白夜の炎

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トランプこそアメリカの素顔

2016-03-18 14:23:03 |  北米
 トランプおろしが激しい。アメリカの共和党「主流派」や主流のメディアがその中心だとされる。

 あたかも主流派が大統領を送り出せなければアメリカの政治は間違った方向に進み、出せば正義が実現されるかのようである。

 本当だろうか。

 共和党主流派の政権、例えばブッシュジュニアの政権が何をやったか思い出してみればよい。

 彼の時中東が破壊され、今日のテロと難民があふれかえる原因となったのではなかったか。

 共和党主流派の政治とは軍産複合体がエンジョイできる政治であり、エネルギー産業が大もうけできる政治である。レーガン、ブッシュ・シニア、全員がそうだ。(民主党も同様だがここではふれない)

 共和党主流派が懸念しているのは、トランプが余りにも粗雑に振る舞って、共和党政治の水準を世界にばくろしてしまうことである。

 いってみれば自民党の杉村大蔵のように、ペラペラと本音で共和党の本心を暴露してしまうことを恐れているだけである。

 もう一つ心配事があるとすれば、自分たちの完全なパペット(カイライ)2ならないかもしれない、ということだろう。

 どちらにしても外部の人間にとっては大同小異。

 どちらに転んでも大してましなことにはならないだろう。

サンダース、ホワイトハウスを襲撃する社会主義者/ルモンド・ディプロマティークより

2016-03-16 12:46:21 |  北米
「 米国左派の有権者にとって、バーニー・サンダースはなんともおなじみの経歴の持ち主だ。ヴァーモント州選出の上院議員で、党員ではないが民主党大統領候補の一人である彼は大半の進歩主義者同様、2016年11月の大統領選挙に向けて公然と姿を見せた。

 サンダースは1941年、ポーランドからのユダヤ系移民を両親にブルックリンで生まれ、学生時代に米国社会党青年部の「青年社会主義者同盟(YPSL)」に加入した。10年も経たないうちに党が分裂し崩壊すると、サンダースはがむしゃらにその時代の闘争に身を投じた。すなわち公民権闘争やベトナム戦争反対闘争などだ。その後、山深いヴァーモント州の小さな団体「自由統一党」の公認候補として上院選と知事選を果敢に戦ったが、落選した。

 1970年代後半には、一時、政治活動に休止符を打ち、教育プロジェクトで働いた。1979年に「フォークウェイズ・レコード・コレクション」で、サンダースはアメリカ社会党の大統領候補だったユージーン・V・デブスの演説を朗読した。この中で彼は第二の青春を次のような宣言に捧げている。「私は資本主義の兵士ではない。私はプロレタリアートの革命家だ。(中略)私はたったひとつの闘いを除き、すべての戦争に反対する」。これは米国の福祉政策を狙い撃ちしたレーガンの“反革命的”政策を支持しようとしていた国家への反逆の信仰告白だった。

 皆が驚いたことだが、それから2年後にサンダースはヴァーモント州最大の市、バーリントンの市長になった。地元週刊紙ヴァーモント・ヴァンガード・プレスは、「バーリントン人民共和国」という特別号を発行して敬意を表した。サンダースは市長室の新しいデスクにデブスの写真を飾った。その後、市長を3期務めた後、1990年に無所属の連邦下院議員として国政に加わり、2006年にヴァーモント州選出の上院議員になった。デブスの写真は、現在はワシントンのキャピトル・ヒルのオフィスに飾られている。

雲散霧消した左翼勢力の連合

 サンダースは厳密には独立系だが、民主党員たちと統一会派を組んでおり、その社会主義は、ボリシェビキ・シンパだったデブスよりも、スウェーデンのオロフ・パルメ首相(1969年~76年、82年~86年)の社会主義に近い。サンダースは、スカンジナビアの福祉国家の成果とアメリカ社会の不公平とを比較し、子供の貧困と誰もが利用できる医療制度の不在を強調している。

 サンダースにとって、社会主義はアメリカの進歩義者の長くて豊かな歴史を伝承することだが、そのほとんどは国の進歩に関する公的な言説から抹消されてきた。ヴァーモントの上院議員としての彼の政治的経歴は、民主党内左翼のそれに連なっている。民主党全国委員会の委員長だったハワード・ディーンが2005年5月22日に「ミート・ザ・プレス」番組でこう語っている。「彼は基本的に進歩派民主党員だ。事実、バーニー・サンダースは、投票時には、98%、民主党員と同じ投票をする」

 だから国会内唯一の独立メンバーである彼は革命の信奉者ではないし、英国労働党左派のジェレミー・コービンのような急進派でもない(1)。サンダースが重視しているのは、所有と支配ではなく、再分配をめぐる闘いだ。最近の演説で彼は「政府が生産手段を所有する(2)」のが良いとは考えていないと訴えた。サンダースの急進派としての公約は対抗馬のヒラリー・クリントンの企業に友好的な政策と対照的だ。

 民主党のリーダーと社会主義者のライバル、これほど毛色の違う候補者もいない。一方のクリントンが助言者と綿密に打ち合わせをした上で、注意深く吟味した言葉を選んでいるのに対し、サンダースの方は対照的に飾りのない口調で話しかけている。こうしたスタイルの違いの問題だけではない。サンダースが公民権運動の活動家だった1964年に、クリントンは超保守派の共和党大統領候補バリー・ゴールドウォーターを支持していた。だが本当の違いは政治ヴィジョンの中身だ。2003年、イラク戦争に賛成票を投じたクリントンは聴衆に、ニューヨーク州上院議員として「ウォール街の代表」であることを印象づけた。その競争相手で平和活動家のサンダースは、「政治革命」を求めている。社会主義の社会の建設ではなく、フランスで政治家のジャン=リュック・メランションが「市民革命」について語るようなやり方で、人々を民主的な生活に包含させる革命だ。

 21世紀のアメリカで社会主義者がこんなにも人気を博していることは、驚くべきことだ。左派にルーツをもつ政治家は欧州では珍しくないが、米国ではそうではない。米国では政権を争い、大規模な再分配制度を構築する大衆政党が育たなかったからだ。それでも、20世紀の大半、民主党員の多くは、こうした制度に道を開く努力を続けてきた。労働組合、公民権団体、アソシエーションなどだ。その実現を支えてきた社会的勢力はいまも健在だ。だが、民主党員が資本の利益に資する党の基本的な在り方に歯止めをかけることができないとしたら、さしたる抵抗もなしに公共的な議論の場から脇へ押しやられてしまう。民主党員と党の指導者たちとの政策の隔たりが拡大するにつれ、サンダースに耳を傾ける人々が増えるのは驚くにあたらない。

 ヒラリー・クリントンのイデオロギーの背景は、「第三の道」を標榜したニューデモクラットの伝統につらなる。ニューデモクラットたちは1980年代後半に、いまは亡き民主党指導者会議(DLC)の指揮下に結集した。その基本方針は、レーガン政権時代の保守主義の勝利への反撃を旗印にしていた。社会運動の衰退によって公平な税政策は終わりを告げ、個人保護より企業支援へと向かうスリムな政府の促進を前提としていた。個人には社会保障の形だけの残渣物を与えておくだけで良かった。

 1990年代を通して、ビル・クリントンとヒラリーが民主党の政策の変容に果たした役割は否定できない。予算の帳尻を合わせ「皆が慣れ親しんできた福祉政策」に終止符を打ったのは、ロナルド・レーガンではなく、ビル・クリントンだった。ファーストレディであり弁護士のヒラリーは、ニューデモクラットたちが思いついた改革案を支持した。例えば最貧困層の社会保障を削減する1996年の福祉改革法案だ(3)。オバマ大統領は、2008年の予備選におけるヒラリー・クリントンとの対戦で変革を公約したにも関わらず、未完の医療保険改革は別にして、旧民主党指導者会議が掲げた課題の多くを継承してきた。経済界と進んで妥協する姿勢に失望した民主党支持層もある。

 特に2008年の金融危機以後、左翼のいくつかの活動がクリントン路線にとって逆風となっている。オキュパイ運動の出現、シカゴ教員組合のストライキ、ファストフード店労働者たちの起こしたアクション、警察の暴力への抗議活動、収入格差についての公共の議論などだ。メディアはティーパーティーの大言壮語やドナルド・トランプの逆上の方を声高に報道したが、こうした行動や活動のすべてがアメリカ左翼の再出現を示唆している。

 サンダースは、雲散霧消し、理解してもらうのにさえ苦労するようになった左翼勢力を強化し組織化するために大統領選挙に立候補したのだと説明している。「出馬するとしたら、私の仕事は勝利を手にし、政治を変えることができる連合をまとめることだ」(4)。サンダースの選挙運動が長期的にどんな効果をもたらすかは未知数だが、6ヵ月の論戦の後、米国の人々の琴線に触れているのは間違いない。彼は集会の幾つかでは数万人の支持者を集めた。彼は、アイオワ州の民主党予備選挙でクリントンに10ポイントの差を付けられているが、2番目のニューハンプシャー州ではクリントンをリードしている[訳注:2月1日のアイオワ州でクリントンが僅差で勝利したが、2月9日のニューハンプシャー州ではサンダースが勝利した]。驚いたことに、この社会主義者の候補は、米国の政治家にとって必須条件である資金集めゲームでも遅れを取っていない。12月中旬、サンダースは68万1000人から4150万ドル近くを集めた。この追撃により、ヒラリー・クリントンは立ち位置の再考を迫られた。例えば、以前は支持していた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に反対の立場を取ると表明した。

 サンダースには克服不可能に近い障壁が立ちふさがっている。伝統的に民主党に有利な州のほとんどで、有権者はいまもクリントンの方が大統領本選での当選の可能性が高いとみている(世論調査では、サンダースが共和党候補者に勝てるとみられている)。その上、「スーパー代議員」と呼ばれる現職の公職者や元公職者たちでサンダース支援を公約している者はほとんどいない。こうしたスーパー代議員たちは、民主党全国大会の代議員数の2割を占めている。民主党の中で最も進歩的なエリザベス・ウォレンやジェシー・ジャクソン、ビル・デ・ブラシオですら、公式にサーダースへの支持を表明していない。

 サンダースを支援する労働組合が限られていることは、米国の労働運動の現状を物語っている。11月に組合員200万人を数えるサービス従業員国際労働組合(SEIU)が、多くの地方支部の反対を押し切って、クリントン支援を決めた。2ヵ月後にはアメリカ教員組合連盟(AFT)の支援も支援を決めた。クリントンは既に組合員総数にして950万人を数える組合の支援を取り付けているが、全体の3分の2に相当する(5)。

