神戸戦から中2日で迎えたホームでの大宮戦。11分にセットプレーからルーカスのゴールで先制するも、前半のうちに大宮FW吉原に古巣への一発を見舞われ同点。68分に中澤の初ゴールで魂を見せてくれるも、そのまま2-1から追加点を奪えず、挙句の果てには終了6分前に2点を叩き込まれ見事に逆転勝利を献上。かつて優勝を経験する前によく見られた展開に万博からは容赦ないブーイングが舞った。
「ここ2年は最初に抜け出して、終盤に失速した。1年は長いし、引きずるのはよくない」とこの日戦列に復帰した播戸が言っていたように、確かにここ2年はリーグの序盤から安定した戦いぶりを見せて、秋あたりに失速するお決まりのパターンであったが、確かにその逆、つまりは昨季の鹿島のような状況をイメージすれば簡単なことだ・・・
なんて理屈では間単に言えるが、さすがにゴール裏のサポーターの落ち込みは激しい。「打ち合いでは負けない」、「超攻撃」なんてキーワードが過去の話。この4試合で勝利は無しと、近年の序盤戦にはなかった体たらくさに勝ち慣れたサポーターも歯ぎしりが止まない。とうとうG大阪の超攻撃サッカーに歪みが見えてきたのだろうか。
昨季の大宮戦も引いてくる相手に苦戦を強いられた。確か開幕戦とアウェイは駒場で中断前の6/30に対戦。2005年は2戦2敗だった。相手が大宮だからというのは理由にならないが、そんな因縁めいたことも考えたくなる今日の試合運び。勝てる試合で、勝てる試合運びができなかった。
まずは、采配において完全に後手後手を踏んだ感は否めない。この日は加地のスタメン復帰に合わせて、橋本が本来の中盤に入った。2トップはバレーとルーカス。序盤戦でコンビネーションに苦慮して、諦めざるを得なかったコンビの配置だ。このメンバーで2-1とまでできたのは良かった。しかし、その後大宮の樋口監督は68分ペドロジュニオール、72分藤本、82分に森田と明らかに追撃姿勢に打って出た。「点を取れ、逆転しろ」という強烈なメッセージが窺える。
しかし、G大阪は82分まで動かなかった。バレーの1発に期待したのか、この日は明らかに決定機を逸し、及第点を与えるべきではない動きながら、彼に代わって播戸を入れるのを躊躇した。播戸が入ったのは87分。2-2にされてからだった。本来ならば、この日相手CBにしっかり対応されていたバレーを早い段階で諦め、もしくは中盤の二川なりと代えて播戸を早い時間で投入して追加点を狙うべきだったし、バレーと播戸の組み合わせがベストという指揮官の頭にはあったはずではないだろうか。もしくは、2-1とした段階から水本なりDFの選手を入れて守備陣を厚くして逃げ切りを図るなり、それなりの対応があったはずなのだが。“反逆のカリスマ”西野監督もここまで自らの策に溺れると“ただの人”だ。
それから、やはり頭を抱えるべきは著しい決定力の落ち込み方だ。バレーに筆頭されるように確実な決定機が決まらない。今日もルーカスが斜め45度からのシュートをふかしたシーンは思わずアラウージョの姿が出てきたほどだ。彼なら間違いなく決めている。
要は、“ここぞという時に決めてくれる”プレイヤーがいない。昨季のバレーの爆発は目に見張るものがあったが、その影でマグノアウベスもしっかり取るべきところで取れていた。そのバレーがどうもイマイチなのだから、こうも点が決まらないのは必然的である。今日、前線は外国人頼みが多いJリーグだが、その“箍(たが)”が外れれば、こういうことになるのだろう。
今日の2得点もセットプレーから。前節神戸戦の得点もセットプレーから。まったくここ数年G大阪の代名詞とも言うべき“パスサッカー”で崩して得点しているシーンが見られないのも大きなポイントだろう。それを目当てで駆けつけているファンの前で、そのシーンを見せることなく不甲斐ない逆転負けとあってはブーイングも致し方ないところだ。
とにかく“初心に帰るべし”。シンプルに攻撃を進め、しっかりリトリートの意識下で守れば、戦力的には申し分ない戦いができるはずなのだが。それはここまでチームの熟成を楽しみに指揮してきた西野監督が一番分かっていいることだと思いたい。疲れか、はたまたG大阪スタイルの終焉到来か。まだその答えを出すには早すぎる。とことんネガティヴな膿を出して、まだ長いリーグを戦っていこう。
昔みたいな“攻められ倒してカウンター”みたいなG大阪はまだ見たくないぞ。