白夜の炎

原発の問題・世界の出来事・本・映画

核で汚染される世界/ドイツのテレビ・ちきゅう座から

2013-04-29 20:13:16 | 放射能
「ドイツテレビARTE.(海底に放棄された10万トンの核ごみと海底に放棄された3つのロシアの核軍艦、この恐ろしい出来事は忘れられている)

2013年 4月 29日 評論・紹介・意見 リヒトナーすみ子原潜廃棄汚染海の汚染

<リヒトナーすみ子:ドイツ在住>

こんにちわ。お元気ですか?  この記事をちきゅ座に投稿したいと思います。

ドイツARTEテレビが報道したドキュメンタリーフィルムを2つ和訳(要約)いたしました。
とても重要な内容です。このフィルムはドイツ語ですが、画面を見るだけでもかなり理解できます。

北極海やヨーロッパの海が汚染され続けられていること。放棄されたソ連の核原子力潜水艦は核分裂が始まっており、いつ爆発が起こるか知れないと言う事実。膨大な健康被害が発生することに驚愕いたしました。
少しでも真実を知ってもらいたいと思い、和訳をいたしました。

イギリスの活動家が、世界中が原発の放射線と廃棄物で汚染されていると言う言葉は事実であると思います。
子供達の生命を守る為に私達は原発廃止の戦いを続けなければならないと思います。

http://videos.arte.tv/de/videos/versenkt-und-vergessen–7447586.html

Versenkt und Vergessen(海底に放棄された10万トンの核ごみと海底に放棄された3つのロシアの核軍艦、この恐ろしい出来事は忘れられている)

映画監督、Thomas Reutter さん、Manfred Ladwig さん、ドイツグリーンピースの活動家 Harald Zindler,さんが,海に放棄された核廃棄物の樽を調査するため、特殊な水中カメラで記録したドキュメンタリーフイルムである。チームはイギリス海峡で沈没した核廃棄物も発見している。

このドキュメンタリーフイルムは原発企業、各国政府(IAEAも含む)が無責任に海に核廃棄物を放棄し、今日では犯罪と云える事をしている事実を示している!


1995年以来、海に核廃棄物を放棄することは、世界で禁じられている。しかし、まだ陸から海に放射性汚染水を排出することは許可されている。

毎日何かが起こっていると言うことである。(環境破壊と健康破壊がされている)

再処理工場から液体核廃棄物がアイリッシュ海と英仏海峡に排出されている。

核汚染よる長期的な影響はほとんど不明である。それについての情報もほとんどないことは偶然ではない。

その理由は、指導者たちが、長年にわたって原子力の危険性を軽視し、事実を隠蔽してきたためである!

1970年にフランス、ドイツ、イギリスの原発からの10万トンの核ゴミが海に放棄され、ドイツグリーンピースがそれを阻止する為に行動を開始した。

だが,原発産業界はそれを無視した。セラフィールドの核燃棒も海に放棄されているという事実を誰も知らない。
(核ゴミ放棄の作業をさせられた船員達には、高放射線で危険であることも説明されず、何の防備服も与えられていなかった。)
海に放棄された核ゴミについては、12年間何も調査されていない。

ドイツグリーンピースは昨年1年間、北極海の海底に放棄された10万トンの核ごみと海底に放棄された3つのロシアの核軍艦の調査を行なった。
1隻の核軍艦では核分裂が起こっていることが発見された。(また、核ゴミ、8つのドラム缶を海底から運びだして測定したら、高い線量(プルトニウム)が検出された。)

核分裂を始めている核軍艦が爆発したら、広大な規模の環境汚染を引き起こし、考えられないほどの,健康被害が起こるとドイツグリーンピースの活動家は述べている。

ドイツからノルウエーにいたる領域の海でセシウムやプルトニウムが検出されている。

ヨーロッパはもちろん、世界中が汚染されている状態にある。

ドイツグリーンピースの活動家は、原発産業界に対してその責任を追及したいのだが、誰も責任を持とうとしない!と怒りを述べた。

ジャーナリストは、IAEAの幹部に面談した。
海底に放棄されたロシアの核軍艦が核分裂を始めていること、放棄された核ゴミが腐敗している事を伝えたら、IAEAの幹部は”放射線汚染された核軍艦を取り出しても、どこに運んだらよいのか、そんな場所は無い。だから海底に放置して置くしか方法は無い”とコメントした。

ジャーナリストが、核軍艦が核分裂し爆発して環境汚染することに対して、貴方はどう考えるのかと質問したのにたいして、”そのような物理的なことには答えられない”と述べた。(非人間的で無責任な回答だった。)

物理化学者クリス・バスビー博士が、セラフィールドに近いALDERNEY島の住民たちの白血病の発生率が他の地域の住民よりも10倍も高いというので調査を始めた。

白血病の例。ALDERNEY島の12歳の子供は白血病になっているが、幼児のとき、毎日海岸で砂遊びをしたさいの放射線が原因であると母親は話している。

もう1名は、幼児のとき白血病を患い現在(19才)も白血病を患っている。
脳腫瘍が2名。

セラフィールドでは7歳の子供が白血病。
(病気のデータは当局が秘密にしており、これ以上の調査を続けることは困難である。)

彼は海岸の土壌から、高いセシウムと高いプルトニウムの放射線量を検出した。(プルトニウム106ベクレル/kg,セシウム204ベクレル/kgである)
毎日、海岸の土は削り取られているのだが、毎日、海岸からプルトニウムが検出されている。

セラフィールドでは、人々の体、歯、家の中のほこりからもプルトニウムが検出されている。

だが当局は、何も問題はないと答えている。そして,セラフィールドは清潔な街だと宣伝されている。

クリス・バスビー博士は、ALDERNEYは非常に危険であり、海岸の砂の放射線が体内に吸入されると癌になるおそれがあると警告している。
また、土壌にしみ込んだ放射線は濃縮されて、より高い放射線になると述べている。

ドイツグリーンピースの活動家は、ヨーロッパの各地域の海草の放射線測定をし、海草からは、アレバが発表した放射線量より5倍も高い放射線量を検出した。また、ミミズは通常の規定値より、2000倍から3000倍も,汚染されている事を発見した。

原発から排出された放射線汚染水はセラフィールドからノルウエーまで流れ、ヨーロッパの海は汚染されている状態である。
魚が汚染され、人間にとって有害な食物連鎖が起こることは確実である。
そして、セラフィールドは今までに500kgのプルトニウムを海に排出している。(この事実は誰も知らない)

ジャーナリストはロンドンの保険省の幹部に面談した。

保険省の幹部は、”ALDERNEY島やセラフィールドで発生している白血病については原発による原因ではない”とコメントした。
英国の保険省のメンバーは、ICRPのメンバーでもある。ICRPが基準値値を決め、英国の保険省がそれに従っている。(まさに原発マフイアである)

英国のグリーンピースの活動家は、”私は激怒している!人々は何も事実を知らされていないし、全てロンドンの当局が決めているのである!”と話した。

ドイツの核専門家(ドイツ核防護協会)は、原発を建設するときの報告書には、原発エネルギーは安価であると報告されているが、リスクは原発の放射線により癌、白血病、甲状線癌、その他の病気になり短命であると報告している。政府は原発による健康影響を知っているのである。でも、政府は経済的に思考し、物理的(原発による健康被害)には全く考えようとしないと批判する。
Atomfriedhof Arktis

http://videos.arte.tv/de/videos/atomfriedhof-arktis–7447590.html


(核廃棄物の墓場、北極海)
17万トンの核のゴミ。14基の古い原子炉、3隻のロシアの原子力潜水艦が北極海に放棄された。

1993年にロシアの船が核廃棄物を放棄するのを、4人のグリーンピースの活動家達が止めようと行動した。そして、放棄されるロシアの原子力潜水艦の放射線量を測定しようとしたが、彼等はソ連水上警察に逮捕された。(短期間)
ロシアの核専門家は、放棄した核廃棄物で年間3,7兆ベクレルのセシウムで海が汚染されていると推算している。

だが、ロシア政府は何も危険が無い、我々は引き上げる計画をしていると公式発表している。

ドイツの放射線防護協会の核専門家RENNENBERG氏は、放射線災害は始まっており、ロシアの原子力潜水艦から放射線は漏れ、海は汚染され続けていると述べている。

北極海は、タラの水揚げで世界で最も重要な漁場である。ここから、魚がヨーロッパに送られてくる。
しかし、海底は核廃棄物で汚染され危険な状態である。

放棄されたロシアの原子力潜水艦内に1000個の金属製の箱があり、その箱には放射性廃棄物と使用済み核燃料棒が保管されている。

北極海でロシアの核廃棄物が処分されたことは、軍事秘密で推進され、記録も残されていない。

ロシアの反原発活動家アレキサンドラ・ニクティンは、放棄されたロシアの原子力潜水艦が、北極海の汚染をするという事をロシアで公式発表し、ロシア警察からスパイと思われ逮捕され、10ヶ月拘束された。