こけおどしのトランプ

 わずかな例外もある。組合員数18万人強の全米看護師連合と20万人の米国郵便事務労働者組合(APWU)は、いずれもサンダースを支援している。12月には、アメリカ最大のメディア組合で、70万人の組合員を擁するアメリカ通信労働組合(CWA)が、サンダース支援を表明した。しかし労働界?の大物たちは最有力候補とたもとを分かつことを好まない。市民団体や共同体ネットワークの多くでも同じことがいえる。黒人の教会指導者や州議会議員、その他、サンダースへのなじみが薄く、党のアウトサイダーへの支援には及び腰の民間のネットワークにも同じことがいえる。

 クリントンは、さして心配するには及ばない。全国的にみれば、誰よりも知名度が高く、一番人気の民主党の大立者であり、共和党の予備選におけるトランプの電撃的な成功と論法を警戒する予備選投票者たちから最大の信頼を得ている。民主党中道派は、自らを「良くはないが比較的まし」な輩として打ち出すことで、長らく支配勢力を維持してきたのだ。

 サンダースの選挙戦は、1968年のユージーン・マッカーシーや1972年のジョージ・マクガバンのような、民主党を内から組み立て直そうとする運動ではない。1980年代にジェシー・ジャクソンの選挙戦から生まれた「全米虹の連合」(National Rainbow Coalition)のようなものを構築できるほど強力な左派でもない。だが、主流派の政治から疎外された何百万もの人々が現状への不満の声をあげることができる手立てであり、だからこそ、サンダースは有権者の声を反響している。政府は庶民を助けることができ、改革の道は資本に手綱をつけて譲歩を勝ち取る力をもつ運動を構築することだと、サンダースは信じている。

 この数ヵ月で人気が高まっているにもかかわらず、この社会主義者の候補者の支援者は数千にとどまっている。人口3億2500万人の国にしては少数だ。だが、社会主義的な考えを公共の議論の場に押し出したり、サンダースが言うところの「億万長者クラス」を現状の元凶だとして非難する人々に論議を提供したりするには十分な数かもしれない。

 民主党の体質や左からの反乱を吸い取ってきた歴史を考えれば、予備選内での活動という戦略には疑問の余地がある。だが、ヴァーモント州の上院議員であるサンダースにとって失うものはわずかだが、得るものは多い。「社会主義」という物騒な言葉にそっぽを向くことのない、新しい大衆が出現するのだから。



(1) Alex Nunns, « Jeremy Corbyn, l’homme à abattre », Le Monde diplomatique, octobre 2015.参照。
(2) 2015年11月19日、ワシントンD.C.ジョージタウン大学での演説。
(3) Loïc Wacquant, « Quand le président Clinton “réforme” la pauvreté », Le Monde diplomatique, septembre 1996.参照。
(4) « Bernie Sanders is thinking about running for president », The Nation, New York, 18 mars 2014.
(5) Brian Mahoney et Marianne Levine, « SEIU endorses Clinton », Politico.com, 17 novembre 2015.


(ル・モンド・ディプロマティーク日本語・電子版2016年1月号)」

http://www.diplo.jp/articles16/1601-1unsocialiste.html

考えてみればもっともなアメリカ大統領候補者選び

2016-03-03 19:52:44 |  北米
 アメリカの大統領候補者選びがかまびすしい。

 しかしよく考えればもっともな状況では?

 共和党、つまり金持ちのための党の候補は金持ちのトランプ。ピッタリである。

 共和党主流派なる連中は、自分たちの姿と本質が「ありのままに」-少し古いが-登場したことに慌ててるのではなかろうか。

 金持ちによる、金持ちのための、軍事力と諜報能力による政治と軍事。これがレーガン政権以降、というよりも戦後一貫した共和党の政治ではないか。

 他方民主党の方はと言えば、サンダース、貧乏人のための、まともな判断力のある、誠実な政治を掲げている。これぞ本来のアメリカンデモクラシーであり、民主党が進むべき道である。

 アフリカ系の皆さん。クリントンなどに騙されてはいけません。彼女は旦那同様、あなた方の力を利用して、自分ちの好きなことをやろうとしているだけです。もう彼女は民主党の草の根の一員だった時の彼女とは違います。そもそも若いときは共和党員でした。彼女は結局アメリカの国家権力の魔物に取り付かれてしまったようです。リビアをめちゃくちゃにしたのは国務長官のヒラリーですよ。忘れないようにしましょう。

 金持ちの党からは金持ちのトランプが。

 そうでない方からは、貧乏ではないかもしれないが金持ちではない社会民主主義社が登場。

 ピッタリである。

 それにしても二党からしか大統領にでられないというのは、そもそも間違っているのではないか。第3の候補に立候補するのは決まって金持ち。今のアメリカは基本的に金持ちの寡頭制支配の国ということだ。アメリカの民主主義について、もう少し疑ってかかった方がよいと思います。

スパイク・リー監督がラジオでバーニー・サンダース支持を訴える/ベリタより

2016-02-25 14:32:39 |  北米
「  映画監督のスパイク・リー氏がラジオでバーニー・サンダース候補の支持を訴えた。次の民主党の大統領予備選は南部のサウスカロライナ州で行われるが、ここは民主党有権者の55%くらいが黒人だとされる。これまでヒラリー・クリントン候補が黒人票をおさえていた。予想でもヒラリー・クリントン候補支持が60%台で、サンダース支持が20%台と大きく開いていた。

  ヒラリー・クリントン候補の夫、ビル・クリントン候補は南部アーカンソー州知事をつとめていたこともあり、南部の黒人の間で強い支持がある。今、全米でサンダース支持が広がりつつあるとはいえ、まだ壁がある。そうした中で、黒人に影響力がある映画監督のスパイク・リー監督が登壇した。
https://www.youtube.com/watch?v=sXmCJgzmoP0

  リー監督は「サウス・カロライナよ、目を覚ませ!」と呼びかける。「サンダースは企業から資金をもらっていない。ということはホワイトハウスに入った時に縛りがなく正しいことができるということだ。」

  2008年にリーマンショックが起きて以後、多くの人々が職を失ったが、一般に黒人の解雇の方が白人より早く、また米経済が持ち直してからも白人の雇用の方が黒人より早いという差別的な状況が報じられてきた。2014年に続発したミズーリ州やニューヨーク州など各地の黒人の暴動やデモは米警察の黒人に対する差別的な姿勢に端を発するものだったが、その背景には不況の中で拡大してきた白人と黒人の間の収入の差があった。2014年の風刺漫画には黒人暴動を呆然とテレビでホワイトハウスで見守るオバマ大統領の姿が描かれた。

  しかし、スパイク・リー監督はリーマンショック以後のオバマ大統領の経済政策を基本的に肯定し、サンダース氏が上院議員として黒人系のオバマ大統領を支えてきたことを強調。さらにキング牧師とともに歩き、人種間の平等を求めた公民権運動の活動家だったことも伝えた。


■2014年 全米に暴動が伝播、「白人警官不起訴」の衝撃(東洋経済)
http://toyokeizai.net/articles/-/54516


■ネバダ州でヒラリー・クリントン候補が僅差で勝利 民主党予備選で鍵を握る黒人票
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201602221217381


■「アメリカを探して」 バーニー・サンダース陣営の選挙広告にサイモン&ガーファンクルの歌を使用
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201601312049490

http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201602242247503

アメリカ人は馬鹿じゃない! - 米大統領予備選からブッシュを追放、次はクリントン? -/ちきゅう座より

2016-02-25 14:27:14 |  北米
「 ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(63)は20日、米大統領予備選が行われた南部サウスカロライナ州で支持者に向かって、選挙戦からの撤退を発表しました。 ジェブは、ご存知イラク戦争の戦犯であるジョージ・ブッシュ元大統領の弟です。 ブッシュと同じく前評判では、民主党大統領候補指名間違いなしと自負してきたヒラリー・クリントン元国長官、、 社会主義者のバーニー・サンダースに追い上げられてアップアップしています。 彼女もイラク戦争を支持し、<アラブの春嵐>に火を点けた戦犯です。 憎まれ口をたたくトランプはアンチ・イラク戦争です。 ブッシュ元大統領にぶら下がるジェブに向かって、「イラク戦争は間違いだった!」と、攻撃しました。 良くも悪くも正直な人です。

(1)オバマVSトランプ、法王VSトランプ:
 2016年2月16日、米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議のためカリフォルニア州を訪れていたオバマ大統領は、記者会見でドナルド・トランプに関する質問を受け、「トランプは大統領にならないと信じている」と、明言した。「大統領は真剣な仕事だと、国民は思っている。私は国民を信頼している。トランプを大統領に選ばない」と、述べた。さらにオバマ大統領は、「大統領職は、トーク番組とかリアリティー番組の司会とは違う。プロモーションでもマーケティングでもない、大変な仕事だ。ニュースの話題になるためなら、何でもやる、何にでも媚びるという類のものではない」と、マジ顔でトランプを批判した。
 これに対してトランプは、「アメリカに大損害を与えた大統領にけなされるのは、褒められているようなもんだ」と、切り返した。

 2月16日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は、メキシコから帰路の機中会見で、米大統領選でトランプについて問われ、「橋ではなく壁を築くことを考える人は、キリスト教徒ではない」と述べた。これに対し、トランプ氏は「宗教指導者が他人の信仰を疑問視するとは恥ずべきことだ。俺は紛れもないキリスト教徒だ」と反論し、「お祈りだけしてろ!俺が大統領になるよう祈ってろ!!」と支持者の前で捨て台詞を吐いた。

