白夜の炎

原発の問題・世界の出来事・本・映画

自分でできる時代。

2011-02-28 15:45:48 | 報道
 今や自分でデジタルビデオで撮影し、パソコン上で編集し、それをYouTubeに投稿すればドキュメンタリー作家になれる時代になった。

 実際そのような手法で優れたドキュメンタリーが作成されている。NHKで放映していたのはアメリカの火を噴く水道の蛇口の話であったが-タイトルは「ガスランド」、これはブッシュ政権時の規制緩和によって、水質が汚染されている実態を告発したものだ。

 このドキュメンタリーの後随分してから三大ネットワークが取り上げていた。

 今回のアラブの変革でもネットを活用した情報のやり取りが威力を発揮している。

 逆に言うとこんな風に自分たちで行動しない地域や個人はダメになる、ということだろう。

 アメリカでもウィスコンシン州の議会で、知事と市民がおおもめにもめているが、これ等も自分たちで行動しようということだ。

 日本における名古屋市の一件などもそれにつながる動きかもしれない。

 動いているのは団塊の世代からその少ししたくらいだろう。

 ある意味戦後民主主義を素直に吸収した世代である。

 やはり素直な民主主義が正しいのだ、と言えるようにしたい。そのためにはまず行動、である。


 *なお初めに紹介したドキュメンタリー「ガスランド」前後篇は下記の日程で再放送予定。是非一見を。
  
   NHK BS1

  「ガスランド」前編 3月11日 午後11時から11時50分
  「ガスランド」後篇 3月13日 午前0時から0時50分(3/12土曜深夜)

Googleの陰謀?

2011-02-27 17:44:43 | 国際
WIRED VISIONからの転載。(http://wiredvision.jp/news/201102/2011022519.html)

「「Google世界革命陰謀論」が浮上 2011年2月25日」

「一方、米国のトーク番組司会者Glenn Beck氏は、米国政府に対するGoogle社の協力に関するダークな見解を広めようとしている。[Glenn Beck氏は保守派の司会者で、複数の著書もある。

 Beck氏は先週、同じ『Fox News』の番組司会者であるBill O'Reilly氏に対して、こう語った。

 「[Google社には、]文字通り――いや、文字通りではないものの――大統領と同じベッドやオフィスに出入りし、ホワイトハウスに協力している幹部が4、5人いる。Google社の2名のバイス・プレジデントが実際、エジプトの革命を扇動するのに関わったのであり、彼らはそれを誇りに感じているのだ」

 Beck氏はその後、自身の番組の中で、視聴者たちにGoogleを使用しないことを勧めた。

 「私からの提言だが、宿題をやるときにはGoogleの検索を使わないように。Google社は政府と深く関わっているようだ。だからこそ、同社は他の国々から追い出されているのではないだろうか? 彼らは今まさに、米国政府の手先なのではないだろうか? Jared Cohen氏とは誰だ? 彼は一般市民なのか、それとも政府のスパイなのか? (Wael Ghonim氏に続いて)表立ってきた2番目のGoogle社の人物ではないのか? 彼こそ、革命の扇動者として現在表に出てきた2人目のGoogle社幹部だ」

[Jared Cohen氏は、米国務省のデジタル専門家として、YouTubeやTwitterといった新しいソーシャルメディア技術に対する政府内の理解促進を支援していたが、最近、Google社が開始するシンクタンク『Google Ideas』の責任者になった。1月から2月まではエジプトに滞在していた。

 Google Ideasは、「テロ対策、急進派対策、核拡散防止といったハードな課題から、開発や市民への権限付与といった課題まで、あらゆるもの」を取り上げ、実践へ協力する「Think/do Tank」とされる。なお、Eric Schmidt CEOは、オバマ大統領を選挙戦時代から支持しており、現在は、大統領に技術問題に関する助言を提供する科学技術諮問委員会のメンバー。Google社とCIAが投資する「世界監視システム」についての日本語版記事はこちら]

