白夜の炎

原発の問題・世界の出来事・本・映画

日本は今地震活動期

2011-11-01 20:14:40 | 地震
「 マル激トーク・オン・ディマンド 第521回(2011年04月09日)

地震活動期に入った日本が原発でいいのか  ゲスト:立石雅昭氏(元新潟大学理学部教授)

 福島第一原発で予断を許さない事態が続くなか、今週は、7日深夜の地震によって、宮城県女川原発や青森県東通原発で外部電源が遮断されるなど、一歩間違えば深刻な事故につながりかねない危うい事態が、相次いで起きている。

 しかし、この一連の地震は単なる一過性のものではく、日本列島が、20~40年周期の地震活動期に入った結果にすぎないと多くの地震専門家たちは指摘している。また彼らは、向こう10年以内に東日本大震災クラスの大地震が東南海地方を襲うことがほぼ確実なことも、科学的な知見から予想することが出来ると言う。

 このような事態にわれわれは防災、とりわけ原発の防災についてどのように考えればいいのだろうか。

 地質学の専門家で、元新潟大学理学部教授の立石雅昭氏は、新潟県柏崎・刈羽原発、宮城県女川原発、静岡県浜岡原発などの現地調査を行ってきた。立石氏は、地質科学的に見てこれらの地域は原発の立地に適していないこと、強い地震が起きる可能性があること、そして、その震災により原発が深刻な事故を起こす恐れがあると警鐘を鳴らしてきた。しかし、今回の福島第一原発の事故を止めることができず、「忸怩たる思いを感じている」と話す。

 福島第一原発の事故は、津波による電源喪失、冷却機能の喪失が引き金になったが、立石氏は、国・東京電力の津波対策は想定される津波の波高より高い場所に原子炉建屋などの施設があるか否かだけを考えており、最新の知見を取り入れることを怠っていたと話す。

 07年の新潟中越沖地震は、東電が柏崎・刈羽原発直下の断層をごく短いため問題ないと判断していた。結果的には、同原発は火災を起こし、福島ほどではないにしても放射能漏れを起こした。原発の周辺だけが震度7を記録するという特殊な現象もあったが、すべての原因が解明されないまま「安全宣言」がなされ、運転は再開された。立石氏は、産官学の癒着により、危険性を指摘する研究者の意見は考慮されず、新潟で起きた事態を教訓として活かすことができなかったと言う。

 耐震対策についても、各電気事業者は原子力安全委員会が06年に改定した「耐震設計審査指針」と、07年の中越沖地震を踏まえて、基準を作り直していた。しかし、東電は東日本大震災で被災した福島第一原発、女川原発について「想定を上回る揺れ」が起きたと発表している。

 立石氏によると、日本の地震には活動期と静穏期の周期性がある。

 1896年の明治三陸地震以後、1923年の関東大震災までの27年間は「静穏期」で、大きな地震は起きていない。

 しかし関東大震災以降の25年間は、昭和三陸地震、東南海地震、南海地震などM8近くの大震災が頻発した。1948年以後は「静穏期」に入り83年の日本海中部地震まで、大きな地震は起きていない。この時期は日本の高度経済成長期と重なった。


 そして、95年の阪神・淡路大震災以降、「活動期」に入った。特に、東海地震が起きる確率は文科省の地震調査研究推進本部の発表で80%以上とされている。立石氏は、この研究推進本部の発表は地質学・地震学などの研究者の間で統一された見解であり、疑義を差し挟む者はいないと言う。

 現在の「活動期」、つまり95年から25~30年間、おそらく2025年ぐらいまでにM8以上の地震が起きる。東海・東南海・南海地震が連動して起こればM9を超えるという。静岡県の浜岡原発は、この危険地域に存在している。

 地震活動期に入った現在の日本に原発が存在する危険性を、どのように考えるべきか。立石氏とともに、神保哲生・宮台真司が議論した。

プロフィール

立石 雅昭たていし まさあき(元新潟大学理学部地質科学科教授)

1945年大阪府生まれ。71年大阪市立大学理学部地学科卒業。73年京都大学大学院理学研究科修士課程修了。78年同博士課程修了。理学博士。79年新潟大学理学部助手などを経て、94年教授、11年3月に退任。08年より新潟県「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」委員、「地震、地質・地盤に関する小委員会」委員。」

世田谷のラジウム226

2011-11-01 18:55:45 | 放射能
「世田谷の高放射線量、原因はラジウムか 掘削で文科省見方

2011/11/1 18:45

 東京都世田谷区八幡山のスーパー周辺で最大毎時170マイクロシーベルトの放射線量が計測された問題で、文部科学省は1日、地中に埋まっているとみられる原因物質は「ラジウム226」の可能性が高いとの見方を示した。

