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脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

JST単独首位ターン -JSTvsAtletico-

2011年08月08日 | 脚で語る奈良のサッカー
 12チームの1回戦総当たりで行われている奈良県1部リーグ。6日には奈良県フットボールセンターで、首位を争う無敗の2チームが対戦。2年前まで関西リーグで戦っていた2位・JSTが首位・Atleticoを3-1で下して単独首位に躍り出、リーグを残り5試合へ好調な折り返しとなった。

 

 ここまで目下開幕5連勝中のAtletico。昨季途中まで奈良クラブでプレーしていた松野正の10得点という得点ランキングトップ独走の活躍に率いられ、5試合で26得点と群を抜いた攻撃力で県リーグを独走する。ここに対抗馬として考えられるのは、昨季の優勝チームJST。唯一の引き分けを喫したアスペガス戦以降、2試合連続4-1というスコアで連勝中。この試合は、両チーム合わせて元奈良クラブの選手が6名もマッチアップする注目のカードになった。

 
 ここまで開幕5連勝、26得点。
 負け知らずのAtleticoがJSTを迎え撃つ。

 前半から試合のペースを掴んだのは予想外なことにJSTだった。若い選手中心のJSTは運動量でAtleticoを凌駕し、前半からゴールに迫る。Atleticoは度々エリア内、深いところでの守備を強いられることになった。そして、JSTが31分に右サイドからのFK、クロスが中央に入ったところを尾山敏が頭で合わせて先制に成功した。

 
 今季途中からAtleticoに加わった松野智。
 奈良クラブ時代から器用なユーティリティープレイヤー。

 
 松野智の兄の松野正。
 かつて奈良クラブのエースとしてチームを支えた。
 今季は県リーグで5試合10得点。

 
 拮抗した前半だったが、JSTが先制。
 尾山敏がピンポイントでクロスに頭で合わせた。

 1点リードで折り返した後半、48分(40分ハーフ)にAtleticoは2枚目の警告で上西が退場処分に。劣勢の状況で、更に厳しい状況を強いられることになった。しかし、決定力で県リーグ屈指の経験値を誇るタレント陣のAtleticoが逆襲。51分には相手エリア前でパスを受けた松野正が1人で相手DF2人を引きつけ、パス。左から走り込んだ北島がこれをシュートして同点とした。1発さえあれば、この決定力では負けない。そう思わせる一瞬のチャンスだった。

 

 
 松野正のアシストから北島がJSTの守備を打ち破る同点弾。

 ところが、前半から構成力と運動量で一歩相手を上回るJSTは大崩れしなかった。57分には先制点に続き、尾山敏が華麗な抜け出しから1人で持ち込み強烈なシュートを決める。10人ながら同点に追いついたAtleticoは再び引き離された。Atleticoはこの試合、司令塔の三重野が欠場。

 
 
 
 抜け出した尾山敏がファインシュートで2点目。

 80分には、JSTが教科書通りのカウンター炸裂。尾山敏の兄である尾山公が左サイドから切り込んで見事なシュートを決める。これで3-1としたJSTが無敗首位決戦を締め括った。

 

 これで6試合を終了し、JSTが5勝1分。そしてAtleticoが5勝1敗となった。見ている限りでは安定感のあるJSTがこのままリーグを独走する印象も抱くが、この日程の裏で同じく無敗同士の大和クラブとFC TAKADA2001の試合が行われており、2-2の引き分けに終わっている。つまり消化試合数こそ違えど未だ無敗のチームは3チーム。次節にFC TAKADA2001と戦うJSTはここも山場になりそうだ。しかしながら、奈良県リーグはリーグ終了後に4チームによるプレーオフが今季も行われるようで、これら4チームは進出濃厚かと思われる。
 

しのぎを削る奈良の2チーム

2011年07月28日 | 脚で語る奈良のサッカー
 もう10日以上も前になるが、17日に久々に奈良県リーグを覗きに行った。場所は奈良県フットボールセンター。19:20キックオフで行われた県リーグきっての強豪同士の試合は、JSTとポルベニルカシハラの一戦。ここまで無敗同士の両者の試合は4-1でJSTが勝利した。

 

