脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

トップへ食い込め -SL VS京都-

2009年09月28日 | 脚で語るガンバ大阪
 G大阪が戦う今季のサテライトリーグは第12日(6試合目)の京都戦で全日程が終了。初戦から3連敗と振るわなかったサテライトの公式戦だったが、東城陽で行われたこの京都戦では6-1と完勝。逆転優勝を狙うトップチームの勢いがサテライトにも良い形でフィードバックされていたようだ。

 
 この日の主役はハットトリックの播戸。
 決してサテライトでも手を抜かない男がしっかり結果を出す。

 
 平井もチームの2点目と先制点のアシストと奮闘。
 今季ほとんど掴めていないトップでの出番を手繰り寄せたい。

 
 効果的なサイドアタック、好配球と上々だった寺田。
 先制点もマークし、その存在感をアピール。

 
 同年代対決となった宇佐美と宮吉のマッチアップ。
 もはや2人とも高校生とは思えない堂々としたプレー。

 
 体を張った守備で魅せた武井。
 リーグ終盤戦、厳しい舞台で少しでもトップ出場を期待。

 
 右足の状態が思わしくない中で奮闘した倉田。
 この日は決定機になかなか絡めず。

 
 京都・宮吉とG大阪・安田理のマッチアップ。
 再三サイドで火花を散らした。

 
 G大阪の完勝劇の中で衝撃を与えたのはハウバート・ダン。
 来季の京都加入が内定している愛知学院大のプレイヤー。
 交代出場早々に強烈なシュートで1点を返す。

 
 京都のルーキー・上里も劣勢の中で好プレーを披露。
 非常に攻撃センスのある19歳だ。

 
 下平の後塵を拝し、苦しい状況の安田理。
 この日は1得点で攻撃面でアピールした。

 
 CK時に攻め上がるCB菅沼。
 その落ち着きと対人の強さは成長の証か。

 
 藤ヶ谷もゴールを死守して全快ぶりをアピール。
 松代からレギュラーを奪い返せるか。

 
 少ない時間ながら出番を与えられた大塚(右)。
 宇佐美には負けていられない。

 試合開始から効率良く得点を重ねていったG大阪。後半開始早々からの数的有利も手伝って好守ともにブレることなく試合を支配した。当初は低調ぶりが著しかったサテライトチーム。ようやく活気が見えた試合だったが、この戦いぶりが西野監督にはどう伝わったか。これから佳境を迎えるトップの戦いに食い込める選手は出てくるのか、最後の公式戦だけに選手の表情からもシビアさが窺えた試合だった。

失速は許されない、総力戦の始まり

2009年09月27日 | 脚で語るガンバ大阪
 鹿島のまさかの失速で、上位陣が一層肉薄する展開になってきたJ1。その上位陣の直接対決となった大一番G大阪と川崎の対戦は2-1でG大阪が逃げ切った。

 先日のACLとの連戦をこなす川崎を相手にG大阪が狡猾に結果を出した。この日は佐々木を先発起用し、ルーカスを1トップ気味で起用。遠藤を中盤の底に据える4-2-3-1ともいえる布陣。前節のFC東京戦で後半から投入した佐々木に可能性を感じたのか、疲れの残っているであろう川崎を突く絶妙なタイミングでの先発起用。
 じっくりボールを動かしながらチャンスを見出すG大阪は、16分に中澤のロングパスを受けた二川が振り向きざまに飛び出した遠藤に絶妙なラストパス。オフサイドぎりぎりで走り込んだ遠藤がこれを難なく決め、幸先良く試合の主導権を握った。「FW」の呼び名が相応しいほどの見事な飛び出し。二川が中央でスペースのある中ボールを受けられたのが幸いだったが、川崎の最終ラインも高い位置でプレーしていた遠藤を捕まえきれなかった。

 前半終了間際に川崎・谷口に見事なミドルを決められて一時は追いつかれるが、75分に遠藤が自身で得た直接FKを鮮やかに決めて決勝点を奪った。水曜日のACLで同じくFKを直接決めた中村憲の前で本職の本領発揮。見事な軌道を描いたボールはGK川島も捉えきれなかった。
 佐々木の負傷交代で、後半こそ劣勢を強いられる場面も多かったが、今の川崎を相手にしっかり勝利を掴めたことは最大の収穫。特に今季は「完敗」ともいえる内容でACLのベスト8を譲っている。同じ万博でしっかりリベンジできたことはチームにも勢いを与えてくれそうだ。

