脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

豪雨の中見せた最高の化学反応 ~県リーグ第9節 VS Atletico~

2008年08月31日 | 脚で語る奈良クラブ
奈良県リーグ第9節
16:50キックオフ @御所市民運動公園朝町グラウンド

○奈良クラブ 4-0 Atletico●
得点
29分松野正
49分石田
58分上西
65分東

<メンバー>
GK31松石
DF21中村、5杉田、20上林、11松野智
MF3上西、18和阪(72分=8吉岡)、24東、13金城(78分=19土井)
FW7石田、10松野正

 

 今季、天皇杯予選の緒戦でこの日対峙したAtleticoに良いところ無く完敗したのは記憶に新しい。リーグ戦において、このタイミングで対戦するのは県内屈指のチーム同士の運命か。とにかく消化試合数が1試合少ないとはいえ、首位のJST、Atleticoと勝ち点差7ポイントを付けられているのは非常に苦しいが、前節の天王山第1ラウンドとも言うべきJST戦を引き分けてしまった奈良クラブにとっては、その意味でも負けられない試合になった。

 この試合を臨むに当たって、これまでで最多のメンバーが集合できたことは大きかった。スタメンは負傷の矢部を除きほぼベストメンバーとも言える布陣。何より前節欠場した石田の帰還はチームにとって大きかった。
 中村を右SBに、そして長身の杉田、上林のCBユニット、左SBに松野智という経験値の高い最終ラインと中盤は底に和阪、東の両ゲームメイカー。そして左に金城、右に上西を配置した攻撃的な布陣だ。前線はアイデア豊富にくさびを捌ける石田と松野正がコンビを組んだ。

 
 経験豊富な中村(21)、杉田(5)、上林(20)のDF陣

 拮抗した序盤だった。何よりAtleticoが奈良クラブの出方を窺っていたのだろう。中盤のセカンドボールを必死に拾いに来る相手に対して、奈良クラブもジリジリとした固さの垣間見えるスロースタートではあった。
 しかし、石田が入ることで大きな攻撃の基点ができた。東が両サイドにパスを散らすのに加えて、石田が東をはじめとした2列目の攻め上がりもスムーズにさせた。
 29分、相手の裏に飛び出した松野正がGKとの1対1を落ち着いて決めて先制ゴール。良い時間帯で先制点を奪えたことでチームは解れる。1-0で前半を折り返したが、先制後も金城が素晴らしいシュートを1本バーに当てるなど、攻撃のリズムは確実に出来上がっていた。

 
 29分、松野正が抜け出して冷静に先制点を決める

 
 主将としてチームを引っ張る上西(3)もこの日は中盤で1得点

 後半、まず守備からという意識がはっきり出ていた。Atleticoがスピードを活かして最終ライン裏のスペースを狙いに来るが、ここを松野智を中心にDF陣が80分通して良く守った。そのモチベーションが攻撃を感化し、49分には石田が金城のパスを受けてドリブルから正確なシュートで2点目を叩き込む。7月最終週のアイン食品戦から加入した石田の待望の初ゴールにチームは盛り上がった。
 その後もサイドから中央から、石田に入るくさびのパスから攻撃の形は生まれた。雨が降り出した後半の半ば、58分には上西が左サイドの角度の無い位置から難しいシュートを決めて3点目を奪い、雨足が強くなる一方の65分には東がPA手前からの折り返しに強烈なミドルシュートを叩き込む。ピッチのあちこちで水溜まりが出来ていく中で、雨足と共に攻勢を強める奈良クラブ。守備面でもしっかり完封で守りきり、4-0で大勝を収めた。

 
 ユーティリティプレイヤー松野智(11)の守備力も光った

 

 
 試合後半から激しい豪雨に 次に予定されていた試合は中止になった

 首位のJSTも同日程の試合で勝利した。その結果を踏まえると、1位フィニッッシュでのプレーオフの可能性はJSTと奈良クラブ共に残り試合を全勝で日程を終えても、同勝ち点で並び、得失点差で望みが十分にある。しかし、ここで大事なのは順位ではない。10月に予定されているプレーオフでしっかり勝ちきることが重要だ。そのためにも、やはり今日の試合のようなベストメンバーを組めるか否かは試合に大きく関わることは実証された。そして、前節の苦い空気をこの圧勝劇で吹き飛ばせたことも大きい。
 油断はできない。ここからも佳境に入った県リーグは戦いが続く。次戦は天皇杯県予選準決勝まで進出したポルベニルカシハラ。昨年は府県リーグ決勝大会も出場している県内屈指の強豪だ。

