脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

勢力図が如実に反映された第44回全社

2008年10月20日 | 脚で語る地域リーグ
 
 素晴らしいピッチコンディションだったスポアイランド聖籠 

 つい先日、遠く新潟にて奈良クラブが緒戦での完敗を味わったかと思えば、もう全国社会人選手権(以下全社)も3日目を迎え、ベスト4が出揃っている。ベスト4に顔を揃えたのは下記のチーム。

・松本山雅FC(北信越/長野)
・NECトーキン(東北/宮城)
・AC長野パルセイロ(北信越/長野)
・ホンダロック(九州/宮崎)

 最多の勝ち抜きで5日間連続の戦いを強いられる“死闘”も残り2日。息つく間もなく連日の試合結果に奈良からチェックを入れる日々だが、やはり今大会は、地域リーグの勢力図を如実に反映する結果になっている。レベルの高い地域リーグがどこかと聞かれれば、このベスト4の顔ぶれを見れば一目瞭然だ。

 まず、今季の北信越1部リーグで4位に甘んじてしまったことから、全社枠での地域決勝出場を確実にゲットしたい松本山雅は、今日のJAPANサッカーカレッジ戦の大逆転劇がその執念を物語る。奈良クラブを3-0で下したその後の2戦は苦戦しながらも、全社枠まであと1勝と迫った(今季は決勝進出2チームが自動的に全社枠での地域決勝出場権を得、地域決勝出場決定チームが優勝すれば3位にその権利が与えられる)。
 そして、今季東北1部リーグをグルージャ盛岡に次いで2位で終えたNECトーキンもその実力を余すところなく今大会で発揮。東北リーグでは今季わずか1敗、優勝したグルージャ盛岡にわずか勝ち点差1という東北屈指の強さは、今日のV・ファーレン長崎との試合に勝ったことで全国的に知れ渡ることとなった。
 今季、北信越を制したAC長野パルセイロも燃えている。全社枠に頼ることなく、また組み合わせにも恵まれたことから、緒戦の矢崎バレンテ戦をPK戦の末に勝利すると、そこからは本領発揮。易々とベスト4へ名を連ねた。明日の試合結果によっては、もしかして北信越のライバル同士の“長野ダービー決勝”が実現するかもしれない。こうなればファイナルの地、ビッグスワンは盛り上がるだろう。
 九州リーグの雄、ホンダロックも毎年kyuリーグでは優勝争いを最後まで演出するチームだけあって、その実力を十分に発揮している。特に1回戦でバンディオンセ加古川を5-1で粉砕したのは衝撃的で、前述した地域リーグ間のレベルの格差をひしひしと感じさせてくれた。準決勝の相手はAC長野パルセイロ。レベルの高い戦いになりそうだ。

 2回戦までで関西勢が全滅し、何か空虚な感さえ抱いてしまうのは否めない。それもそのはずだ。昨季、この大会を制したFC Mi-O びわこKusatsu(現MIOびわこ草津)が、矢崎バレンテとの決勝戦を制し、全社枠で地域決勝に出場。関西リーグを3年連続で優勝していたバンディオンセ神戸(現加古川)を見事に差し置いて先にJFL昇格を決めてしまった。あの快進撃は印象に強く残っているが、バンディオンセ加古川でさえ緒戦で大敗を喫してしまった今大会は、何か他地域との壁を感じてしまわざるを得ない。FC京都BAMB1993が1回戦で日立栃木UVAを、そしてASラランジャ京都が同じく1回戦でFC町田ゼルビアを下したことには大いに驚きと期待を抱かせてくれたが、やはり北信越勢の勢いには勝れなかったのだ。もちろん、メンバー構成の妙、今大会へのモチベーションなど多くの要素がこの結果を招いているはずなのだが、本音を言えばもう少し関西勢には頑張ってもらいたかった。

 その意味では、滋賀FCの敗退にも驚きを隠せなかった。1回戦でクラブドラゴンズ(関東/茨城)と対戦。0-1と完封され敗退している。今季数試合滋賀FCの試合を観て、関西リーグを牽引する勢いを感じていたために、“関東1部4位のチーム”と“関西2部1位”という単純な成績の比較をひっくり返す可能性を滋賀FCには感じていた。しかし、あれだけ関西リーグの初年度から得点を量産していた彼らが完封で敗れるとは、全国の壁はやはり高いのだということを実感するには十分な材料となった。

