脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

試合を通して熟成 -VS BSC HIRA-

2010年05月09日 | 脚で語る奈良クラブ
 関西リーグは第4節をこの週末に消化。奈良クラブはびわこ成蹊スポーツ大のサテライトチームでもあるBIWAKO S.C HIRAと対戦し、前節のリーグ初勝利の勢いそのままに5-2と快勝。上位進出に弾みをつけた。

 

 新加入選手が徐々に試合を経るにつれて本領を発揮してきた。この試合もボランチに入った三本菅、彼とコンビを組んだ李が共に得点。牧と大塚の2選手も前線と中盤を繋ぐキーマンとして攻撃に貢献。梶村が右SBに回り、これまで中盤でプレーしていた新加入の眞野が橋垣戸と本職のCBでコンビを組んだ。中盤でボールを奪ってからの速攻が噛み合えば非常に面白い場面が増えてきており、このサッカーをシーズン通してどこまで続けられるかが重要となってくる。
 ただ失点が多いのは気がかりなところ。この試合も相手のミドルシュートとCKからピンポイントで合わせられた2失点。リードを奪った際の失点をどれだけ無くしていくか。今後リーグが団子状態になってきた際に得失点差でアドバンテージを得るためにも意識していきたい。

 この連勝で勝ち点を7ポイントとし、順位を上げることに成功した。次は阪南大クラブとの対戦。厳しい戦いになりそうだが、まずはこの学生クラブとの3連戦で3連勝といきたいところだ。

逃げ切れない乱打戦 -VS川崎‐

2010年05月07日 | 脚で語るガンバ大阪
 徐々に若手が台頭してきたとはいえ、ACLと並走するシーズンにおいてリーグでは負傷者もあり苦戦が続くG大阪。GW最終日はACLは敗退が決まったもののここまで2連勝と持ち直している川崎をホーム万博に迎えて対戦。一時は3-1と2点のリードを手にするも、まさかの3失点で4-4とドロー。名古屋の敗退もありこのドローで2位に浮上した川崎に対して、12位と順位も下降してしまった。

 

 この数試合お馴染みとなっている山口、高木、中澤の3バックに8節のFC東京戦からルーカスが復帰。宇佐美もレギュラーとしてリーグ初得点を記録するなど、布陣変更と新旧メンバー融合が進んできたG大阪。しかしながら、これまで外国人ストライカーを軸に据えて掲げてきた「撃ち合い上等」の看板は色褪せており、それが戦績にも反映されている。この川崎戦も一時は2点のリードとしながら立て続けに失点して試合を振り出しに戻され、敗戦に近い失意の引き分け。宇佐美のリーグ2得点目や二川との好連携、遠藤の復調など好材料はあるものの全体的な守備面での修正に苦戦を強いられている。

 
 攻撃的な高い位置でプレーする加地。
 サイドからの攻撃参加だけでなく機を見てシュートも狙う。
 
 
 宇佐美はチームの得点源になりつつある。
 この試合では頭で先制点を決めた。

 
 宇佐美やルーカスと好連携を見せる二川。
 59分にはワンツーからの鮮やかな崩しで追加点を挙げた。

 
 ルーカスは復帰後好調の様子。
 63分に彼の得点で勝利をグッと引き寄せたかに見えたが。

 
 前半からMVP級のセーブを連発していたGK藤ヶ谷。
 しかし、彼の活躍が報われない展開になろうとは・・・

 
 W杯本大会を控えた遠藤も復調は明らか。
 しかしながらチームの結果が追いついてこない。

 
 3バック制となり定位置を確保した高木。
 しかしながら最終ラインが安定したとは言い難い。

 「撃ち合い上等」のG大阪を1人で打ち破ったのは川崎の楠神。71分の交代出場から20分でハットトリックを達成。特に2点目は狙い澄ましたエリア手前からのミドルシュート。82分にはG大阪が明神の得点で再びリードを手繰り寄せるものの、ロスタイムに突入した直後に山口のクリアミスを逃さなかった楠神に2度目の同点弾を許す。

 
 川崎は1-3という状況から途中交代の楠神が・・・
 レナチーニョのシュートのこぼれを押し込む。

 
 
 90分を過ぎた直後に山口のクリアミスを楠神が決める。
 4-3で試合を終えるかと思われたG大阪にとっては悪夢。

 例年「堅守」というイメージとは無縁で失点は少なくなかったG大阪。例えば昨季の同時期、同じく10試合を終えた段階での得失点は26得点15失点という内容だった。それが今季は18得点17失点。加えて引き分け及び1点差敗戦が昨季10試合中わずか3試合だったのことに比べて、今季は10試合中8試合で競り勝てていない。単純に得点が奪えず、失点を例年以上に許していれば勝てないのは当然。この状況を打開できる点取り屋も今季は核が不在というのは大きい。爆発最中で負傷離脱した平井のカムバックに期待するしかないというのが現状か。しかしながら山口を中心に最終ラインは不安定。この状況を建て直すのはなかなか難しいかもしれない。

