知らせを妻が受けたあと、連絡はすべて途絶えた。
搭乗寸前に、北京の飛行場で公安に拘束されたのである。

◆賈葭氏は、かつて、「新華社」傘下の報道機関にいた
実は賈葭氏はかつて、中国政府の通信社である「新華社」傘下にある週刊誌『大家』のコラムで主編(編集長)をしていた。中国語で「大家」というのは「民衆」とか「皆さん」といった意味である。肝心なのは、彼は新華社系列で仕事をしていた経験があるということだ。
3月15日付のコラム<新華社が「中国最後の指導者習近平」と報道――ハッカーにやられたか?>では、新華社のウェブサイトに載った「中国最後の指導者・習近平」は「中国最高の指導者・習近平」の誤記であったと新華社が言っているということを、「追記」で書いた。最初はハッカーとされたが、新華社の場合は「誤記」だったことにして、全人代を乗り切った形だ。

しかし、たとえば北京の有線テレビとかホテルのテレビなどで、日本のテレビの「中国政府に不利な有害情報」が出た瞬間に、テレビの画面がブラック・アウトするくらいのハイレベルの技術を中宣部は持っている。その時間は1秒よりも短い。テレビもネットも、すべて中宣部の管轄下にある。ましてや中国政府の通信社「新華社」のウェブサイトに、このような誤字が出てくることは、非常に考えにくい。
賈葭氏が今般の公開状に関わっていたのか否かは別として、第二、第三の賈葭氏に相当したような人物が、新華社内部にもいたという可能性は否定できない。

◆賈葭氏は、かつて、香港の報道機関にもいた
賈葭氏は実は、香港の『陽光時務週刊』の副編集長をしていた時期があり、また香港のリベラルなメディアである『端傳媒』(傳媒はメディアの意味)の評論部門の編集長をしていた時期もある。

筆者は1月末、まさにこの『端傳媒』の総編集長である張潔平氏から取材を受けたばかりだ。
彼女はイギリスのBBC中文網が筆者の書いた『毛沢東 日本軍と共謀した男』に関して報道している( http://www.bbc.com/zhongwen/trad/world/2015/12/151225_japan_professor_book )のを見て、どうしても筆者を取材したいと言ってきた。

「香港は一国二制度とはいっても、中国の管轄下にあるから、こんなものを載せても大丈夫なの?」と筆者が聞くと、「大丈夫よ。私たちはいつでもリベラルな報道をしているわ。多少は大陸の当局から睨まれてはいるけど、でも平気!」と張潔平氏はそのとき笑っていたのだが、なぜか、連絡が途絶えた。
やはり、まずいのだろうなぁと思っていたところ、賈葭氏の拘束を知ったのである。
香港メディアによると、張潔平氏はつい最近、香港の大学で講演し、「最近は大陸の当局の監視が非常に厳しくなっている」と述べたとのことだ。
賈葭氏も実は3月17日に香港で「香港は誰のものか?」というスピーチをすることになっていたという。
◆共通しているのは、国と党を思う「真の愛」と「良心」
2月29日付けのコラム「中国著名企業家アカウント強制閉鎖――彼は中国共産党員!」で、中国共産党員の任志強氏が「自分こそは忠誠なる共産党員だ」として習近平政権あるいは現在の共産党政権を批判する発信を盛んにしていたことを書いた。彼のアカウントは強制的に閉鎖されてしまったのだが、「習近平よ、辞職せよ」という趣旨の公開状にも、冒頭に「私たちは忠誠なる共産党員として習近平に忠告する」という旨のことが書いてある。
つまり、中国共産党員自身が、「中国共産党政権というのは、これでいいのか?」という疑問を、命をかけて発信しているのである。このシグナルをつぎつぎに強権的に摘み取っていく現実こそが、「中国共産党政権というのは、これでいいのか?」と疑問を発したくなる原因を作っているのではないのだろうか?
アカウントを閉鎖された中国の著名な企業である任志強氏のコメントも、公開状に書かれている文言も、いずれも説得力のあるものだ。
そこには国を思う「真の愛」があり、中国共産党員としての「良心」があるように筆者には映る。
中国共産党が、もともとは日本軍と共謀しながら発展してきたものであったとはいえ、毛沢東は少なくとも中国という国を建国した。そして中国人民はみな、(それが虚偽のスローガンであったとしても)かつては中国共産党を信じて生きてきた。その心が限界に来たとき、人民は爆発する。そして中国共産党による一党支配政権は崩れていくのだ。
「愛」は何よりも強いものである。「愛」以上に強い「怒り」はない。


遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦(国共内戦)を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『毛沢東 日本軍と共謀した男』『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/endohomare/20160322-00055689/

王毅外交部長の対日認識/全人代における発言

2016-03-17 16:33:56 | アジア
「第12期全国人民代表大会(全人代)第4回会議の記者会見が8日10時にメディアセンターで行われ、王毅外交部長(外相)は「中国の外交政策と対外関係」について国内外の記者からの質問に答えた。


日本の毎日新聞社記者は「日中関係に関して、日本では『好転しつつある』と『改善されてはいない』という異なる見方がある。王毅外交部長は両国関係の現状をどのようにみているのか?またもし現状が楽観できないとするならば、その問題はどこにあるのか?日中関係を改善する上で双方はどのような努力をすべきだろうか?」と質問。

それに対し、王毅外交部長は以下のように回答した。

日本側の歴史等の問題における誤った対応で、ここ数年、中日関係は確かに深い傷を負っている。中日両国の有識者の努力を経て、両国関係に改善の兆しはみられるものの、今後については依然として楽観視することはできない。それは日本政府とその指導者が日中関係の改善を声高に唱える一方で、至る所で絶えず中国にトラブルをもたらしているためだ。これはまさに典型的な裏表のあるやり方と言えるだろう。

中日両国は隣国として、海を隔てて向き合っている。国民レベルでは友好の伝統があり、中国も当然、中日関係が真の意味で好転することを望んでいる。しかしながら「病根は元から絶たねばならない」という言い方もあるように、中日関係に関して言えば、病根とはつまり日本の指導者の対中認識にあると考えている。中国の発展を受け、日本政府は中国が友人なのか、敵なのか、またパートナーなのか、ライバルなのかという問題を真剣に考慮し、十分に検討すべきだ。(編集TG)
「人民網日本語版」2016年3月8日」

http://j.people.com.cn/n3/2016/0308/c94474-9027118.html

王毅外相はなぜ岸田外相の電話会談を承諾したのか?/遠藤誉より

2016-03-16 16:22:51 | アジア
「岸田外相は14日、王毅外相と電話会談をした。なぜこのタイミングで中国はようやく応じたのか。その回答は王毅外相のロシア訪問と香港における北朝鮮船舶の入港拒否に求めることができる。中国政府関係者を取材した。

◆なぜ、このタイミングなのか?
岸田外相が3月14日夜、中国の王毅外相と電話会談したことを明らかにした。今年1月6日、北朝鮮が水爆実験と称する核実験を強行したあと、日本の外務省は何度か電話会談をしようと中国に呼びかけていた模様だ。しかし中国側が応じなかったという。
2か月間以上経ってから、中国がようやく電話会談に応じたことに関して、「なぜこのタイミングなのか」と記者から聞かれた岸田外相は「先方の意図は分からない」と回答した。
そこで筆者は「先方(中国)の意図」を知るべく、中国政府関係者を電話取材し、「なぜこのタイミングなのか?」と、同じ質問を投げかけてみた。
すると、以下の回答を得た。
1. 王毅外相がロシアを訪問したことに注目しているだろうか? 彼はなぜ、わざわざ全人代を中途で退席し、閉幕前にロシアを訪問しのか、その理由を考えてほしい。
2. 先般、北朝鮮の貨物船が香港に入港しようとしたけれど、拒否された。中国が拒否したのだ。
3. この二つに共通なことは、北朝鮮問題だ。中国は国連制裁決議をきちんと守っているが、決議の際に消極的だったロシアとは、しっかり話し合って制裁決議を守るよう、しかしその一方では北朝鮮が暴走しないように朝鮮半島の安定を図らなければならない。アメリカは自国の国民が遥か離れたところにいるからいいだろうが、われわれは陸続きなのだ。六者会談以外にわれわれの安全を守るすべはない。

◆全人代を欠席してロシアを訪問した王毅外相
中国の王毅外相は、3月10日から11日にかけて、ロシアのラブロフ外相の切迫した招きに応じてモスクワを訪問した。全人代開催中に海外に行くのはよほどのことで、48時間の休暇を承認してもらった上での外訪だった。11日、クレムリン宮殿を訪問し、プーチン大統領とも会談している。
3月14日、中国外交部の陸慷報道官は定例記者会見でつぎのように述べた。
――現在の朝鮮半島情勢に関して、中露はともに6カ国協議の再開を支持している。THAADの問題に関して中露双方は、米国による韓国へのTHAAD配備は朝鮮半島の実際の防御の必要性を遥かに超えており、中露の戦略的安全保障上 の利益を直接損ない、地域の戦略的均衡も破壊するとの認識で一致している。

このことから分かるように、中露は北朝鮮制裁の実行とともに制裁決議の中に含まれている6ヵ国協議再開への道筋を話し合い、朝鮮半島が危険な状態に突き進まないように検討したと思われる。その緊迫性は、現在韓国で行われている米韓合同軍事演習への警戒と、史上最大規模の軍事演習が北朝鮮をより挑戦的にさせ、暴走させてしまうことへの危惧にあることは、容易に想像がつく。
国連の安保理決議案に関して、王毅外相はわざわざ訪米してアメリカ側と摺合せ合意に至った上で決議をしようとした。そのときロシアがまだ賛同できない意思を表示したので、中国側はロシア側を説得して、ようやく決議に漕ぎ着けたという経緯がある。
そのときもロシアは制裁決議が出る寸前に北朝鮮に小麦粉などを送り、ギリギリ北朝鮮の「人道的?」支援をしている。
このような経緯の中で決議された制裁を、中国は今度ばかりは何としても守って欲しいと、強くロシアに対して望んでいるという。船舶の着岸拒否に関しても、3月11日付の本コラム「朝韓間の経済交流即時無効を北朝鮮が――中国新華社が速報」にも書いたように、中国は対北朝鮮の国連安保理制裁決議2270号が発動する前から、北朝鮮からの石炭の輸入禁止などの措置に出ている。

◆山東省だけでなく香港でも北朝鮮貨物船の入港禁止
本コラムでも書いてきたように、中国では山東省日照港に入港しようとした北朝鮮船籍の「グランドカーロ号」の入港を拒否している。日照港はこれまで主として北朝鮮の石炭を輸入する港として機能してきたが、今では完全凍結を行なっている。
3月10日、香港政府の報道官は9日、北朝鮮の貨物船「ゴールドスター3号」(金星3号)が香港の海域に入ることを認めず入港を拒否したことを明らかにした。燃料と船員の生活物資を補給するために入港しようとしたようだが、それでもこの船が国連制裁リストに挙がっている31隻中の1隻なので拒否したという。船は北朝鮮の国旗ではなく、カンボジアの国旗を掲げて偽装していたとのこと。
それ以外にも中国はこれまでに数隻の北朝鮮船舶の入港を拒否している。今回ばかりは、かなり厳格に国連制裁を守っているようだ。身に危険が迫ってきているので、何としても北朝鮮の暴走を止めたいという切迫した状況にある。