 これを機に来季から関西リーグがさらに盛り上がって欲しいと思っている。奈良クラブが未だ体験したことのないレベルでの試合に大きな刺激を受けているように、全社出場の関西代表全チームが刺激を受け、切磋琢磨していくことを心から願っている。北信越、九州に続いて、来年は関西が全社を席巻できるようになればまた面白いのだが。

しがみつけたか優勝前線

2008年10月19日 | 脚で語るガンバ大阪
 結局、今季は磐田とのマッチアップをこの目で見ることができなかった。2節も昨日も現場で観戦できず。ただ、3月には0-3と不甲斐ない負け方をした磐田とは立場がすっかり変わってしまったこの時期、“スーパーサブ”とも呼ばれ出した山崎の値千金の決勝弾で見事に勝利を手繰り寄せてくれた。

 浦和が神戸に敗れ、川崎も清水に負けていたため、是が非でも勝っておきたかった試合をモノにできたのは大きい。数字上では何とか優勝前線にしがみつけたかという感じだ。今週はウィークデイを大事なACL準決勝2ndlegで挟むことを考えれば、勢いは衰えず臨めるのはポジティブな要素だ。

 毎年こうなんだけれども、今季はもう11月のホームFC東京戦と天皇杯ぐらいしか足を運べない。今季は苦しいシーズンだったが、いつも秋から失速していたことを考えれば、ここからが本当の勝負になる。ACLもリーグも諦めず狙ってもらうことがG大阪の未来にも繋がる。少しでも多くタイトルを獲得することが真のリーグリーダーとして君臨するためにも求められて当然だ。

 とにかく、今は水曜日の大一番が楽しみでしょうがない。

死力を尽くして得た大きな経験 ~全社 VS松本山雅FC~

2008年10月18日 | 脚で語る奈良クラブ
第44回全国社会人サッカー選手権大会
1回戦
11:00キックオフ @スポアイランド聖籠

●奈良クラブ 0-3 松本山雅FC○

<奈良クラブメンバー>
GK31松石
DF11松野智、4秋本(17分=19土井)、5杉田、20上林
MF3上西、21中村、18和阪、13金城
FW7石田、10松野正

 爽やかな秋晴れに包まれた新潟。県内各地の会場で開幕を迎えた今季の全国社会人サッカー選手権大会。関西代表として奈良県リーグから初めてこの大会の出場権を得た奈良クラブ。1回戦の相手は北信越リーグの雄、松本山雅FC。先日天皇杯でJ2の湘南を下したこともあり、会場のスポアイランド聖籠には、多くの報道陣も詰めかけた。今季北信越リーグ4位に甘んじた彼らにとっては、この大会で地域リーグ決勝大会の切符を掴みたいところ。その意気込みは松本から駆けつけた多くのサポーターの姿からも窺うことができた。

 
 主将としてチームを牽引した奈良クラブMF上西

 決勝まで勝ち進んだとして、5日間連続で戦うハードな日程を強いられるこの大会。2回戦以降を考えてか、やはり松本山雅はターンオーバーに近い布陣で臨む。対して奈良クラブは、東が大会に参加できず欠場。右SBに松野智、CBを秋本、杉田という今季お馴染みのコンビで形成、左には上林。中盤にはポゼッションと守備力を併せるべく、中村を和阪に並べてボランチに配置。両翼には上西、金城の2人と2トップは石田、松野正が務めた。

 
 松本山雅を突破すべくゲームを作ろうとした司令塔和阪

 前半から圧倒的な松本山雅のペース。展開のバリエーション、動き出し、身体能力、全てにおいて格が違う。序盤からシュートを浴び続けるも、奈良クラブはGK松石を中心に粘り強く守り続けた。17分にDF秋本が負傷退場し、代わって土井がトップの位置に投入される。石田が中盤に下がり、前半途中にして布陣変更を余儀なくされた。その直後の18分に松本山雅FW吉田賢に、右サイドよりシュートを叩き込まれ先制点を奪われる。反撃の狼煙を上げるべく、上西、中村が果敢にミドルシュートを狙うも、枠を捕らえられず。奈良クラブはマイボールからパスを繋げれず、なかなか松本山雅を崩せない。その後は集中した守備と相手のミスにも助けられ、0-1で前半を何とか折り返した。

