脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

示した貫禄 -EC3回戦 VS福岡大-

2009年10月31日 | 脚で語るガンバ大阪
 前年度王者のG大阪が天皇杯3回戦で迎えた相手は、今季の総理大臣杯を制して夏の大学王者に輝いた福岡大。2戦連続で大学勢を迎えたG大阪は“王者の貫禄”をしっかり誇示する6-1の快勝劇を演じてみせた。

 

 松代を新型インフルエンザで、明神を体調不良で欠くG大阪は、右MFに佐々木を起用。遠藤と橋本の2ボランチで臨んだ。左SBはリーグでもこの2試合定位置となっている高木。福岡大はU-20日本代表FWの永井を中心に攻撃を仕掛けたいところ。しかしながら、試合は特にメンバーを落とすことなく挑んだG大阪の一方的な展開となった。

 
 大学生相手に抜かりなくメンバーを揃えたG大阪。
 リーグ終盤戦を見据えてFWペドロの連携構築が急務だ。

 
 試合は終始G大阪ペース。
 ルーカスがボールを運びチャンスを量産する。

 
 幾度か決定機を逸し続けていたG大阪。
 21分に遠藤が直接FKを鮮やかに決めて先制する。

 
 再三サイドからクロスを供給し続けた佐々木。
 71分に足を痛めて途中交代するも先発の期待に応える。

 遠藤のFKで先制したG大阪は、序盤から何度も決定機を作っていたルーカスが33分に追加点を決めて試合の流れを決めてしまう。リーグ優勝を狙うG大阪として急務課題の一つであるFWペドロとのコンビネーションで相手DFを完全に崩した。

 
 夏の大学王者の意地が後半序盤に爆発。
 50分に永井がエリア内でボールを持ち込んで1点を返す。

 
 1-2と追い上げ、盛り上がる福岡大イレブン。
 しかし、この後は手も足も出ない展開に・・・

 福岡大はゴールを挙げられるとすれば永井しかいなかった。セットプレーからの展開から一矢を報いたが、G大阪に対して前半のうちにFW高橋を投入し、前がかりに挑んだ福岡大のミッションが結実した瞬間だった。しかし、その4分後にG大阪はルーカスがこの日2点目となるミドルシュートを難なく決めて突き放す。

 
 58分にはルーカスが落としたところに右サイドから加地が加点。
 福岡大・永井とのマッチアップが多かったが、守備でも貢献。

 
 この日も左SBで先発出場だった高木。
 64分に下平の投入でCBへシフトしたが、安定感では断然CB。

 加地が久々の得点を挙げれば、64分にはルーカスがハットトリックとなる得点で更に点差を広げる。福岡大も前半の藤田のFKや後半の宮本のミドルなどチャンスを迎えることはできるが、GK藤ヶ谷のセーブに阻まれ続けた。

 
 ペドロに代わって後半から出場のチョジェジン。
 イージーな決定機を決められないなど少々精彩を欠いた。

 
 87分に途中出場の下平がチームの6点目となる追加点。
 悠々と攻撃参加する姿が非常に印象に残った。

 
 圧勝は想定内か、リーグラスト4試合に備えたい西野監督。
 藤田、末吉・・・彼の心を射貫いた選手はいただろうか。

 
 大学生相手に2試合で11得点。格の違いを見せるG大阪。
 4回戦の相手は鳥栖に決定。狙うはリーグとの二冠しかない。

“胸を張って”愛媛へ

2009年10月28日 | 脚で語るJリーグ
 非常に嬉しいニュースが入ってきた。かつて名古屋やFC東京、仙台で活躍し、2004年から海外各国を転戦していたFW福田健二が日本に帰還するという。来季よりJ2・愛媛FCに加入が決まった。

