白夜の炎

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経済回復に必要な政策は移民の受け入れ

2013-08-26 17:12:34 | 経済
 経済の低迷をアベノミクスが打破するという妄想が拡散している。

 誰も本気にはしていないが、この間の株価上昇でひと儲けしたい、ぐらいのことは考えている。

 そこで私も妄想をたくましくして日本経済の立て直しを建言したい。

 以下がそれである。

  *********************

 日本経済を本気で復活させたいなら、他の先進国が行ったのと同じ事を実行するほかはない。

 それは移民の大規模な受け入れである。

 実際1950年ごろにはイギリスでも人口の減少でイギリス人はいなくなる、と言っていたのである。

 それを打破したのが旧植民地県からの大量の移民の受け入れである。

 フランスも同じ。

 植民地がなかったドイツは歴史的関係を有するトルコに職安を出張させて労働者を募集。

 イタリアやスペインは移民を送り出す側だったが、やがて経済成長-あるいはスペインのようにフランコ政権打倒後に西欧に統合-が進むと移民の受け入れ国となった。イタリアには旧東欧圏や中東から移民が流れ込んだ。

 彼らこそ西欧の高度成長とその後の発展を支えたのである。

 EU拡大後は、旧東欧や旧ソ連の一部がその域内に入ることで、低廉な労働力は欧州域内でも調達可能となった。

 今のヨーロッパはもはや一国単位で論じられない状態であるが、そのような展開を支えたのが、第二次大戦後に人口減少に直面した時、西欧の主要三国-イギリス・フランス・西ドイツ-が採用した移民の導入策であった。

 そしてこのような移民を抱えつつ、様々な問題に対処できる社会づくりを主導する政治が、その後のEUという複合的な政治・経済機構成立につなかったともいえるだろう。


 さてここで日本について考えてみると、人口が減ることはとうに分かっていながら移民を拒否し、実際に減り始めてからも拒否している。

 その結果少子高齢化を深刻化し、国内市場の縮小に輪をかけている。社会保障も脅かされ、消費税を上げなければならなくなっているが、それは直ちに国内市場にマイナスの影響をもたらすだろう。

 さらに人口減少に伴う若年層の縮小は、労働力の減少だけでなく質の低下も招いている。

 以下はやや細かい話だがお付き合いいただければ幸いです。


 今学卒の就職市場では、貴重な数が減りつつあるが学卒若年労働者が厳しく選抜されている。数が少なくなったのだから売り手市場でもよさそうなのだがそうはならない。決して景気だけが理由ではない。

 その理由の一つは学卒者の質の低下にある。

 学力低下は目を覆うばかりで、数(大学数)の上で大半を占める中小の私学では、分数も分からず一次方程式も解けないような学生、英語はおろか、普通の日本語が書けない学生がそのまま大学生として卒業しつつある。

 実際試験の答案も日本語として何を言っているのか分からないものが少なくない。

 それだけではなく、一流と言われる大学も含めて問題になっているのは、発達障害やコミュニケーション能力が病的に欠如した学生の大量の存在である。

 企業が彼らを採用しないのは当然である。

 かくして就職先はあり、採用意欲もあるにもかかわらず、貴重なはずの学卒者が次々とはねられるという結果になっている。

 もし日本の将来を支えていくことを本気で考えるならば移民を大量に受け入れるほかはない。20年後に人口の10から15パーセントが移民で占められる、といった水準がとりあえず考えられるのではなかろうか。

 そして政治も社会も、私たち一人一人の完成も、移民とともに多民族国家を形成する方向に切り替えないといけない。

 今日の停滞は、1970年代初頭と、1990年前後に存在したこの転換に失敗したためである。

 -以上

薄煕来・結審

2013-08-26 16:31:49 | 国際
「薄被告の公判が結審=判決は後日に―中国

時事通信 8月26日(月)14時41分配信

 【済南(中国山東省)時事】中国で収賄・横領と職権乱用の罪に問われた元重慶市共産党委員会書記の薄熙来被告(元政治局員、64)に対する公判は26日、5日間の審理を終えて結審した。後日判決が言い渡される。 」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130826-00000060-jij-cn

