脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

厚し、京都の壁 -京都府成年男子vs奈良県成年男子-

2011年08月21日 | 脚で語るその他国内
 「ミニ国体」と称される国民体育大会(国体)への出場権を懸けたサッカー競技・成年の部の近畿ブロック大会が21日に三木防災総合公園陸上競技場で大会2日目の代表決定戦を迎えた。兵庫県を打ち破った奈良が全国優勝5回を誇る強敵・京都と対戦。JFL・佐川印刷の単体チームである京都を相手に最後まで奮闘するが、0-2で敗れ、奈良県成年男子チームのわかとり国体以来26年ぶりの国体出場はならなかった。この結果、京都府成年男子チームが近畿ブロック代表の1チームとして10月に山口でおこなわれる「おいでませ!山口国体」に出場する。また、第2試合で行われた滋賀県成年男子と大阪府成年男子の試合は3-0で大阪府成年男子が勝利。同じく近畿ブロック代表としての本大会出場を決めている。

 

 JFLの壁は厚かった。連戦となるが昨日と変わらないメンバーで臨んだ奈良に対して、京都はGK1大石 DF3高橋、4佐伯、15及川、7金井 MF10吉木、18姜、8大槻、13中野 FW9平井、19桜井という先発メンバー。自分の知る限りでは、今季の佐川印刷のほぼベストメンバーであり、昨季の天皇杯1回戦(@西京極1-3)の対戦時と違って、本気の佐川印刷にリベンジする機会が与えられたということであった。
 しかし、前半からパス、シュート全てのプレーで正確な京都に対して、奈良は相手のプレスの速さの前になかなかボールを相手陣内深くまで運ぶことができない。相手に取られると、アーリークロスを放り込んで手っ取り早く点を取ろうという京都の速攻を食らうことになった。特に左の姜、前線で長身を活かす桜井の2人は昨季までJ2・カターレ富山で活躍していたコンビ。18分にはその姜のアーリークロスを桜井に綺麗に頭で合わされて先制点を許してしまった。

 
 相手陣内へ攻め込んでも、このようにエリアを切られる。
 なかなか中央の深いところまでボールを持って行けず。

 
 京都のFW桜井は速さと高さを兼ね備えた選手。
 柏ユース出身で昨季まで富山でプレー。

 前半は、ほとんどシュートチャンスも与えてもらえないような劣勢ぶりで、0-0で折り返したかったところだが、1点のビハインドで終了。特に前線の檜山や牧がボールに絡めなかったのはシュートまで持ち込めない要因として大きかったが、何よりも相手の覇気に押されている感じだった。

 
 ボールキープに優れる李も厳しいマークに遭う。

 
 京都・FW平井のプレスをかわすDF橋垣戸。
 奈良は最終ラインでボールを回す時間が多くなった。

 後半、昨日のような盛り返しを。と期待を抱いて臨む。41分に京都・FW平井がこの日2枚目の警告で退場処分となり、奈良は数的優位に立つことになった。いつもの後半からのギアの入れ方なら何とかなるかも…と思わせてくれる展開。確かにその平井の退場から徐々に攻勢に転じられるようになった。47分に京都は、FWの桜井に代えて、同じくFWの中筋を投入。フレッシュな選手を入れて数的不利を顧みず、とどめの追加点を狙いに来た。53分には、奈良も黒田に代えて、昨日劇的な同点弾を決めた嶋をピッチへ送り出す。なんとか昨日の再現を見せてくれれば、まだまだチャンスは見出せると思っていた。
 ところが、京都の守備陣は無理をせず、しっかり引いて奈良の攻撃陣を封じる。それどころか、前がかりになって中盤と守備ラインのスペースを突いてこられる場面すら目立ってしまった。67分には途中出場の京都・MF葛島に左サイドを突破され、折り返されたところを大槻に頭で追加点となる得点を決められた。人数が1人少なくても「佐川印刷」の強さを見せつけられる。結果、惜しい場面は作るものの、最後まで1点が奪えず0-2でミニ国体のチャレンジを終えることになった。

 
 本職でない左サイドバックで奮闘した谷山。
 機を見てよく攻め上がった。

 
 矢部も的確なロングパスで前半から奮闘。
 嶋の投入後は右サイドバックに。

 
 後半は最後まで京都ゴールに迫るが、1点は奪えず…

 昨年の1回戦敗退から比べると、結果を見れば1歩前進した感もある。しかし、まだこのJFLのカテゴリーとの差は歴然。攻守両面全ての面で後れを取った試合だった。全社出場を逃しているために、今季の全国大会への出場の道はこれで閉ざされた。この経験を深く胸に刻み込んで、来季同じカテゴリーでリベンジのチャンスを得られるようにしていかなければならない。リーグ戦が終わってからは、極端に実戦の機会が少なくなるために、難しい秋を迎えそうだが、来週末の天皇杯予選決勝、そして残りのリーグ戦にまずは邁進。切り替えて臨んで欲しい。
 一方の京都は、貫禄の安定感があった。特に印象に残ったのは、70分間(35分ハーフ)絶えずほとんどの選手が声を出し続けていたということ。どこにそんな元気が残っているんだ?と思わせるほど、彼らによる互いのコーチング、互いの鼓舞のためはラガラのスタジアムに響き続けた。またもや立ちはだかった「佐川印刷の壁」。しかし、学ぶところは多い。京都府選抜の本大会での健闘を祈願したい。