科学者たちの国際チームは、3つの古いソ連の原子力潜水艦が放棄された、最も危険な場所を見つけて、現在、地図を作成しようとしている。

あるソ連の活動家が、我々に証拠になるCDを提供してくれた。そのCDは、放棄されたロシアの原子力潜水艦が、いかに錆び、塩水で腐食されているかを写し出している。(危険なので彼の顔写真は見せることができないし、名前も匿名である)

潜水艦の外側は、驚くほど錆び、水中写真で、外側の亀裂を写しているが、多くの場所が塩水で腐食されている。
長年、放射線が漏れていることが事実であることは、測定結果が示している。

ロシアの専門家は、放棄された原子力潜水艦で、制御不能な核連鎖反応が起こりうることを警告している。

ドイツの放射線防護協会の核専門家RENNENBERG氏は、放棄されたロシアの原子力潜水艦では、短期間に核分裂が起こり、大災害が起こる可能性が高いと話した。

1995年、放棄された原子力潜水艦に、放射線が漏れないようにティタンのドアが取りつけられた。(ティタンは30年間だけ放射線を防護するので、30年後に再度取りつけなければならない)

ロシア当局は、少なくとも2014年までに、3つの原子力潜水艦のうち2つを,海底から引きあげたい旨を報告しているが、実際にそんなに早く実現できるのだろうか?

取りだすことは、労力は膨大で,核燃料棒が破損する可能性があり、危険な行為である。

また、現在まで、原子力潜水艦を取りだすためのロシア政府の動きは、全く無い。(ロシアの原発企業が、放棄された原子力潜水艦の中の1つを取り出すための計画文書と、その費用が216億ドルがかかるとロシア政府に計画書を提出しているが、政府からは、何の返事も無いと話した)。
ロシア政府は、 “今すぐの危険”は無いと公式報告をしているが、ロシア政府の内部文書には、環境の大災害が差し迫っていると、真実が書かれている。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion1268:130429〕」

http://chikyuza.net/n/archives/33652

ホームレスを殺すのは誰だろうか?

2013-04-29 20:05:45 | 社会
 ホームレスの殺人。寒々とした世界。

 日本の本当の姿かもしれない。

 「東京上野公園で80歳の老ホームレスが絞殺されテントが燃えた事件で、警視庁はきょう無職の男(26歳)を殺人などの容疑で逮捕した。筆者は凶行の現場を訪ねた。

 木立を結ぶように警察の非常線が張られ、テントの残骸と黒こげになった家財道具が所在なく置かれたままだ。場所は上野東照宮の入り口すぐそば。こんもりと盛り上がった一角に5張りのテントが並び、5人のホームレス(野宿者)が暮らす。

 隣人の野宿者Aさん(56歳)によれば、殺された老野宿者は信心深く、毎朝小さな仏像を手に上野東照宮や近くの神社仏閣を自転車で回っていた、という。「みんなから“拝み屋さん”って呼ばれて親しまれていたよ」。Aさんは懐かしそうに話す。

 バブル崩壊前まで、野宿者は数えるほどだった。不景気が長引くと仕事を失った人が住居も失い、次々と路上に弾き出された。厚労省が初めて行った全国調査(2003年)で、野宿者は2万5,296人にも上った。

 建設現場の土方だったAさんは、公共事業の削減で仕事を失った。家賃を払えなくなり6年前から上野公園で暮らす。56歳なので福祉事務所に生活保護の申請に行っても「まだ働けるだろ」と冷たく追い返される。

 『ホームレスは仕事をしない怠け者』と見る向きがある。怠け者が1人もいないとは言い切れないが、これは大きな間違いだ。仕事をしたくても仕事がないのだ。

 Aさんのテントにはきれいに磨かれたヘルメットと長靴がきちんと揃えられていた。「人づてで仕事を紹介されるが、多くて月に3回。ない時は何か月もない」とあきらめ顔で話す。


 リーマンショックで派遣切りが吹き荒れた2008年の年末、墨田公園の炊き出しに青年(30代前半・男性)が並んでいた。学校を卒業して最初に就職した会社の労働条件があまりに酷かったため、会社を移ったらその会社が倒産した。

 派遣労働者になったが、長期契約の仕事がなくなり、日雇い派遣で働かざるをえなくなった。究極の「その日暮らし」である。年末に日雇いの仕事もなくなり所持金も底をついた。「ネットカフェの宿泊費もないので、地下街で寝ている」。青年は力なく語った。

 ユニクロの柳井正社長が朝日新聞のインタビューに「年収100万円も仕方がない。中間層がなくなるかもしれない」と話した。

 中間層が分厚ければ、社会は安定し治安も安定する。中間層がなくなれば、その逆だ。治安は悪化する。100万円の年収から食費を引けば、ワンルームの家賃も払えなくなる。単純に考えれば、多くの人が路上に弾き出される。

 中間層が薄くなり治安が悪化しているところに野宿者が増えれば、今回のような「ホームレス殺人事件」が頻繁に起きるようになるだろう。」

http://blogos.com/article/60948/

安部氏に⇒これを見なさい/無駄だろうけど

2013-04-29 19:46:49 | 社会
 差別を理解するためには、避べされる経験と、それをきちんと知的に整理することが卒用不可欠。

 有名な「青い目、茶色い目」の実験授業の意義は失せていない。

 特に日本では。在特会の連中も子供のうちにこういう教育を受けておくべきでしたね、

 ①前半 http://www.youtube.com/watch?v=FYqjyvMXv4c

 ②後半 http://www.youtube.com/watch?v=cHU5RTOHi4E

ロシアの"ルーファー"

2013-04-29 18:59:11 | 社会
ロシアで若者に流行しつつある"ルーファー"。屋根に上り詰める人々だという。

そのスリルと景色がたまらないということだが、彼らが、そして彼らを撮った写真は私には別の意味で「たまらない」。

何とも背筋が"ゾワゾワ~"とする。

是非とも以下のサイトで写真をご覧ください。

 
 ⇒http://roshianow.jp/multimedia/pictures/2013/04/23/42631.html

散々な評価⇒安部参拝政権

2013-04-29 18:36:06 | 政治
NYT他が安部の国家主義を非難。

「Japan’s Unnecessary Nationalism

http://www.nytimes.com/2013/04/24/opinion/japans-unnecessary-nationalism.html

社説:無用な日本の国家主義

論説委員会

2013年4月23日

昨年12月に日本の首相の座を継承して以来、安倍晋三と彼が属する保守的な自民党は、日本経済の活性化や、2011年の地震と津波の被害からの復興、北朝鮮のような近隣諸国とのこじれた関係の調整を始めとする、込み入った問題が山積した課題リストを曲芸のようにこなしている。外国で物議をかもすのは逆効果なのだが、まさにそれは安倍氏と国家主義者の議員仲間たちがしてきたことなのだ。

23日に、多くは下級の保守系議員からなる168人の議員団が東京都心にある靖国神社に参拝した。ここには日本の戦没者がまつられ、第二次大戦後に戦犯として処刑された者も何人か含まれている。今回は国会議員による集団参拝としては近年で最大のものだった。安倍氏は参拝を見送り供物を奉納したが、副総理ら閣僚三人が週末に参拝したと、日本のマスコミは報じた。安倍氏には第二次大戦中の日本の行為を擁護した前歴がある。

20世紀日本の帝国拡大と軍国主義に苦しめられた中国と韓国にとって、これがどれほど根深くデリケートな問題であるかを、安倍氏と彼の取り巻きは良く知っており、その後の反応は予想できるものだった。22日に、韓国は外務大臣の訪日をとりやめ、中国は公然と日本を非難した。23日には東シナ海の紛争中の島々で中国と日本の船団が集結し、緊張はさらに高まった。

日中両国は領土問題の平和的解決に取り組む必要がある。しかし、北朝鮮の核開発問題を解決するために各国が協力して取り組む必要がある時に、日本が中国と韓国の敵意を煽るのは特に無謀なことであるように見える。

歴史的な傷を悪化させるのではなく、長く停滞している経済の改善と、アジアと世界での指導的民主国家としての役割強化に重点を置いて、日本の将来を構想することに、安倍氏は集中すべきである。

(翻訳 酒井泰幸)

(4月27日追記)
日本のメディアによるこの社説についての報道:

しんぶん赤旗 靖国参拝「不要な国粋主義」 NY・タイムズ紙が社説
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-26/2013042601_07_1.html

テレ朝 靖国参拝「不必要な国粋主義」米メディアが懸念
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000004264.html

初出:「ピースフィロソフィ―」2013.4.26より許可を得て転載

http://peacephilosophy.blogspot.jp/2013/04/nyt-japans-unnecessary-nationalism.html