 是が非でも今日のようなメンバーの充実度で臨みたい。そう考えると、その日にしか分からないメンバー編成の妙は、実に“蓋を開けてみれば”的でギャンブル要素の強いものだ。社会人リーグの定めではあるこの苦悩も、奈良クラブにはスパイスとして強烈すぎるなと思わずにはいられない。即席の化学融合が起きるか否か。
 しかし、そこがまた、堪らない魅力なのかもしれない。

J2 33節 C大阪VS徳島 @長居

2008年08月30日 | 脚で語るJリーグ
 来季のJ1復帰に黄信号が灯りつつあるC大阪。徳島を迎えてのJ233節は、結果的に3-2で勝利を収めたものの、苦心する今季の戦いぶりを象徴するような不安定さも垣間見せた。

 

 ここ14戦で3勝3分8敗と急ブレーキのC大阪。前節熊本に引き分けたことで、この徳島戦を前にしたクルピ監督は「これでダメならメンバーを入れ替える」とご立腹だった様子だが、相手は最下位の徳島。尻に火が着いたC大阪は試合開始から攻め立てた。

 
 
 4分に古橋の右CKからアレーが頭で先制点を決める。香川を出場停止で欠くC大阪は小松をCFに据えて古橋、カイオがそれをフォローする3トップ気味の布陣で徳島DFを苦しめた。

 
 奈良出身の徳島GK古田泰士 奮闘するも3失点

 
 古橋がこのFKを直接沈める!!

 38分には古橋がゴール前左からのFKを直接決めて追加点を奪い、C大阪が早くも試合を決めにかかる。乾、ジェルマーノが起点となって緩急をつける中盤、そして最終ライン共にまずは“守備の意識”を前面に出した力強いサッカーでチーム復調を感じさせた。
 2-0で折り返した後半、徳島は玉乃に代えて六車を投入し、ボールの流れを変えようと試みる。しかし59分にC大阪はジェルマーノが2度のやり直し(主審は家本政明)の末にPKを決めて3点目を奪って試合を決定付けた。

 
 2度のやり直しにも集中を切らさずジェルマーノがPKを決める

 これで終わらないのが現在のC大阪の苦しいところ。75分に徳島が攻勢を強めると、スローインからボールを受けた麦田のクロスに大島がヘッドで1点を返す。その1分後にはアンドレジーニョのドリブル突破をC大阪左SB平島が抑えきれず、ゴールラインギリギリからクロスを入れられて倉貫に2点目を献上。どうもDFラインと中盤の連携、マーキングが合わずに守備面で破綻が見られた。失点が多く、今季ここまで3連敗を2度経験しているC大阪の不安定な面が現れた。

 
 小松をマンマークで封じた徳島DF登尾顕徳

 
 C大阪浮沈の鍵を握るFWカイオ 全体的に良い動きを見せた

 惜しかったのは徳島。後半は六車を起点にサイドの麦田、前線のアンドレジーニョが躍動し、最下位のチームとは思わせないカウンター攻撃のキレを見せたが、あと1点が遠かった。結局3-2でC大阪が勝利を収めたが、この徳島の後半の奮闘はサポーターも活気づき、同点、あわや逆転の可能性すら感じさせた。ただここで引き分けに終わらなかったことはC大阪にも救いか。鳥栖が引き分けたために勝ち点では1差。湘南が3位に躍り出るなど入替戦狙いの3位争いは混沌としてきた。もう一つの“大阪”が来季J1復帰を果たすか否か、今後のJ2の戦いからも目が離せそうにない。

 
 京都より加入したMF倉貫 すっかり徳島で存在感を確立している

 
 31分、圧巻のドリブル突破で倉貫の得点をお膳立てしたアンドレジーニョ

 
 後半の徳島の攻撃を活性化させたMF六車 元京都の選手だ

 
 右サイドでチャンスを作った徳島MF麦田

 
 最後まで勝利のために声を張り上げた美濃部監督

 
 一体感は抜群 チームを鼓舞し続けた徳島サポーターは熱かった

奈良サッカーグラウンド探訪記<3> ~御所市民運動公園朝町グラウンド~

2008年08月29日 | 脚で語る奈良のサッカー
 奈良県リーグ開催地を中心にお届けする奈良サッカーグラウンド探訪記の第3弾は、御所市の朝町グラウンド。

 