◆中露間にある微妙な温度差
韓国におけるアメリカの行動に関して、中露は同じ危機感を抱いている。両者とも、遠いところにいるアメリカが韓国に進出してきて北朝鮮を刺激するのは、アメリカの自国民にとっては安全圏にいるだろうが、中露にとっては陸続きで隣接しているため自国に直接危険が及んでくるため非常に迷惑だという共通した不満がある。それは北朝鮮を守りたいという気持からのスタートではなく、自国を守るために、過度に北朝鮮を刺激しないでくれという主張だ。国連安保理で決めた2270号制裁を忠実に実行していくだけにすれば北朝鮮を追い詰めることができるが、さらに史上空前の米韓合同軍事演習を北朝鮮の目の前で強化することは、北朝鮮に反撃の口実を与え、戦争に突入する危険性を高めるというのが、中露両国の切迫した危機感だ。
このような中露両国の危機感の中、なにかしら微妙な中露間の温度差が伝わってくる。
それはこれまで続けてきた中朝軍事同盟が果たしてきた役割を、ややロシアの方にシフトさせていきたいという中国のそれとない思惑と、シリア問題が生んだ米露対立とともに、米中が中露よりも先に、2270号決議に関するニゴシエーションを済ませたという微妙な心理的ズレだ。今では中国の方が、ロシアよりも「絶対に北朝鮮の暴走を許してはならない」という緊迫感が強い。
それは中国の「共産主義体制」が危機を迎えているために、わずかな不穏な動きをも招きたくないという逼迫感に満ちているからではないかと、筆者の目には映る。
いずれにしても、米韓合同軍事演習を激化させて北朝鮮を刺激してくれるなというのが、中国の現在の切なる望みだ。日本を含めた米韓に対する不満でもある。
一方、6カ国協議に持っていくには日本の協力は欠かせない。アメリカに物を言って抑制してくれる可能性が日本にならあるかもしれないとも、わずかながら期待している。ロシアに対しても6カ国協議の可能性を模索することを依頼している。そのためにも制裁は徹底してほしい。抜け道を作って欲しくない。
これら複雑な要素が、これまで日本側の要求に応じて来なかった王毅外相が、ここにきて突然、岸田外相の電話会談に応じた理由ではないだろうか。中国政府関係者の回答は、このことを示唆しているように思えた。」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/endohomare/20160316-00055497/

金時鐘先生「大佛次郎賞」受賞のお祝い会 伊地知紀子(大阪市立大学教授)/ベリタより

2016-03-16 16:20:11 | アジア
「金時鐘先生「大佛次郎賞」受賞のお祝い会 伊地知紀子(大阪市立大学教授)

  今日は、済州4・3事件公開学習会をKCC会館にて。
  徐仲錫先生(韓国・成均館大学校名誉教授)をお迎えし、「朴槿恵政権下の済州4・3運動の課題」というタイトルで韓国歴史教科書国定化問題と済州4・3についての学習会でした。2017年が朴正煕生誕100年という節目にあたり、これに向けた動きを指摘しておられたのはなるほどと思いました。

  いろいろ催しや集会が重なるなか、たくさんの方が来てくださり、終了後は、このたび『朝鮮と日本に生きるー済州島から猪飼野へ』(岩波新書)で「大佛次郎賞」を受賞された金時鐘先生のお祝い会となりました。

  東京から金石範先生も来られ、いつもの顔ぶれが集まり、最初からリラックスした感じで始まりました。花束贈呈では、金時鐘先生が花束を受け取るなり体のバランスを崩され、「重い花束をもらった演技をしようと思って」とみんなを笑顔にしてくださいました。

  ご両親が、売れるものはすべて売り払い金時鐘先生を日本へ送り出した後、看取るものもなく亡くなられた話をされ、金石範先生が「死者は生者のなかで生きている」と語られました。困難な時代に済州4・3に向き合い、次世代へと引き継ぐ課題をうんでくださったお二人を囲んでの心に染みる席でした。

伊地知紀子 (大阪市立大学教授 文学研究科)


※済州4・3事件
 「1948年4月3日に在朝鮮アメリカ陸軍司令部軍政庁支配下にある南朝鮮(現在の大韓民国)の済州島で起こった島民の蜂起にともない、南朝鮮国防警備隊、韓国軍、韓国警察、朝鮮半島本土の右翼青年団などが1954年9月21日までの期間に引き起こした一連の島民虐殺事件を指す」(ウィキペディア)

※金時鐘さん(詩人)
  済州4・3事件に関わったために当局から追われ、日本に渡った。『猪飼野詩集』『原野の詩』『失くした季節』ほか

※金石範氏(作家)
  済州島出身の両親のもとに大阪で生まれた。『火山島』『国境を越えるもの 「在日」の文学と政治』ほか


■伊地知 紀子教授の著書には以下のものがあります。

『消されたマッコリ。-朝鮮・家醸酒(カヤンジュ)文化を今に受け継ぐ-』社会評論社
『在日朝鮮人の名前』明石書店
『生活世界の創造と実践-韓国・済州島の生活誌から-』御茶の水書房


■済州島からの訪問者
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201601302249066


■月命日コラム 伊地知紀子
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201601241513520

http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201603140047121

全人代政府活動報告は誰が書くのか?――習近平は事前にチェックしている

2016-03-14 16:02:36 | アジア
「日本の一部中国研究者は、今年の全人代政府活動報告に習近平を讃える言葉が少なかったため習近平が李克強に不満を抱いたとしているが、あまりに現実を知らな過ぎる誤読だ。起草課程に関する根本的知識を指摘したい。
◆日本の一部チャイナ・ウォッチャーの誤読
日本には、今年の全人代における李克強国務院総理による政府活動報告の中で、習近平国家主席に対する賞賛が足りなかったために習近平が激怒したなどと書いている中国研究者がいる。その理由として習近平を「核心」と呼ぶ回数が少なかったからと解説している。
日本の中国観は、こういうゴシップ的報道を好む傾向にある。これをただ単なる「娯楽」として楽しんでいるというのなら、それは個人の趣味の問題で、自由と言えば自由だ。
しかし、それらはやがて、中国を分析して日本の経済界や外交分野などにおける政策に、それとなく心理的に影響をもたらし、日本に不利な形でも戻ってくるので、誤読による中国分析は日本国民にとっていい結果をもたらさない。
客観的事実を冷静にとらえて上で、ビシッと批判する方が中国を正確に批判あるいは分析することができ、それはやがて日本国民にプラスの方向で戻ってくるので、ここでは政府活動報告が、どういう過程で起草され完成されていくのかに関して、基本をご紹介したい。

◆政府活動報告作成に関する法規
全人代における政治活動報告作成に関しては、法規的に厳格に制限を受けた規定が中国にはあり、必ず「国務院研究室」が起草から完成までを担当しなければならない。ただし、国務院研究室のスタッフだけではなく、国務院研究室を中心として中央行政省庁の国家発展改革委員会、国家財政部あるいは中央銀行などの代表からなる「政府活動報告起草組」が、報告書起草に当たる。
起草組の委員は毎年30名から40名により構成される。
中央経済工作会議が終わった後に起草に取り掛かる。中央経済工作会議は、中共中央政治局常務委員(チャイナ・セブン)以外に、中共中央政治局委員、中央書記処書記、全人代常務委員会委員などから成る大きな会議だ。
会議後、3,4カ月をかけて起草案を作成する。
起草組は毎年4回以上の大きな会議を開き、何回にもわたる小討論会を開いて、最終的に起草案を決定する。
でき上がってきた起草案の修正に関しては、国務院総理(現在は李克強)のみならず、必ず国家主席および中共中央総書記(現在は両方とも習近平)が目を通して最終決定をしなければならない。それ以外にも最近ではネットを通して「人民の意見」を求めるという形も採っている。
以上が全人代における基本的な流れである。

◆報告書内容に最終決定権を持っているのは習近平総書記
以上のプロセスを経て、ようやく起草案ができ上がるのだが、完成までにはなお多くのプロセスがある。
今年の場合、上記4回の大きな会議は、習近平と李克強によって主催されている。
一つ目は、1月6日に李克強国務院総理が開催した第118回国務院常務委員会で、二つ目は1月14日に「習近平総書記」が主宰した中共中央政治局常務委員会会議で、この会議が最高決定権を持つ。
つまり、李克強は国務院総理として国務院(中国政府)側の立法機関である全人代における政府活動報告に対して直接の責任を負わなければならないが、その内容の是非に関して、より高位の指摘を行なうのは、習近平総書記なのである。
1月14日に習近平が主催したのは、フルネームで書けば「中国共産党中央委員会政治局常務委員会」だ。
これこそは、中国における最高意思決定機関で、「中国共産党中央委員会(中共中央)」であることに注目しなければならない。
だから、1月14日に会議を主宰した時の習近平の肩書は「習近平総書記」すなわち「中国共産党中央委員会・習近平総書記」であって、「習近平国家主席」ではない。
このことは非常に重要だ。
この時点で、習近平が中国共産党中央委員会の総書記として、「全人代における政治活動報告書に対して最終決定」をするのである。
ここで習近平総書記が行った最終修正に関しては、絶対に覆してはならない。
なぜなら中共中央政治局常務委員会は、中国の最高意思決定機関だからだ。

このような中国政治の基本中の基本も知らずに、「習近平に対する賞賛の言葉が政治活動報告書の中に少なかったので、習近平が激怒した」などという、あり得ないゴシップを書いて喜んでいるのは、如何なものか。これではまるで、全人代で初めて習近平が政治活動報告の内容を知ったようで、このような誤読は、日本国民の中国全体へ誤読を招き、日本国民にとって有利な状況をもたらさない。

◆習近平の「核心化」は軍事大改革のため
この一連の誤読の中で、習近平への賞賛の言葉の象徴として、「核心」という言葉を使う回数が少なかったからとしているが、「核心」に関しても誤読しているのは、更に好ましくない。
2月10日付けの本コラム<習総書記「核心化」は軍事大改革のため――日本の報道に見るまちがい>で書いたように、習近平が各省幹部に「核心化」を言わせ始めたのは軍事大改革のせいである。 それまでの軍区の司令官だった者などが、軍区撤廃による不満を持つ。最も危険なのは、軍事大改革前まで絶大な力を持っていた総参謀部など4大総部の撤廃に対する不満だ。
しかし習近平政権としては北朝鮮問題や南シナ海問題などに迅速に対応するため、どうしてもこの軍事大改革を断行しなければならなかった。そのため軍事的指揮系統に関して、習近平を中心に求心力を高めなければならないのだ。なんと言っても、この軍事大改革で習近平は「軍の最高司令官」になったからである。
「核心化」を、習近平の名誉欲のためのごとく説明するのは、中国の軍事戦略を見誤らせるという、日本国民にとっては決定的な不利益をもたらす。そのような甘いものではないこともまた、肝に銘じてほしい。
日本の一部のメディアも中国研究者も、「日本人にとって耳触りのいいこと」を発信しようとする傾向にある。その方が視聴率が取れるし、また研究者の方も注目を集めることができると望むからだろう。この傾向は、「可愛いのは自分であって、真に日本国民を大切だとは思っていない」という姿勢が招いたものではないだろうか。気持ちは分からないではないが、こういった現象を、日本国民のために憂う。」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/endohomare/20160314-00055415/

