白夜の炎

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日本を農薬大国に育てた“農薬ムラ”の利権構造

2016-02-23 13:59:34 | 産業
 日本という国は人間も農産物も薬付けのようです。

 清原だけじゃないんですね。

 関係業界と政界は全く中毒状態、ということでしょうか。

「日本は世界3位の農薬大国
「国産農産物は、農薬が少なくて安全」というイメージが強い。TPP大筋合意を受けて政府も「日本の安心・安全な農産物の輸出を増やす」と意気込んでいる。

ところが、「実は日本は世界でも有数の“農薬大国”なんです」と語るのは、イチゴの無農薬・無肥料栽培に挑戦する農家の姿を描いた『希望のイチゴ』の著者、田中裕司氏。

「日本の耕地1ヘクタール当たりの農薬使用量は中国、韓国に次いで世界3位。米国の5倍、フランスの3.5倍を超えます」

⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=83742

農薬使用量 そして、数ある農作物の中で「無農薬栽培が最も難しい」と言われているのがイチゴなのだという。

「イチゴは特に農薬の使用回数が多いことで知られています。生産量1位の栃木県の年間平均農薬使用回数が52回、2位の福岡県で63回、長崎県は65回。南の地域ほど農薬の使用回数が多くなる傾向があります。気温が高いと病害虫の活動が活発になるからです」(田中氏)

自然栽培農家・木村秋則さんの著書、『奇跡のリンゴ』(幻冬舎)で無農薬栽培の難しさが広く知られたリンゴだが、イチゴの農薬使用回数はそれを上回る。

「例えば青森県では、リンゴの農薬使用回数は平均36回ですが、イチゴは40回。つまり長崎県のイチゴは、青森県のリンゴの倍近くの農薬使用回数ということになります」(同)
イチゴの旬を冬にずらしたことで農薬が増えた
なぜイチゴは、これほどまでに農薬の使用回数が多いのだろうか。これには栽培環境と栽培時期が大きく関係する。

「イチゴはもともと屋根もハウスもない露地で栽培されていて、かつての旬は4~6月でした。ところが、ビニールハウス栽培の普及と品種改良によって旬を冬にずらすことが可能になったのです。

イチゴ農家はクリスマスに照準を合わせ、競ってこの時期に出荷するようになりました。旬をずらしたおかげで、苗づくりから収穫までの期間が約7か月から1年を超えるようになりました。栽培期間に比例して農薬の使用回数は増え、収穫直前までまかれます」(同)

この農薬たっぷりの構造を支えているのが、農薬利権に群がる“農薬ムラ”と日本の甘い農薬残留基準だ。

「農協(JA)が種と肥料、農薬をセットで売り、農薬を使うように指導しています。そして農水省や農水族議員、JA、農薬メーカーなど“農薬ムラ”の存在があります。農水官僚は関連団体に天下り、関連団体・企業は選挙や献金で自民党を支援する。その結果、甘い残留基準が温存されて、農薬漬けの状況から抜け出せなくなっているのです」(同) <文/HBO編集部>」

http://hbol.jp/83555

「地域ブランド化」が失敗に終わる3つの理由 難易度が高い上、凡庸な商品では無理がある

2016-02-12 17:12:46 | 産業
「2006年からスタートした地域団体商標制度をひとつのきっかけに、「地域ブランド」の取り組みが全国で行われています。

夕張メロン、大間まぐろ、といった伝統的に定着し、成果を上げる地域ブランドが商標登録する一方、玉石混交の「なんちゃって地域ブランド」活動も多数発生。一部の成功事例をネタに地元団体と名ばかりコンサルが組んで、補助金目的で取り組み、結局は頓挫することが繰り返し行われています。

「地域ブランド化」で陥りやすい罠


この連載の過去記事はこちら
そもそも大抵の地域において、いきなり地域ブランド化を進めるのは合理的ではありません。失敗する背景には、主として3つの理由があります。

理由1:ブランド化に適さない凡庸な「地域」と「商材」

地域ブランドは「一定の知名度のある地域」で「特徴ある商材」がセットになることによって、成立します。

そもそも名前だけで地域の特性やストーリーを誰もがイメージでき、価値が上がるブランド力の地域はそれほどありません。さらに肉や魚や貝や米や水といった商材、はたまた山や田畑や海や川といった観光資源も、日本中を見渡せば多数存在しています。

その地域が駄目だとかではなく、凡庸な地域と商品のまま、わざわざ「地域ブランド」による地域活性化を目指すこと自体が打ち手として、適切ではないということです。

理由2:コンサル頼みでは「汎用品・地域ブランド」しか生まれない

さらに地域ブランドを推進する農協や商工会なども自分たちで考え、自分たちで資金調達し、投資して行う所は稀有です。そのほとんどは、国や自治体の補助金を活用し、さらにコンサル頼みでその計画を進めます。

そして、外部からきた名ばかりコンサルは、自分の仕事にするために「こんな美味しいもの、綺麗な景色は絶対にブランドになる」と褒め称え、地域ブランド開発がスタート。ここで、どこの地域も同じような地域ブランド・7点セットが登場します。

(1)よく聞くウリ文句(日本一の◯◯)
(2)いい加減な地域商材選定
(3)何となく地域の名前を使ったブランド名
(4)デザインされたロゴ
(5)綺麗な写真を使った大型ポスター
(6)中身のないWEB
(7)東京の一等地でのイベント


同じようなプロセスを経て、どこの地域も同じような農作物を使った商品や観光商品が出てきます。高付加価値のブランド化を目指したはずが、日本中が同じようなプロセスで、汎用品を作り出してしまう。結果、地元の道の駅くらいでしか置いてくれなかったりするわけです。

そして、予算の終わりと共にコンサルも去り、「自称・地域ブランド」は使い捨てられていきます。

理由3:資源不足なのに難易度の高い方法に取り組む非合理

そもそもブランド形成は、極めて難易度の高いマーケティング手法です。

他と違いを出す方法として、商品自体、価格設定、サービス、ブランド、という4つの方法があります。その中でも、ブランド差別化は顧客に対して特別な感覚を抱かせ、他の商品より積極的に購入したいと思うような、極めて定性的な無形資産を形成しなくてはならず、時間も労力も必要とする難しい方法です。これは大企業による事業をみても、巨額の投資をしても一朝一夕にブランドは形成されず、そして維持し続けることはさらに難しいことはよくわかります。

ブランド化より重要な付加価値向上策

衰退局面でヒト・モノ・カネの資源不足が慢性的な地方で活性化を目指す策として、時間も予算もかかり、難易度の高いブランド化をいきなり選択すること自体が全く合理的ではありません。

まずはより自分たちの売り方、作り方に変化を生み出すことでの付加価値向上策を模索するほうが重要です。2つほど実例をみてみましょう。

向上例1:皆が売らない時に売る

商品の価値を高める上で、「皆が売っていない時に売る」ことで伸ばす方法があります。地方の魚介類を全国の漁場から地方空港を経て空輸で羽田空港に集め、都内や海外にも販売をしている「羽田市場」を活用した地方漁業の取り組みは好例です。