 彼の活躍はサッカーファンなら周知の通り。トルシエ監督時代には五輪代表候補にも選出され、Jリーグでプレーした後にパラグアイ、メキシコ2クラブ、スペイン3クラブ、ギリシャ(スペイン2部ヌマンシアまでは仙台からのレンタル移籍)と各国を渡り歩いた。日本では結果を思うように残せなかったが、海外では決して陽のあたるメジャーシーンではないものの、堅実にその名を残してきている。今回の移籍はギリシャで所属していたイオニコスからの契約解除によるものだが、様々な縁や巡り合わせもあったのか、とにかく愛媛への加入が決まったことは実に感慨深い。

 福田といえば、習志野高校出身のプレイヤーだが、生まれ故郷は愛媛である。彼が千葉へ移住するまでの辛いエピソードは、小宮良之氏によって、かつて「Number」にも掲載(2005年9月22日号『福田健二 遺書』)されており、詳しく知ることができる。この手の雑誌を購読している方ならその衝撃は今でも忘れられないはずだ。母親の自殺、そして残されたたった三行だけの遺書にはサッカー選手としての大成を案じる願いが込められていた。そんな辛い思い出も渦巻くであろう故郷の愛媛が福田の新天地となるのだ。この運命に何かの意味を感じずにはいられない。

 そういえば、自分が現在奈良クラブでプレーする矢部次郎(かつて福田と共に名古屋でプレーし、現在も交流が続く)と知り合うきっかけになったのも、その小宮氏がサッカーダイジェストに寄稿する記事の取材の場であった。奈良市内のとあるカフェで、たまたま2つほどテーブルを挟んで読書に耽っている自分の耳に「福田健二」という名前が聞こえてきた。当時の小宮氏が精力的に福田を取材していたことは既知。そういえばどこかで見た2人だと気にしていた自分にとっては、それが確信へと変わった瞬間であり、声をかけさせてもらったのを覚えている。

 余談はさておき、とにかく福田の日本での活躍を応援している。登録期間の問題で、おそらく出場は来季からになると思うが、地元のファンにとっては、「おらがクラブ」にトップレベルでのプレーを経験した選手が加入することは当然ながら、その地を生まれ故郷に持つならば、尚更その選手の意味性は増す。ファンの感情移入もより一層高まることであろう。Jリーグと地域リーグの違いはあれども、彼と交流を持つ矢部がこの奈良の地で体現しようとしていることからも、それは自明である。

 福田健二が“胸を張って”愛媛に帰ってくる。まだまだ挑戦中のサッカー人生を頑張って欲しい。

社会人サッカーサバイバルシーズン到来

2009年10月27日 | 脚で語る奈良のサッカー
 奈良県リーグもいよいよプレーオフに突入。25日より大和高原ボスコヴィラにてリーグ上位4チームによる戦いの火蓋が切って落とされた。

 今季のプレーオフに臨んでいるのは、リーグ1位の大和クラブ、2位ディアブロッサ高田FCフォレット、3位Atletico、4位FCTAKADA2001という顔ぶれ。プレーオフではアドバンテージとして、1位チーム勝点3ポイント、2位チームに勝点2ポイント、3位に1ポイントが付与されており、これが更にこの戦いの行方を面白くさせそうである。

 25日の第1戦では、なんとこのアドバンテージを活かしたい上位2チームが揃って敗戦(フォレット1-2Atletico、大和クラブ2-3FCTAKADA)。いきなりそのメリットを失ってしまう波乱の幕開けとなった。これで4チームが勝点2ポイント内にひしめく混戦のまま第2戦目(11/1に開催)に突入する。

 しかし、大本命のポルベニルカシハラが最終5位でフィニッシュしたことでプレーオフに進出できず、これまで2シーズン連続で9位に甘んじていながら、今季は4位と躍進を遂げたFCTAKADA2001が進出を果たすなど新風が吹き込んでいる。来季は強豪・JSTが戻ってくることもあり、リーグ編成がどうなるか注目だが、やはり2年連続で県リーグから関西リーグにチームを送り込みたいのは県社会人サッカーシーンとしても本音だろう。府県決勝大会にどこが進出できるか今から楽しみである。