(2)トランプのご意見:
 2016年の2月も末に近づくと、マスコミも一般アメリカ国民も、何かあるとトランプにお伺いをたてるようになってきた。アップル・ソフトウエア多国籍企業とFBIの裁判事件がその一例だ。ことは、FBI=連邦捜査局が死亡したテロ容疑者のアイホンのロック機能を解除できず、FBIを管轄する司法省は裁判所を通じて、製造元のアップルに対してロック機能の解除に協力するよう命令したが、アップルは2月16日に拒否したことから騒動が持ち上がった。これを受けて司法省は19日、裁判所に対して、協力を促すようアップルに強く命じることを改めて求める異例の要請を行った。要請では「アップルは、技術的にはロックを解除できるのに、ビジネス・イメージを気にして協力することを拒んでいる」と強く批判している。一方のアップルは「協力を拒む理由として、これが前例となれば、政府が利用者のメッセージの傍受や居場所の追跡などを行うソフトの開発をアップルに強いることもできるようになる」と、反発している。
 そして、ここでトランプの登場となる。トランプは19日のサウスカロライナ州での集会で「アップル製品をボイコットしよう!」と主張。集会後はツイッターに「これからはサムスン電子の製品だけ使おう!」と投稿し、アップルにFBIの捜査への協力を迫った。
アメリカ国民はトランプの言うことに耳を傾ける。一刀両断に切り捨てる小気味良さが、アメリカ人に受けているようだ。残念ながら、オバマの意見を聞かなくなってきた。もう、トランプがアメリカ大統領みたいだ。トランプの横で頷く大統領夫人候補は文字通りのスーパーモデルで、オバマ夫人には太刀打ちできない。あの、格差反対デモでセントラルパークに立てこもった99%派のニューヨークっ子たちが、「次期大統領はトランプ」と、言うようになってきた。ヒットラーが台頭してきた時のような、雰囲気だ。ちなみにトランプはドイツ系移民だ。

(3)アメリカ・ユダヤ人のお好みは:
 2016年2月⒛日のサウスカロライ米大統領予備選挙結果を受けてイスラエル紙ハーレツは、「トランプは共和党大統領指名争いで、トップに立った。しかし、彼はフォックス・ニュースに噛みつき、9・11テロ対策でのブッシュ前大統領をこき下ろし、ローマ法王をこけにした。彼にははっきりした政策も目標もないうえに、昨日言った事を今日ひっくり返す。彼は女性も中南米人も黒人も手当たり次第に侮辱し、「アメリカを再び偉大にする」というスローガンを叫ぶ。この一言で彼のファンは参ってしまう」と、分析している。そして、「ユダヤ系アメリカ人が支持する共和党の希望はマルコ・ルビオしかいないのでは?」と、語っている。ドイツ系アメリカ人のトランプは、ユダヤ系アメリカ人のお好みではないらしい。トランプも「お前ら(アメリカのユダヤ人財閥)は俺を支持しないんだから、俺もお前らの金を当てにしない。これって、クレイジーか?」と、強がってみせる。彼の娘、イヴァンカはユダヤ教徒で、自動的に彼の孫はユダヤ人になる。
 2月の初めに行われたユダヤ系アメリカ人の共和党集会で、トランプは「俺に任せてくれたら、もっとうまくイスラエルとやっていける」と、ユダヤ教に精通していることを強調している。これって、、マジ?

(4)イスラエル・ユダヤ人のお好みは:
 2016年2月⒛日のイスラエル紙ハーレツによると、「アメリカには、二人の偉大なユダヤ人がアメリカ大統領選挙にからんでいる。一人目は大富豪のアデルソンで、二人目は大統領候補のバーニーだ。アメリカに移住したユダヤ人にとってこの大統領選挙は、ユダヤ社会主義の伝統とユダヤ資金の活用という、外見上は相反する問題をつきつけている」と、分析している。特にアデルソン財閥の金が共和党大統領候補の誰にわたるのか?注目の的になっている。アデルソン旦那はマルコ・ルビオが、アデルソンかみさんはテッド・クルーズがお気に入りだそうだ。これからの大統領予備選を見てどっちにするか決めるそうだ。
 もう一人のアメリカ大統領候補バーニー・サンダースに関して、イスラエルのユダヤ人は暖かく応援している。バーニーは純血のユダヤ系アメリカ人だ。

 バーニーは学生の頃、イスラエルのキブツで学んだことがある。キブツはヘブライ語で<集団>を意味し、集産主義的共同村で、そこで社会主義に基づいた共同生活をする。
2月17日、キブツの同窓生たちが、「我々が若いころ、ユダヤ人がアメリカ大統領になれるなんて夢にも思ってなかった。バーニーには頑張ってほしいね!」と、キブツ本部からエールを送った。2月9日、ガイ・ポルニクがイスラエル紙ハーレツに、「74才のユダヤ爺さんがアメリカの体制をどうやって変えていくのか?貧しい人々はアイホン持ってるか?サンダースは無視された、そして馬鹿にされた。しかし、刻々と無力無能になっていくアメリカの体制を変革できるスーパーマン、、それは多分、彼に違いない」と書いた。
 イスラエル紙ハーレツの<2016U.S.選挙>特集項では、「もし我々が元イスラエル・ロビーストのジャック・アブラモッフの説を信じるなら、<バーニーは、選挙資金徴収に集中すべきだ。さもなければ大統領選に敗れる>ということになる。それは、ワシントン流の考えにすぎない」と、書いた。

 2016年2月20日のネバダ米大統領予備選結果を受けてBBC英国TVが「ヒラリーの勝利はバーニーの敗北を意味するものではない」と、解説しました。 「数か月前、ヒラリー陣営はネバダでバーニーを撤退に追い込むと息巻いていた。結果はヒラリーが勝ったが、バーニーは25%の大差を5%までに縮めた。バーニー陣営は11の州で一斉に選挙が行われる3月1日のスーパーチューズデイに向け戦うと誓った」と、BBCは付け加えました。 
 日本の米大統領選挙野次馬としては、トランプVSバーニーの本番対決に期待しています。 億万長者VS社会主義者、ドイツ系移民VSユダヤ系移民、けばいかみさんVS地味な女房、、などなど、とても分かりやすい争点になります。
 バーニーさんとバーニーさんを支持するアメリカ99%の貧乏人の皆さん、もうひと踏ん張りお願いします。」

http://chikyuza.net/archives/60549

「サンダース世代」とは何か?社会主義者・サンダース氏を 若者が支持する理由/ハフポトより

2016-02-09 17:58:09 |  北米
「現実的な考え方をする友人や同僚たちは、これまで1年以上にわたってバーニー・サンダース上院議員を軽く見ていた。ニューハンプシャーの予備選挙でサンダース氏が優勢だと知ってようやく慌て始めている。そして「これはサンダースの最後の勝利だ、彼の支持者は現実に目を向けよう、11月の大統領選で勝つには一致団結してクリントンを応援しなければいけない」と主張している。

しかし友人たちは、重要なポイントを見逃している。サンダース氏が武器にしているのは「世代」と「経済」だ。

サンダースを支持しているミレニアル世代(2000年以降に成人した世代)は、大恐慌以来最悪といわれる経済の中で生きてきた。もしかすると大恐慌より悪いかもしれない。大恐慌の時は、経済が大打撃を受けたことを社会は理解していたし、それが政治的な理由によるものであることも理解していた。

しかし、ミレニアル世代の苦境は、最近まで個人の問題だと考えられていた。どうやって不景気を切り抜けるか、ひどい選択肢からどうやってよいキャリアを選ぶか。これが政治的な問題だと社会が気付くのは、時間の問題だった。

ミレニアル世代は、大きな借金を抱えながら社会人生活をスタートさせる最初の世代だ。大学に通うために、たくさんのお金を借りねばならなかったのだ。共和党が国と州レベルで大学の予算をカットしたため、授業料と入学金が跳ね上がったのが大きな原因の一つだ。だから共和党により責任がある。しかし民主党も共和党も、大学の授業料を借金することを問題視していなかった。その点では共犯だ。

学生や若者たちが、このひどい状態にいつ抗議の声を上げるのだろうと私は考えていた。2016年の大統領選挙で、ようやく彼らは抗議を始めている。公立大学の授業料無償化を掲げるサンダース氏への支持を表明することによって。

大学のための借金は、ミレニアル世代ストーリーの一部に過ぎない。社会に出てからも苦労が続く。今、正規雇用が減り短期雇用が増えている。この傾向を、物質主義の否定や柔軟性な生き方などとロマンチックに解釈する人もいる。しかし、そんな考え方はもう古い。

短期の仕事をしながら、家族を持ち家を買おうとする35歳になったと想像してみてほしい。家を所有する若い世代が急激に減ったと言われているが、それは彼らの多くが、借金を抱えている上に雇用が不安定なので、ローンが組めないのだ。

若者たちの夢を阻んでいるのは、富裕層の富裕層による富裕層のための経済だ。サンダース氏はクリントン氏よりも、この歪んだ経済システムを変えようとしている。経済ゲームのルールを支配しているのがウォール街だという現実を訴え、彼らの支配を終わらせようとしているのだ。

アイオワ州での党員集会で、サンダース氏を支持する有権者とクリントン氏を支持する有権者の年齢差は政治史上記録に残るほど大きかった。ニューハンプシャー州でも同じことが起きる可能性は高い。クリントン氏や彼女に支持者にとってはいいニュースではない。

現実主義の友人たちは、このサンダース現象を下火にしようとやっきになっている。

彼らはまずこう言う。サンダースは余りに左派すぎるため大統領に選ばれる可能性は少ない。確かに彼は左派だ。しかし2016年は、普通の年ではない。まず、国内経済が不安定だ。これはようやく大統領選挙戦の論点として議論され始めた。それに政治やイデオロギーの面でも誰が勝つかわからなくなってきた。外国人、政府、経済、なんだって非難できる。

もし共和党からトランプ氏のようなポピュリストが指名された場合、彼を支持する労働者クラスの票を勝ち取るためには、民主党もポピュリスト候補を立てた方がいいだろう。経験のある候補者にとっては、苦しい大統領選になりそうだ。

対共和党候補では、サンダース氏の方がクリントン氏よりも勝つ見込みが高いという世論調査結果がある。これは有権者がまだサンダース氏の考えをよく理解していなくて、共和党もまだ本気でサンダース氏を攻撃していないからだと現実主義の友人たちは主張する。

彼らはまた、サンダース氏の年齢も弱点として挙げる。選挙が行われる11月、彼は75歳になる。若者が、史上最高齢の候補者を支持するという矛盾した構図だ。サンダースは年をとりすぎていると言う一方で、友人たちはクリントン氏がダメだった場合は、代わりに副大統領のジョー・バイデン氏を担ぎ上げるつもりだ。サンダース氏より一つ若いだけなのだが。