薄煕来裁判/8月26日

2013-08-26 13:37:28 | 国際
 薄煕来の裁判が5日目に入った。

 当初自らの罪を認めていた陳述を翻し、検察の主張を真っ向から否定し、全面対決の道を選んでいる。

 今日配信された以下の記事には、彼の率直な気持ちが述べられていると思うので紹介したい。

「【済南(中国山東省)=竹内誠一郎】中国で収賄、横領、職権乱用の罪に問われた元重慶市共産党委書記、薄煕来ボーシーライ被告(64)(元党政治局員)の公判は26日午前、山東省済南市中級人民法院(地裁)で5日目の審理が始まり、薄被告らによる最終弁論に入った。


 検察側がまず意見陳述し、「大量の確かな証拠が証明する犯罪事実をあくまでも否認したばかりか、公判前の供述なども翻した」と薄被告を非難。「被告の罪状は極めて重い上、罪を認めることを拒み、罪を軽減すべき事情もない」として厳罰を主張した。

 これに続き、薄被告は意見陳述を行い、「検察機関の一方的な言葉だけを聞いていれば、冤罪、でっち上げ、誤審の大量発生を招く」と反論。過去に罪状を認めたとされる供述については「党籍や政治生命をとどめたいという希望が心中にあったからだ」と説明した。

(2013年8月26日13時16分 読売新聞)」

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130826-OYT1T00469.htm?from=ylist

福島原発の終わらない悪夢-被ばくする労働者

2013-08-26 12:33:50 | 放射能
 原発のひどい状況が-選挙が終わって成果-要約報道されるようになりました。

 2チャンネルでも関係者の投稿が注目されています。東電やその協力企業の方の発言のようですが、手の内ようのない状況であること、現場で1か月も作業すると目に見えて「弱ってくる」など、生々しい内容があります。ぜひご覧ください。

 →http://hissi.org/read.php/newsplus/20130825/UGZ6VDIzL0Uw.html

 →http://uni.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1377393652/

 以下の記事は久々に CINIC ~のものです。現場労働者の被ばくが国際的にも疑問視されているのではないでしょうか。


「福島第一原発事故緊急作業員の内部被曝線量

国際機関からの疑問で厚生労働省が再評価

 東京電力福島第一原発事故の緊急作業に従事した作業員の内部被曝線量について、東京電力がプラントメーカーなど下請け企業から取りまとめて報告した数値に問題があるとして、厚生労働省が調査した結果、479人の被曝記録を修正すると7月5日発表した。

 厚生労働省は、今年4月末に東京電力から提出された2011年度と12年度の内部被曝の報告を精査したところ、元請け事業者による評価値と東京電力による暫定評価値に一定の乖離があることを把握し、5月から再評価を行った。

 2011年3月11日から同年12月にかけて作業にあたった1万9,592人のうち452人が報告より高い線量となり、最大では48.9ミリシーベルトの増加となった。

 修正した結果、今年3月末時点で50ミリシーベルトを超えた人が24人(うち6人は100ミリシーベルト超)増加した。放射線作業従事者の被曝限度は5年間で100ミリシーベルトであるが、限度を超えたままで働き続けた人が少なくとも2人確認された。

 事故後は内部被曝を測定するホールボディカウンター(WBC)が不足し、数ヵ月間測定できなかった人が多かった。こうした場合、測定時に体内に残る放射線量と取り込んだ時期から内部被曝量を算定する。

 厚生労働省の調査によれば、取り込んだ時期が不明な場合、作業開始直後とみなす必要があるのに作業期間の真ん中とした例や、29人分の入力ミスやデータの取り違えなど479件が見つかったという。

 東京電力は2011年7月、旧原子力安全・保安院から算定ルールの明確化を指導されたが、徹底しなかった。その後、学者らが不適切に算定されるおそれがあると指摘していたが、調査しないままだった。被曝の影響を検証する国際機関の要求に応じ、2012年3月に東京電力は世界保健機構(WHO)に作業員の年代別被曝線量、内部被曝分布、甲状腺等価線量の分布を提出した。今年に入って、国際機関から記録の一部に疑問が出て、ようやく厚生労働省による調査が始まった。

 作業員の内部被曝の大半は事故直後の甲状腺被曝による。東京電力は、甲状腺等価線量についてはヨウ素131の実測値に基づき評価した522人のデータをWHOに報告し、100ミリシーベルト超は178人としていた。