 こうなってくると、前節のFC東京戦で引き分けたことは悔やまれる。それだけでなく、完勝できた試合も幾度か落としている。明日試合を控える清水が勝利すれば、首位・鹿島との勝点差はなんと1ポイント。一時は鹿島が圧倒的なリードを誇っていただけに、例年団子状態のJ1は今季も同様の展開。再びチャンスの生まれてきたG大阪、相変わらず波のある試合ぶりだが、直近10試合だけを見ればわずかに1敗という強さ。2位に位置する清水も11試合負けなしの状態だけに、ここからは我慢比べ。今季のG大阪にとって、32節清水戦(A)、33節鹿島戦(A)のアウェイ2連戦は“大山場”になるだろう。そこまで現在の調子を持続できるか。総力戦の時は来た。

光と影を払拭する「マネー」の力

2009年09月24日 | 脚で語る欧州・海外
 「マネー」。ユナイテッドとシティの違いは何かという問いに対して、全ての人が開口一番、こう答えた-----。

 9年前の2000年6月、季刊誌「サッカー批評」内で永井洋一氏が「マンチェスターの光と影」というタイトルで当時のユナイテッドとシティの立ち位置をレポートされている。冒頭はそのレポートの最初の一文であり、当時のシティとユナイテッドをこれ以上ない言葉で切り分けている。時代が変わってしまったといえばそれまでだが、今ではこの言葉は通用しない。かつては、シティファンによってユナイテッドに対する悔恨にも似た感情で使われていた「マネー」という言葉。現在では、シティそのものを象徴する言葉となってしまった。ユナイテッドに比べれば、ファンの帰属意識で明確な結束力を自負していたシティのファン。彼らは現在のシティをどのように見守っているのだろうか。

 世界を震撼させたアブダビ・ユナイテッドグループ(ADUG)によるマンチェスター・シティの買収劇から1年が経った。その1年前にはタイの元首相でタクシン・シナワット氏がクラブを買収。彼の資産凍結によって損失補填もままならないことから、シティはアラブマネーの傘下に売却されることとなる。アラブマネーを中心に巨万の富を築いたスレーマン・アルファヒム率いるADUGは約2億1000万ポンド(約407億円)でシティを買収。個人資産額でアブラモビッチの約10倍を有するというアルファヒムにとっては、それほど難しい選択ではなかったはずだ。たちまち「世界一の金持ちクラブ」となったシティ。その夏にはレアル・マドリーからロビーニョを4200万ユーロで獲得し、冬の移籍市場ではデヨング、ギヴン、ブリッジ、ベラミを獲得するなど主役に躍り出た。今夏もコロ・トゥーレ、レスコット、バリー、アデバヨール、テベス、サンタクルスなど錚々たるメンバーを補強。200億円以上の投下資金でプレミア屈指の陣容を実現させているのは記憶に新しい。

 そこにはかつてディビジョン2(イングランドでの3部)にまで転落した98-99シーズンの面影は一切ない。プレミアへ這い上がった00-01シーズンも18位ですぐさまディビジョン1へ。再び昇格を果たした02-03シーズンからの戦いぶりは7シーズンで二桁順位が4度。もはやユナイテッドには遠く及ばないシティの戦いぶりにマンチェスターのファンも悲観を通り越したことであろう。
 現役時代はユナイテッドの中心選手としてその名を馳せたヒューズ監督が就任した昨季こそリーグ10位、UEFAカップベスト8止まりだったが、今季の陣容は尋常ではない。現実的にも「プレミア制覇」が狙えるチームになった。長年、ユナイテッドの後塵を拝してきた彼らにとっては、先日のマンチェスターダービーは奮い立ったことだろう。あとわずかで及ばなかったが、シティにも十分勝機はあった試合だった。

