脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

奈良のフットボリスタ ~奈良にプロクラブを~⑱

2008年01月31日 | 脚で語る奈良のサッカー


 以前コメント欄でもお伝えしたように、都南クラブが来る2/3(日)にアルテリーヴォ和歌山と練習試合を行うことが決定。15時よりキックオフ。場所は大淀町平畑グラウンドにて。
 いつもこちらをご覧頂いている奈良のサッカーフリークの皆さん是非足をお運びあれ。

 昨年、NPO法人「和歌山からJリーグチームをつくる会」を設立し、アルテリーヴォ和歌山を発足させたお隣さん。元G大阪の羽畑選手などを有し、全国クラブチームサッカー選手権関西大会優勝などを達成している。

 奈良のプライドを懸けて絶対に負けられない!応援よろしく!

岡田チルドレンの台頭

2008年01月30日 | 脚で語る日本代表


 W杯アジア3次予選タイ戦を控えた最後の親善試合、ボスニア・ヘルツェコビナ戦は3-0という完勝劇に終わった。

 「接近・展開・連続」とひっきりなしに岡田監督の掲げるフィロソフィが話題に上がっているが、特にこれをピッチで具現化できたのは83分に山瀬が奪った2点目の展開だと言えるだろう。センターライン付近で途中出場の今野が効果的なチェックでボールを奪い、大久保へ。その大久保を意識しての山瀬のオーバーラップに大久保も呼応して最終的にGKと1対1という局面に持ち込めた。先日のチリ戦も含めてこれ以上ない連携が結果に繋がったシーンであっただろう。
 3点目は完全に相手の集中力が欠如していたが、これを巧みに突いた今野がまたも効果的なフィード。交代出場の播戸が体を張ってフリーのスペースに落とし、難なく山瀬が決めることができた。ボスニア・ヘルツェコビナの運動量が極端に落ちていることを差し引いても、結果を出せたことでW杯予選へのチームの盛り上がりには十分なスコアだったといえる。

 しかし、かつては「オシム・チルドレン」と呼ばれた巻・山岸・羽生らに対して、今日の試合で活躍したのは全て「岡田チルドレン」とも形容できる選手たちだ。準備期間の限られた中での監督交代ながら、継続路線を貫くとはいえ、少しずつチームは変わっていることを実感した。
 特にMVPに挙げたいのは途中出場ながら、共に決定的な仕事をしたMF山瀬と今野。共に札幌時代に岡田監督に教えを享受した者同士である。特に山瀬は、自身が一番手として名乗りを挙げるべきトップ下のポジションを大久保に奪われ、その悔しさを暗に2ゴールに込めたことであろう。ゴール以外の場面でもムダな動きは少なく、相手の運動量の減退もあってか、中盤が快活に機能できた原動力となった。同じく今野も少ない時間で効果的な仕事ができた。特に3点目のフィードは狙い通り。これは同じく少ない時間帯での出場にも関わらず、チリ戦から課題となっていた前線のボールの受け方を己の身を持って呈した播戸のプレーと見事にマッチングして、山瀬の3点目を導き出した。まさに朱勲の「フィード」と「落とし」である。

 前回も触れた前線のファーストチョイスにまたしても岡田監督は頭を悩ませることになるだろう。なぜなら、この試合もまたもやFWが点を取れなかった。前半は巻が負傷交代する34分までトップ下を務めた大久保もチャンスには顔を出しながらもゴールが遠かった。巻は果敢に身を呈して飛び込む気概を随所に見せてくれるも、どうもゴールの匂いからは遠い男である。エースの高原に関してはコンディションが悪すぎる。この2試合で最も期待を裏切った男となった。
 そこで、播戸がなぜ2試合通して10分間しか使われなかったのかについて言及しておきたいのが筆者の正直な感想だ。指宿合宿でもゴールを量産し、キレは良かった。せめてもう少しプレッシャーのきついチリ戦で出場時間が欲しかった。大久保に次いで岡田ジャパンのメンバーではゴールの匂いが最も漂う男ではあるのだが。そろそろ高原と巻というファーストチョイスをリセットする必要があるだろう。皆さんはいかがお考えだろうか。