 クルマでのアクセスしか許さない公共機関泣かせのアクセスは際立つ。奈良市を中心とした盆地北部からの距離は約35キロ。国道24号線を五條市に向かう途中、小殿北を左折して秋津原ゴルフクラブに向かう道中にグラウンドはある。駐車スペースに困ることはない。最寄りの駅(近鉄忍海駅及び御所駅、五條駅バスセンター)までのバスはあるものの、1時間1本あるかないか。19時台が最終バスだ。

 
 スタンド下にはトイレなどを備えた建物が 老朽化が目立つ

 グラウンドは、新庄のメイングラウンドと同じく球場との併用機能を果たしている。しかし、スペースの有効活用は御所の方が果たされており、サッカー競技の際に極端に片側のゴール裏が広くなることはない。芝のグラウンドを囲うようにダートのトラックが広がっている。芝生の状態は可もなく不可もない。県リーグレベルの公式戦の開催は問題ないが、やはり所々が禿げており、そんなに良い状態ではない。
 そして照明設備が付いており、ナイターゲームの催行が可能だが、これがJリーグのレベルなどにはほど遠く非常に暗い。そのため競技の写真撮影は苦心する。
 周囲を覆うのは芝生席(メイン及びゴール裏のみ)。雨を凌げるように屋根の付いてあるスペースはある。しかし座席は無い。民家がすぐ側まで隣接しているために基本的に鳴り物応援は禁止されている。

 
 球場と併用できるグラウンドの南側を望む

 
 メインスタンド中央から振り返れば修験道の霊地、金剛山がそびえる

 
 北側のゴール裏 山地を切り崩した様が見てとれる

 
 こういったスペースが選手たちの着替え場所だ

 
 西日が差せばこのようにピッチが映える

 佳境を迎えた奈良県リーグ、31日(日)もこのグラウンドで3試合が予定されている。もちろんプレーオフ進出を少しでも上位で狙いたい奈良クラブも強敵Atleticoと対峙する。キックオフは16時50分だ。
 グラウンドの場所はこちら

 
 金剛山に沈む夕陽 奈良クラブはまだ沈むわけにはいかない

厚別で迎えた7試合未勝利 ~23節 VS札幌~

2008年08月28日 | 脚で語るガンバ大阪
 これで7試合連続勝利なし。G大阪この暗夜行路をどこまで突き進むのか。久々に3点も取ったことはわずかな光明ながらも3失点で勝利を逃した。と言っても先手を常に取られていたわけだから、あまりポジティブにはなれないのだが。
 そんな今夜の厚別の戦いを写真中心にお届け。

 

 それから応援に関しては、とりあえず申請書兼誓約書の件は置いておいて、通常通りの応援にて再開(元BB系チャント使用せず)。各団体とも(この日はGAMBINOのみのコールリード)通常通りの応援を行うだけ行い、並行してクラブとの協議に入る共通認識の様子。もちろんクラブ側より申請書兼誓約書に基づく入場禁止措置を取られればそれはしょうがないという覚悟。今夜の試合に駆けつけた登録サポーターは「GAMBINO」の代表含め数名及び「BNA」から1名だったが、どちらも足並みを揃えて今後のクラブとの協議を進めていくようだ。両団体うまく連携は取っているようで、おそらく今後はこれまでの応援体制に戻るのではないだろうか。人数が少なくトラメガの使用も必要最小限だったため、中継ではほとんど聞き取られていなかったかもしれないが、応援は通常通りに展開されていた。
 確かにチームがこういう状況だけに、サポーターの声援はやはり不可欠。クラブときちんと協議しながら今後もベストな策を採っていくことができればいいのだが。

 札幌ドームが控える今では滅多に来れない厚別運動公園競技場。新千歳空港から地下鉄大谷地駅行きに乗れば約40分で到着。大谷地駅から徒歩でわずか15分ほどだ。なんともローカリズムに溢れた昔の国体型陸上競技場の匂いを感じさせる。照明設備を持たないここでは照明設備搭載車がナイターゲームでは必須。今季から炭火焼の鳥串、豚串が販売されており何とも美味。