また、サンダース氏の提案の多くは現実的でないとも指摘する。サンダース氏は国民全員が加入できる医療保険制度をつくると言っているが、非常にお金がかかるうえ、上院でも下院でも共和党が過半数を占めている現状で実現しないだろう。1月のブログで書いたが、国民全員をカバーする医療保険制度をつくるには、まず55歳~64歳、次に子供、そして最後に国民全員を加入させるという手順を踏んだ方が、政治的にも財政的に実現可能だ。

しかし、サンダース氏の提案はお金がかかりすぎるし非現実的という主張には、こう反論できる。まず、社会保障制度や市民権といった進歩的で素晴らしい仕組みは、現実的な考えをする少数派の政治家たちから始まり、実現に至ったのだ。

そして、かたくなに妥協しようとしない共和党に対して、はたして中道寄りリベラルのクリントン氏が、徹底したリベラル派のサンダース氏より上手く立ち回れるものだろうか? 共和党がクリントン氏に対して手を緩めるとは思えない。

最後に友人たちは、サンダース氏に政府高官としての経験がないことを挙げる。しかし一方で、大統領になる前に上院議員を4年務めただけのオバマ氏を擁護しているのだ。サンダース氏にはもっと長い政治家のキャリアがある。

サンダース氏、そしてサンダース氏が変革しようとしている現状への大きな不満を軽く見るのをやめた方がいいだろう。

とはいえ、サンダース氏はまだ劣勢だとみられている。これから、クリントン氏が圧倒的優位に立つ地方予備選挙が控えている。75歳、自称・民主社会主義者、ユダヤ系、無神論者。誰がこんな候補者が現れると思っただろう。この意外性も、彼に勢いを与えている。

サンダース氏が支持を広げているという事実、クリントン氏と互角の競争をしているという事実は、彼がアメリカにくすぶっている強力な何かを象徴していることを意味している。それを理解できないのは、大バカ者くらいだ。」

http://www.huffingtonpost.jp/robert-kuttner/sanders-generation_b_9191046.html?utm_hp_ref=japan

アメリカ人に東アジアのニュースを観る機会はない/ハンギョレより

2016-02-01 17:40:42 |  北米
「 米国人は東アジアに気を遣わない。 非常にきつい表現なので、いくつか但し書を付けようと思う。 まず米国人は中国や日本、そして韓国料理を楽しむ。 東アジアを訪問するのも好きだ。 たまには香港のアクション映画やパク・チャンウク監督の最新映画も観るだろう。
 しかし緊急な時事問題と関連して、多くの米国人は東アジアで起きていることを追跡しようとはしない。 ニュースを追いかけなければならないアジア問題専門家たちについての話ではない。母国の出来事に関心を持つ移民者共同体の話でもない。 私は平均的な米国人、また彼らが全国ネットワークの放送会社を通じて視聴するニュースに関して言っているだけだ。

 米国の三大主要テレビネットワークのニュース報道を追跡して毎年出される「ティンダルレポート(The Tyndall Report)」によれば、米国の視聴者たちは東アジアのニュースを見ていない。 この地域のどのニュースも上位20位内に入ることはなかった。 米国の外交政策と関連して昨年これらの放送会社のニュースは、IS、シリアとイラク戦争、ヨーロッパ難民危機、パリでのテロリズム、イランとの核交渉に焦点を合わせた。 上位圏のニュースに中国も日本も韓国もいなかった。

 外交政策記事は放送会社のニュース報道の6.5%しか占めていない。 したがって米国人は概して外交政策に大きな関心を傾けない。 その上、2015年の記事目録を上位150個のニュースに拡大しても、そこに東アジアはない。

 昨年、多くはなかったが報道された主題の一つはハリケーン「パトリシア」だった。パトリシアは昨年10月に西半球を襲った最も強力なサイクロンだった。 しかしメキシコの農村地域を襲い、予想ほどには被害をこうむらなかったし、死亡者も数人だけだった。 パトリシアは米国にはほとんど影響がなく、テキサス州南側に限って影響を及ぼした。

 パトリシアは、昨年三つの放送会社を合わせて概略20分程度の報道比重を占めた。 ここから分かるように進入障壁がかなり低かったはずなのに、東アジア関連ニュースはそれさえ超えられなかった。 パトリシアが米中関係、北朝鮮の状況、安倍晋三首相の平和憲法覆しなどより多くの報道を占めたのだ。

 米国人が日本の教科書問題について怒りを持たなかったり、中国経済に対して心配しなかったり、また最近よじれた南北関係を理解できない理由が気になると思う。 それはおそらく米国人が東アジアでどんなことが起きているかを知らないためだろう。

 フェイスブックや英文版ニュース供給会社を通じて情報を得る多様なニッチ消費者にとり、東アジアは興味深い地域だ。 しかし世論が形成される大規模ニュース市場では東アジアの姿はない。


ジョン・ペッパー米外交政策フォーカス所長=資料写真//ハンギョレ新聞社
 バラク・オバマ政権は米国の対外政策をアジア側に方向転換した「太平洋回帰」戦略を実行したにもかかわらず、この地域に対する報道不足は続いている。 オバマ政権は多くの兵器をアジア諸国に売ってきたし、米軍の配備も一部再調整した。 また、攻撃的に環太平洋経済パートナーシップ協定(TPP)を推進した。 しかし、放送会社のニュース報道の観点で見れば、それらのどれ一つを取ってもニュースバリューがないということだ。 外交政策に関する限り、ニュースの焦点は依然として中東に合わされている。
 東アジアは今年劇的にニュースの舞台に復帰するかも知れない。 米国防総省は中国や北朝鮮を怖がらせるため、若干の腕力を見せようと決めることもありうる。 米国大統領候補はおそらく儀礼的な「中国たたき」に没頭するだろう。 こういうことのために平均的な米国人は東アジア地域のニュースを見る機会が増えるだろう。

 とは言え、オバマ政権が任期の最後の年にわざわざ波風を立てるようなことをするとは考えにくい。 軍事的介入を準備しているわけでもない。 一方で北朝鮮との核交渉のようなものを作り出すために政治的資本を投資する様子もない。 中国とも超大型構想には着手しないだろう。 したがって、今年も巨大放送や米国の世論では良くも悪くも東アジアのニュースは見られそうにない。

ジョン・ペッパー米外交政策フォーカス所長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-01-31 18:55
http://www.hani.co.kr/arti/international/america/728659.html 訳J.S(1862字)」

http://japan.hani.co.kr/arti/international/23213.html

「安倍政治は米国の対日提言の“完コピ”

2016-01-04 15:57:17 |  北米
「山本太郎が追及を広めた「安倍政治は米国の対日提言の“完コピ”」
2015.10.26  <山本太郎氏インタビュー>

 安保法制に関連した一連の参議院採択では、「ひとり牛歩」や「お焼香パフォーマンス」を行い物議を醸した参議院議員の山本太郎氏。日本は今後、どういう選択をするべきか伺った。

――米国追従の根拠となる、「アーミテージ・ナイ報告」について、追及を広めたのは山本議員だとの話があります。

山本:8月19日の安特委で「安倍政権の政策は、アーミテージ・ナイ報告の完全コピーではないか」と質問しました。その約1か月前に玉城デニー幹事長(沖縄3区)から「機会があったら質問したかった」と聞いたのがきっかけです。報告を改めて読んだら「(米国の要求の)完全コピーだ」「ひどいな」とびっくりしました。安保法制だけでなく、原発再稼働からTPP、特定秘密保護法、武器輸出三原則に至るまで見事に一致していたからです。経団連などアメリカの大企業側に立っている人たちにとって、ここに列挙された政策が必要ということがよくわかりました。

山本太郎
参議院会館で取材陣に対し、アーミテージ・ナイリポートの内容について熱弁をふるう山本太郎氏
――国会審議で野党議員が「武器弾薬の輸送」についての中身を詰めていくと、銃弾や砲弾や手榴弾、果てはミサイルや核兵器まで条文上は輸送可能になっていることが明らかになりました。

山本:それで「誰が望んだのか」と追及されて、去年7月に集団的自衛権行使容認の閣議決定で憲法解釈を変えたのも、今回の安保法制が作られていくのも「『日米ガイドラインの改定』でアメリカから求められたことが発端だった」と政府は認めた。「米軍のニーズ」と抜け抜けと言うこと自体、安倍政権はおかしくなっている。この国は誰のものなのか。

 今回の安保法制でも、安倍総理は米国議会で夏までの成立を約束しました。日本国内で言っていないことをアメリカに渡ってから宣言することが多い。麻生財務大臣が「日本の水道を民営化する」と’13年4月に宣言したのも、日本国内ではなく米国のCSISです。「おまえ、何さまだ」「おいおい誰が『国民の財産を勝手に民営化していい』と言ったのか」とツッコみたくなりましたが、「ここで発言したら実行に移すしかない」というように見えます。「宣言させられる」と言ったほうがいいかもしれません。結果、米国の対日要望を次々と受け入れている。

――日本は今後、どういう選択をするべきだと思いますか。

山本:米軍の準機関紙『スターズ・アンド・ストライプス(星条旗新聞)』は5月13日付で「アメリカの防衛予算は、すでに日本の自衛隊を当てにしている。’16年のアメリカ防衛予算は新法案可決が前提で、4万人の米軍兵員を削減、防衛予算も減らす方向」と書いてありました。米国の権威ある外交政策研究季刊誌『フォーリン・ポリシー』(7月16日付)も「日本の軍事面での役割が拡大、日本政府が多くの最新の装置を買うことは、ペンタゴンとアメリカの防衛産業にとって良いニュース」とあり、日本政府の購入予定兵器と社名を列挙していました。米国側が国防予算削減でカネがかからない上に、自国の国防産業の金儲けになるメリットを淡々と語っているのに比べ、日本側は悪夢の近未来図をひた隠しにしているのです。

――今回の法案成立で、PKO活動における「駆け付け警護」が可能になりました。

山本:イラクに派遣された自衛隊員のうち、(退職者を除く)自衛隊員の自殺者は合計56人。一方、アメリカの退役軍人省は’10年度予算としてメンタルヘルス対策費45億6000万ドルを組んでいます。これほどの予算が日本でも必要になることを安倍政権は考えているのか。予算がつけば、他の社会保障費が削られるのは必至。日本は結局、戦争国家になって財政破綻することになりかねないのです。

【山本太郎氏】
’74年生まれ。俳優を経て’13年に参議院議員に。現在、「生活の党と山本太郎となかまたち」に所属

 安保法制の政府案を「違憲」と断言した3人の憲法学者の一人、小林節・慶應義塾大学名誉教授は、今回の法案成立を「米軍の二軍として自衛隊を海外派遣するもの」「“戦費破産”を招きかねない」と警告。

