脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

HOYOの飛躍、JFLをほぼ当確へ -相模原vsHOYO-

2011年12月06日 | 脚で語る地域リーグ
 今季の全国地域リーグ決勝大会も最後の対戦カードに。残る椅子は1つ。入替戦と目されていたこの3位の座は、この日のJFLの展開で(来季のJ2参入を当確させた松本山雅と町田と、ジェフ・リザーブズの解散もあって16位・ソニー仙台の残留がほぼ決定)入替戦なしでのほぼ自動昇格となった。そしてこの3位の座を懸けたS.C.相模原とHOYO AC ELAN 大分の試合は2-1でHOYOが勝利。HOYOがこの3位として来季のJFL昇格をほぼ決定づけた。対する相模原は決勝ラウンド3連敗で4位に終わった。

 
 いよいよ今季の地域決勝大会もこの試合が最後。
 相模原かHOYOか。昨年のひたちなか以来のカード。

 
 相模原は、八田、井上、富井、吉岡が同時に先発に名を連ねた。
 90分勝利しかJFLへの道はない。

 
 HOYOは90分敗戦を回避すればOK。
 この試合でGKは船津ではなく野寺を起用。

 1次ラウンド3連勝の相模原がもう全く後がない状況にまで追い込まれた3日目。相模原としてはもう90分勝利でようやく3位に滑り込めるという背水の陣であり、HOYOにとっては90分で負けなければ絶対優位というかなり大きなアドバンテージの違いがあった。ちなみに地域決勝大会でのこの対戦カードは昨年のひたちなかでの1次ラウンド以来。その時には相模原が2-2からPK戦6-5でHOYOを辛くも振り切った。1年を経ての再戦となったわけだ。

 試合は、相模原が攻勢と行きたいところだったが、HOYOはまず守備をきっちり固めて動じない。8分に森谷のミドルシュートをHOYO・GK野寺がセーブ。18分にも相模原は、金澤の右サイドからの絶好の折り返しを齋藤があと一歩決めることができなかった。チャンスは作るが、ゴールが遠い相模原。そんな彼らに追い打ちをかける展開が訪れる。
 21分、相模原守備陣の裏へ右サイドからエリアに侵入した中嶋を相模原・DF井上が後ろから押す形で倒してしまい、これにはもちろんPKの判定。HOYOはこのPKを倒された中嶋自らが決めて貴重な先制点を挙げる。

 
 相模原にとっては慎重にいきたかった場面だったが…

 
 
 
 中嶋がPKを決めてHOYOが先制に成功する。

 すると、ここから相模原はエクスキューズな施策に。この先制点の場面でどこか痛めたのか井上を下げてここまで2試合先発起用されていた中川を急遽ピッチへ。続く35分には富井を諦めて、代わりに村野を投入する。前半40分も経たぬうちに2枚のカードを切ってしまう異常事態に何かしらの動揺を隠せない。しかし、1点を追うために前へ前へボールを進める相模原の焦燥感はひしひしと伝わってきた。この試合では佐野が前線で齋藤と組むような形で、森谷がそれをサイドハーフの位置でサポートする布陣だったが、この佐野が完全にHOYO守備陣にマークされていた。結果的に点取り屋の齋藤の効果的にボールは入らない。1日目から森谷のゴールへの執念は見られたが、チーム全体で相手の守備網を崩すといった場面はなかなか見られなかった。この試合の33分には前がかりになったところを奪われて一気にゴール前へロングボールを繋がれてピンチになる場面もあった。GK山本の好守でここを乗り切り、前半を1点のビハインドで相模原は折り返す。

 
 HOYO・佐藤を自陣で追い込む相模原・森谷。

 
 守備に徹する時間が多かったが、切り替え役はこの田上。
 HOYOのコンダクターとして存在感を発揮。

 
 とにかく積極的に前へボールを送る相模原。
 工藤が最後尾で闘志を前面に出したプレー。

 後半に入って、その相模原のトライは結実する。60分に途中出場の村野がCKから相手のクリアボールに頭で合わせて同点に。相模原の意地がここから見られる。そんな展開になるかとも一瞬思った。しかし、このゲームは結果的にはHOYOのゲームだった。そう思わせたのは5分後、65分にHOYO・MF原が途中出場の直後に目の覚めるようなミドルシュートをエリア手前から決める。佐藤が相模原のエリア内で粘ってボールキープし、フリーの原に上手くリターンパスを送った。

 
 HOYOの2点目の起点をそのボールキープから生み出した佐藤。
 シュートこそなかったが値千金のアシスト。

 
 1次ラウンドに比べると、その快足ぶりが影を潜めた金澤。

 
 村野がヘッドでゴールを決めて勢いに乗るかと思いきや…

 無理をせずに自陣で11人が守るHOYOに対して、攻め込んでいくしかない相模原。2点目を奪われた直後には八田に代えて天野を送り込みサイドを活性化させる。72分には村野が惜しいシュートを見せるが得点には至らない。75分にはセットプレーからゴール前の混戦で齋藤がシュートを試みるが、エリアに一体何人が密集しているんだというようなHOYOの壁の前にそのシュートを弾かれる。この直後にHOYOは自陣からボールを持った堀が一気にドリブルで駆け上がり、強烈なシュート。相模原はかろうじてGK山本がこれをセーブするが、油断すればこのような針の穴を通すような堀のドリブルシュートが襲ってくる。まさにハイリスクだが、全員攻撃でHOYOの守備を崩さなければならなかった。

 
 HOYOは前線にこの堀がいる限り常に脅威。
 カウンターでスナイパーの如くゴールを狙う。

 
 落ち着いた守備を見せたGK野寺。
 2日目まではベンチを温めたが、この試合ではアピール。

 結局最後まで相模原は再度同点に追いつくことができずタイムアップ。この瞬間、HOYOの最低でも入替戦、ほぼJFL昇格が決定となった。大分県リーグから九州リーグに昇格2年目でのスピード昇格。堅い守備で勝利に徹したサッカーを見せた。

 
 タイムアップの瞬間。
 両者、死力を尽くした戦いに膝を落とす。

 
 3位に滑り込んだHOYO。
 JFLの結果からも来季の昇格はほぼ当確。

 
 選手を労う相模原・望月監督。
 1次ラウンド3連勝のチームが3連敗…
 本当にこの大会は恐ろしい。

 HOYOは1日目を0-4で落としながら、残り2日を2連勝。元来守備には定評があったチームで得点力も非凡なだけあって、昇格してもおかしくない実力だった。結論からいうとY.S.C.C.の1日目のサッカーが強すぎたということか。しかしながら、大分を拠点にJリーグ経験者を多数有し活動するHOYO、現在ではすっかりサッカーどころ(Jクラブ5、JFLクラブ2)の九州に新たな全国リーグのチームが誕生したということになる。HOYOの選手、スタッフ、関係者の皆様おめでとうございます。HOYO AC ELANの「ELAN」とはポルトガル語で「飛躍」という意味とか。来季からの飛躍に要注目のチームだ。
 対する相模原は、優遇措置としての2年連続の挑戦は結果を出せずに終わった。厳しい現実。同じBグループを戦った当事者としてもこの衝撃は隠せない。それだけ地域決勝大会という大会がどれだけ過酷で恐ろしい大会かということを実感できたといえる。来季も間違いなく相模原はこの舞台に勝ち上がってくるだろう。JFL昇格を争い、今季以上の戦いを奈良クラブと演じる機会があればと切に思うばかりだ。