 かつてはクラブ買収にファンの反応は非常に冷ややかだったプレミアリーグ。現在ではむしろ歓迎されているという。プレミアを構成する大半のクラブが海外資本であり、それは当たり前の光景になってきた。しかし、ここまで「マネー」の力を借りてクラブが肥沃化していくことに、これまでのシティファンは抵抗が無いのだろうか。マンチェスターでも下層労働者階級のファンが多いというシティ。かつてその言葉は、同じ街にある金満クラブ・ユナイテッドに対する変質を揶揄する言葉であった。プレミアリーグへの海外資本流入は彼らの意識を徐々に変容していったのであろうか。「マネー」の匂いが普遍化しているプレミアにおいて、“アンチユナイテッド”で結ばれていたシティへの帰属意識はそのままに、「マネー」はいつの間にかその意識の土台になっているようだ。

 古くからクラブの象徴であったDFダンがアストン・ビラに移籍し、現在のシティ在籍選手の最古参は、6年目を迎えるオヌオハ。5年目のリチャーズとアイルランド以外はほとんど2年目~3年目の新顔が並ぶ。そこにはかつてユナイテッド以上に“ファミリー”を自負していた痕跡はない。マンチェスターにかつての光と影はもう無いのかもしれない。新たな形でその歴史を紡ぎ出している。
 「マネー」の力で、これまでの借りを返す時が来たのかマンチェスター・シティ。英国版「銀河系軍団」はビッグ4の牙城を崩せるのだろうか。この数シーズンに期待がかかる。

川崎強し、諦めない名古屋

2009年09月23日 | 脚で語るJリーグ
 AFCチャンピオンズリーグ準々決勝は川崎と名古屋というJリーグ勢の対戦。第1戦が国立で行われ、川崎が2-1で先勝。30日に行われる第2戦に望みを繋げた。

 シルバーウィークの最終日は、国立で互いの意地と意地がぶつかり合った。Jリーグの戦いでは川崎に大きく離されている名古屋。Jリーグでは直近の5試合で4勝1敗と名古屋が調子の良さを持続している感があるが、ACLの舞台になると川崎のタイトルへの執念がにじみ出たようだ。
 0-1でリードされ迎えた後半、60分に中村憲がエリア右端からのFKを直接ねじ込むと、その3分後には森のクロスに谷口がヘディングシュート、このこぼれ球をエース・ジュニーニョが押し込む。電光石火の逆転劇でそのまま川崎が第1戦をモノにした。

 先制点がカギを握る試合だったが、先制したのは名古屋。ケネディが得意のヘッドで川崎ゴールを陥れた。このまま名古屋もアウェイゴールを意識してたたみかけたいところだったが、ホームの川崎がこのまま沈黙するとも思えなかった。案の定、火が着いた川崎の攻撃が集中砲火。効率の良い点の取り方で、その攻撃陣の脅威を見せつける。
 名古屋は逆転を許してからピリッとせず。後半はキーマンのマギヌン、前線のケネディが徹底マークに苦しんだ。71分にブルザノビッチ、そして87分に三都主と巻を投入するも、少しベンチワークが遅かった感もある。吉村に代わって入ったブルザノビッチはパスミスが多く、あまり周囲とコンビネーションが合っていなかった。おそらくストイコビッチ監督としてももっとボールを動かしたかったのだろうが、三都主と巻を先に投入した方が面白かったように感じる。

 結果的には「川崎強し」という試合だったのは確かだ。狭いエリアでのパスワークは川崎に分があり、中村憲のゲームメイクとジュニーニョの決定力が際立った。30日の第2戦も変わらぬ戦い方で堅実に勝利を手繰り寄せそうな予感。2年前のリベンジというのもあって、アジア王座へのこだわりは並々ならぬものがありそうだ。

 第2戦は、名古屋のホーム・瑞穂で行われる。海外チームとの対戦に比べればホーム&アウェイの有利不利が少ない日本勢の対決。2-1という僅差での折り返しも勝負がどう転がるか分からないところ。ACL初参戦の名古屋も指揮官・ストイコビッチの目の色は決して色褪せていない。また、楢崎の負傷で代役を見事なまでに果たしている奈良出身のGK広野の活躍もあって、個人的には名古屋に肩入れしながら、日本勢の健闘を見守りたいと思う。