 高線量が計測された2地点のうち、店舗入り口に近い同110マイクロシーベルトを計測した地点を専門業者が1日に掘削。深さ30センチほど掘ったところ、ラジウムが壊れる際にできる放射性同位元素のビスマスと、鉛を検出した。

 試薬を入れていたとみられる瓶も地中から見つかった。同省などが2日以降に中身などを調べる。瓶周辺の土からも放射線が検出されており、同省は瓶が原因物質かは不明としている。」

 おそらく多くの企業や研究機関でずさんに放射性物質を管理していたのだろうな、と思わせられる。

 そもそもこの場所には何があったのだろうか。それを調べれば手がかりが出そうに思うのだが・・・。

 ちなみに写真はラジウム226です(ピンボケですが)。

タイの水害―バンコク週報より

2011-11-01 14:00:19 | アジア
① 11/1

首都の工業団地が浸水の恐れ


 バンコク東部のミンブリ区で10月31日、長引く冠水に不満を募らせた地元民らの抗議に当局が屈する形で、サムワ運河水門を開放したことから、バンチャン工業団地が浸水する可能性がでてきた。

 この日、サムワ運河水門では、これまでの80センチから一気に倍近い150センチへと開口幅を引き上げた。

 その結果、抗議民の住むエリアでは排水が促進されることになったが、同区内のバンチャン工業団地周辺では逆に水位が上昇することになり、浸水の可能性が高まっている。

 水害被災者救済センターのティラチョン顧問(バンコク副都知事)によれば、水門の開口幅が拡大したことで、サパンスーン区のセンセプ運河沿い、バンカピ区、ブンクム区でも浸水被害が拡大する恐れが出てきたという。

 バンコク都庁ではバンチャン工業団地を守るため、住民の要求には応えられないとの態度を明確にしていたが、インラック首相が首相特権を行使。水門開放を命じた。

 なお、サムワ運河周辺にはタクシン元首相支持派が多く、抗議民の多くは同派のシンボルマークである赤いシャツを着ていた。


② 11/1

「状況は10日以内に大幅改善」


 水害被災者救援センターは10月31日、海面水位の低下と排水によってこの先10日のうちにバンコクの状況が大幅に改善するとの見通しを示した。

 バンコクの西部・東部では、これまでに海に99億立方メートルが排水され、北部と西部に残っているのは推定55億立方メートルあまり。

 1日当たり5億5000万立方メートル排水できるため、10日で冠水は解消できるという。

 一方、スクムパン都知事は31日、「政府発表の情報から判断すると、タイ北部から南下している水量が減少しているとは思えない。被害が深刻なドンムアンやラクシでは水位の上昇が続いており、バンコク西部の水位も上昇している」と、引き続き厳重な監視が必要との見方を示した。

 なお、海面水位は11月10日ごろから再び上昇し、13日から15日かけてピークに達する見通し。


③ 11/1

 戦車もバンコクから退避


 バンコクでは軍の施設にも浸水被害が及ぶ恐れがあり、陸軍は10月31日、戦車や兵員輸送車を近隣県に移動する措置した。

 第11歩兵連隊本部では、バンブア運河からパホンヨティン通りに水があふれ、敷地内も浸水しかねない状況になったため、兵員輸送車を中部ペチャブリ県ムアン郡の第3歩兵大隊本部に移動することにした。

 第4歩騎兵隊大隊本部も戦車23台、兵員輸送車4台をチョンブリ県の第21砲兵大隊本部に移動している。

 なお、複数の戦車が移動する際には、「クーデターか」とのうわさが広まるのが常であることから、陸軍は31日、報道官を通じて、「戦車などの移動は政治的なものではない。驚かないでほしい」と呼びかけた。


④ 11/1

 「災い転じて福となす」


 ピチャイ・エネルギー相は10月30日、大型復興計画「ニュータイランド」に政府が6000─8000億バーツを投入する方針であると発表した。

 同計画の下、洪水被害からの復旧・復興を加速するとともに、この大災害をチャンスに変えてタイの経済成長を促進する方針という。

 このアイデアは、インラック首相と主要閣僚の話し合いで合意されたものだ。

 同エネルギー相によれば、「計画では、復旧・復興、防災体制強化のほか、タイの国際競争力や生産性向上も促進する。(具体的には)物流網の改善、通関・労働許可証関連の手続き簡素化・迅速化、インフラ総合開発などが中心となる」とのことだ。