 「ワシントンのエリートたちが構想した世界的変化をもたらすために、政府がメディア、検索エンジン、ソーシャル・ネットワークとひそかに協力していることを、みなさんは問題に思わないのだろうか?」とBeck氏は語る。
Google社がそれほど強力な民主的革命の推進力であり――そしてそれが悪いものだったとは、誰が知っていただろうか。

[日本語版:ガリレオ-向井朋子/合原弘子]」


 確かにアメリカ国務省は2008年に中東の運動家たちを集め、グーグルやフェースブックの関係者も集めて会議をやっていたというが、これはさしたる秘密ではない。

 確かにアメリカの政府や様々な機関が互いに連携しているのは事実であろう。また今回の中東動乱に、私たちに見えにくい形でかかわっていることも事実であろう。ただ、もともと30―40年も指導者の変わらない体制等あり得ない。

 それが基本ではなかろうか。

「リビアの革命司令部」

2011-02-27 16:09:56 | 国際
下のURLパアルジャジーラからの画像にリンクしている。

(http://english.aljazeera.net/mritems/Images/2011/2/27/201122744955490621_20.jpg)

 この画像が乗っている記事は、「リビアの革命司令部」というタイトルで、画像はその部屋の様子である。

 ベンハジ発のこの記事の内容を簡単に紹介しよう。

「ベンハジの治安関係機関に隣接する建物に革命のネット司令部がある。つい火曜日から機能し始めたと説明するのは英国とリビアの二重国籍で、4年前からベンハジのガリョニウス大学で医学を勉強しているサナラだ。

 また42歳でコンピュータエンジニアのアフメド・シェイクは民間の航空会社で働いていたが、今ここに参加している。

 インターネットのケーブルはホテルの屋上に設置された衛星受信アンテナから伸びたケーブルにつながっている。ケーブルは壁にあけられた穴をとおってワイヤレスのルーターに接続している。ほとんどのラップトップがイーサネットケーブルを通じてルーターに直結している。


 通信速度は毎秒2キロのケースもあるが、そのすぐそばで仲間の一人26歳のアフメド・ヤコブが「2月17日革命の声」というブログを立ち上げている。かれもガリョニウス大学でメディアとプログラミングを勉強していた。

 彼らによればリビアの運動はエジプト人によって具体的な支援を受けている。通行規制が緩んだ国境を通じてメディアを移動させたり-インターネットが規制されたとき-、抑圧的な政権への対処方法について指導を受けたという。

 2月17日から21日にかけて戦闘が激しく、インターネットが完全に落ちた時は、衛星回線を通じて携帯のスカイプ経由で世界との連絡を取った。それによってCNNやBBC等の番組に接続できただけでなく、チャットも可能になったという。

 さまざまな機材が寄付され、食糧その他の支援もある。・・・」

 ここには今リビアや他のアラブ世界で起こっていることが生き生きと描かれている。

 有能な若い世代の台頭。見かけは粗末でも極めて有効に施設。

 そして厳しい状況でも屈服しない人々と、国をこえた連帯。

 今後も中東・アラブ世界の変革は続いていきそうだ。

 

鋳物を今でも枯らして使うドイツの工作機械メーカー

2011-02-26 19:01:36 | 産業
 以下のようなブログ記事を見つけた。

 「だが、一番いいのは鋳物を枯らせることだ。つまり、時には10年以上の時間をかけて狂うだけ狂わせて、安定した状態になった鋳物を使うことだ。

 しかし、この方法は時間がかかるし、その間、資金が寝てしまうことになり、コスト高の要因になる。しかも、10年も前の鋳物を使うわけだから、設計変更は無理だ。

 日本の工作機械は熱処理で歪みを取り、NC装置を導入し、ベッド鋳物も余分なところを削り取ってリブ構造にして、強度的には変わらないが軽いもの(「肉を盗む」という言い方をする)を作ってきた。

