脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

サッカーは身長でするもんじゃない!

2006年05月31日 | 角(鹿島サポ)のコラム


 久々に有意義な親善試合を観た気がする。日本対ドイツ。

 極度の寝不足に陥るであろう6月に思いを馳せながらの早朝観戦であったが、睡魔を吹き飛ばすには十分な内容だっだ(良くも悪くも)。試合自体は、後半30分まで日本がFW高原の2得点でリードしていたが、その後、ドイツがセットプレー2発で追いつきドローでタイムアップ。
 日本の1点目は、相手のCKを跳ね返してからの素早いカウンターから柳沢が浮き球ラストパス、そして抜け出した高原の確実かつ豪快なシュート。いずれも素晴らしかったが、なんといってもやはりその直前の中村のボールキープ。これが効いた。3人に囲まれながら、ボールと自身に触れさせることなくそのプレッシャーを無力化。ニコ・クラニチャールとの司令塔対決なら負ける気がしない!
 2点目は相手陣内右サイドでのパスワークから駒野が中央へ低いクロス、受けた高原がDF2人をまとめてかわし抜け出してシュート。フィジカルを前面に押し出してくるDFに対し、細かなパスワークとアジリティー能力の高さで十分太刀打ちできることが再確認できた。

 一方、失点のシーンだが、テレ朝が心配するほど身長差が影響したとは思わない(ドイツのセットプレーのたびに、日本選手の平均身長とドイツ選手の平均身長の差がテロップで出されるのには閉口した。そんなに毎回必要か!?)。
 1失点目はクローゼに宮本が振り切られ、2点目はシュバインシュタイガーにほぼフリーでやられている。どちらともフィジカルで競り負けているのではなく、単に捕まえきれていないだけである。宮本はマークする対象に気をとられすぎてボールを忘れ、動き出すタイミングが遅れていた。この試合ではカバーリング等で安定したプレーを見せていただけに、対人プレーのまずさはやはり気になる。2点目のマークのずれは完全に確認不足。つまりミスである。これでは相手がどんな身長でもやられて仕方が無い。セットプレーの守備は残りのトレーニングで引き続き修正が必要なポイントだ。

 しかしともかく試合を通じて見れば、懸念されている“高さ”や“強さ”についての打開策はある程度見出せたのではないか。こぼれ球も良く拾えていたし、サンド(挟み込んでボールを奪いとる)の意識も高かった。日本人ならではのハードワークぶりが効いていたように思う。この試合の出来を継続し、なおかつ修正点を意識しつつ、次のマルタ戦に臨んでもらいたい。

 ところで、この試合で負傷退場した加地はどうやら軽症のようで一安心。しかし、その加地に悪質なタックルを見舞い、その後も荒いプレーを繰り返したシュバインシュタイガー・・・ジョン・カビラが声を荒げるのも無理ないぞ!


 見たくないニュースが。田中誠が左太もものけがでチームを離脱し帰国したようだ。粘り強く頭脳的な守備でDFを支えてきた彼の離脱はチームとしても痛く、本人の悔しさは計り知れないものであろう。残念の一言に尽きる。しかしとにかくいまは、代わりにドイツへ向かう茂庭に期待しよう。これでアテネ世代から2人が代表に。

Jリーグ中断前総括②

2006年05月22日 | 脚で語るJリーグ


 今日からLリーグ改め、モックなでしこリーグ開幕。DIV.2の開幕カードであるバニーズ京都VS福岡Jアンクラスを観戦。結果は5-2で福岡の勝利。男子顔負けのテクニックを持つ選手もおり、DIV.2とはいえ、激しい削り合いや攻守の駆け引きも面白いゲームで、フィジカルコンタクトの強弱がチーム力を左右するのを実感。スタンドでバニーズに熱いコールを送る佐川急便の皆さんが実に印象的。是非DIV.1もベレーザやペルーレ、レッズあたりのなでしこトップレベルを観戦したくなった。
 
 ちなみにこのなでしこリーグの総務主事を今年から務めるのは元広島、浦和で活躍された田口禎則氏。筆者は本並選手に重傷を負わせた広島スタジアムのあの接触プレーを一番に思い出してしまう(笑)。また、元神戸や市原で活躍した上村崇士が千葉レディースを、元新潟や磐田で活躍した鳴尾直軌が新潟レディースを指揮していたり、元Jリーガーも数多く見つけることができる。

