第90回天皇杯全日本サッカー選手権大会は準々決勝を迎え、万博では大会3連覇を狙うG大阪が浦和と対戦。互いに譲らぬ接戦は1-1のまま延長戦へ突入すると、G大阪が宇佐美の決勝点を守り切り延長戦30分を制して、準決勝進出。他会場の結果からG大阪は、29日にエコパで清水と準決勝を対戦することとなった。また、フィンケ監督が退任する浦和はこれでシーズン終戦となった。

気温わずか4度の万博記念競技場。試合前には雪がちらついていた。かつて「ナショナルダービー」とも形容されたこのカードでなければ、もっと観衆はまばらだっただろう。この日駆けつけた入場者数は公式発表で14,815人。スタジアムは毎度のごとく綺麗に青と赤に色が分かれていた。吹きすさぶ風のせいでとてつもなく身に染みる寒さだったが、試合は予想以上にどちらも引けを取らぬ接戦となった。

浦和サポーターにとって今季2度目の万博は雪に。
G大阪は加地が今季の残り絶望という負傷で、右サイドには安田理が配置され、前線のスタートはルーカスとイ・グノ。浦和も岡本、宇賀神、高橋と若手が積極登用され、個人的にも良く知っている選手たちが軒並みベンチスタート。これがフィンケの浦和かということをこの時期になって改めて実感した。そして、いずれにせよこの試合で退団が公表されているルーカス、ポンテという両チームを長らく支えたブラジル人選手も最後を迎えることになる試合だった。
G大阪は序盤から橋本が中盤からよくフィニッシュに絡んだ。6分に浦和GK山岸にセーブされるものの際どいシュートを放つと、21分には右サイドからルーカス、武井と繋いで橋本へ渡ってのシュートはサイドネットに。小気味良いいつものパス回しにリズムが出れば、先制点の場面は早くやって来そうだった。
ところが、浦和もポンテが1人を気を吐いて中盤を牽引。プレーエリアも広い柏木の散らしと宇賀神や高橋のサイド攻撃がバランスよく、気を許せば細貝も機を見てシュートを放ってくる。前線のエジミウソンよりも二列目からの攻撃は浦和の脅威だった。

浦和・エジミウソンをマークするG大阪・高木。
今季もこの男なんだかんだでリーグ3位の16得点。

G大阪は右サイドバックに安田理を。
左の下平とのバランスもなかなか良かった。
34分に安田理が右サイドから狙ったシュートがポストに直撃し、38分には下平からのパスを受けた橋本が振り向きざまにシュートを放つもわずかにゴール右に逸れ、立て続けにG大阪が先制のチャンスをフイにしてしまう。前半終了間際には浦和・エジミウソンのシュートがわずかにサイドネットという場面があったが、結局前半を終わって両者拙攻が募りスコアレスで折り返すこととなった。試合はおそらく1点を争う試合になるという雰囲気だった。

明神は相変わらずの安定感で攻守に存在感。
浦和の危険なパスをことごとくカット。
後半に入ると、49分に浦和はMF堀之内が負傷してしまい、急遽鈴木が代役でピッチに。G大阪の右サイドでは安田理と浦和・宇賀神のマッチアップが熾烈化していた。68分には安田理が浦和陣内を突破すると、中央へクロス。これをイ・グノが頭で合わせて先制かと思いきや、オフサイドに沈んだ場面もあった。

宇賀神と安田理のマッチアップは迫力あり。

これが最後の大会となる浦和・ポンテもヒートアップ。
気合いが入っていた。
前述のイ・グノのオフサイドの場面の直後、G大阪は宇佐美を投入。前線に入れずに彼を中盤、トップ下の位置に起用する。シーズン通してリーグ戦7得点。しかもホームの浦和戦では得点も挙げている。彼が何かを起こすのではと誰もが考えたタイミングでの登場だった。
先制点は72分。そのG大阪だった。浦和・山田暢のハンドによってゴール前絶妙な位置で得た直接FKのチャンスを彼が右足で見事に決める。2010年のハイライトとして彼が南アフリカで見せたデンマーク戦のFKがあるが、それを彷彿とさせる華麗なキックに場内は歓声と沈黙に真っ二つに分かれた。