 とにかく先制点もかつて岡田監督が指揮した横浜FMの黄金時代を知る闘将中澤。そして山瀬の2発に、今野と播戸の効果的な仕事と、「岡田チルドレン」が台頭してアピールした今日の試合。オシムジャパンでは見られなかった化学反応が少なからずも垣間見えたことに今後の面白さを窺わせた。しかし、改めて注意しておきたいのは今日のボスニア・ヘルツェコビナが非常に緩慢だったということである。真剣勝負のW杯予選、初戦はいつも僅差でしか勝利できていない。苦戦の中で成長していくチームにおいて「岡田チルドレン」が鍵を握っているのは言うまでもないだろう。

 さて、ここまで頭が動いたことであるし、明日医者にドクターストップを解除してもらうとしよう。

インフルエンザの脅威

2008年01月29日 | 脚で語るJリーグ


 筆者インフルエンザにてダウン中。頭痛に体の痛みに高熱に、これは本当にキツい病気だ。

 そういえば、Jリーグでもたまにインフルエンザで欠場を余儀なくされる選手がいてるし、昨年浦和とマッチアップしたセパハンもチーム内で流行したらしい。

かつて、西野監督が柏の監督時代にサーシャという外国人選手をKリーグから補強したものの、ケガで戦線離脱。その代わりに3ヶ月のレンタルで再びKリーグから加入した朴建夏という選手がインフルエンザでダウンし、そのまま契約解除になった。

 頭痛は凄まじいが、記憶は失っていないらしい。是非とも皆さん予防接種を・・・

点を取らなければ勝てない

2008年01月27日 | 脚で語る日本代表


 岡田JAPANの初陣となった26日のチリ戦。0-0のスコアレスドローに終わったこの親善試合の結果をどう捉えるべきだろうか。

 “守れても点が取れない”こう形容するのが妥当だろう。そしてサッカーで勝つためには“点を取らなければいけない”これは至極当然のことだ。

 来月から始まるW杯3次予選では結果にこだわっていかなければならない。オシム前監督よりバトンを引き継ぎ、実質2週間ほどでチームの再構築を図った岡田監督はこのチリ戦である程度守備面では手応えを感じていたようだ。組織的な守備を実践する中で、危ない局面を迎えたのはむしろ「個」の力の優劣によるものだったといえる。しかし、その「個」の力は攻撃面では勝利に直結する要素とはならなかった。

 今季より国内に復帰する高原は予想通りスタメンで起用されたが、随所に落ち着いたプレーは見せたものの、まだコンディション不足は否めない。肝心な局面で大きくシュートをふかしてしまい、結局シュートはその1本に終わってしまった。
 61分にその高原に替わって投入された大久保は直後にチャンスを作るなど動きは冴えた。しかし、フィニッシュに大きく難を抱え、彼で決められたはずのこの試合を結果的に動かすことはできなかった。
 高原と共に2トップでスタメン出場を果たした巻は、ポスト役としてチャンスを作ろうとしたが、駒野の左サイドから放り込まれた絶妙なクロスに合わせられないなど結局シュートは放つことができなかった。その巻に替わって入った矢野も見せ場はないままラスト10分を終えてしまう。

 知将ビエルサが率いるチリ代表はよく日本を研究していた。立ち上がりはスローペースでじっくり日本の状況を窺い、徐々にこの日A代表初スタメンの内田サイドを重点的に攻め込むなど、確実にウィークポイントを突いてきたといえるだろう。決してベストメンバーでないながら、球際の強さやカウンター時における速いパスワークを見せるなど、確かに動きは良かった。前述したようにフィニッシュがあまりに稚拙な日本の攻撃陣を前に、戦いぶりで「収穫」を得たのは間違いなくチリだっただろう。それほどチャンスに乏しき退屈な90分間を日本は演じてしまった。