 

 
 経験豊富な中村を中盤で起用した奈良クラブだったが・・・

 25℃の気温、ジリジリとした暑さのピークを迎えた後半。42分、45分と立て続けにゴール前の混戦からFW吉田賢に決められ、ハットトリックを許して0-3とリードを広げられる。松本山雅はGKも含めた控え選手を徐々に投入し、選手の調整を兼ねながらも攻撃の手を緩めない。少し相手に疲れが見えてきた終盤、せめて何とか1点を返したい奈良クラブだったが、結局0-3で試合は終了。死力を尽くしたが、Jリーグを視野に群雄割拠の北信越を戦う“雷鳥”には敵わなかった。

 
 松本山雅は強かった

 
 松本山雅のFW吉田賢にハットトリックを許してしまった

 
 途中出場で奮闘したFW土井 苦しい戦いで経験値を積んだか

 全くの完敗。しかし、前半の立ち上がりに見せた劣勢ぶりを思えば、もっと失点を喫してもおかしくなかった。そう考えると、守備面では奮闘したと言えるし、奈良県内レベルでの試合ペースに慣れきったチームにとっては、これ以上ない刺激になったはず。負けた悔しさは残ったが、いつか必ずリベンジを果たしたい、いや、果たして見せると強く心に思えた試合でもあった。

 
 3失点は喫したものの、上林と杉田は終始守備に奔走

 
 松本山雅の猛攻をGK松石を中心に守る

 
 屈強な守備陣の前になかなかチャンスを得られなかった奈良クラブ

 最大の目標である“関西リーグ昇格”。そのために戦う府県リーグ決勝大会は12月より始まる。是非この試合の経験を糧にして、一つも二つも逞しくなった戦いぶりを見せてほしい。カテゴリーを超えた全国レベルを経験できたことは今季の大きな収穫。そのレベルに追いつくためにも、戦いはまだ始まったばかりだ。

 松本山雅FC及びサポーターの皆さん、必ずこの全社枠で地域決勝へ、そしてJの頂に一歩でも近づくことをお祈りしています!

“W杯に出場すること”だけが目的では寂しい

2008年10月16日 | 脚で語る日本代表
 大事なホーム緒戦で出鼻を挫かれた日本代表。ウズベキスタン戦における不覚の引き分けで、今後のアジア最終予選の戦いが少し厳しくなった。岡田監督は次戦の行方次第ではその進退を問われる様子だが、ウズベキスタン戦の引き分けに関しては、内容的に悲観しておらず、「長い予選ではこういうこともある」とポジティブにコメントしている。

 ウズベキスタン戦を観ていると、今の日本代表の“ベストメンバー”とはどういう布陣なのだろうか、と頭を過ぎった。いや、今回の試合だけでない。それはオシム前監督から岡田監督に指揮権が交代してから、その違和感は誰でも感じたことはあるはずだ。その点に関して、OCNスポーツのコラムで神谷正明氏がなるほどと頷かせてくれる見解を書いている。ジーコと似て、セレクター型の監督、つまり海外組に頼ったベストメンバー指向である点や仕掛けの強化を練習メニューに落とす点など、的確な指摘が為されている。

 “実力重視”という招集方法は、確かにジーコの時代から何も変わっていない。そこは監督の哲学を貫くべきだし、別に間違っているとも言うことはできない。しかし、最も大事な本番での結果が出ないからこういった議論になってしまう。“コンセプト在りきのメンバー選出”なのか、“メンバー在りきのコンセプト”なのかと問われれば、明らかに後者に値する訳で、すっかり我々の日本代表を見つめる眼差しは、オシム氏の存在によって基準点が変わってしまった。