 この日の昼間に奈良クラブの試合があったことを考えると、ナイトゲームは非常に涼しい。まるで扇風機の「強」ほどあるかという風を体に感じながらというような絶好のコンディション。キックオフ時間だけは県リーグの方が恵まれているなという気がした。
 残念ながらこの日は到着した際にAtletico-御所FCの試合(5-1でAtleticoが勝利)が終わっており、もう少し早く来ていれば今季の優勝を争う2チームのどちらも観戦できたのだが、JSTもAtleticoに負けじと劣らず順調にリーグを戦っている。ここまで4試合無敗。Atleticoが1試合未消化で試合数に差があるものの、12チームで戦われている奈良県1部リーグでは暫定で首位を走っている。

 JSTは、昨季まで奈良クラブでプレーしていた石原が本職の左サイドバックではなく、センターバックの位置に入っており、最後尾ではこちらも昨季まで奈良クラブの一員だったGK橋垣戸がゴールを守る。米田、尾山敏を中盤の中央に据え、サイドハーフとして宮木、そして新加入の吉田が、前線では小林とこちらも新加入の奥田が組んでいた。
 試合は、アグレッシブにボールを繋いで運ぶJSTのペース。31分に左からの攻撃展開から奥田が先制点を押し込むと、39分には宮木が追加点となるシュートを決めた。ポルベニルはなかなかJSTのエリアまで良い形をボールを運べない。かなり久しぶりに見たチームだったが、昨季までプレーしていたGK古田(元徳島ヴォルティス)の姿はなく、少し若返っていたかなという印象を受けた。
 後半に入ってポルベニルは、昨季奈良クラブで引退したはずのGK松石がピッチへ。天皇杯1回戦佐川印刷戦を最後に現役を退き、奈良クラブの試合時のスタッフとして尽力してくれていたが、まさかプレーしているとは思わなかった。是非この調子で1年でも長く現役を。しかしながら、JSTのペースは後半も覆らず、後半開始5分で宮木が自身2点目となる豪快なシュートで3-0とポルベニルを突き放す。82分には途中出場でリズムを作った尾山公からの折り返しをエリア手前から尾山敏が決めてダメ押しの4点目。その後、試合終了間際にポルベニルが一矢報いたが、試合は4-1でJSTが勝利し、リーグ4戦無敗を守った。

 やはり、2年前まで関西リーグにいたチーム。かつての主力選手も多少入れ替わりながらではあるが、うまく新陳代謝しながら県リーグトップの実力を誇っている。今季は11名も新加入選手が登録されており、選手層も問題なさそうだ。おそらく関西リーグ復帰は虎視眈々と狙っているはず。昨季は府県リーグ決勝大会も1次ラウンドで敗れたが、ぜひFC大阪あたりにはリベンジしたいところだろう。
 ここに立ちはだかるのがAtletico。こちらもJSTより1試合少ない4試合消化ながらJSTを勝点差1ポイントで追いかける。チームの総得点は4試合で23得点を申し分ない強さ。昨季まで奈良クラブでプレーしていた松野正に加え、7月には元奈良クラブの弟・松野智もチームに加入。アイン食品でのプレー経験がある北島、そして昨季まで京都紫光クラブに在籍していた三重野と県リーグでは頭一つ抜け出た戦力で注目度はぴか一。FCTAKADA2001も無敗をキープしてこの両チームを追う現状だが、おそらくJSTとAtleticoの2チームが奈良県代表として府県決勝大会に進むのではないだろうか。今季の奈良県リーグは、上位チームと下位チームの明暗がくっきり分かれそうだ。
 JSTは、24日に全社関西予選も初戦を難なく勝利(神戸FCシニアBに4-2)。次戦は31日に関西リーグDiv1で2位のバンディオンセ加古川との代表決定戦に臨む。是非ともここで金星を掴んで、全国の舞台までチャレンジして欲しい。

既にシーズンイン、2011年奈良のサッカー

2011年02月21日 | 脚で語る奈良のサッカー
 国内の各種カテゴリーがそのシーズンインを控え、開幕まであと2週間弱となったJリーグでも先週からプレシーズンマッチが行われている。奈良では既に全国クラブチーム選手権大会の奈良大会が既に1月23日から開幕。準決勝を迎えて橿原公苑陸上競技場で2試合が行われた。

 

 昨季は奈良県リーグでJSTに続く2位・ポルベニルカシハラは、同じく5位の大和クラブと第1試合で対戦。2点を先行したポルベニルが後半の大和クラブの反撃を1点に抑えて勝利。2年連続の全国大会出場に王手をかけた。