 今回対象を広げ、ヨウ素131の取り込みがはっきりしない場合、セシウム摂取量をもとに評価した結果、1,973人が100ミリシーベルトを超えていることが明らかになった。

 原子力資料情報室は3.11以降、全国安全衛生センターやヒバク反対キャンペーンをはじめ多くの団体とともに複数のチャンネルで関連省庁と交渉を重ねている。福島原発事故における被曝労働に関しては、6月20日に第10回目の交渉となった。

 内部被曝の問題に関しては交渉の当初から、「事故直後、大量の内部被曝があった東京電力社員についてはていねいな被曝評価がされているようだが、協力企業の社員や下請け労働者の内部被曝評価に差があるように思われる。どのような方法で評価しているのか明らかにしてほしい」という質問を厚生労働省に対し続けてきた。ようやく、その疑問に対しての調査が行われたのだ。2年間にわたる私たちの疑問に答えるのではなく、国際機関からの疑問が出るまで、調査されなかったことは問題である。

 今回の再調査は、プラントメーカー、東京電力の応援職員、原発専業者が対象となった。しかし、事故直後から爆発が起きたときも高い線量下の正門付近で警備作業を続けた人が大勢いた。数日間休む間もなく、食事もそこで取るしかなかった人たちに対してもていねいにヒアリングし、ちゃんと評価し直す必要があるだろう。

 東京電力は2ミリシーベルトを記録レベルとし、「記録レベル未満の線量は放射線管理手帳に記入しない」としていることも問題だ。

 省庁交渉での厚生労働省労働基準局労働衛生課電離放射線労働者健康対策室の説明によれば、「3ヵ月に1回の測定は実施している。1ミリシーベルトでスクリーニングしてcpmで2万カウントを超えていないかを確認している。カウント数は捨てられていないが、オフィシャルには「ゼロ」と記録される。国際放射線防護委員会(ICRP)のICRP pub.75「作業者の放射線防護に対する一般原則」に、記録レベル以下は除外するという原則がある」と、すべてICRPの考え方に依拠したものだった。

 1997年に発行されたICRP pub.75の規定は、事故から2年以上経過しても収束していない福島原発のような事故を想定していない。まだ放射能放出が続いている現場で働く労働者の内部被曝線量をきちんと記録することはきわめて重要なことである。除染作業者、除染廃棄物の作業に従事する労働者にとって、内部被曝はいっそう深刻な問題となる。


除染作業者の被曝管理

 除染労働者の被曝データが事業者から公益財団法人放射線影響協会の中央登録センターに送られていないことが生じている。異なる事業者の下で働く場合、本人に累積線量が知らされない。事業者の倒産などで被曝線量が不明となるおそれがあり、労災補償の申請などの障害となる。

 ヒバク反対キャンペーンら8団体と共に6月24日開催した「労働者と住民の健康と安全を守り、生じた健康被害を補償することを求める要請書に基づく第7回政府交渉」では、厚生労働省は交渉に先立つ福島第一原発の緊急作業者の被曝データの一元管理についての事前質問に対し、「(除染作業者については)民間データベースである中央登録センターへの登録義務はないが、線量が確定次第、中央登録センターに速やかに登録することが望ましい」との見解を示した。

 交渉での環境省の回答は、「5年経過するとデータを指定の機関に引き渡すことができ、その場合は残り25年間の事業者の保存義務がなくなる。しかし、除染電離則の場合はそのためのルールがなく、データの引き渡しはできない。労働安全衛生法に専門的知識がある厚生労働省でルールを定めてもらえれば、それに従う」というものだった。労働者の安全管理については厚生労働省がイニシアチブをとるべきであろう。 

(渡辺美紀子)」

http://www.cnic.jp/5264

福島の汚染数・打つ手はなし/ロシアの声

2013-08-23 16:50:12 | 放射能
 ロシアの声より。

 なおロシアの声-ロシアのラジオですが-の周波数は720khrzで午後9時から11時までが放送時間です。

 Webもあり、以下はそこからの引用です。→ http://japanese.ruvr.ru/


「 日本の原子力当局は、原発区域の危険度を3まで引き上げた。

福島県では18歳以下の子供たちのガン検診を行っている。全員で36万人近くを検診する予定だ。

最も危険なのは、冷却に用いられていた汚染水タンクが損傷を受けており、そこから水が漏れ出すことだ。ウラジーミル・チュプロフ氏はVOR「ロシアの声」に次のように語っている。