無傷のブルーズ、傷だらけのスパーズ

2009年09月22日 | 脚で語る欧州・海外
 一体この2チームにはどうやって勝てばいいのだろうか。そう思わせるぐらいスペインではバルセロナとレアル・マドリーの勢いは凄まじい。C・ロナウド、カカ、イブラヒモビッチとあれだけのビッグスターが揃えば当然。おそらくWOWOWの加入者も増えたのではないだろうか。しかし、侮るなかれ今季もプレミアリーグは面白い。6週目を終えたプレミアでは、徐々に各チームの差が見えてきた。

 先週末に行われた6週目は、マンチェスターダービーも行われたが、今季好調なロンドンの2チームもマッチアップ。スタンフォードブリッジで首位を走るチェルシーと今季まだ1敗のトッテナムが対戦した。結果は3-0とホームのチェルシーが完勝。無傷の6連勝を遂げたが、対照的にトッテナムは前節のマンチェスター・U戦に続き2連敗。おまけに守備の要であるキング、バソングを負傷で途中交代させるハプニングもあり、開幕4連勝のチームには明らかな陰りが見える。

 終始チェルシーのペースで進んだ試合は、前半こそトッテナムも前線のデフォーを軸に対等に渡り合おうとするが、徐々にポゼッションで上回るチェルシーが試合を圧倒。A・コールのヘッドで先制すると、後半の序盤にたたみかけたチェルシーはバラック、ドログバのゴールで試合を決める。ドログバはこのゴールでチェルシー在籍通算100ゴールまであと1ゴール。試合を決定づけた後半は、ドログバに100ゴール目をという心遣いや若手のボリーニがデビューを果たすなど余裕の試合展開。確実にアンチェロッティの目指すポゼッションサッカーは実を結びつつあり、特に中盤の安定感とドログバ、アネルカが良好な共存関係を築いている点は大きい。リーグとビッグイヤーの二冠はアンチェロッティの頭には描けているはずだ。課題は今後控えるビッグ4同士の対戦をどう制するかだ。

 対照的にボロボロだったのはトッテナム。ただでさえ司令塔のモドリッチを負傷で欠く苦しい現状に加え、この試合では負傷が代名詞のキングが膝を負傷、鳴り物入りで加入したカメルーン代表のバソングも競り合いの末に脳震盪でフィールドを後にする展開。デフォーに代えてクラウチを投入し、アーリークロスを多発してチャンスを狙うが、狙いが完全に不明瞭でチェルシーの足元にも及ばず。開幕戦からの勢いをこの2戦で完全に削がれた形だ。古巣を相手に孤軍奮闘していたGKクディチーニの姿が非常に泣ける試合だった。やはりビッグ4の壁は厚いのか。はっきり立ち位置の見えたレドナップ・スパーズ。とにかくモドリッチをはじめ、守備陣の主力の帰還を待つしかない。

 オールドトラッフォードで行われたマンチェスターダービーはロスタイムが6分にも及ぶ壮絶な撃ち合いに。マンUはここまで5得点のルーニーがこの日も先制点を挙げ、チームを盛り上げるが、マンCも負けじとマンUのミスを突いてバリーのシュートで追いつく。その後は双方空中戦から2得点のフレッチャーと悪童・ベラミが大暴れ。ベラミのゴールでロスタイムに3-3に追いついたマンCだったが、96分にオーウェンのゴールを許し力尽きた。

 まさに完全なスペクタクル。史上屈指の陣容を揃えるライバル同士がダービー史に残るシーソーゲームを見せてくれた。潤沢な資金でビッグ4に詰め寄ろうとするマンCに鉄槌を下したのは、皮肉なことにフリートランスファーでマンUに加入したかつてのワンダーボーイ・オーウェン。しかしながら、ミスの多かったマンUは決して連覇への道程が明るい訳ではなさそう。特にベラミに3点目を許したファーディナンドのパスミスは頂けなかった。マンCも僅差で敗れたとはいえ、アデバイヨールを欠きながら手応えのある試合ができたことに可能性を感じているのではないだろうか。