 
 ポルベニルのGKを務める古田はかつてJ2・徳島で活躍。
 今季も奈良県リーグで現役続行の模様。

 続く第2試合では、関西リーグ復帰を目指す奈良県1部リーグの盟主・JSTが奈良県3部リーグ(昨年3部Cブロック2位)のCapisurFCと対戦。試合は前半の終了間際にCKからのプレーを最後は森が決めて先制する。先制点こそ遅かったものの、このままJSTのワンサイドゲームからと思われたが、予想外の善戦ぶりを見せたCapisurが43分に追いつくと、70分(クラブチーム選手権は35分ハーフ)で試合は決せずPK戦へ突入。準々決勝のアスペガスFC戦をPK戦で辛勝したCapisurに期待が高まったが、JSTのGK一二三がCapisurの2人目から4人目までを3連続セーブし、JSTがPK戦を3-1で制して決勝進出を決めた。

 
 先制点を決めた森が突破を試みる。
 試合はJSTが圧倒的優勢かと思われたが・・・

 
 後半、JSTは金本がこの決定機を決められない。
 試合はCapisurが追いつく展開に。

 
 Capisurは都南クラブのOBチーム。
 奈良クラブに在籍した選手も名を連ねる。
 PK戦で大金星を狙ったが・・・

 
 最後はPK3連続ストップを果たしたJSTが勝利。
 ポルベニルと3/6に決勝を戦う。

 共に4度目の出場となった関西府県リーグ決勝大会で1次ラウンド敗退となった2チーム。今季5度目の出場、そして関西リーグ決勝を狙う2チームが順当にクラブチーム選手権大会の奈良県一を決めることになった。この2チームを中心に2部から昇降格で3チームが入れ替わった注目の奈良県1部リーグ。既に前哨戦は始まっている。

奈良、大阪の壁を破れず

2010年08月20日 | 脚で語る奈良のサッカー
 20日より第65回国民体育大会におけるサッカー競技の近畿ブロック大会が京都府山城総合運動公園などで開幕。近畿2府4県による本大会出場枠「1」(成年男子の部)を懸けた戦いが始まった。成年男子の部は奈良県が1回戦で大阪府と対戦するも1-2で敗戦。滋賀県と戦う準決勝進出はならなかった。

 

 強烈な陽射しとグングン上がる気温、酷なコンディションの中で奈良クラブ単独でのチャレンジとなった奈良県代表成年チーム。第1試合の相手は大阪府代表成年チーム。関西リーグDiv1のアイン食品、阪南大クラブに加えて大阪府リーグの関大FC2008、新洋海運FCからの混合選抜チームだ。コンビネーションの面でもチーム単独で大会に臨んでいる奈良には有利であり、アイン食品、阪南大クラブ相手にはリーグでも勝ち星が無い。ここでリベンジといきたいところだが、加えて久々の本大会出場も目標にするならば大事な初戦でもあった。

 

 ベストメンバーとはいかないものの、負傷者が集中する守備ラインを除いてはいつもの陣容。1トップ気味に前線に張る牧にサイドから嶋、畑中、中央から大塚、そして深い位置から李と矢部のボランチコンビがボールを供給する。出足はまずまず、序盤から試合のペースを握ることには成功する。しかし相変わらず前線での決定力には欠け、シュートが枠を捉えきれない。徐々に大阪成年のペースに試合は傾いていき、決定機を作られていくようになった。

 

 前半こそスコアレスで折り返したものの、後半の立ち上がり2分にCKからDF岡本(アイン食品)に合わされて先制される。49分に畑中が牧の左サイドのクロスからボレーシュートを決めて同点に追い付くが、瞬く間に緩慢なマークミスから2点目を決められて1-2に。この後も果敢に交代選手を送り込み、ボールを回して攻め込む奈良成年だったが同点ゴールが遠く、そのままタイムアップ。奈良クラブでの国体挑戦は1試合で終わってしまった。

 

 勝ち切れない試合がリーグでも続く今季のハイライトのような試合になってしまった。やはり先手を打たれると非常に厳しい。今季はリーグその他の公式戦含めて逆転勝利がない。つまり、先制されると勝てないのだ。決められる時間帯にきっちり決められる決定力に乏しく、前がかりになった際にカウンターでチャンスを作られてしまうパターンが多い。またセットプレーでも取るより取られる方が多い傾向にある。来週末に大事な天皇杯県予選決勝を控えるチームとしては不安要素が残る試合となった。

 