 ドイツは頑丈な構造の機械をあまり設計を変えずに、作り続けてきた。私がびっくりしたのは、ボルトも干し柿のようにして、枯らしていたことだった。製造年月が書いてあって、「1974年もの」等々、まるでワインのようだった。「なるほど。ここまで徹底すれば精度も出るわ」と思った。」

 これはJBPressの「工場の裏庭で見たドイツの工作機械の秘密日本と異なる設計の根本思想」 橋本 久義 (http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5494?page=4)という記事の一部である。

 鋳物は内部の応力を取るため一定期間ほっておくのが一番だとはよく知られた話だが、それを今でも実践しているとは驚かされたる。

 実は以前米軍でも同様に扱った鋳物からの削りだしで軍用のガソリンエンジンのブロックを作ったりしたという話を聞いたことがある。

 日本の工作機械メーカーの社長さんに話を聞いても、同じに設計して、同じ材料を使っても、ドイツやスイスのメーカーのようにいかない、という話を聞いたことがある。

 なかなか技術だけでなんとかするというのは難しいものだ。

姜 在 彦『西洋思想と朝鮮』朝日新聞社

2011-02-26 18:05:35 | 歴史
 日本・朝鮮思想史の大家姜 在 彦先生の近著の日本語版である。

 この本では17世紀から1910年の植民地化まで、朝鮮がウェスタン・インパクトにどのように対処してきたかを思想史の観点から検討している。

 その結論はある意味シンプルで、儒教国歌朝鮮では、まったく異なる思想体系であるキリスト教の布教とともに伝来した西洋の科学知識や、様々な技術までキリスト教徒ともに排撃し、そのためアメリカとの通商条約に際して自国の通訳さえいない-清朝に依存-という事態に立ち至った。そのことが日本や中国にたち遅れた大きな背景だ、というものである。

 いうまでもなく氏の研究はなぜ朝鮮が植民地化されたのか。なぜ亡国を余儀なくされたのか、という問題意識に支えられている。そしてそれはなぜ隣国の日本に後れを取ったのかという痛哭の思いに支えられていることも事実であろう。

 氏はそれを、日本では宗教としてのキリスト教は厳しく排撃しつつ、西洋の科学知識や技術、そして海外に関する情報は宗教とは区分して需要したが、朝鮮ではついにそれに失敗したところにあるとした。

 もちろん朝鮮でも積極的な受容派は様々に存在したが、19世紀初頭のキリスト教弾圧と、それに続く約60年の停滞が決定的だったとする。

 朝鮮思想史の書としても大変興味深い一冊である。

情報機関設置?

2011-02-23 18:34:16 | 国際
 ウィキリークスから提供された在日アメリカ大使館の香典によると、福田・麻生政権にかけて、日本政府が戦後初の本格的な諜報機関の立ち上げを検討し始めたとのこと。シドニー・モーニングヘラルドなどオーストラリアのメディアが情報を流している。

 以下はそのことを報じるジャパンタイムズの記事。

"Cable leak: Japan has spy agency
SYDNEY (Kyodo) Japan has established a secret foreign intelligence unit for the first time since the war to spy on China and North Korea and gather information to prevent a terrorist attack, according to an Australian report Monday citing a classified U.S. cable obtained by WikiLeaks.



The Sydney Morning Herald and other Fairfax newspapers said the cable provided exclusively to them shows a spy unit has been created under the Cabinet Intelligence and Research Office and modeled on such Western intelligence services as the CIA and the British Secret Intelligence Service known as MI6.

According to the report, a discussion in October 2008 between the former head of the U.S. State Department's Bureau of Research and Intelligence, Randall Fort, and Director Hideshi Mitani of Japan's agency revealed a shift in Japanese attitudes for the first time since World War II and signaled that a having a "human intelligence collection capability" was a priority.

