脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

北信越の扉が開かれた

2009年12月21日 | 脚で語る地域リーグ
 2週にわたって行われたツエーゲン金沢とFC刈谷による来季のJFL枠を巡る入替戦は、金沢が1勝1分(1-0、1-1)という結果で勝利し、来季のJFL昇格を勝ち取った。(詳細は龍星ひかるくんのここからJリーグにてどうぞ。)

 高知、そしてアルウィンと金沢の地域決勝の戦いぶりを観てきた自分にとって、この津幡と刈谷の2連戦を観戦に行けなかったことは非常に悔やしいところだが、あの充実した陣容を振り返れば、今回の結果は至極当然かもしれない。むしろ初の過酷な戦いの連続にチームは硬くなっていたと見える。何しろ入替戦までPK戦に突入した試合が3試合(2勝1敗)で、なかなか90分間での勝利を得られなかった。流れの中で得た得点も地域決勝1次ラウンドの初戦・徳島セカンド戦で見られたデニスの2得点だけだった。“ゴールが遠い”その大きな壁を入替戦という状況で打ち破れたことは大きい。金沢の皆さん本当におめでとうございます。

 松本山雅FCに続き金沢の昇格が決定したことで、この数年ハイレベルな枠争いが繰り広げられてきた北信越リーグにもようやくJFLへの扉が開かれた。リーグチャンピオンとして後塵を拝したJSC(ジャパンサッカーカレッジ)や長野パルセイロの2チームも引き続いての動向に注目が集まるが、昇格した松本山雅と金沢はいよいよJリーグという現実目標に進み出すこととなった。しかし、地域決勝で1万人を超える集客を見せた松本の特殊性はさて置き、金沢は集客面での戦いを強いられそうである。今季のリーグ戦はホーム7試合の平均観客動員数が1,487人。これを倍増させる営業努力が今後チームの戦績と併せて必要になってくるわけだ。Jリーグを目指す戦いはここから更に熾烈なものとなるが、来季もJFLでこの2チームが関西などで見られるとなると本当に楽しみでもある。

 対してこの入替戦の結果、来季から東海リーグに降格することになったFC刈谷。日本電装、デンソー時代の頃は徳重や高山といった得点王を輩出する名門クラブだっただけに古くからのファンは寂しさが募るところだろう。来季からはアマラオが監督に就任することが決定しており、おそらく東海リーグの範囲では屈指の強さとなるはずだ。地域決勝を目指す各地域クラブにとっても強敵が現れたといった状況である。

師走、CWCの季節

2009年12月20日 | 脚で語る欧州・海外
 UAEで行われていたFIFAクラブワールドカップ。決勝で南米王者・エストゥディアンテスを延長の末に2-1で下した欧州王者・バルセロナが世界一の座に輝いた。110分に決勝点を挙げたのは今年度のバロンドールであるメッシ。意外にもバルセロナは創立110年で悲願の世界一となる。

 昨年の今頃、このクラブワールドカップを横浜で観戦していたことを考えると1年が経つのは本当に早いものだ。UAEはアブダビに場所を変えた今季のCWCは日本チームの出場が無いのもあってか、どうも身近に感じられなかったのは確かである。3位決定戦で浦項がPK戦の末に3位に食い込んだことでアジアからの出場チームがこれで4年連続の3位となったが、決勝戦が南米王者と欧州王者という組み合わせは今年も不変。やはりまだこの間には大きな差があるのだとも感じる最終日の2試合だった。

 イニエスタの負傷欠場が明らかにチームのバランスを揺るがしていたバルセロナに対して、エストゥディアンテスは前半の良い時間帯に先制できたが、試合巧者ぶりは欧州王者の方が上。しかしながら、チャンピオンズリーグやリーガ・エスパニョーラで毎回お目にかかるバルセロナとまた違い、彼らの追い込まれてからの強さが光った熱い一戦。延長戦に入る前に円陣の中央でいつもの派手なボディランゲージで指示を出すグアルディオラの姿が印象的だった。既に就任して1年余りで数々のタイトルを獲得した闘将「ペップ」にとって初めての世界一のタイトルはどれほどの重みを感じているのだろうか。

 日本にこの大会が戻ってくるのは2年後。その時には日本のチームが欧州王者か南米王者と決勝戦で世界一を争っているのだろうか。

焔立つ、師走のガンバ

2009年12月12日 | 脚で語るガンバ大阪
 天皇杯準々決勝にてリーグ優勝の鹿島と2週間ぶりに対峙することになったG大阪。山崎の2得点で鹿島に2-1と勝利し、準決勝に進出(29日@国立)を決めた。