-これは今に至るまで原発に保管されている汚染水約30万トンのことです。このうち約300トンが海に漏れ出しています。そして海流によって広がります。ロシアや米国の沿岸では危険レベルに達してはいないものの、太平洋に接するどの国でも何らかの放射能を受けているのです。

北部太平洋が放射能で汚染される危険性はかなり高い、と工学博士でチェルノブイリ事故処理にもあたったイーゴリ・オストレツォフ氏は指摘している。

-事故発生当初から、水漏れが続いていることを忘れてはなりません。冷却水はどうにもなりませんから、日本は海洋に廃棄する以外に選択肢はなかったのです。いくらコントロールしようと状況は悪くなりますから、最終的には漁業資源は台無しになります。

中国はこの事態に驚きを隠せないでいる。中国政府は声明のなかで、「日本が事故の否定的影響を回避するため必要な措置を講じることを望む」としている。

ロシアの専門家らは、日本が単独では海洋汚染を処理できないとしている。国際環境団体「エコザシータ」の共同議長で、「ヒロシマからフクシマまで」という著作も残しているウラジーミル・スリヴャク氏は次のように指摘している。

-環境に放射能汚染が広がるのを避けることは今日不可能です。技術が単にないのです。それを開発することはできるでしょうが、今の段階で歯止めをかけることは不可能です。

イーゴリ・オストレツォフ氏は、すべての国の力を合わせて、状況対処のための国際プログラムを立ち上げるべきだとしている。」

http://japanese.ruvr.ru/2013_08_22/120042192/

もっと真剣に。富士山の噴火。

2013-08-21 11:15:43 | 地震


「2011年に起きた地震の影響によって、富士山のマグマ溜りにかかった圧力は、1707年に起こった現時点で最後の噴火(宝永大噴火)時より高かったことがわかり、近く再び噴火するのではないかと懸念されている。

日本の防災科学技術研究所(NIED)が行った研究によると、富士山のマグマ溜りに加わった圧力は1.6メガパスカルに達したという。過去にはその1/16の力、0.1メガパスカルで火山が噴火した例もある。

NIEDで火山研究を担当する藤田英輔主任研究員は共同通信の取材に対し、これは「小さくない数字」だと述べている。ただしNIEDは、圧力はあくまで噴火を引き起こす要因のひとつにすぎないとも述べている。とはいえ、1707年の宝永大噴火も、その少し前に起こった大地震によって、マグマ溜りにかかる圧力が高まったことが引き金となった(噴火49日前に、推定マグニチュード8.6~8.7の宝永地震が起きていたほか、宝永地震の翌朝にも富士宮を震源とするマグニチュード7の地震が起きている)。

以前にも、00年から01年にかけて富士山直下で一連の低周波地震が観測され、噴火が近いとの予測が広まったことがある。そしてその後、11年3月11日の東北地方太平洋沖地震と、その4日後に起きたマグニチュード6.4の静岡県東部地震によって、再び富士山の噴火が懸念されている(静岡県東部地震の震源は、富士山のマグマ溜りのすぐ上、山頂の南4kmの深さ約15km。富士宮市では震度6強を記録した)。

12年5月には、琉球大学の木村政昭名誉教授が、いくつかの要因により、3年以内に大噴火が起こる可能性があると警告を発した。教授はそれらの要因として、クレーターから蒸気とガスが噴出していること、付近で「水噴火」(異常な地下水の湧水)が発生していること、河口湖の湖底から天然ガスが噴出していることを挙げている。

さらに、木村名誉教授をこの発表に踏みきらせた予兆として、富士山直下に全長34kmにわたる断層が見つかったことがある。この断層に大きな動き(大地震)があれば、山の斜面が完全崩壊するおそれがある。また、噴火が起こった場合もおそらく斜面は崩壊して、大規模な泥流と地滑りが発生するだろうと専門家らは述べている。(富士山は約2900年前にも、大規模な山体崩壊が起きている)

日本政府による04年の報告(PDF)では、1回の噴火で生じる被害額は約2兆5,000億円にのぼると推定されている。

その後、静岡県が新たな研究を進めており、近く次の大地震が起こると予想されている南海トラフ沿いの東海、東南海、南海地方で連動型地震が発生した場合の被害額を試算している。