A secret cable to Washington by the U.S. Embassy in Tokyo indicates the decision was made by the then Liberal Democratic Party government led by Yasuo Fukuda until September 2008 and upheld by his successor, Taro Aso, whose party was defeated in the August 2009 election that brought the Democratic Party of Japan to power after decades of LDP rule.

"The decision has been made to go very slowly with this process as the Japanese realize that they lack knowledge, experience, and assets/officers. A training process for new personnel will be started soon," the embassy told Washington in the leaked cable.

The cable also revealed Japan's lack of information on North Korea, with Mitani frankly admitting to his U.S. counterpart that Japan's best insights into Kim Jong Il were through his former sushi chef, Kenji Fujimoto, who had published a memoir."


 ウィキリークスの情報はニューヨークタイムズ、ガーディアン、シュピーゲルなどに提供されたはず。

 今回オーストラリアから出てきたのをみると、基本はアングロサクソン系のメディアに出しているのかなと思われる。

 当然メディア関係者には諜報機関のメンバーと重複するものも多いといわれているので、この情報は英米の関係者による牽制かもしれない。

 今後も注意していこう。

 なおAFPも二日前に伝えている。下記に示しておく。

"Japan building foreign spy service: WikiLeaks
(AFP) – 2 days ago
TOKYO ― Japan is setting up its first fully-fledged post-war foreign spy service, modelled on the CIA and Britain's MI6, according to a classified US cable obtained by WikiLeaks, a report said Monday.
The new intelligence service aims to spy on China and North Korea and to gather information to prevent terrorist attacks, said Australia's Sydney Morning Herald, citing a US cable WikiLeaks exclusively provided to the daily.
The espionage unit is being created under the wing of Japan's top intelligence agency, the Cabinet Intelligence and Research Office (Naicho), which reports to the prime minister, the Herald said.
Then-Naicho director Hideshi Mitani revealed in 2008 that a "human intelligence collection capability" was a priority, in talks with then head of the US State Department's bureau of intelligence and research, Randall Fort.
Two former Japanese prime ministers of the conservative Liberal Democratic Party, Yasuo Fukuda and Taro Aso, had kicked off the project, according to a secret cable to Washington from the US embassy in Tokyo.
"The decision has been made to go very slowly with this process as the Japanese realise that they lack knowledge, experience, and assets/officers," the US embassy cable said, according to the Herald.
"A training process for new personnel will be started soon."
Japanese officials had told Fort that Japan's most pressing intelligence priorities were "China and North Korea, as well as on collecting intelligence information to prevent terrorist attacks".
Fort had urged Japanese officials to tap "underutilised assets" in the worldwide network of Japanese businesses and trading companies.
An expert on intelligence issues in Japan, who asked not to be named, told AFP that Japan does not yet have an operational "human intelligence branch".
Japan does not seek to recruit foreign nationals as agents or informants, the expert said, instead relying on Japanese businessmen and journalists abroad to gather intelligence, paying them out of "secret funds" controlled by the foreign ministry and cabinet office.
Copyright © 2011 AFP. All rights reserved. More »"

アラビア語とムスリムの信仰

2011-02-23 15:22:13 | 原発
 中東地域はおおざっぱにいって、アラビア語が話され、ムスリムの信仰を基本とする社会だ。

 国家体制や社会状況が異なっても、言葉が同じで(もちろんばらつきはあるだろうが)、基本的な信仰を一つにしているということからくる一体感は、私たちにはちょっと想像しがたいものがありそうだ。

 またムスリムが一神教であり、個々人と神が直接契約によって結ばれる「契約の民」の宗教だということも大きそうだ。

 現実の政治体制に対する批判的な視点が常にそこに生まれるからだ。

 この事はムスリムの母体であったユダヤ教の出発のころからのもののようだ。

 まだ天幕を張って砂漠で信仰を守っていた当時も、ユダヤ教には信仰における指導者と、現実的な政治指導者の区分があり、それは当時の二大先進文明である、エジプトやメソポタミア、後にはペルシャなどと異なった点だった。