 関西の他府県の様子を見てみると、お隣の大阪府では今季はFC大阪と岸和田クラブの上位2チームが府県決勝大会への進出を決めている。特にここまで13試合で54得点11失点と格の違いを見せつけるFC大阪の強さは脅威。G大阪や鳥栖、和歌山などで活躍したFW羽畑が得点ランキングでもトップを走るなど、経験者を揃えながら非常に安定した戦いを見せるこのチームは今季の関西リーグ昇格最有力候補であることは間違いない。
 京都では奈良と同じく決勝ラウンドの真っ最中。久御山FCと三葉キッカーズAがそれぞれ三菱自動車京都、京都伏見蹴友会と対戦して初戦を勝利している。
 和歌山では、名門・紀北蹴球団が1部リーグを優勝して府県決勝大会への切符を掴んでいる。紀北の関西リーグ復帰はなるか。残りの1枠を紀州FC、海南FC、橋本FCが追う状況となっている。
 滋賀では、FC TOJITSUが滋賀県1部リーグを制覇。続いてヴィオラSCが2位に食い込み全日程を終了している。これに3位・守山侍2000、4位・BSC U-23を加えた4チームでのプレーオフでの結果、府県決勝大会に進出する2チームが決まる。
 県1部リーグの日程もいよいよ大詰めの兵庫では、関学クラブ、ヤンマー尼崎、セントラルSCの3強に府県決勝大会の切符は絞られている。残り2試合を残すセントラルSCが有利な展開だが、負けられないヤンマー尼崎がどこまで粘れるか注目だ。

 奈良だけでなく、各府県いよいよ大詰め。関西リーグを目指したサバイバルシーズンが冬の足音と共に今季もやってきた。 

スコア以上の快勝劇 -MIOびわこ草津VSV・ファーレン長崎-

2009年10月26日 | 脚で語るJFL
 JFLは後期第13節を迎え、今季は残り5試合となった。滋賀・皇子山では上位進出をを窺う9位・MIOびわこ草津が7位のV・ファーレン長崎と対戦。予想以上に連動したサッカーを見せたびわこが3-0と完勝を収め、長崎を抜いて7位に浮上した。

 

 スコア以上の圧勝劇となった。前半から優勢に試合を組み立てるびわこが攻守で長崎を圧倒する展開。特に中盤のプレスが大変機能していたびわこは、高い位置でボールを奪うと、アラン、木下、安里と前線の選手たちが躍動する。前半こそスコアレスで折り返したが、後半に効率良くびわこは得点を重ねた。

 
 自身の得点こそ無かったものの、縦への突破力は脅威。
 びわこはアランがボールを持てばスタンドが沸いた。

 
 びわこはMF浦島を中心に中盤の守備が機能。
 自身も前後半で3度の決定機に絡むなど攻撃でも貢献。

 
 前線にボールを運びたい長崎。
 しかし、DF畑、谷口で固められたびわこの守備を崩せず。

 
 攻め続けるもゴールが遠かったびわこは52分に先制。

 
 MF中濱が中央へ入ったボールに瞬時に食らいついた。
 これで俄然盛り上がるMIOびわこ草津。

 
 64分にはMF安里が一人で持ち込み追加点を決める。
 5ヵ月ぶりの皇子山、スタンドの盛り上がりは最高潮に。

 
 びわこは更にパス能力に長けたMF田中を投入。
 長短織り交ぜたパスで長崎の守備網を混乱させる。

 
 攻撃の止まらないびわこ。
 84分にFW木下が持ち込みシュート。

 
 これに安里が滑り込んで3点目を挙げる。
 まさに試合を決定づける1発だった。

 
 長崎は途中から佐藤を投入して反撃に転じようとするが・・・
 びわこの前にほとんど何もできず、完敗を喫した。

 
 好ゲームを演じて前節から完封勝利の2連勝を果たしたびわこ。
 前回の皇子山開催より遙かにスタンドの観客は多かった。

 中位チーム同士、実力的にはほとんど差はないかと思われたが、びわこが攻守に非常に機能されたサッカーを見せての圧勝であった。現在得点ランキング2位につけるFW木下を中心に、総得点ではリーグでも3位タイの攻撃力はいかんなく発揮されており、守備でも細貝、谷口、畑、桝田のDF陣がボランチとの隙間を埋めるハイラインぶりでチームのプレッシングサッカーに大きな貢献を果たしていた。
 加えて、子供たちから年配の観戦者まで多くの観客で埋まった皇子山のスタンドもホームチームを後押ししたのではないだろうか。物販スペースも充実しており、「滋賀からJリーグへ」という機運は2年目のJFLで健闘を続けるMIOびわこ草津によって徐々に盛り上がりを見せている。