 この日スタメンで出場した選手のうち、シュートを放ったのは高原と駒野の2人だけ。交代出場の大久保が1人で4本のシュートを放つなど気を吐いたが、あれだけ決定機を決められないようではとてもじゃないが点を奪える気はしない。中盤からミドルを狙っていくでもなく、組織的な連携を見せてフィニッシュに持ち込む場面もほとんど無い。特に大久保が投入されるまでの61分間はその気概さえも希薄だった。
 ここでもう1枚、播戸を起用して欲しかったのは正直なところだった。こうなってくると前線の組み合わせがW杯予選までの最大の問題点ではないかとも思えてくる。

 基本的にオシム前監督の継続路線を貫く岡田体制。しかし、アジアカップで熟成の一途を辿っていた連動性は影を潜めている。そして、守備面ではある程度の収穫があったかもしれないが、それ以上にストライカー不在の様相を露呈した日本。高原もウカウカしていられない。もう日本のファーストチョイスはリセットされたも同然。次戦のボスニア・ヘルツェコビナ戦ではこのFWのプレーにこだわってW杯予選に繋げて欲しいところだ。

V宣言の東京Vに幸あれ

2008年01月26日 | 脚で語るJリーグ


 昨季、怒涛の追い上げでJ2を2位で終え、3年ぶりにJ1の舞台にカムバックする東京V1969。26日に新体制発表があったが、そこでクラブの萩原敏雄代表取締役会長兼社長がいきなりの優勝宣言で驚きを呼び込んだ。「目標は高く、難しくなくてはいけない」ということで結果を問わず、とにかく「優勝」をひたすら追いかけていくそうだ。

 会見でのコメントによるとクラブ内での「残留」をほのめかす考えは徹底的に禁じ、それでは勝てないことを明言した萩原社長。正直、J1中位安定や残留と明言し、クラブの目標として現実的な狙いを定めるリアリストなクラブの代表は多い。さすがに今回のV宣言には柱谷新監督や高木新コーチも苦笑いをせざるを得なかったわけだが、前述のリアリストなクラブ代表よりもよっぽど正々堂々とした男気があって逆に好印象を抱いてしまうのは筆者だけだろうか。これまで辛酸を舐めてきたかつての名門のプライドが垣間見えた気がした。

 個人的にはラモスが指揮官の座から退いたのは残念だが、そのうちチーム状況が悪化すればまた復帰も考えられなくはない。この萩原社長のV宣言に見合った補強が今季の東京Vにできているかと問われれば、正直首を傾げざるを得ないが、毎年のようにこれらの新戦力の選手が口を揃えて言うことがある。
 それは「ヴェルディといえば名門、幼い頃からの憧れ」というものである。確かにJ黎明期、かつてのV川崎は栄華を極めた。読売クラブという名門の系譜を選手、クラブ共に結果としてこれ以上ない成績で具現化していた。「このチームには敵わない」とまで強烈なインパクトを残した名門の復興には、今回の萩原社長のようなブッ飛んだ気概が必要であるだろう。

 どこで歯車が狂ったかかつての名門が落ち込んだ負の連鎖はもう長きに渡る。久々に掴んだJ1の舞台で社長の「至上命題」をどこまで実践しようとする選手がいるか。フッキの穴は想像以上に大きいものだ。昨季の序盤戦で柏が見せた大旋風のような盛り上がりを東京Vには期待したい。
 ブッ飛んだKYっぷりを見せつけた萩原社長を始め、今季の東京Vに幸あれとエールを送りたい。

ネガティブな記事に目を向ける

2008年01月25日 | 脚で語るJリーグ


 日頃、情報ソースとしても非常に活用させて頂く某ブログがあるのだが、何しろそのブログが大変面白い。
 サッカーが好きな人間、俗に「ファン」と定義できる人間は大抵ポジティブにそのサッカーに関する評論を書き連ねることが一般的だ。時に批判することがあっても、それはひいきのチームであったり、日本サッカーに対する愛情や情熱を持ってその現状を憂い、良い方向へ導こうとする意思の下であろう。好きな事象に対して365日批判的に物事を解釈する者はそうそう稀だ。