 その後は、長居に移動し、豚。。。いや失礼、C大阪と大宮のナビスコ杯を途中から観戦。西澤が絶好調で、いつまでも年齢を感じさせないモリシの動きと大宮グラウのエリア内での巧さ、長身スーパーサブ若林のレベルの高さを実感。9千人に満たない観衆でもなぜかスタジアム中にこだまするあの長居の反響音にあらためて謎を感じつつ、小林慶は?と思いきや、バレーボールの如きナイスレシーブで一発退場を食らっていたことも知らずに、大宮の追い上げにボルテージを揚げる。

 今日のグループリーグの結果、ガンバは準々決勝で角こと鹿島アントラーズとの敵地カシマでの対戦が決定。代表組なしでも今の鹿の角なら簡単に折れる!

 たわごとはここまでに・・・J各チームの総括の続きを。

4位 鹿島アントラーズ
現時点の成績では得点も失点もさながら、その標榜するポゼッションサッカーを全くインパクトに残せてないのではという薄い印象。開幕戦で柳沢がハットで輝き、衝撃を与えるも、きっちり失点もハットトリック3失点。その時、今年の鹿島に抱いたただならぬ不安。しかし、長期政権トニーニョ・セレーゾの後釜を担うのは世界を制したアウトゥオリ。前任者の色が濃いチームを自分の色に塗り替えるのは時間が必要か。試行錯誤を繰り返す選手層の薄さもウィークポイントで、CBを務める羽田はガラスの身体、篤人が躍動する内田サイド(右サイド)名良橋の戻る余地なし、バックアップ潤は行方不明、フェルナンドも全くご無沙汰で、増田と青木で切盛りする中盤にかつての鹿島の輝きはない。少ないながらも野沢、田代と前線には元気な逸材がいるので、本山のように育成を誤らなければ、アウトゥオリのチームができるのでは。首脳陣はジーコの恩恵と過去の栄光にすがりつかず、毎年の補強方針をリセットしてもいいのでは?

5位 ジェフユナイテッド千葉
今年も堅実イビチャ・オシムマジック継続中。5節まではつまづいたものの、現在7戦連続無敗でジワジワ5位に。その安定した攻守のバランスが素晴らしい。今年は中盤に元ガンバのクルプニコビッチが加入し、キープとチャンスメイクに長けたこのクルプニの加入で、羽生が実に伸び伸びプレーしている印象。ナビスコ含め5得点。代表メンバーに滑り込んだ巻の活躍も顕著だが、千葉のサッカーを土台で支えているのは間違いなく中盤の羽生である。選手層は厚いとは言い難いながらも、Jで最も全員がコンスタントに力を発揮している。是非、ナビスコ杯決勝の国立で昨年のリベンジをさせて頂きたい。浦和に並んで再開以降の調子が気になるチームでもある。

6位 アルビレックス新潟
鈴木監督を山形から招聘した今年、あの悪夢の開幕戦から2ヶ月、よくこの位置にまで漕ぎ着けた。開幕戦をこれ以上ない燦々たる内容で落とした新潟を2節、3節で救ったのは主砲エジミウソン。今年も絶好調かと思いきや彼がケガで戦線を離脱してから鈴木アルビは結束した。CBを海本慶と新卒入団の中野洋司に全幅の信頼を置き固定。そして中盤の起点として効いているのがシルビーニョ。脱エジミウソンのチームの攻撃のカンフル剤となった。鈴木慎吾も左に右にと大車輪の活躍を見せている。さらにチームを活性化させた一番の要因が若手の台頭であり、中原、矢野、田中、河原らが結果を出した。選手層も厚く、反町前監督が作り上げたベースに新加入選手を加え、積極采配が持ち味の鈴木監督らしいチームになってきているのではないだろうか。この若手のバックアップを中心に結束したアルビに絶対的なエースであるエジミウソンが復帰すれば、怖いのは間違いない。ビッグスワンを埋め尽くす日本一のサポーター同様、その力は絶大である。