年末年始は家族や友達と集まりパーティなどで魚の消費量も増えわけですが、卸売市場は閉まっており、新しい魚が流通しません。そこで羽田市場では年末年始返上で、地方の漁師と連携して地方空港からとれたての魚を空輸し、東京の百貨店などで販売。空輸のため、その日の朝とれた魚が夕方には都内に並び、大人気となり、高値で取り引きされます。

地方の漁師も高い魚価で取り引きができるため、やる気になっています。熱心な漁師は血抜きし、氷詰めを細かく行うなど商品自体の改善にも取り組み、自分の名前を入れたチラシもつける。名前が顧客にまで伝わることで、フェイスブックで連絡がきて、指名買いにまで発展しています。

漁業分野においても新たな流通システムに対応し、皆が売らない時に売ることで、地方商品の付加価値を高める。ブランド化よりよっぽど道筋がハッキリした打ち手です。

向上例2:特定メニューに最適な品種を作って売る

独自の農園経営で有名な、久松農園さんも好例です。

一般的な市場流通品種をつくって市場で売るのではなく、先回りで取引先となる飲食店を開拓。さらに、その飲食店のシェフが考案するメニューに併せて最適な野菜品種選定をし、作付けをする工夫をされています。

商売の結果として形成されるブランド

レタスひとつとっても、大量生産をしている一般品種を少量つくっても儲からない。しかし、取り引きしている飲食店が冬に出すメニューである「レタス鍋」に適した、熱を加えるとうまくなるレタスを作れば、競争力が生まれます。他にはない飲食店にプラスとなる価値を提供し、農作物の価値をあげています。

そして、これらの取り組みは、実績をあげているだけでなく、個別に「ブランド」を生み出しています。ブランド作りから入るのではなく、顧客に対応して流通を変え、商品さえも変え、顧客との関係値も組み替える。結果、顧客からの熱烈な支持を集め、信用が拡大し、他ではない安心感、特別感へとつながっています。

ブランドがあるから商品が売れるのではなく、商売の結果としてブランドが形成される。これらの事例をみると、ブランドとはすなわち、日々の積み重ねの上に成り立つ結果だと気付かされます。

自分たちは何も変わらず、単に補助金をつかったブランド化で一発逆転、だなんて都合のよい話はありません。まずは地方生産者とその関係者が、積極的に時代の変化に対応するか、しないかが問われています。」

http://toyokeizai.net/articles/-/104375?page=3

ロシア、サウジ等と協調減産か?

2016-01-29 16:04:06 | 産業
「[ニューヨーク 28日 ロイター] - 28日の原油市場では、石油輸出国機構(OPEC)とロシアによる協調減産への期待が広がり、価格が一時急騰した。ただアナリストの多くは、実現の可能性に否定的な見方を示している。

バークレイズ(ニューヨーク)のコモディティアナリスト、マイケル・D・コーヘン氏は「誤った期待」と題した顧客向け投資ノートで「OPECによる減産のうわさは、市場のセンチメントを変える試みにすぎない。われわれは懐疑的」と指摘した。

28日の原油価格上昇は、サウジアラビアによる減産提案を示唆したロシアエネルギー相の発言が背景。同相によると、サウジは産油国が生産量をそれぞれ最大5%削減することを提案したという。原油価格はその後、湾岸諸国関係者が計画を否定したことで上げ幅を縮小した。

マッコーリー・グループ(ヒューストン)のアナリストは「減産調整でOPECとの協調を検討するというロシアのスタンスを示したものに過ぎない」との見方を示している。

原油市場ではこのような団結スタンスは異例。たとえロシアとOPECによる5%減産が実現しても、日量では200万バレルで、価格崩壊の原因である供給過剰からみるとごくわずかな量にすぎない。

ソシエテ・ジェネラル(ニューヨーク)のアナリスト、マイケル・ウィットナー氏は「実現してもマイナス200万バレルで、イランからはプラス100万バレル。効き目があるとは思えない」と述べた。

バークレイズやマッコーリー、その他の金融機関もこのような減産の可能性は低いとみている。

ウィットナー氏も、サウジは以前イラクやイラン、ロシアといった主要産油国との協調なしには減産しないと述べており、この4産油国間の合意実現は難しいとの見方を示した。

同氏は「ロシアやイラクは態度に軟化がみられるが、イランは制裁が解除されたところで、増産姿勢を崩さないだろう」と指摘した。」

http://jp.reuters.com/article/russia-oil-cuts-analysts-idJPKCN0V708X

『 蚊を殺すのにバツーカ砲 』/田中優氏のメルマガより

2016-01-16 09:24:01 | 産業
「■女子林業礼賛

 今年(2015年)3月、宮城の鳴子温泉で「湯守の森会議」が行われ、そこで「里山循環社会の実現」について真面目な会議が行われた。ぼくもそこの講師として招かれ、可能な限りわくわくできる未来の提案をしてきた。しかしその甲斐なく話題をかっさらってしまったのは「林業女子」の話だった。最近、どの分野でも女子の活躍がめざましい。林業も例外ではなく、しかもその方法が伸びやかで面白いのだ。


 特に面白かったのは青森県で薪ストーブの販売などをしている石村さんだ。石村さんはいう。

「女子だから森林組合にも出入りしやすいし、トラブルにもならない」

「大きな林業には男が向いているけど、内職みたいに小さな林業だって必要でしょう?そこには女子の方が向いている」と。


 彼女はこの冬、販売した薪ストーブに薪を届けるために、トレーラー一台分の雑木を調達して玉切りした。玉切りというのは木を40~50センチに切断することだ。その後に割って薪にする。「切断断面積なら青森県イチ」と自己紹介する石村さんだが、こんなことを始めたのはひょんなことだった。たまたま家を建てようとして出会った工務店が、山に来ることを条件とし、そこでどれほど山の木々がムダにさ
れているのか知らされたのだ。


「どの木を使いたいですか?」

 石村さんは即座に選べなかったが、彼女の娘が一本一本触れて『この木がいい』と決めた。すると「じゃ、切り倒しましょう」という。娘は『かわいそうだからやめて!』とギャン泣きしているにもかかわらず切り倒し、「木を使うのはこういうことなんです」と説明する。しかも切り倒すのに支障になる他の木まで切り倒す。

「この木は何に使われるんですか?」

「その木は使われません。買値がつかないですから捨てられたままです」と。

■人妻林業(ハート)

 『帰り道は森を見るたびに泣けて泣けて』と話す彼女は、若干の心的外傷後ストレス障害(PTSD)になっていたのだと思う。ちょっと意地悪だけど、林業の現実は本当に悲しい状態だ。

 そして石村さんは、山を活かすことを決意した。普通なら捨てられてしまう広葉樹も、薪だったら活かせる。山の木材を使えばカネになるから捨てられなくなる。小さな内職のような木材利用だって山を活かすことにつながると。