 同時にもう一つ今回の変革で特徴的なことは若い世代がネットでつながっていることだ。

 中東では30代以下が人口の7割以上を占めるといわれる。

 彼らはここ数年で急速に普及したFacebook等を活用したといわれる。

 彼らにはムスリムとアラビア語というキーワードのほかにもう一つ、市民的感覚という共通感覚があるのかもしれない-期待を込めて。

 今回の変革がどのような方向に向かうのか。

 ムスリムの現代的変革を伴う、アラビア語圏の統一に向かうのか、あるいはムスリム強硬派の指導下におかれるのか、目が離せない。

 

アラブの統一?

2011-02-21 16:36:58 | 国際
 アラブ連盟という組織がある。エジプトの外相で、今エジプト革命後の指導者候補の一人っとしも名前が挙がったムーサ氏が事務局長を務めている。この組織は第二次大戦後、イギリスの強い影響下で作られた組織である。

 しかし今回のアラブ世界の激動に対してはほとんど有効な手を打つことができない。

 イギリスは同時期、アメリカとともに国連で決議を通し、1947年にイスラエルの建国を実現させた。このイスラエルは事態の推移を不安のまなざしで見つめている。


 もともと第一次大戦中、イギリスはドイツの同盟国で敵国だったオスマントルコをたたくため、当時オスマントルコ領だったアラブ世界に独立をえさに働き掛けを強めた。その最たるものがフセイン・マクマホン協定で、戦争終結後アラブ人国家の建設を認めるものだった。

 同時期イギリスはユダヤ人の協力にこたえるため、19世紀のドレフュス事件を機に発展してきていたシオニズムの運動に迎合する形でバルフォア宣言を出し、ユダヤ人国家をパレスチナに建国することを承認する意思を示した。

 しかし実際に実現したのは、フランスとイギリスの間で結ばれた、サイクス・ピコ協定である。これはオスマントルコ解体後の中東を英仏間でどのように分割支配するかという協定であった。

 これら協定や宣言は当然秘密であったが、ロシア革命によってロシア帝国が崩壊し、その過程で各種の機密情報が露呈したが、その一部として明らかになったのである。


 第一次大戦後にはアラブ人は不満を抱えつつ独立への努力を続け、1919年にはエジプトで市民による動乱が革命につながり保護領から事実上の独立国へと発展した。

 また1928年にはムスリム同胞団が誕生しているが、これもアラブ民族主義・ムスリムの覚醒運動の一環だったといえよう。

 同時にシオニズム運動の側も発展し、欧米の有力なユダヤ人によるパレスチナの不動産購入とユダヤ人の入植の推進が進行した。

 1930年代にアラビア半島で石油が見つかると、石油権益確保のため、この地域を英米仏が支配することの必要性が-英米仏に取って-さらに重要になった。


 第二次大戦によってドイツの覇権を完全に排除すると、英米仏三カ国はこの地域で拡大するアラブ統一とムスリムの連帯を打破するため、イスラエルの建国を認めた。

 同時にアラブ諸国の独立も認めていったが、その際は英米仏三カ国の息のかかった王族の支配を優先し、同時に重要な拠点は保護領として維持し続けた。現在問題になっているバーレーンなどその典型である。

 1880年にイギリスの保護国になるまではシーア派のペルシャ帝国の領土であったが、その後はイギリスの支配下にはいり、王家のハリーファ家はクウェートのサバーハ家やサウジアラビアのサウード家と同じくアナイザ族出身でスンナ派である。

 少数派をエリートとして優遇し、宗主国の保護と支持を必要とする支配層を作り出し、多数派との和解を困難にするという欧米列強の植民地支配の典型的な手法がここでも見られる。

