脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

鹿島を崩せず、鹿島に崩されず ~28節 VS 鹿島~

2008年10月04日 | 脚で語るガンバ大阪
 実力伯仲の好ゲームだった。リーグ制覇のためにも双方負けられない試合は、0-0のスコアレスドローに終わった。G大阪にとっては、この鹿島戦の勝敗がリーグ上位に顔を出すためにも重要だっただけに勝っておきたかったが、鹿島を崩すことはできなかった。

 

 両者前半からペースを分け合った。ミスの少ない試合に緊張感が漲る。G大阪はロニーと山崎の2トップが鹿島の厚い守備の前にスペースを見出せず苦しんだ。特にロニーは前半からボールに絡もうと中盤まで下がってくる傾向が顕著に。前線で張り続ける山崎との関係も乏しく、チャンスはほとんど作れない。ポゼッションの起点になる遠藤と二川が左右にボールを散らしてゲームを組み立てるが、シュートで終わる場面がなかなか見られなかった。カバーリング能力に長けた明神が出場停止明けで復帰したこともあって、橋本と共に集中して危険なエリアをケアし続けたことはDF陣にもかなり心強いものだった。

 
 司令塔の遠藤と前線でチャンスを狙った山崎

 
 日本代表にも選出された興梠を山口がマークする

 8分に山口のバックミスをマルキーニョスにさらわれ、あわや失点のピンチを迎えるが、相手のミスに助けられる。しかし、飛び出したGK藤ヶ谷がマルキーニョスと交錯した際に負傷していたのだ。痛みを堪えながら藤ヶ谷はその後プレーを続けた。
 16分に遠藤の左CKは鹿島GK曽ヶ端が触れず、ファーサイドに流れる。ここで瞬時にボールに反応して足を出したのが中澤だったが、かろうじて足を当てたボールは無情にもバーを直撃。決定的な場面だったが、得点を奪うことができない。
 その後、鹿島が徐々に攻撃の形を作り、30分に中後、34分に本山がシュートを放つなどG大阪DF陣にとっては集中の必要な展開が続いた。だが、37分に藤ヶ谷が途中交代。前回の鹿島戦に続き、またもや松代が途中出場し、これで貴重な交代カードを1枚使ってしまったのはアンラッキーだった。

 
 16分のチャンス 遠藤のCKはファーサイドに抜けていくが・・・

 
 両チームの攻撃のキーマン 二川と本山

 
 藤ヶ谷は前半終盤に無念の負傷退場

 後半、機能しないロニーを諦め、ここ数試合で調子の良い寺田を投入。中盤をさらに活性化させ、2列目からのチャンスメイクと得点を期待させた。54分に二川、58分に明神がミドルシュートを狙うが枠を捉えられず。やはり1トップにしたことによるエリア内までの攻撃の厚みが物足りない。62分にエリア内まで迫った際の攻撃の形が物語るように、MFが1人ボールを持った際に両MFは開いており、クロスまでの形は容易に作ることができるのだが、前線にスペースが無く、パスがほとんど足下に繋がるだけという場面が目立った。ボランチも含めた守備陣が素早いプレスで鹿島の攻撃を良く凌いでいただけに、何とか拮抗を打開できる1点が早い時間に欲しかった。
 71分に播戸を投入し、エリア内に向かってFWが飛び出せる形が作れるようになったが、鹿島の守備陣が集中力を切らさない。最後まで白熱した攻防は、両チームの守備が光ったこともあって、スコアレスドローで終えることになった。

 
 59分明神がミドルシュートを狙う

 
 播戸は途中出場で攻撃の形を作ったが・・・

 
 78分には橋本がゴールを狙うもシュートは枠外へ

 ここ数試合で、ロニーがチームに慣れてきたせいか、ボールを求めすぎる嫌いが見え、中盤との連携が良くない。遠藤とポジショニングが重複し、攻撃が停滞する場面が前半も多く見られた。単純な比較で見ても、スペースに果敢に飛び出していく後半の播戸の方が幾分か動きは良く、攻撃にリズムをもたらした。そして、寺田の動きが依然良い。視野が広く、中央に入っていってプレーもできるため、遠藤や二川がサイドに開いてクロスを供給できるなどもう少し長い時間起用したところだ。
 となれば、試合開始からの4-5-1という選択肢もあると思うが、FWがコンスタントに点を取れていない今、スタート布陣において何らかの組み換えが必要なのかもしれない。すぐ水曜にはACLの大一番浦和戦が控える。今日の鹿島戦、負けなかったことで気持ちは切れていないはず。ホームで先手を打つためにも、今日の守備陣の集中力とそれに報いる攻撃力をここで見せて欲しい。