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye2244:130427〕」

http://chikyuza.net/n/archives/33590

こっちの見解が正しい/管直人の総理談話

2013-04-29 18:24:06 | アジア
 こちらの方がどう考えても「未来志向」だ。

「内閣総理大臣談話

 平成二十二年八月十日

 本年は、日韓関係にとって大きな節目の年です。ちょうど百年前の八月、日韓併合条約が締結され、以後三十六年に及ぶ植民地支配が始まりました。三・一独立運動などの激しい抵抗にも示されたとおり、政治的・軍事的背景の下、当時の韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられました。

 私は、歴史に対して誠実に向き合いたいと思います。歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち、自らの過ちを省みることに率直でありたいと思います。痛みを与えた側は忘れやすく、与えられた側はそれを容易に忘れることは出来ないものです。この植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、ここに改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明いたします。

 このような認識の下、これからの百年を見据え、未来志向の日韓関係を構築していきます。また、これまで行ってきたいわゆる在サハリン韓国人支援、朝鮮半島出身者の遺骨返還支援といった人道的な協力を今後とも誠実に実施していきます。さらに、日本が統治していた期間に朝鮮総督府を経由してもたらされ、日本政府が保管している朝鮮王朝儀軌等の朝鮮半島由来の貴重な図書について、韓国の人々の期待に応えて近くこれらをお渡ししたいと思います。

 日本と韓国は、二千年来の活発な文化の交流や人の往来を通じ、世界に誇る素晴らしい文化と伝統を深く共有しています。さらに、今日の両国の交流は極めて重層的かつ広範多岐にわたり、両国の国民が互いに抱く親近感と友情はかつてないほど強くなっております。また、両国の経済関係や人的交流の規模は国交正常化以来飛躍的に拡大し、互いに切磋琢磨しながら、その結び付きは極めて強固なものとなっています。

 日韓両国は、今この二十一世紀において、民主主義や自由、市場経済といった価値を共有する最も重要で緊密な隣国同士となっています。それは、二国間関係にとどまらず、将来の東アジア共同体の構築をも念頭に置いたこの地域の平和と安定、世界経済の成長と発展、そして、核軍縮や気候変動、貧困や平和構築といった地球規模の課題まで、幅広く地域と世界の平和と繁栄のために協力してリーダーシップを発揮するパートナーの関係です。

 私は、この大きな歴史の節目に、日韓両国の絆がより深く、より固いものとなることを強く希求するとともに、両国間の未来をひらくために不断の努力を惜しまない決意を表明いたします。」

http://www.kantei.go.jp/jp/kan/statement/201008/10danwa.html

安倍政権のどうしようもない愚劣さ/田畑光栄氏のブログより

2013-04-29 18:20:26 | アジア
元TBSの田畑氏のブログより

「暴論珍説メモ(124) 

円が下がって、株が上がって、安倍首相の頭の中のネジが1本緩んでしまったのではないだろうか。小泉元首相流の「高姿勢とごまかし」答弁が突然再登場した。元首相にあった一種の愛嬌が欠けているのが違いだが・・・。

北朝鮮の「脅迫」にどう対処するかで、中国、韓国と緊密な連携を維持しなければならないはずなのに、麻生太郎(副総理・財務相)、新藤義孝(総務相)、古谷圭司(国家公安委員長)の3閣僚、それに「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の面々168人が、4月20日からの靖国神社の春の例大祭に参拝したことへの、中韓両国、とくに韓国が見せた反発に対する安倍首相の開き直りである。

舞台は22日から始まった参議院予算員会の今年度予算案についての基本的質疑。村山談話の見直し、靖国参拝、尖閣などについての質疑に対する答弁で、安倍首相は狡猾かつ鉄面皮に薄っぺらな形式論理を振り回して、歴代内閣がまがりなりにも築き上げてきた、戦争の歴史についてアジア諸国が受け入れられる日本の「立場」を弊履の如く捨て去った。

まず村山談話について。「安倍内閣としてそのまま踏襲しているわけではない」と言明して、「継承する」と言ってきたこれまでの態度を変えた。しかし、そう言うなら、どこを踏襲し、どこを踏襲しないかを明示しなければ発言は完結しない。ところが質問者(民主党・白真勲議員)の突っ込み不足もあって、その点は明らかにしないままに終わった。狡猾というのはそういうところである。

同様の手法は「侵略」についての質問への答弁(23日)でも使われた。ここで安倍首相はまず「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない」と言いきった。本当にそうか。かりに定まっていない部分があるとするなら、そこを明示しなければやはり発言は完結しない。それをしないまま、その後にこう続けた。「国と国との関係でどちらから見るかにおいて違う」。これは話が違うだろう。現実の国家関係で一つの事象について見解が対立するのは珍しくないが、それは定義の多様性の例示にはならない。こんな子供だましであたかも自説を証明したかの如くに装う。

昭和20年にいたる日本の中国に対する軍事行動が「侵略」でないと言いたいなら、どういう定義に基づいて侵略でないと判定するのかをはっきりさせなければならないはずだ。
本音はその後の最後の部分だ。「アカデミックな議論を学者どうしが学識をかけて議論すべきだ」という結論である。つまるところ学者を使って「甲論乙駁」の結果として「結論なし」に持ち込みたい、つまり「侵略とは言えない」という形にしたい、という思惑が見え見えだ。(この部分の引用は『毎日』4・23夕刊による)
こんなロジックが通用すると思うところが鉄面皮だ。

もっとも首相も首相なら副首相も副首相で、麻生大臣は政府代表として2月25日に韓国のパク・クネ大統領の就任式に参列し、その後、同大統領と会談した際、「日韓関係は歴史を直視して」と釘を刺された際に、米国の南北戦争の例を挙げて、南と北では歴史の見方が違うと言い返したという。反論するなら、きちんと反論すべきだ。日本は朝鮮を植民地にしたわけではないと言いたいならそう言うべきだし、日本統治にもいい点があったと言いたいならそう言うべきだ。その勇気がないから、白黒をつけずに「歴史にはいろいろな見方がある」でお茶を濁そうとする。その見え透いた狡猾さには顔から火が出る思いだ。

そして靖国参拝。「国のために尊い命を捧げた英霊の御魂に追悼の誠を捧げる」というのが、政治家が靖国神社参拝の目的に掲げる決まり文句だ。しかし、靖国神社がかつての日本軍国主義の象徴であったことはぬぐいようのない事実である。無辜の民を動員して戦地に送り、その命を捨てさせるための壮大な仕掛けが靖国神社であった。しかも、敗戦後、その戦争を指導し、自らは「尊い命を捧げることなく生き残った」人たちまでが、死後に「英霊」になりすましてあそこには合祀されている。靖国神社にどう向き合うかは、その人間の歴史に対する姿勢そのものと言っていい。
 政治家ともあろうものが靖国神社のもつこの大きな矛盾をどう考えるかを明らかにせず、わざとらしい一言で参拝するから、その下心がかえって見えてしまうのだ。「追悼の誠」を隠れ蓑にして歴史を書き変えようとしている、と。

 追悼の誠を捧げる、というのは内的行動である。いつでも、どこでも、やろうと思えばできることである。それは例大祭だの、終戦記念日だのに、わざわざ特定の場所に出かけなければ果たせないわけではない。したがって、出かけていくのは心的行動とは別のデモンストレーションである。オレはこうして追悼の誠を捧げているのだぞ、と他人に見せるための。

 ただ小泉首相まではこうした矛盾を指摘されても、ひたすら「追悼の誠」の隠れ蓑の背後に身を置いてほかのことは言わなかった。せいぜい今回も麻生大臣が言った「外国では戦没者に政府が敬意を捧げるのを禁じている国はない」式の、外国の例を持ち出して参拝を正当化したくらいであった。それが安倍首相では変わった。
 24日の参院予算委員会で安倍首相は、「国のために命を落とした英霊に尊崇の念を表するのは当たり前だ。わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない」と答弁した。さらに野党に対して「(外国からの)批判に痛痒を感じず、おかしいと思わない方がおかしい」と反撃した。

 中国、韓国からの批判を「脅し」と決めつけた。「脅し」を何とも思わない野党のほうがおかしいと断じた。「脅し」なら、無視するか、脅し返すしかない。まともに受け止めるのは「脅し」に屈したことになる。だから相手の態度を「脅し」と切り捨てることは喧嘩しようという宣言である。わが国の首相はこんな宣言をしてしまった。

 私はなんでも中国、韓国の言うことを聞け、などと言うつもりはない。竹島や尖閣諸島に「歴史」を持ち出すのは大人の態度とは思えないし、問題に対する彼らの論理の弱さを示すものだと考えている。
 しかし、歴史となれば、わが国は村山談話を出した。世界に向かって出したものをなし崩しにするようなことは言うべきでないし、するべきでない。いったん謝罪した以上は、それを貫かなければ国としての品格が失われる。相手が歴史を持ち出して来れば、何度でも同じ態度で応えなければならない。