議事妨害演説は日本でも必要だ - 韓国国会

2016-03-03 14:43:08 | アジア
 日本にも必要だ。

「 韓国の国会で今、フィリバスター(filibuster)が行われている。2月29日午後4時の時点でまだ、野党の「共に民主党」 によるフィリバスターが継続中だ。この時点でフィリバスターの累積時間は140時間を超え、前代未聞の事態となった。同党の議員108人全員がフィリバスターに参加すると申し込んだため、会期末を迎える3月11日まで続く可能性がある。


12時間近く演説を続ける、共に民主党のチョン・チョンレ議員(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
 フィリバスターとは時間の制限なく演説を続けることで、国会の議事を合法的に妨害する行為を指す。ある議案を巡って、賛成と反対意見の議員が交互に登壇して時間制限なく国会の本会議で討論する。韓国では「無制限討論」と呼ばれる。時間制限がないため、討論中に会期が終了すれば、討論していた案件は自動的に次の会期に持ち越される。

国会議長が法案審議の手続きを無視

 発端となったのは「国民保護と公共安全のためのテロ防止法案」をめぐる与野党の対立だ。

 野党3党――共に民主党、正義党、国民の党――は、与党セヌリ党と朴槿恵大統領が早期制定を目指している「テロ防止法」は国民を監視する法であるとして、法案の修正を要求した。ところが国会議長は「国家非常事態のためテロ防止法を早急に制定しないといけない」として同法案を職権上程、これに反発した共に民主党と正義党を中心に23日からフィリバスターを始めた。

 職権上程は委員会を設置せず、国会議長の権限で法案を本会議に上程すること。法律案は本来、まず国会内部で調整して法案を作成。与野党が委員会を作って法案をもう一度審議し、この法案を本会議で審議するか破棄するかを決める。委員会が本会議で審議することを決めたら本会議に上程する。職権上程はこの一連の手続きを無視するものだ。

 国会議長は議員による無記名投票で決まるので、議員の数が多い党から選ばれることが多い。現在のチョン・ウイファ国会議長は与党セヌリ党の議員である。

韓国でもプライバシーとテロ捜査をめぐる議論

 テロ防止法はテロを防止するための法律で、2000年から議論が始まった。しかし韓国の国家機関である国家人権委員会(国民の人権を守るのが使命)と市民団体、国連難民高等弁務官事務室が懸念を示し、成立させることができないまま今日に至る。テロを防止するという名目で国家情報院(大統領直属の情報機関)が過度な権限を持ち、これを乱用すれば人権を侵害する恐れがあるとの理由だ。朴槿恵大統領は、北朝鮮のミサイル発射やパリ・テロ事件などが起きており韓国も安全ではないためテロ防止法を早く立法しないといけないという立場を取っている。

 野党の共に民主党と正義党はテロ防止法の制定には賛成するが、第9条には反対する立場を示している。第9条の内容は次の通り。
「国家情報院長は対テロ活動に必要な情報や資料を収集するため対テロ調査及びテロ行為に及ぶ危険がある人物を追跡できる」
「国家情報院長はテロ危険人物について、出入国、金融取引、通信利用などに関する情報を収集できる」
「国家情報院長はテロ危険人物の個人情報と位置情報を個人情報処理者と位置情報事業者に要求できる」

 野党側は、「根拠なく国家情報院長が疑わしいと思っただけで携帯電話やインターネットの利用内訳を監視し、金融取引を追跡できる法律をつくってはならない」と反対し続いている。テロ防止法の内容をもう一度時間をかけて議論するべきだとして、フィリバスターを始めた。

海外のメディアも注目

 フィリバスターを行っている共に民主党は2月24日、次のように説明した。「韓国には既に国務総理の傘下に対テロセンターがあり、国家対テロ活動指針もある。それにもかかわらず、与党セヌリ党と朴槿恵大統領は国家情報院に全ての権限を集中させるテロ防止法を制定しようとしている。我が党はテロ防止法制定に反対するのではない。無差別に盗聴、監視を行って人権を踏みにじる可能性が高い条項は削除せよと要求しているだけである。国家情報院ではなく国務総理傘下の対テロセンターが権限を持つべきだ。テロ防止法は重要だが、国民の人権を保護するのはもっと重要である」。

 韓国のフィリバスターは欧米でも注目されるようになり、2月28日にはLAタイムズとロイター通信が、27日にはニューヨークタイムズもこの事態を報道した。

“South Korean lawmakers try first filibuster since 1969 to block anti-terrorism bill,” Steven Borowiec, Los Angels Times, Feb 28

“Record-breaking South Korea filibuster runs beyond 100 hours,” HOOYEON KIM, Reuters, Feb 28

“South Korean Filibuster Against Anti-Terror Bill in 5th Day,” THE ASSOCIATED PRESS, FEB. 27

韓国初は金大中元大統領

 韓国でフィリバスターが合法化されたのは2012年のこと。法案は国会で多数決により可否が決まるため、多数党が有利だ。多数党の暴走を少数党が止められるようにするため、国会法を改訂しフィリバスターを再導入することで韓国の与野党が合意した。在籍議員の3分の1(100人以上)が署名すれば国会議長にフィリバスターを要求できる。

 「再導入」と書いたのは、過去に事例があるからだ。

 1964年、当時、初当選の議員だった金大中元大統領が初めて行った。当時の韓国の政界では日韓基本条約が大きなテーマになっていた。野党議員が「日韓協定の交渉過程で、(当時の与党である)共和党が日本からマル秘資金を受け取り政治資金に使用した」と暴露した。共和党は反発し「虚偽の事実を流した」としてその野党議員を告訴。当時の朴正煕大統領(朴槿恵大統領の父)の名誉を棄損した罪も追加した。

 野党側は政治弾圧であると反発したが、共和党所属だった国会議長は国会会期の最後の日にこの野党議員の逮捕同意案を上程しようとした。金大中氏は本会議が終了するまで5時間19分にわたって逮捕に反対する理由について発言を続け、野党議員の逮捕同意案を上程できないようにした。それにもかかわらず、野党議員は国会の会期が終わった後で逮捕された。

 もっとも長かったフィリバスターは1969年に行われたもので、ある議員が10時間15分にわたって発言を続けた。当時の野党議員が与党・共和党が提案した「3選改憲」(大統領の任期を5年ずつ3回、15年できるよう大韓民国憲法を改訂した)に反対してのものだった。この時は、フィリバスターにもかかわらず3選改憲は強行採決され、可決された。

 1973年、国会法が改訂され、フィリバスターは禁じられた。そして2012年、再び国会法が改訂され、フィリバスターが可能となった。

チョン議員は11時間40分にわたって発言

 1969年以来初となった今回のフィリバスターの進行を、インターネット国会放送やインターネット新聞が初日の23日から生中継している。深夜の時間帯でも常に2万人近い人が視聴している。野党議員らがなぜテロ防止法の制定に反対するのか、何が問題なのか、発言はメディアのフィルターを通ることなくそのまま国民に届く。議員らは、韓国メディアが報じることのなかった国家情報院による一般市民の監視、スパイでっちあげ事件などを赤裸々に語った。

 フィリバスターに登場した野党側の議員は平均1人5時間以上発言し、会期末まで時間を稼ごうとしている。米国では案件と関連のない話をしてもフィリバスターとして認められるそうだが、韓国は当該案件に関する話以外は禁じられている。このため、テロ防止法になぜ反対するのか、という一つのテーマについて1人5時間以上も話していることになる。

 17番目に登場した共に民主党のチョン・チョンレ議員は1人で11時間40分も発言し、韓国フィリバスター記録を更新した。同議員はフィリバスターの中で、以下の主張をした。

「ミサイルを発射したのは北朝鮮なのに、なぜ国家情報院は国民の口座の内容を見ようとするのですか。なぜ国民の通話内容を聞こうとするのですか」
「朴槿恵大統領が就任してから4年の間に累計9000万件も一般市民の通信内容を照会しました。令状がないと通信内容を見られない今でもこれだけあるのに、テロ防止法によって令状なく監視できるようになればどうなるでしょうか」
「テロ防止法は、令状なく韓国民の携帯電話を盗聴、銀行口座を追跡、尾行追跡するための法律です。国民を監視したいのですか?」

 その他の議員のフィリバスター発言も「語録」としてオンライン掲示板に出回るほど話題になった。野党議員の中には、学生運動をしていた頃、国家情報院の前身である国家安全企画部に監視され、政権に反対する運動をしたという理由で拷問された経験があるとフィリバスターで告白する人もいた。

 2月27日と28日の週末には、フィリバスターを自分の目で見ようと国会の傍聴を申し込む人が後を絶たなかった。地上波SBSニュースによると、27日の国会傍聴席は満席になった。SBSによると、フィリバスターとテロ防止法への関心は高く、高校生や大学生も傍聴に詰めかけたという。」

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/215834/030100035/?P=1&ST=world

日本共産党の元幹部は中国をどう見ているか/ちきゅう座より

2016-03-01 13:37:18 | アジア
「昨年末、村の日本共産党(以下日共)の人が来て、後援会の会長を引受けてほしいといった。私は当面の問題では一致できるとしても、あなた方が目指す社会主義社会は党員の誰に聞いてもよくわからない。しかも中国が社会主義への道を歩む国だというが自分には到底そう思えないという意見をいって、丁重にお断りした。
こういう話のあとなので、聴濤弘著『マルクスなら今の世界をどう論じるか』(かもがわ出版)という本をインターネット上で見たとき、その書名に魅かれた。
聴濤氏は1935年生まれ。京都大学経済学部中退、1960~64年の5年間旧ソ連留学、日共国際部長・政策委員長を歴任、もと参議院議員という輝かしい経歴の持主である。私は、日共がどんな社会主義を構想しているか知るよりどころになると思ってこの本を読んだ。聴濤氏の著作を読むのは初めてなので、以下の感想には誤解があるかもしれない。

ここでは上記の本の<中国をどうみるか――「社会主義」か「資本主義」か・・・・・・という部分についてだけふれたい。
聴濤氏は冒頭で「マルクスがいまの中国を見れば即座に『社会主義ではない』というにきまっている」という。私もその通りだと思う。さらに「もう少し違った観点からも(マルクスは)『社会主義ではない』というであろうと思っている」とのことである。
「もう少し違った観点」を求めて読んでゆくと、「ネップをはるかに越える」というところで、中国人学者余斌のことばを肯定的に引用している(ネップはロシア革命直後の経済危機脱出のための一時的な市場経済政策)。
余斌氏は、中国の「改革開放」路線はそもそもネップの精神にもとづくものであった。しかし今の中国はネップを「はるかに越えて資本主義化」しているとのべ、さらにレーニンは資本主義の復活を警戒するよう注意していた。国有企業の改革は労働者が企業の管理・運営に参加する改革でなければならない、と発言したということだ。
聴濤氏は、中国経済は完全に市場経済に開放され、それは合理性をもつといいつつも、「市場は必ず暴走する(無政府性)。それに社会的規制をかけていくのは資本主義でも労働者の任務である。にもかかわらず『社会主義』になると市場経済が『決定的』になるというのは理論上は社会主義の否定を意味する」という。これにも同意できる。
さらに最後の「全人代の変容」というところで、聴濤氏は全国人民代表大会を最高の国家機関とし、その代表(議員)の構成変化にふれている(私見では中国の最高権力機関は中共中央常務委員会である)。1978年から83年までは労働者代表と農民代表の合計が47.3%であった。しかし1998年から2003年ではその数値はわずか18.8%で、労働者農民の比重は28.5ポイントも下がっている事実を指摘し、「高い比重を占めるのは政府の官吏(全てが共産党員といっていい)であり、企業家(資本家)の比重も増えている。党大会の構成もほぼ同じ傾向である」という。
以上の議論からすれば、中国は資本主義化が後戻りできないところまで進んでいること、経済改革が労働者参加の方法をとっていないこと、さらに(聴濤氏は解放軍・秘密警察の存在を検討していないが)中国の支配階層は党官僚・資本家であるという結論に導かれると私は考える。