10戦無敗、清水の鼓動 -京都VS清水‐

2010年05月05日 | 脚で語るJリーグ
 GWの最終日を迎える5日、JリーグはJ1第10節が各地で行われた。西京極ではここまで3連勝、開幕9戦無敗の清水がアウェイで京都と対戦。前半こそ京都が立て続けに2点を先取し試合をリードしたが、後半猛攻を仕掛けた清水が圧巻の4得点で4-2と逆転勝利。4連勝で10試合無敗と戦績を伸ばし勝ち点を24にまで伸ばした。一方の京都は6戦未勝利という苦しい状況となった。

 

 気温33度(スタジアムでは36度とアナウンスされた)という酷暑のコンディション。完全に初夏を超えて真夏日という状況の中、試合はここまで2点以上奪われたことのない清水が0-2で前半を終えるという意外な展開。31分に京都陣内から角田からのロングフィードを前節からFWに名を連ねるドゥトラが落として柳沢が持ち込み先制点を挙げる。エースのリーグ100得点目で勢いに乗った京都はその3分後にもドゥトラが高い打点のヘッドを沈めて追加点。好調・清水を上回る決定力で試合をリードする。

 
 京都の先制点は柳沢。
 前日に子供が誕生し、かつリーグ100得点目というメモリアル弾。

 
 序盤は判定に苛立ちすら見せていた京都FWドゥトラ。
 34分、ディエゴのFKに頭で合わせてチームの追加点をゲット。

 前半は最終ラインが浮足立ち、マークの受け渡しのミスも目立った清水だったが、攻撃面では幾度か京都ゴールを脅かすなど小野を中心に決定機を演出していた。しかし、この2点のビハインドは清水にとって厳しいものに見えた。
 後半に入ると、頭から右SBにレギュラーメンバーの辻尾、中盤に兵働を投入。これで小野が前半以上に積極的に前線に絡むようになり、全体的に歯車が合いだした清水は、54分に岡崎が水本のファウルをエリア内で誘いPKを奪取。これを藤本が決めて1点差に迫ると、59分には右サイドからの小野のクロスをヨンセンがヘッドで合わせて同点に追いつく。

 
 小野を軸に後半息を吹き返した清水。
 その猛攻は2点をビハインドを簡単に弾き返した。

 
 ワンボランチでチームを支える本田。
 球際の強さと卓越のポジショニングで時には最終ラインにも。

 
 54分に藤本が最初のPKを決めて1点差に迫る清水。
 藤本は3トップの右サイドで神出鬼没の動き。

 
 まもなく発表されるW杯本大会メンバー入りは確実な岡崎。
 この日は無得点も相手DFを撹乱。PKを2度奪取。

 ここまでリーグ戦9試合で最多得点及び最少失点を誇る清水の攻守。一度リズムを掴めばそれは揺るぎ難い。PKの追撃を機に一気に攻勢へ転じた。69分には京都・中山が2枚目の警告で退場処分となったことも手伝って京都の逆襲の芽を啄ばむ。このファウル直後のFKも藤本がバー直撃のシュートを強襲させるなど得点の雰囲気は依然清水に感じられた。78分にはエリア内に飛び出した岡崎が再びファウルを誘いPKを奪取。これを藤本が再び決めて逆転に成功すると、83分にはDFボスナーが強烈なFKを直接沈めてダメ押しの4得点目。後半戦だけで勝負をひっくり返した清水の強さがただただ際立った。

 
 ポストプレー、フィニッシュと変幻自在の活躍を見せたヨンセン。
 水本も彼を捉えきれない。

 
 後半から入り、チームに勢いをもたらした兵働。
 彼が入ってから前線への縦パスが一気に増えた印象。

 
 藤本が逆転弾となるPKを決める。
 直接FKも1本ゴールを肉薄。

 
 パスや華麗なボール奪取でスタジアムを沸かした小野。
 太田の退場で80分にお役御免となるがその貢献度は文句なし。

 
 83分のボスナーの弾丸FKにはスタジアムが騒然。
 本人含めチームメイトもさぞかし驚いたのでは。

 止まらない清水。2点のビハインドを一気に取り返したその強さが改めて実証された。次節は2連勝と勢いのある新潟だが、果たしてあと2試合彼らをストップさせてJリーグはW杯の中断期間を迎えるのか。かつての輝きを取り戻しつつある小野の代表選出なども十分に可能性を感じながら、あと2試合この勢い余るオレンジの旋風から目が離せない。