「憲法守れ」と多くの人が参加した国会前デモ
「憲法守れ」と多くの人が参加した国会前デモ
「憲法9条2項で日本は『交戦権を持たない』と定めている。日本には専守防衛を除いて、外国に出かけて戦争をする法的資格はありません。同盟国が戦争に巻き込まれた場合に助ける『集団的自衛権』の行使は、日本はできないことになっていたのです。

 安倍首相が官房副長官だった10年以上前のことです。飛行機内で彼と乗り合わせ、私は『憲法改正をしないで集団的自衛権行使・自衛隊の海外派兵はできるのか』という財界からの質問に答えるための資料を開いていて、彼が非常に関心を示しました。そこで私は『憲法を改正しないと無理です。憲法上(戦力にはあたらない)“必要最小限”の自衛権行使を認められていますが、海外派兵はそれを超えている。派兵が“必要”だと拡大解釈をしても“必要最小限”で歯止めがかかるから無理です』とレクチャーしました。

 それなのに安倍首相は改憲をせず“解釈改憲”で『安全保障環境の変化』を理由に海外派兵可能な法案を強行採決しました。『必要』も『最小限』の部分も拡大させたのです」

 今回の安保法制によって「日本の自衛隊が米軍の二軍のような存在になる」と小林教授は指摘する。

「米国の意向を受けた首相の一存で、自衛隊がホルムズ海峡をはじめ地球の裏側にまで派兵される。

 自衛隊が米軍と一緒に行動することは、イスラム教徒にとっては“敵対宣言”にも等しい。テロが起きたニューヨークやロンドン、パリと同じように、東京や大阪、名古屋へのテロの脅威が増すでしょう」

小林節・慶應義塾大学名誉教授
「憲法改正を言わずして、解釈上の改憲が進んでしまう」と小林教授は警告する
 この法案は米国の都合ばかりを優先し、日本にとって何のメリットもないと小林教授は強調する。

「第二次世界大戦後、米国は『世界の警察』と称して高額の戦費を使い、世界に展開していきました。その結果、米国は今や“戦費破産”状態にあります。そんな米国の戦争の一部を受け持て!というのが安保法制の本質なのです。日本にとっては、莫大な税金が使われるだけで何のメリットもない。

 安倍政権は当初、憲法改正による自衛隊の派兵を目指していました。しかし、そのためには国民の大きな不安があり、手続きもたいへんです。そこで安倍政権は憲法改正よりも“解釈改憲”で自衛隊の『米軍後方支援』の内容を広げていくという道を選んだのでしょう。今後も我々が注視していかなければ、知らず知らずのうちに憲法が形骸化していく事態を招く恐れがあります」(同)」

http://nikkan-spa.jp/955586

医療と教育は社会発展の基礎-M.ムーア「シッコ」の感想

2015-07-02 14:16:48 |  北米
 ずいぶん前の映画だが、ムーアのシッコに触れておきたい。簡単に言うと、西欧の福祉国家が行っている医療と教育の無料化は、それぞれの社会の発展の基盤になっているということだ。

 病にかかった人間を捨て置けば路上で死ぬことになる。たとえ若者でもだ。映画で登場するフランスの青年は、アメリカで長く過ごし、病気になってやむなくフランスに帰る(保険がなかったためアメリカでは実際問題として医療を受けられない)。しかしフランスで、国が医療を負担して回復させ、国と企業が分担してゆったり3ヶ月の有給を与えると、本人は生まれ変わって、社会の担い手、企業の担い手として活躍できるのだ。

 保育や子育てにしてもそうだ。国が新米ママに子育て要員を派遣し、洗濯や食事作りを変わりに実行する。保育の質は高く安心できてしかも低廉。なるほどフランスの合計特種出生率が上がる訳だ。

 日本に金がない訳ではない。問題はそれをくだらないことに使い、それが社会に構造化されてしまっていることだ。それを転換しなければならない。教育、子育て、医療、老後、これにお金をかける。道路や地下を通す例の浮き上がる列車の話はなしにしよう。

 まず人材である。人を国という装置を使ってみんなで育てるという社会のあり方こそ、支え合う思いやりのある社会、国のあり方ではないだろうか。

「軍事ケインズ主義の終焉  持続不可能な米支出  チャルマーズ・ジョンソン」

2014-05-12 12:26:51 |  北米
「軍事ケインズ主義の終焉  持続不可能な米支出  チャルマーズ・ジョンソン

無謀な軍事政策を続けるブッシュ政権の面々は、倒産したエネルギー企業エンロンの経営陣によく似ている。みんな「だれよりも頭がいい」【1】つもりでいた。しかし、ホワイトハウスとペンタゴンにいるネオコンたちは、驕りが高じて大失敗をしでかした。帝国主義による戦争で世界支配をもくろんだはいいが、その策謀を支える財政の問題をどうすることもできない。

そのあげく合衆国は、2008年になって、異常事態に陥っていることに気づいた。もう高い生活水準も、浪費の絶えない肥大した軍隊も維持できない。巨大な常備軍をかかえ、7年にわたる戦争で破壊され消耗した機器を交換し、さらに宇宙空間で未知の敵に備えようとするなら、その経費の負担が国を滅ぼすだろう。

それなのに、この政府はもう支出を抑えようとさえしない。ブッシュ政権は負債を次の世代に押しつける。これから何世代もかけて借金を返済するか、あるいは踏み倒すしかない。このような無責任きわまりない財政施策を粉飾するために、(たとえば貧しい国々から前例のないほど借金するなど)さまざまな会計操作が行われてきた。もうすぐ、こんなごまかしは利かなくなる。

アメリカの債務危機には三つの大きな特徴がある。第一に、現会計年度(2008年)において、合衆国の安全保障とは何の関係もない「防衛」プロジェクトに、正気の沙汰とは思えない金額が支出されている。その一方で、人口の極少数を占める最富裕層の税負担率は、驚くほど低く据え置かれたままだ。

第二に、国内の製造基盤が止めどなく衰退し、海外に仕事を次々と奪われていっても、巨額の軍事費を支出していれば十分に経済を支えられると、いまだに信じられている。これが軍事ケインズ主義と呼ばれる思想である。近著(Nemesis: The Last Days of the American Republic 仮題『報復の女神ネメシス アメリカ共和国最期の日々』)で、この思想について詳しく解説した。ここに私の定義を述べよう。軍事ケインズ主義は、戦争を頻繁に行うことを公共政策の要とし、武器や軍需品に巨額の支出を行い、巨大な常備軍を持つことによって、豊かな資本主義経済を永久に持続させられると主張する。これは誤った信仰である。実際は、まったく逆だ。

第三に、アメリカは(人材と予算に限りがあるにもかかわらず)軍国主義にすべてを賭け、社会的インフラなど、国家の長期的な繁栄に欠かせない投資をないがしろにしている。これを経済用語で「機会損失」と言い、別のことに金を使ったために失われたものを意味する。

アメリカの公教育システムは、目も当てられないほど廃れてしまった。すべての国民に健康保険を提供することもできていない。世界最大の環境汚染国として果たすべき責任も放棄してきた。そして何よりも、民間のニーズに応える製造業が競争力を失ってしまったことに注目しなければならない。限られた人材と予算は、武器の製造よりも民需製品の製造に投入するほうが遥かに効率よく利用できる。三つの特徴について、ひとつずつ説明しよう。


▽財政破綻

軍事に関する政府の浪費ぶりたるや、どれだけ強調しても過ぎることはない。米国防総省の08年度予算は、他のすべての国々が抱える軍事予算の合計額を上回る。現行のイラクとアフガニスタンでの戦争は、この公式予算に含まれていない。これを賄う補正予算だけでも、ロシアと中国を合わせた軍事予算の総額より多い。08年度の防衛に関する支出は1兆ドルを超えると見込まれる。史上初めてのことだ。いまや合衆国は、他の国々に武器や軍需品を売りつける地上最大のセールスマンとなった。ブッシュ大統領が進めている二つの戦争を勘定に入れなくても、防衛支出は90年代半ばと比べて2倍に膨らんでいる。08年度の防衛予算は、第二次世界大戦が終わってから最大の規模となる。

この莫大な予算の内訳を調べて分析にとりかかる前に、ひとつ警告しておこう。防衛費を記す数字は信用できないことで有名だ。米議会レファレンス・サービスと米議会予算局から公表される数字は一致したことがない。インディペンデント研究所で政治経済を専門とするロバート・ヒッグズ上級研究員は、次のように教えてくれる。「信頼できる経験則がある。ペンタゴンが(いつも鳴り物入りで)発表する基本予算の総額を見て、その2倍が本当の予算だと考えれば、ほぼ間違いない」

国防総省に関する新聞記事をいくつか選んで、ざっと目を通してみれば、防衛費に関する統計が大きく食い違っていることに気づく。防衛予算の3割から4割が「ブラック」と呼ばれる項目で、ここに極秘プロジェクト向けの支出が隠されている。いったい何が含まれているのか、支出の合計額が正確なのか、確かめる方法はない。

防衛予算を巡って、このようなまやかしが行われるのには数多くの理由がある。大統領をはじめとして、国防長官も軍産複合体も事実を隠したがることがまずあげられるだろう。しかし理由の最たるものは、上下両院の議員たちが持つ利権である。議員は自分の選挙区に、防衛関係の企業や事業を誘致して、雇用機会を増やし助成金を獲得することで、計り知れない利益を得る。国防総省を支持することが、自分たちの政治利益に直結している。

1996年、連邦財務管理改善法が議会を通過した。行政府の会計基準を、多少なりとも民間レベルに近づけようとする試みだった。この法律によって、すべての連邦機関に外部監査役による会計検査と、その結果の公表が義務づけられた。だが、国防総省も国土安全保障省も、いまだにこの義務を果たしたことがない。議会で抗議の声が出たものの、法律を無視する両省に罰則を科すには至っていない。つまり、ペンタゴンから発表される数字はすべて疑ってかかる必要がある。

2007年2月7日に08年度の防衛予算が報道機関に発表されたとき、その内容を検証するために、経験豊富で信頼できるアナリストのお世話になった。新アメリカ財団で、武器および安全保障を専門とするウィリアム・ハータング氏と、スレイト・オーグで防衛分野を担当するフレッド・カプラン特派員だ。