 
 照明設備搭載車が夜のピッチを照らす

 
 イカ焼き、豚串、鳥串と北海道の食材を活かしたスタメシは美味い

 
 ストッパー加地がダヴィと再三のマッチアップ

 
 12分先制したのは札幌のダヴィ

 
 2-1とされた3分後に寺田(左から3人目)が決めて2-2とする

 
 札幌はサイドから入るクロスに攻撃の重点が置かれた

 
 この日のゴールで11得点、得点ランク2位に躍り出たダヴィ

 
 安田理のクロスは精度を欠き、ブレーキに

 
 しばらくゴールの遠いルーカス この日も外しまくった

 
 退場に不服なクライトンは主審に悪態をつきながら場外へ

 
 ルーカスを箕輪がマークする

 
 7試合連続の勝利なし・・・ 次戦は好調清水に挑むナビスコ杯準決勝1stleg 

週末の隠れた名試合 ~奈良県サッカー選手権大会 準決勝~

2008年08月26日 | 脚で語る奈良のサッカー
 遅ればせながら、24日(日)に行われた天皇杯奈良県代表決定戦である奈良県サッカー選手権大会の準決勝2試合を写真中心で。
 2試合とも非常に見応えのある試合で無料試合が勿体ないほど。共に延長戦までもつれ込む好ゲームとなったが、結果2-1で天理大を下した高田と5-3で県1部のポルベニルカシハラを下した奈良産大が31日(日)の決勝戦で奈良県代表を懸けて対峙することになった。

 第1試合はディアブロッサ高田FCと天理大学の一戦。今にもどっと雨が降り出しそうな曇天の中、橿原公苑陸上競技場にて11時にキックオフ。

 

<ディアブロッサ高田FC>
GK21小池
DF13椿本、2中室、6梶村、4石原
MF8細川(37分=10廣津)、27藤尾、20森本、16福西
FW9島岡(78分=22内野)、11新谷(57分=17上村)

 

 凡戦の予感めいた前半は、年齢と運動量と技術に長け、フレキシブルに動き回る天理大が試合のペースを握った。19分に左サイドからボランチの選手(#28)がミドルシュートを決めて先制すると、前半はパスが前線に繋がらずお手上げ状態だった高田。しかし、後半に盛り返す。52分にFW島岡がPA内に突破を図ったところをファウルで止められPKを獲得。これを島岡自身が決めて1-1の同点に追い付くと、前半と打って変わって運動量が落ちることなく攻め立てた高田は、序盤の展開と凡戦めいた予想を覆す素晴らしい粘りの攻撃を披露。後半から投入された上村を中心に中盤の福西らのシンプルな繋ぎから相手陣内へ効果的にパスを回すことができた。67分には高田、ゴール前での猛攻。MF廣津のクロスから福西が巧みにループで狙うと、天理大DFが頭で奇跡のスーパークリア。そのリバウンドを島岡が強烈なシュートを見舞うも、バーに弾かれる。その後も足の止まりだした天理大を相手に圧倒的に攻め続けた高田だったが、試合は1-1のまま延長戦へ。
 延長前半8分に再びPKのチャンスを得るとこれを福西が決めて決勝点となり、高田が決勝戦に駒を進めた。

 
 前半序盤に頭部を負傷しながらも中盤の底で奮闘したMF森本

 
 同点となるPKは自らの突破で奪ったFW島岡

 
 前半は試合の主導権を握った天理大も後半はペースが落ちた

 
 土砂降りの雨と共に延長戦が始まる

 
 中盤で粘り強い守備を見せた高田 集中力は落ちなかった

 
 延長前半8分、高田MF福西がPKで決勝点を挙げる

 
 負傷の恐怖を省みず、最後尾で好守を見せたGK小池

 そして続いて第2試合のポルベニルカシハラ(県1部)と奈良産大の一戦が始まる。この試合も互いに譲らぬシーソーゲームを展開。3-3のまま突入した延長戦で2点を奪った奈良産大が5-3と勝負を制して、決勝戦への切符を掴んだ。

 
 終始試合を押した奈良産大(白)だったがポルベニルも奮闘した

 
 延長戦を制した奈良産大 決勝戦は高田と31日(日)に対戦

 

崩れてきたクラブとサポーターの信頼関係

2008年08月25日 | 脚で語るガンバ大阪
 G大阪がクラブHPを通して、現在のサポーター問題に関して声明を発表。登録サポーターに向けて配布した申請書兼誓約書まで公表した。おそらくインターネット上で早くも様々な論議を巻き起こしていることに対してクラブ側の言い分をしっかりと表明しようとしたのだろう。

 5月の浦和戦での事件以来、G大阪のゴール裏はその行く末が見守られてきた。8月9日の横浜FM戦で(@日産スタジアム)で自粛されていたチャントが復活し、更なる物議を醸した。
 そして先日の神戸戦で試合前のサポーターミーティングにおいて、今回クラブ側から発表されている事態が明かされ、登録サポーターグループ全てがこの申請書兼誓約書を提出期限までに提出せず、登録サポーターから外れる、つまりゴール裏応援のコールリードをできない状態となった。