 同時に歴史と目の前の問題の処理とは別次元であると、そこをはっきり区別すればいい。尖閣は確かに明治政府の野心による領有であったことは否定できないが、しかし、日本敗戦後、中国(中華民国)は理由はどうあれ、当時、日本領であった同諸島の返還を要求しなかった。その状態は20年以上続いた。日本の領有を認めていたと言われても仕方がないはずだ。

 韓国は日露戦争に勝利した日本がその余勢をかって、韓国(大韓帝国)に第二次日韓協約を押し付けて外交権を奪った1905年に、日本政府は竹島を島根県に組み入れたのだから、侵略の一部だと主張するが、組み入れはまだ「奉天大会戦」前の2月、議定書は11月だから直接の関連はない。もっとも第一次(1904年)から第三次(1907年)の日韓協約が結ばれる途中で、竹島の編入がおこなわれたことは事実である。しかし、それが直接に結びつくかどうかは議論のあるところであろう。
 いずれにしろ、とにかく日本は昔、悪いことをしたのだから、その罪滅ぼしに尖閣も竹島も譲り渡せというような中国、韓国の要求は筋が通らない。しかし、日本の主張を通すためにも、歴史に対する姿勢がぶれてはいけない。

 都合の悪い歴史を改変しようとしていると思われたら、国際社会はかえって歴史と結びつけて尖閣、竹島の領有を主張する中国、韓国の言い分に理があると考えるだろう。安倍首相は自分こそ国益を守る志士のつもりで、「毅然」を演じているであろうが、それが長期的にどれほどの国益を損じるか計り知れない。「ナショナリズムは愚者の楽園」と昔から言うが。

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye2243:130426〕」

http://chikyuza.net/n/archives/33565

戦争と諜報を支えるアメリカの大学/田中宇氏

2013-04-29 16:10:07 |  北米
 田中氏によるハーバード、MITの分析。

「アメリカの戦争を支えた大学

2001年5月14日  田中 宇
 記事の無料メール配信
 アメリカ東海岸、ボストン近郊にあるマサチューセッツ工科大学(MIT)は、理科系中心の大学にふさわしく、建物の名前が番号で呼ばれている。たとえば、古代ギリシャの柱がついた、大学の玄関にあたる建物は「第7ビル」(Building 7)である。MITから歩いて30分ぐらいのところにあるハーバード大学では、建物の名前に昔の総長などの人名がついていることが多いのと対照的だ。MITの建物にも、一応別名として人名がついているが、数字の呼び名の方が主流となっている。

 MITの自慢は、出身者たちがアポロ計画のロケットや初期のコンピューターを生み出したという「科学」に関するものだが、それに対してアメリカ随一の「エリート養成学校」であるハーバードの自慢は、大統領の多くが卒業生であることなど「人」に関するものである。MITでは「数字」、ハーバードでは「人名」が建物の名前に使われていることは、2つのライバル校の特色の違いを象徴している。

 MITの建物群の一つに「第20ビル」というのが最近まであった。1998年に取り壊され、今は建て替え工事が行われているこのビルは、1943年に仮の実験棟として急いで建てられた。建設を急いだのは「戦争」のためだった。

 当時は第2次世界大戦が始まったころで、アメリカはドイツや日本と戦うための武器開発に国力の多くを注いでいた。武器の技術開発は大きな大学に委託する方針がとられ、アメリカ屈指の工科大学であったMITにも連邦政府からの資金が流れ込み、大学の規模は戦争中に急拡大した。1861年に産業技術専門の私立の単科大学として設立されたMITは、これを機にアメリカの武装を支える国家の大学へと変身した。

 その最中に建てられた建物の一つが第20ビルで、放射線研究所の実験室が置かれた。ここで開発されたものの一つにマイクロ波を使ったレーダーがある。これは戦争中、敵機の位置を確認するために絶大な効果を発揮した。また広島と長崎に落とされた原子爆弾につながる基礎研究も行われた。原爆を生み出した「マンハッタン計画」の中心は政府の「ロスアラモス研究所」だったが、そこにはMITからも多くの科学者が派遣された。

▼原爆の被害拡大を主張したハーバード出身者

 戦争への協力という点では、ハーバードも負けてはいない。いやむしろ、MITより200年以上前にアメリカ最初の大学として設立されたハーバードの方が、国家の戦争を支えた歴史は長い。第1次世界大戦に際して「ルイサイト」と呼ばれる毒ガスと、それを使う側の兵士がかぶる防毒マスクの開発を手がけたのは、ハーバードで化学を研究していた人々である。戦争は、国家の生死をかけた大事業なのだから、愛国心にあふれた大学の研究者たちが武器の開発に協力するのは、ベトナム戦争あたりまで、誰もが当然のことと思っていた。

 第2次大戦では、ハーバードの人々は技術開発もさることながら、戦略立案の面で活躍した。たとえば、第1次大戦で毒ガス開発にたずさわり、1930年代にハーバード大学総長となったジェームス・コナント(James Conant)は、第2次大戦では大統領の顧問団に入り、国防研究委員会の議長となって、1941年には原爆開発に全力を挙げるべきだと主張してマンハッタン計画を推し進めた。その後は、原爆による被害を大きくして威力を世界に示すため「日本の、軍事工場と一般市民の居住区が隣接している都市に原爆を落とすべきだ」という主張を展開した。

 「良心」より「戦略的思考」を重んじるという点では、科学の世界にいたMIT出身者より、政治の世界にいたハーバード出身者たちの方が勝っていた。第2次大戦が終わった後、原爆を開発した科学者たちは、戦後は原爆を国際管理下に置くべきだと主張した。当時すでにソ連が原爆の開発を進めており、このままではアメリカとソ連との間で核兵器開発競争が起きると予測されたからだった。

 ところがコナントら大統領の側近たち(ハーバード出身者が多かった)はこの要求に反対し、アメリカの核管理はアメリカ自身で行う方針を貫いた。核武装しているという自国の優位を保ちたかったことに加え、米ソ間で冷戦が起きれば、戦争中に形成された軍事中心のアメリカ経済の発展を戦後も維持できるという理由があったと思われる。

▼冷戦のための秘密研究

 第2次大戦が終わって冷戦時代に入ると、アメリカの大学と国家との関係は多様化した。その一つは戦争で培われた科学技術の「平和利用」であった。核兵器の開発は続けられたが、その一方で核技術は原子力発電所というかたちで開花し、MITの原子力研究の中心となった。ミサイル技術はアポロ計画として宇宙開発につながった。(冷戦の一環としてのソ連との開発競争ではあったが)

 ミサイル弾道の解析など急いで膨大な計算をする必要に迫られ、戦時中に開発が進んだコンピューターは、産業用機械に変身した。「第20ビル」では、言語学者のノーム・チョムスキーらが研究を進め、その成果はコンピューター言語として何がふさわしいかを探るために役だった。

 科学技術のための大学だったMITは、社会科学分野の研究機関をも含む総合大学となったが、表面的な「平和」の裏で、冷戦を戦うための技術開発は、依然として政府肝入りで続けられていた。その一つはMITやハーバードだけでなく、アメリカ各地の大学で冷戦中に増えた「秘密研究」の存在である。

 これは、研究の存在そのものを公開しないという約束で、国防省やCIAが大学に予算つきで発注する研究のことだ。ハーバードでは、大学の総予算に占める政府からの研究費は1940年代にはほとんどなかったが、60年代には33%にまで増えた。(John Trumpbour編 "How Harvard Rules" による)

 大学が冷戦に協力したもう一つの分野は、外交政策を立案する際の基礎となる「国際地域研究」だった。冷戦時代、ソ連は世界各地の発展途上国を支援して社会主義陣営を拡げようとしたが、アメリカ政府は世界各国についての動向を把握し、この動きを封じて世界支配を維持する必要があった。この役割を担ったのがCIAで、全米の主要大学の地域研究に金を出すとともに、海外からの留学生に対して帰国後に諜報員として働いてくれるよう勧誘した。

▼「ホワイトハウスの控え室」

 MITとCIAの深いつながりは、1950年代にマックス・ミリカン(Max Millikan)という教授が休職してCIA副長官をしたことに始まる。ミリカンはMITに戻った後、CIAとフォード財団の基金で「国際学研究所」(CIS)を設立した。この研究所では、東欧諸国でソ連の支配に反対する国民運動を巻き起こす方法を考える「トロイ計画」(Project Troy)や、中南米諸国で起きる社会主義勢力による反政府活動をどう察知して潰すか考える「キャメロン計画」(Project Cameron)などが行われた。 (研究所のサイトにある記事によると、冷戦後は安全保障から経済、環境問題まで、幅広い国際テーマを扱っているという)

 ハーバードでは、1957年に「国際問題センター」(CFIA)が設立された。ベトナム反戦運動が高まった1971年、学生たちがCFIAのビルを占拠した際、CFIAがCIAとの密接な関係を持ち、冷戦に勝つための世界戦略に関する秘密研究をしていたことを示す資料が大量に暴露された。アメリカでは当時、すでに政府が大学に秘密研究を依頼することが違法となっていたので大問題となった。