 それだけオシム氏の存在の大きさ、監督としての希少性は日本において光っている。彼が日本サッカーにもたらした新たなチーム生成の着眼点はセンセーショナルだった。岡田監督率いる日本代表が結果を残せない限り、オシム氏の神話は語られ続け、比較論は後を絶たないのだろう。11年前のタシケントでの引き分け試合が鮮明に思い出された昨夜のウズベキスタン戦。岡田監督は今後の勝算をどう考えているのだろうか。神谷氏も語るように、“未来に繋がる発展性はないが結果を出すという点において間違った方法ではない”。

 未来を捨ててまで、現状のセオリーを貫くならば、必ず結果を出さなければならない。ただ、本当は“W杯に出場すること”が目的では寂しい限りなのだが。

 

奈良県フットボールセンター建設へ

2008年10月15日 | 脚で語る奈良のサッカー
 “奈良県は14日、田原本町法貴寺の県立志貴高校跡地で、日本サッカー協会公認の人工芝のサッカー専用グラウンド「県フットボールセンター」(仮称)を整備すると発表した。来年10月着工、2010年3月完成を目指す。小中高校生の大会など幅広い利用を想定している。
 総事業費1億9,000万円・事業主体は奈良県サッカー協会。県は定期借地権で土地を有償貸与し、総事業費の2分の1以内を補助する。日本サッカー協会から上限7,500万円の助成が受けられる。
 昨年閉校した志貴高校庭の一部約1万5,000平方メートルが整備対象。グラウンドは7,140平方メートル。他に鉄筋コンクリート2階建てのクラブハウスや夜間照明などを備える計画。管理、運営、修理は県サッカー協会が担う。”
【10月15日 毎日新聞地方版紙面より】

 その話の行方が注目されており、半ば凍結状態かとも思われていた奈良県フットボールセンターの事業計画がようやく公に発表された。この話題がもたらす奈良県サッカー界への影響力は大きい。何せ県内ではなかなかお目にかかれない芝生(人工芝)のグラウンドが新たに一から作られるのだ。そのグラウンドは7,140平方メートル。つまりは105m×68mと国際基準のピッチで、記事にも書かれているように小中高生年代だけでなく、社会人サッカーの発展にも大きな財産になるはずだ。

 ただ、この計画は、落ち着くまでに紆余曲折があった。県内の公立高校の統廃合によって、お役ご免となった廃校を自治体との連携で巧く利用するこの計画は、平成20年度の「都道府県フットボールセンター整備助成事業」(日本サッカー協会キャプテンヘッドクォーターズ:通称CHQによる)にて一定の評価を得、日本サッカー協会からの助成金交付の内示を得ていた。つまり、この段階で話がまとまっていたはずなのだが、助成金を受ける前に取り下げられてしまった。当初の建設予定地であった高田東高跡地が大型バスの入構が難易で、周辺の区画整理を必要とする場所だったことに加え、この問題点が奈良県とも協議の上で、予算措置及び工事期間の問題が解決できなかったのだ(これらの経緯はJFAリポートで経緯をある程度知ることができる)。これは全国でも例のない非常に珍しいことだった。政治的な意味合いで当初の建設予定地が決まった感は否めなかったが、計画の進め方にも問題はあったはずだ。その後は、半ば凍結状態だと思われていたが、きちんと計画は年度を改めて進んでいたのだ。

 今回決定した場所に関しては、志貴高跡地ということだが、当初の区画整理を求められた高田東高跡地よりアクセス面は幾分かマシである。電車でも近鉄橿原線石見駅から徒歩15~20分ほど。車であれば、県内を南北に縦断する国道24号線の唐古南の交差点を東に入ってしばらくだ。田原本町と天理市の境付近で、周辺はのどかな田園地帯が広がる。ちょうど奈良盆地の中心点ほどの場所で、南和エリアからも北和エリアからも距離はそう遠くない。

 どちらかと言えば、個人的には小中高校生の育成にしっかり使って頂きたいと思う。ここが社会人サッカーの新たな試合会場として使われることに期待する声もあるかもしれない。しかし、公共交通機関で来場できる人工芝フルピッチの貴重さは県内でサッカーをしていた方なら分かるはずだ。会場までほとんど車を使って選手が集まる社会人サッカーと違って、県内の小中高校生がいかに芝生のピッチでのプレー機会が限られているかと考えると、他のグラウンドと違って少しでも恵まれたそのアクセス面は貴重なはずだ。