 どうもG大阪は、5月の不祥事を機にサポーターの管理にナーバスになり出したというのは今回の経緯を辿れば十分理解できる。社長も代わり、確実に対応策(HP上でのまわりくどいほどの経緯説明など)が変わってきたなというのは日々ゴール裏で観戦している方なら容易に想像が付くはずだ。
 今後は、元登録サポーターグループとクラブ側が互いに歩み寄りながら、協議を重ねていかなければ、現状打開はあり得ないのだが、クラブとサポーターの関係とは何ぞやという非常に複雑な問題に直面している。

 今回の騒動の要因は、クラブ側が登録サポーターに提出を求めた「ガンバ大阪サポーターグループ申請書兼安全で快適なスタジアム作りへの誓約書」に明記されてある「ガンバ大阪登録サポーターグループルール」に全登録サポーターグループが納得できず、提出をしなかったということ。確かに内容を見てみると、クラブ側の判断に基づいて掲出バナーや応援行為の管理・規制が為されるというものだ。またこのクラブ側の判断基準が全くここでは明らかにされていないから、非常に困惑の原因になっているのだろう。グループを伴っての“永久入場禁止”がクラブ側からどういった時に発動されるのか分からない事態なのだ。この点に関してクラブもHPにリンクされてあるスタッフブログにて“然るべきルールとモラルの徹底”をアピールしている。

 真偽は別にして、どうやらプロ野球の施設応援団が、クラブ側への登録の折にIDを発行されているらしく、そのID所持者でないと応援の陣頭指揮は執れないということで、Jリーグもそれに習ってサポーターの管理体制を本格的に整え始めた、G大阪は5月の不祥事のこともあり、クラブが率先して模範となろうとしているという見方もある。ただ、クラブ側も毎年のようにサポーター担当者が交代しており、登録サポーターグループとのコミュニケーションが十分ではなかったという背景もあったようだ。紛失したのでは?と疑うような連絡先リストの再提出も求められたという。クラブと登録サポーターグループの信頼関係は崩れていた。

 “5月の事件の結果自業自得”。または“自浄作用無きG大阪ゴール裏の宿命”などなど、まさしく“ごもっとも”な意見も多数聞かれる。登録サポーターの情報開示が少ないために、“何が起こっていたんだ”という方も多数おられたはずだ。ここ最近は、クラブが事細かくHP上で事情説明がされるために、これまでサポーターミーティングに出ていないと分からなかった“知る人ぞ知る情報”から“皆が知る情報”になってきている。その影響もあって、多数の意見が交わされている。クラブ側とサポーター側のきっちりとした“けじめ”が今必要とされているのだろう。

 もし、現状が続くのであれば、イングランドスタイルのような応援スタイル(個人的にはアリだと思っている)が確立していくのだろうか。それともこれまでの活気が取り戻されるのだろうか。皮肉にも選手たちが戦い続ける最中に起きた今回の事態。収拾は簡単ではない。

天王山制せず・・・ ~県1部リーグ第8節 VS JST~

2008年08月24日 | 脚で語る奈良クラブ
奈良県リーグ第8節
19:00キックオフ @御所市民運動公園朝町グラウンド

△JST 1-1 奈良クラブ△
得点
19分東

<メンバー>
GK17津山
DF21中村、4秋本、5杉田、20上林
MF11松野智、24東、18和阪(77分=15澤畑) 、13金城
FW10松野正、19土井(55分=3上西)

 

 ベストメンバーが揃わず、急造布陣が毎試合のように続く現状が、この歯痒い結果として現れてしまった1戦だった。上位陣との対決が始まったその緒戦のJST戦。相手は首位で奈良クラブと共に無敗ながら引き分けすらない。無傷のリーグ7連勝中の彼らの勢いを何とか止めておきたかった。

 しかし司令塔のMF矢部、FW嶋、MF河合を怪我で欠き、DF中村が2試合ぶりに帰還したとは言えベンチ要員はわずかに2人。カードも非常に限られた状況で、土井をFWで先発起用する苦肉の策。前半から一進一退の攻防が目まぐるしく続く中で、待望の先制点はMF東によって19分にもたらされた。JSTの速い攻撃に守備陣が奮闘する中、理想的な時間での先制点で試合の主導権を握るかと思われたが、和阪、東が起点になりながらもアタッキングサードでチャンスとなるボールが繋がらない。矢部を欠いた中盤はタメを著しく欠き、左サイドの金城が前半から効果的にエリア内へ攻め込むものの追加点が遠かった。