 
 リーグ戦へ切り替え。
 得点こそなかったが檜山のチャンスメイクは冴えていた。

 
 ルーキーの辻村隆にとっては大きな経験のはず。
 残りのリーグ戦、天皇杯予選でも期待。

強敵・京都への挑戦権獲得 -兵庫県成年男子vs奈良県成年男子-

2011年08月20日 | 脚で語るその他国内
 「ミニ国体」と称される国民体育大会(国体)への出場権を懸けたサッカー競技・成年の部の近畿ブロック大会が20日に三木防災総合公園陸上競技場で開幕。第1試合では兵庫県選抜と奈良県選抜が対戦。試合は兵庫が2点を先行する試合だったが、後半に奈良が1点を返すと、アディショナルタイムに追いつき延長戦へ。延長戦では決着がつかず、PK戦の末に奈良が4-3で勝利した。GK日野は4人目、5人目をストップする大活躍を見せた。

 

 都道府県リーグ、地域リーグカテゴリーの社会人チームからそのメンバーが選出されることが多い国体選抜成年男子チーム。兵庫県は、三洋電機洲本(関西1部)の選手たちに加えて、バンディオンセ加古川(関西1部)から平田、小山、松上の3人、そして姫路獨協大学サッカー部(関西学生1部)からアルビレックス新潟・シンガポールでもプレー経験のある河野(4年)が選出されて構成されていた。先発メンバーはGK1松浦 DF3太田、4平田、5森田、6村上、16友定 MF7沈、13稲垣、17小山、FW11河野、14梅川という面々となった。
 対する奈良県は、昨年に続いて奈良クラブ(関西1部)のメンバーで全員が構成。吉田と辻村剛は他府県での2年以内に他府県で選抜されていたため、規約上登録外となったが、GK1日野 DF15黒田、6橋垣戸、18眞野、20谷山 MF16矢部、4三本菅、10李、14辻村隆 FW7牧、19檜山という先発メンバーでほぼリーグ戦でのメンバーが基盤。左サイドバックに本職でない谷山が入ったが、この点に関しては事前の練習試合でも調整済みだ。日頃とユニフォームこそ違えど、奈良クラブのサッカーを完遂すれば自ずと勝利はついてくるはず。

 ところが、前半から乗れないのがこのチームの悪癖。序盤こそ檜山が何度かゴール前でシュートチャンスを得るが先制点には繋がらない。次第に兵庫が村上のゲームメイクを軸に、サイドから友定、稲垣といった選手がスピードある攻撃を仕掛け、試合のペースを握るようになった。27分には、その稲垣のクロスから関西リーグ2年連続得点王の梅川がヘッド、その1分後にも再び梅川がヘッドで奈良ゴールを脅かすものの、奈良・GK日野がファインセーブでこれを許さない。しかしながら、完全にサイドからやられっぱなしで、ボールの取られ方も悪く、奈良がリズムを奪われるのも当然の展開だった。

 
 
 兵庫は稲垣のサイドからの攻撃で奈良ゴールを脅かす。

 
 村上が展開を作るのは三洋洲本と同じパターン。

 
 
 27分の梅川のヘッドの場面。ここは日野が止めた。

 嫌な流れははっきりと形として現れた。前半終了間際の35分(35分ハーフ)にCKから平田が頭で決められて兵庫に先制点を許してしまう。1点のビハインドぐらいならば、幾度かリーグ戦でも跳ね返して来たが、この試合の前半の出来は予想以上に悪く、どうも不安感は拭えなかった。

 
 
 前半終了間際にCKからゴールを破られた。
 完全にフリーを許した。

 後半からいつものようにギアを上げて攻勢に出る奈良。39分には李がワンフェイントでDFを抜いてシュートを放つが大きくバーの上。41分には、矢部が絶好の位置からFKを狙うがこれも枠を捉えられない。43分には、李のパスを受けた檜山が絶妙なシュートを見せるものの、わずかにゴール左に逸れる。44分には三本菅のヘッドがバーの上に逸れてしまい、45分、46分には牧が決定的なシュートチャンスを決められない。このように「決める時に決められない」場面が多発すれば、より劣勢に立たされるのは当然。48分には何でもない相手の突破からクロスを放り込まれ、これを河野に頭で決められる。

 
 再三、兵庫ゴールに詰め寄るも1点が遠い。

 
 
 追加点は姫獨大の河野に頭で決められた。
 関西学生リーグでも異色のキャリアを持つ元社会人プレーヤー。

 0-2という状況。さすがに7月の全社関西大会での敗戦が頭を過る。なぜ、いつも通りの力が出せないのか…50分にはDF黒田に代えてFW嶋を投入し、攻撃の枚数を増やしにかかる奈良。対する兵庫も運動量の減少を保つためにボールのキープできる井上を投入する。58分には途中交代の嶋が絶妙な飛び出しで、檜山のループパスにGKと1対1の場面でシュートを見舞うが決められない。59分には辻村隆がドリブルからミドルシュートを狙うもののボールはゴール左へと転がっていく。
 しかし、チームは0-2というスコアを甘んじて受け入れてはいなかった。64分に牧がエリア内へ持ち込んで冷静にシュートを決める。これで1点差。何かこの瞬間沸き立つものがピッチから伝わってきた。

 
 
 
 関西リーグ得点ランクトップのこの男が意地を見せる。
 牧のシュートで1点差に。

 徐々に雨が強くなってきた試合終盤。兵庫は引き気味に逃げ切りを図り、奈良は1秒でも前にボールを進めたい。必死の攻防戦が続く。67分には李のシュートを兵庫のDFがゴールライン上でかろうじてクリアするなど極限の戦い。アディショナルタイムに差し掛かった頃、新たにアタッカーの蜂須賀を投入した奈良は、遂に兵庫の集中力が一瞬切れたところで右から走り込んだ嶋が豪快にシュートを突き刺して遂に同点とした。

 
 
 GKともつれながら李がシュート。
 これを相手DFがライン上でギリギリのクリア。

 
 
