「- 1 - ウクライナ週報14-26 【7月19日~7月25日】 〔ウクライナの報道をもとに作成〕
平成26年7月30日
在ウクライナ日本国大使館
1.内外政
▼大統領・政府・最高会議の動き
・19~21日、ポロシェンコ大統領は、マレーシア航空機墜落事件により国民に被害者が出た国の首脳を中心に電話会
談を実施し、ウクライナ側の捜査努力を説明しつつ、航空機を撃墜し、墜落現場で金品を漁る武装集団をテロ組織認定
すべきである等発言。
・21日、ポロシェンコ大統領は、マレーシア航空機墜落現場の直径40キロ圏において、戦闘を停止する旨発言。
・22日、最高会議は、ロシアの行為をアルカイダ等に比類するものとし、またドネツク及びルハンスク両「人民共和国」をテロ組織と認定するよう国際社会に呼びかける内容の決
議を採択。
・24日、ポロシェンコ大統領は、欧州人民党議員団と会談し、連日ロシア領土からウクライナ領土への砲撃が確認されているが、ロシアに侵攻の根拠を与えたくないため、ウクライナは反撃していない旨発言。
・24日、ウダール党及びスヴォボーダ党等が与党連合から離脱。これを受け、ヤツェニューク首相が、政府のイニシティブが妨害されており、新たに共産党員や地域党員と与党連合を組む気はなく、取り得る唯一の選択肢として内閣を
総辞職させる旨発表。
・24日、トゥルチーノフ最高会議議長は、共産党会派が規定上の最低人数を下回っているとし、同会派の解散を宣言
・24日、ウクライナ及びオランダは、ウクライナからオランダへの国際捜査実施権限譲渡に関するメモランダムに調印。
・25日、ウクライナ及びオーストラリアは、マレーシア航空機災害現場への人員派遣に関する協定に調印。
・25日、ポロシェンコ大統領は、ヤツェニューク首相、トゥルチーノフ最高会議議長及び各会派長と会議を開き、与党連合不在時の連携を確認し、31日に最高会議臨時会議を開き重要法案を審議することで合意。ポロシェンコ大統領は、
与党連合崩壊は内閣総辞職の法的根拠にはならないとし、31日に内閣信任を問うが、今後もヤツェニューク内閣との協
力を期待する旨発言。
▼東部・南部の情勢
・引き続き、治安部隊及び武装集団の間で戦闘が継続し、治安部隊は、反テロ作戦地域内の各都市を徐々に解放。一
方、ドネツク市及びルハンスク市を中心に、民間人の被害者も増加。また、治安部隊は、ロシア領土からウクライナ領土
へ向けた砲撃を継続して報告。
・20日、国家安全保障・国防会議は、396人がテロリストの捕虜となっている旨発表。
・21日、ルビージュネ市及びゼルジンスク市が解放。
・22日、シェヴェロドネツク市及びポパースナ市が解放。
▼マレーシア航空機墜落
・20、21両日、マレーシア航空機墜落の捜査を目的とした国家捜査委員会は、活動報告をし、遺体を積んだ特殊冷凍
車両の電車が武装集団の妨害により出発できなかったが、21日ハルキウへ向けて出発できた旨発表。
・22日、「ドネツク人民共和国」武装集団は、マレーシア代表に墜落した航空機のブラックボックスを手交。
・23日、墜落被害者の遺体を乗せた1機目の飛行機がオランダへ向けて出発。
・23日、ホダコウスキー武装集団幹部(元ウクライナ国家保安庁特殊部隊「アルファ」所属)は、武装集団がマレーシア航空機を撃墜した地対空ミサイル「ブーク」と同様のものを所有していた旨発言するも、のちに発言を撤回。
▼その他
・21日、国連安保理は、満場一致でマレーシア航空機墜落
現場の戦闘を止めることを要求する決議を採択。
・23日、クチマ元大統領は、ウクライナ・OSCE・ロシアの三
者コンタクト・グループがほぼ毎日武装集団と連絡を取って
いるが、彼らはオウムのように同じ発言を繰り返し、提案は
彼ら自身ではなく、ロシアがしているように思える旨発言。同
元大統領はまた、内容は、全土でのロシア語国家語化及び
連邦制のようなウクライナ側が受け入れられない地方権限
強化である旨発言。