浦和戦にことごとく強い今季の遠藤。
これで3戦3得点。
ところが試合はこれで終わらない。浦和も先制された直後にエスクデロ、田中を連続投入。徐々にリズムを取り戻す。81分には再三安田理とバトルを繰り広げていた浦和・宇賀神が田中からのパスを受けた流れからシュート。これが決まって試合は1-1の振り出しに戻ることとなった。



浦和は宇賀神がエリア手前から強引にシュートをねじ込む。
圧巻のシュートセンス。

田中の途中投入から浦和も持ち直した。
全盛期の頃には及ばないが、ドリブル突破は彼の魅力。
1-1となった試合は15分ハーフの延長戦へ。98分に佐々木という切り札を入れて運動量の落ちてきた浦和に揺さぶりをかけるG大阪。延長前半終了間際の103分に下平のロングパスを受けたルーカスが落ち着いてパスを出すと、走り込んだ宇佐美が相手DFに囲まれながらもシュートを決める。またしてもこの場面で勝負強さを発揮した18歳。試合はこれが決勝点となった。


下平からのパスを受けたルーカスが焦らずに・・・





宇佐美へパスを送ると、これを宇佐美が決めた。

そして、後は守りきるのみ。
エアバトルを中澤中心で乗り切る。

ラストプレーのCKには浦和GK山岸も攻撃参加。
このプレーの直後に120分間終了を告げるホイッスルが。

浦和に競り勝ったG大阪。3連覇まであと2勝。
29日にはエコパで清水と対戦。

2年間浦和を率いたフィンケ監督。
この敗戦でチーム最後の指揮となった。

同じくレバークーゼン移籍のため細貝もこれで退団。
勝ってチームを離れることはできず。


両チームを退団することが決まっている2人のブラジル人選手。
ポンテ(上)はこれが浦和で最後のプレーに。
ルーカス(下)は元旦までG大阪でプレーできるか。

気温わずか4度の万博記念競技場。試合前には雪がちらついていた。かつて「ナショナルダービー」とも形容されたこのカードでなければ、もっと観衆はまばらだっただろう。この日駆けつけた入場者数は公式発表で14,815人。スタジアムは毎度のごとく綺麗に青と赤に色が分かれていた。吹きすさぶ風のせいでとてつもなく身に染みる寒さだったが、試合は予想以上にどちらも引けを取らぬ接戦となった。

浦和サポーターにとって今季2度目の万博は雪に。
G大阪は加地が今季の残り絶望という負傷で、右サイドには安田理が配置され、前線のスタートはルーカスとイ・グノ。浦和も岡本、宇賀神、高橋と若手が積極登用され、個人的にも良く知っている選手たちが軒並みベンチスタート。これがフィンケの浦和かということをこの時期になって改めて実感した。そして、いずれにせよこの試合で退団が公表されているルーカス、ポンテという両チームを長らく支えたブラジル人選手も最後を迎えることになる試合だった。
G大阪は序盤から橋本が中盤からよくフィニッシュに絡んだ。6分に浦和GK山岸にセーブされるものの際どいシュートを放つと、21分には右サイドからルーカス、武井と繋いで橋本へ渡ってのシュートはサイドネットに。小気味良いいつものパス回しにリズムが出れば、先制点の場面は早くやって来そうだった。
ところが、浦和もポンテが1人を気を吐いて中盤を牽引。プレーエリアも広い柏木の散らしと宇賀神や高橋のサイド攻撃がバランスよく、気を許せば細貝も機を見てシュートを放ってくる。前線のエジミウソンよりも二列目からの攻撃は浦和の脅威だった。