 ここからは彼女持ち前のおふざけと明るさが出てくる。青森の林業女子グループを作ったが、その名も「人妻林業(ハート)」だ。ハートマークが表示できないのが残念だが、オジサンが喜びそうなデザインなのだ。そのマークはチェーンソーなど林業機械メーカー「ハスクバーナ」のマークに似ている。ハスクは四角の中にHと書かれていて、その上側に「学」や「労」のような冠(これは冠ではないそうだ
が)がついている。

 人妻林業のマークでは、この「三つの点」が四角の上だけでなく左右にもついている。それがどうにもサザエさんの頭の形に見えるのだ。そして「人妻林業(ハート)」の文字、それで来られたらどんないかついキコリでもへなへなになってしまうだろう。


■新しい小さな林業

 実際、女子林業には大きな可能性がある。これまでの林業は効率と省力化を求めて大規模化し、蚊を殺すのにバツーカ砲を打つような状態になっていた。カネにならない木は邪魔者でしかなく、山はただの工場にされてしまっていた。しかし山を活かすにはきめ細かく小規模化した方がいい。


 林業が儲からないものとされたのは農業と同じ理由だ。農業では農協が中心となって効率重視、大規模化と省力・機械化を進めて高い農機具ばかり買い、その借金と物理的な重さ、化学肥料などのせいで知恵も土も固まってしまった。

 林業も同様に「効率重視、大規模化と省力・機械化」と進んだ結果、山には高速道路並みに固めた道路がないと機械を運べない状態にった。そして山は道から崩れたのだ。


 しかし女子林業のような小規模型林業が中心になると、力任せのやり方からそれぞれの土地や雨風の状態に合わせたきめ細かな林業になる。小さな機械とムダのない使い方で林業を進めたら、広葉樹も活かせて他の生物たちの領分も侵さず、長期の視点の林業となって山を復活させられるかもしれない。そんな可能性を秘めているのだ。」

田中優 メルマガ 496号より

ソニーが中国撤退を検討、家電事業が支柱から重荷に/人民網

2014-10-18 17:22:12 | 産業
「ソニーは業績悪化を受け、中国大陸部からの撤退を検討している。これは社員にとっては、すでに公然の秘密になっている。人民網が伝えた。

◆家庭用電化製品事業、支柱から重荷に

家庭用電化製品はソニーの支柱製品で、事業全体の6割以上を占める。ソニーはテレビ、カメラ、ゲーム機、携帯電話、パソコンなどで群雄の上に立った。特にそのポータブルオーディオプレーヤーやディスクは、世界でもその名に恥じない先駆者だった。

しかしソニーはこの10数年、まるでがんにかかった高齢者のようになっている。業績は悪化を続け、赤字を長年計上し続けている。資料によると、ソニーの2011年度の赤字額は4570億円に達した。2012年度には5年ぶりに黒字化を実現したが、これは固定資産と部門の売却によるものだ。ソニーはニューヨーク本部ビル、東京のビル、医療情報サイト運営のエムスリー株の一部を手放し、数十億ドルの資金を調達した。

ソニーの2013年度の赤字額は1284億円に達した。ソニーは、2014年度にも500億円の赤字を計上すると予想している。ソニーは以前、2014年度の赤字額は最高で2300億円に拡大すると予想していた。

家電事業はソニーが背負う重荷となっており、企業の経営と発展に悪影響を及ぼしている。米ビジネスウィーク誌は、かつてソニーの象徴だったテレビ事業が、この10年間で80億ドル弱の赤字を生んでいると計算した。

平井一夫CEOは就任後、黒字化を実現するため「引き算」を行った。固定資産と業績低迷の部門は、真っ先に売却による現金化が検討された。平井CEOが家電事業を手放すことはあるだろうか?ソニーに家電がなければ、消費者のイメージするソニーブランドと言えるだろうか?

◆革新的なキラー製品が不足

平井CEOには業績が急激に悪化するソニーを立ち直らせる手段がなく、固定資産の売却や、事業売却による戦線縮小といった措置を講じるばかりだ。ソニーはこのほど、電子書籍事業をカナダの電子書籍リーダー企業のKoboに売却した。それからリストラだが、ソニーはこのほど世界で5000人の人員を削減すると発表した(うちモバイル事業が1000人)。

ソニーの重要な問題は、製品そのものにある。ソニーは近年、時代を代表する革新的なキラー製品を販売しておらず、業界No.1・2の製品を生み出していない。しかも製品は高級路線で、大規模な販売を実現できる市場を開拓していない。革新的な製品の不足により、製品は高価格を維持できなくなっている。

ソニーは経営の現状を改善するため、ゲーム機のPS4やXperiaのフラッグシップ「Z3シリーズ」などの多くの新製品を発売している。これはソニーの経営改善の積極的な力になるが、企業の緩慢な方針決定、主力製品に対する革新の意欲の低下、競争力の不足、市場への鈍い反応といった症状は治療できず、苦しい経営状況に根本的な変化をもたらせない。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年10月15日」

http://j.peopledaily.com.cn/n/2014/1015/c94476-8795146.html

グーグルのスカイボックス買収、少額だが影響は大/WSJ

2014-06-18 18:11:59 | 産業
 グーグルが世界を監視する諜報機関に転身するという話。それをビジネスにして提供するだろう。

「昨今のシリコンバレーは、バリュエーションが乱れている。あるいは少なくとも不可解な場所になっているように見える。

 交流サイト(SNS)大手のフェイスブックは、メッセージングサービスのワッツアップを190億ドル(約1兆9380億円)で買収した。同社の収入は微々たるもので、洗練されたライバルが少なくとも6社存在するにもかかわらず、この高額である。また配車サービスのウーバー(Uber)は未公開株による資金調達で、このほど182億ドルの評価を得た。ビーツ・エレクトロニクスでさえ、音楽配信を始めたばかりで、技術的に劣ったヘッドホンを販売する会社にすぎないにもかかわらず、アップルにとっては32億ドルの価値があった。

 そんななか、インターネット検索大手のグーグルは、ある企業をたった5億ドルで買収した。だが、その企業はグーグルや同業他社が最近買収した他のいかなる企業より大きな影響をもたらす可能性がある。グーグルの収益にのみならず、世界に対してもだ。

 その企業とはスカイボックス・イメージングだ。グーグルは5億ドル、つまりワッツアップの実に38分の1の金額でスカイボックスを買収した。スカイボックスは人工衛星を地上296キロメートルの軌道に乗せる企業だ。ロシア製ミサイル(かつて米国を核で威嚇していたのと同類)の先端に載せて飛ばす。スカイボックスのおかげでグーグルはこんなことを実現できる可能性がある。すなわち2、3年後には、玄関の電灯を付けっぱなしにしたかや、ティーンエージャーの娘が、車は運転するなとあなたに言われているにもかかわらず、こっそり借りて運転していったかは、グーグル・マップを確認すれば分かるようになるかもしれない。