藤色の軍団、JFLへ -Shizuoka.藤枝vsY.S.C.C.-

2011年12月05日 | 脚で語る地域リーグ
 今季の全国地域リーグ決勝大会もいよいよ最終日である3日目を迎え、2日目に来季のJFL昇格を決めたY.S.C.C.に続けと、ここまで勝点4ポイントで2位につけるShizuoka.藤枝MYFCがそのY.S.C.C.と対戦。第2試合の結果に関わらず、この試合に90分以内での敗戦を喫しなければ、自動昇格枠の2位が手堅い藤枝は、試合を1-1からPK戦に持ち込み、ここまで2連勝のY.S.C.C.に7-6で勝利。これで決勝ラウンド2位を手中にし、来季のJFL昇格を決めた。JFAによるテクニカル映像はこちら

 
 2日目をPK敗戦した藤枝だったが、アラン、石田が復帰。
 この3日目で勝点では残り3チームでは非常に優位だった。

 藤枝は2日目に警告の累積で出場停止だったアランと石田が先発にカムバック。前日に退場処分を食らった奈良林を欠くものの、チョン・リュンポがこれをカバーする。
 対するY.S.C.C.は一足早くJFL昇格を決めたが、勝負は最後まで追求。前日のメンバーからGK浜村、DF片根がこの決勝ラウンド初先発で名を連ね、1日目に途中出場から活躍した吉野が森田に代わって先発を務めた。

 試合はいきなりのスーパープレーで幕を開ける。ハイボールにY.S.C.C.のDFと藤枝・石田が競り合ってこぼれたボールに、藤枝・アランが約35mはあろうかという距離からそのままダイレクトボレーシュートでゴールへ叩き込む。あまりの一瞬の離れ業にスタンドからはどよめきが。持ち前の得点力を発揮するとこの男がどれだけ脅威かということを知らしめた1点で藤枝が試合を先行する。

 
 スーパーシュートで試合を動かした藤枝・アラン。
 こんなシュートはこのカテゴリーでは規格外。

 
 15分には藤枝・納谷のFKにアランがこのヘッドでチャンスを作る。

 ところが、Y.S.C.C.も黙ってはいない。18分にセンターサークル付近で藤枝のアランからボールを奪うと、一気に速攻。辻がエリア前からシュートを一度は試みるもブロックされたこともあって、落ち着いて後ろからフォローに回った平間に返すと、その平間から左サイドの後藤へ。この後藤が一気に縦を勝負すると、グラウンダーの折り返しをゴールエリアへ放つ。すると、これを中で待ち構えた吉田が体を捻りながらゴールへ流し込んだ。Y.S.C.C.がその組織力の高さを見せつけて同点に追いついた。

 
 
 
 
 
 吉田の渾身のシュートがネットを揺らす。
 昇格が決まっても目の前の勝負を諦めないY.S.C.C.の同点劇。

 1-1というスコアになってもその後も両者は譲らず。共に決定機を作り合いながら後半へ折り返す。わずかにY.S.C.C.が地力で藤枝を凌駕する展開だった。

 
 Y.S.C.C.の辻をマークする藤枝・DF望月。

 
 1アシストのY.S.C.C.の左サイドバック後藤。
 東農大から今季加入の選手だが、3日間で特に印象に残った。

 後半に入ると、藤枝も果敢に追加点を狙いに来る。57分にホン・テイルがループシュートを狙うが惜しくも決まらず。76分には左からの折り返しにアランがヘッドで合わせる。やはり2日目に比べると、流動的にポジションを右に左に変え続けるアランの存在は相手チームにとっては厄介なもの。この試合だけで1人でシュートを8本も放っているこの優良助っ人外国人をなんとかブロックしてY.S.C.C.はこの試合をPK戦へ持ち込んだ。

 
 PK戦へと突入。
 藤枝はこの時点でかなりJFL昇格を近づけた。
 負けても第2試合でHOYOが5点差をつけて勝たない限り2位は約束された。

 このPK戦では、8人目のY.S.C.C.のキッカーを藤枝・GK豊瀬がセーブすると、そのまま藤枝の8人目をその豊瀬が務めて見事にキックを決めるとゲームセット。勝点を5ポイントとした藤枝が見事に来季のJFL昇格を掴んだ。

 
 相手のキックを止めた後、ボールをセットする藤枝・GK豊瀬。
 これにはスタンドからどよめきが。千両役者。

 
 
 そしてこの豊瀬が1人でPK戦をクロージング。
 藤枝が勝利、そしてJFL昇格決定。

 
 
 
 かつて藤枝ネルソンとしてその産声を上げたチームは、日本で初めてネットオーナーシステムを採用し、ネットオーナーによってチームの運営や強化方針を決めていくというチーム・藤枝MYFCとして歩みを新たにする。2010年には既存の静岡FCと統合してShizuoka.藤枝MYFCとなったが、その静岡FC時代にも何度も挑戦してその扉を開けられなかったJFLという高みにようやく辿り着いた。この決勝ラウンドでも攻守のバランスの高さで常に安定した戦いを披露した。Y.S.C.C.と並んでのJFL昇格。改めてAグループの2強の強さをこの試合のレベルの高さからも実感したのは間違いない。来季、サッカーどころ静岡において既におなじみであるHonda FC以外では久々のJFLチーム(静産大以来か)ということで、どんな戦いぶりを披露するのか楽しみ。選手、スタッフ、関係者の皆様、本当におめでとうございます。

 
 選手兼監督(ヘッドコーチも含めて)として3年目。齊藤が宙を舞う。
 元日本代表の名DFがチームを牽引した。

3年越しの悲願、Y.S.C.C.JFL昇格を掴む -相模原vsY.S.C.C.-

2011年12月04日 | 脚で語る地域リーグ
 続く第2試合では、関東勢同士の対戦。こちらもここまで再三火花を散らしてきたチーム同士、JFA優遇枠のS.C.相模原と関東王者Y.S.C.C.が対戦。試合はY.S.C.C.が先行する展開で2-1と逃げ切った。これでY.S.C.C.の2位以内が当確。来季のJFL昇格を決めた。対する相模原は最高でも3位に滑り込むしかない背水の陣となった。

 

 