・25日、国家テレビ・ラジオ問題会議は、ロシアのテレビ4局
に放送禁止措置をとる旨発表。
・25日、EUは、プーチン露大統領の側近にあたる人物を
対象とする制裁を発表。
2.経済
▼マクロ経済
・25日、マクシュータ経済発展・貿易省第一次官は、ウクライ
ナのGDP成長率が2014年1~6月期でマイナス3%であ
った、経済の景気後退は鉄鋼及び化学肥料の下落した価
格環境、パイプ、鉄道車両、いくつかの食物などのウクライ
ナ生産物に対する露による非関税障壁の要因により影響を
受けている旨発言。
▼財政・金融
・21日、シュラパーク財務相は、主に国家プログラム及び政
府への予算配分を削減することにより、国家予算支出を100
億フリヴニャ削減する計画である、この削減された費用は政
府や地方行政のガバナンスに影響を与えるだろう旨発言。
・21日、シュラパーク財務相は、当初、我々は米ドルに対す
る国内通貨フリヴニャの為替相場が本年末までに10.5とな- 2 - ウクライナ週報14-26
る旨予測したが、現在、12となることを予測している旨発
言。
▼IMFとの協力
・25日、ミュレイIMF副報道官は、8月末にウクライナからの
融資プログラムに関する要請に対応することが期待される、
これに伴い、次回の援助のためのディスバースメントとして
期待される14億米ドルを修正することになるであろう旨発言。
一方、同副報道官はウクライナの現在進行中の紛争のため
に更に援助額を増加させるか、あるいはウクライナのプログ
ラムを再構築する必要があるかについての言及を避けるとと
もに、この紛争は広い範囲の経済に影響を与えるだろう旨
発言。
▼世銀との協力
・25日、ウクライナ政府は、世銀との間で、ウクライナ国民の
ための社会支援システムの現代化プロジェクトに3億米ドル
の融資のための合意書に署名した、この融資は最も脆弱な
層の国民や少なくとも保護された国民を支援するための社
会支援プログラムの拡張のために使われる旨発表。
3.防衛
▼ウクライナ空軍所属Su-25撃墜
・23日、反テロ作戦広報官は、ドネツクにおいてウクライナ
空軍所属Su-25×2機がテロリストの対空ミサイルにより撃
墜された旨発言。
・23日、国家安全保障国防会議は、ドネツクにおいて4機編
隊で飛行していたウクライナ空軍所属Su-25×2機が露領
からの対空ミサイルにより攻撃を受け墜落した旨発表。
・23日、ヤツェニューク首相は、撃墜された2機のうち1機は
空対空ミサイルによる可能性がある旨発言。
・24日、国家安全保障・国防会議報道官は、2名のパイロット
はテロリストに捕まっていない旨発言。
▼その他
・20日、反テロ作戦広報官は、19日に「グラート」による露領
からの攻撃が国家警備隊拠点にあった旨発言。
・22日、最高会議は、兵士の定年を60歳、高級幹部の定年
を65歳まで引き上げる法案及び3度目の部分的動員に関
する法案を採択。
・22日、国防省は、内閣が武器及び装備品等の購入のため
5億9,890万フリヴニャの予算を決定、国防省に2億フリヴ
ニャ、その他を内務省及び国境警備庁に割り当てた旨発
表。
・23日、NATOは、マレーシア航空機が撃墜された以降も
露はテロリストに武器を供与し続けている旨発表。
・23日、国家保安庁は、反テロ作戦本部内に露へ情報を提
供していたスパイを発見した旨発表。
・23日、ヘラシチェンコ内相顧問は、露のテロリストへの武
器供与にショイグ露国防相が関与している明白な証拠があ
る旨発言。
・25日、国家安全保障・国防会議報道官は、24日に露領か
ら2回攻撃があり明らかな挑発行為である、内閣総辞職は反
テロ作戦に影響を与えない、反テロ作戦開始からの軍の被
害は死者325名、負傷者1,232名である旨発言。
(了)」
http://www.ua.emb-japan.go.jp/jpn/bulletin/weekly/2014/U26-140730.pdf