アナリストたちの見解は次の2点で一致している。まず、国防総省が要求した4814億ドルは、給料と(イラクとアフガニスタン以外の)作戦にかかる経費と機器の購入に当てられること。そして、1417億ドルが「対テロ・グローバル戦争」のために組まれた「補正」予算だということ。このグローバル戦争とは、いま続いている二つの戦争に他ならない。ただし一般市民は、両戦争にかかる経費がペンタゴンの基本予算に含まれていると思っているだろう。

国防総省はこのほかに934億ドルを要求している。これは、07年度末までにかかる経費を今まで公にしないでおいて、08年度に持ち越すものだ。さらに、500億ドルを「引当金」として積み立て、09年度の予算で埋め合わせる。引当金とは(国防予算に関連する文書に初めて現れた用語で)よく思いついたものだ。

まだこのくらいで驚いてはいけない。アメリカ軍事帝国の全貌が明らかにならないように、政府は長年にわたって、軍事に関連する大きな支出を、国防総省ではなく、他の省庁に割り当てた予算の中に隠してきた。たとえば、エネルギー省の予算に組まれた234億ドルは、核弾頭の開発と管理に使われる。国務省は253億ドルを(おもにイスラエル・サウジアラビア・バーレーン・クウェート・オマーン・カタール・アラブ首長国連邦・エジプト・パキスタンなど)他国の軍隊を支援するために投じる。この他にも、国防総省の公式予算外で10億3000万ドルが必要となっている。無理な兵力配備を続ける米軍は、新兵を補充し古兵の再入隊を促すために報償費を増やしたからだ。イラク戦争が始まった2003年には、わずか1億7400万ドルだった。

イラクとアフガニスタンの両戦争では、これまでに少なく見ても、それぞれ2万8870名と1708名の兵士が負傷している。退役軍人省には少なくとも757億ドルが配分され、うち5割が重度の障害を抱える負傷兵の長期治療にあてられる。この予算では不十分なことは明らかで、もう誰もがあきれ果てている。また、464億ドルが国土安全保障省にわたる。

こう数字を書き連ねてきたが、隠された軍事予算はまだ他にもある。FBIの準軍事活動にあてて司法省に19億ドル、軍人の退職基金として財務省に385億ドルが流れている。軍事関連の業務も行う航空宇宙局(NASA)には76億ドルがわたされる。さらに、過去に防衛費の不足分を借金で賄ってきたから、その利息を支払うために、ゆうに2000億ドルを超える予算を計上している。したがって、合衆国の現会計年度(08年度)における軍事支出は、控えめにみても合計で1兆1000億ドルを下らない。


▽軍事ケインズ主義

これだけの支出は道義的に許されないばかりか、財政的に持続不可能だ。たとえ防衛予算がどんなに巨額でも支払うことはできる、と信じているネオコンは数多い。アメリカは地上で最も豊かな国だからと言う。この点でネオコンは、愛国心は厚くとも実状に疎いアメリカ市民と何も変わるところがない。残念ながら、この考えはもう通用しなくなった。

CIAの「世界便覧」によれば、今日もっとも豊かな政治統一体は欧州連合(EU)である。2006年のGDP(国民総生産-国内で生産された物品・サービスの総合計)で、EUは合衆国をやや上回ったとみられる。中国の06年度GDPも、合衆国にわずかに及ばないだけだし、日本も4番手にぴったりとつけている。

もっと分かりやすい比較もできる。各国の「経常収支」を見れば、合衆国の経済状態がどこまで悪化しているかが歴然とする。

経常収支は、国の貿易黒字あるいは赤字の上に、国境を越えて支払われる利息や特許料・印税・配当金・キャピタルゲイン・対外援助など、さまざまな収支を加算して求める。たとえば日本の場合、何かを製造するには必要な原材料を輸入に頼らざるをえない。原材料の輸入に途方もない額の支出をしたうえで、なお日本の対米の貿易収支は年880億ドルの黒字になっている。経常収支残高は(中国に次いで)世界第2位だ。

合衆国は第163位。最下位である。大きな貿易赤字に苦しむオーストラリアや英国よりも下だ。06年の経常収支を見ると、162位のスペインが1064億ドルの赤字だったのに対して、合衆国は8115億ドルの赤字を出している。これが持続可能であるはずがない。

アメリカは、支払い能力を超えようがおかまいなしに、石油をはじめ何から何まで輸入する。これは、ただ舶来品好きというだけで済まされる話ではない。この支払いに充てるために、合衆国は莫大な借金をしている。

2007年11月7日、米財務省は、国家債務が史上初めて9兆ドルの大台に乗ったと発表した。債務シーリングと呼ばれる上限を議会が9兆8150億ドルに引き上げてから、わずか5週間後のことだった。合衆国憲法が正式に発効した1789年から1981年まで、国家債務が1兆ドルを超えることはなかった。2001年1月にジョージ・ブッシュ大統領が就任したとき、負債額は約5兆7000億ドルになっていた。その後、負債は45%も増加している。この巨大な負債を生んだ最大の原因は、世界中の国々が持つ防衛予算の総額にたった一国で対抗できるまでに増大した軍事支出である(下の表を参照)。

この過剰な軍事支出は、ここ数年で発生したものでもなければ、単にブッシュ政権の政策が生み出したものでもない。これは、まことしやかなイデオロギーに基づいて、長年にわたって積み重ねられてきたものだ。軍事支出を続ける仕組みは、もうアメリカの民主政治体制に深く組み込まれていて、いま大惨事を招こうとしている。このイデオロギーを「軍事ケインズ主義」と呼ぶ。なんとしても戦争経済を永遠に続け、軍事に金を使っていれば経済を潤すと信じるイデオロギーである。しかし軍事支出は、通常経済の生産にも消費にも何ら良い影響は与えない。


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世界の軍事大国トップ10と現行予算の推定総額

1 アメリカ合衆国 6230億ドル(08年度予算)
2 中国       650億ドル(04年度)
3 ロシア      500億ドル
4 フランス     450億ドル(05年度)
5 日本       417億5000万ドル(07年度)
6 ドイツ      351億ドル(03年度)
7 イタリア     282億ドル(03年度)
8 韓国       211億ドル(03年度)
9 インド      190億ドル(05年度推定)
10 サウジアラビア 180億ドル(05年度推定)

全世界の軍事支出合計 1兆1000億ドル(04年推定)
合衆国を除く全世界合計  5000億ドル

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このイデオロギーの誕生は冷戦の初期にさかのぼる。1940年代後半、合衆国は経済の先行きを悲観していた。1930年代の大恐慌は第二次世界大戦の特需という僥倖で切り抜けたが、平和の訪れと兵士の帰還につれて、恐慌の再来に対する不安が広がってゆく。1949年にはソ連が核実験に成功し、中国共産党が内戦での勝利を目前にしていた。さらに国内の不景気に加えて、ソ連の衛星国が結束し東欧に鉄のカーテンが降ろされた。危機感を募らせた合衆国は、来るべき冷戦に備えて、基本戦略の策定を模索する。

こうして、国務省の政策企画室長だったポール・ニッツを中心に、軍国主義的な国家安全保障会議報告書68(NSC68)が作成された。1950年4月14日付けで報告書は提出され、同年9月30日にハリー・トルーマン大統領が署名している。この文書が、今日まで続く公共経済政策の根幹を決定した。

NSC68は結論で次のように述べている。
「アメリカ経済は、効率を十分に高めれば、民間消費以外の目的にも膨大なリソースを提供することが可能であり、同時に高い生活水準も維持できる。これが第二次世界大戦の経験から得た最も重要な教訓のひとつである」

この結論に基づき、アメリカの戦略担当者たちは、大規模な軍需産業の構築に向けて舵を切った。目的は、(常に過大評価していた)ソ連の軍事力に対抗すること、完全雇用を実現すること、そして恐慌の再来を回避することだった。その結果、ペンタゴンの主導で、大型航空機・原子力潜水艦・核弾頭・大陸間弾道ミサイル・監視衛星および通信衛星などを製造する新しい産業が続々と生まれた。この変貌を目の当たりにしたアイゼンハワー大統領は、1961年2月6日の退任演説で、こう警告している。「巨大な軍隊と大規模な軍需産業が結合した。アメリカが、かつて経験したことのない出来事だ」。軍産複合体の台頭である。

1990年には、武器と機器と軍需専業工場が持つ資産価値の合計は、アメリカ製造業全体が有する資産価値の83%を占めるようになる。1947年から1990年までの軍事予算は累計8兆7000億ドルだった。ソ連が崩壊した後も、軍事ケインズ主義への信奉はむしろ強くなったろう。軍の内外に既得権益が網の目のように張り巡らされているからだ。

政府は、軍需産業と民需産業をともに発展させるつもりでいた。だが、この計画は、時とともに脆くも崩れ去る。軍需産業が民需産業を圧倒してしまったために、アメリカ経済は深刻な弱体化に陥った。軍事ケインズ主義を信奉することは、経済にとって、ゆっくりと死に至る自殺行為に他ならない。

2007年5月1日、首都ワシントンにある経済政策研究センターは、軍事支出の増加が経済に及ぼす長期的な影響について、ある研究論文を発表した【2】。この論文は、同研究センターが、経済予測を専門とするグローバル・インサイト社に委託した調査の報告書で、研究の中心となったのは経済学者ディーン・ベイカーである。

論文によると、軍事支出の伸びは当初こそ需要を刺激する効果をもたらすが、その効果は長く続かず、6年もすればマイナスに転じる。言うまでもなく、アメリカ経済は、過去60年以上にわたり、増え続ける軍事支出に苛まれてきた。ベイカー博士は、高い軍事支出を10年間つづける経済モデルを作り、軍事支出を低く抑えた基本モデルと比較している。その結果、前者は後者よりも、雇用が46万4000件も少なくなることが分かった。

ベイカーはこう結論する。
「戦争が起こり軍事支出が増えれば、経済が活性化すると一般に考えられている。しかし実際には、ほとんどの経済モデルが示すように、軍事支出が増加すると、消費や投資などの生産的な目的に使われるべきリソースが軍事産業に流れ、結局は経済成長が鈍り雇用が減る」

これは軍事ケインズ主義の悪しき影響の一端にすぎない。


▽アメリカ経済の空洞化

合衆国には巨大な軍隊と高い生活水準を同時に維持するだけの財政的な余裕があり、完全雇用実現のためには、この両方が必要だと信じられてきた。しかし実際には、そうはいかなかった。