浦和・エジミウソンをマークするG大阪・高木。
今季もこの男なんだかんだでリーグ3位の16得点。

G大阪は右サイドバックに安田理を。
左の下平とのバランスもなかなか良かった。
34分に安田理が右サイドから狙ったシュートがポストに直撃し、38分には下平からのパスを受けた橋本が振り向きざまにシュートを放つもわずかにゴール右に逸れ、立て続けにG大阪が先制のチャンスをフイにしてしまう。前半終了間際には浦和・エジミウソンのシュートがわずかにサイドネットという場面があったが、結局前半を終わって両者拙攻が募りスコアレスで折り返すこととなった。試合はおそらく1点を争う試合になるという雰囲気だった。

明神は相変わらずの安定感で攻守に存在感。
浦和の危険なパスをことごとくカット。
後半に入ると、49分に浦和はMF堀之内が負傷してしまい、急遽鈴木が代役でピッチに。G大阪の右サイドでは安田理と浦和・宇賀神のマッチアップが熾烈化していた。68分には安田理が浦和陣内を突破すると、中央へクロス。これをイ・グノが頭で合わせて先制かと思いきや、オフサイドに沈んだ場面もあった。

宇賀神と安田理のマッチアップは迫力あり。

これが最後の大会となる浦和・ポンテもヒートアップ。
気合いが入っていた。
前述のイ・グノのオフサイドの場面の直後、G大阪は宇佐美を投入。前線に入れずに彼を中盤、トップ下の位置に起用する。シーズン通してリーグ戦7得点。しかもホームの浦和戦では得点も挙げている。彼が何かを起こすのではと誰もが考えたタイミングでの登場だった。
先制点は72分。そのG大阪だった。浦和・山田暢のハンドによってゴール前絶妙な位置で得た直接FKのチャンスを彼が右足で見事に決める。2010年のハイライトとして彼が南アフリカで見せたデンマーク戦のFKがあるが、それを彷彿とさせる華麗なキックに場内は歓声と沈黙に真っ二つに分かれた。







浦和戦にことごとく強い今季の遠藤。
これで3戦3得点。
ところが試合はこれで終わらない。浦和も先制された直後にエスクデロ、田中を連続投入。徐々にリズムを取り戻す。81分には再三安田理とバトルを繰り広げていた浦和・宇賀神が田中からのパスを受けた流れからシュート。これが決まって試合は1-1の振り出しに戻ることとなった。



浦和は宇賀神がエリア手前から強引にシュートをねじ込む。
圧巻のシュートセンス。

田中の途中投入から浦和も持ち直した。
全盛期の頃には及ばないが、ドリブル突破は彼の魅力。
1-1となった試合は15分ハーフの延長戦へ。98分に佐々木という切り札を入れて運動量の落ちてきた浦和に揺さぶりをかけるG大阪。延長前半終了間際の103分に下平のロングパスを受けたルーカスが落ち着いてパスを出すと、走り込んだ宇佐美が相手DFに囲まれながらもシュートを決める。またしてもこの場面で勝負強さを発揮した18歳。試合はこれが決勝点となった。


下平からのパスを受けたルーカスが焦らずに・・・





宇佐美へパスを送ると、これを宇佐美が決めた。

そして、後は守りきるのみ。
エアバトルを中澤中心で乗り切る。

ラストプレーのCKには浦和GK山岸も攻撃参加。
このプレーの直後に120分間終了を告げるホイッスルが。

浦和に競り勝ったG大阪。3連覇まであと2勝。
29日にはエコパで清水と対戦。

2年間浦和を率いたフィンケ監督。
この敗戦でチーム最後の指揮となった。

同じくレバークーゼン移籍のため細貝もこれで退団。
勝ってチームを離れることはできず。


両チームを退団することが決まっている2人のブラジル人選手。
ポンテ(上)はこれが浦和で最後のプレーに。
ルーカス(下)は元旦までG大阪でプレーできるか。