 
 先制点を奪ったMF東幸一 これで今季5得点目

 後半の序盤に上西を投入して、中村を中盤にシフト。東をトップに上げるが、フィニッシュの局面で依然ゴールが遠い。前半からセカンドボールの競り合いでリードを許す場面が見られたが、DF陣の頑張りとGK津山の好守備で決定機を許さない。ところが、70分にわずかの隙を突かれて中央を突破され、同点ゴールを許してしまう。最もきつい時間帯で試合を振り出しに戻された。相手DFの対応の拙さにも乗じて、FW澤畑を終了間際で途中投入するが、試合は動かずそのままタイムアップ。何とか勝利を目指したが、結果的には勝ち点を2ポイント落とすことになってしまった。

 
 後半戦に向け円陣で結束を固めた奈良クラブだったが・・・

 非常に悔しい試合。そして十分に勝てた試合でもあった。ただその反面、引き分けが順当だと考えるのも致し方ないのかもしれない。やはり、毎試合通して固定したメンバーで戦術的熟成を図れないことがそのままチームのウィークポイントになってしまっている。勝負所の大事な一戦でどうも歯車が噛み合わなかった。欠如した連携面やFWの層の薄さの対処は今後必須になってくるだろうが、現状では引き続き急造布陣に近い試合は続いてしまうだろう。奈良クラブ自身が乗り越えなければならない自我の大きな壁を改めて感じてしまうことになった。

 
 加入後2試合目ながら既に核となっているMF和阪太治

 しかし、負けたわけではない。目も当てられない散々な状況ではない。悲観は不要だ。ただ奈良クラブには上記のウィークポイントがもたらすチームのバイオリズムが大きいということだ。府県リーグ決勝大会へ勝ち上がるには、リーグ4位以内でプレーオフに臨むことが大前提。JSTの取りこぼしは他力本願になってしまったが、次節(来週31日)は今日の結果で首位に鎮座することになったAtleticoが相手。無敗同士の対戦ラウンド2は必勝を懸けて臨みたい。

 もう取りこぼしは禁物だ。

果てなく遠い追加点・・・ ~22節 VS神戸~

2008年08月23日 | 脚で語るガンバ大阪
 勝てない。。。負けることはなかったが迷走は止まらなかったG大阪。約1ヶ月ぶりのホーム万博でも勝ち星を拾うことはできず、公式戦6戦で勝利なし。6連敗は免れたものの、何か勝ち方を忘れてしまったような印象だ。

 
 決定的だった58分 遠藤から橋本へ
 この直後に橋本が痛恨のシュート逸

 28分、安田が左サイドを駆け上がり遠藤へ。これを共に左サイドに寄っていたルーカスに遠藤がスルー。2人の間に挟まれていた神戸DF北本が完全に釣られると、ルーカスがその遠藤にパスを出す。ダイレクトでゴール前上げた遠藤のセンタリングは、ゴール前に飛び込んだ山崎の頭を捉えた。理想的な連携から鮮やかに先制点を奪ったG大阪。ここ数試合とは違って良い時間帯にリードを得た。

 福元をスタメンに起用して、加地も含めた3バックで臨んだ守備陣は、時折神戸FWレアンドロに苦しめられたが、比較的安定した守備を見せていた。ここで是が非でも欲しかった追加点だったが、今のG大阪にはこれが果てしなく遠い。34分には自陣で神戸ボールに果敢にチェイシングを敢行した加地から山崎へ渡って、最高のカウンター攻撃の機会があったが、山崎からのボールをフリーで運んだ遠藤から中央でもらおうとしたルーカスへパスが渡らない。左サイドでは安田理がフリーの状況だったが、FWにまず当てようとして攻撃を急いでしまった。この場面にも代表されるように、神戸はひたすら中央をシャットアウトして耐え続けた。そうすればサイドにボールは渡りやすくなるが、かつていたバレーほどの脅威はもうゴール前には存在しない。再三両サイドから入るクロスも空を切り、時には相手DFのクリアに遭う。やはりルーカスではゴール前のターゲットは苦しいことを再確認させられた。

 
 二川の代役はそろそろ御免被りたいと奮闘したMF寺田紳一

 後半の立ち上がりに神戸DF内山のハンドからPKを得たG大阪だったが、これを名手遠藤がまさかの失敗。そろそろコロコロPKも潮時か。こうなればネガティヴに傾いていくのが今のG大阪。後半ロスタイムを迎えようかというその時に神戸FW大久保に起死回生の同点弾を許してしまう。。神戸陣内からDF鈴木が大きくボールを蹴り込むと、ゴール前に飛び出した松代がパンチング。しかしこれを拾ったフリーの大久保が技巧派な一撃。フワリと浮かせたループシュートは飛び出した松代の目測を欺くかのようにゴールに吸い込まれた。あと数分持ち堪えれば久々の勝利だったのだが・・・最早運すら見放したのか。そのまま1-1で試合は終了する。