国内の大手製造業をことごとく国防総省の専属企業にして、何の投資価値もなく消費もできない武器という製品を作らせ続けたために、民間の経済活動が停滞していった。60年代には、この事実が明らかになってゆく。歴史家のトマス・ウッズ・ジュニアは、50年代から60年代にかけて、国内の優秀な研究者の3分の1から3分の2が軍需産業に流出したと見ている。こうして民間が資金や頭脳を失った結果、どれだけの技術革新が実現されなったことか。もちろん、それを知るすべはない。しかしアメリカは、60年代になって、日本が生産する家電や自動車など種々の消費財が、デザインも品質もアメリカ製より勝っていることに気づくようになる。

核兵器の例を見れば、ことの異常さに息をのむだろう。40年代から1996年まで、合衆国は、核兵器の開発・実験・製造に5兆8000億ドル以上を費やした。備蓄がピークに達した1967年には、3万2500発もの配備可能な原子爆弾と水素爆弾を保有していた。結局、幸いながら、1発も使われることなく無駄になった。

このように政府は、雇用の維持だけを目的に、不必要な仕事を作り出すことができる。軍事ケインズ主義の本質がここに見事に示されている。軍事上の秘密兵器だった核は、アメリカにとって経済上の秘密兵器でもあった。2006年になっても、なお9960発が保有されている。正気を失わないかぎり、今日いかなる使い道もない代物だ。

ここに費やされた何兆ドルもの資金は、さまざまな問題を解決するために使うことができたはずだった。社会保障を充実させ、国民皆保険を導入することもできた。教育の質を高めて、誰もが高等教育を受けられるようすることもできた。高度な技能職がアメリカ経済から流出することも、きっと止められたに違いない。

軍事ケインズ主義の弊害については、コロンビア大学のシーモア・メルマン教授(1917年~2004年)が先駆的な研究を残している。産業工学と生産工程を専門としたメルマンは、冷戦が始まってから軍備増強にかまけてきたアメリカが、思いがけない窮状に追い込まれることを予見していた。1970年に出版された著書(Pentagon Capitalism: The Political Economy of War 仮題『ペンタゴン資本主義 戦争の政治経済』)から引用しよう。

「1946年から1969年にかけて、合衆国政府は軍備に1兆ドルを越える支出を行った。その大半がケネディからジョンソンへ続く両政権下での出来事で、この時代に[ペンタゴンが主導する]国家管理体制が正式な制度として確立された。1兆ドルという金額は、想像を絶する規模(1兆個の何かをイメージできるだろうか)に違いないが、軍備のために国民にかかる負担の総体を計る目安とはならない。真のコストは、失われたものの中に潜み、国民生活が諸方面で荒廃してきた度合を集積することによって計られる。[際限なく軍備を拡張する]人間の愚かな行為を長期にわたって正せなかったために、この荒廃がもたらされた」

トマス・ウッズが、メルマンの分析はアメリカ経済の現状によく当てはまるとして、貴重な解説文を書いている【3】。
「米国防総省によると、1947年から1987年までの40年間に、7兆6200億ドル(1982年のドル価値で換算)が資本資源として軍備に支出された。一方で商務省は、1985年に、国内の工場設備やインフラの総価値を7兆2900億ドル強と推定している。つまり、この40年間に支出された資本資源を使っていれば、アメリカの資本ストックは2倍に増えていたことになる。あるいは、既存の設備を一新して近代化することもできた」

21世紀に入って、アメリカの製造基盤はほぼ消滅してしまった。その主な原因のひとつが、設備や器材などの資本資産を近代化または交換しなかったことにある。特に、メルマンが専門としていた工作機械の分野で、投資を怠ったことによる弊害が顕著に表れた。1968年11月、5年にわたる設備調査で次のことが明らかになる。

「合衆国で使われている金属加工用の工作機械は、その64%が使用年数10年を越えていた。主要な工業諸国のなかで最も古い工業設備(ドリル・旋盤など)を使っていることになる。これは、第二次世界大戦が終わってから、ずっと老朽化が続いてきたことを示している。資本と研究開発能力が軍需産業に偏っているために、アメリカの産業は衰退と劣化の一途をたどってきた。産業構造の基盤となる金属加工業の現状が、この事実の証左となる」

1968年以降も、産業の衰退に歯止めをかける取組みは何ひとつなされていない。今日では、放射線治療に用いる陽子加速器(おもな生産国はベルギー・ドイツ・日本)などの医療機器から車やトラックにいたるまで、あらゆる機器を大量に輸入する事態に陥っている。


▽「唯一の超大国」の終わり

アメリカが「唯一の超大国」でいられた束の間の時代は終わった。ハーバード大学経済学部のベンジャミン・フリードマン教授が次のように述べている【4】。

「いつの時代でも、政治・外交・文化の諸分野で絶大な影響力を持つ国家は、例外なく世界最大の債権国だった。アメリカが英国から盟主としての役割を引き継いだ時期は、英国にかわって最大の債権国となった時期と一致している。これは何も偶然の出来事ではない。もうアメリカは世界第一の債権国でないばかりか、実状は最大の債務国である。世界への影響力を保つためには、強大な軍事力を盾とするしかない」

アメリカが被った損害をすべて回復することはできないだろう。しかし、緊急に実行すべき対策がいくつかある。

まず、ブッシュ政権が2001年と2003年に実施した高額所得者に対する減税策を廃止する。さらに、この帝国が世界各地に築いた800を越える軍事基地を撤去する事業に着手する。防衛予算から、安全保障に何の関係もないプロジェクトをすべて切り捨てることも必要だ。そして、防衛費をケインズ主義の職業プログラムに使うことを止めなければならない。

このような対策を取れば、危機をどうにか切り抜けられるかもしれない。もし何も対策を取らないなら、おそらく国家は破産し、長い恐慌の時代を迎えることになる。


△△

月刊『世界』誌、08年4月号掲載

原文: Chalmers Johnson, "Going Bankrupt: Why the Debt Crisis Is Now the Greatest Threat to the American Republic," the TomDispatch.com (Jan. 22, 2008).

URL:
http://www.tomdispatch.com/post/174884/Tomgram:%20%20Chalmers%20Johnson,%20How%20to%20Sink%20America



▽訳注


【1】アレックス・ギブニー監督が、エンロンの崩壊を描いたドキュメンタリー映画を作成し高い評価を受けている。その映画のタイトルが「だれよりも頭がいい男たち」だった。邦題は「エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したか」。

【2】Dean Baker, "the Economic Impact of the Iraq War and Higher Military Spending," Global Insight (May, 2007).
http://www.cepr.net/documents/publications/military_spending_2007_05.pdf


【3】Thomas E. Woods, Jr., "What the Warfare State Really Costs," LewRockwell.com (Sept. 12, 2007).
http://www.lewrockwell.com/woods/woods81.html


【4】記録映画「時限爆弾」でのインタビューより。"TIME-BOMB: America's Debt Crises, Causes, Consequences and Solutions," directed by John F. Ince (2007).



【解説】1957年6月、渡米した岸信介首相は、首都ワシントンの郊外で、アイゼンハワー大統領とゴルフを楽しんだ。2006年11月、ベトナムでジョージ・ブッシュ大統領に会った安倍晋三首相は、50年前に祖父がパットを決める瞬間を撮った記念の写真を手渡している。その写真に、プレスコット・ブッシュ上院議員も半ズボン姿で写っていたからだ。二人の孫たちは、それぞれ家の伝統に思いをはせたかもしれない。しかし、写真が冷戦を反映していたとは考えもしなかったろう。

チャルマーズ・ジョンソンによると、アメリカはソ連との冷戦に備え、日本の民主化をあきらめて衛星国とする方針に切り替えた。まず対策として、財閥と保守勢力を復活させ、犯罪組織と繋がりを持つ極右勢力を解き放つことにした。これらの勢力がもともと反共だったからである。1948年12月、東条英機らが処刑された翌日に、A級戦犯だった岸は、児玉誉士夫とともに巣鴨から釈放されている。政界に復帰した岸について、ジョンソンはこう言う。ナチス政権下で軍需相を務めた「アルベルト・スピアがドイツ首相になっていたら、ニューヨーク・タイムズ紙もさすがに黙っていなかったろう」。

アメリカは、児玉などを介して、鳩山一郎や河野一郎に資金を渡し、自由民主党の結成(1955年)を助けた。CIAは、対日工作に関する機密文書を保管しているはずだが、合衆国の法に反してまで、半世紀を過ぎた今でも公開を拒否している。朝鮮半島に残る冷戦の傷跡は、誰の目にもよく見える。駐留する米軍。半島を分かつ三八度線。しかし自民党による一党体制と、孫子の代までアメリカに追従する政策が、冷戦の置き土産だと知ることは難しい。

アメリカが冷戦の勝利を信じ、唯一の超大国だと誇ったとき、驕りや過信を罰する女神ネメシスが降り立った。ソ連と同じように、アメリカも冷戦に敗北したとジョンソンは訴える。広大な帝国を維持しようと、過激な軍国主義と無謀な経済政策を続ければ、いずれ破綻するしかない。カエサルがルビコン川を越えたとき、ローマは共和制を捨てた。アメリカは帝国を捨て民主制を守れるか。いま選択の時が迫っている。(安濃)」

NYTの批判記事 ‘EDITORIAL Japan's Illiberal Secrecy Law’

2014-02-20 21:27:37 |  北米
 昨年NYTが特定秘密保護法と安倍政治を批判した記事です。訳は私のものです。間違いがあったらご指摘ください。

「*NYTの批判記事 ‘EDITORIAL Japan's Illiberal Secrecy Law’

By THE EDITORIAL BOARD Published: October 29, 2013

The Japanese government is poised to enact a secrecy law that will undermine the people’s right to know. The law will give all government ministries the right to classify information related to defense, diplomacy, counterintelligence and counterterrorism as a state secret. But there is no guideline as to what constitutes a secret. This lack of definition means the government could well designate any inconvenient information secret.

(日本政府は知る権利を侵すことになるであろう秘密保護法を制定する構えである。この法律は政府省庁が、国防、外交、防諜、対テロ対策に関連する情報を国家機密として指定する権利を与える。しかし何が秘密を構成するかに関するガイドラインはない。定義が欠如していることは、政府がいかなる不都合な情報も秘密に指定できることを意味する。)


Under the proposed law, government officials found to have revealed secrets could be jailed up to 10 years. Such a provision would give officials even greater incentive to label documents secret rather than risk their release.

