酔眼独語 

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毒物カレー最高裁判決

2009-04-22 05:49:00 | Weblog
 最高裁も毒カレー事件の林真須美被告は「死刑」がふさわしいと認めた。まあ、大方の予想通りだろう。メディアも判決内容そのものには異を唱えていない。


 《和歌山市で98年に起きた毒物カレー事件で、殺人罪などに問われた林真須美被告(47)に対し、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は21日、上告を棄却する判決を言い渡した。死刑とした1、2審判決が確定する。小法廷は目撃証言などの状況証拠を挙げ「被告が犯人であることは合理的な疑いを差し挟む余地のない程度に証明されている」と異例の言及をしたうえで「無差別大量殺傷の卑劣さ、残忍さは論をまたない。社会に与えた衝撃は甚大で刑事責任は極めて重大」と述べた。

 2審の事実認定を変えず死刑判決を維持する場合、最高裁は通常、量刑理由だけを述べる。社会を震撼(しんかん)させた一方で直接証拠の無い事件の特質を考慮して、事実認定の理由にも踏み込んだとみられる》=毎日jp=

 各紙は社説などで、一ヵ月後に始まる裁判員制度と絡めて否認事件を裁く難しさを述べている。

 いわく、「被告が否認し、直接証拠もない事件では、法廷で証拠を徹底的に吟味する必要があり、長期化は避けられない。(中略)私生活を後回しにして参加する裁判員は、そんな長期の審理に耐えられるだろうか」=朝日社説=。

 
 確かにそこも論点の一つだが、核心ではないだろう。今回の判決のポイントは「動機が解明されていないことは、犯人認定を左右しない」と断じた点ではないか。真実の発見より、被告の処断が優先するというのだ。

 裁判員制度スタートに向けた最高裁の宣言と見るべきだろう。5人一致の判断というのは、その傍証である。「否認しているやつの動機なんか分かるわけがない。そんなことに時間を掛ける必要はない」ということだ。朝日の1面解説も、裁判員制度下ではこうした流れになると予測している。

 白黒つけさえすればいいのか。実体的真実の発見に重きを置くか。これはそう簡単に判断できる話ではない。でも、裁判員制度では、間違いなく「白黒」ありきになるだろう。しかも、かなりの予断と偏見に基づいた…。
コメント
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