 何はともあれ、ようやくこの計画がスタートを切って良かった。高望みすればキリがないが、奈良県サッカーの現状を考えると大きな一歩を踏み出したと言える。これを機に芝生でサッカーのできる喜びを感じ、自らの将来とサッカーを結びつけられる子供たちが増えていくことを切に願うばかりだ。

ここが試練、A・マドリー

2008年10月14日 | 脚で語る欧州・海外
 14日、UEFAチャンピオンズリーグのグループステージ第2節A・マドリーVSマルセイユ(10月1日分)において、暴力行為と人種差別行為があったとして、A・マドリーに対して15万ユーロ(約2,100万円)の罰金と残りホームゲームの遠隔地開催が罰則として科せられることが決まった。

 好調さをアピールするチームにとって非常に残念な話題だ。12シーズンぶりのチャンピオンズリーグの舞台に戻ってきたA・マドリー。緒戦のPSV戦をエースであるアグエロの2ゴールとマニシェのゴールで粉砕。続くマルセイユ戦は長年待ちに待った欧州最高峰の舞台にホーム、ビセンテ・カルデロンが熱狂に湧いた。試合はアグエロの開始早々の先制点にラウル・ガルシアがFKを直接決める展開で、前半から流れを決めた。

 その2節の試合の中で、サポーターによる暴力行為と人種差別行為があったようだ。対戦相手のマルセイユには、アフリカを中心に多数の黒人選手が在籍し、この試合唯一のゴールもセネガルのニアングによるもの。確かに2節の試合の中でも12シーズンぶりにアンセムに沸き返るビセンテ・カルデロンは印象的だった。沸き返る熱狂が応援を盲目的にしてしまった。今季6節終了時点でスタートダッシュにぐずついたリーガでの戦績(現在3勝3敗)を考えると、連勝で華々しいカムバックを遂げた欧州の舞台はサポーターにとって、大きな希望になっているはずなのだが。

 サポーターの熱狂が生み出してしまった大きな過ち。チームは今後、ホームタウンのマドリードから最低300キロは離れた遠隔地での試合を余儀なくされる。次節の相手は同じくグループDにおいて、連勝スタートと波に乗るリバプール。最も強敵と対峙する試合で、このハンディキャップを背負うことは確実にチームの命運を左右してきそうだ。真価を問われる大一番を前に、12シーズンぶりに欧州最高峰の舞台に帰ってきた古豪が窮地に立たされた。

 まだ、グループステージは残り4試合。順風満帆なエース、アグエロを中心にセンセーショナルな連勝を見せた彼らのスタートダッシュはサポーターの不祥事によって、一旦チャラになったと言って良いだろう。決して油断のできない戦いが続く中で、この試練を乗り越えればA・マドリーにもまだ光は見えそうだ。

上達する唯一の方法は強敵との勝負

2008年10月13日 | 脚で語る奈良クラブ
 先日プレビューを書いておきながら、天皇杯3回戦でJ2湘南を1-1からPK戦の末に破った松本山雅FCにただただ絶句・・・

 その松本山雅FCと18日(土)に対戦するのだが、本当に“数字”だけで見る安易な分析はアテにならない。松本山雅FCの勢いは本物だ。

 本当にサッカーは何が起こるか分からない。

“勝負はもう始まっているようです”
ninoco BLOGより】

 奇才ガイ・リッチーが自作で引用した格言が頭をよぎった。

“The only way to get smarter is by playing a smarter opponent.”
上達する唯一の方法は強敵との勝負
【チェスの基礎 1883年】

 つまりはそういうことだ。

 強くなるチャンスだ。


10月18日(土)
全国社会人サッカー選手権大会
1回戦
11:00キックオフ 
@新潟県北蒲原郡スポアイランド聖籠

奈良クラブ VS 松本山雅FC


第88回天皇杯3回戦 ~セレッソ大阪 VS ソニー仙台~

2008年10月12日 | 脚で語る天皇杯
第88回天皇杯全日本サッカー選手権大会3回戦
13:00キックオフ @長居スタジアム

○セレッソ大阪 1-0 ソニー仙台●

得点
65分ジウトン

 