 Jリーグ準会員ではないので、現実的な目標とはならないが、今季びわこが4位以内に食い込む可能性はまだ十分にありそうである。少しでも順位を上げて、県内だけでなく国内全域にその力をアピールできるか。間違いなく総合力を上げつつあるびわこにとってはそれは難しいことでもなさそうだ。

大分、古都にて力尽きる -京都VS大分-

2009年10月25日 | 脚で語るJリーグ
 J1リーグはラスト5試合を迎え、優勝争いと共に降格争いも激戦が最終局面を迎えつつある。西京極で行われた京都と大分の対戦は1-1のドローに終わり、大分のJ2降格が決定することとなった。
 J1・J2入れ替え戦が廃止された今季よりJ1下位3チームとJ2上位3チームが自動的入れ替わる形になっている。大分は、残り4試合を全勝しても勝点が32ポイントで15位以上に届くことはない。昨季のカップ王者が8シーズンぶりのJ2に戦いの場を移すことになった。

 
 京都は4年間に渡って大分を支えたマルハン創業の地。
 試合前にサポーターがマルハンに感謝の意を示す。

 

 “勝ち続けるしかない。”崖っぷちの大分にとってはこれが至上命題だった。前節の清水戦に勝利してここまで5試合負けなし。今季のリーグ14連敗という悪夢を清算するにはあまりに過酷であった。しかし、選手とサポーターの目は死んでいない。そんな大分の執念が前半からにじみ出ていた。

 
 
 
 開始6分、大分・高橋が左サイドからそのまま持ち込む。
 ゴールを射貫いた先制弾はチームに活力を与える。

 
 13分には京都・DFイジョンスが2枚目の警告で退場処分に。
 序盤から大分は数的有利な立場を得る。

 
 しかし、徐々に京都に傾く流れ。
 21分には右サイドを京都・FW林に突破されて同点にされる。

 
 34分、大分の決定的チャンス。
 GKが弾いたところに高橋が詰めるが、わずかに決められず。

 
 チャンスあればピンチあり。
 50分に京都・中谷のシュートをDF菊地がなんとか防御。

 
 大分、最大の誤算はMF家長の負傷退場か。
 58分に足を引きずりながらフィールドを後に。

 
 喉から手が出るほど1点が欲しい大分。
 フェルナンジーニョを起点に後半攻勢に。

 
 チーム在籍10年目、大分一筋のFW高松。
 チームに残されたわずかな可能性を主将として掴みたい。

 
 水本を中心とした京都の守備に追加点が遠い大分。
 終盤には京都のシュートを立て続けに食らう苦しい展開。

 
 無情にも1-1のままタイムアップ。
 降格の決まった大分の選手・スタッフがゴール裏に揃う。

 
 しかし、大分サポーターのコールは止まなかった。

 最後まで攻めあぐねた大分。負けはしなかったが、最も欲した勝利は手に入らず。カップウィナーとしてプレシーズンのパンパシ出場が響いたか、今季は度重なる負傷者に悩まされたこともあり、既に中盤戦の頃にはチームの命運は決まっていたのかもしれない。
 印象的だったのは、試合後のサポーター同士のエール交換。京都サポーターから大分に向けて「大分トリニータ」コールが叫ばれたかと思いきや、大分サポーターからも「京都サンガ」コール。そういえば、京都は唯一3度のJ2降格を経験しているチーム。そのコールには「必ず1年で這い上がって来いよ」というメッセージが込められていたに違いない。

 ここで大分の挑戦が終わってしまう訳ではない。残されたリーグの4試合、そして来季の戦いで九州唯一であるタイトルホルダーとしての意地とプライドを見せてくれることだろう。