Jリーグ中断前総括①

2006年05月19日 | 脚で語るJリーグ


 今年は欧州チャンピオンズリーグがバルセロナの優勝で幕を閉じた。いや、ほんとに後半のイニエスタ投入後のバルサは凄かった。リーガも制し、クライフ時代を彷彿とさせるセンセーショナルをライカールトは今季のバルサで具現化した。世界にバルサの強さをあらためて印象付けた決勝のアーセナル戦だった。監督としてのキャリアを充分すぎる結果で彼はステップアップしている。もうすぐワールドカップだが、ファンバステン率いるオランダ代表にもぜひともセンセーショナルを起こして欲しいところだ。

 でも、やっぱJですよ!ロナウジーニョを思わせるクラッキは該当者なしだが、日本人ならやっぱJ。てことで18チームの開幕からの前半戦を自分勝手に総括。
まずは首位争い3チーム。

1位 川崎フロンターレ
今年はジュニーニョ、我那覇で総得点32点の半分を叩き出す攻撃陣の好調さは特筆モノ。リーグダントツの総得点だが、そのフロンターレの屋台骨は右サイドの森、そして中盤の中村、谷口、マルクスのトライアングル。特に森はかつての一発退場を繰り返す荒くれ者のイメージを完全払拭し、ついにレギュラーとして覚醒している。スーパーサブにとどまらない黒津も出れば点を取る。マルコンは絶妙な攻撃参加も裏をよくとられるか。守備面での息切れがなければ、もう降格候補とは呼ばせんとばかりの安定感である。ちなみに井川はもう完全移籍でどうぞ。ユニフォームサプライヤーがずっとアシックスというのが渋い。

2位 浦和レッズ
三都主、ポンテ、ワシントン、闘莉王、ネネ(負傷中)と実質ブラジル王国。おまけに言わせてもらえりゃ小野も外国人枠と考えて何ら問題ない。最早、Jリーグが規定する外国人枠があってないような恐るべし選手構成とノッてる時は驚異的な攻撃力を誇る日本のマンチェスターユナイテッド。浦和市からさいたま市に統合してからというもの、さいたまスタジアム2002を堂々とホームスタジアムとして使えるのが羨ましい限りである。駒場を使いなさい。そんなJ屈指の人気チームもブッフバルトの監督としての手腕は「?」が付く。関西人の意見としては是非、ベンチの黒部を再生させて頂きたい。攻撃面がクローズアップされがちだが、何よりも今季はJ最小失点を誇るDF陣は特筆。前線のワシントンと共に坪井は絶好調。

3位 ガンバ大阪
我らがネロブルー、ガンバは王者として超過密日程をこなしながらも、鹿島戦やFC東京戦など完封試合で辛勝する試合運びの巧さがチームとして浸透してきている。しかし、今季も大分、新潟に黒星を喫するなどもったいない試合は多い。開幕で浦和を叩けなかったのは個人的にも後悔。大型補強でエクスキューズは効かないと西野も語るように、慢心は敵。代表組が注目されてばかりだが、特に発見だったのは加地不在時に右サイドもこなせる青木の大宮戦、清水戦における活躍。また前田のコンスタントなトップ下での活躍など若手の台頭が顕著だ。そしてなんと言っても得点源マグノアウベス。アラ超えは必須課題として頂き、これからもゴール奪取してもらいたい。播戸や中山もさらに奮起して頂くとして、個人的には今季からコンクリに改修された万博ゴール裏A席の居心地が良くなったと追記しておく。
ACLは夢と消えたが、ナビスコ、A3、そしてもちろんリーグ連覇だ!!

 

悲喜交々

2006年05月17日 | 角(鹿島サポ)のコラム


 先日、2006ドイツワールドカップに挑む運命の23人が発表された。
遅ればせながら、今回はそのメンバー選考に関して気になった点を。

まず23人を確認すると

GK 川口、楢崎、土肥
DF 宮本、中澤、田中、坪井、三都主、中田浩、加地、駒野
MF 福西、稲本、遠藤、小野、中田英、中村、小笠原
FW 柳沢、高原、大黒、玉田、巻