 天気が崩れ、第1試合の前半に見られた晴れ間が嘘のような曇天で、雨が降り出してくる天候。しかし、昨季3度も相まみえたライバル同士の因縁の対決が最も両者明暗の分かれた形で迎えることになろうとは。Y.S.C.C.にとっては昨季の地域決勝大会のひたちなか1次ラウンドで敗戦を喫したこのカード。その時は相模原の劇的な敗戦でY.S.C.C.が決勝ラウンドに進むことになったが、決勝ラウンドではY.S.C.C.は4位に沈んだ。万感の思いが交錯するこの巡り合わせ、2009年のアルウィン、2010年のひたちなか、市原、そしてこの長居第2とY.S.C.C.を見てきた者としても感慨深い。前日相模原は藤枝に敗戦。ここで負けると後がなくなる。Y.S.C.C.は前日圧勝スタートでこの試合で90分勝利を掴めば昇格を当確させる。緊迫の90分間が始まった。

 「平日のY.S.C.C.はもう卒業」という言葉がY.S.C.C.サポーターの方から出た1日目。まさにこれまで仕事との兼ね合いでメンバーをなかなか揃えられなかったことがY.S.C.C.のウィークポイントだった。路線としてのアマチュアクラブならではの悩みではあるが、それでもこの決勝ラウンドに3年連続で挑めていることには感服する。ただ、今季は一部の主力がシーズン前にチームを去り、中盤の顔ぶれは一新。それでも現有のベストで最高のゲームを初日から見せていた。この日は1日目に電光石火の先制点を決めた青田がベンチに下がり、中盤に森田が出場する。中盤に厚みを持たせて相模原を少しでもポゼッションで上回りたいという思惑だっただろう。
 相模原は、1日目のメンバーから富井が外れ、吉岡が先発。得点力のある吉岡の起用がどう影響するか。1日目に気になったのは絶対的なエース・齋藤にほとんど良い形でボールが入らなかった点。守備で能力の高い藤枝に完全にブロックされた1日目だったが、この試合ではどうか。点の奪い合いという展開も頭をかすめたが、Y.S.C.C.の前日のハイペースサッカーがどこまで遂行されるか。この試合も相模原は受け身に回るのか。見どころの多い試合となった。

 
 相模原・村野を囲むY.S.C.C.の守備。

 
 Y.S.C.C.は最終ラインで服部の存在感が際立っていた。
 
 試合は案の定Y.S.C.C.が前日同様の連動性で相模原を凌駕していく立ち上がり。それでも藤枝戦に比べれば、まだ前がかりになる彼らを尻目に相手エリア内まではボールを持って行ける相模原。7分には森谷がボレーシュートで牽制すると、10分にはY.S.C.C.のミスを拾った森谷が自身で突破してシュートまで持ち込む場面が見られた。
 しかし、前日に圧倒的なムービングサッカーを見せたY.S.C.C.の勢いは健在。15分には吉田のクロスに辻が頭から飛び込んでゴールを狙うと、21分には、相手のゴールキックを拾ってから簡単に繋いで相模原守備陣の裏に抜け出た吉田が、決められなかったものの絶好のシュートチャンス(この左足シュートが決まっていればかなり楽だった)を作るなど随所に好連携を見せる。特にこの吉田のシュートの場面は常に逆サイドを狙っているというプレーの連続性の延長だった。最後に吉田にパスを通したのは小澤だったと思うが見事なダイレクトパスだった。

 
 
 この吉田のシュートは惜しかった。

 
 
 平間のFKがバーを叩く。Y.S.C.C.の全方位型攻撃恐るべし。

 前半は両者共にゴールまで及ばず、それでもレベルの高い試合になった45分。48分にY.S.C.C.は主将の服部がヘッドで惜しいシュートを見せる。対する相模原も吉岡が51分に絶好のシュートをGKにかろうじて阻まれるという一進一退の立ち上がり。そして後半に入って10分ほどで先制点の場面はY.S.C.C.に訪れた。相模原のスローインからのリスタートのボールを3人で囲んで奪うと、そのまま吉田が一気に左から走り込んだ辻へ。辻は相手DFが寄せる前に左足を振り抜く。彼らしい先制点。ベンチもスタンドも仕事人の活躍に沸く。

 
 
 相模原・吉岡のこのシュートはY.S.C.C.のGK小林がセーブ。

 
 
 
 そして待ちに待った辻のエースとしての矜持示すこの得点。

 先制点を献上して焦る相模原。しかし、流れが傾くことはない。65分にはY.S.C.C.が平間のグレートなミドルシュートで追加点。これには勝負が決まった感じすら窺えた。

 
 
 平間がミドルを決めて更にY.S.C.C.が突き放す。
 
 この後、相模原は村野、齋藤を諦めて、松本、富井を続けて投入。齋藤が無得点というのは苦しいところだが、国士舘大出身の松本の期待をこの決勝ラウンドではかなり感じる望月監督の采配。前線で孤軍奮闘する森谷の姿が印象的だったが、この日はゴールまでの拙攻が目立った。72分にはY.S.C.C.のミスからGKと1対1になった佐野が決められない。80分に奥山が1点を返して1点差に詰め寄り、その直後には森谷がシュートもゴールマウスをわずかに右。最後の最後まで追撃の1点が遠かった。

 
 
 
 
 この場面を決められない佐野…これには相模原サイドは溜息。

 
 
 
 この森谷の粘りのシュートもわずかにゴールを捉えられず。

 
 Y.S.C.C.辻は1本シュートをバーに当てている。
 本当に得点力の高い選手。プロからも熱視線はあるのでは!?

 先行逃げ切りのY.S.C.C.。5分のアディショナルタイムも乗り切ると、タイムアップの笛に広がる歓喜。3年越しの決勝ラウンド突破でようやくJFL昇格を決めた。思えば、2009年のアルウィン。3日目に金沢との対戦でようやくPK戦(12-11)で初勝利をもぎ取った彼らは、その結果で試合前に決まってしまった松本山雅の昇格歓喜ムード一色の中ひっそりとピッチを去っていった。あれほど報われない勝利の姿はなかった。でもあの時の経験が間違いなく今のY.S.C.C.を逞しくしたと思う。試合後に宙を舞う選手兼監督の鈴木、その嬉し涙を拭いながらのスタンドへ向けた挨拶にはグッとくるものがあった。この日はU-10の子供たちも遥々応援に駆けつけたようで、スタンドと選手たちが一体となって喜ぶ光景にその関係者の絆が見てとれた。本当にY.S.C.C.の選手、スタッフ、サポーター、関係者の皆様おめでとうございます。

 
 そしてタイムアップ。Y.S.C.C.のJFL昇格決定。

 
 なんと「待ってろ!JFL」と書かれた記念Tシャツに衣替え。

 
 
 
 