今季を総括して来季への布石へ -KSLカップ VS京都紫光-

2009年10月24日 | 脚で語る奈良クラブ
 関西の地域リーグは、24日より秋のリーグカップ・KSLカップが開幕。奈良クラブは、初戦を同じDiv2の京都紫光クラブと対戦し、4-0と勝利を収めた。

 

 リーグ最終戦(後期第8節)のディアブロッサ高田戦を踏襲する若手主体のメンバーが先発の大半を占めたこの試合。トーナメント戦がゆえにとにかく勝てば良いという状況の中で、最終的には4得点を生み出す展開に。徐々に自分たちの形を作ることができた。

 
 前半の立ち上がりこそ動きの固かった奈良クラブ。
 京都紫光クラブに攻め込まれる場面もしばしば。

 
 成長著しい若手DF岡元はこの日も90分間フル出場。
 新潟戦でも途中出場で経験値を積み、堂々としたプレー。

 
 右サイドバックへのコンバートに挑戦中の蜂須賀。
 機を見た攻撃参加で25分の畑中の先制点をアシスト。

 
 10月に入って6得点の荒稼ぎ。ストライカー顔負けのMF畑中。
 この日も3得点で勝利に貢献。あとは好不調の波を無くしたい。

 
 快足FWの嶋も途中出場で1得点。
 今後も攻撃のオプションとして期待がかかる。

 自分たちのリズムさえ作れば、あとは攻撃がスムーズに組み立てられる現在の奈良クラブ。ベストメンバーでなくても得点力の高さと中盤の連動力を改めてアピールした試合となった。特に後半、矢部が入った際に見られたダイレクトパスを多用する崩し方は得点にも直結し、鋭さを見せた。あとは時折見られるロングボールからのカウンターへの対処。今季通じて高めのライン設定が仇となるウィークポイントを改善していきたいところだ。

 このリーグカップは、Div1とDiv2混同で行われるトーナメント戦。来季からDiv1で戦う奈良クラブにとっては、Div1との力試しとして絶好の機会。優勝を目指すと共に、来季へ向けた課題点などを総括する大会にしていきたいところだ。
 次戦はもう準々決勝。相手は地域決勝にも出場するDiv1のAS.ラランジャ京都が濃厚。またとないチャンスであることは間違いない。

松本と山口の因縁 -全国地域決勝組み合わせ決定-

2009年10月22日 | 脚で語る地域リーグ
 今季の全社も終わり、直ちに11月21日より開幕する全国地域リーグ決勝大会の組み合わせが発表された。

 出場全16チームを1次ラウンドの会場別に確認してみると・・・
<Aグループ>(福島・いわきグリーンフィールド)
・グルージャ盛岡 (東北/岩手)
・札大GP (北海道)
・NTN岡山 (中国②/岡山)
・Y.S.C.C. (関東①/神奈川)

<Bグループ>(富山・高岡スポーツコア)
・日立栃木ウーヴァSC (関東②/栃木)
・JAPANサッカーカレッジ (北信越/新潟)
・AS.ラランジャ京都 (関西②/京都)
・矢崎バレンテFC (東海②/静岡)

<Cグループ>(鳥取・コカコーラウエストスポーツパーク)
・沖縄かりゆしFC (九州①/沖縄)
・レノファ山口 (中国①/山口)
・松本山雅FC (社会人/1位)
・浜松大学FC (東海②/静岡)

<Dグループ>(高知・春野総合運動公園球技場)
・ツエーゲン金沢 (社会人/2位)
・徳島ヴォルティス・セカンド (四国/徳島)
・ヴォルカ鹿児島 (九州②/鹿児島)
・三洋電機洲本 (関西①/兵庫)