以上のような顔ぶれである。

久保の名前が無いことを除けば順当な選考といえる。

 各ポジションに2名ずつ、そして3バック、4バックそれぞれに対応できるメンバー選出だ。しかし、日本の左サイドの層の薄さは気になるところである。村井の怪我もあり、中田浩というユーティリティープレーヤーがいなければ三都主のバックアップはどうなっていたことか。
 久保のコンディションについては非常に判断の難しいところであったと考えられるが、仮にワールドカップが3試合しか戦わなくてよいものであれば、久保はメンバーに残ったのではないだろうか。しかし、グループリーグの上には決勝トーナメントがあり、勝ち抜けば勝ち抜くほど試合数は増える。なによりジーコが冗談じゃなくベスト4を目指すと言っているのだ。そうなると、あまりにも不安定な久保ではなく、心身共に充実の巻を連れて行こうという決断が下されたとしても不思議ではない。結果として、現時点では巻をメンバー入りさせることよりも、久保を軸に据えることの方が博打であった、そしてジーコは計算できる方を選択したと考えられる。

 落選した久保でについてであるが、先日のキリンカップでの出来も、個人的には、本大会へ向けてのコンディション調整もかねて、この時期にフル稼働することはないという意味も含んだものだと確信していたため、落選を受けて、そこまで良くないのか、とショックを受けた。しかし、再びトップフォームを取り戻した危険な久保の姿を待ちわびる多くのファンがいる。ここで踏ん張って欲しい。たとえワールドカップに出ていなくとも、いまだに「キング」として観るものを魅了し続けるあの彼の姿が、久保はまだまだこれからだと教えてくれているはずだ。

 さて、次に多くの人が期待していたのがル・マン所属の松井大輔であるが、彼の落選に関しては、本大会でジーコが想定するフォーメーションの全てにおいて当てはまるポジションがあるというわけではない、ということが大きな要因としてあったのではないだろうか。ジーコジャパン体制下、松井が出場した試合は計4試合。スタメン、途中出場も合わせて、全て4バック時である。さらにスタメンで出た2試合の中盤は少し変則気味のダイヤモンド型を試すという状況。これがオプションとして採用されなかったことがメンバー入りを難しくしたと思われる。
 個人的には日本のストロングポイントである中盤を生かすために3-6-1を推しているため、1トップの下に入る2シャドーの一角に松井の活きる場所があるでは無いか…と考えてしまうが、ジーコには、玉田を1.5列目で使うオプションもあるようなので、やはり松井の入る隙間は無かったのかもしれない。

 しかし、今回メンバー入りした選手の多くが30歳を越して迎える2010年南アフリカ大会では、駒野を除き軒並み落選してしまった、いわゆる「アテネ世代」が中心とならなくてはいけない。その中でも個の力で勝負できる松井は稀有な存在であり、彼の成長は日本にとって欠かせないものだ。松井が歩んできた道は間違いじゃない。4年後アフリカの地で必ず輝いて欲しい。

 さて、悲喜交々あったメンバー発表の余韻もそこそこに、ここから本当の戦いが始まる。

 ジーコが選んだ23人が怪我なく本大会に挑めるように。

 そしてジーコジャパンに勝ち星を…。

青き魂を持つ蒼きサムライ

2006年05月15日 | 脚で語るJリーグ


さあ歌えクルヴァ
コンクイスタ ラ ビクトリア
飛び跳ねろスタディオン

 もう15年目になる、筆者がその青き魂の虜になって。開幕から苦節12年、2005年の12月3日・・・初の年間王者として歓喜に咽ぶイレブン、チームスタッフ、サポーターの姿はこれまで見た何よりも感動的で美しく、言葉にならないほどの思いであった。

 筆者は14年間脚サポ(ガンバサポ)一筋、ガンバ、Jを中心にサッカーをこよなく愛する蹴球馬鹿である。この度、ブログという形で、のらりくらり小ネタからサッカーファンとしての持論、ありとあらゆるトピックスなどを鹿の角を煎じて愛飲する某チームサポとのリレー形式でお送りしようと思う。是非、サッカーファンの方は一読頂いて、感想をそこはかとなく書き綴って頂ければと思う。