自由貿易協定とは何か?―日刊べリタより

2011-11-01 13:48:47 | 経済
 自由貿易が「強い国」に有利であることはよく知られている。

 だからこそ19世紀のドイツでは「幼稚産業保護論」が台頭し、国内の興業の発展を支えた。

 戦後の日本も同様である。関税障壁だけでなく、様々な手段を講じて国内興行の復興と発展を支え、そのおかげで成長できた。

 それがいまや国家間の競争だけでなく、強い企業と普通の人の間の競争まで引き起こしつつある。

 今自由貿易協定が世界を席巻しようとしているが、それがそれぞれの地域に住んでいる人々の生活にどうかかわるかを、まず評価する視点が必要ではないだろうか。

 以下は日刊べリタより。http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201110312303211



「自由貿易協定NAFTA、CAFTAを締結した中南米の国家が次々と企業から訴えられているこの現実


  今、話題になっているTPPでは国家が企業から訴えられる可能性が指摘されている。締結内容は締結国の独自の環境政策や医療保険政策などの上に立つとされるからだ。それは杞憂なのだろうか?

  ニューヨークタイムズはNAFTA(北米自由貿易協定)やCAFTA(中米自由貿易協定)を締結した結果、メキシコやエルサルバドル、チリなどの政府が企業から続々と訴えられ敗訴しているケースを紹介している。
http://www.nytimes.com/2011/06/26/world/americas/26mine.html?pagewanted=all

  1)「CAFTAの結果、エルサルバドル政府がカナダの鉱山会社から訴えられたケース」

  カナダの鉱山会社、Pacific Rim Mining Corp はエルサルバドルで金を採掘しようとしていた。金の抽出にはCyanideという有害化合物を使うが、これは岩間に浸透して自然分散するため環境を侵す心配はないとか、地域住民の生命線であるRio Lempa 川の水は使用しないなどとこの鉱山会社は抗弁している。

 しかし、環境が破壊されるという地元住民の強い心配に押されてエルサルバドル政府は採掘許可を出さなかった。その結果、エルサルバドル政府は国際法廷で7700万ドルの損害賠償を払え、と訴えられた。世界銀行の法廷で係争中だという(今年6月時点)。エルサルバドルと言えば、長い内戦からなんとか立ち上がろうとしてきた小国である。


  2)「NAFTAの結果、メキシコ政府がカリフォルニアの企業から訴えられたケース」

  2000年、メキシコ政府は米カリフォルニアの企業Metalcladから1560万ドルの賠償金を支払えと訴え、実際に払わされることになった。これは廃棄物処理に関する懸念から操業許可を出さなかったケースである。

  こうしたことから、環境保全活動グループから自由貿易協定の実態に対して警鐘が鳴らされることになった。

国が訴えられているケースはもっとあるという。


 ・昨年、エクアドル政府が石油会社シェブロンに7億ドルを支払うことになったケース、

 ・2004年にマレーシア企業がチリ政府を訴え、1080万ドルの賠償を払わせたケース

 などだ。

  しかし、国際法廷で中南米の国々が訴えられるケースは55%を占めるのに、裁判を担当する中南米出身の判事は9%しかいないという。だから訴えられると不利なようなのだ。

http://www.nytimes.com/2011/06/26/world/americas/26mine.html?pagewanted=all


■脱グローバリゼーションの活動をしているアメリカのロリ・ワラック(LoriWallach)弁護士のブログにもエルサルバドルのケースが取り上げられている。

「CAFTAが環境政策を攻撃する~オバマ大統領がブッシュ時代のNAFTA型自由貿易協定を見直すためにはまだ何か必要だったの?」(昨年8月4日にUPされたもの)

http://www.huffingtonpost.com/lori-wallach/tribunal-oks-mining-corps_b_670740.html

■パブリック・シチズン(Public Citizen)
ロリ・ワラック氏が参加している市民団体パブリック・シチズンのサイトにエルサルバドル政府がカナダの鉱山会社から訴えられたケースが出ている。

 そしてここでは韓米FTAを締結したら米政府が韓国企業に訴えられる可能性があると警告を鳴らしている。米政府も訴えられる可能性があるとしているのだ。(ただし、これは昨年8月時点にUPされたもの)
http://www.citizen.org/pressroom/pressroomredirect.cfm?ID=3175

■世界銀行の法廷(ICSID)
  自由貿易協定によって国が企業に訴えられた場合、国際法廷で裁判が行われ、国々が被告席に座らされることになる。
http://icsid.worldbank.org/ICSID/FrontServlet