噴火の影響が予想される神奈川、山梨、静岡の3県は、12年から3カ年にわたって広域避難計画の策定や防災訓練の実施を行う(PDF)ことになっている(リンク先によれば、避難対象者数は山梨・静岡両県で約75万人となっている)。」

http://wired.jp/2013/08/08/mount-fuji/

主観的な…あまりに主観的な…

2013-08-20 18:13:50 | 政治
 テレビ報道、様々なニュース番組、バラエティーなど、何もかもがあまりにも主観的。

 例えば、中国といえば、モノマネ、官僚の腐敗。

 日本はどうなの。

 3.11以降露呈した原子力村。これこそ構造腐敗ではないの。

 そもそも構造腐敗に組み込まれている大手メディアは、日本の政治や官僚の腐敗を追及しているんですか…。

 皆さんどう思われますか。

福島のウソ/東電出身医師の講演

2013-08-09 18:49:50 | 原発
「 「目からウロコ」とはこのことだ。原発事故をめぐってマスコミが真実を報道せず、政府がウソをつき、専門家が的外れな解説をしていることがよく分かる。元東電技術者にして医師の@onodekitaこと小野俊一氏がきのう都内で講演した。

 東大工学部を卒業後、東京電力に入社した小野氏は、福島第2原発に配属された後、本店の原子力技術課(安全グループ)に勤務した。7年間の東電勤務で身をもって知ったのは、原発安全神話がデタラメで、原発の発電コストは火力・水力と比べるとズバ抜けて高いということだった。

 チェルノブイリの事故後、日本の新聞と電力会社は「日本の原発には、格納容器、鉄筋コンクリートの建屋があるので、チェルノブイリのような事故は起きない」と吹聴していた。

 ところが当時、東電ではシビアアクシデント対策でベント配管の増設が、検討されていたのである。いくら格納容器があっても内部の圧力が高まれば爆発する(実際、福島の事故はそうなった)。格納容器があるから放射能を環境に放出することはないというのはウソであることが分かった。事故時にはベント配管から放射能をまき散らさない限り、事故の収束は図れないのである。

 原発の発電コストが他に比べて高いことは、福島の事故後、立命館大学の大島堅一教授などが明らかにした。だが、小野氏はそれより20年以上も前から知っていた。入社早々、先輩から教えられたのである。

 「高いに決まってるだろ。安いはずがないだろ。そんなの当たり前だ」「放射線管理区域があるだろ。効率は悪いし、被曝はするし、一つ一つの機器も火力と比べると倍以上するんだぞ。これで安かったらおかしいよ」。

 小野氏が在職中の東電社内資料によると1kwh発電するのに福島第一原発は15円を要した。火力は2~3円。(1995年頃)

事故発生から間もない頃、記者会見する武藤栄副社長(当時)。小野氏が原子力技術課時代、直属の上司(課長)だった。=2011年3月22日、東電本店 写真:筆者=
事故発生から間もない頃、記者会見する武藤栄副社長(当時)。小野氏が原子力技術課時代、直属の上司(課長)だった。=2011年3月22日、東電本店 写真:筆者=

 事故で飛散した放射能の量は、チェルノブイリの方が、福島よりも多いとの説がある。東電や規制機関がこの説をとる。小野氏は おかしい と指摘する。

 「福島は4基で出力は280万kw、チェルノブイリは1基で100万kw」というのが主な根拠だ。しかも福島の場合、3号機は使用済み核燃料プールも損傷していると見られる。稼働から40年の福島原発は、稼働わずか3年のチェルノブイリ原発よりも放射能で汚れていることも加味しなければならない。
 
 飛散した放射能が多いほど当然、環境は汚染される。

 チェルノブイリの最汚染地帯であるナロブリャ地区ドゥリャドイ村は1,850万ベクレル/㎡で、大熊町東平は3,000万ベクレル/㎡(両者ともセシウム137)。大地も福島の方がはるかに汚染されているのだ。
  
 「外部被ばくと内部被ばくは同じ」とする御用学者もいる。だが小野氏は「ヒーターの前で体を温める(外部被ばく)のと、灼熱した石炭を食べる(内部被ばく)くらい違う」と指摘する。