 湧き起こる歓喜からちょうど5ヶ月。青く澄み渡ったGWの万博の空にいつものようにクルヴァ(ゴール裏)からこだまする冒頭の応援歌が響き渡る。無情にもタイムアップの笛は鳴り、ガンバ大阪のJ1王者としての世界への第一歩はリーグ戦との過密日程の中で、ひっそりとその幕を降ろした。17日にベトナムでのダナン戦を残しているとは言え、これももはや消化試合。別グループで戦う東京ヴェルディも脱落が決まり、クラブチームとして世界行きの切符を手にするJリーグチームを目にするのは今年もまたお預けとなってしまった。
 このACLとは別に、明日のワールドカップの登録メンバー発表を控え、今年のガンバには世界の舞台に挑まんとする蒼きサムライが3名いる。サッカーファンなら誰もがご存知の通り、主将としてサムライブルーを最後方でまとめる宮本恒靖、「散らし」の名手であり、中盤の底でバランサーとして卓越したボール運びを見せる遠藤保仁、そして右サイドで果てしなくアップダウンを繰り返し、日本のチャンスメイクに貢献する不屈のライトサイダー加地亮の3名である。また、チームの出身者としては、ドロドロになりながら貪欲にフランス2部でゴールを狙い続けるグルノーブルの大黒将志と前回のW杯時は2ゴールで世界にその名を轟かせたウエスト・ブロミッジの稲本潤一も我等が青き魂を胸に、蒼きサムライとして今年のメンバー入りが確実視されている。

 現在でこそ、世界を相手に戦うチームとして、そして、世界に挑む選手を擁するガンバ大阪にはかつて4人の蒼きサムライがいた。ガンバ史上最高のユーティリティプレイヤーであり、97年の固定背番号制スタートまでにGKの1番以外の背番号を全て背負ったDF今藤幸治、その甘いマスクと経験に裏打ちされたファインセーブで浪速のゴールに鍵をかけたGK本並健治、天才と謳われ、玄人好みのプレイヤーであったMF礒貝洋光、その礒貝からのパスを幾度となくゴールに沈めたFW山口敏弘である。
 12年前、オフト監督の後を継いだファルカン監督の就任と同じくして開催されたキリンカップ第1戦のオーストラリア戦。J開幕後のガンバにとって初の日本代表スタメンに名を刻んだのが1994年5月22日、右サイドバックとして広島ビッグアーチに立ったDF今藤幸治だった。試合は1-1の引き分けに終わり、その翌週には国立でパパン率いるフランス代表に1-4と完膚なきまでに叩きのめされたその試合にも後半代表デビューを果たしたGK本並と共に今藤はピッチに立った。
 この2試合にスタメンでフル出場を果たした今藤の姿を筆者は12年経った現在でも忘れることができない。ガンバの青き魂が蒼きサムライとして日の丸を背負い、世界に挑むその姿は、当時Jで結果が出ていなかったお荷物チームのファンにとって何とも勇ましく、これからのチームと共に飛躍を期待せずにはいられなかった。

 青き魂を世界にぶつけてくれた今藤は3年前に30歳の若さでこの世を去った。悪性脳腫瘍だった。97年の天皇杯で負った負傷が原因ではあったが、4度の手術を繰り返し、もう一度ピッチに立ちたかったに違いない。サポーターに最後まで愛されたガンバ最初の蒼きサムライは星になった。

 今藤が代表キャップを刻んだあの日から12年が経とうとしている。ガンバは世界に挑戦できる王者になった。主力選手は日本代表を支える欠かせない重要な存在に成長した。本当にガンバの選手には頑張ってもらいたい。空の上から今藤が見守ってくれている。ACL敗退が決まった5月の万博の青い空に冒頭の応援歌が響き渡り、私は彼の姿を思い出した。
 
 コンちゃん、見守っていてくれよ。彼ら後輩たちは必ずやってくれる・・・

角的二十三

2006年05月12日 | 角(鹿島サポ)のコラム


現実的に最も可能性が高いと思われるメンバーを予想。

【GK】

GKは間違いなく以下の3人。

川口 能活:不動の守護神。
楢崎 正剛:実戦不足だが間違いない。
土肥 洋一:不動の第3GK。

【DF】

(CBの茂庭を入れるのか、三都主のバックアップとして中田浩なのか。)