<セレッソ大阪メンバー>
GK21山本
DF5前田、2羽田、23山下
MF34平島、4藤本、10ジェルマーノ、18ジウトン、31乾
FW24白谷(68分=6濱田)、33カイオ

 

<ソニー仙台メンバー>
GK1金子
DF2橋本、25谷池、5亀ヶ渕、26天羽
MF7大瀧、22千葉、4瀬田、19麻生
FW8本多(61分=6桐田)、10高野(69分=9村田)

 

 JFLのソニー仙台をホームスタジアムの長居に迎えて天皇杯の緒戦を迎えたC大阪。どんよりとした上空の雲の如く、格下のソニー仙台を相手にC大阪は前半から攻めあぐねながら、1-0と辛勝。何とか4回戦の大宮アルディージャ戦へ駒を進めた。

 先日、香川が代表戦で初ゴールを決めたのは記憶に新しいが、この日のC大阪はその香川の不在を埋めるべく3バックを敷き、左SBでプレーすることの多いジウトンを2列目のサイドハーフで起用。右サイドには平島、トップ下に乾が入るという布陣で試合に臨んだ。一方のソニー仙台は、現在JFL9位につける今季の戦いぶり。攻守にバランスのとれたチームを牽引するのは、DF谷池、天羽といった数少ないJリーグ経験者たちだ。

 
 前半から右サイドをアップダウンし、攻撃のリズムを与えたDF平島

 香川を欠いても、対峙する相手は格下のJFLチーム。C大阪はいつも通りのサッカーをすれば勝算はあったはずだが、序盤からチャンスはことごとくゴールに嫌われる。特にカイオとコンビを組んだ白谷は8分のチャンスから、24分、34分と再三の決定機をフイにし続けた。保持率では圧倒的に支配するものの、前半から目立ったのはアタッキングエリアでの勝負弱さだった。ソニー仙台に2列目も含めた全員守備を徹底され、千葉、瀬田のボランチコンビが息の合った連携で、C大阪の藤本、ジェルマーノを抑えた。中央で起点になったのは乾のみ。歯ぎしりするような攻撃を打開すべくC大阪は左右の平島、ジウトンをもっと活かしたかった。

 
 前半から決定機をフイにし、急ブレーキになってしまったFW白谷

 
 カイオはもっと高さを活かしたかった

 後半に入ると、60分に大瀧が左サイドのクロスにヘディングシュートを合わせるも、GK山本がかろうじてセーブするなど、ソニー仙台も意地を見せる。そんな中、冷や冷やするC大阪サポーターの待ちに待った先制点は65分に訪れた。
 前半に比べて高い位置でポジションを置けるようになったジェルマーノがエリア手前でシュートを狙うと、相手DFがブロック。このこぼれ球をジウトンが奪い、エリア際の左サイドから低いクロス。これをカイオが巧く合わせたようにも見えたが、そのままゴールラインを割っており、C大阪が先制する。
 立て続けに追加点を奪いたかったところだが、予想以上にシステマティックなソニー仙台の前にその後もC大阪攻撃陣は沈黙。それどころか、終了間際には彼らの猛攻を食らい、途中出場、ソニー仙台FW桐田の強烈なシュートをゴールライン上でC大阪前田がクリアするなどの場面も見られた。

 
 値千金のゴールを奪ったジウトン サイドで存在感を発揮

 
 C大阪のDFラインを統率する前田(前方)と羽田(後方)

 J1昇格に向けて1試合も落とせない厳しい戦いを強いられているこの時期に、こんな肝を冷やす試合をしてしまったことで、サポーターの不安は拡大したかもしれない。ノックアウト方式なので、スコアは関係ないが、やはりC大阪には“ゴール”で格の違いを見せて欲しかった。寂しさ際立つ調整試合にしか見えなかった印象も否めないことを考えれば、モチベーションの方向は天皇杯どころではないという叫びもチラホラ聞こえてきそうだ。それは今日の有料入場者数わずか2,403人という数字が物語っているのかもしれない。