 マスコミがほとんど報道しない動植物の畸形についても、小野氏は福島県浪江町で見つかった「耳なしウサギ」なども写真つきで紹介した。「畸形は地震の揺れによるストレスが原因とみられる」とする御用学者の珍説も加えて。
 
 東電技術者として原子力発電に携わった小野氏の“内部告発”は、迫力満点で、講演時間の60分はあっという間に過ぎた。医師として指摘する内部被曝の危険性は説得力に富んでいた。

小野氏は今後の見通しを次のように示す―
●人類には原子の火を止めることはできない。
●今後も再臨界を何度も起こす。
●収束方法は誰も知らない~汚染水処理施設などこの世のどこにもない~

 絶望的な状況なのだが、小野氏はそれでも「あきらめたらお終い。イナゴの精神で戦い続けよう」と私たちを励ます。イナゴ(の群れ)は一匹、二匹殺しても止まらない。全部殺さなければならない。

 ◇
本稿は小野氏の講演を基に近著『フクシマの真実と内部被曝』を参考にして執筆しました。」

http://tanakaryusaku.jp/2013/08/0007660

人はなぜ御用学者になるのか/島村英紀

2013-08-08 16:44:49 | 政治
 3年もたたないうちに原発再開、汚染粋垂れ流し、ということになっています。

 大手メディアはこぞって原発から流出する広報費用に依存。

 これってもともとは電力会社に支払われている電力料金ですよね。

 背後には今も変わらぬ御用学者の集団が控えていることでしょう。

 そのことを改めて。


「島村英紀『長周新聞』2012年1月1日号。6面{2400字}と2012年1月9日号。4面{2000字}


人はなぜ御用学者になるのか


 2011年3月の東京電力・福島第一原発の原発震災以来、原子力ムラ(近頃は原子力マフィアと言う)の御用学者たちがあぶり出されている。

 当初はNHKをはじめテレビや大新聞などのメディアでこれら御用学者たちが出演して、大した事態ではないと解説し、地元の人々の避難を遅らせて大量の被曝をさせたのだが、その後、それまでの「原発の安全神話」を作り上げてきたのも、これら御用学者たちだったことが明らかになってきている。

 しかし、じつは御用学者たちは、原子力ムラだけにいるのではない。1950年代から熊本県の水俣で、そして後に新潟県の阿賀野川流域でも多大な人体被害を生じた水俣病のときも、工場が廃水として流した有機水銀が原因であったことを熊本大学医学部の研究者たちが早くから指摘していた。

 だが当時の政府や国策企業(チッソや昭和電工)の意に添って原因をはぐらかせ、その結果、被害と人々の苦しみや差別を拡げてしまったのも、御用学者たちであった。いや、個々の御用学者たちばかりではなく、日本化学工業協会や医学会などの業界や科学者の組織も、組織を挙げて、徹底して有機水銀説を攻撃した。

 「アミン原因」説や「腐った魚を食べたのが原因」などと主張した清浦雷作教授(東京工業大学)や戸木田菊次教授(東邦大)らが、毎晩のように銀座で豪遊していたのも目撃されている。

 さて、ここで視点を変えて、政府や企業のほうからの視点、たとえば原発の導入を例にとって「作戦」を考えてみよう。

 なんとかして日本は核兵器を持ちたい(『岸信介回顧録---保守合同と安保改定』廣済堂出版、1983年)。では、どうするだろう。

 核兵器の原料を作るためには原発が必要である。しかし、そう言ってしまっては身も蓋もない。広島と長崎に原子爆弾を落とされた日本人の核アレルギーは強いから「正攻法」で原発を作るのは難しい。

 そこで、資源の少ない日本では原発が必要、原発こそ新しいエネルギー、という世論を作ることにした。ちなみに、地球温暖化を阻止するために化石燃料を燃すと大量に出る二酸化炭素を減らす、という口実も、近年、原発推進に大いに利用された。

 原発のためには金を惜しまない。東大や京大など拠点大学に原子力関係の学科を作って、原発の建設や運転に役立つ人材や科学者を育てる。

 じつは私の大学生時代は、こうして東大に原子力学科が誕生したときだった。駒場の教養学部から本郷の専門学部に進学するときに、原子力学科はとても人気が低く、誰も行きたがらなかったことを憶えている。

 これではいけない、と思ったに違いない。手厚い研究費が手当てされ、電力会社や原子炉開発を狙う電機メーカーも卒業生を優遇した。こうして原子力産業だけのための卒業生が育ち、原子力産業と密着した御用学者も、しだいに育ってきたのである。

