環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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あれから40年、2010年は混乱か?―その2

2009-04-10 20:13:16 | 政治/行政/地方分権
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このブログの読者の皆さんにはもうお馴染みだと思いますが、再び次の図を掲げます。


(注)この図は「平成13年版環境白書」の11ページに掲載されていたもので、 図の原題は「問題群としての地球環境問題」となっています。

この図は私の環境問題に対する基本認識を十分裏付けてくれるものです。

★この図で、経済成長(GDPの成長)を支える「経済活動の拡大」とは「企業活動」+「消費活動」です。ですから、マスメディアが伝える「エコ」がきわめて矮小化された活動であることがわかります。
★この図から私たちが直面している環境問題は多岐にわたって同時進行おり、決して「地球温暖化」だけではないことがわかります。ですから、「持続可能な社会」という国際的な概念に取って代わったように、2006年頃から日本で多用されるようになった「低炭素社会」という概念のもとでの日本の環境対策はあたかも「いびつな環境認識」のあらわれだと思います。 
★この図でいう「経済活動の拡大」とは、具体的には「資源とエネルギーの利用の拡大」を意味します。
★注意しなければならないのは、上のような明確な図を環境白書に掲載しておきながら、実際の国や地方の行政の行動はこの図に示された理解とは別の方向を向いていることです。


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★人類史上初めて直面する二つの大問題

2050年までに、私たちは否応なしに人類史上初めて直面する二つの大問題を経験することになるでしょう。どちらも、私たちの社会をこれからも持続させることができるかどうか、次の世代に引き渡すことができるかどうかに、深くかかわっています。

その一つは、日本でも関心の高い「少子・高齢化問題」です。少子化も高齢化も、人類にとって初めての経験ではありません。しかし、少子化と高齢化が手を携えてやってきたことは、これまでにはありませんでした。これは「人間社会の安心」を保障する年金、医療保険、介護保険、雇用保険などで構成される「社会保障制度の持続性」にかかわる問題です。つまり、人間社会の安心と安全が保障されるかどうか、という意味において「社会の持続性」にかかわる大問題なのです。
 
もう一つはいうまでもなく、「環境問題」です。冒頭の図が示すように、これは「人類を含めた生態系全体の安全」を保障する「環境の持続性」にかかわる大問題です。しかも、環境問題の根本には人間の経済活動が原因として横たわっているわけですから、この問題を解決するための具体的な行動は、経済的に見れば「経済規模の拡大から適正化」への大転換であり、社会的に見れば20世紀の「持続不可能な社会(大量生産・大量消費・大量廃棄の社会)」から21世紀の「持続可能な社会(資源・エネルギーの量をできるだけ抑えた社会)」への大転換を意味します。

このような問題意識にもとづいて、最近の国際社会の動きを注意深く検証してみましょう。


★G8は依然、成長志向のまま

21世紀前半の社会は、歴史的には過去および現在の延長線上にありますが、現在をそのまま延長・拡大下方向にはあり得ないことを資源・エネルギー・環境問題が示唆しています。

先進工業国がさらなる経済規模の拡大を追求し、途上国がそれに追従するという20世紀型の経済活動の延長では経済規模は全体としてさらに拡大し 、地球規模で環境が悪化するにとどまらず、これからの50年間に人類の生存基盤さえ危うくすることになるでしょう。この二つの大問題は、私たちがいままさに、「人類史上初めての大転換期」に立たされていることを示しています。

●経済活動と環境問題

1997年6月に米国のデンバーで開催された第23回主要国首脳会議(サミット)の焦点は、世界のGDPの約65%を占めるサミット参加8カ国(G8)が、どれだけ地球全体を考えたシナリオを示すことができるかにありました。ところがサミットは依然として成長志向のまま、21世紀像をはっきり示すことができずに終わってしまいました。この状況は、その後のサミット(バーミンガム、ケルン、九州・沖縄、ジェノバ、カナナスキス、エビアン、シーアイランド、グレンイーグルズ、サンクトペテルブルグ、ハイリゲンダム、そして昨年の北海道洞爺湖後もほとんど変わっていません。
 
●過去26回のサミットの歩み

●1997年の第23回サミットデンバーサミット 依然、成長志向のまま

国連をはじめとするさまざまな国際機関も20世紀の価値観で維持されているものが多く、21世紀の社会を展望し始めたばかりです。このことは、20世紀の政治・経済をリードしてきたG8の国々がいまだ20世紀の発想から抜けきれないでいるのですから、むしろ当然のことです。


★それでは、G20は・・・・・

こうした中で、昨年秋の金融危機に端を発した世界同時経済不況に対応するためにG20の第2回緊急首脳会議(金融サミット)が去る4月1日、ロンドンで開催されました。この会議で採択された首脳宣言では、2010年末までに5兆ドル(約500兆円)の財政出動で、世界経済の成長率を4%分拡大する意思を表明しました。

冒頭の図は、これまでの経済成長が今私たちの直面している環境問題の主因であることを示唆しています。ですから、私の環境論からも4月2日に採択された「G20の首脳会議のグローバルな政治的決定」が2010年にどのように経済的な、そして、環境的な影響をもたらすのか懸念のあるところです。 

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