脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

町田、無敗決戦制す -佐川印刷VS町田‐

2010年04月29日 | 脚で語るJFL
 太陽が丘陸上競技場で行われたJFL前期第8節。共に無敗でここまで戦ってきた佐川印刷と町田ゼルビアがマッチアップ。特に来季のJ参入を狙う町田はここまで6連勝で、相馬新監督の下この日も堅実な攻守を披露。佐川印刷を4-1と破って破竹の7連勝を達成し、Jリーグ参入に向けて視界は良好のようだ。

 
 GK吉田やDF藤田、MF星、FW木島などJから確実な補強。
 ここまでの戦績にそれが結実している町田。

 前半こそ佐川印刷が町田のゴール前に攻め込む場面が目立つものの、DF深津を中心とした町田の守備陣が集中を切らさずこれを阻み続ける。徐々に試合のペースを掴み始めた町田は、35分に木島のシュートのこぼれたところを勝又が頭で押し込み先制。その直後にもDF藤田がゴールはならなかったものの強烈なミドルを見舞うなど試合を盛り上げ、前半を1-0で折り返すこととなった。

 
 MF櫛田を軸に攻め入る佐川印刷だったが・・・
 町田の守備を崩せない。

 
 福岡から加入のGK吉田は再三好セーブを披露。
 かつてはJリーグベストイレブンにも選出された守護神。

 
 切り替えの早さが目立つ町田。
 35分に勝又が待望の先制点を挙げる。

 後半に入ると序盤から町田が高い攻撃力を見せつける。47分には木島の得点ランク単独トップとなる7得点目で追加点。54分にはその木島のゴールラインギリギリの折り返しをMF半田が詰めて3点目と効率的に追加点を重ねる町田。佐川印刷はその後に反撃の狼煙を上げるが、塩沢のヘッドがバーに弾かれるなどゴールがわずかに遠い。79分には平井が1点を返すが、町田が直後の81分に川邊のヘッドでダメ押しの4点目を叩き出して試合は決した。

 
 このままではいくまいと後半、佐川印刷も反撃に。
 大槻に代わって攻撃のタクトを振るった中井が厳しいマークに。

 
 54分、町田は木島のクロスに川邊が頭で決めて3点目。
 どこからでも点が取れることを証明。

 
 印象的だった町田の主将・柳崎の姿。
 広い範囲で佐川印刷の攻撃の芽を摘む。

 
 佐川印刷も平井が1点を返したが、塩沢は沈黙。
 4位につけるスタートダッシュにいよいよ土が。

 前節、ホーム野津田で松本山雅を6-1で下し、そして今節も無敗同士の対戦でこの展開。町田の強さを十分に確信できる試合だった。かつては堅守にウエイトのあるイメージだったが、中盤に星、そして木島といったJリーグ経験者を加えて今季の攻撃力は脅威。昨季途中からの勢いそのままに来季のJリーグ参入を一目散に目指す。このチームを止めるチームは出てくるのか、今後のリーグの展開が楽しみだ。

 
 強い町田。今季ここまで21得点5失点と内容も申し分ない。

 
 今季から指揮を執る相馬監督。
 定評のあった解説者時代とは違った熱い一面を披露。

無敗のプリントダイナマイト -佐川印刷VS秋田‐

2010年04月25日 | 脚で語るJFL
 2010年度のJFLは新たに松本山雅FC、栃木ウーヴァFC、ツエーゲン金沢の3クラブを加えた18チームで3月14日から開幕している。既に今週末で7節目を迎えているJFL。京都の太陽が丘陸上競技場では佐川印刷と昨季までのTDK SCからチーム名を改称してJリーグ参入を狙うブラウブリッツ秋田の一戦が行われ、2-1で佐川印刷が勝利。ここまでの7試合で無敗を貫いた。

 

 6節を終えて佐川印刷は3勝3分0敗。5節MIOびわこ戦ではエース塩沢の4得点を含め8得点の猛攻を見せるなど好調さが際立つ。対するアウェイの秋田は2勝2分2敗とまずまずのスタート。前節の町田戦では1点差で勝利を逃しているため、この試合を制して勝ち越しを狙いたいところだ。

 
 昨季から秋田でプレーするFW菅原。
 かつてはグルージャ盛岡で地域決勝にも臨んだ。

 
 今季から1stカラーが赤に変更された佐川印刷。
 ホームの声援を味方に2年目の櫛田がボールをキープ。

 開始早々の4分に高橋の得点で先制した佐川印刷だったが、追加点は立て直した秋田の守備の前に遠い。前線の松田と菅原という長身2トップに合わせてアーリークロスを放り込む秋田の前に徐々に守備に追われる時間も増えていく佐川印刷。32分にはCKから秋田FW菅原に頭でゴールを割られるもののここはキーパーチャージで事なきを得る。しかし、39分にはエリア内で吉木が相手選手を倒しPKを与えてしまい、これを松田に決められ1-1とされ前半を折り返した。

 
 