宮本 恒靖:キャプテン。3バック限定出場でお願いしたいが。
田中 誠:坪井と先発争い。
中澤 佑二:不可欠。本大会までに復調を。
坪井 慶介:速さがものをいうか。
三都主アレサンドロ:良くも悪くも生命線。
加地 亮:強気な時の加地で。
駒野 友一:右サイドのバックアッパー。
中田 浩二:左サイドとボランチのバックアッパー。一応CBも可能。

【MF】

(MFでジョーカーとして1枠使うのか、FWを5枠にするのか。)

福西 崇史:貴重な潰せる存在。
遠藤 保仁:気のきいたプレーで周囲も活かす。
小野 伸二:やっと調子上向き。
稲本 潤一:福西のバックアップ。
中田 英寿:説明不要。苦しい時ほど頼りに。
中村 俊輔:俊輔のFKが1番得点の匂いがする。
小笠原 満男:4バックで中田英ボランチなら先発。
松井 大輔:ジョーカー。

【FW】

(柳沢や久保のコンディション次第で5枠になる可能性も。そのときは大黒が有力か。サプライズがあるとすればここに巻か佐藤寿)

久保 竜彦:コンディション不安定だが。
高原 直泰:総合力でなんとかメンバー入り。
玉田 圭司:突破力はやはり貴重。
柳沢 敦:貢献度は高く、コンディション次第。


23への道のり

2006年05月12日 | 角(鹿島サポ)のコラム


キリンカップ、対ブルガリア戦。
 ジーコの言う「長い列」は決して、ジーコに批判的な人々の皮肉に引用されるべき言葉などではない・・・そう感じずにはいられない内容であった。

 巻、佐藤、村井、長谷部、阿部ら、いわゆる序列のかなり後方にいるであろう選手達にとって、ブルガリア戦、そして次のスコットランド戦はとてつもなく意味のある試合であるはずだ。しかし、このブルガリア戦ではそのチャンスを十分に活かせた選手は見当たらなかった。唯一の得点を挙げた巻も、気迫溢れるプレーでチャンスに多く顔を出してはいたが、ミスも多く、ボールが収まらなかった印象が強い。その他の当落線上にいるであろう選手でも、有効なプレーを持続的に披露し続けたといえる選手はおらず、むしろ、途中から交代で入った「当確組」の小野が1番のインパクトを残した。

 23人の発表が近くなるにつれて、メディアはおもむろにサプライズを欲しがり、サプライズが期待できなさそうなジーコの「序列」に疑問を露わにする。そして、5月15日まで繰り広げられるサバイバルレースは所詮出来レースであり、僅かな可能性を信じ必死のアピールを続ける選手が可哀想である、とでも言いたげな記事までも目にする。しかし残念ながら、このような記事を書いてしまった本人が最も可哀想である。

 今、当落線上にいる選手達は、ジーコジャパンの歴史と競り合っている。ジーコが代表監督に就任してから積み上げてきたもの(選手、戦術、実績など全て)に対し、それ以上の輝きを発することが必要で、それを僅かな時間で成し遂げなくてはならない。とてつもなく高いハードルだが、この時期に代表の行列に並び始めた選手にとって時間の無さはどうにもならない。なにしろワールドカップは目前に迫っているのだ。
 それでもこの僅かなチャンスにかける、という選手の頑張りが、本人のみならず、大舞台に挑む日本代表と「当確組」と思われる選手にとってもモチベーションという意味で無意味なものであるはずがないことは言うまでも無い。そしてさらに、ワールドカップが終わっても日本代表は存在し、次なる目標へ向かう。可哀想だとか虚しいという次元ではないのだ。


 ブルガリア戦で左ひざ靭帯断裂という大怪我を負って退場した村井選手。この時期の戦線離脱の悔しさは計り知れないが、背番号14がその思いも背負って戦ってくれるはずなので、しっかり直して再び素晴らしいドリブルを披露してくれることを切に願う。
 


kick off

2006年05月12日 | 角(鹿島サポ)のコラム
ガンバブルーにアントラーズレッド。
相容れることが無いはずの二色が織り成す異色の蹴球ブログここにスタート。
愛するクラブ、Jリーグ、代表から海外事情、はたまたとんでもない小ネタまで、サッカーにまつわるあらゆる事柄について、それぞれ独自の視点で熱くマニアックに書きなぐる。
サッカーが、Jリーグが好きならば、それだけで繋がっていく・・・