聴濤氏は「中国指導部の経済政策を決定しているのは近代経済学者であり、マルクス主義学者ではない……」という。これはまったくそのとおりで、この20年間経済体制改革の理論的基礎と政策の多くは、欧米留学帰りの新自由主義の影響が強い新制度経済学者が提供してきた。
新自由主義者は市場経済こそが企業と個人の自由な活動を保証し、能力を発揮する体制だと考え、政府の市場への介入は所有権保護やマクロ経済の安定など、市場が正常に動くための条件整備に限られると主張している。彼らのなかでは(一部のマルクス経済学者も含めて)市場経済への移行の過程で何を優先するかについては激しい論争があったが、計画経済に訣別することでは一致していた。

ところが市場経済への移行過程では、計画経済と市場経済、国有企業と非国有企業が併存して腐敗の温床となった。すでに1980年代二重価格制をとったために、国有企業が安価な計画価格で入手した物資を高く市場に流し、官僚のふところを肥やす現象を生んだ。これが「官倒爺」と呼ばれ、89年の天安門事件につながったことはご存知の通りである。
国有企業の民営化の過程でも、党官僚が非常に安価に企業の所有権を私物化することが多く、すでに2006年、個人資産1億元以上の億万長者は3220人、その9割が中共や政府の高級幹部の子女であった。金融・貿易・国土開発・大型プロジェクト・証券など政府による規制の強い分野では、企業の主要なポストが高級幹部の子弟によって占められていた(関志雄『中国を動かす経済学者たち』)。
この構造は、習近平政権によっておよそ3年にわたる腐敗追放が行われたいまも基本的に変らない。300家族の5000人で中国経済を動かしているということばがあるくらいだ(産経2016・2・14)。小平の「先富論」は高級官僚から実践され、世界第2の国富は下層人民にいまだゆきわたらない。労農人民のための福祉政策は長い間政権担当者からかえりみられなかった。

聴濤氏は2013年からの「日中理論会議」の討論内容を紹介し、何回目かの会議のとき国有企業について、「(社会主義建設の)『管制高地』といわれる国有企業は……国家的・社会的見地からの目標がありその実現を基準としているのか、それとも採算性あるいは効率性の重視という観点から結局「収益」追求が基準になっているのかという質問をした」
答は要領を得ずあまりよくわからなかったそうである。問うまでもない。収益追求に決まっている。それがめぐりめぐって労農人民のために使われるなら問題はない。そうではないから問題なのである。目前の国有企業は高級官僚とそれに結びつく経営層の権益確保のための「管制高地」である。中国人学者の答えが要領を得ないのはやむをえない。

新制度経済学者は、中小企業の分野では民営化に進展が見られたが、大型国有企業では完成していない。企業と個人に公平な機会と自由を提供するためには、なお大型国有企業の民営化(株式の国家所有を50%以下にすることも含めて)は避けて通れないとみている。
聴濤氏は2015年9月の中共中央の「国有企業改革を深化するための指導意見」を「市場化を一層進め中国経済の成長を図る」ものと理解している。たしかに文言には企業改革がある。けれども私は「指導意見」は民営化を促進するのではなく、国有企業の(国際的)独占力の強化、「国進民退(市場における国有企業の支配拡大、民営企業の縮小)」をすすめるものだと思う(本ブログ「八ヶ岳山麓から(170)」参照)。
聴濤氏は、「指導意見」が企業経営にかんして企業党の責任者と企業責任者が同一人物であるべしとしていることについて、「国有企業改革の方法を示すものとのして重要である」との見解を示している。
だがこれをやれば、国有資本の特権を拡大することになり、現行の不公平な市場構造と利権構造が維持され、同時に中共中央は企業経営への干渉を強化して、政治権力を維持・安定させるのに役立てることができるのである(「経済」誌2016・1夏目論文参照)。私には党責任者が企業責任者だからといって、従業員ないし国民にとって有利なことをやるとは到底考えられない。

聴濤氏は、中国は資本主義化した道をさらに一層深化させる方向に進むのか、今後ある時点で社会主義的転換が起こるのか、と自問自答している。そして「当然転機が起ることを期待する。期待の論拠は中国が1949年に革命を成功させて以来、さまざまな事件を繰返してきたが、66年間、社会主義の理念を放棄したことはないという点である」
このくだりにはびっくりする。「中共が支配しているから社会主義だ」というのと、「中共は社会主義の理念を放棄していないから、社会主義へやがて転換する」というのはよく似た理屈である。いずれの判断も、中共に労農人民の立場に立った社会改革の意志と能力があるという前提があってはじめて生まれるものである。論拠というにはあまりに脆弱である。聴濤氏は中共もまた変化したことにお気づきでない。中国の一般庶民はもちろん、権力のない何千万という下部党員もほとんどが内心では中共から距離を置いている現実をどうお考えだろうか。

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.ne/
〔opinion5935:160229〕」

http://chikyuza.net/archives/60690

[インタビュー]韓国は先延ばしせずに南北対話の再開を

2016-03-01 12:43:47 | アジア
「 日本外務省の代表的な戦略家だった田中均・日本総合研究所国際戦略研究所理事長が、北朝鮮の4回目の核実験以降、北朝鮮に対し強硬策を展開している韓国政府に向け、制裁はあくまで「問題を解決するための手段であり、それ自体が目的ではない」と指摘した。韓国は北朝鮮核問題の解決という最終目標のために柔軟な姿勢を持つ必要があるとの助言と思われる。
 田中理事長は23日、ハンギョレとのインタビューで、「北朝鮮を相手に軍事的に問題を解決することは不可能なので、外交的交渉のためのシナリオがなければ、制裁も意味を持たない」とし「先延ばしせず、対話を再開すること」を求めた。外務省でアジア大洋州局長と外務審議官(次官補)を務めた田中氏は、2002年9月、小泉純一郎首相の訪朝と平壌宣言を主導した人物で、現実主義的外交観を持っている。

「北朝鮮相手に軍事的な問題解決は不可能 
外交交渉のシナリオなければ 
強力な制裁措置も意味を持たない」

-北朝鮮の4回目の核実験やロケット発射で、東アジアの情勢が急変している。とりわけ米中間では、韓国へのTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備をめぐり熾烈な対立が展開されている。現在の急変している東アジア情勢をどう見るべきか?

 「世界の力のバランスが変わりつつある。米国のリーダーシップが弱まっており、ナショナリズム、宗教、原理主義などが国境を越えて世界各地のいろんな場所で混乱を起こしている。東アジアにおいては、中国が南シナ海などで非常に攻勢的な海洋政策を進めており、北朝鮮は再び核・ミサイル実験を行った。朝鮮半島の情勢を見る際につくづく思うのは、北朝鮮に対して関係諸国が本気で政策を調整し向き合う力が相当衰えているということだ。したがって、このまま状況が進展すると、北朝鮮は次第に核とミサイル能力を高めていくだろう。どこかでこの悪循環を止めなければならない。今のこの時期は、リスクは非常に大きいが、一つのチャンスになり得ると考える」

 -現在、日米韓は、北朝鮮に対して強力な制裁措置を打ち出した。特に韓国は、開城工業団地の中断という極めて強硬なカードを出したが。

 「開城公団の中断は、(北朝鮮が)何をやってもこの事業を続けるわけではないという、韓国の明確な意図を示したという点で重要だったと思う。同時に韓国政府が北朝鮮の行動によっては(工団を)原状回復できる、拡大していけるという基本的な姿勢を持つ必要があるのではないか。政府のとる行動とは、最終的な結果を作り出すためのものであって、措置そのものが目的ではない。したがって、より長い目で開城公団を見る必要もあると思う。北朝鮮を相手にして軍事的な問題解決は不可能であるため、外交的な交渉のためのシナリオがなくてはならない。そうした計画があってこそ、強力な制裁措置が意味を持つようになる」

 -北朝鮮の核問題を解決するために実現可能なプロセスについては。

 「政策調整を通じて、日米韓の間で(問題解決のための)きちんとした計画を作らなければならず、中国もそれに含まれるべきである。交渉のための入口としては、『核・ミサイル実験のモラトリアム(凍結)』が考えられる。そこからスタートして6カ国協議の2005年の9・19合意に立ち戻り、それを実行できる具体的プランをもう一度進めることが望ましいのではないか。時間をかけずに、2005年に合意した様々な措置を執行していくための協議に入るべきだ。当時、合意が上手く移行されなかった一つの理由は、検証可能な核廃棄、すなわち検証措置だった。今まで日米韓は、北朝鮮が合意後も陰で核やミサイルを開発したのではないか、したがって信じられないという信頼性のギャップが非常に大きい。そのため、明確な制裁措置、協議のための前提、そして解決のための時間的要素など、明白なアクセント(強調点)のある枠組みのなかでの解決を、これから推進すべきだろう」

 -結局、重要なのは中国だ。現在、韓国内では、北朝鮮の核問題を解決するために中国の協調が必要な状況下で、朝鮮半島へのTHAAD配備を同時に推進したのは失策だったと指摘される。

 「中国は、THAADによって安全保障体制がダメージを受けるというロジックを打ち出している。しかし、北朝鮮が今のように核とミサイル能力を強化する状況のなかで、THAADのようなミサイル防衛を推進せざるを得ないという韓国の論理は正当だと思う。もちろん韓国は北朝鮮との距離が近いため、THAADが本当に有効なのかについての技術的議論もあり得る。

 問題の核心は北朝鮮の非核化であり、その議論に中国を引き入れることにある。何があっても必ず(朝鮮半島に)THAADを導入する、という必要はないかも知れない。昨年、香港の鳳凰テレビで米国や中国の専門家とテレビでの討論を行ったことがある。当時、ミサイル防衛とTHAADに対して激しい議論が行われた。中国がそれほど(THAADに対して)強く言うのであれば、中国は(北朝鮮を動かすための)梃子を持っているので、北朝鮮の核廃棄に役割を果たすべきである。現在、韓国の有力政治家が核武装の議論をしており、それは結果的に核のドミノ現象を起こし、日本と台湾にまで核が拡散するかも知れないという話が出ている。こうした状況下で、中国が『分かった、我々が北朝鮮に対して協議をし、具体的な解決のためのシナリオに協力する。その間はTHAADの議論を止めてくれ』と言うなら理解ができる。中国が自身の梃子を活用し、北朝鮮の核廃棄に努めるならば、韓国が核武装やTHAADの議論をしなくても済む」