 今季は福島、富山、昨年に続く鳥取、高知という4会場に分かれている1次ラウンド。まず、組み合わせを見て驚いたのはレノファ山口と松本山雅が2年連続で同グループに顔を揃えたことである。昨季の1次ラウンドをこの目で観た者としては、何か因縁めいたものを感じずにはいられなかった。
 それもそのはず、昨季の全国地域決勝1次ラウンドグループCの最終日(2008年11月24日)、この2チームは直接対決している。雨中のとりぎんバードスタジアムで行われた試合は、共に2勝で並ぶ両チームが決勝ラウンド進出を決めるための天王山となった。1-1のまま試合はPK戦に突入し、大会屈指の“死闘”となったのは記憶に新しい。この試合の同点ゴールを決めた松本山雅・DF阿部がPKを外し、5人全員が決めたレノファ山口に決勝ラウンドへの道が開かれた(詳細はこちら)。
 またしても同グループ、同じ鳥取、そして直接対決も3日目と、全ての舞台が用意されている。それが松本山雅のリベンジの舞台になるか、山口が再び旋風を巻き起こす舞台になるのかは分からない。何か昨年以上のドラマがそこには待っている気がするのだ。

 他のグループを見渡すと、一見、強豪チームが分散されて均衡のとれた組み合わせになっているように思える。しかし、Aグループの盛岡、札大GP、Y.S.C.C.が顔を合わせるように、地域リーグだけでなく全社で善戦したチームが混在することもあって予想は当てにならない。BグループのJSC、日立栃木、Dグループの金沢と徳島2ndという顔合わせもなかなか面白そうである。
 関西勢は三洋電機洲本とラランジャ京都が参戦するが、1位のみが決勝ラウンド進出を許される過酷なこの大会で結果を求めるのは酷かもしれない。

 注目は、間違いなく北信越勢。JSC、松本山雅、金沢が揃ってアルウィンでJFL昇格を争うということもあるかもしれない。テレビでは観ることのできない国内サッカー屈指のドラマが今年も繰り広げられる。

雷鳥が全社の頂に立つ

2009年10月21日 | 脚で語る地域リーグ
 全国社会人サッカー選手権大会は、20日から21日にかけて準決勝及び3位決定戦、決勝戦が行われた。優勝は北信越リーグを戦う長野県の松本山雅FC。昨日行われた準決勝の信州ダービー・AC長野パルセイロとの大一番を制して、決勝戦でツエーゲン金沢に2-1と勝利。初の全社優勝を成し遂げ、来月から始まる全国地域リーグ決勝大会への切符を掴んだ。尚、準優勝のツエーゲン金沢も全社枠での全国地域リーグ決勝大会への進出を決めた(試合の詳細はここからJリーグを参考)。

 まさに執念の優勝といえる。最後に観戦した準々決勝の日立栃木UVA戦では、相手に押し込まれる場面も多く、PK戦でようやく勝利を手にした。2日連続で延長戦に追い込まれるその有様は、まるで天皇杯・浦和戦のジャイアントキリングが嘘のようであった。
 ところが、準決勝で対峙したのが県内、そして北信越でも最高のライバルである長野だったことが彼らの魂に火を灯したのか。3-1と完勝した松本山雅はその時点で地域決勝の切符を獲得。その勢いは優勝という最高の結果すら手に入れた。
 先週に天皇杯で史上最高レベルの番狂わせを演じてしまったことが、逆に大きなプレッシャーにもなったであろう。今季の地域決勝の決勝ラウンドがアルウィン開催ということも考えれば、リーグで地域決勝の出場権を得られなかった松本山雅の背負う重圧は非常に大きかったはずである。連日のように会場に詰めかけたサポーターの存在とそれに5日連続で応え続けたチームの努力には頭が下がるばかりである。本当に敬意を表したい。

 準優勝の金沢も非常に完成されたチームだった。このカテゴリーではなかなか見られないブラジル人トリオと根本、広庭、古部らを中心に良く連動されていた。特にセットプレーをはじめ、空中戦の強さは特筆すべき。CBの諸江が3試合連続で4得点を全て頭で叩き出している。無論、そこには精度の高いクロスを配給できるというストロングポイントがあるというのも重要である。
 金沢も連日多くのサポーターが詰めかけていた。初となる地域決勝の舞台。このままJFL昇格まで掴みとれるか、来月から始まる大会には要注目である。

