脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

山口を目指す戦い<3> -奈良クラブ VS FC大阪-

2010年07月26日 | 脚で語る奈良クラブ
 全社関西大会は1回戦2日目を迎え、長居第2陸上競技場では奈良クラブ(関西1部)とFC大阪(大阪府1部)が対戦。2-1でFC大阪が勝利する波乱の展開で、8月1日に橿原で行われる代表決定戦に進出を決めた。

 

 波乱でもなんでもない。必然の展開だったのだろう。前半から試合のペースはFC大阪にあった。10分に左サイドからMF池松がクロス気味のボールを上げると、GK村松の判断ミスを誘いゴールイン。これが先制点となる。28分にはかつてアイン食品でプレーしていた辻村が追加点を奪ってリードは2点に広がった。
 奈良クラブは、キックオフ直後に畑中が相手を牽制するかのようなシュートを見舞うが、それ以降のシュートチャンスが訪れない。セカンドボールの競り合いでことごとく相手に負け、パスも思うように繋がらない。いざ攻撃態勢に切り替わっても相手の守備ラインで簡単にオフサイドを取られる展開が続いた。

 

 0-2で迎えた後半に奈良クラブはFW嶋とMF石田と投入する。先週のリーグ戦(阪南大クラブ戦)ではここで矢部という選択肢だった。その際には矢部の効果的なパスの配給と得点で2得点を生み出し逆転(試合は結果的に2-2の引き分け)。悪しき習慣となりつつある前半の緩慢な戦いぶりを払拭できた。しかしながら今週の練習時に矢部は負傷。チームに更なるダイナミズムを生み出す選択肢はこの2人に託された。
 後半キックオフ直後にMF畑中が気迫の得点で一糸報い、明らかにチームのムードは上がった。少しずつサイドから相手を崩していく場面が増えてくる。しかし、このFC大阪を相手に2点を追うのは難しかった。75分にDF浜岡が軽率なファウルで2枚目の警告をもらい退場処分に。40分ハーフのこの大会、もう時間はほとんどない。ここでほぼ万事休すという状況だった。

 

 この大会にかける意気込みも含めて、FC大阪は強かった。この試合から両チームにおける2カテゴリーの格差は全く感じられなかった。昨季の府県決勝大会でこのチームが関西リーグ昇格を逃したことがにわかに信じられない。アルテリーヴォ和歌山から玉置兄弟が加入したり、多少チーム構成の変更はあっただろうが、すぐにでも関西リーグで戦っていけそうだ。オフィシャルサイトを見る限り、プロ契約でも選手を募っているようで、その資本力は侮れない。来週の代表決定戦で関学クラブを相手にどんな戦いを見せるのだろう。
 むしろ、奈良クラブがこのまま戦い続けるだけでは、これらのチームにすぐ追いつかれるだろう。関西2部ではアミティエSC京都や関学クラブが1年目から好調な戦いを見せている。上を目指していくには1年1年が勝負だという危機感を改めて実感する機会になった。

 

 

山口を目指す戦い<2> -エストレラ津田VS京都府警-

2010年07月25日 | 脚で語る地域リーグ
 太陽が丘で行われた第2試合は、兵庫県1部リーグ首位を走るエストレラ津田SCと京都府2部リーグで戦う京都府警の対戦。攻守の応酬となった白熱の80分、カテゴリー間の差を感じさせない好試合は2-1でエストレラ津田が逆転勝利した。

 