 
 松久コーチも胴上げ。
 
 
 昨季まで主将としてピッチで戦っていた鈴木監督兼選手。
 宙を舞った後、涙ながらにスタンドに挨拶。

 敗戦を喫した相模原はもう本当に後がなくなった。この時点で勝点はゼロ。敗退か入替戦(場合によっては自動昇格)の3位しか道はなくなった。最終戦はHOYO。昨季の1次ラウンドでの対戦時には相模原が辛くもPK戦6-5で勝利している。しかし、3位のためには90分勝利しかない。それ以外は敗退しか待っていない。これ以上ない背水の陣。勝負どころだ。

 
 追い込まれた相模原。
 もう勝つだけだ。それも90分での決着を。

九州王者の矜持 -Shizuoka.藤枝vsHOYO-

2011年12月04日 | 脚で語る地域リーグ
 大阪・長居第2陸上競技場にて行われている第35回全国地域リーグ決勝大会決勝ラウンドは2日目を迎え、第1試合では東海リーグ王者のShizuoka.藤枝MYFCと九州リーグ王者のHOYO AC ELAN 大分が対戦。互いに譲らぬ攻防戦はスコアレスのままPK戦に突入。その結果7-6でHOYOが勝利し、勝点2ポイントを獲得。決勝ラウンドでの3位以内に望みを繋いだ。JFAによるテクニカル映像はこちら

 

 前日の試合では明暗が分かれた2チーム。S.C.相模原を1-0と僅差で下した藤枝は、攻撃の核であるアランと石田が警告累積のため出場停止。その代役として、昨日は出番のなかった元川崎、仙台の西山、そして皆川が先発に名を連ねた。
 対するHOYOは、初日は0-4とY.S.C.C.に完敗。そのメンバーから宮田、原、生口が外れ、中島、渡邊、古賀を先発で起用。シュート数わずか3本に終わった昨日のような試合はもうできないとばかりにこの試合に向けた意気込みは強かったはず。試合が始まると、前日とは違う彼らの勢いが伝わってきた。

 序盤に攻撃のリズムを作ったのは藤枝。アラン、石田を欠くものの、地力とその構成力はお見事。石井、納谷が中盤でボールをしっかり捌くと、前線で西山が積極的にドリブルで勝負に出る場面も見られた。加えてサイドから効果的にクロスを放り込むが、ゴールにはあと一歩届かない。
 すると、藤枝の攻撃を乗り切って、次第にHOYOがペースを掴んできた。藤枝の攻撃の芽を摘むと徐々に相手陣内へボールを運ぶようになる。16分には堀のFKから攻撃を作る。一度弾かれながらも再度堀から放り込んだクロスに長身のDF田中がヘッドでゴールに迫るが得点には至らず。19分には藤枝のルーズなクリアからボールを拾いパスをテンポよく繋ぐと、最後は駆け上がった安藤のクロスをエリア内で中嶋がジャンピングボレーでシュートを試みる。25分には、堀がGKの軽率なクリアボールをそのままシュートするが、相手GKが飛び出したままの無人のゴールを捉えることはできない。しかしながら、前日と打って変ってHOYOの攻撃が快活で、特に堀がボールを持つ場面、また、FKから効果的なボールを入れる場面が目立った。

 
 晴れ間ものぞいた前半の立ち上がり。
 藤枝は橋本を中心に攻め込む。

 
 
 16分のHOYOの田中のヘッド。
 これはGk正面だったが、改めて堀のキックの能力を実感。

 
 中嶋のボレーシュートはわずかに決まらず。
 前半の途中からはHOYOの時間だった。

 
 内田を中心に失点は避けたい藤枝が粘り強く守る。

 
 藤枝の西山はドリブルで再三見せ場を作る。
 しかし、フィニッシュまでたどり着けず。

 それでも好守を見せる堅い藤枝。前半をスコアレスで乗り切ると、後半から皆川を下げてチョン・リュンポを投入。少し中盤でボールロストが目立つところを補完しておきたかったか。それでもHOYOが前半と変わらず頑張りを見せる。
 藤枝は、61分と早い時間帯で西山を下げて、昨日値千金の得点を挙げた清水を投入。もう少し西山で勝負するところを見たかったが、やはり孤立していた感は否めない。アランと石田の欠場で攻撃面で緩急がつけられなくなっていた印象だ。HOYOは昨日先発だった原、生口と投入し、ポゼッションで負けじとフレッシュな戦力を機を見て入れてくる。77分に中嶋のシュートがポストを強襲した場面は実に惜しかったが、82分には鴨川を入れて更に追い込みたいという姿勢。87分には藤枝・奈良林がこの日2枚目の警告で退場処分になる展開で、運をも味方につけたかったところだが試合は90分で決着つかず。PK戦に突入した。

 
 なかなか1点が遠い膠着戦に藤枝・斉藤監督もハラハラ。
 説明不要の元日本代表DF。守備面では抜かりない。

 
 納谷が中盤でリズムを作る藤枝。

 
 九州リーグMVPの田中が攻守両面でHOYOを支える。

 PK戦では7人目で、先攻HOYOが決めたのに対して、藤枝はホンがミス。ここで7-6と決着。HOYOがPK勝利の勝点2ポイントを獲得することになった。

 
 
 
 PK戦の末にHOYOがようやく勝利。
 しかし、得失点差では依然苦しい展開。
 3日目は90分以内の勝利が不可欠。

 
 藤枝はPK敗戦で勝点1ポイントという結果に。
 奈良林の欠場は厳しいが、Y.S.C.C.に勝ちたいところ。

 HOYOの復調に九州王者の意地を見ることができた試合だった。やはりエース・堀の存在感は間違いない。中嶋とのコンビも決定機を作るという点ではしばしば効果的だった。
 しかしながら、90分以内で勝利したかったHOYOに対してこれをPKまでしのいだ藤枝。両者ともに3日目の展開に影響する分水嶺になったかもしれない。依然2位以内という点では藤枝が俄然有利。アラン、石田が戻ってくることを考えると、奈良林の出場停止を補って余りあるか。しかし、相手は最も手強いY.S.C.C.。藤枝は今季のサッカーの集大成が問われる試合になるだろう。

 
 最終日は相模原と対戦。昨季のPK負けのリベンジなるか。
 そのためには堀の得点力は必須だ。
 

質実剛健、恐るべし横浜 -HOYOvsY.S.C.C.-

2011年12月03日 | 脚で語る地域リーグ
 全国地域リーグ決勝大会の1日目第2試合は、九州リーグ王者で1次ラウンドのCグループを1位通過したHOYO AC ELAN 大分と関東リーグ王者で1次ラウンドをワイルドカード(2位チームの上位1チーム)で3年連続決勝ラウンド進出を果たしたY.S.C.C.の対戦。試合は終始Y.S.C.C.がリードする展開で4-0と快勝。勝点3ポイント共に大きな得失点差4点を獲得した。