 なぜなら、2016年くらいまでに、スカイボックスは地球全体の画像を1日2回撮影できるようになるからだ。その解像度は先週まで民間への販売が禁じられていたほど高く、たった6基の衛星で行われる。18年になり、計画されている全24基が軌道に乗れば、スカイボックスは地球全体の画像を高い解像度で1日3回取得できるようになる。その解像度だと、ハイウェー(幹線道路)を走行する車の動画をリアルタイムで捉えることも可能だ。

 あなたはもしかしたら、天気図やグーグル・マップの衛星画像のおかげで、そういった画像が既に容易に利用できると思っていたかもしれない。だが、衛星の製造と打ち上げの費用はつい最近まであまりにも高額だったため、実現していない。現在商用に高解像度の画像を捉える衛星は軌道に9基しか存在せず、それらの能力は米国政府による安全保障の目的で定期的にそがれている。つまり、あなたがこれまでに見た地球の写真の大半は質が悪かったり、何年も前のものだったりするということだ。

 にもかかわらず、私が最近カリフォルニア州マウンテンビューのスカイボックス本社を訪問して分かったのだが、衛星画像事業は同社創業者が考える同社の姿でさえない。グーグルにおいてと同様、スカイボックスの事業はデータではなく、知識だ。

  共同創業者のダン・バーケンストック氏は、「われわれは人間の日々の経済状況への理解を根本的に変えるだろうと思っている」と話す。

 同氏は次のような例を挙げる。2010年、UBSのあるアナリストは、小売り大手ウォルマート・ストアーズの店舗の駐車場の衛星画像が購入できれば、同社が四半期決算を公表する以前に売上高を予測できることに気づいた。なぜなら、駐車場の車の数=店舗の買い物客数だからだ。

 バーケンストック氏は「われわれは毎週、フォックスコン(台湾・鴻海精密工業のブランド名)に注目するだろう」と話す。なぜなら、同社の製造施設を行き来するトラックの多さが新型iPhone(アイフォーン)の発売時期をスカイボックスに教えてくれるからだ。


 スカイボックスはまた、上空から石油貯蔵タンクの画像を撮ることで、サウジアラビアが地下から生産する石油の量を判断できるようになる。また、地球上のあらゆる食糧生産地の状態を1平方ヤードといった細部まで調べ、穀物のおおよその相場を何カ月も前に推定できる。ある自治体はスカイボックスのデータを使って、誰が裏庭に違法なプールを建設しているかを判断しているが、このデータを使って干ばつのときに誰が水の利用制限に違反しているかを特定する可能性もある。

 これは偵察機が取得するような競争的情報だ。あるスカイボックス従業員が米誌ワイアードの記者に対し、同社がいつかとんでもなく収益性の高いヘッジファンドになるかもしれないと語ったことにも、十分納得がいく。


 だが、こういった衛星データの既知の使用法―これまで大量には利用できなかったが、スカイボックスは実現可能だとしている―は始まりに過ぎない。

 最大のものは、予測不可能な応用かもしれない。例えば、GPS(全地球測位システム)は軍専用のシステムとして誕生し、当初ノートパソコンほどの大きさの受信機が必要だったが、現在はスマートフォンでのナビを可能にしている。これと同様に、スカイボックスの画像が誰も想像できないようなアプリやサービスにつながることは不可避で、予測できない破壊的な潜在性を持つ。

 スカイボックスの幹部は、同社のデータを外部の開発者たちに提供できることを望んでいると筆者に述べた。これは企業によるさまざまな新しいサービスにつながる可能性がある。これはかつて存在しなかった競争的情報の類であるため、値付けが難しい。だが、ライバルを偵察したり、「下請けの下請けの下請け」を監視したりできれば、非常に有用である可能性がある。

 もしグーグルが基本的なデータにライセンス料を課して、このようなサービスから手数料を取ることができれば、これはグーグルの収益構造に大きな変化をもたし得る新事業になる可能性がある。グーグルの収益は現在、潤沢とはいうものの、依然として検索広告と密接にリンクしている。

 グーグルは短期的には、スカイボックスの画像を使ってグーグル・マップを改善すると述べている。5月に明らかになった特許からはグーグルが衛星画像から超正確な地図を作成していることがうかがえるほか、同社は長年スカイボックスのライバルであるデジタルグローブと提携していた。デジタルグローブの衛星の価格はスカイボックスのそれの10倍高く、重量も10倍あったため、打ち上げの費用がかなり高かった。デジタルグローブの株価はスカイボックス買収の報を受けて4%下落した。

 スカイボックス買収の潜在的なマイナス面は、一般人のプライバシー侵害が新たなレベルに達する可能性があることだ。グーグルは、以前は識別できなかったかもしれない、われわれに関するあらゆることを識別できるようになるだろう。例えば、あなたの自宅のある街区に植えられている木の数と、世帯収入とに相関関係があることが判明するといった具合だ。あるいは、車を何台所有しているかといったことにも関係があるかもしれない。

 グーグルの衛星は個々の人物を特定できるほどパワフルにはならないだろう。それでもなお、スカイボックスの衛星は、その眼力を、比較的原始的とされる光学からではなく、賢いソフトウエアから獲得するのだから、同社の衛星は、打ち上げ後でさえも、その眼力をはるかに高める可能性があるのだ。

 数年後には、われわれは空を見上げた時、「自分は今、監視されているのだろうか」と思い巡らさねばならなくなろう。」

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303838604579627461249397026?mod=trending_now_5

「女性部長」が多い企業はどこか?」

2013-11-04 15:54:02 | 産業
「女性部長」が多い企業はどこか?


最新「女性部長ランキング」トップ50
岸本 吉浩 :東洋経済(CSR調査、企業評価担当) 2013年01月12日

「女性活用でトップは介護サービスも展開するニチイ学館

マネジメント層の女性活用はCSRに積極的な企業でもほとんど進んでいないのが現実。男性部長数10万3145人に対して女性部長数はわずか1723人。女性部長が1人も存在しない業種も存在するなど、厳しい現実が明らかになった。制度の充実だけでない、企業の本気度が問われているようだ。

『CSR企業総覧』掲載データをさまざまな角度からランキングし、各社のCSR(企業の社会的責任)の取り組みを見ていく「CSR注目データランキング」。2013年版では初となる今回は女性部長の比率と人数のランキングを紹介する。

部長の数で女性活用の積極度を判断

部長といえば、役員一歩手前のミドルマネジメントの中心。この層に女性がどれだけ多いかで企業が女性活用を積極的に進めているかを判断できる。『CSR企業総覧』2013年版には1128社掲載しているが、このうち11年度の女性部長比率を開示している829社を対象に女性の部長比率、部長数のランキングを作成した。