 14時のキックオフ。気温は上がる一方で灼熱の日差しが容赦なくピッチに照り付ける。それを感じさせない両チームの円陣から聞こえる気合の入った声がこの試合への熱意を感じさせてくれた。
 エストレラ津田(以下=津田)は、姫路市を拠点にするチームで選手の大半が元日本代表FW播戸竜二(C大阪)を輩出した地元・琴丘高校のOBで構成されている。津田SC時代から府県リーグ決勝大会でも常連チーム、全社本大会にも出場経験のある兵庫県下屈指の強豪社会人クラブだ。
 対する京都府警もかなりの名門クラブ。かつて1984年にはこの全社本大会で優勝。同年には関西リーグでも優勝を果たし、JSL2部に昇格して2シーズン戦った実績を持つ。現在は京都府2部リーグBブロックで戦っているが、かつての部員不足を乗り越えてこの全社関西大会への切符を掴んだようだ。全社京都府大会では、アミティエセカンドを2-1で、ブロック決勝では1部の強豪・FCマキシマを1-0で下して京都府代表を掴むという勝負強さを見せている。

 試合は序盤から両チームが仕掛ける展開。非常にスピーディで両者とも100%の力を出してきた印象だ。コンパクトなパスワークからゴール前まで繋いでチャンスを作る。京都府警はカウンター時の攻撃が魅力的だった。14分、その京都府警が11番のシュートで先制し、試合を面白くさせた。

 
 
 14分、京都府警が左からの展開をエリア右側に詰めた11番が決める。
 中央で別の選手が相手DFをよく引き寄せていた。

 試合は津田のペースだったが、この展開になかなか同点弾は遠い。ボールを持てば一気にトップギアで右サイドを疾走するMF白國のドリブル、ストライカーの池内と大柄な体格からのポストプレーで周囲を生かす末富の2トップは京都府警の守備陣に手を焼かせたが、あと一歩でゴールに及ばない前半となった。

 
 まるで往年のディカーニオを彷彿とさせる風貌。
 津田のFW末富は琴丘高時代に播戸と同級生だった選手。

 
 チームの点取り屋池内。
 ボールを受けた際のトラップとターンで相手DFを苦しめた。

 前半以上に円陣時の気合の声がこだまして始まった後半。京都府警は前半のハードワークが祟ったか運動量が落ちた。そこに前半と変わらないペースで津田が攻撃を仕掛ける。57分にエリア内でFW池内が倒されPKを獲得。これを阿保が冷静に決めて遂に試合を振り出しに戻すことに成功した。

 
 
 
 津田が後半にPKで同点に持ち込む。
 これが試合のターニングポイントになった。

 追いつかれた京都府警はすぐにベンチが動き、中盤にフレッシュな選手を投入する。しかし、同点に追いついた津田はさらに選手の闘志に火がついたようだった。「全国に行くぞ!」という声が試合中に選手から聞こえてくる。この炎天下では精神的な部分で勝負が決することは珍しくない。中盤ではMF高田が相手の脅威をよく摘み取っては攻撃へと繋げており、津田は最後まで試合のペースを譲らない。遂には75分にMF阿保がこの日2点目となる逆転弾を決めて津田がひっくり返したのだった。

 
 
 
 ラスト5分、遂に津田が逆転。
 得点を決めた阿保に末富がタックルに近い抱擁。
 頭を打った様子。

 試合をひっくり返された京都府警もすぐさま攻勢に転じたいところだったが、ここでGKが負傷するアクシデント。アディショナルタイムは十分に与えられたが延長戦に持ち込むことはできず2-1で試合終了。津田が気迫の逆転勝利で31日に同じく太陽が丘で行われるアイン食品(関西1部)と守山侍2000(滋賀県1部)の勝者と戦う代表決定戦に駒を進めることになった。

 
 炎天下を戦い抜いた選手たちに訪れる歓喜と落胆。
 わずかな気迫が勝負を分けたのだろうか。

 府県リーグ所属の両チームながら、炎天下をものともしない好ゲームを見せてくれた両チーム。特に津田は来季の関西リーグ昇格も十分狙えるのではないだろうか。既に府県決勝には何度も出場しているチーム。昨季の関学クラブに続いて兵庫県の層の厚さを見せつけてくれそうだ。また、敗退した京都府警も京都府2部リーグBブロックでは好調の様子。1部復帰も狙えるのでは。
 スタンドに観客の姿もほとんどなく、対戦カードは地味だったかもしれないが、面白い試合だったのは間違いない。津田は次戦・アインとの対戦が非常に楽しみだ。