 FC東京をはじめ7クラブを渡り歩いた松田。
 秋田の前線の起点として貴重な同点PKを決めた。

 
 佐川印刷FW平井がゴール前に迫る。
 それを阻む秋田DF高橋。集中した守備。

 後半序盤から試合のペースを掴んだのは秋田。56分にMF今井が最終ラインからのロングパスを受けそのままにゴール前へ切れ込みシュート。これは惜しくもバーに弾かれる。しかしながらこの直後にDF富永が警告2枚目で退場処分。ここから攻勢を秋田は徐々に失うことになった。

 
 秋田守備陣の中核として君臨していた富永。
 後半の早い時間帯にピッチを去ることに。

 
 貴重な先制点を決めた佐川印刷DF高橋。
 秋田の長身FW陣を空中戦でシャットアウト。

 是が非でも追加点を先に取りたい両チームの戦いはラスト10分からヒートアップ。双方に決定機を作り出すと、それに呼応するように両チームの守護神がビッグセーブを見せて観衆を沸かす。3分が提示されたロスタイムに突入した1分後、佐川印刷はここまで得点ランクトップタイを走るエース塩沢が劇的な勝ち越し弾を頭で決めて試合を制した。

 
 プリントダイナマイト快進撃。
 塩沢のトップタイとなる6得点目のゴールで勝負を決めた。

 無敗を貫く佐川印刷の快進撃。他会場では来季のJ参入を狙う首位・町田ゼルビアをはじめ上位陣が揃って勝利。順位に変動はないものの次節はその首位・町田を迎えての無敗同士の対決が実現することとなった。これは非常に面白い試合になりそう。対して惜しくも勝ち点1ポイントを逃した秋田も今後は上位陣との戦いが続く。北東北初のJ参入を目指す秋田の戦いぶりも今後注目だ。

5得点で初勝利 -VSルネス学園甲賀‐

2010年04月24日 | 脚で語る奈良クラブ
 関西リーグは第3節を迎え、今季共に1部昇格を果たしたルネス学園甲賀と対戦した奈良クラブ。5-3と撃ち合いの末に勝利し、今季リーグ戦初白星を得た。

 

 前期は3-3(@びわこ大)、後期は6-2(@ビッグレイクC)という対戦結果だった昨季と変わらずこの対戦カード、今季も俗に「バカ試合」と呼ばれる内容だった。両者ノーガードの点の奪い合い。ここまで2試合で1得点の奈良クラブと無得点のルネスだっただけにゴールへの執念が両者滲み出た。前半から取って取られてを繰り返すシーソーゲーム。奈良クラブはホーム奈良での貴重な2試合目、前節の完敗劇を豪快なゴールラッシュで打ち消した形となった。

 

 中央学院大から新加入の眞野、負傷から復帰の主将・梶村、初スタメンとなった石田と前節から3名スタートメンバーを変更した結果、連携面で難が出た前半だったが、試合を通して徐々に改善された。後半は効果的に途中投入された選手が役割を果たし、特にこれまでスタメンだった牧は後半序盤から途中出場ながらも、サイドから畑中の攻撃参加と共に再三脅かした。大塚や檜山、松野など取るべき選手が得点できたのも大きな収穫。あとは決定力に磨きがかかれば、前半から決定機は多かっただけに楽な試合運びができたのではという印象だ。

 

 このルネス戦を皮切りにBIWAKO SC.HIRA、阪南大クラブと学生クラブとの連戦が3試合続く奈良クラブ。運動量豊富な手強い相手に正念場はまだまだ終わらない。この3連戦を経験豊富な選手たちでしっかりと連勝したいところだ。

これが現在位置 -VS三洋洲本‐

2010年04月18日 | 脚で語る奈良クラブ
 第2節を迎えた関西リーグ。開幕戦のラランジャ京都に続き奈良クラブは強豪の三洋電機洲本と対峙。ホーム開幕戦と銘打って大和高原ボスコヴィラで行われた試合は0-3と完敗に終わった。

 

 さすがに昨季の優勝チーム。春野で今季JFLに昇格したツエーゲン金沢と同グループに同居しながら、90分間での敗戦を経験しなかったあの堅牢ぶりは健在だった。さすがに今季から1部に戦いの場を移したばかりの奈良クラブが彼らに付け入る隙はほとんどない。前半の中盤までに立て続けに2失点。そして後半の序盤に失点。前節同様、後半からエンジンに火がついた奈良クラブが三洋洲本ゴールに迫る場面が数多く見られたものの、相手に上手くコントロールされた印象で、結果的にゴールは予想以上に遠かった。

 

 基本的にミスも少なく、芝生の大きく禿げたボスコヴィラの劣悪なピッチコンディションをものともしないプレーに大きな差が表れていた。ボールへの執着、寄せも速い。三洋洲本は今季も優勝候補としては申し分ないだろう。彼らを前にしてほとんど何もさせてもらえなかった奈良クラブは、改めて現在位置を確認できたのではないだろうか。この試合をどう反芻するかが今後厳しい1部という戦場を戦い抜いていくカギとなりそうだ。次節のルネス戦から仕切り直しといきたい。