 -これまで日米の一部では、朴槿恵政権の対中政策に対して「中国傾斜」ではないかという懸念を示してきたが。

 「私は、韓国が中国との関係を強化していくことは間違っているとは思わない。経済的に見ても、中国は韓国にとって極めて大きな市場だ。これはゼロサムの問題ではない。ただ、南シナ海など、中国が起こす諸問題について韓国がきちんとした立場を示さなかったり、対米・対日関係を軽視してまで中国に近寄るという印象を与えるのは間違いだと思う。政策の内容よりは、政策の説明の仕方の問題だ。韓国が中国と関係を強化することと、米国と安全保障関係や政治関係を強化することは両立しなければいけない」

 -理事長は、過去2002年、小泉純一郎主要の平壌訪問を導いた主役だ。当時、金大中政権は北朝鮮に対して太陽政策を推進していて、小泉首相は平壌宣言を通じて日朝国交正常化を試みた。しかし、これらの動きは米国のブッシュ政権によって挫折させられた。当時の日朝間の舞台裏交渉を主導した主役として、今の東アジア情勢を見る所感は。

 「先ほど、日米中韓が本気で政策協調をしなければ、問題を変化させるのは不可能だと指摘した。より長いプロセスから見れば、1994年に米朝が枠組み合意を結び、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)を作った。ブッシュ政権はKEDOを本当に嫌がっていた。それを作ったのがクリントン政権だったこともあり、ブッシュ政権は北朝鮮に軽水炉を提供することに極めてネガティブな認識を持っていた。今でも思い出すのだが、当時TCOG(対北朝鮮政策の調整のための日米韓3国間の政策調整監督グループ)という協議の枠組みがあった。そこで3か国が対北朝鮮政策の調整をしたが、「政権が変わったとして米国がこれに対して否定的な態度を示すのは間違いである」と明確に指摘したことがある。小泉訪朝の際にも米国との調整にかなり尽力した。北朝鮮問題を解決するためには(関係国の間に)相当な(国家間)政策調整がなくてはならない。

 金大中大統領はとても尊敬に値する方だったが、当時、米国との政策調整が十分でなかった。2002年9月、小泉首相の訪朝の際にも、米国のブッシュ政権はネオコンの影響力が強かったため、綱渡りをしているようなものだった。当時の(日朝が発表した)平壌宣言は、北朝鮮の核とミサイル問題を国際的な協議で解決しようとする内容だった。そのためには米国を引き込む必要があったが、かなり難しかった。一国の政府を(北朝鮮の核問題解決という)一つの目的に結束させることの困難さと言える。その結果、いま北朝鮮が4回に及ぶ核実験を行った状況にまでなった。これに関しては、米国が悪い、韓国が悪い、日本が悪い、というよりは、関係国間の強い結束と連携がなかったことが今の状況を生み出したと言いたい」

 -最後に、当時の小泉首相の訪朝直後、ジェームズ・ケリー米国務省アジア太平洋次官補が訪朝し、高濃縮ウランによる核開発の疑惑を提起した。そのため基本合意が破棄されることになるが、それに対しては米国が日朝国交正常化を妨げるためのものだったという陰謀論も提起されたことがある。

 「陰謀ではない(笑)。米国には非常に多種多様な意見が存在し、それらの多様な意見を持つ人々が競争しながら政策を作っていく。一つの意見だけが存在するわけではない」

東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-02-25 19:35

http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/732125.html訳H.J」

http://japan.hani.co.kr/arti/international/23435.html

「中国問題」と私のかかわり 子安宣邦(大阪大学名誉教授)

2016-02-27 22:38:18 | アジア
「「中国問題」と私のかかわり ~語り終えざる講演の全文~ 子安宣邦(大阪大学名誉教授 近世日本思想史)


  1)私は「中国」の研究者でも専門家でもない。私は「中国問題」についての一人の外部的な発言者である。外部的というのは、私の発言は日本からの、日本思想史という専門的立場からの、そして方法論的な外部的視点からの発言だということである。このような外部的発言者としての私の「中国問題」についての発言が意味ありとして、私はここに招かれたのであろう。そうであれば外部者である私がなぜ、どのようにして「中国問題」の発言者になったのか、あるいはなぜ私に発言すべき「中国問題」が構成されていったのか、その由来を語ることが、私にここで求められていることではないかと考えた。

  2)私の「中国問題」とのかかわりは台湾から始まった。90年代の終わりの時期、私が対話を求めた「中国儒教」はそこにしかなかったからだ。私がもっとも頻繁に台湾を訪ねた今世紀の初めの時期に、台湾で「東亜儒学」という概念が形成され始めた。私はむしろこの概念形成に必要な人間として呼び出されたのである。私は台湾で儒教の多元化と日本に展開した儒教、ことに江戸儒教の独創的展開とその意義との認知を要求していった。だが私のこの要求はそのまま「東亜儒学」概念に包摂されてしまうことを知った。「東亜儒学」とは一元的「中国儒学」を一元多様体的儒学世界として再構成したものである。

  3)一元多様体的儒学世界とは中華帝国的儒学世界である。この世紀のはじめに台湾から「中華帝国」的文化概念が発信されたのだ。「東亜儒学」が「中華帝国」的文化概念になるのは、「東亜」を「中国文化圏」として実体化することによってである。私は「東亜」を実体としてではなく、方法概念として、「方法としての東亜」として考えるべきことを主張した。ここには「方法としてのアジア」「方法としての中国」として論争的に構成された問題と同種のものがある。ところで大陸中国から距離をもった台湾という位置は、大陸中国に先駆ける形で「中華帝国」的文化概念としての「東亜儒学」概念を形成し、発信させてしまうのである。私は台湾の「東亜儒学」にやがて大陸中国から発信される「帝国」文化的メッセージを予見した。それゆえ私は溝口や汪暉らによってやがて発信されていった「帝国」的言説を読み間違えることはなかった。

  4)「東亜儒学」といった「帝国」的メッセージは台湾の中心・台湾大学が発信したものである。だが台湾南部の成功大学は「台湾儒学」を表題とした国際シンポを開いた。「台湾儒学」という儒学的実体があるわけではない。それは台湾を場として、そこにおける儒教・儒学の多層的・重層的な展開の相を顕わにしながら、一元的儒学を解体する方法論的立場をいうのである。台湾には明代儒学があり、日拠時代のシナ学的儒学があり、土着化した民間儒教があり、そして国民党がもたらした正統儒学がある。中国の内部的他者ともいうべき台湾は、「中国儒学」といった一元論的な閉鎖的文化言説を多層化、多様化して多元論的な地平に開放していくような視点を構成する場でもあるのである。このことは台湾の自立性が中国の政治的多元化にとってもつ重大性を教えている。私の台湾の学生たちによる民主化運動へのサポートはこの台湾認識に基づいている。

  5)私の思想史的作業を通じての中国への認識論的かかわりは、「近代の超克」論をめぐってなされていった(『「近代の超克」とは何か』青土社、2008)。日本の現代思想史における「近代の超克」の問題は、最終的には竹内好の「方法としてのアジア」と溝口雄三の「方法としての中国」にしぼられていった。「近代の超克」とは西欧中心的世界史のアジアによる転換をいう昭和前期日本の西対東という政治地理学的関係性に立った歴史哲学的な理念であった。竹内も溝口も戦後日本においてなお「近代の超克」の課題をそれぞれに持ち続けている。私もまた私なりにポスト構造主義的立場で「近代の超克」の課題を持ち続けている。このことは本書における「近代リベラリズム」をめぐる議論に対するある距離感を私に与えている理由でもある。

  6)竹内は近代を構成してきた民主主義や人権思想に代わる何かが実体として東洋にあるとは考えない。だが「方法」として、民主主義や自由をもう一度世界史的な普遍的概念として輝かす何かがアジアにあるだろうというのである。それが何であるかを竹内はいわない。恐らくそれはアジアとその民衆が歴史的体験を通じてもった何かであるのだろう。その何かを見出していくのはわれわれの課題である。その意味では竹内の「方法としてのアジア」とは未来に向けた問いかけである。この竹内の問いかけを私もまた自分の課題として受け取っている。

  7)溝口は竹内の「方法」とは「実体」に対するものであることを理解しなかった。彼は竹内にならって「方法としての中国」をいいながら、溝口は竹内を読んでいないようだ。彼は竹内の語法だけを模倣して、竹内とは反するテーゼを構成してしまった。彼は歴史的中国を実体化して、この中国を通じて、中国によって世界史を見ること、あるいは読み直すことを「方法としての中国」だというのである。これは昭和戦時期の「近代の超克」論の戦後的な、東洋の盟主を日本から中国に移した形での再現である。溝口は竹内よりも京都学派の高山岩男を熱心に読んだのであろう。溝口は歴史的中国に「独自的近代」の形成を読み出しながら、彼の「方法としての中国」論を基礎づけていった。私は中国の「独自的近代」を読み出していく溝口の中国研究は現代「社会主義」中国の弁証論にしかならないといった(『日本人は中国をどう語って来たか』青土社、2012)。中国の「独自的近代」「独自的社会主義」論は中国共産党といわゆる「左派」社会主義者のイデオロギーである。

  8)私が現代中国の問題に直接かかわるようになったのは、いいかえれば中国が私における「中国問題」を構成するようになったのは、「08憲章」(2008.12.10.)の起草者の一人である劉暁波の拘留問題へのコミットを通じてである。「08憲章」とは現代中国におけるはじめての市民(公民)的立場からする〈もう一つの政治〉への希望の提示であった。この〈劉暁波問題〉にコミットしたことは、実に多くのことを私に教えた。それは中国についてだけではない。日本についても、東アジアについても教えた。第一に私は中国政権を一党支配の専制的全体主義政権としてはっきり認識した。「社会主義」とは全体主義の別名でしかないことを理解した。中国における市場経済の進展と世界経済への参入は中国の政治改革を導くだろうという期待は幻想にすぎないことをはっきりと知ったのである。天安門事件以降、中国政権は「六四」の記憶を地底に埋め込むとともに、一切の体制批判を封じて、一党支配の専制的体制に開き直ったのである。〈劉暁波問題〉にコミットすることを通じて私はこのことを知るとともに「中国問題」の用意ならぬ困難を知ったのである。

  9)この問題が私に教えたもっとも痛切なことは、〈劉暁波問題〉について耳を塞ぎ、口を封じるのは中国だけではない、日本もまたそうだと知ったことである。「08憲章」と劉暁波を抹殺することは中国だけがやるのではない。日本の知識人も研究者たちもまたこれに眼を塞ぐのである。中国における劉暁波の抹殺は党 - 国家権力による抹殺である。日本でなされるのはこの権力に配慮する〈進歩派〉知識人・言論人による抹殺である。私はこうした日本の言論状況の中で〈劉暁波問題〉をめぐる二册の論集を出版され、いま『現代中国のリベラリズム論集』を出版された藤原書店に深い敬意を表せざるにはいられない。