山口を目指す戦い<1> -ラランジャ京都VSFC西宮1967-

2010年07月24日 | 脚で語る地域リーグ
 1年で最も暑い盛りのこの時期、今年も全社の時期がやってきた。

 今季は山口で行われる第46回全国社会人サッカー選手権大会。その関西代表を決める関西大会が24日からスタート。関西1部リーグの前期5位以内の5チーム、関西2部リーグ前期2位以内の2チーム、そして2府4県の予選を勝ち抜いた都道府県リーグで戦うそれぞれの代表チーム計20チームが2週に渡って5チームの関西代表を枠をかけて戦う。
 24日、京都府立山城総合運動公園太陽が丘陸上競技場では2試合が行われ、第1試合のラランジャ京都(関西1部)とFC西宮1967(兵庫県1部)の対戦は4-1でラランジャ京都が快勝した。

 

 40度近くあろうかという酷暑の中、2つカテゴリーの違う2チームが対峙した。ラランジャ京都(以下=L京都)は、何度も本大会出場を経験している関西の雄。これに立ち向かうFC西宮は現在兵庫県1部リーグの前期日程を5位で折り返している。とはいえ、その実力差は明らかな試合だった。
 試合は前半からL京都ペース。奈良クラブと関西リーグの開幕戦で対峙した時と少しメンバーが変わっているようだった。前線にはスウェーデンリーグから加入した新外国人FWのワルトリップが配置されている。ルーキーの選手も起用されており、シーズンの折り返し、新たな陣容を試行しているかのようだった。
 最初にチャンスを掴んだのは格下のFC西宮だった。左サイドを崩したサイドの選手の折り返しに9番の選手が合わせるがバーの上。決定機を逃すと、13分にL京都が中尾のロングスローからワルトリップが頭で合わせて先制する。15分にはFC西宮、14番が抜け出してGKと1対1になるものの決められない。対照的に17分にはL京都が外賀のFKをDF大河内が頭で決めてリードを広げる。25分には左サイドからの折り返しを司令塔・中尾が押し込んで3点目。前半からほぼ勝負は決した印象だった。対するFC西宮は数少ない決定機をなかなか決められない前半となった。

 
 ラランジャに加入したワルトリップは先制点をゲット。
 スウェーデンリーグ1部のMolde FKでプレーしていたようだ。

 
 FC西宮も時折鋭い攻撃を見せる。
 がしかし、数少ない決定機をなかなか決められない。

 後半に入ると、この暑さから両チームの運動量が極端に落ちてきた。45分(40分ハーフ)にDF安達が決めてL京都が4点目を追加すると、試合はスローペースに。それでもL京都はボールを回して西宮ゴールを脅かす。ひたすら運動量の激減によってラインアップ不能に陥る最終ラインを叱咤し、L京都の決定機を一人で防ぎ続けたFC西宮のGKの奮闘が印象的だった。

 
 運動量の落ちたFC西宮は最後尾で守護神が奮闘。
 後半の失点を1失点に食い止める。

 
 得意のロングスローから1アシスト、そして1得点。
 やはり中尾の存在はラランジャには大きい。
 改めて危険な存在だと感じさせてくれた選手だった。

 そんな孤軍奮闘する守護神の頑張りがわずかに報われたのが70分。FC西宮が1点を返す。相手のミスから粘りの一矢を報いた。L京都も少し守備の集中を欠き混乱を招いた時間帯だった。
 試合は結局4-1で終了。ラランジャ京都は本大会出場に王手をかけた。ラランジャ京都は31日に太陽が丘陸上競技場で、明日行われるアミティエSC京都(関西2部)とポルベニルカシハラ(奈良県1部)の勝者と対戦する。