 なにはともあれ、無傷のチェルシーの独走はしばらく続きそうだ。

それぞれの天皇杯

2009年09月21日 | 脚で語る天皇杯
 このシルバーウィークに今季の天皇杯1回戦全24試合が行われた。その1回戦を突破したのはJFL勢が6チーム、地域リーグ勢が9チーム、大学勢が8チーム、高校勢が佐賀東の1チームとなっている。10月に行われる2回戦からはいよいよシードのJFL勢とJリーグ勢が登場してくるため、彼らにとってはこの壁を突破するのは困難だが、ここに“ジャイアントキリング”という大会特有の面白さも加わってくる。しかし、どうも地域リーグ勢の一部には決してそこが全てではない実情があるようだ。

 北信越リーグを中心に全国でも地域クラブが将来のJリーグ参入を目指して活動を展開する今日、スポーツナビのコラムにてフォトライターの宇都宮徹壱氏が、1回戦を突破した地域リーグ勢の苦しい胸の内をレポートされている。そう、松本山雅FCやツエーゲン金沢といった地域リーグでもJFLを上回る陣容を揃える彼らにとっては、「全社経由JFL行き」というルートにその舵は取られているのだ。

 関西では、皮肉にも初出場の奈良クラブ以外、天皇杯に出場している地域リーグ勢はない。逆に、天皇杯2回戦の翌週に開幕する全国社会人サッカー選手権(通称/全社)に出場する関西代表の5チーム勢の全ては順当に関西リーグ1部のチームで占められている。しかしながら、全国でもリーグレベルの低い関西リーグ勢からJFLへ送り込めるチームは現状では見当たらない。せめて地域決勝大会へ進めて御の字というところだが、それもまたままならないのが実情だろう。

 宇都宮氏のコラムにはハッとさせられた部分がある。決して関西では存在しないクラブチームのジレンマだ。本気で上を狙える地力があるからこそ、手放しでJチームとの対戦を喜べない。こちらからすればものすごく贅沢な悩みでもある。決して2回戦のJリーグ勢との対戦で手を抜くことは考えられないが、それでも翌週に5日連続で行われる“死のトーナメント”を控えているのであれば、選手のやり繰りは至難の業。もちろん天皇杯の戦いが全社に影響がないとは考えにくい。

 ここまでに及ぶには関西勢もまだまだ時間がかかりそうだ。何しろこの2大会をしっかり戦えるだけの総合力を有するチームは皆無。全社の遠征費の捻出だけでも頭を抱えるチームは多い。無論、前述の2チームも資金が潤沢をいう訳ではなく、松本山雅などもオフィシャルで遠征費の募金を募っている。それでも、彼らには「JFL」という目標地点が見えており、そこへ向かうモチベーションはピークを迎えている。それはそうだ。松本山雅に至っては今季の地域リーグ決勝大会は、自分たちのホームであるアルウィン。ここを目指すのが最大の目標であることは当然である。

 2回戦を金沢は仙台を相手に敵地・ユアスタで、松本山雅は浦和レッズとホーム・アルウィンで戦う。どちらにせよ、両チームのサポーターにとっては大いに盛り上がるであろうマッチアップだ。こちらでは、奈良クラブの天皇杯1回戦突破を手放しで喜んでいる。故に関西と北信越のレベルの距離を感じながらも、この2チームの両大会での健闘を心から祈っている。

奈良のチャレンジ -天皇杯1回戦VSサウルコス福井-

2009年09月20日 | 脚で語る奈良クラブ
 奈良県代表として初の天皇杯出場を果たした奈良クラブ。1回戦に福井県代表のサウルコス福井を迎えた試合は1-0で勝利し、2回戦進出を果たした。10月に行われる2回戦ではアルビレックス新潟と対戦することになる。

 
 昨年の今頃はまだ県リーグを戦っていた奈良クラブ。
 初めての天皇杯。どんな戦いを見せてくれるだろうか。

 
 前半から快調に試合の主導権を握った奈良クラブ。
 福井は遠路の疲れが出たか、序盤からピリッとしなかった。

 
 この大一番にベテラン水越が先発出場。
 Jでの豊富な経験値が落ち着いた試合運びの要因に。

 
 県予選決勝では見事なミドルで決勝点を奪った中村。
 この日も果敢にシュートを狙い、チームにリズムをもたらす。

 前半は完全に奈良クラブがで試合を支配したが、肝心なところでゴールを射止められず。後半に運動量が落ちることを考えれば、何としてでも早い時間帯に先制点が欲しいところだった。