 リーグ優勝を逃したものの、天皇杯にしっかりと気持ちを切り替えたG大阪。夏からの勝負強さを取り戻した。先日のリーグ最終節で西野監督がJ1通算200勝に達したが、その千葉戦で光っていたのはチームの90分を通したバランス感覚。試合の流れを柔軟に選手が自分たちの戦いやすい形へと運んでいった。優勝を逃したショックを払拭するには十分な試合だったといえる。特にその千葉戦で存在感を発揮していた山崎がこの大事な鹿島戦で殊勲の2得点を挙げられたことは大きい。あと1試合勝てば2年連続での元旦・国立。狙うはもちろん連覇しかないだろう。

 それにしても、早いものでもう12月。遠藤がAFC選出アジアMVPに輝いたと思ったら、来季のACLの日程及び組み合わせが発表され、天皇杯は準々決勝を迎えている。メディアによって、Jの他のクラブにおけるチームスタッフ・選手の動向が毎日のように報じられ、G大阪もワシントン(元浦和)、ボルジェス(元仙台)の獲得に動いているとか。播戸以外の去就が流動的でなかなか見えてこないG大阪だが、そんな師走のバタバタぶりを忘れさせてくれる今日の快勝劇。鹿島がリーグ時とはあまりにチームとして違った感はあったものの、天皇杯への執念を示すことができた試合だったのではないだろうか。

 まだ、G大阪のシーズンは終わっていない。

アルウィンという祝祭空間

2009年12月08日 | 脚で語る地域リーグ
 目の前に広がるガンズグリーン。そしてそれに埋め尽くされる素晴らしいスタジアム。松本は熱狂し、マイチームの輝かしい歴史の一幕に酔いしれた。

 

 これまで上高地や美ヶ原温泉など何度も足を運びながら、3年ぶりに松本の地を訪れた。こんなにサッカーに燃えている街になっているとは思わなかった。初めて訪れたアルウィンは松本山雅を愛する人々の祝祭空間。そこには老若男女がサッカーを通じて一つになっている光景が広がる。
 朝早くからアルウィンの開門を心待ちにする列の先頭の子供たち。首にはガンズのタオルマフラー。いざ門が開けば、無料試合でチケットもないのに一目散に行列が走り出す。夜になれば、街で人々は酒を飲み交わしながら愛するガンズの話題で盛り上がる。昇格が決まれば、即座に配布される地元新聞の号外。優勝した瞬間に「昇格」の二文字が「優勝」に改められて再び号外配布が始まる。昇格が決まった翌日に地元の百貨店は昇格記念セールを始めたそうだ。しかし、ここはまだJリーグクラブのある街ではない。まだようやく3部への切符を手にしたばかりなのだ。

 

 プロスポーツとは無縁であった人口22万のこの街にようやく人々が熱狂できる存在が生まれた。スタジアムに駆けつける誰もが松本山雅のことを話し出したら止まらない。松本のアイデンティティを表象するターミガンズはすっかり人々の心そのもの。まさにOne Soul。

 
 
 これからチームはもっと強く、逞しくなるのだろう。これだけのサポーターが付いているのだ。来年またもっと強く、逞しくなった松本山雅が見られることを楽しみにしている。現地でお会いした松本の皆さんにまた会えることも楽しみにしながら。

雷鳥は羽ばたいた -地域決勝 日立栃木VS松本山雅-

2009年12月07日 | 脚で語る地域リーグ
 金沢の90分間での未勝利を受けて、来季のJFL自動昇格が決まった松本山雅。PK戦が13本目まで突入したアルウィンでは、慌ただしく第2試合が定刻を少し過ぎてキックオフされた。
 試合は松本山雅が2-1で日立栃木に逆転勝利し、JFL昇格に華を添えた。

 
 最終戦を前に念願のJFL昇格が決まった松本山雅。
 この日は詰めかけた観客10,965人という盛況ぶり。

 
 しかし、そんなムードもお構いなし。
 試合巧者・日立栃木は15分に森田のドリブル突破から・・・

 
 パスを受けた前田が狙いすましたシュート。

 
 優勝するのは俺たちだといわんばかりの先制点。
 日立栃木がアルウィンを沈黙させる。

 
 しかし、昇格だけでは物足らぬという松本山雅。
 小林と柿本の2トップでゴールを狙い、優勝を目指す。

 
 
 23分、松本山雅は大西が小林の折り返しを決めて同点に。
 ベンチでサブの小澤と喜びを分かち合う大西。

 
 長く松本山雅を支えたベテラン・三本菅はこの日も健在。
 大声援に背中を押され、相手の攻撃を封じる。

 
 そして前半終了間際に小林が決めて松本山雅が逆転に成功。
 吉澤監督と歓喜の抱擁。アルウィンの興奮は沸点に達する。

 
 
 72分に会心のボレーシュートを放つ北村。
 これは決まらなかったが、要所要所で好プレーを披露。

 
 途中出場で今井がピッチに登場。
 この3日間、攻撃面で良いアクセントになっていた。

 
 そしてタイムアップ。松本山雅が見事に優勝を勝ち取る。

 
 1次ラウンドで2年連続苦汁を舐めてきた雷鳥が遂に羽ばたく。
 見事にホーム・アルウィンで最高の結果を出した。

 
 表彰セレモニーでは小澤の涙が止まらない。
 勝利の立役者・小林と守護神・原も安堵の表情。

 
 ゴール裏にぎっしり詰めかけたサポーターと歓喜を分かち合う。
 積年の想いがようやく最高の形で実を結んだ。
 松本山雅FC、JFL昇格おめでとう!