女性部長比率とは、その会社の全部長に占める女性部長の比率。集計表には業種ごとの対象社数、女性部長比率の平均値、男女別の合計部長数をまとめた。これを一覧すると女性部長数の存在感のなさがはっきりする。女性部長比率の全社平均は1.74%。最も高い業種が保険業の6.12%(対象11社)。他にサービス業5.74%(同54社)、小売業4.96%(同57社)などが高い。それ以外の業種は総じて低い比率にとどまっている。食料品、鉄鋼、電気機器、輸送用機器、精密機器など1%を下回る業種も多い。対象社数は少ないものの女性部長が1人も存在しない業種もある。

全社の合計人数は男性部長数10万3145人に対して女性部長数はわずか1723人。対象企業はCSRに積極的と考えられるが、マネジメント層の女性活用はほとんど進んでいないことが明らかだ。

比率20%以上はニチイ学館、ベネッセなどわずか9社

では、女性部長比率の企業別のランキングを紹介しよう。

1位はニチイ学館で56.5%(人数35人)。医療事務受託の最大手で介護事業も行う同社は女性社員比率も80.4%と高い。一般社員からマネジメント層まで幅広く女性が活躍している企業といってよいだろう。

続いて、2位トライアイズ50.0%(同1人)、3位アニコム ホールディングス40.0%(同2人)、4位ザッパラス28.6%(同2人)。5位はプラネット25.0%(同1人)、ベネッセホールディングス25.0%(同19人、開示はベネッセコーポレーションの数字)、銀座ルノアール25.0%(同1人)の3社。以下、8位ラオックス22.2%(同2人)、9位丸井グループ20.0%(同1人)までが20%以上だ。

経済同友会が20年までに女性管理職比率を30%まで引き上げるよう提言したが、部長職について「5人に1人が女性」という「20%の水準」に達しているのは829 社中この9社にしか過ぎない。そのうち女性部長数が10人を超えているのは1位ニチイ学館以外では、5位のベネッセホールディングスのみで、それ以外は企業規模が中堅クラス以下だ。

人数上位の大手企業に存在感

最後に人数別のランキングをご紹介する。1位はNECの90人(比率3.2%)。2位富士通84人(同2.6%)、3位東芝62人(同2.1%)、4位ファイザー49人(同7.3%)、5位大塚ホールディングス48人(同6.1%)と続く。いずれも比率は高くないが、NECの90人は、対象とした829社の女性部長の総数(1723人)の5.2%を占めるなど存在感はある。女性部長を増やすためには、これらの大手企業の取り組みも参考になるかもしれない。

支援制度充実の意味

さて、部長などミドルマネジメントの女性比率は今後高くなっていくのだろうか。『CSR企業総覧』には各社のさまざまな女性活用支援制度が掲載されている。年々充実していく制度が徐々に効果を出し、比率も高まっていくと期待する向きも多い。

ただ、こうした制度が必ずしもうまくいっていないという見方もある。日興フィナンシャル・インテリジェンスの杉浦康之氏は「両立支援などの社内制度は女性の活躍を推進するためには必ずしも効果的でない」と分析している。

確かに、先ほどご紹介した比率上位の各社の制度は飛びぬけて充実しているわけではない。

たとえば、比率5位のベネッセホールディングスは女性の存在感は非常に高い(開示はベネッセコーポレーションの数字)。50~59歳の年齢別従業員数は男性76人に対して女性93人。全体でも男性1236人、女性1574人と女性が多い。勤続年数も男性9.8年、女性9.4年とほとんど差がない。部長候補である管理職も32.1%が女性と高い数字となっている。

しかし、女性活用の諸制度を見るとフレックスタイム制度や短時間勤務制度などがあるものの、全体では平均的な内容だ。育児休業は「1歳到達後の4月14日まで」と、他の大手が3年間などと長期化するケースもある中ではむしろ短い方で、一般的な制度ではトップクラスとはいえない。

一方で裁量労働制度、在宅勤務制度など子育て中の女性でもしっかり働ける制度の導入は積極的だ。働く時間を減らすのではなく、場所にとらわれず働ける環境を整備することが高い女性比率につながっているのかもしれない。

日本企業の女性活用の本気度

ダイバーシティやワーク・ライフ・バランスに詳しいアパショナータ代表のパク・スックチャ氏は「日本企業は長期間の育児休業や時短勤務の導入には熱心だが、本気で女性を活用しようとしていない」と指摘する。

確かに『CSR企業総覧』に掲載されている各社の女性活用制度は、時短勤務や長期間の育児休業など女性の仕事量を減らす内容が目立つ。家事や子育ては基本的に女性が行うことを前提に制度が作られているケースも多そうだ。

時短などを取得している女性には責任ある仕事をあまり与えない上司もいるという。働き盛りの30代前半などで補助的な仕事しかしていなければ、当然その後のキャリアに影響が出るだろう。

管理職の女性を増やすためには、通常の仕事をこなしながら子育てを行い、少しずつキャリアアップできる環境を整備することが欠かせない。そのためには「夫の協力や家事の外注化で女性を職場に戻すべき」(パク氏)といった視点も必要になるだろう。

日本全体で見ると女性部長比率が高い企業は、まだニチイ学館やベネッセなどごく一部に過ぎない。だが、そうした企業には女性活用のノウハウが蓄積されている可能性がありそうだ。」

http://toyokeizai.net/articles/-/12314

部品納入業者の大赤字で稼ぐトヨタ

2013-04-19 18:19:31 | 産業
 トヨタが業績を回復させている。また安部首相の賃金引き上げの求めに応じて給与を引き上げ、関係者全員がハッピーなように見える。

 これは大ウソである。

 トヨタに部品を納入している業者で黒字を出しているところは稀であろう。

 先ごろ-といってもだいぶ前だが-ルネサスの破綻と経営再建が世間をにぎわせた。

 考えてもらいたい。

 ルネサスは自動車用半導体のシェア世界一である。

 その企業の経営がなぜ成り立たないのか。

 それは日本の自動車メーカー、なかでも支配的なトヨタがまともに支払わないからである。

 トヨタ社員の賃金引き上げは、部品納入会社の大赤字によって賄われている。そしてその赤字は、リストラ・再編によって賄われているのだ。

 そして忘れてはならないが、ルネサスに投入される2400億円の税金によっても賄われている。


 今トヨタ車など日本車の製造原価率は20%からどんなに高く見積もっても30%弱だという。

 標準的な小型車のエンジンなど、本当に数万円かかるかどうか、という値段になっているという。

 そのことは部品メーカーを消耗させ、技術開発力や品質維持の力を低下させている。

 もともとトヨタ本体に技術力があるわけではないから、部品メーカーの力の低下は直ちにメーカーの車の品質低下をもたらす。

 頻発する日本車のリコールの原因はそこにあるといってよいだろう。

 このままでは日本の産業の基盤は、大メーカーの会計上の黒字を積み上げるために破壊されてしまう。

 トヨタは日本の「問題」である。

牛丼すき家の労働地獄

2013-03-01 15:39:52 | 産業
「労働者酷使の牛丼すき家の敗北  首都圏青年ユニオンが23日に報告集会  


 牛丼チェーン「すき家」を経営する株式会社ゼンショーが首都圏青年ユニオンと団体交渉拒否をしていた事件について、和解が成立し、2月23日に同ユニオンは報告集会を開催する。外食産業の劣悪な労働条件は周知のことだが、ゼンショーの場合、特に悪質だった。ここで改めて、牛丼すき家をめぐる問題を整理してみる。(大野和興)