 そして大会最大のサプライズは、tonan前橋の3位でのフィニッシュ。組み合わせに恵まれた面は大きかったと思うが、それでもベスト4の中では唯一の地域リーグ(関東リーグ)2部に属するチーム。そういえば、一昨年の天皇杯で彼らは奈良で1回戦を戦っているのだが、その時は天理大に敗戦を喫する(当時は群馬県リーグ所属:図南クラブ)レベルであった。昨年の全社では1回戦で沖縄かりゆしを撃破。チームも来季は関東リーグ1部に昇格を決めているということだから、この急成長ぶりは著しい。奈良クラブと状況が重なるが、現状では運営面も戦績も遥かにこちらの方がレベルは上だ。刺激を受けずにはいられない。

 一方、そのtonan前橋に3位決定戦で敗れたAC長野パルセイロ。2回戦だけ観ると非常に盤石な印象を受けたが、連日の戦いが堪えたのか。準々決勝の九州INAX戦がPKによる決勝点の1-0とだったことも考えれば、その辺りから疲れが顕著だったのかもしれない。“ダービー”という通常以上に意味を付与された準決勝を制することができなかったのが痛かった。

 
 準々決勝までが行われた市原スポレクパーク。
 天然芝フルコート3面、人工芝フルコート1面を備える。

 
 住宅地に囲まれた八幡公園球技場。
 ネットが張り巡らされているが、ピッチは近くに望める。

 それにしても、国体のリハーサルを兼ねた運営面でも好印象を受けた今季の全社。市原というコンパクトなエリアで催行されたことで、徒歩圏内でのサッカー環境(八幡公園球技場、市原スポレクパーク)の充実ぶりを実感することもできた。首都圏に近いが、お世辞にも都会というイメージではない市原市。もちろん、頭を過ぎったのはサッカーグラウンドになかなか恵まれない奈良の風景だというのは言うまでもない。

 
 選手を労う近くの小中学生による鉢植え。
 市原スポレクパークの至る所に置かれていた。

 さて、来季は山口県で行われる全社。もちろん、奈良クラブもそこには出場しているはずである。

息切れガンズ、苦しみの1勝 -全社 日立栃木VS松本山雅-

2009年10月19日 | 脚で語る地域リーグ
 市原スポレクパークAグラウンドで行われた第2試合は、松本山雅FCと関東リーグの雄、日立栃木UVAが対戦。前日のFC岐阜SECOND戦で延長戦の末に薄氷の勝利を収めた松本山雅がこの日も大苦戦を強いられる展開に。1-1と延長戦だけで決着がつかずにPK戦まで突入した試合は5-3で何とか松本山雅が勝利した。

 
 ガンズサポーターはこの日も健在。
 アルウィンに帰るために、JFLに上がるために声援は止まない。

 
 
 この日の松本山雅は、定番の2トップである柿本と小林を温存して試合に臨むが、前半から試合の主導権を握ったのは日立栃木。かつてFC東京に在籍した前田を起点に俊足FWの高橋、長身ストライカー三輪などの攻撃陣が連動してゴールに迫る。31分にその攻撃の中軸を担う前田が先制点を決めて試合をリードする。立て続けにシュートを放つ日立栃木のペースに効果的な打開策を見出せない松本山雅だった。