 アディショナルタイムは3分。
 その2分に嶋が強烈なシュートを決めてくれる。

 
 試合は延長戦(10分ハーフ)に突入。
 全員で勝利を目指す。

 延長戦もペースを落とさず、押せ押せの展開を見せる奈良。76分には李のパスを受けた矢部がエリア左からシュート。これはGKに阻まれたが、78分にも同じような形からゴールを肉薄。80分には、嶋の折り返しに牧が飛び込んでヘディングシュートを放つがここもGKにセーブされる。

 
 牧の決定的だったこのヘッド。惜しかった。

 延長戦の20分では決着がつかず、試合はPK戦へ。こうなれば、確信はないが勝利はグッと近づいた気がした。何せGK日野は今季の公式戦、練習試合問わず、ゴールを許したPKは1本(関西リーグ第11節アイン戦)のみ。何かしら活躍をしてくれるだろうという予感はあった。すると、案の定、奈良が4人目まで全員決めたのに対して、兵庫の4人目、5人目を立て続けに日野がストップ。奈良がPK戦を4-3で制した。

 
 
 
 
 恐るべし、PKストッパー日野の実力。
 この勝負強さは何物にも代え難い。

 息をもつかせぬスリリングな試合だった。あまりに心臓に悪い展開。しかし、その分勝利の味は格別だ。厳しく指摘すれば、後半の決定機をきちんとどこかで決めていればもう少し楽に試合をひっくり返せていただろう。どうにもこうにも試合の2/3ほどを消化したところで本領発揮というペース配分はそろそろ遠慮願いたいものだ。連戦は厳しいが、全社を経験できない分、この国体にはこだわっていきたい。
 奈良はすぐに明日21日に行われる代表決定戦に挑む。相手は京都府成年男子。例年JFLの佐川印刷の選手たちで構成され、これまでに国体サッカー競技・成年の部では5度の優勝を誇る全国屈指の強豪だ。しかし、今回PK戦まで体験できたのは、年末の地域決勝を考えれば良いシミュレーションになったはず。来季目指すべきはJFL。佐川印刷と互角以上に渡り合って、山口国体出場を目指したい。

 14:00から行われた第2試合では、和歌山と滋賀が対戦。TOJITSU滋賀FC(関西1部)を構成メンバーの大半とする滋賀が、上田のロングシュートで先制点を奪い1点を前半から先行する。一方のアルテリーヴォ和歌山(関西2部)の選手たちを主体にした和歌山は、エースの上赤坂を含めた3選手を後半開始から起用し、後半は果敢に攻め立てたが、GK内野を中心に和歌山に同点ゴールを与えなかった滋賀がそのまま1-0で逃げ切った。滋賀県成年男子チームは、明日21日の14:00からシードの大阪府成年男子チームと対戦する。

盤石の勝ち抜け -アイン食品vs三菱自動車京都-

2011年08月02日 | 脚で語るその他国内
 31日、長居第2陸上競技場で行われた第47回全国社会人サッカー選手権大会出場をかけた関西大会の代表決定戦。第2試合では関西リーグDiv1のアイン食品と京都府1部リーグの三菱自動車京都が対戦。試合はアインが終始試合を支配し、5-0と貫禄勝ちで全社への切符を勝ち取った。

 

 第1試合がPK戦へ突入した影響で、20分押しでキックオフされた第2試合はグループCの代表決定戦。初戦でBIWAKO S.C. HIRA(関西Div2)に2-0で勝利したアイン食品が京都府リーグの強豪・三菱自動車京都を迎え撃った。三菱自動車京都は、この3年で2度関西府県リーグ決勝大会に出場している強豪で、初戦は兵庫県1リーグ首位の龍野FCに4-0と大勝して代表決定戦まで勝ち上がってきたチーム。常に京都府リーグで優勝争いを続ける彼らがアイン相手にどこまでできるかが注目ポイントだった。

 しかし、なかなか関西リーグ勢の壁は厚い。8分、武末のシュートでアインが先制すると、24分に楠本のアーリークロスに井上が頭で合わせて追加点を奪う。試合開始からボール支配で格の違いを見せるアインが攻勢を保つ展開に三菱京都はなかなか相手エリア内までボールを持っていけない。26分に三菱京都が相手のファウルでPKを獲得するが、#22のキックはアインGK畑がストップ。前半を危なげない戦いぶりでリードしたアインが2-0で折り返す。

 

 
 8分、武末のこのシュートで幸先よくアインが先制。

 後半、48分にアインの攻撃、スルーパスに三好が走り込むが、GKと競り合いながらも作った決定機は相手DFがブロック。その1分後にはアインMF定のシュートがポストに弾かれるなど、アインは3点目がなかなか奪えない。これを機に少し三菱京都がボールを回せるようになってきた。アインが運動量を落としてきたところでチャンスを狙いたいところだったが、松本、岡本を軸にしたアインの守備を攻略できない。アインはリードが揺るぎない展開にも関わらず、62分に坂本を投入。エースの投入と三菱京都の疲弊で更にアインの攻撃が加速する。

 
 アインの攻撃を牽引するボランチの井上。

 
 ルネス時代には濱田(SAGAWA SHIGA)と活躍した梅村。
 14試合で61得点(08年)という驚異的な攻撃陣を引っ張った。

 74分にその坂本がシュートを決めてアインがリードを3点に広げると、80分にもその坂本のシュートがバーに当たったこぼれ球を途中出場の藤岡がゲット。試合終了間際には、吉居がFKを直接決めて5-0として試合を終える。順当勝利でアインが全社への出場権を勝ち取った。