 
 前半から獅子奮迅のドリブル突破を見せたソニー仙台MF麻生

 
 60分のチャンスを決めたかったソニー仙台MF大瀧

 他会場の結果を見ても、JFLを含めたアマチュア勢とJ2の差が決して大きくはないということが分かる。栃木SCはPK戦の末に熊本を下した。関東1部リーグの日立栃木UVAも山形を相手に1-4で敗れるが、延長戦へ持ち込む戦いを見せた。国士舘大が徳島に完封勝利を果たしている。横浜FCも終了間際の逆転劇で沖縄かりゆしFCに辛勝。愛媛も佐川印刷相手に先制される展開ながら、逆転勝ちを収めている。
 
 敗れることはなかったが、足下をすくわれかねない薄氷の勝利で試合を終えたC大阪。“ホームの利”もどこへやら。閑古鳥の鳴くスタンドと危なっかしい終了間際の試合運びに、ほとんどゴールシーンの歓喜は記憶から遠ざかってしまった気がする。


08-09カルチョ序盤戦に思う

2008年10月10日 | 脚で語る欧州・海外
 今季のセリエA。毎年のようにインテル、ミラン、ユベントスを中心としたビッグクラブがスクデット争いの話題を独占する中、6節を終えた序盤戦は首位を走るラツィオをはじめ、ウディネーゼ、パレルモあたりが元気だ。

 欧州タイトルとの“掛け持ち”で、ここ数年元気の無いイタリア勢は、確かにプレミアリーグの隆盛に押されている。インテルは、カルチョを3連覇しながら、ビッグイヤーには全く縁が無い。その欧州王座が良く似合うミランでさえも、昨季はその“掛け持ち”に耐え切れず、今季はまさかのUEFA杯出場とそのステータスを格下げしてしまった。ユベントスもA復帰後初年度はカルチョの成績こそ良かったが、今季のチャンピオンズリーグではまだ未知数。彼らがカルチョと欧州王座のタイトルを“掛け持ち”して苦しんでいる中で、プロビンチャたちがカルチョの主役になるチャンスは大いにあるはずだ。

 今季のカルチョ6節まで終えて、首位を走るのはラツィオ。6試合で6得点とチームを牽引するのは今季から新加入のアルゼンチン人マウロ・サラテだ。彼はメッシのと同期の21歳。今やスーパースターのメッシには大きく水をあけられてしまったが、昨季プレミアリーグのバーミンガムで14試合4得点という成績だったサラテは今季ラツィオに加入してから獅子奮迅の活躍を見せている。昨季共に14得点でチームを引っ張ったロッキ、パンデフの両エースも健在。ロッキは怪我の離脱が長引いているが、パンデフは6試合で4得点と今季もゴールを量産。新戦力のサラテと共に3人のエースがラツィオの大きな原動力になっている。

 「新たなサイクルを開く年」と公言するロッシ監督はチームを率いて4年目。エレベーターのように毎シーズン目まぐるしく変わる順位に歯止めをかけたい。昨季はチャンピオンズリーグとの掛け持ちに失敗して、最終的に12位という成績に泣いたが、今季はピンポイントの的確補強で、これまでの基本的な陣容の熟成が問われるシーズンだ。チェコ代表のロゼフナルを昨季途中から核としたDF陣は、今季新加入はスイス代表としてEURO2008に出場したリヒトシュタイナーのみ。GKにリーベルからカリーソを補強できたのは大きいが、ここまでの戦いぶりを見ると、前線のサラテに勝る補強はない。どこまでこの勢いを維持できるか、今季のラツィオは欧州タイトルとの“掛け持ち”から解放されて、大いにカルチョを盛り上げてもらいたいものだ。

 そのラツィオを同勝点で追走するのがウディネーゼ。クアリアレッラ、ディ・ナターレ、ペペというアタッカー陣が好調で、UEFA杯緒戦でもドルトムントを2-0で下した。特筆すべきはここまでカルチョ6試合でわずか3失点しかしていないDF陣だ。セルビア代表のルコビッチを旗手に、ナポリからドミッツィが加入して安定感が増した。若手のコーダもイタリア五輪代表として北京五輪に挑み、そのモチベーションそのままにレギュラーの位置を確保している。リボルノから加入したパスクアーレもしっかりチームの一員として貢献しており、この活力に溢れたDF陣は今季のウディネーゼのスタートダッシュを支えていると言えるだろう。4バックと3バックを巧みに使い分けるマリーノ監督の手腕が、今季UEFA杯とカルチョを“掛け持ち”するチームの浮沈を握る。