 これで大会の全日程が終了。地元のムードにも大きく背中を押された松本山雅FCが優勝。2位・日立栃木ウーヴァSCと共に来季のJFL昇格を決めた。3位・ツエーゲン金沢は今季JFL17位のFC刈谷と来週から2週に渡ってホーム&アウェイで入替戦を戦う。

Zの執念 -地域決勝 Y.S.C.C.VS金沢-

2009年12月07日 | 脚で語る地域リーグ
 最終日を迎えた今季の地域リーグ決勝大会。第1試合では、何としてでも自動昇格を果たしたい金沢がこちらも90分以内の勝利で3位を確保できるY.S.C.C.と対戦。試合は1-1のままPK戦へ突入し、12-11という激戦の末にY.S.C.C.が決勝ラウンド初勝利を挙げた。しかしながら、90分が終了した時点でY.S.C.C.の決勝ラウンド敗退及びこの後に第2試合を控える松本山雅の自動昇格が決定。金沢はこの結果、JFL17位のFC刈谷との入替戦に挑むこととなった。

 
 共に戦い続けたサポーターが金沢の勝利を祈る。
 その声で初挑戦の地域決勝で苦戦するチームを後押しする。

 
 最終戦を迎え、ここまで3試合連続無得点が気になる金沢。
 90分以内で勝利して、松本山雅の敗戦いかんで昇格が決まる。

 
 先制したのはY.S.C.C.。
 小笹の右からのクロスにDF松田が完璧に頭で合わせる。

 
 フルメンバーのY.S.C.C.はリードを守るべく必死の守備。
 金沢の攻撃をことごとくシャットアウト。

 
 49分には右CKから込山が合わせるが、わずかにゴールならず。

 
 なんとかこの状況を脱すべくチャンスを作りたい古部。
 彼の目標は金沢をJFLに昇格させること。

 
 怒濤の攻撃を見せる金沢だが、Y.S.C.C.の守備を崩せない。

 
 Y.S.C.C.は主将の鈴木がこの日はCBの位置に。
 闘将が気迫の守備とコーチングでチームを鼓舞する。

 
 金沢は三原と込山が攻守にフル稼働。
 しかしながら流れの中で相手を崩せない症状は相変わらず。

 
 時間は刻一刻とタイムアップに迫る。
 Y.S.C.C.もこのまま逃げ切れば3位の枠が確保される。

 
 チャンスは巡ってきた。
 88分に金沢はPKを獲得、これをクリゾンが決める。

 
 起死回生の同点劇。
 あと1点を奪えば自動昇格へ大きな可能性が残る。

 
 しかし、90分終了のホイッスルが響く。
 この瞬間、Y.S.C.C.の敗退が決まった。

 試合はPK戦へ突入し、2巡目を戦う長期戦へ。互いに1本ずつをミスして互角の13本目。Y.S.C.C.中村が決めたのに対して金沢は山道が外す。ここで勝負あり。金沢の3位及び入替戦出場、そして第2試合を前に松本山雅のJFL自動昇格が決定した。

 最後の最後まで苦戦した金沢。やはり攻撃面での低調さが全ての要因だろう。最後まで流れの中での得点は生まれず。CKからの諸江、込山パターンなどセットプレー頼みという面が否めなかった。加えてフォアチェックが効かず、中盤のスペースにも大きなエアポケットを作ってしまうことで、相手のパスワークを簡単に許していることも最重要課題だといえる。まだ戦いは終わりではない。来週から始まる入替戦を乗り切ってJFL昇格を果たしたい金沢。彼らの力はこんなものではないはずだ。

【速報】日立栃木VS松本山雅 前半終了

2009年12月06日 | 脚で語る地域リーグ
第33回全国地域リーグ決勝大会決勝ラウンド3日目第2試合

日立栃木ウーヴァSC1-2松本山雅FC

JFL昇格を決定づけたことで盛り上がりを増すアルウィン。雰囲気も両者互角の試合内容も全く消化試合とは思えない。優勝に対するこだわりを両チーム見せてくれている。

15分に日立栃木がカウンターから前田が先制点となるシュートを決める。しかし、23分に松本山雅は小林の折り返しを大西が決めて同点に追いつくと、44分に小林が逆転ゴールを決める。アルウィンは最高潮の状態で後半へ折り返すこととなった。