 
 ルーキーのDF松本。
 今季のリーグ戦には主力選手として全試合出場している。

 
 三菱京都は、後半持ち直したものの終了10分前に守備が瓦解。

 
 吉居は見事なFKを終了直前に叩き込んだ。

 昨季の全社では2回戦でカマタマーレ讃岐に敗れたアイン。今季はそれ以前にリーグ戦で苦戦しているが、関西屈指の全国大会の常連チーム。インターバルが明けてからきっちりリーグでDiv1残留を果たした上で全社に臨みたいところだ。
 対して三菱京都は、完敗だったが、京都府リーグでは7試合でわずか1敗。FCマキシマと覇権を争っており、決勝ラウンドがあるにせよ、関西府県リーグ決勝大会に出場してくる可能性は高い。これを糧に関西リーグを虎視眈々と狙ってくるだろう。

アップセット、マキシマ -セントラルSCvsFCマキシマ-

2011年08月01日 | 脚で語るその他国内
 第47回全国社会人サッカー選手権大会出場をかけた関西大会の代表決定戦が各地で行われ、長居第2陸上競技場では、グループAのセントラルSC(兵庫県1部)とFCマキシマ(京都府1部)が11:30からの第1試合にて対戦。試合は2点をリードしたセントラルに対してマキシマが後半追いつく展開に。40分ハーフ及び10分ハーフの延長戦でも試合は決着がつかず、PK戦の末にFCマキシマが勝利を収めた。これでFCマキシマが関西代表の1枠として10月に岐阜で行われる本大会に出場することになった。

 

 炎天下の長居第2で対峙したのは、先週関西リーグDiv1首位の奈良クラブに今季の公式戦で初めて土をつけたセントラルSCと、昨季の京都府リーグ2位・FCマキシマ。セントラルは現在兵庫県1部リーグで4位(6/23現在)という戦績ながら、過去には2007年、2008年と関西リーグ昇格を懸けた関西府県リーグ決勝大会に進出しており、2007年には準決勝にまで駒を進めた関西屈指の強豪チーム。一方のマキシマも昨季の府リーグで躍進を遂げ、惜しくも府リーグ決勝ラウンドで3位に甘んじ、関西府県リーグ決勝大会には進めなかったものの、飛躍的に力を付けてきている模様。今季の京都府1部リーグでは三菱自動車京都に次ぐ2位(8/1現在、6試合消化で三菱自動車京都よりも1試合未消化)につけている。かつて関西リーグで戦っていたテクノネット大阪(大阪府1部)を延長の末に破っての代表決定戦進出ということもあり、満を持してこの戦いに臨んだはずだ。

 
 24日に奈良クラブに2-1と勝利したセントラルSC。
 この勢いで関西昇格もなるか。

 
 FCマキシマも今季の府リーグでは6試合無敗。
 今季の関西府県リーグ決勝大会に出てくる可能性は大きい。

 試合は、序盤からマキシマがセントラル陣内に攻め込んだ。12分には#9が右からの折り返しにシュートするもサイドネット。18分には同じく#9が振り向きざまに惜しいシュートを放つがわずかにバーの上。しかし、まずはしっかり守って相手の出かたを窺うセントラル、パスが徐々に回り始め、前半の半分を過ぎた頃から攻勢に転じる。きっかけは、22分の先制点だった。右サイドでボールを受けた#7が1対1になりながらも、エリア左端の角度の厳しいコースからシュートを狙う。すると、これがゴールイン。技ありのシュートでセントラルが先制に成功した。思えばこの#7は先週の試合でも途中出場から良い動きを見せていた選手。先発起用に応える活躍を見せる。

 
 序盤から攻め込んだマキシマ。
 #9が決定的なシュート。

 
 
 
 
 
 セントラル、先制点の場面。
 マキシマDFをかわしてシュートを決めた。

 序盤の攻勢が響いたか、少し前半から運動量に陰りが見え始めていたマキシマ。セントラルへのプレッシャーが心許ない。無理もない。ピッチレベルでは40度近いであろう酷暑のコンディション。スタンドの椅子もタオルを引かなければ日なたでは座れないぐらいの熱さだった。遠方からは長居公園内のプールではしゃぐ子供たちの声と巡視員の注意喚起が聞こえてくる。この状況下でサッカーをやることがつくづく過酷だと思うには十分なコンディション。しかし、暑さが厳しいだけに一層の集中力が試合には必要になっただろう。この先制点以降はセントラルが決定機を量産。33分には#24の左クロスに#9がヘッドでゴールを狙うと、34分には、CKから#27がヘッドをお見舞いし、こぼれたところに#7がシュート。36分、37分にも立て続けに決定機といえるシュートチャンスを作ったセントラル。前半だけ見ると、運動量でペースが落ちなければ、このままセントラルがリードを広げて勝利を手中にするのではと思えた。

 
 セントラルは#24のゲームメイクが秀でていた。
 パス能力の非常に高い選手だった。

 後半、マキシマが締め直してきたと思いきや、52分にセントラル#24のFKをマキシマGKがキャッチした後にこぼしてしまい、セントラル#9が押し込んでリードは2点差に。相手のミスも手伝って盤石の試合展開を見せるセントラルの優位はますます強固になったと思えた。ところがやや気になったのは決定機の多さ相応のリードにできていない点。そういう意味では、数少ないチャンスを得点に結びつけた先週の奈良クラブ戦の方が選手たちは集中できていたのだろう。正直、早い段階でセントラルは試合を決めてしまえるだけのチャンスがあった。