 ただ、その中でもやはりMF畑中の存在は際立っていた。昨季の関西リーグDiv2新人王は得意のドリブルとクロスでチームに推進力をもたらす存在。唯一の得点もクロスに完璧にミートさせた豪快なボレーシュート。クロッサーとしてもスコアラーとしても武器を兼ね備えている彼は非常に心強く、来週末の爆発に大いに期待したい。

 この試合に勝利した大阪成年は明日、同じく球技場BにてBIWAKO S.C HIRAとルネス学園甲賀の混合選抜チームである滋賀県成年と対戦予定。第2試合で行われた和歌山成年と兵庫成年の試合は1-0で和歌山成年が勝利して明日の第2試合で佐川印刷単独で挑む京都府成年と対戦する。

奈良サッカーグラウンド探訪記<9> -大和高原ボスコヴィラ-

2009年11月07日 | 脚で語る奈良のサッカー
 奈良のサッカーグラウンド各所をお届けするこの探訪記。今回は県内で最も新たな天然芝サッカーグラウンドである大和高原ボスコヴィラをお届け。

 

 かつての山辺郡都祁村が2005年に奈良市に編入されたが、大和高原ボスコヴィラはその針町にあるリゾート施設だ。名阪国道を天理から15分ほど走れば最寄りの一本松ICに到着。そのすぐ南側にボスコヴィラの施設とグラウンドはある。奈良の市街地からでも40分ほどで到着できる場所で、市街地を抜ける煩わしさがない分、クルマでのアクセスは抜群。大阪方面からも西名阪道を使えばかなり便利だろう。駐車場も大型車スペースも多く確保されており、十分なキャパを誇る。

 

 大自然に囲まれた立地は爽快そのもの。都会の騒々しさとはまさに無縁の空間だ。宿泊施設やレストラン、宴会場などを完備し、露天炭酸泉をはじめとした入浴施設も充実している。スポーツの合宿、企業のセミナーなどにも活かせるだろう。サッカーや観戦帰りに日帰り入浴なんてことも楽しめる。クルマ以外でのアクセスは少し不便だが、事前連絡をすれば、施設のバスで近鉄奈良駅や天理駅、榛原駅にも送迎してくれる。

 
 レストランや入浴施設を備えたボスコヴィラ。
 グラウンドゴルフ場を隣接する。

 

 天然芝グラウンドは10月18日にプレオープンしたばかりで、既に奈良県リーグプレーオフが全日程ここで行われたり、奈良クラブをはじめとした県内社会人チームの練習試合に使われている。芝はかなり短めで、部分的には禿げているところがあるものの、比較的綺麗に整備されている。今後更に設備面を充実させて年明けには完成の運びとなるようだ。

 

 グラウンドの周辺には幾つかベンチが点在しており、ゆっくり腰を落ち着けての観戦は可能だが、人数的な余裕はほとんど期待できない。今後簡易的なスタンド等が実装されるならば、県内でもかなり充実した観戦環境にはなるだろう。ただ、照明設備が無いので夜間の使用ができないのは残念なところ。しかし、関西リーグレベルならば十分開催は可能だと思われる。

 今後、グラウンド確保に苦戦する奈良県リーグをはじめ、多くのシーンで使われることになるだろう。早速、明日も奈良県リーグプレーオフ最終日がここで行われる予定だ。サッカーの環境面で苦戦する奈良にとっては、頼もしいグラウンドができたことには違いない。

 大和高原ボスコヴィラ オフィシャルホームページ

社会人サッカーサバイバルシーズン到来

2009年10月27日 | 脚で語る奈良のサッカー
 奈良県リーグもいよいよプレーオフに突入。25日より大和高原ボスコヴィラにてリーグ上位4チームによる戦いの火蓋が切って落とされた。

 今季のプレーオフに臨んでいるのは、リーグ1位の大和クラブ、2位ディアブロッサ高田FCフォレット、3位Atletico、4位FCTAKADA2001という顔ぶれ。プレーオフではアドバンテージとして、1位チーム勝点3ポイント、2位チームに勝点2ポイント、3位に1ポイントが付与されており、これが更にこの戦いの行方を面白くさせそうである。

 25日の第1戦では、なんとこのアドバンテージを活かしたい上位2チームが揃って敗戦(フォレット1-2Atletico、大和クラブ2-3FCTAKADA)。いきなりそのメリットを失ってしまう波乱の幕開けとなった。これで4チームが勝点2ポイント内にひしめく混戦のまま第2戦目(11/1に開催)に突入する。