王者洲本連覇へ王手 -加古川VS三洋洲本-

2010年07月20日 | 脚で語る地域リーグ
 関西リーグは19日に後期第11節の残り試合が行われ、神戸ユニバー補助競技場では1位・三洋電機洲本が6位・バンディオンセ加古川と対戦。1-0で三洋洲本が勝利を収めて昨季に続く関西リーグ優勝に王手をかけた。

 

 猛暑日となったこの日、デイゲームがお馴染みのこのカテゴリーには非常に厳しいコンディションとなった。この対戦カードは新旧王者の対戦といっても良い。神戸時代も含めて4年間で4敗しかしなかったかつての王者・加古川。今季は非常に苦しいシーズンを送っているが、ここまで2連勝とチームのムードは上昇気味。未だ無敗の新王者・三洋洲本にどこまでの戦いぶりを披露できるかが注目だった。

 
 ここまで4勝1分5敗。
 加古川の10年シーズンは厳しい戦いを強いられている。

 前半から果敢にボールを回して自分たちのリズムを作り出した加古川。「バギー」の愛称で親しまれている吉田を起点に洲本陣内へ攻め込む。サイドからは右の木村、左の小山が積極的にオーバーラップ。決定的な場面こそ少なかったが、三洋洲本が前半15分までに警告を2枚もらっていたこともあり、前へ仕掛ける姿勢が目立った加古川が前半から優位にボールを進めた。
 ところが、30分過ぎに接触プレーで加古川・吉田が左足を痛めてプレー続行不可能になるアクシデントが。代わりにかつてアイン食品でプレーしていた佐藤が投入されるが、吉田の存在はこの日の加古川の心臓部であっただけに、ここからの戦いへの影響が懸念された。前半は両チーム無得点で折り返すこととなる。

 
 洲本・成瀬と加古川・寺本がマッチアップ。
 前半はアグレッシブに加古川が攻め込む場面が多く見られた。

 
 昨季までニューウェーブ北九州でプレーした森本(右)。
 豊富な運動量で攻守に存在感を発揮。

 
 加古川はこの守護神の壁を破ることができない。
 三洋洲本のゴールを守る鉄壁の守護神・浅野。

 
 今季ここまで3得点2アシストとチームを牽引する吉田。
 この「バギー」の負傷離脱は加古川にとって痛かった。

 後半に入ると、序盤から三洋洲本が果敢に攻勢に転じる。昨季のリーグMVPである成瀬を中心に構成力の高い中盤がそのポゼッション力を披露。得点ランクトップを走る梅川にも良い形でボールが収まるようになってくる。61分に三洋洲本は、その梅川が左サイドからクロスを入れると、これを廣瀬が頭で合わせて先制点を生み出す。前半の劣勢ぶりを微塵も感じない素早い攻撃の連続に加古川の守備陣はマークを撹乱された。

 
 加古川はFW西村が洲本陣内へドリブル突破もゴールならず。

 
 かつて市原や徳島などJでのプレー経験を持つ小山。
 加古川の左サイドバックとして奮闘。

 
 ポジショニングの良さが際立つ三洋洲本・MF成瀬。
 昨季のリーグMVPはまさしく関西リーグ屈指のクラッキ。

 
 61分、廣瀬が先制点を挙げる。
 アシストの梅川は昨季の得点王で今季も得点ランクトップを独走。

 
 後半ペースを握った三洋洲本。
 2列目からMF沈が果敢にミドルを狙う。

 先制してすぐにそのスコアラーである廣瀬を下げてMF井上を投入する三洋洲本。ボールキープに優れた10番をこのタイミングで投入し、更なる波状攻撃を可能にする昨季の地域決勝でも見られたお決まりのパターンだ。その直後にはMF成瀬が強烈なミドルシュートで加古川ゴールを強襲するなど依然攻撃の手は緩まない。
 対する加古川も70分にゴール前のこぼれ球を森本がシュートするが、GK浅野のファインセーブに遭う。後半ATにはFW西村が左からのクロスを渾身のヘディングシュートでゴールを狙うが最後までゴールは奪えず。後半45分間、最後まで三洋洲本のペースが続いた試合は1-0で決することとなった。