 そんな稀なスタイルでJリーグをひたすら崩壊に導くために粗探しに邁進するブログが存在する。これをお読みの方で、もうご存じの方も多いかもしれない。あえてブログ名は控えさせてもらうが、筆者はそのブログが大好きだ。
 非常に細かく、そして多岐に渡る視点、そしてその情報量。特にJリーグクラブの経営状況と自治体との摩擦問題など随所に大いに納得させられる記述も多く見られる。こういった方が存在し、明確な問題提起をしてくれることは、まだたかだかプロリーグが始まって15年の日本においては明るいことだと筆者は思う。時々、辛辣過ぎて多少ピントの外れたことをおっしゃられることがあるが。

 その某ブログで、最近興味深い記事があった。昨年ACLを制覇し、FIFAクラブワールドカップに挑んだ浦和のサポーターを引き合いに出し、金子達仁氏の発言も紹介しながら、「サポーターの応援は、応援歌を延々と唄うことにその目的が置かれている」といった趣旨の記事であった。浦和が目の前で世界随一の強豪クラブACミランに圧倒的にゲームを支配されてリードを許す中で、延々と応援歌、つまりチャントを唄い続ける浦和サポに対し「僕なら歌えない、言葉を失う」という金子氏の発言を引用しながら、ファッション感覚で応援することに傾倒した日本のサポーターは「唄う」ことでしか一体感を得られていないと指摘する。
 
 これは一理あるな、と思った。確かに“のべつ幕なし”に唄い続けることがサポーターの目標というか、ゴール裏で得る一体感とイコールで結ばれるのは確か。歴史の浅い日本のサッカーにおいて、命を懸けて愛するクラブに身を捧げる者は欧州サッカーのそれと比べれば確かに見られない。それは歴史とそこに根付くフットボール文化の差を考えれば当然のことだろう。だが、確かにファッション感覚や、選手を著しく「アイドル化」してはその「追っかけ」的なスタンスでゴール裏に紛れ込むファンも多い。これらをクラブ愛とイコールで結んでいる者が何とも多いことか。唄い続けることから多少焦点はズレているが、これも日本の特徴であろう。

 百聞は一見に如かず。それが最も分かり易く具現化されているのがG大阪のゴール裏。つまり「万博のゴール裏」と言えば手っ取り早い。これまでリーグ有数のタレントが揃い、成績も年々安定していることもさることながら、“男前”と評すべき選手の多さに少しスタンスを履き違えたファンも多く存在する。世界的に見ればまだ黎明期の日本のプロサッカーであるが、肝心な「選手を、クラブを勝たせるための応援」ができていないのだ。
 前述の浦和のようなケースでは確かに言葉を失うかもしれない。世界の名門の強さに打ちひしがれるかもしれない。しかし、Jリーグではリードしながらも肝心な局面であっさりと同点に追い付かれたり、逆転を許したりするG大阪特有の「持病」はサポーターのこんな所に起因しているのかもしれない。つまり皆と同じく「唄う」ことでとりあえずの一体感を共有しているファンが多いのである。加えて、前述したようなファッション感覚や追っかけ感覚でここ数年ファンになったサポーターも多いことで、満足に「唄う」ことでの一体感も図られていないのが現状。喜怒哀楽を共にありのまま内面吐露し合える人間はまだまだ少ないのだ。
 この問題に関しては、年末の天皇杯の後にサポーター団体の中心人物と話をする機会があり、まさにその話となった。まだ「唄う」ことでも一体感を成し得ていないG大阪サポがあの浦和サポにはまだ勝てない。ましてやそんなサポーターの後押しではクラブ自体が浦和を超えていくのは難しいということを実感した。

 考えれば考えるほど、これほど時の流れと歴史が刻むことに委ねてしまいたい問題は無いのだが。そういった意味でこの議論を重ねるのは時期尚早か。
 とにかく、ネガティブなその記事から時折得るインスピレーションは自身を少しでも研磨し、啓発し得る材料になるということだ。これからもその“苦い薬”から様々な問題点を考えることを大切にしたい。

 まぁしかし、面白い観点でJリーグを紐解く方もおられるものだ。それだけサッカーの魔力を感じて止まないのだが。

どうして酒はダメ?