 
 #9が相手GKのミスを突いて狡猾な追加点。

 
 対照的に2失点目を喫してガックリのマキシマ。

 後半も半分を過ぎようという頃、63分にセントラルが選手交代を試みる。先制点を挙げた#7に代わって#3を投入するが、このあたりから急にセントラルがペースダウン。これを見計らってギアを上げたのがマキシマだった。5分後、左からの折り返しに#9がヘッドで決めてマキシマが1点を返すと、その3分後には右からの折り返しをエリア中央で#25が決める。あっという間に同点に追いつくマキシマ、あっという間にマークが緩み、崩れたセントラル。リードの安堵感と後半に入って暑さが効いてきたのか、ペースダウン著しいセントラルは急にミスが目立ち始め、遂には2-2の同点で試合は80分を終えることになった。

 
 決定機の多さが得点に結びつかないセントラル。

 
 マキシマが1点を返す。追い上げムードに。

 
 そしてマキシマ同点に追いつく。

 追いつかれて迎える延長戦。セントラルベンチには明らかに焦りが見え、少し殺伐とした雰囲気になった。それでもGK#15が「ええやん、ええやん。余計に試合できるの楽しいやん。」と一言皆に声をかけていたのが印象的だった。この気持ちは大事だと思う。この意識がある限り、このチームは負けないと思った。対するマキシマは落ち着いていたのか、昂ぶっていたのか、とにかく厳しい10分ハーフの戦いとなった。
 
 
 厳しいコンディションでの延長戦。
 こんな光景が何度も見られた。

 延長戦前半からネジを締め直したセントラルが再度持ち直し、押せ押せムードのマキシマの切り替えの速い攻防戦に。93分にはマキシマ#10のFKをセントラルGK#15がかろうじてセーブ。その直後のCKから#25がヘッドを見舞うなどマキシマがゴールを狙えば、今度はセントラルが95分に#8のシュート、その直後には#10のアーリークロスに#5のヘッドがわずかにゴールを外れるなど死力を尽くした戦い。しかし、この20分間でも決着はつかず、試合はPK戦へと持ち込まれた。

 
 マキシマのこのチャンスは相手GKのファインセーブに遭う。

 
 マキシマも追いついてから積極性が増した。

 PK戦でも互いに両者譲らず、7人目に突入。先攻のマキシマ7人目が決めたのに対して、セントラルは7人目が失敗。この瞬間、FCマキシマがグループAを制し、関西代表の一角として全社に出場することが決まった。

 
 セントラル7人目のキックをマキシマGKがセーブ。
 2失点目のミスを帳消しにする殊勲の活躍。

 今季公式戦負けなしの奈良クラブが初戦で府県リーグ勢に敗れるなど、波乱続きのグループAだったが、最終的にはおそらく4チーム中最も下馬評の低かったであろう(失礼!)FCマキシマの勝ち抜けに終わった。多くの人がこのグループの代表決定戦は奈良クラブ-テクノネット大阪と予想したかもしれない。つくづくサッカーの不確定要素を思い知る結果の連続だった。本当に一発勝負は恐ろしい。そういえば、3年前の全社も同じように奈良クラブが奈良県リーグ勢として初めて全社に出場した。あの時は、初戦でアイン食品を2-1で破り、代表決定戦ではFC加古川を相手に延長戦までもつれ込むなど苦戦しながら本大会出場権を掴んだ。
 関西から唯一の府県リーグ勢の出場となったFCマキシマには本大会での健闘を祈願したい。

立春、立蹴、2011年シーズン

2011年02月05日 | 脚で語るその他国内
 すっかり新年のエントリーが滞っている間に立春を迎えて、心なしか暖かくなってきた2月最初の週末。まだ1種の都道府県リーグなど一部のアマチュアカテゴリーしか公式戦のない時期だが、絶えずフットボールの世界は目まぐるしく動いている。今年はどんな1年になるだろうか。

 このブログにおいては、すっかり昨年度の総括ができなかった。即時的な情報発露に至極便利なTwitterのおかげで観戦記オンリーのブログに変貌を遂げてしまったが、今エントリーでは、昨年度の総括も含めて、今季の個人的な見どころをピックアップしたい。

 まずは、先日ようやく前横浜FMトップチームコーチを務めた吉田新監督を迎える運びとなった奈良クラブ。関西リーグのDiv1昇格1年目は紆余曲折のあったシーズンだった。
 Div2の時から戦力が上積みできたとはいえ、優勝を果たしながらも2敗してしまった弱さがDiv1で露呈。シーズンで得た6勝のうち4勝は、結果的に降格となった学生チームから得たものだった。加古川、L京都に勝利したものの、上位陣、三洋洲本、アインの2チームには1分1敗と実力の差を突きつけられた。加えて引き分けの多さも4位に甘んじてしまった要因で、天皇杯は本大会出場を果たしたものの、全社は予選敗退し、貴重な全国の舞台を踏めなかったという点では、少し勿体ないシーズンだった。
 チームの2011年シーズンは2月よりスタート。徐々に新たな選手を加えながらトレーニングは始まっている。練習量と質は向上するだろう。目標は地域決勝チャレンジ。つまりリーグ優勝しかない。

 Jでは、昨季まで天皇杯を連覇していたガンバが無冠で終わってしまった。宇佐美が本格的にブレイクしてベストヤングプレイヤー賞を獲得するほどの存在感を示したが、長丁場のリーグとACLのタイトルを両方追う難しさが改めて目の前に立ちはだかった2010年シーズンだったといえる。しかし、ガンバの目標はおそらくこの2冠と明確なだけに、今年もACLが始まる序盤からリーグ戦との兼ね合いを乗り越える毎度おなじみのミッションは攻略必須。それを考えれば、多少戦力的に補強は寂しかったかもしれない。個人的には安田理の後釜を狙える藤春をはじめ川西や金といった大卒ルーキー選手の活躍に期待したい。