 
 日立栃木はDF栗原が松本山雅の攻撃陣をシャットアウト。
 187cmの体躯的長所が至る場面で発揮されていた。

 
 松本山雅は若手の新中をFWの先発に起用。
 しかし効果的な仕事はできず。右は日立栃木のMF前田。

 
 1点が遠い松本山雅は後半に柿本と小林を投入。
 勝利のために致し方なしか。

 
 敗戦すら頭を過ぎった78分、小林のクロスに山崎が決める。
 機を見た攻撃参加が実を結んだ。

 
 想定外かはたまたこれが今の実力か。2日連続の延長戦に。
 MF今井がゴール前にボールを繋ぐ。

 
 80分で決着がつかずに試合はPK戦へ。
 日立栃木は4人目の石堂がGK原にキックを阻まれる。

 
 これを決めれば勝利、松本山雅の5人目は阿部。
 見事に決めて、昨年の鳥取での自らのPKミスの悪夢を払拭。

 
 苦しみの末に掴んだ貴重な1勝。
 彼らの執念が呼び込んだのか。それにしても疲弊は著しい。

 
 多くの場面で松本山雅を凌駕した日立栃木。
 この勝負を分けたのはわずかな運と言っても良いかもしれない。

 何とか勝利を収めた松本山雅だが、2日連続の延長戦をこなしたことによる準決勝への影響は明白だろう。しかも相手は宿敵・AC長野パルセイロ。上を目指す長野の2チームが順当に顔を合わせることになった。双方にとってクラブの命運を懸けた戦いになることは言うまでもない。
 対する日立栃木は堅実かつクリエイティブな好チームだった。特に前線の連動ぶりでは完全に格上だった。つくづく関東リーグのレベルの高さを思い知った試合でもあった。

 さて、こちらでお届けする全社のレポートはこれにて幕を閉じる。明日から始まる白熱の準決勝は北信越勢の動向に要注目。速報性に優れた現地レポートに定評がる龍星ひかる氏の「ここからJリーグ」にてお楽しみ頂きたい。

Z警報発令中 -全社 讃岐VS金沢-

2009年10月19日 | 脚で語る地域リーグ
 3日目を迎えた全国社会人サッカー選手権大会。市原スポレクパークに一本化された準々決勝ではベスト8に残った8チームが4試合を戦った。

 

 第1試合では、カマタマーレ讃岐とツエーゲン金沢というこのカテゴリー屈指のマッチアップが実現。双方地域決勝への切符を意識したハイレベルの試合運びを見せ、巧みな試合運びで2-1と勝利した金沢が準決勝に駒を進めた。

 
 讃岐は散らし役に徹する吉澤が試合を組み立てる。
 序盤からペースを握ったのは讃岐の方だった。

 
 互いに出方をうかがう前半の戦い。
 讃岐の攻勢を上手くかわす金沢。古部が機を見て攻める。

 
 讃岐はFW佐藤やDF下松がチャンスを迎えるが得点ならず。
 MF下平がゴール前までボールを運ぶが得点には至らず。

 
 金沢は徐々に本領発揮。デニスとクリゾンのコンビが脅威。
 先制点を生み出したのはデニスの折り返しから。

 
 42分に先制したのは金沢。
 込山がデニスの折り返しを頭で決める。

 
 後半に入って気持ちを切り替えた讃岐。
 59分にFW森田が左からのクロスにヘッドで同点弾を決める。

 
 これも想定内か金沢。決して焦らず攻勢は衰えず。
 俺を忘れるなとクリゾンがドリブルで持ち込む。

 
 73分、金沢の追加点は根本の巧みなCKから生まれた。
 攻撃を自重していた根本は後半に本領を発揮。

 
 その根本のキックに合わせたのはCBの諸江。
 うまくマークを外し、値千金の勝ち越しゴール。

 
 セットプレーで効率的な得点を叩き出す金沢。
 あとは試合をクロージングするのみ。

 
 途中出場の金沢・秋田と讃岐・神崎が競り合う。
 07年の熊谷の悪夢を経験した元チームメイトがマッチアップ。

 
 前半はセーブして臨んだ金沢の試合巧者ぶりが冴えた試合。
 地域決勝進出が見えてきたか。次戦はtonan前橋が相手。

 このカテゴリーにおける至極のマッチアップは金沢に軍配が上がった。金沢はおとなしい前半の試合運びにおいて讃岐の様子をじっくり窺った形。外国人トリオだけでなく、各ポジションで得点の奪える幅の広さを披露。
 対する讃岐は、攻撃に転じる際に最終ラインからのビルドアップが上手く機能せず、高い位置で金沢にボールを奪われた印象だ。

 現時点で準決勝のカードで有利な山にいる金沢。これで地域決勝の枠は見えてきたといっても良いだろう。