 

 

 ここまで2年間、地域決勝大会の舞台では屈辱を味わってきたY.S.C.C.。2009年のアルウィン、そして2010年の市原と、いつも4チーム中の最下位に沈んで入替戦にも進めなかった。その雪辱として、関東リーグ王者の質実剛健ぶりを改めて誇示してくれたサッカーだった。
 試合開始2分、FW青田が須原からの浮き球のパスを中央からHOYOエリア内に入って受けると、しっかりと決めて先制。青田のシュートセンスも脱帽だったが、マーカーが外から追う形になったHOYOの守備は残念だった。やはり層の厚い関東リーグ最多34得点の攻撃力。いきなりの先制パンチで試合を優位に進めることに成功した。
 この後のY.S.C.C.のサッカーは強かで素晴らしいものだった。ボールを止める、蹴るという点で自分たちのミスが少なく、ほとんどHOYOにボールを取られない。また、それぞれの選手が流動しながらスペースを埋めていくことで流れを常に作り続けるタフネスがあった。27分には右サイドから渡邉が右サイドから切り込んで中央へ折り返すと、これをエース・辻がしっかり合わせて2点目となるゴール。隙のない攻撃でY.S.C.C.が加点していく。

 
 2点目は左サイドバック・後藤の大胆なサイドチェンジから。
 相手の中途半端なクリアを誘発させた。

 
 中盤で平間がボールキープ。
 Y.S.C.C.は前半だけでシュート10本。

 
 電光掲示板には「大分-横浜」という違和感のある表記。

 2点リードで折り返したY.S.C.C.は後半に入っても一向に衰えない。57分にはHOYOの緩慢なボールキープを自陣で奪うと、小澤が見事なロングパスで前線の辻へ。辻がこれを持ち込むと、上手く相手DFをかわしてゴールへ沈める。大きな3点目で明らかに勝負あり。ここでHOYOに盛り返せる可能性すら見出せなかったのも驚きだったが、Y.S.C.C.の堅実かつストロングなそのサッカーに魅了される。

 
 
 頼れるエース・辻正男。
 昨季のひたちなかを彷彿とさせる頼もしさは健在。

 
 大宮の長兄・大剛、横浜FMの次兄・千真…
 渡邉三兄弟の末っ子・渡邉三城は右サイドで躍動。

 75分には途中出場コンビでHOYOを崩した。吉野が右サイドから折り返したボールを松本がニアで受けて角度のないところから4点目となるゴールを決める。全てが上手く回り続けたY.S.C.C.はこのまま4-0で試合をクロージング。対するHOYOは初戦から全く振るわず、4失点大敗となった。

 
 途中出場コンビの吉野と松本で1点をダメ押し。
 層の厚さも侮るなかれ。

 
 HOYOはエース・堀がほとんど見せ場を作れなかった。

 
 HOYO・中嶋がボールを持ち込む。
 しかし、堀とのコンビはシュート1本しか放てず。

 まさにY.S.C.C.の見事なサッカーに釘付けになった90分。サポーターの方に話を聞くと、昨季限りで「平日のY.S.C.C.」は返上したとのことで、今まで再三この地域決勝大会で悩まされてきたベストメンバーが3日間揃わないという事態も今季は克服したようだ。シーズン前には何人かの選手が神奈川教員クラブに移籍したり、練習環境は中学校のグラウンドで夜行っていたりと苦労話は絶えないチームだが、この舞台でこのサッカーができるのは本当に素晴らしい。初日からいきなりの運動量に2日目以降が懸念されるが、間違いなくY.S.C.C.はJFL昇格に大きく前進したといえるだろう。
 また、HOYOの撃沈ぶりにも驚きは隠せない。2月の西日本社会人大会以来見たが、スケールダウン著しい印象。堀、佐藤、中嶋で構成される前線もパッとせず、シュートは90分でたった3本。特に守備陣は先制点を献上してからブレーキが効かなかった。Jリーグ経験者も多いだけに、昨季のこの大会では来季の台風の目になるかとも思えたが、一転苦戦を強いられることになった。失点4、得点0は非常に厳しい結果となったHOYO。2日目以降の戦いに注目だ。

 
 明暗分かれた両者の戦い。
 さて、Y.S.C.C.は相模原を相手にどんなサッカーを見せるのか。

藤枝先勝、曇天の相模原 -Shizuoka.藤枝vs相模原-

2011年12月02日 | 脚で語る地域リーグ
 第35回全国地域リーグ決勝大会の決勝ラウンドが大阪・長居第2陸上競技場にて開幕。1次ラウンドを勝ち抜いたShizuoka.藤枝MYFC、Y.S.C.C.、S.C.相模原、HOYO AC ELAN 大分の4チームが来季のJFL昇格をかけて激突。第1日目の初戦はAグループ1位突破のShizuoka.藤枝MYFCがS.C.相模原と対戦。途中出場の清水の値千金の1点で藤枝が勝利を挙げた。JFAによるテクニカル映像はこちら

 

 

 

 この大会屈指の注目カードとなった1日目の初戦。東海リーグ王者・藤枝と関東2部リーグながらJFA優遇枠で2度目の出場となる相模原と対戦は、決勝ラウンドの行方を占う意味で大きな一戦。 前半の序盤から両者探り合いの幕開けとなったが、どうも相模原の様子がおかしい。1次ラウンドでも安定して見せていた自信に満ち溢れたサッカー、一種の「オラオラ感」と形容できるオーラが見えず、まずは守備を固めて丁寧に自分たちのサッカーを展開していく藤枝の前に「先行逃げ切り」という1次ラウンドからのサッカーが思うように発揮できない。藤枝は中盤で、Jでも屈指の経験を誇る石井を中心にじっくり相模原を追い込み、チャンスを狙い続けた。

 
 Jでは通算297試合出場の石井。
 34歳ながら、依然このチームで存在感を発揮。

 相模原は、古賀が負傷のせいかベンチ外。そのためMFとして富井が先発に名を連ねその穴を埋める。1次ラウンドから左の古賀よりも右の金澤、村野のコンビの方が怖いという印象はあったが、それでも藤枝の前にそのタフな推進力は前半からさほど見えずにいた。ここまで前半沈黙する相模原はあまり記憶がない。なかなか前線の森谷、齋藤の2人に良い形でボールが入らない。25分にはアランのボールを受けた藤枝・納谷がバーのわずか上を越える惜しいシュートで相模原を牽制してくる。対する相模原もカウンターからの速攻で、前を向いた際の齋藤が起点になってサイドの村野や中川からボールを入れようとトライするものの前半で得点を奪えず、両者スコアレスで折り返した。