 しかし、大本命のポルベニルカシハラが最終5位でフィニッシュしたことでプレーオフに進出できず、これまで2シーズン連続で9位に甘んじていながら、今季は4位と躍進を遂げたFCTAKADA2001が進出を果たすなど新風が吹き込んでいる。来季は強豪・JSTが戻ってくることもあり、リーグ編成がどうなるか注目だが、やはり2年連続で県リーグから関西リーグにチームを送り込みたいのは県社会人サッカーシーンとしても本音だろう。府県決勝大会にどこが進出できるか今から楽しみである。

 関西の他府県の様子を見てみると、お隣の大阪府では今季はFC大阪と岸和田クラブの上位2チームが府県決勝大会への進出を決めている。特にここまで13試合で54得点11失点と格の違いを見せつけるFC大阪の強さは脅威。G大阪や鳥栖、和歌山などで活躍したFW羽畑が得点ランキングでもトップを走るなど、経験者を揃えながら非常に安定した戦いを見せるこのチームは今季の関西リーグ昇格最有力候補であることは間違いない。
 京都では奈良と同じく決勝ラウンドの真っ最中。久御山FCと三葉キッカーズAがそれぞれ三菱自動車京都、京都伏見蹴友会と対戦して初戦を勝利している。
 和歌山では、名門・紀北蹴球団が1部リーグを優勝して府県決勝大会への切符を掴んでいる。紀北の関西リーグ復帰はなるか。残りの1枠を紀州FC、海南FC、橋本FCが追う状況となっている。
 滋賀では、FC TOJITSUが滋賀県1部リーグを制覇。続いてヴィオラSCが2位に食い込み全日程を終了している。これに3位・守山侍2000、4位・BSC U-23を加えた4チームでのプレーオフでの結果、府県決勝大会に進出する2チームが決まる。
 県1部リーグの日程もいよいよ大詰めの兵庫では、関学クラブ、ヤンマー尼崎、セントラルSCの3強に府県決勝大会の切符は絞られている。残り2試合を残すセントラルSCが有利な展開だが、負けられないヤンマー尼崎がどこまで粘れるか注目だ。

 奈良だけでなく、各府県いよいよ大詰め。関西リーグを目指したサバイバルシーズンが冬の足音と共に今季もやってきた。 

奈良県のサッカーに振り向く

2009年09月09日 | 脚で語る奈良のサッカー
 9月に入り、奈良県社会人リーグもいよいよ佳境に入ってきている。12チームの各チームが残り2試合~4試合という状況。暫定首位をひた走るのはディアブロッサ高田FCフォレット(9試合消化)。それを僅差で追う2位の大和クラブ(8試合消化)。唯一勝点を20ポイント以上に乗せているこの2チームが県内の覇権を奪い合うのは必至の状況だ。

 奈良県リーグにはプレーオフがある。上位プレーオフとして1位と2位が対戦、そして3位と4位が対戦して、勝利チームが上位プレーオフの敗戦チームと戦う。それぞれの勝利チームは県代表として2チームが府県リーグ決勝大会に出場できる訳だ。
 そう考えると、前述の上位2チームの上位プレーオフ進出は堅いとして、3位、4位争いは非常に混沌としている。勝点3ポイント以内にAtletico、ポルベニルカシハラ、FC TAKADA 2001、FC橿原、FC KICKS 高取、法隆寺FCと6チームがひしめき合う大混戦。消化試合で1試合少ないAtleticoには多少のアドバンテージがある印象だが、なかなか先の読めない展開になってきている。昨季は2チームが関西リーグへの切符を掴んだだけに、次に続くチームが出てくるのかということは非常に興味深いポイント。実績からしてもAtleticoとポルベニルカシハラの2チームが地力でプレーオフの権利を勝ち取るのではないだろうか。

 そういえば、昨日NHK奈良で放送された「ならナビ」という情報番組が非常に面白い特集を組んでいた。奈良クラブの天皇杯出場を引き合いに出し、改めて奈良県内のサッカー事情を考察。一市町村あたりのクラブチーム保有率が0.35と全国最下位であるという現状を浮き彫りにしている。
 昨年の今頃はまだ奈良県リーグを戦っていた奈良クラブ。それを考えれば、10月には天皇杯の舞台でJ1のチームと対戦できる可能性があるというのは、革新的な出来事だろう。これまで奈良県代表が天皇杯でJリーグチームと戦ったのは8年前。奈良産大が鹿島と戦った時まで遡る。天皇杯の大会規定が変わったことも大きいが、地方の街クラブが全国トップレベルのチームと試合ができるのは希であり、それを考えればJチームの2回戦から登場というレギュレーションは、確かに奈良のような“サッカー過疎地域”にとっては有り難い話だ。