 
 安田理も決定機を演出したが・・・

 後半も遠藤からゴール前でパスを受けた橋本、そしてフリーで切れ込んでシュートを放ったルーカスと惜しい場面は何度もあった。悲しいかなこれを決められないのが今のG大阪で、全体的にリードしていた今日のような試合をみすみすドローに成り下げてしまうのは“果てしなく遠い2点目”に起因する。撃ち合いでもなく、強かに1点を守りきって勝つでもない。どちらも選べなくなったG大阪のサッカーは勝ち方を忘れてしまったようだ。続く水曜日の札幌戦で光明は見えるのか。新加入のロニーは使えず、若手の計算も立たない台所事情は今日の雨雲のように深い気がする。

 
 3バック導入で負担の増す明神だが今のチームには不可欠だ

 ちなみに今日のゴール裏は大きくいつもと事情が違った。ここでは詳述は控えるが、試合前のサポーターミーティングも含めていろいろな関係者に話を聞いていると、クラブと登録サポーターとの間にやはり軋轢が生じている様子。戦うチームと応援の一体感はもしかしたらすぐには復興できないかもしれない。続くリーグだけでなくナビスコ杯、ACLとハードな日程の続くG大阪にとって、未曾有のヤマ場が訪れているのかもしれない。

プレミアリーグ酔夢譚 1

2008年08月22日 | 脚で語る欧州・海外
 今季中のプレミアリーグ行き(いや、最大の目標はCL決勝生観戦!)を狙う筆者が徒然なるままに書きだべる、個人的なプレミアリーグハイライト。まずは遅ればせながらも開幕戦から。

 キングストン・アボン・ハルが、KCスタジアムが燃えた!なんといっても最大のサプライズはハル・シティことタイガースのフルハム食い。2-1と105年目にして初めてとなるプレミアシップ昇格後の緒戦をこれ以上ない逆転勝ちで収め、待ちに待った地元ファンの期待に応えた。8分にソル・ギヒョンのゴールでフルハムが先制したものの、22分にはハル・シティがマンチェスター・Cではほとんど出番の無かったMFジオバンニが胸トラップからドリブルで切れ込み、鮮やかなミドルを突き刺すと、81分にはFWフェイガンがPA付近右サイドでフルハムDFコンチェスキのチョンボをかっさらって、そのまま中央へ。これをフォーランが決めて見事逆転。途中出場コンビによる逆転弾でブラウン監督の采配力も冴えたし、何より中盤ではバーンビーとジオバンニの息も合っている印象。105年目の歓喜を得たハル・シティに今後も要注目。KCスタジアムの雰囲気もなかなか良さそう。

 一番本人たちが驚いたのはマグパイズことニューカッスルか。なんせ昨季は散々な目(11失点)に遭わされたマンチェスター・U相手にオールド・トラフォードで開幕戦なんていう悪夢のスタート。しかし、マルティンスのゴールで先制すると、フレッチャーに1点を返されるも結局1-1でタイムアップ。勝ったかのような騒ぎで開幕最高のスタート。ケビン・キーガンも満足げでマルティンスのヘッドが決まった時のあのオールド・トラフォードの静まりようがなんとも印象的。コロッチーニもまあまあフィットしている様子で今季のマグパイズは“脱・ザル守備”。

 ポール・インスがプレミアシップに帰ってきた(監督でね)!試合が最も面白かったのはエバートンとブラックバーンの一戦。ローバーズはMFダンがジャギエルカを軽くあしらって先制ゴールを決めると、前半終了間際にはエバートンMFアルテタの凄いFKが決まって同点に。左サイドの角度の無い所から直接ブチ抜いた強烈なFKはプレミア開幕戦ベストゴールじゃなかろうか。得点量産マシンのヤクブが決めて後半に逆転するも、その3分後にウォーノックからロングパス1本でサンタクルス!マークに付いていたレスコットも思わずオフサイドとセルフジャッジで気が緩んだ様子。ラストワンプレーでFKから勝ち越し弾を呼び込んだのもウォーノックの左足。ネルソンが頭で合わせたこぼれ球にオーイェルが詰めて劇的な勝利。ネルソンがオフサイドかどうかでかなりモイーズ監督もご立腹ですが、ファビオ・カペッロさんよ、スティーブン・ウォーノックを今一度招集してみたらいかが?