 牛丼御三家のひとつ「すき家」を経営する株式会社ゼンショーが抱えていた労働争議が昨年末解決した。形は和解だが、結果としてゼンショーの全面敗北であった。ゼンショーはアルバイト店員に残業料を支払わず、訴えられたら「アルバイトとは雇用契約はない、請負契約だから支払う必要はない」という非常識な主張を展開、団交を拒否していた。東京都労働委員会と中央労働委員会はこれを不当労働行為として救済を命令。これに対して同社は国を提訴したものの、東京地裁、東京高裁とも敗訴し、最高裁に上告していた。一方労組は団交拒否伴う損害賠償を求めて東京地裁に提訴。11月の結審後、昨年12月に同地裁で和解したものだ。労働法の存在そのものさえ否定してきた同社の姿勢の背後には、牛丼という存在に象徴される現代日本の貧困がある。題して「貧困の連鎖の中の牛丼」。以下は低賃金非正規労働者の強い味方牛丼をめぐる物語である。

◆「牛丼はそのうちタダになるらしい」

 朝、「よみうり時事川柳」を読んでいて思わず「うまい!」と膝を叩いた。こ吉野家、松屋、すき家のいわゆる牛丼御三家の値下げ合戦がピークを迎えていた2010年頃の話だ。「牛丼はそのうちタダになるらしい」という句である。4月11日号に掲載されたもので、作者は遊魚亭釣楽という人。当時、牛丼値下げ競争はいま底なしの様相を見せていた。2009年から2010年にかけてのおよそ1年間で、牛丼並盛はいっぱい380円から370円、280円、270円を期間限定の値下げを繰り返しながら下がっていった。

 値下げのしわ寄せは原材料と労賃に押し付けられる。その象徴がすき家の労働問題であった。すき家を展開しているのは外食大手の株式会社ゼンショー。東証一部上場の大企業だが、働いている従業員に時間外手当を払わないということでも有名な会社であった。すき家を有名にしたものがもう一つある。終夜営業中、強盗に入られるのでも定評があった。人件費を削るため、深夜1人勤務を強制していたからだ。

 そのすき家に対し、仙台市内の店の3人のアルバイト店員が個人加盟の労働組合、首都圏青年ユニオンに加入し、未払いの時間外手当を支払うよう求めた。2006年11月のことである。ゼンショーはこれを拒否、同ユニオンは翌2007年1月に団体交渉を申し入れた。しかしゼンショウは団交を拒否、ユニオンは2007年6月に東京都労働委員会にゼンショーの不当労働行為救済に対する救済を申し立てた。

 ゼンショーが断行を拒否した理由は、アルバイト店員とゼンショーとの間には雇用契約はなく、あるのは請負契約なのだから時間外手当を支払う必要はないという奇妙なものだった。請負契約あるいは業務委託契約ということになると労働法は適用されない。すき家のアルバイト従業員は一人親方としてゼンショーと契約して飯を盛り、牛丼をその上にかけ、レジを打ち、店の掃除をしていることになる。時間外で働くのはそのアルバイトの勝手であり、仕事が遅いからそうなるのだ、と言わんばかりの主張である。

 さすがにこの理屈が通るわけもなく、都労働委員会は2009年11月、ゼンショーに対し「団交に応じるように」との命令書を出した。「(アルバイトは)会社のマニュアルに従って働き、職務はあらかじめ決められたシフトで行われ、時給で賃金を得ている労働者に当たる」としている。続いて3人のアルバイト店員は2008年4月8日、仙台労働基準監督署に対して、労働基準法の定める時間外割増賃金(残業代)の未払いがあるとして、ゼンショーと代表取締役小川賢太郎氏を労働基準法違反で刑事告訴した。同年12月26日には、やはり首都圏青年ユニオンの組合員で、すき家岡谷若宮店の元アルバイト従業員が労働基準法違反(賃金未払い)の疑いで、店を経営するゼンショーと同社社長を告訴した。すき家は各地で残業代を払わないでアルバイトを使っていることが明らかになったといえる。

 ゼンショーは奇妙な報復処置に出た。残業代不払いで同社を刑事告訴した仙台市の女性店員(41)を、店のご飯を無断で食べたなどとして、窃盗などの疑いで仙台地検に刑事告訴したのだ。2009年4月のことである。読売新聞は「すき家、無断でどんぶり飯5杯食べたと店員告訴」と報じ、「店の防犯カメラで判明した」のだと書いた。報復と恫喝であること誰の目にも明らかで、地検は当然のように不起訴とした。

◆デフレの背後にある労働者の実情

 経過はとりあえずこのくらいにしておく。どうみてもまともとはいえない会社だが、ゼンショーのこうした対応はもしかしたら、現在の日本の企業社会に蔓延している労働者使い捨て文化のカリカチュアなのかもしれない。ゼンショーは外食最大手企業の一つで、牛丼チェーンばかりでなくファミリーレストラン、焼き肉、しゃぶしゃぶ、寿司、うどん、ハンバーグ、中華、イタリアンなどのチェーンを多彩に展開している。同社のホームページによると、企業理念は「世界から飢餓と貧困を撲滅するために  日本から『フード業世界一』を目指す」というもの。以前は各店舗に麗々しく掲示されていた。世界一を目指す外食企業の自負している企業なのである。以前取材したある従業員は「世界から貧困をなくす前に、従業員の貧困をなくしてほしい」と話していた。

 ゼンショーを訴えた原告の一人、女性アルバイト店長の話を以前聞く機会があった。彼女の話は壮絶だった。例えば、1時間に5000円の売り上げがなかったら、その時間に2人働いていても1人分の人件費しかでない、そのため月に400時間近くという過労死水準をはるかにオーバーする時間を働いても、賃金は月10ま円を超えることはなかった、24時間営業の3分の2は一人勤務で仕込み、料理作り、会計、接客、仕入れ、さらには下水溝の掃除までこなさなければならない、といった話が次々出てきた。

 こうして多くの労働者がまるで底なしの低賃金に押し込められ、お金がないから食べるものさえ十分に買えない生活を強いられる。その労働者に物を買わせるために、安売り合戦が始まる。ますます労働者は低賃金でこき使われ、物が買えなくなる。その労働者にものを買わせるため、さらに安売り競争が激化する。こうしたデフレスパイラルの最先端が牛丼なのである。安倍政権は景気回復を掲げてお札を大増刷して市中にバラまく政策を進めている。しかし、いくらおカネをばらまいても、こうした構造をそのままにしておいたのではおカネは人びとのもとには回ってこず、一部の人のみが儲かって格差は一層強まる結果に終わるのは目に見えている。