2008年01月23日 | 脚で語るJリーグ


 今季からその戦いの場をJ2に移すロッソ熊本改めロアッソ熊本。今日新体制発表会が行われ、クラブの5年でJ1を狙うという目標や新加入選手、またマスコットキャラクターのお披露目が行われた。

 ロアッソ熊本といえば、かねてから問題になっていた胸スポンサーの「白岳」問題。昨季まで地元を代表する高橋酒造がその自慢の代表商品名を胸スポンサーに躍らせていたわけだ。しかし、今回のJ昇格を受けて、Jリーグから「待った」がかかった。
 その理由は「酒類の表示ができない」ということ。青少年への影響への配慮か、やはり世間に対するJリーグクラブの胸スポンサーの影響の大きさを痛感するエピソードとなった。その結果、これまでトレーニングウェアにその名称を使用していたお菓子の香梅が「武者がえし」という代表的商品を新たにその胸に躍らせることになった。

 せっかく念願のJリーグ入りを果たしながら、高橋酒造としては大きな痛手だろう。JFLより遥かにメディア露出度の増えるJリーグの舞台で自慢の商品名が陽の目を見ないことになる。これまでチームをスポンサードし続けてきた地元の老舗にとってはまさに寝耳に水。昨季のJFLでは佐川急便SC(今季よりSAGAWA SHIGA FCに名称変更)にぶっちぎりで優勝を許し、なんとか2位でのJ昇格。おまけにクラブ名は変わるわ、胸スポンサーには文句を付けられるわで、熊本の船出はどうもバタバタしてしまった印象は拭えない。

 ただ、気になるのは、「酒類の胸スポンサー表示はダメ」という規定は元来Jリーグの規約にあったのだろうか。無かったとしても、その方針をこれまでJリーグ側が徹底して貫いてきたのかは疑問が残る。
 そう、かつてのヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ1969)を思い出して欲しい。96年~98年シーズンにかけてだったろうか。その胸のスポンサーにはしっかりサントリー、そしてその目玉商品である「モルツ」の文字がアルファベットでしっかり躍っていたではないか。おまけに背中のスポンサーまでもがサントリーではなかったか?当時のあのV川崎のユニフォームを持っている人間は少ないと思うが、確かに過去にあったケースだ。いつからJリーグはその方針を辿ったのだろうか。

 そんなことを言い出すと、もうかれこれ10年以上日本代表をサポートするキリンの表示はどうなるのか。代表のトレーニングウェアにはしっかり「KIRIN」の文字が。それどころかビブスにまでしっかり入っている。もしかして日本サッカー協会とJリーグでは方針が違うのだろうか。百歩譲って、トレーニングウェアだけということでOKということであっても、キリンカップなど国際大会まで催しておきながら、熊本の「白岳」に“待った”はどうしても理解できない。
 かつてはサントリーシリーズ、ニコスシリーズと銘打って2ステージ制で開催していたJリーグがそういう線引きで今回の熊本の胸スポンサーに判断を下したのかが非常に謎である。
 日本代表チームとリンクさせたビールのCMはこれまで数多く放映されてきたはずだ。前述のキリンカップなど国際試合では勝利チームにビールもたんまり送られていたはずでは?青少年への配慮を考えるならば、もう根底から日本サッカーのスポンサーをひっくりかえなければならない。考えれば考えるほど矛盾が残るだけだ。

 まだ船出を遂げたばかりの新興クラブにとって、地元企業の手厚いスポンサードほど貴重な財源はない。そんな中起きた今回の騒動、Jリーグの理念は時折、非常に屈折したもの見えるのは筆者だけだろうか。とにかく「武者がえし」からすればしてやったりの展開になったわけだが。 

奈良のフットボリスタ ~奈良にプロクラブを~⑰

2008年01月22日 | 脚で語る奈良のサッカー


 「ディアブロッサ高田FC」

 今季から本格的にJFL入りを目指し、関西リーグ1部を戦う高田FCの新名称が決定した。スペイン語で「悪魔」を意味するdiabloとイタリア語で「赤い」を意味する「rossa」を合わせた造語で、大阪府在住の一般男性が名付け親になった。 さらには「ディア」という読みは英語で「鹿」の意味を持っており、「奈良」を連想させるネーミングになっている。