 
 得意のサイドアタックをいかんなく発揮した畑中。
 彼の存在の大きさを今一度再確認した試合だった。

 
 均衡を打ち破ったのは61分、矢部のゴール。
 魂の一撃がチームに大きなリードをもたらす。

 
 守備の要・梶村が素早いチェック。
 最後まで守備面での集中力を切らせなかった。

 
 1-0で試合が終了。
 全国への挑戦はJリーグクラブとの対戦という領域へ。

 約600人の観客がスタンドに駆けつけたこの試合。奈良クラブの勝利は初見の方々に大きなアピールとなったはず。地元メディアも取材に駆けつけてくれた。やや福井の選手からは疲れが見えていたことからも、初戦をホームで戦えた地の利が出たのは確かだろう。選手たちからも絶対に負けたくない執念が見えた。
 サッカー後進地域・奈良からの挑戦は、まだ始まったばかり。次戦の相手はJ1の強豪・アルビレックス新潟。正直とてつもなくレベルの格差は見える。しかし、結果に関係なく、ここに挑戦できることに今は意味があるのだろう。

歯痒い90分

2009年09月19日 | 脚で語るガンバ大阪
 26節を迎えたJ1の戦い。G大阪はアウェイでFC東京と対戦。相性の悪い味の素スタジアムでの試合を制したいところだったが、攻撃陣の足取りは重く1点の遠い試合はそのまま0-0のスコアレスドローで終了。上位争いに食らいつきたいG大阪としては痛い引き分けとなってしまった。

 しかし、前半からどうも低調な内容だった。立ち上がりこそ両者が積極的にゴール前に攻め込む場面が見られたが、決定的なパスチャンスにミスが多く、G大阪はこれといった決定機を見出せない。遠藤やルーカス、明神にもそういったミスが目立ち、ほとんどリズムを作れなかった。対するFC東京はキャリア最高潮のパフォーマンスを見せる石川が果敢に決定機に絡んでいく。2分と44分にはその石川のシュートにヒヤリとさせられる場面も。両者共に互いのプレーエリアを潰し合う戦いを見せるが、イニシアチヴを握っていたのはホームのFC東京だった。

 守備面では失点をゼロに防いだことは評価できるが、ほとんど仕事のできなかった攻撃陣の低調ぶりは気がかりだ。古巣のホームに移籍後初めて足を踏み入れたルーカスをはじめ、チョジェジンもほとんど脅威にはなっていない。ここはFC東京のCB今野やボランチ米本の仕事ぶりを褒めるべきだろう。中盤で自らリズムを崩していくG大阪は今のFC東京にとっては怖くなかったはずだ。
 71分に佐々木と播戸を同時投入、79分には山崎を投入して均衡を破ろうとするが、及ばなかった。遠藤をボランチの位置に下げ、佐々木を右サイドに配置することで、多少は攻撃にもアクセントが加えられたが、あれだけパスをことごとくFC東京守備陣にインターセプトされている状況ではスコアを動かせない。どうにもこうにも久々に歯痒い90分間を見せてもらった気分だ。

 一人前半から輝きを放っていたのは左SBの下平。攻撃参加とシュートの意識はかつての彼を大きくブラッシュアップさせている。安田理の出る幕がないのは当然。攻撃参加という武器をものにしつつある下平、あとはその精度が上がれば若い選手だけに心強い。

 この無得点に終わった状況をいかに次の川崎戦に繋げるか。今季はACLで苦杯を喫した前歴もあるだけに、もう一度“点を取るG大阪”をそこで見せてもらいたいところだ。

醍醐味増した天皇杯

2009年09月18日 | 脚で語る天皇杯
 いよいよ明日から今季の天皇杯が開幕する。第89回を迎える今大会からはレギュレーションが一新。J1も含めたJリーグ全クラブが2回戦から登場することになった。各47都道府県代表チームは1回戦を突破すれば未曾有のマッチアップを期待できる。つまり、地方の社会人チームや大学・高校チームなどがJクラブと2回戦で顔合わせすることが確実になった。これまでより早い段階で、この大会の醍醐味である「ジャイアントキリング」を見られる可能性が高まったのだ。