 
 焦らず、じっくり追い込んでくる藤枝の前に相模原は苦戦。
 佐野も思うようにボールを操れず。

 
 相模原は工藤を軸にしっかり守って、藤枝をかわそうとする。

 後半に入って、両者メンバーを早い時間帯にはいじらずそのまま勝負へ。藤枝がロングボールを多用して前半以上に長短織り交ぜたパスで相模原をいなすが、依然両者ともに譲らない。63分には何度も前線にロングボールを送り込んだ藤枝が結果的に相手のクリアミスのチャンスから最後は石田が頭でゴールを揺らすが、これはオフサイドの判定に泣く。

 
 石田は前線で再三チャンスを演出。
 終始、相模原の守備陣を警戒させた。

 
 藤枝・橋本と対峙する相模原・中川。
 藤枝はサイドを突いてくるのが上手かった。

 71分に藤枝が先に動く。納谷に代えてFW清水を投入。すると、その清水が74分に右サイドの望月からのアーリークロスを体をひねりながら見事なヘディングシュートで先制点となるゴール。絶好の時間帯の先制点で拮抗した試合に藤枝が展開をもたらした。
 対する相模原は、この直後に富井に代えて吉岡、そして松本を投入して攻勢に出るが、その後も1点を奪えず。結果的に藤枝がそのまま逃げ切って1-0と初戦で90分勝利。勝点3ポイントを奪取した。

 
 藤枝・アランがシュートを狙う。
 彼はJ1・鹿島に在籍するアレックスの双子の兄。

 
 相模原を下した藤枝の選手たちの安堵の表情。
 しかし、まだ2日残る日程。何が起こるか分からない。

 個人的には昨季の経験を活かして、リベンジを挑む相模原の初戦に期待していただけに、藤枝の狡猾さを実感した試合だった。これだけうまく相模原を「受け」に回して無失点に抑えるという守備力とそのバランスはかなりのもの。まだ2度しか見ていないチームだが、予想以上に藤枝の実力を実感した試合だった。藤枝は明日の試合結果によっては自動昇格枠の2位以内を確保する可能性もありそう。
 相模原は、慎重に行き過ぎたか。特に彼ららしくないロングボールでの放り込みも散見されただけに、ビハインドを背負った時にいかに切り抜けられるかという点でもうひと踏ん張りして欲しかった。この敗戦で救われたのは、最少得点差の0-1だということ。そして1次ラウンドに比べて、最悪3位であれば入替戦に回るor自動昇格枠に引っかかるということ。重要なのは明日のY.S.C.C.戦になりそうだ。この日の曇天を同じく、雨は降らなかったものの、少しスッキリしない初戦になってしまったのではないだろうか。

五色の激闘回顧録<3>-地域決勝 北海道vs相模原-

2011年11月26日 | 脚で語る地域リーグ
 前日の風雨が嘘のように過ぎ去って晴れ渡った3日目のアスパ五色。前日に奈良クラブは0-1で相模原に惜敗。これで唯一無傷で連勝となったのは相模原。それを1敗で福島Uと奈良が、そして北海道が連敗という流れになった。この3日目の2試合で順位が確定する。第1試合の北海道と相模原の対戦は、前半こそ相模原が1点に止まったが、後半3点を加点して4-0で勝利。Bグループ唯一の3連勝で決勝ラウンド進出を決めた。
 ワイルドカード(2位の上位1チーム)での決勝ラウンドに一抹の望みを懸けた第2試合は、2-0で奈良クラブが福島Uに勝利。結果的にワイルドカードには届かなかったが、グループ2位で1次ラウンド全日程を終了した。

 

 前日の奈良クラブ戦に耐え抜いた相模原は、この試合でも先発メンバーは村野に代えて富井が中盤に名を連ねたのみ。試合が始まると、連戦の疲れからか体は重いように感じたが、昨年のことを考えると、この試合を絶対に落とすわけにはいかない。サッカーは90分間最後まで何が起こるか分からないことを身を持って体験したチームでもある相模原は、前半から北海道を相手にしっかり攻勢に出てゴールを狙い続けた。
 対する北海道も前日とは少しメンバーは入れ替わったものの、最後の最後まで諦めずに1勝を追いかけたい。前日の雨中の福島U戦後半の猛攻が発揮できれば、というところだったが、両チームどちらに何が起こるか分からない劣悪なピッチコンディションがこの日はすっかり回復しており、その中で勝負しなければいけなくなった。

 11分に先制したのは相模原だった。坂井が相手陣内で森谷からボールを受けると、北海道ゴールに向かって豪快なシュート。これがバーに当たりながらもゴールに沈んだ。疲れは見えていても踏ん張りどころだという意識は相模原にある。地力で勝る相模原が早い時間帯から先手を取った。
 北海道も支配率では圧倒されていたが、前半の終盤に伊古田が左サイドからキレの良いドリブルで突破を試み、CKを得るなどチャンスを作る。相模原の追加点を許さず後半へ折り返した。

 
 2日目から相模原のゴールマウスを守った山本。
 かつて磐田や愛媛で活躍したGKだ。

 
 キャプテンマークを巻いてチームを引っ張る北海道・DF倉谷。
 ほとんどの選手が地元・北海道出身だ。

 後半も相変わらず相模原がボールを回す。もちろん1点差で安心していることはない。常に追加点を狙っていた。FWの齋藤が左からのなんでもないクロスにイージーなシュートミスを見せるなど、かなり連戦の疲労が見えていたが、それでも最低限の仕事をこなすのが今大会屈指のエース。60分には古賀が相手からボールを奪って突破し、最後のパスをその齋藤が難なく決めて相模原が2点目を奪った。
 北海道は、75分に3年連続で北海道リーグのMVPと得点王に輝いたFW岡戸を投入して1点を狙いに行くが、それでも劣勢を盛り返すことはできない。

 その直後の77分には佐野のパスを古賀がフリーで詰めて勝負を決める3点目。そして89分には途中出場の吉岡が決めて4-0とした。3連勝と無傷でグループリーグ突破の相模原。今季は堅実に決勝ラウンド進出となった。

 
 北海道・伊古田がドリブルで突破を試みる。
 しかし、残念ながらチームは3連敗。

 
 攻守に効いていた相模原・DF奥山。
 流経大出身で横浜FMユース上がりの選手。

 3日間を通して際立った相模原の勝負強さ。2日目の奈良クラブ戦の劣勢を最後まで乗り切ったところがハイライトとなろうが、決めるところでしっかり決める得点力はやはり今大会でも頭一つ抜けている気がする。特に佐野が加わった中盤を攻略するのは並大抵ではない。よほどパスワークに自信のあるチームで、自分からアクションサッカーを実践するチームでないと、いざ受け身で相手の出方を窺うとズルズル引き込まれていく印象だ。とにかく前半をスコアレスで折り返すことを最低限のタスクにしないといけないだろう。このBグループでも相模原はその全ての試合で前半の5分から20分までの間に先制点を奪っている。先手必勝を地で行くチームであり、またその個々の能力も高い。