 これに続けと、他のクラブチームが関西リーグを目指し、大学、高校のカテゴリーまで含めた奈良県選手権が更なる活気を帯びれば、県内でサッカーをする付加価値は高まる。少なくともNHK奈良がこういった問題提起を番組内で取り上げてくれたこと自体にわずかな前進を感じられた気がするのである。これを機に少しでも多くの人が県内のサッカーに振り向いて欲しいものだ。

奈良サッカーグラウンド探訪記<8> -鴻ノ池陸上競技場-

2009年08月17日 | 脚で語る奈良のサッカー
 このシリーズ、いよいよ県下最大の真打ち登場。先日まで行われていた近畿まほろば総体の開会式及び陸上競技のメイン会場であった奈良市鴻ノ池運動公園陸上競技場である。

 

 近鉄奈良駅からやすらぎの道を北へ約2kmほど進むと緑に囲まれた鴻ノ池運動公園がある。陸上連盟1種認定の陸上競技場、補助競技場、野球場、中央体育館を2つと武道場も2つ、そして弓道場に相撲場も併せ持つ県下最大規模の運動施設だ。橿原公苑と並んで奈良県スポーツの象徴的施設でもある。
 陸上競技場は野球場と並んで、運動公園内のメイン施設。84年のわかくさ国体のメイン会場として整備され現在に至る。総面積34,863㎡。5,600席を備えるメインスタンドを擁し、芝生席のバックスタンド及びサイドスタンドを含めると最大収容人員は約30,000人(奈良市役所による)。今年の近畿まほろば総体に備えて、陸上トラックとメインスタンドの改修が12億円を投じられて行われ、一新された陸上トラックがブルーとなったことは記憶に新しい。

 

 サッカー競技に特化して話をすれば、かつてはJリーグ開幕時にプレシーズンマッチやサテライトリーグの会場としても使われており、高校選手権奈良県大会の決勝戦でもお馴染みの場所だった競技場。しかし、2002年の日韓W杯時に橿原公苑陸上競技場がチュニジア代表のキャンプ地のメインとなった頃から、県内サッカーの主要試合は改修の施された橿原公苑陸上競技場に移っていくことになる。最近ではこの鴻ノ池で滅多にサッカー競技が行われることはなくなった。かつてガンバ大阪が年に1度サテライトリーグを行っていたのが遙か昔のことのように思われる。

 
 
 今回の改修でメインスタンドは古い長椅子から独立椅子へ。
 床も張り替えられて非常に綺麗になっている。

 現在は(財)奈良市スポーツ振興事業団が管理し、奈良市のスポーツイベントに対して優先的に使われている。陸上競技がその主要用途。サッカー競技の催行おいては難点を幾つも抱えており、積極的にサッカー競技が行われることはない。
 まず、未整備の芝生グラウンド面。これは国際規格の105m×68mというサイズに届かず、最大100mしか縦が採れない。いくら競技場のキャパシティがあっても致命的な欠陥であり、この基準を満たせる橿原公苑陸上競技場が先日の近畿まほろば総体のサッカー決勝戦に使われたのは頷ける。現在では県内主要試合の大半が橿原開催。これではJリーグレベルの興行試合の催行は程遠い。
 加えて、橿原公苑陸上競技場には備えられている1,500ルクスというJリーグ基準の照明設備がここにはない。従って基本的には昼間の使用がほとんどで、陸上競技の片付けなどに必要な最低限の照明しか付いていないのだ。先日の近畿まほろば総体時には移動照明車が来て競技場を照らしていた。

 
 競技場に備えられているのはこの程度の照明基が数基のみ。
 これでは夜間のスポーツ催行は不可能に近い。

 
 
 メインスタンド下には会議室やロッカールームを備える。
 男子と女子のロッカールームが1つずつと設備的には厳しい。

 
 芝は基本的に夏芝のみ。
 従って冬期は枯れてしまっている。

 サッカー競技で使われることのなくなった鴻ノ池陸上競技場。興行試合は基本的に不可能、使用申請の難しさなど数々の壁がそこには立ちはだかる。今年度は橿原公苑陸上競技場の改修によって、久々に高校選手権の奈良県大会決勝がここで行われるようだが、この競技場でコンスタントにサッカーが観られるのはいつの日になるだろうか。
 