 しかしその後も秘密の関係は続き、1985年にはCFIAの所長だったサミュエル・ハンチントンらがCIAからもらった資金で秘密研究を続けていることがマスコミにすっぱ抜かれている。「敵はソ連であるということを、学者も忘れるべきではない」という主張を展開していたハンチントンは、ソ連が消滅すると、今度はイスラム文明圏などを今後のアメリカの仮想敵と位置づけようとする本「文明の衝突」を書いて有名になった。

 ハーバードでは、中堅の官僚や政治家らを世界から学生や研究員として集めて教えている「ケネディ行政大学院」(ケネディスクール)も、冷戦に積極参加した歴史を持つ。ここは1950年代からフォード財団などの金で、ソ連との軍拡競争に勝つための研究を始め、発展途上国から中堅行政官を招いて勉強してもらうプログラムも行っている。CIAなどの金で秘密研究を行うことが禁止された後は、逆にCIAや国防省の職員が特別研究員としてケネディ大学院で研究できる制度を拡大し、現在に至っている。

 大学は国家に貢献すべき組織であり、戦争が国家の大事業である以上、大学が戦争に協力することは悪いこととはいえないと考えることもできる。しかし、その分野の研究の多くは秘密にされ、自由な議論の対象となっておらず、大学としての理想からはかけ離れている。

 ハーバードの教授陣、特にケネディ行政学院の教授の多くは、大統領から指名されて政府の要職に就き、ワシントンと大学とを数年ごとに往復することを人生の目的としている。「政府要人の予備軍」「ホワイトハウスの控え室」となっているハーバードで、アメリカ政府が本当のところ何をやっており、それが良いことかどうかということについて、自由な論議など期待する方が間違っているのかもしれない。」

http://tanakanews.com/b0514university.htm

4月29日の放射線量

2013-04-29 15:35:19 | 放射能
新潟県内、窓締め切り、室内、天気は快晴。

今までは天気が悪かったり寒かったりしたため窓を閉めていたのだが、今日は逆。

天気が良くて外気温が24-25度もあるので、冷えている室内の温度を維持するために窓を閉め切っています。


0.08μ㏜/h。

TPPは農産物も交渉対象にする/アメリカ通商代表部

2013-04-25 12:08:56 |  北米
 NHKによれば、アメリカ通商代表部は、アメリカ議会に送った書簡で、TPPの交渉では農産物を含むあらゆる品目が交渉の対象になると述べている。

 これが事実ならば、安倍政権は国民にウソをついたことになる。

 どうなんですか安部さん。

 ⇒http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130425/k10014172251000.html

レーダー照射問題・技術解説

2013-04-24 13:54:59 | 軍事
「射撃管制用レーダーを「照射してない」とシラを切れるのか?

防衛省技術研究本部 元・射撃管制研究室長の外園博一総務部長に聞く

酒井 康治

今年1月30日、中国の艦船が日本の護衛艦に向け「照射した」ことによって、にわかに注目を浴びることとなったキーワード、「射撃管制用レーダー」。その目的は、読んで字のごとく相手に狙いを定め、攻撃を加える態勢を整えること。しかし中国側は、いまだそのレーダーの照射自体を認めていない。テクノロジー勝負の高度な“電子戦”が日々繰り広げられている時代、3キロといわれる至近距離での照射について、“シラ”を切ることはできるのか。防衛省技術研究本部の元・射撃管制研究室長で、現・総務部長の外園博一氏に、射撃管制用レーダーの“正体”について聞いた。
(聞き手は森永輔、酒井康治)

(外園博一(ほかぞの・ひろかず)
防衛省技術研究本部総務部長(工学博士・電気工学専攻)。1957年生まれ。80年慶応大学工学部電気工学科卒業、83年同大大学院理工学研究科電気工学専攻修士過程修了、92年同大大学院理工学研究科電気工学博士課程修了。81年4月防衛庁技術研究本部入省、同年8月同本部第3研究所、94年装備局開発計画課、96年同局航空機課誘導武器室等を経て、98年4月技術研究本部第3研究所射撃管制研究室長。その後、技術研究本部第2研究所センシングシステム研究室長、防衛省技術研究本部企画部企画課長、同省経理装備局システム装備課長、同局技術計画官、同省技術研究本部航空装備研究所システム研究部長等を経て、2011年8月現職)

中国の艦船から海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」に向けて「射撃管制用レーダー」が照射されたという報道があり、緊張が走りました。中国側の主張は「照射していない」ということですが、その真偽を判断するには、「射撃管制用レーダー」がいかなるものなのか、その“正体”をもう少し詳しく知る必要があると思います。

外園博一部長(以下、外園):それではまず、「レーダー」がどういうものかについて説明しましょう。簡単に言うとレーダーというのは、指向性を持ったアンテナから電波を放射し、その方向にある物体から反射された電波をアンテナで受信することで、その物体までの方位と距離を測定する装置です。「Radio Detection and Ranging」を略して「Radar」と呼んでいます。測定できるのは方位と距離ですが、3次元で見るので高さも測れます。電波は光速で進みますから、行って返ってくる時間に光の速度をかけて2で割れば、目標物までの距離が分かります。方向は機械式の回転するアンテナであればその向きで、電子式のアンテナであれば電波を出した向きによって電気的に分かります。


軍用レーダーで使うのは「光波」と「電波」

いわば電波のキャッチボールみたいなものですね。そうなると、どんな「球」を投げるのか、つまり電波の種類がポイントとなってきます。

外園:ええ、その通りです。我々が軍用として扱うのは電波と光波の2種類です。どちらも電磁波ですが、それぞれ「波長」という波の長さによって分類されます。名前から分かるとおり、波長には長いものから短いものがあり、短い方は例えば赤外線や可視光のような光の領域になります。その電磁波を出す方式と受ける方式が、電波と光波では大きく違います。光の場合は蛍光灯やランプ、あるいはレーザーのような方式で発光させ、基本的に鏡やレンズで入ってくる光を集めます。一方、電波は送信装置を使って放射し、アンテナで受けます。このようにエンジニアリング的に構成が異なるので、我々は光波と電波を大別して考えています。

 そこで波長ですが、長いものは主に通信、そしてラジオ放送やテレビ放送といった用途に使われます。そして比較的波長が短くなってくると、レーダーのような用途にも使われるようになります。さらに電波を軍用に絞って見ていくと、一般的に使われるIEEE(米国電気電子学会)の呼称で、周波数ごとに「L帯(1G~2GHz)」「S帯(2G~4GHz)」「C帯(4G~8GHz)」「X帯(8G~12.5GHz)」「Ku帯(12.5G~18GHz)」「K帯(18G~26.5GHz)」「Ka帯(26.5G~40GHz)」というふうに分類されます。その中で、レーダーは主に「L」から「Ku」辺りの帯域を使用しています。


目的は「目標の方向と距離を正確に捉えること」

なぜ、レーダーはそうした帯域を使うのですか。

外園:電波の性質から判断して、この辺りの波長が小さな目標の方向と距離を正確に捉えられるというのが一番の理由です。通信を行うだけなら目標に届けばいいのですが、レーダーの場合は物体からの反射を捉えないといけません。また、距離と方位と高さを探るには、比較的波長が短い方が捉えやすいのです。

波長が10メートルとか長くなると、目標物を通り越してしまうとか……。

外園:「回折」といって電波が回り込むような現象が起こります。例えば、東京タワーから送信されたテレビ電波は、東京タワーが見えなくても届きますよね。あの電波も反射はあるのですが、テレビ電波は障害物を回り込むので遠くの家でもテレビが映るのです。また短波を使えば地球の裏側と通信できるのですが、それは上層部にある電離層に反射するくらいの長さの波長だから可能なのです。この回折や電離層での反射という現象は通信にとってはいいのですが、レーダーで使用すると「これはどこから返ってきた電波なんだ?」ということになってしまいます。

 さらに波長は届く距離にも関係してきます。長くなれば遠くまで届きますし、短いと届く距離が短くなります。大気中には様々なチリや雨滴、雲、霧などが存在し、ちょうどそれらの粒子のサイズと同じくらいの波長の電波がぶつかると、そこで「散乱」という現象が起こります。その結果、電波があちこちに飛んでいってしまうので、短い波長の電波は遠くまで届かなくなるのです。逆に10メートルのような長い波長の電波では、そんな大きなチリなどは浮かんでいませんからね。雲の粒子も結構大きいのですが、長い波長だと通り抜けます。しかし、短い波長だと粒子にぶつかって通り抜けにくくなります。ほかにも電波や光波には「吸収」という現象もあるので、大気中の粒子だけですべてが決まるわけではないのですが、ごく大まかな考え方として、このように捉えていただければと思います。