  10)中国の政治体制的問題については問わないという政経分離という国家間関係は経済優先の馴れ合い的関係であって、それは中国の反民主的な全体主義的な政治体制を容認するだけではなく、日本の民主的政治体制をも劣化させていくと私は考えてきた。中韓両国、ことに中国と日本との間にこの数年来強い政治的緊張関係が続いてきた。国際的緊張関係の増大は、国内政治体制の全体主義化と相関的である。中国も韓国も日本も、一党的国家体制であるか、多党的議会主義的国家体制であるかのちがいをこえて、それぞれに政治的自由を抑圧しながら、反民主的な寡頭的専制的政治支配の体制を作り出している。日・中・韓の国家間緊張関係は相互規定的である。国内の全体主義的傾向を相互に作り出しているのである。

  11)だが21世紀的世界は、ナショナリズムの軋みを相互に起こしながら諸国家が、新たな〈帝国〉的統合と分割の過程に入ったとみなされる。この過程が容易ならざるものであることは、ISという反〈帝国〉的過激派国家をこの過程そのものが作り出していることに見ることができる。この過程は私などの予見や予測を許すものではないが、ただ東アジア世界はすでにこの〈帝国〉的再統合の過程にあることを私はいいたい。われわれが直面しているのは21世紀のそうした東アジア世界であり、われわれにおける自由も民主主義もまたこの東アジアの現在から考えられねばならない。

  12)2008年以来、中国はこの東アジア地域における核心的利益を主張するようになった。それは大国中国によるこの地域の再編成の要求である。当然それは日米安保というこの地域の軍事的安全保障体制の見直しの要求を含んだものである。だが日本政府は、ことに安倍政権は日米軍事体制を自立的・軍事的に強化するという方向でしか対応しなかった。そこから〈歴史認識問題〉を切り札にした国家間の緊張がこの地域を支配することになった。

  私は東アジアにこの半世紀余を通じて一つの〈歴史認識〉問題があったのではないと考えている。いまあるのは世界の超大国中国によって、またすでに経済先進国である韓国によって主張される21世紀の〈歴史認識〉問題である。そしてこれはそれぞれにナショナリズムを喚起しながら為される国家的主張である。

  13)しかし対外的なナショナリズムは本質的に国内問題に起因しながら、その問題を隠蔽する。東アジアのそれぞれの国・地域にあるのは増大する経済格差と社会分裂の危機である。われわれが正面せねばならないのはこの社会的危機である。ナショナリズムは国家とともにこの危機を隠蔽し、人びとをそれに直面させることをしない。私は21世紀のナショナリズム(国家主義・民族主義)を歴史的な反動思想だと考えている。〈大中華民族主義〉は中国の〈帝国〉的存立を正当化し、〈帝国〉の厖大な棄民を見捨てようとする。日本のナショナリズムは日米安保による対抗〈帝国〉化のなかで沖縄の住民に長い隷従を強いるのである。ナショナリズムは東アジアに緊張を作り出しながら、この地域を〈帝国〉間の緊張と〈帝国〉的再編の場にしてしまっているのである。

  14)だが繰り返されてきた政経分離という馴れ合い的和解は東アジアの〈帝国〉間でもあるいは再び実現するかもしれない。すでにそのように動いている。しかしそこからもたらされる東アジアの平和とは、みせかけのものでしかない。政治的には何も変わることはない。われわれはこのみせかけの平和ではない、東アジアの本当の平和を、すなわち〈もう一つの東アジア〉を提示し、それを実現しなければならない。それを可能にするのは社会的危機に直面するそれぞれの国・地域における市民たちによる〈もう一つの政治〉を要求し、それを実現しようとする力であり、運動であるだろう。この〈民の力〉を小田実は〈でもくらてぃあ〉といったのである。〈もう一つの東アジア〉を可能にするのはこの〈民の力〉であり、その連帯である。私が台湾における〈もう一つの台湾〉を求める学生・市民の民主的決起に東アジアの希望を見出したのはそれゆえである。

  15)私はやっと「台湾から」という私における始まりの問題にもどった。台湾から「中国問題」へのかかわりを始めた私は、いま台湾の学生・市民の運動に〈もう一つの中国〉〈もう一つの東亜〉への大事な第一歩が踏み出されたことを知ったのである。21世紀のわれわれにおける市民的自由の課題は、この台湾の第一歩を東アジアのわれわれの大きな歩みにしていくことにある。

(  詳しくは子安『帝国か民主かー中国と東アジア問題』(社会評論社、2015)を参照されたい。)

  [今日12月6日、シンポ『現代中国のリベラリズム思潮』(明大現代中国研究所主催)でした講演の語り終えざる講演原稿の全文である。私に40分という講演を依頼する方が間違いなのか、40分に手際よくまとめない講演者が悪いのか。ともあれ思う存分語り得ぬ講演ばかりが続いている。だがこれは国内での話だ。台湾でも韓国でも私は思う存分語ることができたのだが。]

子安宣邦 (大阪大学名誉教授)

※本稿は子安氏のブログからの転載です。

■子安宣邦さん
  思想史家として近代日本の読み直しを進めながら、現代の諸問題についても積極的に発言している。東京、大阪、京都の市民講座で毎月、「論語」「仁斎・童子問」「歎異抄の近代」の講義をしている。近著『近代の超克とは何か』『和辻倫理学を読む』『日本人は中国をどう語ってきたか』(青土社)
(子安氏のツイッターから)

■子安宣邦のブログ -思想史の仕事場からのメッセージ-
http://blog.livedoor.jp/nobukuni_koyasu/archives/49587022.html」

http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201512072209271

中国・国家統計局長の解任と統計の改革/丸山知雄

2016-02-25 14:51:31 | アジア
「 1月19日に中国の国家統計局が2015年のGDP成長率は6.9%だったと発表し、私を含めて世界の少なからぬ中国ウォッチャーが「予想通り『盛った』数字を出してきたな」と思ったのもつかの間、その数字を発表した国家統計局長の王保安氏が「重大な規律違反」によって解任されました。重大な規律違反とは要するに汚職のことですが、王保安氏の前職である財政部時代のことに関して嫌疑がかけられているようです。

 王保安氏の解任を聞いて、私は「さもありなん」との思いを禁じ得ませんでした。というのも彼が局長になってから国家統計局が発表するGDP統計の質がにわかに低下し、統計局が進めようとしていたはずの改革も停滞してしまったからです。

 GDP統計の質の低下というのは、以前このコラムで指摘した工業の成長率の過大評価の疑いです。王保安氏が統計局長に就任した2015年4月に発表された2015年第1四半期のGDP統計以来、工業の成長率と、工業を構成する主要な品目(鉄鋼、電力、自動車、石炭、非鉄金属、半導体など)の生産量の成長率との間に矛盾がみられるようになりました。この矛盾は王氏の局長としての最後の仕事になった2015年通年のGDP統計にもあります。各品目の成長率からみて、工業の成長率は公式発表の6.1%よりずっと低く、0%前後だったと私はみています。もっともこの問題については以前このコラムで詳しく論じましたので、今回は統計の改革について書きます。

中国の所得格差を明らかに
 王氏の前任の国家統計局長は馬建堂氏でした。馬氏はもともと国務院発展研究センターに所属する経済学者だったこともあり、国家統計局長だった間、統計によって中国の真の姿を明らかにすることに情熱を燃やしていました。特に彼の任期(2008~2015年)の最後の数年間にいろいろな改革を進めました。

【参考記事】中国経済「信頼の危機」が投資家の不安をあおる

 まず、2013年1月には、中国の家計所得の不平等度をあらわすジニ係数が2003年まで遡及して一気に公表されました。それまでも世界銀行などによるジニ係数の計測は行われておりましたが、初めて中国の権威ある統計機関によってジニ係数が発表され、中国がアジアの中で所得分配がもっとも不平等であることや、2008年まで所得格差が拡大したのち縮小に転じたことなどが明らかになったのです。

 彼が次に取り組んだのが、地方のGDP統計に含まれる「水分」を抜くことでした。中国では国家統計局が全国の経済計算を行いますが、各省にも統計局があって、そこが省レベルのGDPを計算します。さらにその下の市のレベルでも自分のところの経済統計を作ります。地方に調査に行きますと、「わが省の経済は昨年15%成長した」、「わが市の経済は昨年20%成長した」と景気のいい話が多く、下へ行けば行くほどホラ話が多くなる感があります。

 その結果、中央の国家統計局が発表する全国のGDPと、各地方が発表する地方のGDPとの間に明らかな矛盾がみられるようになりました。中国は31の省・市・自治区で構成されますから、理屈から言えば31の省・市・自治区が発表するそれぞれのGDPを合計すれば、全国のGDPと等しくなるはずです。ところが、図に示すように、実際には31の省・市・自治区のGDPの合計は全国のGDPをかなり上回っています。

maru160208.jpg

 両者の乖離が一番ひどかった2013年などは、地方のGDPの合計が全国のGDPを6兆元以上、率にして11%も上回っていました。この年は、全国のGDP成長率(7.7%)を下回った地方が一つもないという珍事もおきました。もし31の省・市・自治区の合計が全国と等しいとすれば、伸び率でみてもおよそ半数ぐらいの地方は全国の成長率を下回るはずですが、下回った地方が一つもないというのは、およそ半数ぐらいの地方がホラ吹きだったということになります。

 馬建堂局長は誰の目にも明らかなこうした矛盾をなくすために、省・市・自治区のGDPを各地方の統計局ではなく、国家統計局が計算して発表するという改革案を打ち出しました。馬氏は2014年に準備をして2015年から正式に実施するつもりだとも言いました(『21世紀経済報道』2014年1月9日)。

なかなか止まらない地方の成長率誇大報告
 図にみるように2014年には、地方のGDPの合計と全国のGDPとの乖離(水分率)は前年の11%から8%に下がっています。これは改革の結果というよりも、2015年から改革を実施すると馬氏が発言したことのアナウンス効果の現れです。つまり、地方政府が2014年をあんまりかさ上げしすぎると、2015年に国家統計局が正確なGDPを発表した時にマイナス成長になってしまってみっともないことになる、と一部の地方が恐れて2014年の成長率を控え目に出したのです。

【参考記事】鉄鋼のたたき売りに見る中国の危ない改革先延ばし体質

 ところが、2015年4月に馬建堂局長が国家行政学院副院長に転出し、後任の局長に王保安氏が就任するや、地方のGDP統計の改革がうやむやになってしまいました。2015年も相変わらず各地方がそれぞれのGDP成長率を発表しています。国全体の成長率(6.9%)を下回ったのは遼寧省(3.0%)、山西省(3.1%)、黒竜江省(5.7%)、吉林省(6.5%)の4省に限られ、他の地方の多くは相変わらずホラを吹き続けています。

 馬局長が取り組んだもう一つの改革が失業統計の改革でした。中国の公式の失業率は「都市登録失業率」というものです。都市登録失業率は、都市戸籍を持ち、年齢は16歳以上、法定退職年齢(男性60歳、女性50歳)以下で、職がなく、職安に失業者として登録されている人たち、すなわち登録失業者が就業者と登録失業者の合計に対して何パーセントを占めるかを計算して求めます。

本当の失業率を求めて
 その推移をみますと、2003年に4.3%だったのが、その後緩やかに低下して2007年には4.0%になり、2008-9年はリーマンショックの影響でいったん4.3%に上がりますが、翌年に4.1%に下がり、昨年末時点で4.05%、ときわめて狭い範囲で推移しています。この数字自体が捏造されている可能性は低いと私は見ていますが、問題は「登録失業者」が都市部に実際にいる失業者の一部しかカバーしていないことです。