 全国の地域リーグや都道府県リーグに属する発展途上の社会人チームには、これほどの発奮材料はないだろう。かつてはJの舞台で名を馳せた、または不完全燃焼に終わった男たちの再起の場になる可能性もある。自らの就職活動にも繋がる大学や高校チームもこれまた然りである。各地域での存在感や知名度を上げるためにも2回戦でJクラブが待ち受ける今大会の組み合わせは魅力的だ。

 こちら奈良県から初出場のチャンスを掴んだ奈良クラブも関西リーグ勢としては唯一の出場となるが、地域リーグのカテゴリーに特化すると、全国の有力チームが軒並みその名を連ねている。東北1部のグルージャ盛岡、福島ユナイテッドFC。全国最強エリアの北信越からはJAPANサッカーカレッジ、松本山雅FC、ツエーゲン金沢、サウルコス福井といった強豪揃い。四国からはカマタマーレ讃岐、徳島ヴォルティス・セカンド。中国からはレノファ山口。九州からは沖縄かりゆしFCといった錚々たるラインアップだ。
 特に昨季の大会で湘南を破り、4回戦まで進んだ松本山雅、その彼らと切磋琢磨する金沢の2チームは今大会ジャイアントキリングの主役候補。陣容はJFLのそれを上回る勢い。中国を制した山口や讃岐も十分何かを起こしてくれそうな気がする。上を目指すクラブが増え、地域リーグのカテゴリーも市民権を得てきた今日、これらのチームの奮闘が天皇杯序盤戦の盛り上がりには欠かせなくなってきた。

 さすがに最終的にタイトルを奪うのはJクラブであることは間違いないだろうが、少しでも格下チームが反旗を翻す「大金星」に期待したいところだ。

今年もあのアンセムに心躍る

2009年09月16日 | 脚で語る欧州・海外
 昨日、今季のUEFAチャンピオンズリーグのグループステージが開幕。いよいよ欧州に本格的な新シーズンの息吹が感じられる時期になった。まさに世界屈指の名勝負の舞台。これほど優勝候補を絞るのが難しい大会もない。中継が奏でるあのアンセムに胸が高鳴るファンも多いはず。果たして今季はどんな名勝負が繰り広げられるのだろうか。

 おそらく本命は新・銀河系軍団を形成したレアル・マドリーと昨季の欧州王者であるバルセロナが軸になるだろう。豪華絢爛な陣容を誇るこのスペイン勢を昨季のファイナリストであるマンチェスター・Uとチェルシーやリバプールといったプレミア勢、悲願のビッグイヤーに手を伸ばしたいインテルをはじめユベントス、ミランあたりのカルチョ勢が追撃する構図になるだろう。

 先駆けて行われた昨日のグループステージ第1節8試合では、本命・レアル・マドリーがチューリッヒ相手にその破壊力を披露。5-2と順調に白星スタートを切った。この白い巨人がリードするグループCは、第3節と第4節のミランとのマッチアップが最大の見所。カカを擁するレアル・マドリーが彼の古巣・ミランにどこまで力の差を誇示できるか注目だ。

 その他の試合は順当に格上チームが勝利と思いきや、ユベントスとA・マドリーは引き分けスタートと苦い滑り出し。特に昨季のリーガトップスコアラーであるフォルランとアグエロを擁するA・マドリーは格下のアボエル・ニコシア(キプロス)にスコアレスドローという内容。プレーオフを勝ち上がったニコシアは大会初出場。コンスタントに自国の代表チームに招集されている選手はわずか7名ほどの弱小チームだ。彼らにとっては、金星に近い満点のスタートともいえるのではないだろうか。
 ユベントスもフランス王者ボルドーを突き放せず。ジョビンコがジエゴ不在の穴を埋められなかったようだ。ジエゴ、F・メロと大会屈指の中盤を揃えるだけに初戦をこういう形で迎えることになったのは残念かもしれない。

 第1節2日目の今夜は、昨季の王者・バルセロナが覇権を狙うインテルとの対戦を控える。イブラヒモビッチとエトーの互いに古巣を迎えるエースの対峙からしても至極のマッチアップ。今年も我が家のHDDが烈火のごとく獅子奮迅の活躍を見せる時期がやって来たのである。