奈良県、事実上の最下位

2009年06月18日 | 脚で語る奈良のサッカー
 今週号のサッカーダイジェストが実に興味深い特集を敢行していた。その名も「日本列島全47都道府県 サッカーどころランキング」。総務省が発表している都道府県別人口データを参照し、Jリーガーと日本代表の輩出人数、JFAへの選手・チーム登録数、全国大会での実績など、あらゆるジャンルにおいてその現状をポイント化し、格付けしている。
 
 早速、奈良県の現状をチェックしてみることに・・・
 <ランキングは47都道府県中何位かを表す>

 1.Jリーガー輩出ランキング・・・22位(11人)
 2.日本代表輩出率ランキング・・・9位(2人)

 決して多くない数字であるが、県内の人口比で算出すると、Jリーガー輩出では全国でも中位にランクイン。そして現在もGK楢・都築の両選手が活躍している日本代表輩出率は9位という位置につける。GK王国として名高い奈良県、現役Jリーガーも奈良県出身者はGKが多い。

 3.JFA登録率ランキング
  チーム・・・41位(270チーム)
  選手・・・41位(8,735人)
  監督(指導者登録との重複は除く)・・・43位(117人)
  フットサル個人登録・・・35位(814人)
  審判員・・・40位(1,949人)
  審判インストラクター・・・15位(28人)
  指導者・・・46位(350人)
  キッズリーダー・・・4位(23人)
  総合・・・40位(265ポイント)

 各都道府県がJFAに登録している8項目を人口比率で比較したこのランキング。軒並みの40位台に沈む奈良県の現状が浮き彫りに。特に指導者の登録率は最下位手前で、いかに県内の指導者が少ないか良く分かる数字となった。しかし、キッズリーダーの登録率は高い。

 4.アマチュア大会成績ランキング
 <第1種(社会人)>
  全国社会人サッカー選手権・・・28位(5ポイント)
  国民体育大会(成年男子)・・・ランキング外
  全国クラブチームサッカー選手権・・・15位(10ポイント)
  全国自治体職員サッカー選手権・・・20位(5ポイント)
  全国教員サッカー選手権・・・ランキング外
 <第2種(高校世代)>
  インターハイ・・・ランキング外
  全国高校サッカー選手権大会・・・ランキング外
  日本クラブユースサッカー選手権(U-18)・・・ランキング外
  高円宮杯全日本ユース(U-18)サッカー選手権・・・ランキング外
  国民体育大会(少年の部)・・・ランキング外
  全国高等学校定時制通信制サッカー大会・・・ランキング外
 <第3種・4種(中学・小学生年代)>
  全国中学校サッカー大会・・・26位(5ポイント)
  クラブユースサッカー選手権・・・11位(20ポイント)
  JFAプレミアカップ・・・ランキング外
  高円宮杯全日本ユース(U-15)・・・ランキング外
  全日本少年サッカー大会・・・16位(10ポイント)

 過去5年間のアマチュア公式大会の成績を基に、1位からベスト16までをポイント化したこのデータ。ここで目立つのは、やはり高校世代の低迷。なんと誌面のランキングからことごとく圏外になっている。最近は奈良育英、一条など県内の高校が全国レベルの大会で際立った成績を収めていない。これが尾を引き、アマチュア総合ランキングでは65ポイントで42位という成績。関西勢では最下位という結果が出ている。
 ただ、社会人、小中学生年代ではまだ健闘しており、特に3種・4種では良い数字が出ている。ここから推測するに、やはり高校年代で良い環境、高いプレーレベルを求めて県外の高校や有力なクラブユースに人材が流出している事実は否めないようだ。

 5.スタジアム充実度ランキング・・・43位(2ポイント)

 3,000人以上15,000人未満収容のスタジアムを1施設につき1ポイント、15,000人収容のスタジアムを1施設につき5ポイントで換算しているこのランキング。県内最大の鴻ノ池陸上競技場が5,000人収容という認識で換算されているが、奈良市による公式収容人数は30,600人であり、ここは本来ならばもう少し上位にランクインできたはず。しかし、近年サッカー競技にて主力となっているのはもう一つの橿原公苑陸上競技場。どちらもメインスタンド以外が芝生席ということもあって、施設的にはランキングに相応しい位置づけかといえる。更にスタンド全体の改修を進め、積極的にサッカー競技で使えなければ厳しい。

