脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

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五色の激闘回顧録<3>-地域決勝 北海道vs相模原-

2011年11月26日 | 脚で語る地域リーグ
 前日の風雨が嘘のように過ぎ去って晴れ渡った3日目のアスパ五色。前日に奈良クラブは0-1で相模原に惜敗。これで唯一無傷で連勝となったのは相模原。それを1敗で福島Uと奈良が、そして北海道が連敗という流れになった。この3日目の2試合で順位が確定する。第1試合の北海道と相模原の対戦は、前半こそ相模原が1点に止まったが、後半3点を加点して4-0で勝利。Bグループ唯一の3連勝で決勝ラウンド進出を決めた。
 ワイルドカード(2位の上位1チーム)での決勝ラウンドに一抹の望みを懸けた第2試合は、2-0で奈良クラブが福島Uに勝利。結果的にワイルドカードには届かなかったが、グループ2位で1次ラウンド全日程を終了した。

 

 前日の奈良クラブ戦に耐え抜いた相模原は、この試合でも先発メンバーは村野に代えて富井が中盤に名を連ねたのみ。試合が始まると、連戦の疲れからか体は重いように感じたが、昨年のことを考えると、この試合を絶対に落とすわけにはいかない。サッカーは90分間最後まで何が起こるか分からないことを身を持って体験したチームでもある相模原は、前半から北海道を相手にしっかり攻勢に出てゴールを狙い続けた。
 対する北海道も前日とは少しメンバーは入れ替わったものの、最後の最後まで諦めずに1勝を追いかけたい。前日の雨中の福島U戦後半の猛攻が発揮できれば、というところだったが、両チームどちらに何が起こるか分からない劣悪なピッチコンディションがこの日はすっかり回復しており、その中で勝負しなければいけなくなった。

 11分に先制したのは相模原だった。坂井が相手陣内で森谷からボールを受けると、北海道ゴールに向かって豪快なシュート。これがバーに当たりながらもゴールに沈んだ。疲れは見えていても踏ん張りどころだという意識は相模原にある。地力で勝る相模原が早い時間帯から先手を取った。
 北海道も支配率では圧倒されていたが、前半の終盤に伊古田が左サイドからキレの良いドリブルで突破を試み、CKを得るなどチャンスを作る。相模原の追加点を許さず後半へ折り返した。

 
 2日目から相模原のゴールマウスを守った山本。
 かつて磐田や愛媛で活躍したGKだ。

 
 キャプテンマークを巻いてチームを引っ張る北海道・DF倉谷。
 ほとんどの選手が地元・北海道出身だ。

 後半も相変わらず相模原がボールを回す。もちろん1点差で安心していることはない。常に追加点を狙っていた。FWの齋藤が左からのなんでもないクロスにイージーなシュートミスを見せるなど、かなり連戦の疲労が見えていたが、それでも最低限の仕事をこなすのが今大会屈指のエース。60分には古賀が相手からボールを奪って突破し、最後のパスをその齋藤が難なく決めて相模原が2点目を奪った。
 北海道は、75分に3年連続で北海道リーグのMVPと得点王に輝いたFW岡戸を投入して1点を狙いに行くが、それでも劣勢を盛り返すことはできない。

 その直後の77分には佐野のパスを古賀がフリーで詰めて勝負を決める3点目。そして89分には途中出場の吉岡が決めて4-0とした。3連勝と無傷でグループリーグ突破の相模原。今季は堅実に決勝ラウンド進出となった。

 
 北海道・伊古田がドリブルで突破を試みる。
 しかし、残念ながらチームは3連敗。

 
 攻守に効いていた相模原・DF奥山。
 流経大出身で横浜FMユース上がりの選手。

 3日間を通して際立った相模原の勝負強さ。2日目の奈良クラブ戦の劣勢を最後まで乗り切ったところがハイライトとなろうが、決めるところでしっかり決める得点力はやはり今大会でも頭一つ抜けている気がする。特に佐野が加わった中盤を攻略するのは並大抵ではない。よほどパスワークに自信のあるチームで、自分からアクションサッカーを実践するチームでないと、いざ受け身で相手の出方を窺うとズルズル引き込まれていく印象だ。とにかく前半をスコアレスで折り返すことを最低限のタスクにしないといけないだろう。このBグループでも相模原はその全ての試合で前半の5分から20分までの間に先制点を奪っている。先手必勝を地で行くチームであり、またその個々の能力も高い。

 
 彼らをいなせるチームは決勝ラウンドで現れるのか。
 
 非常に充実した3日間。結果的に彼らにあと一歩と迫れた奈良クラブの戦い方に全国でも戦えるという確固たる自信と勝算が得られたのは個人的に嬉しかった。ただ、同時に見えたあと一歩のその差。決めるべきところで強かにゴールを奪うというサッカーを相模原は泥臭く実践していたことも事実。決勝ラウンドでも彼らを中心に戦いが繰り広げられるのはほぼ間違いないだろう。来季この大会で再び彼らと戦う機会が与えられても、それはそれで格好のリベンジの場になるだろうが、ひとまずは決勝ラウンドでの健闘を祈りたい。
 決勝ラウンドは、S.C.相模原、Shizuoka.藤枝MYFC、HOYO AC ELAN 大分、Y.S.C.C.4チームによって12月2日から3日間、長居第2陸上競技場で行われる。JFL自動昇格は2チームだ。


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