価値あるドロースタート -VSラランジャ京都‐

2010年04月11日 | 脚で語る奈良クラブ
 関西サッカーリーグが10日に開幕。今季よりDiv1に昇格した奈良クラブは昨季の2位チームでもあるAS.ラランジャ京都と対戦。先制するものの、1点を守り切れず1-1のドローに終わった。

 

 最終ラインに浜岡(この試合は負傷で欠場)、三本菅、中盤に牧と李、そして前線に大塚という軸となる新加入選手が加わり、新たな布陣で2010年シーズンを戦う奈良クラブ。戦力的な上積みはあるものの、環境面の問題から十分な練習量を確保できておらず、プレシーズンマッチや直前の練習試合でも格下の相手に完敗するなど不安要素は多くあった。特に昨季のカップ戦でL京都には完敗を喫しているだけに、今季Div1でいかに戦えるかの試金石的な試合でもあった。
 試合は前半から本調子でない相手の攻撃を上手く守り切り、攻撃面ではなかなか相手の堅守を崩せぬ一進一退のまま勝負は後半へ。72分にFW檜山が大塚の折り返しを落ち着いて流し込み、1点を先取することに成功するが、その5分後にL京都の中尾の強烈なロングスローからクリアミスを招いて失点。貴重なリードはチャラにチャラにされたものの、その後の追加点を許さずドローのまま試合を終えた。

 
 
 浜岡を負傷で欠いた布陣ながら、橋垣戸と三本菅の最終ラインは力強く相手の攻撃を跳ね返してくれた。攻撃面ではまだこの数試合物足りなさがあることは否めないが、これは実戦を通して連携を深めていくしかないだろう。昨季、実力の差を思い知らされた相手だということを考慮すれば、この引き分け発進は及第点以上。次節は奈良で昨季の優勝チームである三洋電機洲本が相手。11日の初戦では奈良クラブと共にDiv1に昇格したルネス学園甲賀相手に6-0と圧勝している。非常に侮れない大きな相手との戦いは続く。なんとかこのいきなりの山場で結果を残していきたいところだ。

募る不安、広がる失望 -日本VSセルビア‐

2010年04月08日 | 脚で語る日本代表
 W杯南アフリカ大会を6月に控えた日本代表。本大会メンバー選考前最後の試合となったセルビア戦が長居スタジアムで行われたが、日本は0-3と惨敗。国内組ばかりでバックアップメンバー主体のセルビアから1点を奪うこともできなかった。

 

 80分あたりからスタジアムを後にしようと席を立つ観客が後を絶たなかった。予想以上の完敗。この日はCBの位置に出場停止で闘莉王を欠き、新たにメンバー召集を受けた栗原と中澤でコンビを組んだ最終ライン。右には負傷の内田ではなく徳永、左に長友を起用。ボランチは稲本と阿部、中村俊と遠藤、岡崎という中盤に興梠の1トップという布陣で日本は挑んだ。しかし、DFラインはことごとく裏を狙われ、前線は決定力を欠く。興ざめのスタンドからも早々にブーイングが飛び交う試合ぶり。厳しい現実を見せつけられた印象だ。

 
 右SBに入った徳永だったが、周囲との連携はいまひとつか。
 ラインコントロールで連携不足が目立った。

 
 
 15分にいとも容易くラインの裏に走りこんだムルジャが先制点。
 DFラインの連携の甘さを突かれる。

 
 1トップで勝負した興梠もシュートは打てず。
 結局前半のみの出場でピッチを去ることに。

 
 その長身で日本の攻撃を完全にシャットアウト。
 GKブルキッチは日本の観客すらも魅了した。

 
 コンディションの落ち込みは明らかな遠藤。
 80分間のプレーも、やはりミスが目立って本来の出来ではない。

 
 Jリーグでは絶好調の岡崎もこの日は無得点。
 このメンバーでは最もゴールの臭いがする選手だが・・・

 
 ミロビッチ、ロミッチ、スタンコビッチ
 この3選手はフル出場で大きく今後のアピール。

 
 かつての恩師にチャンスを与えられた栗原だったが・・・
 2失点に絡んでしまい、期待には応えられず。

 
 15分のムルジャの先制点をお膳立てしたペトロビッチ。
 主将としてチームをまとめる。

 
 ボランチでチャンスを得た阿部。
 本大会ではCBのバックアッパーとして計算されそう。

 
 前半の中盤からアンカーとして守備に追われた稲本。
 彼のボール奪取能力も3失点の前には大きく霞む。

 
 82分には3点リードされた段階で槙野が投入される。
 不可思議な采配で大学生の永井に出番は訪れず。
 CB要員を少しでもテストしたかったのだろうか。

 
 中村俊も日本のビハインドを覆す活躍はできず。
 「初心」に帰るというコメントを試合後に残した。

 
 前半終了時からスタジアムにはブーイングが。
 試合後の選手たちを見送る観客の声は厳しいものが多かった。

 本大会まであとわずか。後がなくなってきた日本代表。もう挽回する時間はほとんどない。日本ファンの不安と失望はこのタイミングでピークに達している。