届く距離や直進性などを考慮して、目標物を正確に捉えるのに最適な波長の電波をレーダー用として選んでいるわけですね。

外園:はい。全般的に比較的短い波長のものがレーダー用として使われます。さらにレーダーの中でも、目的に応じて周波数帯が変わってきます。民間利用だと航空路を監視するものや、船舶レーダー、おなじみの気象レーダーなどがあります。最近では波長の短いミリ波を使った、自動車の衝突防止用レーダーなどもあります。これは「V帯」辺りの電波を使っています。前方車両との衝突防止なので、それほど遠くまで届かせる必要はありませんから。

「X帯」と「Ku帯」「Ka帯」のところに、「ミサイルシーカー」というのが出てきますが。

外園:ミサイルシーカーというのは射撃管制用レーダーとは違って、ミサイルに搭載した光波もしくは電波のレーダーのことで、「ミサイル誘導装置」とも呼んでいます。これで目標までの距離と方向を把握し、ミサイル自身で目標を追いかけることができます。シーカーも含めて、我々が研究開発の対象としているのは、主に「L帯」から「Ka帯」になります。


射撃管制用レーダーで使用する電波の周波数

電波とレーダーの概要が分かったところで、いよいよ射撃管制用レーダーとはいかなるものなのか、説明していただけますか。

外園:ご承知の通り、その目的は射撃を行うため、正確に目標を捉えることです。電波としては、比較的波長の短い「S帯」「C帯」「X帯」辺りを使います。弾やミサイルを撃つための情報を得るレーダーですから、捉えなければならない距離がある程度長くなるので、ミサイルシーカーよりも電波の波長は長めになります。

射撃管制用レーダーの中で、「L帯」や「S帯」「X帯」といった周波数の使い分けはどうなっているのですか。

外園:一般論ですが、「L帯」や「S帯」は比較的遠くまで見渡すことができますが、我々が「分解能」と呼ぶ方位や距離を正確に捉える能力は、「X帯」に比べて悪くなります。これらは目的に応じて、どれを搭載するか変わってきます。

 もう1つ大きなポイントが、アンテナのサイズです。同じ利得(アンテナから得られる電波の強度)を得ようとした場合、波長の長い方がアンテナが大きくなります。ですからミサイルシーカーなどは、より正確に目標を捉えるという目的もありますが、小さなアンテナで済む短い波長の電波を利用します。仮に「S帯」のアンテナをミサイルに積もうとしても、ミサイル自体を大きくしなければならず、現実的ではありませんね。

1つの艦船は、波長の異なる射撃管制用レーダーをいくつも搭載しているものなのですか。

外園:射撃管制用レーダーの場合、艦によって種類が異なるのが一般的です。1つの艦がやみくもに「S」「C」「X」の3種類のレーダーを全部搭載していることはないと思います。レーダーのためだけに艦が存在するわけではありませんから、管制対象の武器システムに応じて最適なものを搭載するという考え方が基本です。しかし、射撃管制用レーダーも進化しています。新しいものだと遠距離は「C」で見て、近くや低空などを「X」で見るといった使い分けをしています。ただしこれだけ帯域が異なると、1つのアンテナや送信装置ですべてをカバーするというわけにはいきませんから、アンテナなどは周波数ごとに別のものを搭載することになります。

 アンテナや電波の送受信装置は別ですが、入ってきた信号の処理は同じ装置で行うケースが増えてきています。あくまで射撃管制“用”レーダーですから、それだけでは射撃管制はできません。レーダーで得られるのは目標の位置情報だけなので、そのデータを後ろの「コンバット・ディレクション・システム(戦闘指揮統制システム)」に入力し、そこが最適な射撃管制を実施する、という流れになります。

 これで対艦も対空も両方対応しています。ちょうど海上から空に向けた半球の空間を探索するような格好ですね。またミサイルだけでなく、シーカーを搭載していないロケット弾についても射撃管制は行います。

これで、どれくらいのエリアを監視することができるのですか。

外園:艦船が搭載する艦対空ミサイル場合、例えば「エリアディフェンスSAM(Ship-to-Air Missile。地対空ミサイルの場合はSurface-to-Air Missile=艦隊防空ミサイル。広範囲に展開する艦隊全体を守るため、射程距離が長い)」とか「ポイントディフェンスSAM=個艦防空ミサイル(各艦が個別に自衛のために使用するので、比較的射程距離は短い)」などで違ってきますが、射程距離が長いものだと数十キロメートルから約百キロメートルあります。ですから、それ以上の範囲を射撃管制用レーダーもカバーしています。

レーダーを照射されれば「それは分かります」

さて、いよいよ核心に迫っていきたいと思いますが、この射撃管制用レーダーで使用している周波数帯、波長というのは、世界の軍隊で共通なんですか。

外園:技術的合理性という面で考えれば、自ずとこの辺りの帯域に決まってくると思います。米国だけ違う、あるいは中国だけは別、ということはありません。仮に違いがあったとしても隣合う帯域で異なる、例えば日本が「C帯」で見ているところを、他国が「X帯」で見ているといった程度でしょう。その程度のズレはあるかもしれませんが、いずれにしても、何か別の目的でこの帯域の電波を使用するということはあまり考えられません。

ということは、射撃管制用レーダーを照射されたとしたら、技術的には明らかに「分かる」と考えていいですね。

外園:ええ、一般論で言えば分かります。

どんな周波数で照射されたかも分かると思うのですが、例えば「C帯」で照射されたとして、それが船舶用のレーダーかもしれませんよね。

外園:あくまで一般論ですが、射撃管制用レーダーかどうかを認識するポイントとしては、まず「波長」があります。そして電波の「当て方」です。射撃管制用レーダーはミサイルを正確に予想会合点(ミサイルと目標物が将来ぶつかる場所)に導くため、照射に「常続性」があります。つまり短い間隔で繰り返し電波を当て続けるわけです。船舶用レーダーの場合、頻繁に照射を繰り返さなくてもある程度の間隔で海上をざっと調べればいいので、常続性が大きく問われることはありません。あとは射撃管制用レーダーの信号処理が何種類かあるのですが、もう少し微細なパルスの当て方などを調べれば分かります。

 さらに各国の軍隊は相手がどういった電波を使っているのかデータを収集・分析していると考えられます。我々も電波に関して、そうした様々なデータを集めています。

そこまで調べ上げているのなら、「照射してないよ」とシラを切られれば、「何言ってんだ?」といった感覚でしょうね。


「射撃管制用レーダーを判別するポイントは、波長と電波の当て方。電波に関するデータ収集などの日頃の活動も重要です」と外園部長

外園:我々はその部署にいないので、そこはなんとも……。あくまで技術的な一般論という見地に立てば、「射撃管制用レーダーを照射されれば、分かります」ということです。当然、技術とは別に、オペレーション上、どのように判断するかということはあります。

撃たれるかもしれないという緊迫した状態、高度な判断を問われる状況下において、「この電波は何だろう?」というのはまず考えにくいですよね。

外園:繰り返しになりますが、技術的な一般論からいえば、射撃管制用レーダーを照射されれば、わかると思います。


「ロックオン」された状態だったのか?

よく「ロックオン」と言われますが、射撃管制用レーダーを照射されたことは、すなわちロックオンになるのですか。

外園:いいえ、それは違います。射撃管制用レーダーにはモードがいくつかあって、照射したからといって、即ロックオンというわけではありません。射撃管制用レーダーも最初は目標がいるのかどうか、「捜索」しなければなりません。その段階では先ほどの常続性はあまりなく、間欠的に広い範囲に電波のビームを振りながらスキャンします。そして目標を発見したら、それを精密に追尾しなくてはなりませんから、目標に対して集中的にビームを向けます。その結果、しっかりと目標の航跡を捉えられるようになった状態に移行したことを「ロックオン」と言うのです。

 現在のデジタル化された射撃管制用レーダーだと、捜索ビームを出しながら目標を追尾できます。捜索中に目標が発見されればレーダースコープに目印が示されますが、それは単に“いる”というだけです。その際、自動モードにしておけば、目標を発見した時点でそこにビームを集中し、追尾モードに切り替わります。目標を発見した場合、ロックオンするかどうかの勧告を出して、オペレーターが操作することもある(半自動モード)でしょうし、レーダースコープを見ている人が手動で目標にビームを集中させる(手動モード)といったこともあるでしょう。

 いずれにせよロックオンされたらシステムがどんどん動きますから、その先はすぐわずかです。発射勧告が上がり、受諾すれば弾が発射されます。

 逆に自分の艦が追尾ビームを当てられてロックオン状態になっていれば、そこに集中的に電波を浴びていますから、警告が出て、対抗手段を取れるような仕組みが出来上がっています。これはあくまでシステム上の話で、そこからの行動については、go‐no‐goの判断ということになります。

ロックオン状態ではなく、捜査用のビームでも照射されると「あっ、射撃管制用レーダーを出してるな」というのは分かりますか。

外園:それは分かります。こちらが照射する場合、電波は行って返っての2倍の距離なのでパワーも必要ですが、照射される場合は半分の距離で済みます。行って返っての電波を検知できるくらいの能力があって、それが半分でいいのですから、照射される方が分かりやすいのです。