 個人的にはなかなか尖った鋭いネーミングで、保守的で温和な奈良の雰囲気を覆すものと言えよう。そういえば、元来高田FCは「赤」がチームカラーということもあって、ネームコンセプトも的を獲ている。「カッコいい」と定着すれば子供たちにも人気が出るかもしれない。企業チームがまだまだメインを張る関西リーグでもインパクトを与えるだろう。

 さて、本題に入ろう。このディアブロッサ高田FCが今季の関西1部でどれだけ戦えるか非常に関心の湧くところである。と言っても昨季の結果だけで見れば、2位で昇格を遂げたこの高田FCのシーズン32得点を2倍以上凌ぐ66得点をも記録した阪南大クラブが無敗で昇格を遂げたわけで、無論はるかにレベルの上がる1部の戦いは熾烈極まりない。昨季1部でわずか1敗しかしなかったバンディオンセ神戸の敗退を熊谷でこの目に焼き付けた筆者にとっては、その先に待つハイレベルの壁は何よりも大きく映るわけだ。
 そのバンディオンセ神戸も昨季の主力であったMF山道、GK西川、DF八柄、MF秋田、MF石田などが引退や退団というシーズンオフを送っている。さすがにあの熊谷の悪夢が彼らのサッカー人生観を揺るがしたのだろうと考えれば無理もない。3年連続で挑んだJFLの壁がさらに遠くに霞んでしまったようにも思えてしまう。クラブをもう一度建て直さなければいけないだろう。年末から積極的にセレクションを行っているそのバンディオンセ神戸を優勝候補の筆頭に今季も関西リーグは動いていくだろう。
 ただFC Mi-OびわこKusatsuのJFL昇格によって、これまで顕著だった2強の構造は崩壊した。次の実力クラブはアイン食品、そしてA.S.ラランジャ京都といったところであろうが、意外と接戦になることも考えられる。まず、群を抜いた実力者で選手層を固めてくるバンディオンセ神戸の優勝は揺るぎないとすれば、打倒バンディオンセで他クラブが挑んでくるのは必至だろう。そしてその下、2位枠で滑り込むことができるかどうかだ。

 徐々にJリーグの日程やJFLの日程が決まってくるここ数日で、関西リーグの日程はまだ発表されていない。おそらく2月下旬頃になるだろう。とにかく久々に掴んだ1部のステージをムダにはしたくない。チーム名も新たにディアブロッサ高田FCの真価と進化が問われる1年になるだろう。
 都南クラブの進展ももちろんのこと、引き続き今季のディアブロッサ高田FCについてもその動向を追いかけていきたい。

奈良のフットボリスタ ~奈良にプロクラブを~⑯

2008年01月21日 | 脚で語る奈良のサッカー


 遂に幕を開けた第34回奈良県社会人サッカー選手権大会兼第44回全国社会人サッカー選手権大会奈良県予選。20日に行われた第1試合6試合の結果は・・・

 ポルベニルカシハラが2-1でFC.KICKS高取に辛勝し次戦に進出したことと、昨年は3部B1位だったフロンティアFCが奈良FCを下し次戦、つまり都南クラブの初戦の相手に決定したことしか分からず!
 