 
 彼らをいなせるチームは決勝ラウンドで現れるのか。
 
 非常に充実した3日間。結果的に彼らにあと一歩と迫れた奈良クラブの戦い方に全国でも戦えるという確固たる自信と勝算が得られたのは個人的に嬉しかった。ただ、同時に見えたあと一歩のその差。決めるべきところで強かにゴールを奪うというサッカーを相模原は泥臭く実践していたことも事実。決勝ラウンドでも彼らを中心に戦いが繰り広げられるのはほぼ間違いないだろう。来季この大会で再び彼らと戦う機会が与えられても、それはそれで格好のリベンジの場になるだろうが、ひとまずは決勝ラウンドでの健闘を祈りたい。
 決勝ラウンドは、S.C.相模原、Shizuoka.藤枝MYFC、HOYO AC ELAN 大分、Y.S.C.C.4チームによって12月2日から3日間、長居第2陸上競技場で行われる。JFL自動昇格は2チームだ。

五色の激闘回顧録<2>-地域決勝 北海道vs福島U-

2011年11月25日 | 脚で語る地域リーグ
 アスパ五色での1次ラウンド2日目。1日目ではノルブリッツ北海道(以下=北海道)に1-0で勝利した奈良クラブ、そして福島ユナイテッド(以下=福島U)に勝利したS.C.相模原(以下=相模原)が勝点3ポイントで並ぶ展開。この2日目に直接対決となる。そして第1試合では1日目で勝てなかった北海道と福島Uが火花を散らした。

 

 この2日目は嵐のような天候になった。前日の夜から降り続ける雨と横殴りの風。前日からかなり怪しい天候だったが、案の定最悪の天候となった。1試合目は特に雨風が強く、酷なコンディション。アスパ五色のピッチはあちこちで水しぶきが上がる。特に両サイドのサイドライン際は大変な状況だった。
 北海道は、前日の奈良クラブ戦からDF北、MF赤坂が外れ、DF黒谷、MF相木が先発。北は前日の試合での負傷かベンチ入りもしていなかった。対する福島UはなんとGKに内藤を諦め、フィールドプレーヤーであるDF時崎悠が先発に名を連ねる。よほど前日のプレーがきつかったと見える。しかしながらベンチにはもう1人のGK根本が入っており、GKは2人とも連れてきていたようだ。DFはかなりそのメンバーを代えてきた。青柳と柳原を下げ、キム・キスと吉渓を先発に起用する。このピッチの状況をどちらが上手く攻略できるかという点で、選手個々の経験からしても各カテゴリーでの経験豊富な福島Uが実力的にも有利かと予想できた。

 
 
 福島からも多くのサポーターが駆けつけた。
 逆境を乗り越えて戦った今季、様々な想いが交錯しているはず。

 試合はキックオフからわずか58秒で福島Uが先制する。相手DFのクリアボールを拾った福島U・キム・キスが放り込んだところをヘッドで決めた。大会2点目の小林。侮れないストライカーの仕事ぶりで試合は幕を開けたが、この先制点を機に一気に福島Uが風上に立った前半で勝負を決める。10分にはキム・コンチョンのCKからキム・グァンミンが頭で合わせて2点目を奪う。

 
 
 キックオフからあっという間に小林が決めて福島U先制。
 この水しぶきからも分かる通りピッチコンディションは最悪。

 
 
 キム・グァンミンが頭で決めて追加点を福島Uが奪う。

 水たまりに苦しむ両者だったが、ロングボールとゴール前でのハイボールを活かすという点で福島Uに分があった。18分には右サイド、キム・キスからのボールを受けたキム・コンチョンがしっかりコントロールしてシュートを決める。福島Uの得点力が爆発する。
 対する北海道だったが、風下に立ったこともあり、大苦戦。福島UのGKが本職でないにも関わらず、相手エリア内までなかなか攻め込めない。前半は2本しかシュートが打てなかった。それどころか、45分には福島U・清水にエリア手前から豪快なミドルシュートを叩き込まれて0-4で前半を折り返すこととなった。

 
 前半は苦戦を強いられた北海道。
 ほとんど良い形で前線にボールが入らなかった。

 後半に入って風上、風下が両者交代したが、雨こそ小降りになってきたものの、依然その風は勢いを失わない。しかし、なんとか北海道は伊古田のシュートで1点を返す。58分に相手のボールを奪ってからの展開。福島Uのミスをいかに拾っていくかが勝負だった。ここから試合は膠着状態に。さすがに前半飛ばした福島Uが守り、北海道が盛り返すという展開になった。北海道は後半開始から入ったMF浅井が気を吐くプレーでチームを引っ張った。
 しかし、地力で勝る福島Uが79分に清水のこの日2点目となるシュートでダメ押しの5点目を決める。北海道は85分に三浦が決めてもう一矢報いるが既に遅し。終了間際に2度目の警告で吉澤を失ってしまい福島Uの前に力尽きた。

 
 DF三瓶を中心に守備陣は奮闘するも福島Uを止められない。

 
 2連敗でいち早く1次ラウンド敗退が決まってしまった北海道。
 前半で4失点は重すぎた…

 かなり天候に難はあったが、それでも両者の地力の差が出た試合だった。それ以上に奈良クラブが前日1-0でようやく振り切った相手に、前半だけで4得点を固め撃つ福島Uの強さ。それをこれでもかと感じさせられた試合だった。相模原戦を前にして、その勝敗を問わず、間違いなく3戦目も非常に厳しい戦いを強いられる…その予感が雨と風で冷える体を引き締めてくれたのは間違いない。選手たちはどうだっただろう。刺激に直結したのだろうか。この激しい雨中での福島Uのゴールラッシュは間違いなく前日の相模原戦の敗戦をメンタル面でリセットしたはず。もはや試合終了の時点でGK時崎というウィークポイントはすっかり霞んでおり、その得点力が強烈なインパクトに。しかし、この後の第2試合で想像以上の好ゲームを奈良クラブが繰り広げてくれるとは彼らも思っていなかっただろう。0-1と喫した失点はPKだけ。そして後半に見せたシュート数11本-1本という猛攻撃。惜しくもポストに3度ほど嫌われる場面はあったが、互角以上の試合展開はできた。それは10月の0-6で惨敗したテストマッチの情景を払拭してくれるには十分なものであり、福島Uが1戦目に見せた得点力のインパクトを凌駕するものだったと信じてやまない。あの後半45分の奈良クラブの相模原戦の姿勢は確実に翌日の福島U戦にそのまま持ち越されたといえる。