 
 加古川のGK松上は後半孤軍奮闘。
 失点場面はノーチャンスだった。

 
 後半中盤にピッチに送られた三洋洲本・MF井上。
 彼が入ると、また攻撃にアクセントが加わる。

 未だ負け知らずの三洋洲本。これで今季のリーグ優勝に王手。あと1勝で連覇が決まる。加古川は前半の善戦ぶりを見ても明らかにチーム状態は建て直してきているようだ。リーグ中断明け初戦は奈良クラブと。前期以上に面白い戦いになりそうだ。
 また同日に3位のアイン食品がラランジャ京都に1-0で勝利。焦点はそのアイン食品、奈良クラブ、阪南大クラブの3チームによっての2位争いになりそうだ。しかしながら、今季は地域決勝進出チームは原則各地域の1位チームのみ。事実上この2位争いは例年並みの意味を持たないものになってしまったことは何とも恨めしい。

 来週は、この三洋洲本と同会場(長居第2)で奈良クラブも全社関西大会に臨む。リーグで彼らに独走された悔しさを切り替えてこの大会の原動力にしたいところだ。
 

折り返した3年目の挑戦

2010年07月19日 | 脚で語る奈良クラブ
 ここまでしばしご無沙汰だった奈良クラブのことを。ここまでの戦績及び詳細はこちらへ。

 奈良クラブが主戦場とする関西リーグはあっという間に後期第11節に。今季から1部昇格を果たした奈良クラブは序盤こそ苦戦するものの徐々にチームが上昇できたといっていい。10試合を終えて5勝4分1敗と首位の三洋電機洲本に次ぐ2位(後期10節終了時点)という好順位をマークしている。昇格初年度、そしてチーム発足3年目としては及第点といえる内容ではないだろうか。
 しかし、今季の関西リーグ、各チームの実力は拮抗しているといってもいい。奈良クラブの戦績から見ても、三洋洲本、アイン食品、ラランジャ京都、阪南大クラブとの戦績はことごとく引き分けかそれ以下。これらのチームとの中位争いが団子状態の中で、事実上三洋洲本が首位を独走しており、これを追走しているとも言い難いのが現状だ。

 そして迎えた後期第11節、阪南大クラブ戦が18日に堺NTCで行われた。試合は相手に先制を許しながら、後半に7試合ぶりの登場となった矢部の活躍もあり逆転に成功するものの、後半終了間際に失点を許してのドロー劇。前期で引き分けを喫した相手にまたしても引き分けで終わってしまった。これで戦績は5勝5分1敗。1敗しかしていないが、本当に勝ち切れない試合が多い。やはり5試合の引き分けというのが大きく影響してか、団子状態の中位争いを脱し切れない要因となっている。

 勝ち切れない要因としては、やはり失点の多さが挙げられるだろう。ここまで11試合を終えて失点数は16。1試合平均1.45失点という数字。完封試合は前期6節のバンディオンセ加古川戦しかない。首位の三洋洲本がわずか4(10節終了時点)ということを考えれば、ここで覇権を握るにはこれに近い数字を叩き出す守備力が必要だろう。3位のアイン食品でさえもわずか8(10節終了時点)だ。しかしながら、地域決勝進出経験のある2チームがこれでも1次ラウンド全国の壁を突破できないとなると、まだまだ先は長い気もする。