 例えば、1990年代後半には国有企業で大胆な雇用削減に踏み切り、4000万人以上の労働者が解雇されて、東北部などは文字通り失業者であふれたのですが、その時代に都市登録失業率はずっと3.1%で安定していました。国有企業から解雇された人たちには特別の待遇が与えられ、「登録失業者」にはならなかったからです。

 また今日中国の都市では総計1億7000万人近くの「農民工」(農業戸籍を持っていて工業やサービス業で働いている人)が働いていますが、彼らは失業しても都市戸籍を持たないため登録失業者になることができません。景気の変動の影響をもっとも敏感に受けるのは農民工ですから、失業率統計から農民工が除外されてしまうと、失業率は景気のバロメーターとしての機能を余り果たさなくなってしまいます。

 そこで国家統計局では1996年から「都市部登録失業率」に代わる「調査失業率」という統計を試験的に作り始めました(『21世紀経済報道』2015年7月6日)。これは都市部の家庭をサンプル調査して就業や失業の状況を調べて集計するもので、ILOが推奨する失業率の計算方法に沿ったものです。2005年から正式の調査を開始し、10年には調査対象を全国31都市に広げ、13年は65都市に、15年には全国に291あるすべての地区レベルの市(蘇州市、無錫市、桂林市・・・などです)に広げました。そのデータは馬建堂局長らが記者会見などで断片的に触れる以外にはまだ公表されていません。きわめてインパクトが大きい数字なので、準備に慎重を期しているのでしょう。

 「調査失業率」は毎月、都市ごとに作られますし、そこには農民工の失業者や国有企業からの失業者もカウントされますから、もし毎月、都市ごとに公表されるようになれば、例えば今年行われることになっているキョンシー企業退治(前回の本コラム参照)によって遼寧省や山西省で失業者が増える様子がきめ細かく観察できるようになるでしょう。

 国家統計局は今年から調査失業率を公式の失業率として公表し、政府はこれを政策目標の設定などでも活用するとしていました。ところが、昨年8月以降は12月末に全国の調査失業率が5.01%だったと発表されただけで、調査失業率に関して何の情報も公表されませんでした。

 やはり王保安氏は統計改革に対する熱意が低く、彼が局長だった10か月間、統計の改革が停滞したと言わざるをえません。新たに国家統計局長になる人には、ぜひ中国の統計の信頼性と客観性を高めるよう頑張っていただきたいものです。」

http://www.newsweekjapan.jp/marukawa/2016/02/post-8_1.php

メディア管理を強める中国/遠藤誉

2016-02-25 13:54:35 | アジア
「2月18日、中国における昔の身分を公開することへの警告が中国政府の公的機関から来た。その翌日、習近平総書記が新聞世論工作座談会を開催したことを知る。中国でいま何が起きているのか、当事者として分析を試みたい。

◆中国政府のシンクタンク中国社会科学院から警告メールが
2月18日、中国政府のシンクタンクの一つである中国社会科学院社会学研究所から一通のメールが届いた。社会学研究所の公印が捺してある公文書だ。
そこには「あなたは確かにかつて我が研究所の客員教授だったが、今は違う。もう十数年も学術的交流を持っていない。したがって公的な場において“中国社会科学院社会学研究所客員教授”(現任)という肩書を使ってはならない」という趣旨のことが書いてある。
さらに「この文書を受け取ったら、必ずすぐに返事をするように」とのこと。

いったい何が起きたのか?
あるいは何が起きようとしているのか?
このような警告メールをもらったのは初めてのことなので驚いた。

筆者はすぐに返事を書いた。おおむね以下のような内容だ。
――懐かしいお便りをありがとうございます。貴方も書いておられる通り、私はかつて、まちがいなく貴研究所の客員教授でした。したがって「歴任したことがある」と、過去の履歴として書いています。「現任」と書いたことは、ここ十数年ほどありません。過去の履歴を偽りなく書くことは、むしろ義務であり、正当な権利だと思います。ご安心ください。

ついでに、「なぜまた突然このような公文書を出すのか」に関しても質問をしておいた。
もちろん返事は来ない。
何かあるなと思っていると、翌19日、習近平総書記(以下、敬称省略)が党としての宣伝活動に関して重要講話を発表したことを知った。
なるほど。これだったのか。
社会科学院では、党と政府に何か大きな動きがあるときには、事前にスタッフ全員に緊急招集がかかり、党と政府の方針に忠実に従って行動するよう指令がかかる。
公文書の捺印日時は2016年2月13日だ。
つまり1週間以上前から、すべては19日の重要講話に向かって、一糸乱れず動いていたことになる。

◆党の「新聞世論工作座談会」開催
19日の中央テレビ(CCTV)は、習近平が人民日報社、新華社、中央テレビ局を訪問した様子を特集番組で伝え続けた。いずれも党と政府の最大宣伝メディア機関である。
迎える各社の職員たちは、大歓声と熱烈な拍手で習近平を迎え、「好(ハオ)!」という声を一斉に発した。
「好(ハオ)!」というのは、好きか嫌いかではなく、良いか悪いかを評価するときの「良い!」「「すばらしい!」を表現するときに使う言葉だ。たとえば京劇などの芝居を見るときに、すばらしい場面になると、役者さんへの賞賛の言葉を表すためなどに対して使われてきたという習慣がある。
この「ハオ!」を、迎える職員が一斉に発したということは、「上から」の命令があってのことだろう。
中国政府と党の3大メディアを視察した後、習近平は人民大会堂で「党の新聞世論工作座談会(中国共産党メディア世論活動座談会)を主宰し、おおむね以下のような「重要講話」を発表した。

――真実性は報道の命だ。マスコミは取り上げた問題をまっすぐに捉え、批判的な報道をする際には事実を正確に述べ、客観的に分析しなければならない。報道活動では理念、内容、ジャンル、形式、方法、手段、業態、体制、メカニズムなどを刷新して、方向性と効果を強化しなければならない。時代の変化に合わせた改革を指導し、(インターネットなど)新しいメディアを活用して、政治的方向性の堅持を優先せよ。党性を保つという原則、マルクス主義の報道観や世論の正確な方向性、ポジティブな宣伝を主導とする方針をしっかり堅持していくべきだ。

おおむねこのような内容だが、それにしても「真実性は報道の命だ」とはよく言ったものだと思う。真実を覆い隠して党に都合の良い報道ばかりをしているからこそ、このような「重要講話」を出さざるを得ないのではないのか。
「マルクス主義の報道観」とは何のことかと言うと、主として「共産党がいかに素晴らしいかを宣伝する政治的方向性を持った報道」という意味である。
これは1930年代の毛沢東たちがよく使った方法で、「民心を奮い立たせるような文言を編み出して、一般民衆を中国共産党の側に引き寄せる」魔術のようなものだ。本当は民のためなど思っていなくて、いかにして中国共産党が繁栄し強大になるかしか考えてないのに、「人民こそが主人公」と叫び、世論を形成していく。
これが中国共産党にとっての「世論の正確な方向性」なのである。

◆なぜこのような「重要講話」が必要になったのか?
それはインターネットのソーシャルネットワーク・サービスの手段が爆発的に発達してきたからだ。たとえば「微博(ウェイボー)」(中国式ツイッター)に続き、2013年からは「微信(ウェイシン)」(ウィーチャット、WeChat)が流行り始め、情報交換の自由度は格段と大きくなってきた。
誰も官製メディアなど見やしない。
中華人民共和国を建国するにあたり、中国共産党(毛沢東)が国民党(蒋介石)から政権を奪うことができたのは「銃とペンの力」だった。
毛沢東の文才は、たしかに宣伝文書を通した呼び掛けによって民心をつかんだ。その紙代や印刷機および印刷代を支えたのは日本外務省の機密費である。拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』に詳述したように、毛沢東は中共スパイ潘漢年に日本外務省・岩井公館の岩井英一と接触させて大金を入手し、それにより「ペンと銃」による政権奪還に成功した。

しかし今はどうか。
「銃」はしっかり充実させているが、「銃」では人心は買えない。
習近平は「第二の毛沢東」として毛沢東の威信を借りようとしているが、頼りとなる「党のペン」に、網民(ネット市民、ネットユーザー)は見向きもしないのである。特に微博も微信も、携帯で互いに通信できる。国家の検閲は徹底できない。

人民網には「強国論壇」があり、「五毛党」(安い報酬で政府のために党と政府を讃えるコメントを書く人たち)により占められてはいるが、ときどき、「あれっ?」と思うようなコメントが書いてあることがある。こういった「ミス」を生まないためにも、官製メディアの士気を高め、「重要講話」を出さなければならなかったのだろう。

◆なぜこの時期なのか?
実は3月5日には年に一回の全人代(日本の国会に近い立法機関)が開催される。そこでは第13回五カ年計画が決議され、動き始める。しかし同時に米韓の軍事演習も始まり、北朝鮮がどう動くか気が気ではない。人民の関心は、どうしても「万里の防火壁(ファイアー・ウォール)」を越えて入ってくる壁の外からの情報に目が行く。本当のことを知りたいのだ。海外メディアも全人代取材のために中国入りするから、この時期は官製メディアを引き締めておかなければならない。

2016年1月26日、中国政府の工信部(工業信息化部)は中国の携帯使用数が13.6億になったと発表した。一人が二つ以上の携帯を持っていることもあるので、携帯の使用数と人数は必ずしも一致はしない。しかし赤ちゃんやかなりの高齢者以外は、ほとんどが携帯を持っていると言っていいだろう。普及率は「100人が95.5個の携帯を使用している」という計算になるそうだ。

網民の数は6.88億人(2015年末データ)。そのうち携帯でネットにアクセスする網民の数は6.20億人に達している。
互いに携帯で通信しあい、携帯で「外界」にアクセスし、「真相」を知ろうとする。
その力を阻むことは、もうできない。」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/endohomare/20160225-00054733/

Xi Jinping’s News Alert: Chinese Media Must Serve the Party/NYT

2016-02-24 19:02:38 | アジア
"BEIJING ― The Chinese news media covered President Xi Jinping’s most recent public appearances with adulation befitting a demigod.

Front-page headlines across the nation trumpeted Mr. Xi’s visits to the headquarters of the three main Communist Party and state news organizations on Friday. Photographs showed fawning journalists crowding around Mr. Xi, who sat at an anchor’s desk at the state television network. One media official wrote the president an adoring poem.

The blanket coverage reflected the brazen and far-reaching media policy announced by Mr. Xi on his choreographed tour: The Chinese news media exists to serve as a propaganda tool for the Communist Party, and it must pledge its fealty to Mr. Xi.

Though the party has been tightening its control over the media since Mr. Xi became the top leader in late 2012, the new policy removes any doubt that in the view of the president and party chief, the media should be first and foremost a party mouthpiece. Mr. Xi wants to push the party’s message domestically ― and internationally ― across all media platforms, including advertising and entertainment, scholars say. That is a shift from his predecessor, Hu Jintao, who stressed the need for the state-run media to become more responsive to the modern digital environment and shape or channel public opinion.