 首都圏青年ユニオンが23日に開く報告集会は以下―

ゼンショーに対しては、団体交渉を改めて申し入れているため、完全な勝利解決ではありませんが、まずはゼンショーが謝罪をしたことを報告し、多くの方々とこの勝利判決喜びを共有し、会社との闘いへの励みにしていきますので、ぜひご参加ください。

【名 称】首都圏青年ユニオン すき家裁判 勝利報告集会
【日 時】2013年2月23日(土) 午後6時より
【場 所】東京都豊島区南大塚3-22-10 東京労働会館7階 ラパスホールにて
    最寄り駅:JR山手線大塚駅、丸ノ内線新大塚駅
【主 催】首都圏青年ユニオン」

http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201302220012345

起業しやすい国/WIRED より

2012-12-26 18:09:21 | 産業
 起業しやすい国、というより地域のランキング。

 国より地域、そして国の役割は投資家にとって望ましい地域環境を整備すること、という流れがグローバル化なのだな。

 →http://wired.jp/2012/12/25/startup-hubs/

脱原発こそ日本経済活性化のカギ/加藤寛

2012-12-13 17:23:52 | 産業
 加藤寛など自民党べったりの-政府税調の会長もやっていたと思う-どうしようもない保守の経済学者だと思っていたが、初めて賛同する意見を見た。

 城南信用金庫の研究機関にいるのですね。

「【たんぽぽ舎発】ただちに原発をゼロに! 国民の手に安全な電気を取り戻し、日本経済の活性化を実現しましょう!!加藤寛   


 原発はあまりに危険であり、コストが高い。ただちにゼロにすべきです。原発がなくても日本経済は問題ないことは今年の原発ゼロですでに実証されています。火力発電だけで電力は十分に供給可能です。(城南総合研究所 名誉所長・慶應大 名誉教授)

 燃料費がかかると言いますが日本の経常収支は黒字です。仮に赤字になっても、為替レートで収支は調整されるので全く問題ないのです。それに為替レートが円安になれば国内企業にとっては輸出競争力が高まり、かえって経済の活性化につながるのです。

 松永安左エ門のつくった9電力体制は、地域分割で独占の弊害を是正しようとしたものですが、今では、政府と癒着し、利用者、国民を無視し、さらに原子力ムラという巨大な利権団体をつくってマスコミ、そして国家をあやつるなど、独占の弊害が明らかになっています。これを公共選択論という経済学では、レントシーキング(たかり行為)といいます。かつての国鉄は、独占を排除し分割民営化により、利用者や国民を向いた経営に転換しました。

 太陽光や風力、地熱、バイオマスなどの発電技術、LED、エコキュート、スマートグリッドなどの節電技術、さらには蓄電池などの技術などにより、電力の技術革新も急速に進み、地産地消や水素を用いた新たな配送方法が発達することが予想されます。こうした技術革新の中で、そもそも、原発に依存したこれまでの巨大電力会社体制も、近い将来は、時代遅れになり、恐竜のように消滅するでしょう。

 このまま「古い電力」である原発を再稼働しても、決して日本経済は活性化しません。むしろ脱原発に舵を切れば経済の拡大要因になります。中小企業などものづくり企業の活躍の機会が増えます。新しい時代の展望が開ければ新しい経済が生まれます。脱原発は新産業の幕開けをもたらし景気や雇用の拡大になります。経団連が雇用減少といいますが、むしろ脱原発は雇用拡大につながるのです。

 その意味でも、ただちに原発をゼロにすべきです。そしてかつての国鉄改革のように、電力の独占体制にメスを入れて、発送配電分離はもちろん、官庁の許認可に頼らない、真の自由化を実現し、国民の手に安全な電気を取り戻し、日本経済の活性化を実現しましょう。

(出典:城南総合研究所 調査報告書No.1「原発を稼働すれば電気料金は大幅 に上がる」より、了承を得て掲載。)」

別府で温泉利用のバイナリー発電本格化

2012-12-06 13:56:11 | 産業

 新潟県内でも松之山でバイナリー発電の実証実験を行っているが、ヨリ本格的な展開の様子。

 なお写真は別府の施設ではありません。

「日本初の温泉発電の建設が別府で始まるクリップする

 100℃程度の温泉水を利用して発電する「バイナリー発電」が、温泉地の注目を集めている。12月から大分県別府市の別府温泉で、日本で初めて温泉を利用したバイナリー発電設備の建設が始まった。

 バイナリー発電設備を建設するのは、別府市で650世帯の住宅に温泉水を供給する事業を続けてきた「瀬戸内自然エナジー」だ。1分間に800リットルの熱湯が噴出する源泉を管理しているが、これまでは住宅に温泉水を供給しても余ってしまい捨てていた。

 瀬戸内自然エナジーでは、温泉水を捨てるのはもったいないと考え続けていたが、有効活用する手段がなかなか見つからなかったという。再生可能エネルギーの固定価格買取制度が始まり、バイナリー発電という発電法があると知り、導入の検討を始めた。

 バイナリー発電なら本格的な地熱発電とは異なり、高温の熱源を求めて地下を深く掘る必要がないので、工事費が安く済む。温泉への悪影響もない。地熱発電では超高温の蒸気を直接利用してタービンを回すが、バイナリー発電では沸点が低い液体を温水で温めて蒸発させ、その蒸気でタービンを回す。100℃程度の温水でも十分発電に利用できる。温泉水の活用にもってこいの発電方法だ。

 瀬戸内自然エナジーが管理する源泉からは、1分間に800リットルの温水が吹き出す。温水の温度は100℃程度。温水だけでなく、温度が130℃程度の蒸気も噴出する。バイナリー発電では100℃程度の温水を利用する。発電施設の規模が大きくなってきたら、より高温の蒸気も活用する。


売電価格は太陽光と同等

 利用する機器は、神戸製鋼所の小型バイナリー発電システム「MB-70H」。1台当たりの最大出力は60kWだ。発電した電力は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を利用して九州電力に売電する。地熱発電の場合、機器の最大出力が1万5000kW未満なら、売電価格は1kW当たり42円(売電期間は15年間)と、高い価格が付いている。

 設備が完成する前に試運転を始める予定だが、この時点では発電機を1台だけ利用する。機器の最大出力は60kWだが、発電設備のそばには低圧の電線しか来ていないので、売電できるのは50kW未満の電力となる。余った電力は発電機の電源やポンプの電源などに利用する。この時点でも1年間の売電収入は1800万円を見込めるという。

 試運転を経て、本格稼働に移るのは2013年2月の予定だ。本格稼働が始まったら、発電機の数を徐々に増やしていき、最大で10台まで増やす。さらに、瀬戸内自然エナジーが管理しているもう1つの源泉にも発電機を設置していく。この源泉にも最大10台の発電機を設置していく計画だ。発電機が増えた時点で、高圧に対応する送電線を引くという。

