脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

ここが試練、A・マドリー

2008年10月14日 | 脚で語る欧州・海外
 14日、UEFAチャンピオンズリーグのグループステージ第2節A・マドリーVSマルセイユ(10月1日分)において、暴力行為と人種差別行為があったとして、A・マドリーに対して15万ユーロ(約2,100万円)の罰金と残りホームゲームの遠隔地開催が罰則として科せられることが決まった。

 好調さをアピールするチームにとって非常に残念な話題だ。12シーズンぶりのチャンピオンズリーグの舞台に戻ってきたA・マドリー。緒戦のPSV戦をエースであるアグエロの2ゴールとマニシェのゴールで粉砕。続くマルセイユ戦は長年待ちに待った欧州最高峰の舞台にホーム、ビセンテ・カルデロンが熱狂に湧いた。試合はアグエロの開始早々の先制点にラウル・ガルシアがFKを直接決める展開で、前半から流れを決めた。

 その2節の試合の中で、サポーターによる暴力行為と人種差別行為があったようだ。対戦相手のマルセイユには、アフリカを中心に多数の黒人選手が在籍し、この試合唯一のゴールもセネガルのニアングによるもの。確かに2節の試合の中でも12シーズンぶりにアンセムに沸き返るビセンテ・カルデロンは印象的だった。沸き返る熱狂が応援を盲目的にしてしまった。今季6節終了時点でスタートダッシュにぐずついたリーガでの戦績(現在3勝3敗)を考えると、連勝で華々しいカムバックを遂げた欧州の舞台はサポーターにとって、大きな希望になっているはずなのだが。

 サポーターの熱狂が生み出してしまった大きな過ち。チームは今後、ホームタウンのマドリードから最低300キロは離れた遠隔地での試合を余儀なくされる。次節の相手は同じくグループDにおいて、連勝スタートと波に乗るリバプール。最も強敵と対峙する試合で、このハンディキャップを背負うことは確実にチームの命運を左右してきそうだ。真価を問われる大一番を前に、12シーズンぶりに欧州最高峰の舞台に帰ってきた古豪が窮地に立たされた。

 まだ、グループステージは残り4試合。順風満帆なエース、アグエロを中心にセンセーショナルな連勝を見せた彼らのスタートダッシュはサポーターの不祥事によって、一旦チャラになったと言って良いだろう。決して油断のできない戦いが続く中で、この試練を乗り越えればA・マドリーにもまだ光は見えそうだ。