President Xi Jinping of China, center, was applauded when he visited the newsroom of People’s Daily in Beijing on Friday. Credit Lan Hongguang/Xinhua, via Associated Press
“All news media run by the party must work to speak for the party’s will and its propositions, and protect the party’s authority and unity,” Mr. Xi told the gathered media officials on Friday, according to Xinhua, the state news agency.

Mr. Xi also wants to curb the presence of foreign media companies. Last week, government agencies announced a regulation that would prevent foreign companies from publishing and distributing content online in China. That could affect Microsoft, Apple and Amazon, among others.

Mr. Xi’s appearances on Friday were another major effort in his campaign to build a personality cult that equates him with the well-being of the party and the nation. The act of biao tai, or pledging loyalty, by newsroom leaders was one that Mr. Xi has demanded of military leaders and other important figures in the last year.

That tightening of control has come as Mr. Xi faces pressure about China’s economy, partywide corruption and widespread public frustration over pollution and environmental degradation.

An essay in China Daily, the official English-language newspaper, offered an explanation on Monday about why Mr. Xi was unveiling his policy now.

“It is necessary for the media to restore people’s trust in the party, especially as the economy has entered a new normal and suggestions that it is declining and dragging down the global economy have emerged,” the essay said.

“The nation’s media outlets are essential to political stability, and the leadership cannot afford to wait for them to catch up with the times,” it said.

Mr. Xi’s directives would also make it harder for foreign governments to determine which Chinese journalists operating in their countries are legitimate news gatherers and which ones are agents serving propaganda, intelligence or other official interests. The major party and state-run news organizations have been greatly expanding their operations overseas, including in the United States.

Mr. Xi’s new policy came about because “despite the continuing tightening of control of the media over the last three years, Xi is not fully assured that the state media, even the most central ones such as Xinhua and CCTV, are fully under his control,” said Xiao Qiang, a scholar in Berkeley, Calif., who researches the party’s information control.

David Bandurski, the editor of the China Media Project at the University of Hong Kong, said that “under Xi Jinping, the centrality of the party is explicit for every single medium.”

Continue reading the main story
Today’s Headlines: Asia Edition
Get news and analysis from Asia and around the world delivered to your inbox every day in the Asian morning.


“I think the sense is, ‘We own you, we run you, we tell you how things work,’ ” he said. “ ‘The party is the center, and you serve our agenda.’ This is much more central now, and it’s being defined for all media platforms, from social media to commercial media.”

On Monday, in a sign of how officials were embracing Mr. Xi’s new policy, a website managed by the propaganda unit of the Beijing municipal party committee attacked a popular property tycoon, Ren Zhiqiang, who had criticized Mr. Xi’s speech on Friday. The site accused Mr. Ren, a party member, of having “lost his party spirit” and “opposing the party” after he wrote on his microblog that the media should be serving the people and not the party. The posts by Mr. Ren have been deleted.

Under Mr. Xi, there has been a steady rollout of policies aimed at tightening control of every aspect of the media, including social networks, films and books.

The latest such regulation, announced last week by two agencies, said that starting March 10, foreign companies ― even ones that form joint ventures with Chinese partners ― would not be allowed to publish and distribute online content. Many foreign publishers and producers of online content aimed at a Chinese audience are based overseas, but a handful have significant operations or joint ventures in China that may be in jeopardy, including Microsoft and Apple, which has a Chinese App Store. Amazon sells e-books in China and operates Amazon.cn.

Articles on Mr. Xi’s policy speech, which was not immediately released in full, said the president also demanded that journalists and news organizations “strictly adhere to the news viewpoint of Marxism” and “raise high the banner” ― phrases that mean advancing the interests of the party.

Mr. Xi’s policy has been building piecemeal. In 2013, the government began requiring all Chinese journalists to take a test in order to get their press cards renewed, with the aim, among other things, of getting news gatherers to “uphold the Marxist journalistic ideals more consciously.”

That year, China’s top legal bodies said the criminal charge of “picking quarrels and provoking trouble” could apply to online speech. Since then, the authorities have used it as a cudgel to silence dissent on the Internet.

In several prominent cases, officials have persecuted journalists for everything from sharing information with foreigners to “spreading rumors” related to the stock markets and the economy.

Chinese news organizations, including formerly adventurous and commercially driven ones like Southern Weekly, are toeing the line. People’s Daily has become a publicity machine for Mr. Xi. On one day in December, his name appeared in 11 of the 12 headlines on the front page.

Some political analysts note that Mr. Xi’s attempts to impose total control over the media say as much about his personal insecurities as they do about any Marxist-Leninist ideological vision that he holds.

“The most important thing is for him to announce his absolute authority,” said Zhang Lifan, a historian. “He doesn’t feel effective and confident in dealing with problems, and he lacks a sense of security.”

Mr. Zhang added, “He worries the Chinese Communist Party will lose political power, and he also worries that his peers will shove him from his position.”"

http://www.nytimes.com/2016/02/23/world/asia/china-media-policy-xi-jinping.html?ref=asia&_r=0

韓国の政治構造/大西裕「歴代大統領における『理念』と『実利』」より

2016-02-23 16:43:24 | アジア
 大西裕氏は神戸大学の教授であり、『先進国・韓国の憂鬱』(中興新書)でサントリー学芸賞を受賞した気鋭の研究者である。

 その彼が『中央公論』の2016年3月号、つまり最新号に「歴代大統領における『理念』と『実利』」という6頁の論考を寄せている(44-49頁)。そこでは慰安婦問題に関する日韓の合意に関する彼の見解が示されているのだが、この合意がうまくいかないのではないかという懸念が、韓国政治の仕組みの説明とともに展開されている。おかげで合意が抱える問題点はもとより、韓国政治のあり方が実に理解しやすくなっている。つまり私たち日本人にわかりにくい韓国政治 - 例えば昔締結された日韓条約をひっくり返すようなことがなぜ公式に提起されるのか - といったことが、きちんと説明されているのである。以下その点に関わる部分を引用を交えつつ紹介したい(もちろん一番いいのは近くの図書館で中央公論を手に取ることですが)。

 大西氏はまず初めに「韓国の政治自体に二つの懸念を持っている。一つは大統領の当事者能力で、もう一つは韓国政治の理念志向である。」と述べている。

 そして大統領の当事者能力に関しては、次の3点を指摘している。まず第1点。大統領が任期5年の1期限りであり、それに対して議員は4年サイクルで再選可能なことから、与党議員さえ大統領と対立することがあり得ることを指摘している。つまり大統領は自らの権力基盤からの支持を得ることさえ容易ではないのである。

 第2点は「合意を法案化するには野党の賛成も必要だということ」である。法案を議会で通すため、というよりまず議会に出すためには、与野党間で対立のある議案の場合は在籍議員の5分の3の賛成が必要となっている(2012年成立の国会先進化法)。大西氏は「これは事実上野党に拒否権を与えたものであり、結果として朴菫恵政権下での法案成立率は三十%台に低迷している』(45頁)と書いている。

 そして第三点として韓国の政治権力のあり方そのものの問題がある。大西によれば「韓国の憲法体制は憲法機関(国会、大統領、憲法裁判所等)間対立を基本としており、大統領と国会が合意して実施した政策であっても憲法裁判所を初めとする司法機関によって覆される可能性がある」(45頁)。しかもその場合憲法裁判所は日本の最高裁判所と異なって - こちらはこちらで行政への従属という大問題がある - 「司法積極主義をとっている」(45頁)。つまり日本なら行政による統治行為として司法判断の対象とならないものが、韓国では違憲法令審査権を積極的に行使して行政等の決定を覆すことがあり、それは例えばノ・ムヒョン政権のときの首都移転法等に実際に見られることだという。そしてこれは「外交交渉の絡む案件についても同様」(46頁)だとされる。

 ちなみにこのような政治の特徴は韓国だけに固有のものではないという。司法積極主義はドイツ等で採用された現代型憲法にはよくある現象であり、「政治の司法化」として世界的な傾向だという(49頁)。

 そこで大西は慰安婦合意を決着させるためには政府レベルを超えた韓国内での政治的合意が必要だと指摘するが、それがまた容易ではないとする。そこで問題になるのが「韓国政治の理念志向」ということである。

 韓国政治では、保守派と進歩派の対立が厳しく、対立軸はアメリカと北朝鮮だとされる。保守派はアメリカを中心とする経済秩序と安保秩序に立ち、進歩派は現在の秩序が半島の南北分断を固定化し民族の自主性を損なっているとして現状批判的だとされる。

 この理念対立が経済格差拡大や、対日世論と交錯して、実用主義的な政治判断を困難にする傾向・実例があるという。こうなってくると日韓両国政府の間の合意、それも文書なき合意がこの問題の最終決着になるかどうかはかなり怪しいと言わざるを得ないだろう。朴政権が世論を納得させ得るか、次の政権に引き継げるか、問題は多いといえるし、大西氏自身もそのように書いている(49頁参照)。

 私としては、この合意の行く末もさることながら、行政優位で三権分立が形骸化している日本政治にとって、むしろ韓国政治のあり方が参照さるべき存在なのではないかという気がする。皆さんはどのようにお考えだろうか。

中国の負債問題、2019年がピークか/朝鮮日報

2016-02-23 14:08:49 | アジア
「 ブルームバーグ通信が21日、大手金融機関のエコノミスト12人を対象に中国の負債問題に対する見方を聞いたところ、7人が中国の債務の対国内総生産(GDP)比が少なくとも2019年まで上昇すると答え、4人は20年以降も負債が増えると予想した。回答者が予想した対GDP比は平均283%だった。

 最近スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、09年から昨年6月までに中国の負債増加率が年11%に達し、5年後には通貨危機直前の韓国と似た状況になると予想した。中国企業の債務は現在対GDP比が163.1%で、韓国の通貨危機当時(116.1%)だけでなく、日本のバブル崩壊後の構造調整期(149.2%)や米金融危機(72.6%)当時よりも高い。こうした懸念があるにもかかわらず、最近の経済成長鈍化懸念を受け、融資が再び増えている。中国人民銀行(中央銀行)によると、先月の人民元建て新規融資は2兆5100億元(43兆4800億円)で、過去最高を記録した。

 ゴールドマン・サックスは最近のリポートで、中国が負債急増で深刻な景気低迷や金融危機に陥る可能性があると警告した。ゴールドマン・サックス個人資産運用のシャーミン・モサバル・ラフマニ最高投資責任者(CIO)は「主要国は全て債務急増で金融危機や長期間の景気低迷を経験した。歴史は中国も同じ運命に直面したことを示している」と指摘した。

 専門家は中国の債務調整過程で銀行のシステム危機まで生じるかどうかは不透明だが、投資家はそうしたリスクにも備えるべきだと指摘した。KDB大宇証券のコ・スンヒ研究員は「中国は他国と異なり、国有企業の割合が高く、主な商業銀行も政府がコントロールしているため、銀行はシステムへの衝撃を受けずに構造調整を終えることができるとみられるが、その過程でかなりの雑音が生じかねない。銀行の不良債権、シャドーバンキング、地方債などに関する統計の信頼性が低いため、どんな突発的要因が出てくるか見通すことが難しい」と分析した。

金垠廷(キム・ウンジョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版」

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/02/23/2016022300675.html