 しばらくリーグ戦は中断期間に入る。全国社会人選手権の予選が始まり、8月には天皇杯の県予選も始まる。一発勝負の公式戦が続く中で、勝ち切れない試合が続いたリーグの戦いぶりの不安は残るものの、今季の奈良クラブの真価を占う絶好のリーグ中断期間になりそうだ。
 9月に再開されるリーグでどんな戦い方に変貌を遂げているのか。ただ数字上2位狙いが濃厚という現実的な考えに着地するならば、今年から各地域リーグ1位のみが地域決勝に進めるというレギュレーションの変更が少し恨めしかったりもする。

空と同じく曇天模様 -VS京都-

2010年07月14日 | 脚で語るガンバ大阪
 W杯が終わり、いよいよ国内ではJリーグが再開。ミッドウィークのこの日はACL参戦チームの順延分の試合が行われ、G大阪は京都とホーム万博で対戦。後半開始直後に平井の今季8点目で先制するが、追いつかれ、再び突き放せず1-1のドローに終わった。この結果、J1の18チームが12試合消化で並んだが、G大阪は3勝6分3敗という結果になっている。

 

 試合後に万博に響いたブーイングは、1-1で終わった物足りなさだけでなく、12試合で3勝しか挙げられていないチームへの不満そのものだろう。W杯中に夏期グアムキャンプを終えてブラッシュアップしたかと思いきや、前半から決定機はなかなか迎えられないG大阪。そればかりか京都のFW宮吉やドゥトラに決定的なチャンスを与えてあわや失点という局面も散見された。藤ヶ谷の好守もあって難を逃れたG大阪だったが、チャンスらしいチャンスは28分に見せた右サイドの橋本の突破しかなかったのではないだろうか。W杯後の休養で遠藤を欠いているとはいえ、代わりに起用された武井が明神と組むボランチは完全に守備的なものでなかなか前にボールを押し進められない。中断前から目立つ前線の閉塞感は相変わらずで、効果的な溜めとダイレクトプレーがなかなか見られずに苦しんだ前半だった。

 
 G大阪は11位という位置。
 遠藤を欠いた布陣で再開後初戦に臨んだ。

 
 前半の序盤から加地とドゥトラが激しくマッチアップ。

 
 明神は相変わらずの献身ぶりが光ったが報われず。

 後半に入ると、開始2分に武井のスルーパスを相手DFが処理ミス。これを平井がしっかり狙って直接ゴールに沈める。その3分後には加地のクロスにルーカスがヘッドでゴールを肉薄(これはオフサイドポジションだったが…)、58分にはペナルティアーク付近からルーカスが強烈なシュートを打ち込むなど、後半立ち上がりの攻勢でG大阪がペースを握っていくかと思われた。ところが、この直後に先に京都が一気に2枚のカード(加藤、中村)を切って修正に出る。すると60分には宮吉のボールキープから与えたFKで決定的なチャンスを許すと、その直後に京都の猛攻をクリアしたボールを角田に拾われシュートを決められた。加藤と中村の投入で明らかにボールを動かせるようになった京都。G大阪はラインが下がってしまい、相手のプランの思うつぼになってしまった。角田の同点弾の直前、左サイドを安藤にぶち抜かれてクロスを放り込まれているが、この時点で失点は覚悟という状態だったかもしれない。

 
 47分、平井がケネディに並ぶリーグトップタイの8得点目。
 中断前からの好調さを見せつけた。

 
 
 角田に決められた同点弾は62分。
 フリーの相手に完全に寄せが遅れた。

 
 二川も遠藤の分の仕事はこなせず。
 相手の執拗なマークに苦しむ。

 一進一退の攻防はその後得点が生まれず。G大阪は74分に佐々木、84分に宇佐美とチョジェジンを投入するものの、6分間では何もできない。結局流れを引き寄せられず試合終了。逆転優勝を狙うG大阪にとっては不完全燃焼の感が否めない試合となった。おそらくこのドローは京都にとっての収穫の方が大きかったのではないだろうか。