 Jリーグを目指す下位カテゴリーの戦いも昨季に讃岐、長野がJFL昇格を果たしたことで、ある程度のJ志向クラブがJFLに揃った印象がある。松田を補強した松本山雅を筆頭に、町田、金沢、琉球、讃岐、長野も積極的な補強を施してJ参入を目指している。彼らJ3とも形容できそうな熱いJFLの戦いだけでなく、ここに続く地域リーグカテゴリーの戦いも引き続き楽しみだ。

 2011年も立春と共に立蹴。そろそろシーズンが始まる。練習試合、日程発表、何とも言えない緊張感と期待感が入り交じるこのオフシーズンも非常に楽しい。

和歌山、関西リーグへ王手 -FC大阪 VS アルテリーヴォ和歌山-

2010年12月24日 | 脚で語るその他国内
 来季の関西リーグ昇格を懸け、関西2府4県の社会人リーグ代表2チームが戦う関西府県リーグ決勝大会。神戸ユニバー記念競技場では大阪府1部リーグ優勝チームのFC大阪と和歌山県1部リーグのアルテリーヴォ和歌山が準決勝で対戦。試合は和歌山が先行しながら優勢に試合を進めるものの、終了間際にFC大阪が追いつき、試合はPK戦に突入。このPK戦を4-1で制した和歌山が年明けの決勝戦に進出決定。関西リーグ昇格に王手をかけた。和歌山は1月15日(土)にこの日第1試合でヤンマー尼崎(兵庫)に2-0で勝利したOKFC(大阪)と自動昇格をかけて戦う。

 

 Aブロックを突破したFC大阪とDブロックを突破した和歌山。FC大阪はJST(奈良)と神戸FCシニアB(兵庫)に続けて3-2と辛勝でここまで漕ぎ着けた。また、和歌山もチーム立ち上げから足掛け5年目でいよいよこの府県決勝大会に挑戦。ブロックリーグ初戦は、ポルベニルカシハラ(奈良)とPK戦にもつれ込みながらこれを4-2で退けると、京都伏見蹴球会(京都)も4-2と撃破して準決勝へ辿り着いた。共に全社では関西予選にも名を連ねるJリーグ志向の本命2チームの潰し合い。試合開始からペースを握ったのは和歌山だった。
 和歌山は右サイドから重松のチャンスメイクから決定機を作る。18分に彼のクロスから西山がヘディングシュートを放つがわずかに左に逸れる。24分にはその重松自身が相手GKが飛び出しているのを見計らってシュートを放つもののわずかに決められない。26分にも芝崎がGKと1対1の場面を作りながらも決められない。早い時間帯に先制点を奪えるチャンスがありながら和歌山はなかなか試合を動かせなかった。

 
 FC大阪FW辻村が厳しいマークに遭う。
 和歌山はしっかりFC大阪を研究していた様子。

 対するFC大阪も今季は全社に出場した経歴を持つ。しかも、昨年はこの準決勝で海南FC(和歌山)にPK戦の末に敗れているのだ。これ以上大阪府リーグでプレーはできないという意気込みでこの大会に臨んでいるはずだった。11分にはエースの高橋が和歌山のエリア内でゴールに迫るがあと一歩で相手DFに潰される。その後も和歌山のボールを奪っては機を見たロングボールの配給と中盤での池松、岡本、金といった選手の展開力で和歌山陣内まで迫る。しかし、26分に辻村のシュートが和歌山GK金丸のファインセーブに遭ったのが象徴的だったが、まずはGK金丸を中心とした和歌山の集中力溢れる守備の前に沈黙を余儀なくされた。

 
 
 
 FC大阪は高橋がゴール前まで攻め込むがゴールならず。
 和歌山は集中した守備を披露。

 先制点は34分、和歌山が先取した。FC大阪陣内ペナルティエリアの左サイドで得たFKを鈴木が蹴ると、中央で船津が頭で合わせてゴールに沈める。おそらく、最もプレッシャーのかかった一戦で得た先制点。一気に選手たちの喜びが爆発した。

 
 
 
 
 和歌山の先制点の場面。
 鈴木の左からのFKを船津が気迫のヘッドで押し込む。

 前半のこの1点を守って和歌山リードで試合は後半へ折り返す。

 
 FC大阪FW塚田を和歌山DF角南が捕らえる。

 
 MF金を中心にパスをつなげていこうとするFC大阪だったが。

 後半に入ると、守りに入ることなく和歌山が仕掛けてくる。47分に泉川が左サイドの角度の無いところから狙ったシュートが右ポストに直撃し、あわやゴールかという場面。チームの雰囲気を盛り上げる積極的なトライだった。両チーム共に負けられない試合。積極的にこの辺りから選手を替えてくる。和歌山は早い時間帯に追加点を取っておきたい。そしてFC大阪は早く追いつきたい。一進一退の攻防が続く試合は66分に動く。
 FC大阪の右サイドで攻撃を牽引するDF下田が相手へのファウルで退場処分となる。1点ビハインドで思わぬロス。しかし、和歌山にとっては願ってもない数的優位を作り出せるチャンスとなった。69分には早速、和歌山MF芝崎が相手GKとの1対1のチャンスを迎える。しかし、ここは決められない。72分には先制点を決めた船津が不意を突くループシュートを放つが決まらない。和歌山の追加点が生まれる展開へ一気に試合の流れは傾いたかと思えた。

 フルタイム80分の試合、残り時間が刻一刻と迫る。74分には負傷中にも関わらずFW上赤坂が投入される和歌山。そして、その直後にFC大阪も監督を務める森岡自身がピッチへ。互いにチーム一の経験値をこの場面に費やす形振り構わぬ姿勢が冷気の吹き込むスタジアムに緊迫感をもたらす。