 筆者、仕事の出張のためチェックできない最初2試合だが、こうやって日頃行われている公式戦の結果さえ掌握するのに一苦労なのが今の奈良サッカーの実情。リアルタイムで情報が入ってくる環境が構築されていない。そりゃ県リーグレベルだからしょうがないだろうと言ってれば奈良サッカーの発展もないだろうと考えてしまう。
 ただでさえ、他の都道府県に一歩も二歩も1種のカテゴリーでは取り残される中で、こういったことからも焦燥感を覚えるのは否めない。県サッカー協会の社会人サッカー連盟HPが頼みの綱。もう少し更新のテンポが早くなれば・・・(以前に比べれば現状でもかなり早くなっています。担当者の方申し訳ない。)

 とにかく、戦いは始まった。来週27日は都南クラブ初戦。その都南クラブも20日にしっかり練習試合を行い調整はまずまず。
 やったろやないかい!狙うは遙か彼方の地域リーグ決勝大会全社枠!目標は大きくないと。

 筆者27日も仕事のため行けませんが・・・無念・・・

さらば、ハマのスリーストライプス

2008年01月20日 | 脚で語るサッカーギア


 19日の行われた横浜Fマリノス(以下横浜FM)の2008年度新体制発表記者会見。桑原隆新監督就任やロニー、ロペスといった新外国人選手の加入、早大よりMF兵藤慎剛、J2水戸から屈指のハードーマーカー小椋祥平を獲得するなど地味ながらも着実な補強を続ける新陣容が発表される中、古くからのサッカーファンも注目していたトピックスがとうとうお披露目となった。

 それはNIKE社のサプライによる新ユニフォーム。JSL日産自動車時代からの“スリーストライプス”ことadidas社との契約を打ち切り、最大のライバルであるNIKE社との新規契約。昨年から明らかにされていた情報であったが、adidasに感謝の意を示すポスターで広告であったり、それを察した横浜FMサポーターがホームゲームで歴代のユニフォームフラッグを観客席に掲げるなど、少なからずその反響は大きいものであった。
 確かに日産時代から引き継がれる横浜FMのトリコロールカラーは、スリーストライプスがシンボルであるadidasとの相互イメージを歴代のユニフォームデザインの変遷より徐々に深めてきた。これまでほどの相思相愛ぶりを、そのクラブが表現すべきデザインコンセプトとサプライヤーの間にイメージがさせるクラブは無かった。そういった意味でも少々寂しいと思われる方もいるかもしれない。「横浜FM=adidas」と形容しても過言ではなかった。

 これまでadidasとNIKEという二大スポーツブランドの世界的競争については何度か触れてきたが、今回のケースはクラブとしてこれまで以上に飛躍を遂げるための覚悟を持った「革新」であると信じたい。決してその裏にあるマネーゲームには触れたくないと勝手に思ってしまう。今や海外のクラブでもこれだけ1社が長くサプライヤーとして君臨するケースは珍しいことであった。極端に例えるならば、ドイツ代表がadidasをやめて新たにNIKEと契約するような衝撃度を感じているファンも少なくないはず。
 幸いにもキーコンセプトを貫き、新ユニフォームはシンプルなデザインの中にも確かに横浜FMらしさが出ている。意外と違和感を感じず、逆にスッキリとスマートになった印象を受けたのが正直なところである。昨季リーグチャンピオンの鹿島、そして浦和のユニフォームサプライヤーもNIKEによるもの。彼らはJリーグにおいて徐々にその足場を踏み固めてきたと同時に、adidasとの激しい市場競争の中でサッカーの振興に一役も二役も買っていることもまた事実である。

 かつてに比べると、Jリーグの各クラブのユニフォームサプライヤーはかなりマルチ化してきた。大宮はLotto、横浜FCはhummel、名古屋は長年le coqを愛用。その他京都は地元企業のワコール、草津はファイテン、水戸がmiter、湘南はA-LINEと個性的なブランドを登用することも多くなってきている。京都のようにそれが従来のスポーツアパレルブランドと限らないケースも出てきているのである。それぞれのデザインもそれぞれの色があって見ていると面白い。一般的なインターナショナルモデルをそのまま起用ぜず、オリジナルモデルで展開するクラブも多い。そういった意味でこのシーズンオフを経て、各クラブが文字通り“装い”も新たにスタートを切るのは要注目だ。

 03年、04年と現日本代表監督の岡田武史氏がクラブを率いた時代は圧倒的な強さを見せた横浜FM。覇権奪回に向けNIKEとの新たなタッグで黄金時代を再び築けるか。監督も変わり、新ユニフォームのイメージ定着にも中途半端な成績は許されないのである。