今回、中国に照射されたというのは、ロックオンされたということでしょうか。

外園:状況からすると、そういうことなのでしょう。ただ、今回は距離が3キロメートルほどといいますから、相手を目視できるほどの距離ですよね。また、一般的に自分たちの電波も秘匿しないといけないので、“秘蔵っ子”のレーダーの電波の種類を探知されるように、そのような至近距離で出し続けるというのは、あまり考えられません……。そこはオペレーションの問題になりますが。

海上自衛隊が自動モードに設定しておけば、逆にこちらが中国の艦船に対してロックオンするということもあり得ますよね。

外園:実際にどういうモードがあり、どういう設定になっていたかは分かりませんが、自動ということであれば原理的にあり得ます。ただ、通常オーバーライト機能もありますから、違うと判断したらすぐに取り消せます。


大切なのは「レーダーリソース」の振り分け方


(インタビューは、防衛省技術研究本部 電子装備研究所 センサ技術研究部 レーダ研究室の平野誠室長も同席して行われた)

1つのレーダーでいくつのターゲットに同時にロックオンできるかというのは、その射撃管制システムの能力によるわけですよね。

外園:それについては秘中の秘です。現在のアンテナは機械式でぐるぐる回すのではなく、平面上にたくさんのアンテナを並べて電波のビームを出す方式なので、基本的には多目標捜索、多目標追尾となっています。

電波のビームの形状と言いますか、出し方はどうなっていますか。

外園:それはもう色々です。ビームの形は電子的に任意に作り出せますから。捜索の繰り返しをどれくらいの速さで行うかとか、目標をいくつ捉えたいかなど、状況によって様々に変わるのです。我々は「レーダーリソース」と呼んでいるのですが、これはレーダーの出力にレーダーの送信時間を掛けた数値で、ハードウエアの性能の最大値で決まります。このレーダーリソースをどう振り分けるか、どういうふうにビームを振って捜索するかがポイントとなります。例えばあるターゲットにこれくらいの時間照射して、こちらにはこの程度当てて……とやっていった総和がレーダーリソースです。これをどう割り振って捜索するかというのも、各国ノウハウがあります。

平野誠室長:レーダーリソースはレーダーの設計によります。前提として目標を捉えるには、十分な電波を照射しなくてはなりません。非常に遠くの目標を見るのに、短時間ピュッと電波を出しただけでは、弱い電波を少ししか受信できません。その場合はしばらく照射し続けて受信信号をかせがなければなりませんし、目標によっては短い間隔で集中的に当てないといけないケースもあるでしょう。

外園:レーダーリソースの割り振りについては相手の脅威目標、目標の距離や、動き、速さ、どれくらいの精度で予測するかなどを検討しながら設計します。最近はどれくらいの電波が返ってくるのか、つまりターゲットがステルスなのか非ステルスなのかについても考慮しなくてはいけません。ステルス機に対しては電波をたくさん照射しないと、返ってきませんから。この辺りをどう設計するかは、各国ともシステム開発者の腕の見せ所ですね。

 その一方で、レーダーリソースそのものを上げる研究も重要です。より強いパワーで、より連続的に照射できる送信器を作る技術についても、各国しのぎを削っています。さらに、「デジタルビームフォーミング」というのですが、どういう電波のビームの形状を作るかが大切です。民間の飛行機だと決められたルートを飛びますが、戦闘機の場合は突然現れて、次の瞬間、どこかへ行ってしまうこともあり得ます。そういった目標にきちっと電波を当てるために、デジタル処理で最適なビームを形成する必要があるのです。

日本ではレーダーはどのような企業が手がけているのですか。

外園:防衛の分野では東芝、NEC、三菱電機、富士通です。技術的には世界に冠たるものだと思います。


ステルス性能はどこまで上げれば完璧か?

先ほどのステルスですが、技術的にはどこまで進んでいるのでしょうか。

外園:防衛省技術研究本部では、戦闘機ではないのですが「先進技術実証機」という日本独自のステルス機を2009年から開発を始め、2014年の飛行実証を目指している段階です。

 一口にステルスと言っても、様々な技術の複合で難しいものがあります。まず、「電波吸収体」という、使用する素材や塗料などで電波を吸収してしまう技術があります。そして「形状ステルス」というのがあります。これは電波の反射を減らしたり、あらぬ方向へ反射させたりしてレーダーで捉えにくくするのです。そうは言っても航空機の場合、ただ電波の反射だけを考えて形状を決めては飛ばなくなります。空力性能を保ちながら、ステルス性のある形状にするのが難しいところです。航空機は外板の境目にリベットというびょうを打って留めるのですが、それだけでも電波を反射してしまいますから、製造段階から外板形状を含めて考える必要があります。

リベットみたいな小さなものでもマズいのですか……。

外園:局所的にはエンジンに空気を取り込むインテークなどは反射体です。内部でエンジンのファンが回っているので、電波をものすごく跳ね返します。その場合は「ステルスインテークダクト」と言って、ファンが見えないようにダクトを曲げて作る方法があります。そこに電波が入っても、反射した電波が外へ出ていけないようにするわけです。コックピットも、中は雑然としていますから、それらが電波を跳ね返してしまいます。ですから、風防にコックピット内部に電波を通さないような特殊な反射体をコーティングして、別な方向に反射させてしまうのです。このようにステルスは様々な技術をどう複合させるかがカギを握ります。

完全なステルス性というのは実現できないのですか。

外園:何をもって完全なステルスというのかにもよりますが、「ステルス性をどこまで高めればいいのか」ということが重要になると思います。

 まずステルス性が高いというのは、目標に近づかないと見つけられない、すなわちレーダーで探知できる距離が短いということですよね。その際、ステルス性を示す値としてRCS(Radar Cross Section=レーダー反射断面積。この値が小さいほどステルス性が高い)というのがあって、さらにレーダーの探知距離をはじき出す数式があるのですが、仮にRCSを10分の1に下げたとしても探知距離が10分の1になるわけではありません。探知距離はRCSの4乗根に比例するので、約6割弱程度にしかなりません。かなりがんばってステルス性を上げても、レーダーが探知できる距離はそれほど詰まりませんから、どの程度までステルス性を高めるかの見極めが大切ですね。

どこまで高めればいいのですか。

外園:どこまでいけばステルスは完璧かというのは難しいのですが、どの程度までレーダーで探知されるレンジを下げたいかということですよね。これがまた設計の妙ということになります。射撃管制用レーダーを相手に考えれば、ステルスによって「撃つ機会」が無くなればいいのです。要するに、もし発見されたとしても、発射までにかかる時間と、ミサイルが飛んでいく時間がありますが、その2つの時間までに射撃管制の網を抜けられればいいわけです。とは言え、相手の射撃管制用レーダーの能力と、射撃管制のやり方、ミサイルの性能などが複雑に絡み合ってくるので、最適な答えを導き出すのは一筋縄ではいきません。


“直径10センチの金属球”に匹敵する最新鋭ステルス戦闘機

ちなみに、ステルス機の性能はどこまできているのですか。


「ステルスに対して最適な答えを導き出すのは、本当に一筋縄ではいかないのです」
平野:米国の第5世代戦闘機「F-22」のレーダー反射断面積が、0.01平方メートルとか0.001平方メートルとか言われています。昔は1平方メートルを切るだけでも「ステルス機」と呼ばれていました。

それは、どれくらいすごいのですか。

外園:照射した電波が、見た目が0.01平方メートルの金属球から返ってくるのと同じくらいです。F-22は13~14メートルの翼があって、全長も20メートル近くありますが、それが直径10センチくらいの金属球が浮いているのと同程度だということになります。そんなのが遠くを飛んでいるのですから、優れたレーダーであってもいかに見つけにくいかということです。

それでは、まず見つかりませんよね。捉えるにはどうすればいいのでしょうか。

平野:電波の出力を上げて、ビームを目標方向に絞って集中させてしっかり見る。そうすると、見つかると言われていますが……。

外園:レーダーの送信パワーを上げるのはそう簡単ではありません。パワーはレーダーの素子に直結していますから、2倍にすれば値段も2倍になります。アンテナモジュールはかなり高価なもので、発熱もしますからなかなか大変です。

ステルス対策に何か決め手のようなものはあるのでしょうか。

外園:1つの考え方として、「バイスタティック・レーダー」というのがあります。これは、ステルス機に当たった電波は別の方向に跳ね返されるので、それを別の所にあるアンテナで拾うという発想です。つまり、電波を出す側と受ける側が異なるのです。通常は電波を出す側も受ける側も同じですから、「モノスタティック・レーダー」と言います。ステルス形状と言っても、正面からだと捉えにくくても、横から見ればもっと電波が返ってくるということもあります。バイスタティックなら、これを捉えることができると考えられています。ただ、我々も研究段階で実用化には至っていません。