 
 森岡がゴール前に迫る。
 監督自身がピッチで勝負しにいった。

 アディショナルタイムは4分と出ていた。しかし、そのアディショナルタイム突入直後にFC大阪がCKを得ると、これにDF山本悟が頭で合わせて決める。劇的な同点弾で試合は44分ぶりに振り出しへ。

 
 
 
 DF山本悟が打点の高いヘッドで相手DFをかわして同点弾。
 
 80分が終わり、試合はPK戦へと突入。和歌山の先攻で始まったPK戦は和歌山が鈴木、田丸、阿部と3人連続で決めたのに対して、1本目を高橋が外し、また2本目の國田のキックを和歌山GK金丸がナイスセーブに阻まれたFC大阪。3本目は金が決めてストレート負けこそは逃れたが、和歌山は4人目の上赤坂がきっちり決めてPK戦を4-1と勝利。見事に来年1月に行われる関西リーグ自動昇格を懸けて行われる決勝戦への切符を掴んだ。
 対するFC大阪は悔恨の2年連続準決勝PK戦負け。しかも皮肉にも相手は同じ和歌山勢となってしまった。

 
 全ての明暗を懸けるPK戦へ。

 
 和歌山、FC大阪2本目の國田のキックを金丸がセーブ。

 
 
 和歌山はチームの象徴的存在・上赤坂が決めて決着をつけた。

 
 
 和歌山県リーグの戦いからの脱出が見えてきた。
 アルテリーヴォ和歌山、関西リーグまであと1勝。

痛み分けの関関戦

2010年06月20日 | 脚で語るその他国内
 日本代表がW杯で第2戦を迎えようとする日本時間の19日、関西学生リーグでは前期最終節を迎え、長居スタジアムでは「関関戦」と称される関学大と関西大の対戦が行われた。

 

 蓋を開けてみれば、昨季のリーグ覇者である関学大は今季現時点で6位。同じく昨季リーグ2位で関学大、阪南大と最終節まで優勝を争った関西大は今季現時点で5位と12チーム中では中位争いになってしまったこのマッチアップ。しかしながら、両者共に互いに譲らぬ試合展開で1-1と引き分けに終わった。

 
 最大の見所は梶川(左)と田中雄(右)のマッチアップ。
 サイドの攻防は両者の勝負の行方を占う重要なファクター。

 前半から小柄なテクニシャン・梶川のドリブルを起点にチャンスを作っていく関学大。前線にはターゲットマンとなる長身FWの村井がチャンスボールを待ち構える。対する関西大は序盤劣勢に立たされたが、先日J1川崎入りが内定したDF田中雄を軸にまずはしっかり守るところから入った。
 37分、関学大の梶川が左サイドをドリブルで仕掛けたところに、関西大・田中裕がたまらずファウル。これで得たFKを関学大はゴール前に攻撃参加したDF井林にピタリと合わせて先制点をもぎ取った。

 
 関学大のエース村井は長身を生かしたプレー。
 昨季はこの対戦カードで無敗。自身の得点で試合を決めたい。

 
 関学大はセットプレーから先制点を挙げることに成功。
 梶川からチャンスを効果的に作った。

 これで追う立場に立たされた関西大は、中盤で岡崎、田中裕、板倉ら2年生プレイヤーが奮起。徐々にペースを盛り返して前半を折り返すと、59分にカウンターからエース金園がエリア左手から強烈なシュートを決めて同点に。後半の良い時間帯に試合を振り戻した関西大はこの勢いを持続させたかった。

 
 来季J1磐田に入団が内定している金園が同点弾を叩き込む。
 これで俄然関西大サイドは盛り上がったが・・・

 
 G大阪ユース出身の選手が多数在籍する関西大。
 学生選抜に選出されるなど、田中裕はチームの中心選手に。 

 しかしながら、試合はそこからなかなか動かない。徐々に運動量を落とす関西大を尻目に関学大ががむしゃらに1点を追い始める。早々に前節の立命大戦で2得点と大活躍したサイドプレイヤーの阿部を負傷で欠いたが、代わりに投入された浦島が奮闘。高い集中力で果敢に関西大ゴール前に迫った。対する関西大も終盤に猛攻。ATに突入した最後のプレーで藤澤がドリブルで猛然と独走。これをファウルで止められたことで得たFKを田中雄が担うが、これが惜しくも決まらず、試合は1-1と両者痛み分けとなった。

 
 野洲高の全国制覇を経験している田中雄は川崎に入団が内定。
 今季の楠神のような初年度からの活躍に今から期待したい。

 試合こそ引き分けだったが、会場は伝統の「関関戦」ムードに盛り上がった。ハーフタイムに両校の部員やチアガールなどを交えて「関体」と呼ばれるパフォーマンスも見られ、非常に和気あいあいとした雰囲気。この2チームが後期の対戦で優勝を争う戦いを見せて欲しいところだが、阪南大が頭一つ抜け出す展開となった前期日程。なかなか2チームの追い上げは至難なミッションだろう。総理大臣杯を挟んで、しばしのブレイク後にこの関関ミドル2が躍進を果たせばより一層リーグは面白い終盤戦になるだろう。

府県決勝もまもなく開幕

2009年12月02日 | 脚で語るその他国内
 4日の金曜日からいよいよJFL昇格を懸けた全国地域リーグ決勝大会決勝ラウンドが開幕するが、時期を同じくして今季も関西府県リーグ決勝大会が開幕する。
 2府4県それぞれのリーグを勝ち抜いてこの舞台に臨むのは計12チーム。その頂上に待っているのは関西リーグへの昇格だ。