 
 佐々木が途中出場もチャンスには絡めず。

 
 宇佐美ももうちょっと早い時間帯から見たかった。

 12試合で3勝という数字は上位3チーム(清水、名古屋、鹿島)が7勝していることを考えればかなり苦しい状況だ。今節は出場できなかったがイ・グノが加入したことでFWの先発争いは熾烈なものになる。しかし、それが今から逆転優勝への勝利に直結するかというと微妙な気もする。やはり開幕からの5試合連続未勝利がじんじんと響いている。まずは毎試合のように喫している失点を減らすことが急務だろう。
 

後半戦突入、SAGAWA好発進 -SAGAWA VS ホンダロック-

2010年07月05日 | 脚で語るJFL
 関西リーグに1週遅れながら、JFLも後期日程がスタート。昨季のチャンピオンであるSAGAWA SHIGA FCがホーム佐川守山でホンダロックと対戦。前々節(ソニー仙台戦)、前節(横河武蔵野戦)と勝ち切れない試合が続いていたSAGAWAだったが、この日は2-0と快勝。良い滑り出しで後期をスタートさせた。一方のホンダロックは前半チャンスを作りながらもあと一歩ゴールが遠かった。

 

 相変わらず爽快なパスワークを見せるJFL屈指のスカッドは今季も健在だった。主将・山根が深い位置で攻守の切り替えに徹し、大沢、高橋、中村らが素早く前線にボールを運ぶ。前半の早い段階からSAGAWAのパスワークはホンダロックを凌駕してゴールに迫り続けた。

 
 SAGAWAは御給が帰還し、ポストプレーで貢献。
 この日は得点はお預けもじわじわと得点ランク上位に顔を出す。

 
 まさに神出鬼没でSAGAWAの素早い攻撃をリードする中村。
 昨季のリーグMVPはこの日もキレキレだった。

 対するホンダロックも前半から果敢にSAGAWAゴールに迫る。しかし徐々に押し込まれる展開に。守備ではDF上田、GK石井が好プレーでピンチを凌ぐがSAGAWAの攻撃を食い止めることはできない。
 31分、SAGAWAは左CKをショートでリスタート。このボールにエリア付近へ走り込んだ左SBの旗手が豪快なミドルシュートを突き刺して先制点を奪う。緩急のついた彼らの攻撃はこの時間帯ピークを迎えており、39分には大沢がドリブルでホンダロック陣内で攻め込むと、右サイドを走る岡村に絶妙なスルーパス。これを岡村が折り返すと中村がダイレクトで合わせて一気に追加点となるシュートを決めた。

 
 ホンダロックは熊元を軸に攻勢に転じようとする。
 
 
 SAGAWAも先制点は旗手のミドル1発。
 浦和ユース出身の攻撃的なサイドバックが試合を動かす。

 
 その8分後には中村が追加点を奪取。

 後半はSAGAWAも少し運動量が落ち、ホンダロックがチャンスを迎える場面も見られたが、結局2点のリードは揺るがず試合は決した。前日行われた試合で鳥取が勝利したため未だ勝点9ポイント差は変わらないが、ルーキーの奈良輪をサイドに加えて昨季以上にブラッシュアップしたSAGAWA。Jを目指す各クラブにとっては依然強敵となりそうだ。
 一方、負けはしたが、ファイトしたホンダロック。宮崎の口蹄疫被害は彼らの試合にも延期や非公開という形で影響を及ぼしている。この試合も多くのサポーターがメガホンを持ってエールを送る光景が見られた。決してJを目指すクラブという形ではないものの、サッカーを通して宮崎に活力を与えていって欲しい。

 
 最終ラインで奮闘したホンダロックDF上田。
 しかしながら痛恨の2失点。

 
 口蹄疫に苦しむ宮崎でのホームゲームは2試合が延期状態。
 そしてここからホーム2試合も非公開扱いとなる。
 30名ほど応援に駆けつけたサポーターにロックイレブンが挨拶。