 手厚い優遇策は原子力など工学部関係だけではなかった(註:下記の「追記」を参照)。地震国日本。活断層が縦横に走り、たびたび大地震に襲われる日本列島のどこに原発を作るにせよ、地震や津波の危険は避けられない。このため、原発建設が「経済的に引き合う程度の」地震危険度を見積もってもらってお墨付きをもらうための、地震学者たち、そして学会の抱き込みもぬかりはなかった。

 そのうえ、(じつは近年になって不可能なことが明らかになってしまった)地震予知が出来れば、不意打ちによる原発の被害も避けられる。そして、地震危険度がさらに「値切れる」わけなのである。なお、地震学会は阪神淡路大震災のときは声明ひとつ出せず、東北地方太平洋沖地震のときも半年以上遅れて、形だけの「反省会」を開いただけだった。

 こうして、たとえば某市の盛り場では、ある大学の「推進側」に属する工学部や理学部の先生方が行けば無料になるバーがあるなど、手厚い研究費を「公」とすれば「私」の面でも、ぬかりない配慮が行われていた。

 科学者がそんな簡単になびいてしまうものか、と思われる読者も多いかも知れない。

 私がかねてから著書などで主張しているとおり、最前線の科学者は孤独なものなのだ。競争相手、つまり敵はまわりにいくらでもいる。同じ研究をしていても、見たこともない相手が一歩先に発表してしまえば、それまでのすべての研究は無駄になる。科学者とは孤独な闘いを、一生、続けなければならない職業なのである。

 かといって、研究のテーマを転々と変えて、そこで業績を上げるほどの能力がある科学者は、ごく一握りしかいない。そのうえ原子力関係の研究では、外国が何歩も先んじていて、日本で研究してもその学問で一流になれる見込みはない。

 それゆえ、他の分野の科学者と違って、研究の成果を求めるという努力なしに得られる潤沢な研究費と大学での地位は麻薬のような魅力がある。甘言を弄して近づいてくる政府や企業は、孤独な戦場でのまたとない救いなのである。夜の飲み代まで払ってくれるのならば、簡単に「墜ちて」しまうこともあるだろう。

 同時に、かりに原子力に否定的な研究をしようとすれば、地位も研究費も危うくなるから、研究とその成果も自ずから時流に沿ったものになる。

 それだけではない。研究面で業績が上がらなくても、政府の審議会の委員になれば、名誉欲がくすぐられ、対外的な信用だけではなく、滑稽なことに大学内での評価も上がりやすい。大メディアの記者が喜んで委員になるのと同じ、これも麻薬なのである。

 かくして、学問的には二流、三流の科学者が生きる道が拓かれる。御用学者は安泰なのである。国策に反旗も翻さず、大過なく務めれば、定年後には会社や業界団体の職も与えられようし、いずれ勲章ももらえることになろう。

 こうして御用学者が育ち、「作戦」は狙い通りの成功を収めてきたのであった。

(この記事は)

【2013年1月追記その1】この、企業や政府寄りの学者の例は、他の業界にもたくさんあった。たとえば、ホンダN360の欠陥などを描いた伊藤正孝『欠陥車と企業犯罪----ユーザーユニオン事件の背景』(もともと三一書房、のちに現代思想社の現代教養文庫に収録)には、ユーザー側から裁判所を通じて鑑定を依頼された大学の自動車工学の先生たち(大阪地裁からの依頼は、東大生産技術研究所の平尾収、同・亘理厚、東京工大(のちに日本自動車研究所長)の近藤政市、芝浦工大の小口泰平、別の訴訟で広島地裁からの依頼は広島大学、広島工大、大阪大学などの先生たち)が多忙などを理由に断りながら、同時にメーカー側の証人には都立大の川田雄一教授らが名前を連ねているさまが描かれている。

【2013年1月追記その2】上記のようにチッソべったりの清浦雷作教授は東工大教授だったが、他方、新潟水俣病の原因者であった昭和電工鹿瀬(かのせ)工場の無罪を、塩水楔説ででっちあげた北川徹三教授も、横浜国大に安全工学科を作った”権威”だった。 」

http://shima3.fc2web.com/201201choushuusinbun.htm