 ウィガンは今季も深刻そうやね。ザキのボレーは凄かったけど。10分でウェストハムに試合を決められてしまった。後半は押していたのになぁ。
 シティはビラにボコボコにされる始末、アグボンラホルに7分でハットトリックを許してしまって最悪の開幕戦。そりゃUEFA杯も負けるでしょうよ・・・
 ブッたまげた一撃はボルトンのステインソン。右サイドを突破して超高速クロス性シュート!昇格組のストークシティに厳しい1発をお見舞いして、それに続いたデイヴィーズとエルマンダーの2トップ。今季のボルトンはひと味違うかも。

 いきなりゴールを決めたナスリも凄かったけど、依然アデバイヨールも凄いアーセナルは不敗神話を築くエミレーツスタジアムでWBAを一蹴。なんかアルムニアも凄かったな・・・シルベストルを補強したそうで、微妙な選手層だけどどこまで今季のガナーズが不敗神話をホームで築けるか要注目。
 同じロンドン組でもスパーズは補強の甲斐無く開幕戦を落とすことに。ベルバトフ移籍騒動に揺れる中でドスサントスを中心に攻め込むも、ミドルズブラに後半2点を叩き込まれて万事休す。新加入のベントリーがウィーターのOGを導いたものの、アルシャビンを獲得できなかったのは痛い。中盤は十分に駒が揃っている。FWベントがリーグでも好調を保てば何とかなるのだが、ベルバトフが出て行くとなるとね・・・

 そしてリバプール、チェルシー共に開幕戦を白星スタート。特にチェルシー、文句なしのポーツマス戦。デコもチームに馴染んでいる様子で、問題なし。何よりもシーズン最初のゴールをコールが決めてくれたのは大きいし、残留を決めたランパードもPKを決めてしっかり勝利に貢献。14億円の年俸に見合う活躍ができると信じるのみ。テリーと合わせて約28億・・・というのが信頼の証拠。このクラブにしか出来ぬ芸当。あとはアネルカとドログバをどう共存させるか。え?シェフチェンコ?それはスコラーリがもうちょっと英語を上達させてからで。どうやらミラン復帰は消えた様子。

 サンダーランド戦のF・トーレスとキーンのシュートチャンスでのお見合いにはビックリした。

なでしこジャパン下を向くことはない

2008年08月21日 | 脚で語る日本代表
 87分、ドイツFWプリンツの右サイドからのクロスがゴールエリアを横切り、そのボールをMFバイラマイが拾って決定的な2点目を挙げる。そこで必死にシュートコースを消そうと渾身の力で守備に戻った澤が対応するが、無情にもシュートはゴール右隅に決まった。ドイツの2点目は強烈に印象に残り、なでしこたちのメダルへの執着心をかき消すには十分だった。そして彼女たちの北京五輪は終わった。

 前半は横パスのミスを連発してどうも調子の出ないドイツを尻目に攻勢に出たなでしこジャパン。ダイレクトパスで崩す攻撃の連動性はメダル獲得への可能性を十分に感じさせるものだった。この前半に何としても先制点を奪いたかった。しかし、徐々に体躯的にリードするドイツの守備の前に攻撃のスタミナが続かず、セカンドボールの対応で遅れが見られるようになった。献身的なチェイシングを続けたFW永里を中心に後半の終盤は疲労も見られた。丸山、荒川の投入も最後までドイツゴールを脅かすことはできずに90分は終わってしまった。

 またまた感じさせてもらうことになった“世界の壁”。在り来たりな表現だが、これが最も試合を形容するに相応しい。しかし、彼女たちの戦いぶりは確かに我々の心を突き動かしてくれたし、これまで五輪では遠かった現代サッカー競技における日本のメダルの可能性を最後まで信じさせてくれた。そういう意味では、同じ日にソフトボールで同じ女子選手たちが初の金メダルを獲得したのが何とも皮肉で、なでしこジャパンの奮闘劇が霞んでしまいそうで恨めしい。

 男子が早々と姿を消してしまった今大会において、なでしこたちの姿は日本サッカーに大きな希望をもたらした。犬飼会長は、Jクラブの全てに女子チームの創設を望む見解を示している。この“ベスト4”という結果を機にもう少し彼女たちを取り巻く状況が変わってきてもおかしくはない。まだまだ若い選手の多い彼女たちがロンドンでメダルを獲得するためにも、国内での女子サッカーの盛り上がりが不可欠だ。

 なでしこジャパン、下を向くことはない。この敗戦で日本が与えられたのはダメージではなく、女子サッカーの明るい未来ではないだろうか。本当に良い試合をありがとう。と言いたい。