 これらJリーガー輩出率、日本代表輩出率、協会登録数、アマチュア成績、スタジアム充実度をトータルポイントで算出した総合ランキングでは41位という結果が出ている。しかし、このランキングをよく見てみると、Jリーガーと日本代表輩出率を除けば、全ての項目で40位台というのは47都道府県で奈良県だけなのだ。まさに“事実上の最下位”というのが正しい認識だろう。非常に厳しい現実が数字として浮かび上がっている。

 最後に“ボクらの最強ベストイレブン”と題された各都道府県出身選手のベストイレブンが。
 メンバーは・・・
 GK楢正剛 (名古屋グランパス)
 DF中村祥朗 (奈良クラブ)
 DF北本久仁衛 (ヴィッセル神戸)
 DF西野努 (元浦和レッズ)
 DF柳本啓成 (元セレッソ大阪など)
 MF片山奨典 (横浜FC)
 MF矢部次郎 (奈良クラブ)
 MF内藤就行 (元鹿島アントラーズなど)
 MF西嶋弘之 (コンサドーレ札幌)
 FW前田俊介 (大分トリニータ)
 FW林丈統 (京都サンガ)
<SUB>
 GK都築龍太 (浦和レッズ)
 GK松代直樹 (ガンバ大阪)
 MF水越潤 (奈良クラブ)
 FW杉本倫治 (元セレッソ大阪など)

 というような陣容が掲載されている。未だJリーグでも所属クラブではレギュラークラスばかりというところが凄いが、これがいつまで続くのか今回の高校世代の数字を見ると懸念されるポイントだ。実績重視の陣容だが、個人的には元横浜FCの石田雅人(奈良クラブ)、元大分の吉田智尚(町田ゼルビア)、元G大阪の橋垣戸光一(奈良クラブ)、元鳥栖の東幸一(奈良クラブ)らを加えれば、十分現役選手だけでベストイレブンの構成が可能になる。

 非常に面白く、かつ厳しい現実を叩きつけられるこの企画。是非、サッカーダイジェストさんには毎年敢行して頂きたい企画である。

奈良サッカーグラウンド探訪記<7> -五条上野公園多目的グラウンド-

2009年06月01日 | 脚で語る奈良のサッカー
 奈良県五條市は和歌山県との県境にある総人口3万5千人ほどの街だ。河瀬直美監督の「萌の朱雀」でその舞台になり、かつての西吉野村と大塔村を擁する南和地域の核となる場所である。紀伊方面への交通の要衝、吉野山地への窓口ともなるこの街の西部に上野公園はある。ちなみに読みは「うえの」ではなく「こうずけ」となる。

 

 奈良方面からひたすら南下し、御所を抜けて国道24号線を走ると、五條市内で未成線の五新線(これこそ「萌の朱雀」のストーリーの核であった)跡高架をくぐる。そこから約5分の吉野川沿いに公園はあり、園内には野球場、多目的グラウンド、テニスコート、市民プールに加えて1周1kmのトリムコースも備えられてある。施設的には吉野総合運動公園に似ているが、今年より多目的グラウンドに最新鋭の人工芝が張られたことを考えれば遙かに運動施設としては恵まれている。

 
 住友ゴム工業のHibrid Turfによってグラウンドは生まれ変わった。

 
 わずかながらメインスタンドを擁する。
 しかし、ゆっくり腰を据える座席はない。

 少しアクセスには難がある場所だが、最寄りの駅に恵まれていない吉野総合運動公園に比べると、まだJR二見駅から徒歩圏内であり、環境面も含めて重宝されるべき場所だ。現に今年は奈良県で行われる高校総体の他、奈良県リーグ、関西リーグなどでも積極的に会場として名を連ねており、アマチュアレベルのグラウンドとしては県内でも有数の場所と言えるだろう。

 
 基本的に造りは陸上競技場タイプ。
 グラウンドには陸上トラックがあるが、これはまだ土のままである。

 高校総体の開催を見込んでか、公園の外に充実したドリンクコーナーがあったり、トイレの手入れが行き届いていたりと過ごしやすい。周囲を緑に囲まれた光景も相まって、ブラリとピクニックや散歩気分で訪れるのにも良い場所かもしれない。もちろん駐車場もしっかりと完備されてある。
 現在、公園の指定管理者が五條市によって選定されており、今後も南和地域を中心とした公園施設として人々の癒しの空間になるだろう。

 奈良市内から約50kmと遠方であるが、名物の柿の葉寿司などを土産の目当てにサッカー観戦でたまに訪れるにはお薦めの場所かもしれない。