バイスタティック・レーダーは何が難しいのですか。

外園:電波の信号処理は、ただ受信するだけではなく、ものすごく高い精度で時間や距離、自分の位置をつかんでおかないといけません。その上で、別のレーダーとの同期を取るのが難しいのです。互いのレーダーがばらばらな動きをしていたのでは、返ってきた電波を拾うことができません。遠くにいながら、送信側も受信側も同じ目標を見るような連携動作が重要です。さらに、通信量も膨大になりますからその処理もあります。

平野:「レーダーのネットワーク化」と言われていますが、考え方としてはあっても、世界で実現しているところはまだないと思います。それくらい難しいのです。

「矛盾」の例えではありませんが、現状、レーダー技術とステルス技術のどちらが進んでいるのですか。

外園:航空機のステルス技術のレベルは、レーダー技術とかなり拮抗していると思います。対抗手段をとらないと、従来のままでは対空戦闘は厳しくなるかもしれませんね。


軍用レーダーが目指す、3つの進化の方向性

今後、軍用のレーダー技術はどのように進化していくのでしょうか。

外園:まず1つ目が、アンテナの送信素子の高性能化です。ハイパワーで耐久性があり、高効率といった素子を目指しています。効率が悪いと発熱がすごく、どんどん冷却しなくてはなりません。空冷ならまだいいのですが、水冷式にするとかなり重くなります。素材としては、従来は主にガリウムヒ素(GaAs)系の半導体を素子に使用していたのですが、これがガリウムナイトライドという窒化ガリウム(GaN)を使った素子によって、高効率化が図れるようになってきました。この素子をレーダーに搭載できるようになると、電力負荷が下がるので、今のままで出力を上げることができます。つまり、一種のステルス対策にもなり得るということです。

そのレーダー素子はもう実用化されているのでしょうか。

平野:まだ開発中です。出力はあっても、安定的に出し続けることができるのかなど、半導体の技術者たちが熱心に研究している段階です。ガリウムヒ素は技術が確立されていて、数ワットから数十ワットの出力で大丈夫です。一方、ガリウムナイトライドだと数百ワットというレベルの強力な電波が出ていくので、それをいかにコントロールするかが難しいところです。

外園:2つ目が、信号処理です。先ほどのデジタルビームフォーミングに加え、レーダーの反射波に含まれた背景雑音をいかに除去するかという問題があります。さらに軍用レーダーだと、相手から妨害をかけられる恐れがあります。妨害には相手からフェイクの電波を出されるというのもありますが、直接妨害で、強力な電波を浴びせて飽和させるという方法で攻めてくるケースもあります。それらを除去するアルゴリズムの開発も、信号処理の技術が力を発揮する分野です。

 そして3つ目が、やはりレーダーのネットワーク化ですね。1つのレーダーだけでは、どうしても能力が限られてしまいます。複数のレーダーでネットワークを構築して、高いアンテナの利得を得る「MIMO (Multi-Input Multi-Output)」の技術を確立することが今後の課題と言えます。

 従来はここにデジタル技術という4つ目のテーマがありました。射撃管制用レーダーは射撃する前、そして射撃中もどんどん計算を終わらせていかないといけません。ですから、高負荷なリアルタイム信号処理に耐え得るCPU(中央演算処理装置)やDSP(デジタル信号処理)ボード、A/D(アナログ-デジタル)変換器などが不可欠で、その部分がネックでした。しかし、現在は民生技術が上がってきているので、防衛技術でリードしなくても済むようになりました。

レーダー技術に関して、先進国と呼ぶならどこの国でしょうか。

外園:米国、日本、英国、仏国……辺りでしょうか。送信モジュールのパワーや信号処理のアルゴリズムが優れています。ただ、日本もそうした国々と比肩していると思います。だいぶ前になりますが、航空自衛隊の「F-2」という戦闘機で国産のレーダーを積んだのですが、そのレーダー技術は米国から随分と欲しがられましたね。

それでも「照射していない」とシラをきれますか?

最後にもう一度確認ですが、射撃管制用レーダーで「ロックオン」するというのは、常続性という電波の照射方法がポイントになってきますよね。その際、ここからがロックオン、そうじゃなければロックオンされていない、という明確な境界線のようなものはあるのでしょうか。


「相手はロックオンしたとは言わないが、データが取れれば技術的合理性に基づいて判断することは可能」
外園:まず、射撃管制用レーダーを照射する側から言うと、システム的にロックオンというステータスがきっちり確立しますから、明確な境界線はあります。常続的に電波を照射して追尾を始めており、後は武器システムの方に信号を送るだけという状態になります。射撃管制用レーダーは、ロックオンのステータスを維持するためのビームを当て続けます。

 逆に射撃管制用レーダーを照射されている側からすると、捜索用として浴びている電波が急に常続的になったとします。では、それがロックオンの境界線を越えたかどうかという点については、日々のデータ収集・分析活動を通じて判断することになります。

それだと、照射した側はロックオンしたのに、当てられている側がロックオンされていないと判断することもあり得ますし、またその逆もあり得る……。

外園:そこは判断するシステムをどう設計するかにかかっています。国によっては、ロックオンの境界線を下げるところもあるでしょうし、慎重な国は境界線を上げるということもあるでしょう。

そうなると、“状況証拠”としてはロックオンだけど、照射した相手が「ロックオンしてない」とシラを切り通す“余地”も残されていると。

外園:相手は「ロックオンしたよ」とは教えてくれないので、やはり日々の活動からこちらがどれだけの情報を持っていて、それをどれくらいのクオリティーで判断できるかというのが問われます。もし詳細なデータが取れたなら、それを持ち帰って詳しく調べることで、技術的合理性に基づいてロックオンされたかどうか詰めていくことが可能です。そういう意味では、今回の「照射」は、貴重なデータを手に入れたことにもなると思います。

どうもありがとうございました。」

http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130411/246499/?P=1

「海自艦へのレーダー照射、中国共産党が指示」/産経新聞より

2013-04-24 11:45:40 | 軍事
「海自艦へのレーダー照射、中国共産党が指示 「砲身向け威嚇」も許可

産経新聞 4月24日(水)7時55分配信

領海侵犯した中国公船の23日の動き(写真:産経新聞)

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)北方海域における中国海軍艦艇による海上自衛隊護衛艦へのレーダー照射が、中国共産党中央の指示によるものだったことが23日、分かった。複数の日中関係筋が明らかにした。党中央から威嚇手段の検討を指示された中央軍事委員会が、レーダー照射に加え、「火砲指向」も提示。党中央はいずれも実施を許可していた。海自側は、レーダーに続き火砲も向けられれば中国側の攻撃意図を認定せざるを得ず、一触即発の事態となる恐れもあった。

 関係筋によると、党中央が軍事委に対し、海自への威嚇について検討するよう指示したのは1月14日。

 これに先立つ1月5日、安倍晋三首相が尖閣諸島周辺での領域警備で対抗措置を強化するよう指示。具体的には、領空侵犯機が無線警告に従わない場合、空自戦闘機が曳光(えいこう)弾で警告射撃を行い、海軍艦艇が領海付近に進出してくれば、それまで28キロの距離を置いていた海自艦艇が3キロまで接近することに改めた。

 こうした日本政府の対応に中国側は強く反発。党中央が威嚇の検討を指示した14日には、人民解放軍の機関紙「解放軍報」が、作戦立案を担う総参謀部が全軍に「戦争の準備をせよ」との指示を出していたと報じた。

 党中央による軍事委への指示は、「日本を威嚇する方法はないか」という内容。加えて、「日本の出方を試す必要もある」との意図も伝えた。

 これに対し、軍事委は「海上であれば艦艇が日本の艦艇に射撃管制用レーダーを照射するか、火砲の砲身を向けることが考えられる」と回答した。

 党中央はこれを認め、実施時期と場所、手順については艦艇の「艦長判断」に委ねる方針も示した。

 中国の国防方針は党中央→軍事委→軍四総部-の流れで決まり、関係筋は「照射も通常の指揮系統で決定された」と指摘する。

 海軍艦艇が1回目のレーダー照射とみられる挑発に出たのは、党中央の指示から5日が経過した1月19日。このとき中国フリゲート艦と海自ヘリの距離は数キロ。2度目はフリゲート艦と海自艦艇の距離が約3キロで、フリゲート艦の艦長は接近してきた護衛艦に威嚇で応じたとみられる。

【用語解説】レーダー照射事件

 1月30日に中国海軍のジャンウェイII級フリゲート艦が海自護衛艦「ゆうだち」に射撃管制用レーダーを照射。日本政府は、1月19日にもジャンカイI級フリゲート艦が護衛艦「おおなみ」搭載のヘリコプターに照射した疑いが強いとみている。中国外務省は「日本の捏造(ねつぞう)」と否定したが、安倍晋三首相は「認めて謝罪し、再発防止に努めてほしい」との認識を示した。」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130424-00000088-san-pol