 発電規模が大きくなってきたら、温泉水を一時ためるタンクを大型化し、多くの発電機に温泉水を流せるようにする。さらに、温泉水と一緒に吹き出す蒸気も利用する。バイナリー発電機に流す温泉水の温度は、流す前は100℃程度だが、発電機から出てくると85℃程度まで下がる。温度が下がった温泉水に130℃の蒸気を当てると、温度が100℃まで上がり、再び発電機に流せるようになる。発電機に流す温泉水が少なくなり、発電機の稼働率が低くなったときは、この手段で温泉水を再利用する。

 温泉水を利用したバイナリー発電の計画を打ち出している温泉地はいくつかある。しかし、温泉水と一緒に吹き出す蒸気まで利用する計画は瀬戸内自然エナジーの計画だけだ。単純に温泉水を発電機に流し込むだけでなく、蒸気も利用して発電機をフル活用しようとする計画は、ほかの温泉地にも大いに参考になるだろう。」

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20121205-00010001-biz_it_sj-nb&ref=rank

大丈夫なのか?-秋田のシェールオイル

2012-10-03 12:39:19 | 産業
「シェールオイル:採取に国内初成功 秋田のガス田地下から

毎日新聞 2012年10月03日 11時56分(最終更新 10月03日 12時12分)

 資源開発大手の石油資源開発は3日、秋田県由利本荘市の鮎川油ガス田の地下約1800メートルから、岩盤に含まれる新型の原油「シェールオイル」の試験採取に成功した。シェールオイルの生産に向けて、日本国内で取り出しに成功したのは初めて。

 シェールオイルは新たなエネルギー資源として米国ではすでに生産が本格化、世界的に注目されている。東京電力福島第1原発事故を受け、日本でも資源の多様化が求められており、日本国内での未開拓資源の開発に弾みとなる可能性がある。

 シェールオイルは、シェール層と呼ばれる地中深くの岩盤に含まれ、これまでは技術的に採掘は困難だった。(共同)」

http://mainichi.jp/select/news/20121003k0000e020214000c.html

 BSでやっていたアメリカのドキュメンタリー「ガスランド」は、シェールオイルやガスの採掘が、深刻な地下水の汚染や地上へのガスの噴出-水道をひねると水と一緒にガスが出るので蛇口に火がつく-を招く実態を赤裸々に描いていた。

 このドキュメンタリーがきっかけで、三大ネットワークも取り上げ大きな問題になっている。

 実は先日石油会社の技術者にこの問題について訪ねる機会があった。

 彼の所属する会社は実際にカナダにシェールオイルの工区を確保している。

 彼はドキュメンタリーについて「自分も見たが、大体間違っていない」と答え、さらに「人が多く住んでいるところなどは避けた方がいい」と話していた。

 秋田のシェールオイルは今のところせいぜい日本国内の消費量の1カ月分の埋蔵量だという。

 その程度の資源のために地下に希塩酸等を流し込んでいいものだろうか。

 再考が必要だと思う。

日本を貧乏にする方法/企業だけが金持ちになっていきます

2012-09-08 11:38:53 | 産業
「 流通大手セブン&アイ・ホールディングスが、傘下のスーパー、イトーヨーカ堂の従業員を段階的にパート中心に切り替え、正社員を現在の約8600人から2015年度をめどに半分に減らす方針を固めたことが8日、分かった。

 スーパー業界の低価格競争が激化する中、正社員を減らすことで人件費を削減し、経営体質を強化する。パート社員は約6800人増やし、接客を手厚くするなど、サービスや販売力を向上させる。パート比率は、現在より10ポイント以上高い90%に上がる。

 正社員の希望退職は実施しない方針。グループ内企業への転籍のほか、採用を抑制することで人員削減につなげる。
(共同)」

メガソーラー・不良債権化した工業団地に建設

2012-08-27 11:58:27 | 産業
「◇広大な敷地、送電設備も完備

 再生可能エネルギーの柱と期待される大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設用地として、景気低迷の影響などで“塩漬け”になってきた全国の工業団地を活用する動きが広がっている。万単位の発電パネルを敷き詰めるメガソーラー事業には広大な用地と送電設備が不可欠だが、工業団地はその両方を備えている。工場を誘致できずに不良資産化した工業団地の処理に頭を悩ませてきた地方自治体関係者からは「この好機を地域経済再生の活路にしたい」との声が上がっている。

◇再生エネルギー買い取り制度で加速

 メガソーラー建設ラッシュの背景には、電力会社による再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がある。太陽光の場合、7月から1キロワット時あたり42円での買い取りが始まっており、ソフトバンクなど大手企業が事業への進出を加速させている。

◇地元はホクホク、歓迎の声

 宮崎県川南町では、造成から47年間、工場を誘致できずに未利用だった町営工業団地の一角に、地元ガス会社が主導するメガソーラー(2025キロワット)の建設が決定。13年3月稼働予定で、同町には年間約600万円の土地の賃料や、5000万円程度の固定資産税(20年間稼働を想定した試算)が入ることになった。メガソーラーの運営には数人程度が必要なだけで、雇用はほとんど生まないが、同町は「年間約60億円の予算規模の町にとっては税収増だけでも大きい」(総合政策課)と話す。

 栃木県内では、メガソーラー建設計画が進む9カ所のうち、4カ所が工業・産業団地。県が管理する矢板南産業団地には、ソフトバンクとシャープが進出した。造成工事などに40億円強かけ、約15年前に分譲を始めたが、47万平方メートルの約6割(27万平方メートル)が空いたままだった。メガソーラーは約10万平方メートルの用地を活用する可能性があるといい、県企業局は「環境対策を進める観点からも歓迎」と説明。再生可能エネルギー拠点への“変身”を期待する。

 広島県呉市にある県営安浦産業団地には、東京の倉庫会社が約6000キロワットのメガソーラー建設を決めた。06年に造成された同団地は、産業廃棄物の埋め立て地だったため地盤が弱く、大型工場建設には深いくいを打つ必要があるなどコスト高が難点だった。比較的軽量な設備のメガソーラーなら問題はないといい、同県県内投資促進課は「土地の条件にもフィットした」と喜んでいる。

◇東京ドーム3200個分が未利用

 財団法人日本立地センターによると、全国には約900カ所の工業団地があり、12年3月末現在、東京ドーム3200個分の約1億5000万平方メートルが未利用のまま。同センターの高野泰匡(やすまさ)産業立地部長は「長年使われず不良資産となった土地にとっては、メガソーラーが有効な活用方法になる」と指摘した。

 経済産業省によると、12年3月末時点で80万キロワットだった住宅用以外の太陽光発電量は、13年3月末には130万キロワットまで膨らむ見通し。中でも、発電容量の大きいメガソーラーへの期待度は高い。【竹地広憲】」