 昇格の最筆頭チームはなんといってもFC大阪だろう。大阪から3チーム目のJクラブ誕生を狙う新進気鋭のチームで、監督兼選手として元G大阪の森岡茂が奮闘している。それだけではなく、辻本茂輝(元横浜F、京都)、池松秀明(元京都、岡山)、山道高平(元名古屋、鳥栖)、羽畑公貴(元G大阪、鳥栖)といった元Jリーガーに加え、つい1ヵ月ほど前にはカマタマーレ讃岐の一員として全社を戦っていた岡本竜之介(元G大阪、徳島)まで加わっている。このカテゴリーでこのメンバーはまさに豪華絢爛。圧倒的な強さで大阪府リーグを勝ち上がったその実力は今大会の大きな注目を集めそうだ。公式サイトも整備されており、トレーニングもコンスタントに週4回行っている。あっという間に関西リーグDiv1まで駆け上がってくるのではないだろうか。

 現段階でこのFC大阪の対抗馬は見当たらない。滋賀FCとBIWAKO.S.C.HIRAが昇格した2シーズン前の再現を滋賀県勢はFC TOJITSU SHIGA及び守山侍2000の2チームで狙いたい。和歌山から参戦する紀北蹴球団も2年ぶりの関西リーグ復帰が大きな目標となるはずだ。
 そして、Atleticoと大和クラブが参戦する奈良県勢。昨季の奈良県リーグ勢同時昇格の再現をこの2チームが果たすことができればその強さは本物だ。しかしながら、この顔ぶれの中で結果を出すことはかなり難しそう。奈良の2チームの健闘も祈りたいところだ。

 6日から予選リーグが始まる関西府県リーグ決勝大会。決勝戦は来年1月16日。年をまたいで戦いは繰り広げられる。

両者優勝逃す痛み分け -関西大 VS 阪南大-

2009年11月30日 | 脚で語るその他国内
 第87回関西学生サッカーリーグは後期第11節を迎えて優勝争いがクライマックス。後期第10節を終えて首位に立ったのは立命大。それを追う関学大、関西大、阪南大の4チームが優勝に望みを懸けて戦う展開となった。最終節である今節では、それら優勝の可能性を残す立命大と関学大、関西大と阪南大が直接対決を迎える大一番となった。
 第1試合(長居ス)では、首位・立命大が関学大に1-3で敗れて優勝の望みを絶たれる。この試合に勝った関学大は、第2試合である関西大と阪南大の試合が引き分けに終われば優勝が決定する。その中で行われた試合は最後まで勝負が付かず、結局1-1の引き分けで終了。関学大の優勝が決定し、この結果、関学大、関西大、立命大の上位3チームがインカレ(全日本大学サッカー選手権大会)の出場権を獲得した。

 

 第1試合を隣の長居スタジアムで終えて注目度の増す長居第2陸上競技場。この試合に優勝の行方が左右される。試合は勝って優勝を自力でもぎ取りたい関西大が優勢に進めていく。スタンドは両校のファンだけでなく、この結果で優勝の決まる関学大の選手たちも固唾を飲んで試合を見守る。
 
 
 京都入団が決定している関西大GK児玉(4年)。
 要所を締めるセービングでチームを盛り立てる。

 
 ゲームキャプテンを務めた田中雄(3年)。
 粘り強い守備と労を惜しまぬアップダウンを見せた。

 両者決定機らしい決定機を迎えられず、試合はスコアレスで後半へ。後半は立ち上がりから阪南大が猛攻を仕掛ける。開始早々に井上がシュートを関西大ゴールに浴びせると、46分には前節も4得点と絶好調の細野が均衡を破るシュートを決める。この試合に勝利すれば優勝を引き寄せられる阪南大は執念を見せた。

 
 待望の先制点は絶好調のFW細野(3年)がゲット。
 阪南大ベンチを巻き込んでの歓喜。

 このままではいけない。優勝のためには2点が必要になった関西大はここから反撃に出る。56分には西岡(4年)のシュートがわずかにゴール左に逸れ、67分には藤澤(3年)の左からの折り返しを途中出場の金久(4年)が合わせにいくがわずかに合わない。まずは同点弾を狙いに前がかりに出る関西大と守りにウエイトを置いていく阪南大との攻防は続いた。
 74分、関西大は遂に中村(4年)が同点に追いつくシュートを決める。沸き返る長居第第2陸上競技場。更に加速する関西大の攻撃はもう1点を狙い続ける。76分には先日の天皇杯甲府戦でも得点を挙げたエース・金園(3年)、続いて金久のクロスに藤澤とシュートを繰り出すがゴールは遠い。ロスタイムには左サイドを攻め上がった田中雄のクロスに藤澤が合わせたが、これがポストに当たる不運。結局このままタイムアップを迎え、関西大、阪南大共に優勝には届かず。スタンドで戦況を見守った関学大が11年ぶり28度目の優勝を果たすこととなった。

 
 反撃の関西大、74分に中村(4年)が同点ゴールを決める。
 大分U-18出身のサイドアタッカー。チームに勢いを与える。

 
 しかし、阪南大は堅固な守備で関西大の攻撃を食い止める。
 ボランチ・井手口(3年)が広範囲にわたってカバー。

 
 76分には金園(4年)がこのボレーシュート。
 しかし、ボールはバーの上へ。

 
 ラストワンプレーのチャンス、焦る関西大。
 最後の最後で藤澤(3年)が惜しいシュートを決められない。
 万事休す。

 3年ぶりのリーグ制覇を狙った関西大と昨年度のリーグチャンピオンである阪南大が激しくぶつかった一戦。そのどちらも優勝に王手をかけながら歓喜は訪れなかった。しかしながら、残すは全日本大学選手権の舞台。関西代表として出場する関学大、関西大、立命大の3校の健闘を祈りたい。