(提案されている法律のもとでは政府官僚は秘密を明らかにしたことが分かった場合、10年の刑に処せられうる。そのような規定は官僚たちに情報を出すよりも資料に「秘密」というラベルを貼らせることになるだろう。)


Until now, only the Defense Ministry had the authority to classify information as a “defense secret.” Its record is abysmal. Of the 55,000 documents the ministry classified secret between 2006 and 2011, 34,000 were destroyed at the end of a particular secrecy period, depending on the document. And only one was declassified for public release.

(今までは防衛省だけが情報を「防衛秘」に指定する権限を持っていた。その記録の扱いは最低と言ってよい。2006年から2011年の間に防衛省は55000件を秘密指定し、34000件が文書ごとに定められた特定の秘密保持期限の終わりに破棄された。たたった1件が公開されたにすぎない。)


The new law would allow the secrecy period to be extended indefinitely. And it further limits government accountability by making no clear provision for sharing secrets with elected representatives in the national Diet.

(新たな法は秘密保持期間の延長を無期限に延長できる。そしてそれは国会の代表者-議員-達と秘密を共有するための明確な規定を欠くことで、政府の説明責任をさらにわずかなものにしている。)


The law will make an already opaque government more so by threatening to jail journalists, up to five years, for doing their job in an “invalid” and “wrongful” manner. Japan’s newspapers fear that there will be markedly less communication between journalists and government officials. Opinion polls show that the public is very skeptical of the law and its reach. The government of Prime Minister Shinzo Abe, however, is eager to pass it as soon as possible.

(法律はすでに低い政府の透明性をより低くすることになるだろう。それは「無効な」あるいは「間違った」方法でジャーナリストが自分たちの仕事をした場合に、最高5年まで刑務所に送ると脅すことによってである。日本の新聞社はジャーナリストと官僚の間のコミュニケーションが減ることを恐れている。世論調査は人々が法律とその効果について極めて懐疑的だということを示している。しかし安倍信三首相は法案の成立にきわめて熱心である。)


Mr. Abe needs it to establish an American-style national security council. Washington has made clear that more intelligence cannot be shared with Japan until it has tighter information control. Of the six departments in Mr. Abe’s proposed security council, one department places China together with North Korea, while other departments focus on allies and other nations. This move reflects the confrontational stance the Abe government has been taking toward China and another sign of a hawkish foreign policy that may well harm civil liberties and create even more mistrust of the Japanese government in East Asia.

(安倍はアメリカ流の国家安全保障会議-NSC-を設立するつもりだ。ワシントンは日本が情報統制を強化しない限り、今以上の情報の共有を行わないことを明らかにした。安倍が提案している安全保障会議に加わる6省庁のうち一つは北朝鮮と中国に対応するものだ。しかし他の省庁は同盟国と他の国々に焦点を当てている。この動きは安倍政権が中国に対して取ってきた対立的な姿勢を反映するものであり、またタカ派的外交姿勢のもう一つのサイン-それは市民的自由を侵し、東アジアにおける日本政府への不信をさらに増大させるかもしれない。)」


日本のナショナリスト的愚行、米国は強い語調で叱責を-社説

2014-02-19 16:56:46 |  北米
「 2月17日(ブルームバーグ):米政府が中国の海洋拡張主義を最近のアジアの緊張の原因と考えていることは、米当局者からの最近の一連の発言から明らかだ。一方で、アジアにおける米国の最大の同盟国である日本に対しても同様に、米国は率直に意見すべき時だ。

中国が尖閣諸島(中国名、釣魚島)上空に防空識別圏の設定を宣言して以来、中国に対して強い姿勢で臨むことを日本は米国に求めてきた。米国と日本の間に隙間風が吹く気配など見せれば、中国のさらなる横暴を促すばかりだと警告してきた。米国側も同じ理由から、中国やその他のアジア諸国を刺激するような日本の指導者らの言動に目をつぶってきた。

しかしこのような気配りは逆効果になりつつある。中国が昨年11月に防空識別圏を設定した後、安倍晋三首相はA級戦犯14人を合祀した靖国神社を参拝。さらに、安倍氏が推挙したNHKの経営委員らがあきれ返るほど時代錯誤の発言をしたにもかかわらず、首相は異論も唱えず彼らから距離を置こうともしなかった。このうち1人は1937年の南京大虐殺は起きなかったと発言。もう1人は戦時中の従軍慰安婦問題で日本軍を責めるのはおかしいと言わんばかりの発言をした。そのほか安倍氏とその一党は戦時中の日本の残虐行為を希薄化させるよう、歴史教科書を書き直すことにも取り組んでいる。

これらすべてが諸外国に与える印象について、日本の当局者らは気にかけていないようだ。中国および韓国との関係はほとんどこれ以上悪くなりようがないし、両国で国家主義者が権力の座についている限り改善する可能性は低いと論じている。これ以上日本が融和的な姿勢を取れば中国と韓国が屈辱的要求を際限なく突きつけてくるだけだと、日本側は確信している。



オバマ大統領のアジア訪問

さらに悪いことに、日本は米国から支持を受けて当然と思っているようだ。バイデン米副大統領が事前に自制を求めていたにもかかわらず、安倍首相は靖国参拝を断行した。非公開の場でのこの対話の内容はその後、戦略的に漏えいされた。恐らく、安倍首相の尊大な態度を白日の下にさらすためだろう。日本の当局者らは裏で、オバマ政権の頼りがいのなさを非難する。日本への支持を少しでも惜しむのは米外交の軟弱さの表れだと見なしている。

米国は反論すべきだ。それも通常より強い言葉で切り返すべきだ。4月のオバマ大領のアジア訪問は、中国政府の外交的冒険主義を容認しないことをあらためて表明する良い機会であると同時に、安倍首相の挑発がアジアの安定を脅かし、日米同盟に害を及ぼしていることをはっきりと伝えるチャンスだ。

これで考えを変える安倍氏の側近は多くないだろうが、大方の日本人は米国の不興をこうむることに対して敏感だ。ある世論調査によれば、安倍首相は靖国参拝への批判的な反応に配慮すべきだと70%近くの日本人が考えていた。安倍首相は過去に、国家主義的な野心に気を取られてか経済がお留守になり、辞任する羽目になっている。国内から圧力をかけ続けることが重要だ。


国際社会からの善意

経済を再生させて開かれた社会にし、自衛隊を通常の軍隊にして日本をもっと強い国にしようという安倍首相の方向は、必ずしも間違ってはいない。軍事力を持った日本は、海賊行為防止のパトロールや平和維持活動、同盟国の防衛を通して世界と地域の安定にもっと貢献できるだろう。中国と韓国の神経を逆なですることは、これらの目的を達成しようとする足を引っ張る。

それは域内で紛争が起きる可能性を高めるだけだ。安倍首相の行動や発言が中国の冒険主義ほどは危険でないというのは、ここでの論点ではない。日本が何十年もかけて築いてきた責任ある民主国家として受ける国際社会からの善意を、安倍首相は理由もなく損ないつつある。首相が自分でそれに気づかないのなら、米国そして日本国民が分からせてあげられるだろう。

原題:Japan Leaders’ Nationalist Blunders Call for U.S. Rebuke:View(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Top Editors News」

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N15DW36S974001.html

オバマ政権:日本発の危機 米紙が警鐘 /毎日新聞・元ネタはWSJ

2014-02-18 19:04:25 |  北米
「 17日付の米紙ワシントン・ポストは、安倍晋三首相の靖国神社参拝に伴い「オバマ政権にとって最も深刻な安全保障上の危機」をアジアで日本が引き起こす可能性に警鐘を鳴らす論説記事を掲載した。

 オバマ大統領の4月訪日にも言及。「危機の予防が大きな位置を占めることになる」として、訪日の課題になると指摘した。

 論説は靖国参拝で(1)中韓両国と日本が関係を改善する可能性が消滅した(2)日米関係も損なわれた(3)安倍政権への敵意に加え、オバマ氏と安倍氏の間には溝があるとの認識から、中国の指導者が力の行使を試みる可能性が出てきた--と分析している。(共同)」

http://mainichi.jp/select/news/20140219k0000m030034000c.html

米、百田尚樹氏発言「非常識」 東京裁判批判に反論 /東京新聞

2014-02-08 15:56:33 |  北米
単なるアホ右翼をNHKの経営委員なんかにするからだ。

「 NHK経営委員を務める小説家の百田尚樹氏が東京都知事選の応援演説で、米軍による東京大空襲や原爆投下を「大虐殺」とした上で、第2次大戦後の東京裁判を批判したことについて、在日米大使館(東京都港区)の報道担当官は8日、取材に対し「非常識だ」と批判した。米政府の公式の統一見解としている。

 担当官は、百田氏の発言について「非常識だ。米政府は、責任ある地位にある人物が(アジア)地域の緊張をあおるような発言を控えるよう努めることを望む」と述べた。

 南京大虐殺については、中国外務省が5日、強く反発するコメントを発表している。」

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014020801001646.html

米フライング・タイガース(アメリカ合衆国義勇軍、AVGの別称)・安倍の靖国参拝を非難

2014-02-07 15:50:57 |  北米
「 米フライング・タイガース(アメリカ合衆国義勇軍、AVGの別称)歴史会会長のジェイムズ・ホワイトヘッド元空軍少将は1月19日、安倍首相の靖国神社参拝について崔天凱駐米大使に書簡を送り、安倍首相の参拝問題に対する歴史会の厳正な立場について表明した。在米中国大使館が4日に伝えた。

 ホワイトヘッド会長は書簡で次のように述べた。安倍首相は第2次世界大戦で日本軍の大きな被害を受けた人民の感情を無視し、第2次世界大戦の戦犯を祭る靖国神社を参拝しており、歴史会はこれに大きな失望を感じている。靖国神社参拝は第2次世界大戦の傷跡をえぐるだけで世界の平和や理解、調和に役立たず、米国は他の国と共にこの行動を非難し警戒を高めるべきだ。

 ホワイトヘッド会長はさらに、フライング・タイガース歴史会は米中両国人民が第2次世界大戦で協力した歴史の保護に力を入れ、両国人民の友誼と理解、協力を推進すると述べた。(編集YH)

 「人民網日本語版」2014年2月7日」

http://j.people.com.cn/94689/8528770.html