 しかし今やその手法がエジプト、チュニジアで崩壊し、さらにバーレーンなど湾岸諸国、さらにリビアにも及んでいる。

 いまや様々な国家形態、歴史的経緯を経てきたアラブの全領域に、若い世代の行動をきっかけとする大きな変動が始まっている。

 その中で弾圧に耐えてきたムスリムの運動組織が次第に役割を果たしつつある。

 また地域から排除されてきたシーア派が復権しつつあり、そのことはイランの影響力の拡大をもたらしている。

 長期的には英米仏の影響力の低下と、アラブ世界の統一、イランの影響力拡大、という結果につながる可能性があるだろう。

CBS女性アナウンサーの受難で感じたこと。

2011-02-17 19:00:53 | 国際
 アメリカCBS「60ミニッツ」の人気記者ララ・ローガンが、エジプトのデモを取材中に暴行を受けた。

 平和的なデモ隊による抗議行動、というイメージで伝えられてきただけに、衝撃が走っている。

 彼女は男性の仲間たちとボディ・ガードをつけて取材していたにもかかわらず、引き離され激しい暴行を受けたという。

 彼女を助け出したのは20人の兵士とその場にいたエジプトの女性たちだった。

 イスラム社会で女性が目立つことへの反感は強い。

 美人で魅力的なローガンは格好の標的になってしまった。

 この事から感じるのは、一つはエジプト社会で普通の人として生まれ育った時の厳しさ、特に女性として生まれたときのそれである。

 女性の8割以上がセクハラ-どのような内容かは分からないが-を受けたことがある、とされる。

 (ニューズウィーク日本版 http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2011/02/post-1969.php)

 もう一つは、しかしそのような場所にのりこんで取材するのだ、ということであった。

 湾岸戦争やイラク戦争でも感じたが、日本の大手報道機関は自社の社員を本当に危険なところには派遣しない。

 女性も男性もである。将来管理職になって、偉くなることが目標だから、戦場など行ってられないということか。

 そして社員は本当の危険地帯には踏み込まないというのが、不文律になっているらしい(明確に規則になっているところもあるとのこと)。

 それではどうするのかと言えば、フリーの戦場カメラマンを安く使う、ということである。

 このような例は他の国には見られないことである。

 大体通信社も新聞社もテレビ局も、このような仕事をするからこそジャーナリズムであり、だからこそジャーナリストの安全が強く要請されるのである。

 日本の大手ジャーナリズムはどこまで行ってもリスクを取らず、いいとこ取りしようという根性らしい。

 きれい・かわいいの女子アナばかりでタレントを使わず素人芸で金を稼ぎつつ、本当の報道現場はお雇いのフリーを使い捨てである。

 日本にもローガンが欲しい。

大相撲は廃止。

2011-02-15 18:17:38 | スポーツ
デヴィ夫人がブログで以下のように書いている。

八百長をやらなければ リンチのような〝かわいがり〟をされたり、 嫌がらせを受ける。 その「若ノ鵬」が 今「噂の14人だけでなく、 親方達も皆やっていた。 ただ一人、 正しいのは貴乃花だけ。 あの人はただ一人、 正義の人。」とTVで公言。」(http://ameblo.jp/dewisukarno/page-1.html#main)

 また朝青龍が嫌われたのは八百長をやらず、星のやり取りをしなかったからだとも。

 さもありなんと思う。

 脚本家の内館なにがしは大学院まで行って、相撲の伝統を勉強した揚句に、ろくでなしの八百長相撲のちょうちん持ちになって、まともに相撲を取っている力士の追い出しに加担したのだ。

 どうするつもりですか? 内館牧子さん!!