 インテルを挟み、4位につけるのは、先日ユベントスを破ったパレルモ。ユベントス戦の前半24分、先制点を奪ったのはミッコリだった。古巣相手に叩き込んだこの1発は今季早くも5得点目。そのユベントスに引き抜かれたアマウリに代わって、5試合で5得点とエースの存在感を見せつける彼の活躍はパレルモの大きな力になっている。加えて、A昇格後の04-05シーズンから安定して中位を維持するポテンシャルは本物。今季も陣容のほとんどが新戦力で、特にビオラから今季加わったリベラーニの存在感は大きい。リボルノからマルコ・アメリアを最後尾に補強した陣容は、A昇格後のパレルモの総決算を見せるべき充実したメンバーだろう。今季のカルチョで最もサプライズが起こせるチームではないだろうかと個人的には思っている。

 彼らプロビンチャの躍進なくしてカルチョは盛り上がらない。欧州タイトルを“懸け持ち”するビッグクラブを彼らがカルチョで出し抜いてこそ、プレミアの隆盛に押されがちなカルチョの復権は果たされるのだろう。そういう意味では、まだまだ始まったばかりのカルチョ。今季も目が離せない。お金持ちのプレミアには負けていられないのだ。

プレイバック奈良クラブ 2008年2月~4月

2008年10月09日 | 脚で語る奈良クラブ
 昨年12月2日、熊谷で行われた全国地域リーグ決勝大会からの帰路、新幹線の車内で矢部次郎の現役復帰を知った。携帯のメールによって知らされた本人からの報告には「都南クラブで」の文字が。奈良県リーグをそれまで数試合観ていた自分にはチーム名は分かっていたのが、試合はプレーオフの1試合を観ただけだった。その年はプレーオフに破れ、惜しくも府県リーグ決勝大会進出を逃していた。県内では実力と実績はあるものの、勢いから言えば実績ある経験者を多く抱えているポルベニルカシハラが最有力候補かなと思っていただけに、“現役復帰”と共に少し驚いたことを昨日のことのように覚えている。

 しかし、チームが立ち上がって半年経った頃、すっかり“奈良クラブ”として再スタートを切ったチームは、奈良県リーグ勢として初の全社本大会出場、そしてリーグ2位で県リーグ日程を終え、首位JSTとのプレーオフを制し、府県リーグ決勝大会への切符を得た。

 
 1月13日、矢部次郎“現役復帰”後初の練習試合 @奈良育英高

 
 TMが中止になり、練習のため大御門フットサルコートを雪かき

 
 2月17日、都南クラブの一員として矢部次郎、公式戦現役復帰!

 
 都南クラブ最後の試合 全社関西への切符を掴んだJST戦

 
 “奈良クラブ”最初の練習試合は関西大に1-7と大敗・・・

 
 3月23日、関西医療大グラウンドにてアルテリーヴォ和歌山とTM

 
 新加入FW嶋が2得点も2-4で最初の“奈和ダービー”は敗戦

 
 迎えた奈良県リーグ開幕戦は4-2の快勝劇でスタートを切る!

 
 ユニフォームにもクラブエンブレムが入った!!(写真は#5杉田)

 
 秘境、土のグラウンドは当たり前・・・それでも戦った!

 
 県リーグ2節のFC TAKADA 2001戦は7-0で圧勝!

 
 俺たちの聖地YANAGI FIELDが順調に建設されていく

 まだ1年が経っていないのに、多くの月日が流れた気もする。地元のすぐ近くに夢中になって応援できる“おらがクラブ”ができた。そのことがただただ嬉しい2008年の序盤だった。

 少し、写真で振り返ってみたくなった。まだ奈良クラブのストーリーは序章に過ぎない。ここからまた一つレベルアップする時期だ。