 
 二宮純が、相撲には三つの柱があるといっていた。

 一つは神事。二つ目はスポーツ。三つ目は興業。

 今問題になっているのは興業としての相撲であり、それを取り仕切っているのは相撲協会である。

 暴力団とつるんで、八百長相撲に野球賭博。暴力行為で若者を殺害。薬物汚染の疑惑も絶えない。

 興業団体としての大相撲は日本社会にとって「公益」どころか「災厄」であり「危険」な存在になっている。

 今の協会関係者は―とくに上の方は-八百長当然、暴力団はお友達という連中だろう。

 反社会団体への資金と人材の供給源になり下がった大相撲協会は廃止するほかない。

 そして「興業」としての相撲は廃止する。

 
 それでも大学等アマの世界にスポーツとしての相撲は残る。

 神社ごとの神事の相撲は地域で守ればよいことだ。

 大相撲関係者は、神事としての相撲にも、スポーツとしての相撲にもかかわれないようにする。

 なんなら立法化してもいいのではないか。

 反社会的団体を、健全な社会活動から締め出すための立法行為なのだから十分な根拠があるだろう。

 
 本当にまじめな話。

 大相撲と協会は廃止しかないと思う。

 

推薦  シュロモー・サンド著『ユダヤ人の起源』

2011-02-14 12:59:08 | 
 何かと問題の多い中東について勉強するとき、例えばユダヤ人の歴史を学ぼうとで本屋で本を手に取ると、聖書の記述どおりにユダヤ人の歴史が描かれていたりする。

 今時日本書紀などをそのまま下敷きにして歴史を書いたら噴飯ものだと思うのだが、ユダヤ人の歴史関してはそういうものが出ている。

 あるいは考古学的知見に基づいたユダヤ人やその周辺諸民族の歴史といったものもあまり見当たらない。そもそもユダヤ人はエジプトやバビロニア、ペルシア、あるいはローマといった大国のもとにいたのだから、そういった国の記録の中に出ているはずと思うのである。

 またユダヤ人が今のパレスチナの地に国を持つ権利があるとする理屈もよくわからない。第一に神殿崩壊後2000年間世界に離散したユダヤ人は、血統的にすべてつながっている、という主張であるが、本当なのか。

 第二に、だからといってなぜ現実の世界の中で、今そこに何百年も生活する人たちを押しのけて、自分たちが割り込む権利にそれがなるのか…ということである。

 このような次々浮かんでる疑問を大いに解消してくれるのが、昨年の3月に武田ランダムハウスジャパンから刊行されたシュロモー・サンドの『ユダヤ人の起源』である。

 著者はオーストリア生まれ、イスラエル育ちのユダヤ人で、現在テルアビブ大学の教員である。

 著者は18世紀から19世紀、そして20世紀の西ヨーロッパ-中でも―ドイツ―で国民国家、国民意識が形成される中で、ユダヤ人に関するそれまで存在しなかったとらえ方が生まれていったことを示し、それがシオニズム運動として現在のイスラエルの公式的なユダヤ間につながることを示してくれる。

 またハザール王国やマグレブ諸国の改宗ユダヤ教徒など、血統は異なるユダヤ教徒・ユダヤ人が歴史上数多く存在したこと、そしてその影響が無視しえないことを示している。

 中東を緊張の地にしてきた今日のユダヤイデオロギーの源流をたどる上で書くことのできない一冊である。

デーブ・スベクターに賛成

2011-02-08 17:55:35 | スポーツ
 世間周知の大相撲の八百長問題。

 個人的には相撲に大した関心もないので、相撲協会も、相撲もどうなろうと知ったことではない。

 ただ大相撲協会が公益法人ということで税金を払わず資産をため込んでいたり、歴代あったに違いない八百長を、元理事長が平然と「なかった」といっていることには腹を立てずにいられない。

 この団体のこんな流儀のどこが「公益」なのか。といってみてもむなしい・・・。

 相撲も、この団体も、八百長、暴力団まみれだったことは、天下周知のことだったといえる。

 その点をはっきり言っているのはデーブ・スベクターである。

 サンジャポでも、その他でも、「週刊誌も、テレビもみんな知っていたことだから、・・」とはっきり言っている。

 その通り、マスコミも、暴力団も、相撲協会も、六本木も、政財界も、みんな仲良くつるんできたに違いない。

 この際だ。

 全部吐き出しちまえ。

 日本のためになるぜ。

タイとカンボジアの戦闘

2011-02-07 15:20:48 | 国際
 Preah Vihear templeの近くでタイとカンボジアの軍同士が交戦している。
 (詳しくはBBC http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-12378987 参照のこと)

 今から10年以上前タイ側からこの寺院の近くを訪ねたことがある。タイにある日系企業に用があったためだ。

 半日日程が開いたので泊っていたホテルの紹介で、地元の観光業者に近くを案内してもらった。

 観光業者といっても、20代半ばくらいのお姉さんとその友人のドライバーということだったが、とても楽しい思い出になっている。

 また高校卒業のガイドのお姉さんは日本の大学生よりずっと英語が達者で、国際情勢を振っても自分の意見をきちんと持っていて、大変感心させられた。

 その時この寺院を訪ねた。11世紀ごろ作られたという寺院そのものには近づくことができず、そのときタイとカンボジア間の国境紛争の焦点の一つだという説明だった。

 詳しい経緯は聞かなかったが、「なんでアセアンの同じ加盟国同士で、しかも決して豊かは言えないのに」、と思った記憶がある。

 
 BBCによれば両国間の緊張が高まったのは、2008年にこの寺院がカンボジアの世界遺産として登録されてからだという。

 世界遺産も罪つくりである。

 もっとも1962年に国際司法裁判所はこの寺院がカンボジアに帰属すると判断しており、カンボジア側は当然自国のものと考えての登録申請であろう。

 ただややこしいのは、寺院の入り口はタイ側にあり、なおかつ寺院周辺の土地については両国が領有を主張しているということだ。

 私のような第三者からすれば、このようなことで人命を損ない、両国関係に齟齬をきたす等愚かな限りと思うのだが、同時に日中間の尖閣諸島の問題、日韓間の竹島問題、日露間の北方領土問題も同様かもしれないという気もする。

 特に尖閣諸島等1968年の石油埋蔵の可能性が明確になって以降、対立が顕在化したのである。

 そういう点からすると、タイとカンボジアの問題について考えることは、自国が抱える問題の良き「練習」になるかもしれない-タイやカンボジアの方々には失礼かもしれませんが、あくまでも思考実験という意味です。

 タイ・カンボジア紛争にいい提案が浮かんだら、何より自分の国への適用を考えてみることにしよう。

韓国の大学図書館/延世大学

2011-02-06 18:04:46 | 原発
 あるブログで韓国の延世大学の図書館の紹介をしていた。

 http://wiredvision.jp/blog/kogure2/201101/201101241430.html

 これは延世大学の事例であるが、もう未来が到来しているという感じがする。

 PCを持ち歩くこと時代が時代遅れで、どこにでもアクセスポイントがあるのが当然、という社会なんだという感じ。

 韓国は乗り継ぎでインチョンの空港を利用したことがあるだけだけど、空港もよかったし、一度きちんと訪問しよう。

アウト

2011-02-03 11:02:26 | スポーツ
 大相撲で八百長の証拠が発覚。

 やってるだろうなー、とは多くの人たちが感じていたことではあるが、証拠もないし、先般の週刊誌をめぐる訴訟では雑誌側が負けたし、ということで、意外とないのではないか、という気もしていた。

 しかし今回は野球賭博に関して大相撲の八百長が発覚。

 興業には暴力団関与が付きまとうことは世間の常識ではあったけれど、それがまさにその通りだったことが露呈してしまった。

 前近代的な協会・相撲界の体質。

 新しい指導方法や運動生理学など、最新の情報を学ぼうとしない関係者。

 何もかも時代遅れな協会が、暴力団の資金源にされ、人的なつながりも尋常でないことがあからさまになりつつある。

 この際協会トップも含め、洗いざらい生産して一から出直さないと。

 完全に相撲は「アウト」だ。