 既に悪天候のことなど忘れてしまう悲喜こもごもな2日目であった。本当にそれぞれのチームがこれ以上ない熱さを発揮した2日目であった。

五色の激闘回顧録<1>-地域決勝 福島Uvs相模原-

2011年11月24日 | 脚で語る地域リーグ
 18日から20日まで行われた第35回全国地域リーグ決勝大会1次ラウンド。淡路島のアスパ五色では奈良クラブを含めた福島ユナイテッド、S.C.相模原、ノルブリッツ北海道の4チームが激突。既に奈良クラブの戦いぶりに関してはさらりと振り返ったところだが、何回かに分けて、その他のチームの戦いぶりを振り返りたい。

 1日目のノルブリッツ北海道-奈良クラブに続いて行われた第2試合では、東北王者の福島ユナイテッドFC(以下=福島U)とJFA優遇枠でJリーグ準加盟の強豪・S.C.相模原がマッチアップ。試合は2-1で相模原が先行逃げ切りに成功した。

 

 昨季、ひたちなかで見た1次ラウンドでも相模原に関しては3試合全て観戦した。10月の奈良クラブとのテストマッチ、そして全社準決勝の愛媛FCしまなみ戦と今季に関しては彼らの強さがこれでもかと伝わってくる試合ばかり見ているわけだ。対して福島Uは昨季の全社1回戦で三洋洲本に6-0と圧勝した試合しか直接には見ていない。個人的には今季の情報があまりなく、内藤と根本という2人のGKが負傷していることぐらいしか聞いていなかった。基本的には昨季見た福島Uがベースなのだろうと思っていた。今季は震災の影響もあり、東北リーグは5月から開幕したものの、福島県内で活動していたのはこの福島Uぐらいで、また県内での試合開催ができないシーズンを過ごしてこの場に来ているとのこと。実力的にはこの大会に出場して当然のチームだが、正直なところ今季の東北リーグ王者とはいえ、盤石の状況でリーグが行われていない分、その実力は計り難いというのが正直なところ。そういう意味ではこの初戦・相模原戦は絶好の判断材料になっていた。怖いのは彼らの逆境に対する強さがこの大会で発揮されればという点で、北海道も相模原も最も警戒していたであろう。
 相模原は、この大会に合わせて左のスペシャリスト・古賀が戦列復帰。工藤とCBを組むのは八田ではなく奥山。そして水野ではなく右MFにはルーキーの村野が入っていた。GKは山本ではなく、バックアップ要員の佐藤が先発だった。
 対する福島Uも、昨季の全社で巧いなと思わせたキム・コンチョンが中盤に司令塔として健在。そして前線で小林と久野という2人の強力なJ経験者が組む布陣。GKは内藤がケガを押して出場。しかし、その右足にはがっちりとサポーターが装備され痛々しさが伝わってきた。

 
 何とか初戦に出場した福島U・GK内藤。
 しかし、試合中はゴールキックも蹴れず…

 この両者の対戦は、風と小雨がぱらつく中で行われたが、前半開始早々の8分に金澤のロングキックが相手GKの目測ミスも相まって一気にゴールへ。これがポストに跳ね返ったところをエース・齋藤が押し込んだ。幸先よく相模原が先制する。しかし、個人的にはこの後も福島Uが黙っていないとは思っていた。
 ところが、追加点は相模原。22分にCKから森谷を経由してボールを受けた奥山がヘッドで追加点を決める。一気に試合を先行できた相模原。同時に足元でのミスが少なく、緩急をつけた攻撃に隙のなさを感じる。

 
 福島U戦の先制点を奪ったのはやはりマーティンこと齋藤。
 ここぞという時の決定力は抜群だ。

 
 右の快足・金澤の存在も相模原のストロングポイント。
 無尽蔵のスタミナで積極的に攻撃参加する。

 福島Uも黙ってはいない。中盤で相模原のミスを着実に自分たちのボールにする機会が増えてきた。問題はいかにフィニッシュまで持ち込むかというところだったが、37分にキム・グァンミンが相手ボールをインターセプトして小林に送る。小林はエリア右45どの角度から見事なシュートを決めてゴールを射抜いた。相模原・GK佐藤がわずかにボールに触ったが、そのシュートの勢いは止められなかった。福島Uが1点差に詰め寄る。

 
 強烈なシュートで1点をもぎ取った福島U・小林。
 このフィニッシャーの存在は恐ろしいなと感じさせた。

 
 GKは1戦目、佐藤が先発した相模原。
 しかし、並のチームでは彼までたどり着くのが大変。

 福島Uが1点を返したとはいえ、やはり前半45分だけでも相模原の基礎体力、技術の高さを感じさせるには十分だった。昨季の地域決勝1次ラウンドであと一歩のところでの敗退、そして今季の東京23FCとの全社決勝敗戦。結果を出さねばというところでことごとく涙を呑んできたチームでもある相模原。これ以上同じような経験をせんとばかりに意気込み溢れる出だしだった。

 
 齋藤とコンビを組む森谷も相変わらず怖い存在。

 
 坂井が昨季以上に前線に顔を出すようになった印象。
 佐野の加入がもたらした相乗効果か。

 後半に入っても、相模原の慎重な試合運びは健在。追加点を無理に狙わず、しっかりと中盤からブロックをかけようとする。福島Uもさすがに後半巻き返し。1点差のビハインドを甘んじるチームではない。62分にMF片原がミドルシュートで惜しい場面を作るなど、その攻防は見逃せない展開だった。
 しかし、後半の福島Uの反撃を押さえ切った相模原が前半のスコアのまま逃げ切り、2-1で勝利。順調な船出の勝点3ポイント獲得となった。

 
 守備面で立ちはだかる工藤という壁。
 長身を活かして攻撃でも絡むことが多い。

 
 今季の相模原は佐野の加入にとって安定感アップ。
 J2・北九州からのレンタル加入。まさに反則級。

 非常にレベルの高い試合で、北海道-奈良を見ていたはずのギャラリーも固唾を飲んだのは間違いない。やはりこのグループは相模原を中心に回っていくと感じさせてくれた初日となった。無論、10月のテストマッチで0-6と敗戦を喫した奈良クラブとしては、その残影を払拭する試合ぶりを見せなければならない。非常に腹を据えるには十分な試合だったと回顧できる。
 相模原に関しては、佐野の加入が本当に効いているなと実感した。昨季の点を取ってから余裕が垣間見える危うい試合運びが全く感じられず、佐野が中盤でボールを散らして守備面でも献身的、良いブレーキングを施している印象だ。さすがJリーグ準加盟、10月のテストマッチの際にも思ったが、全方位で隙を見せない仕上がりになっているなと実感した。
 対する福島Uもこの試合を見る限り、非常に侮れない技術の高いチームだった。特に10番を背負うキム・コンチョンはその冷静なプレーと視野の広さで改めて印象深い。また全体的に180cm台の選手たちばかりで、平均身長が明らかに最下位の奈良クラブとの体躯的差も目に付いた。問題は負傷を押してピッチに立つGKの不安定さだが、正直なところ、守備陣が体を張っており、相模原相手でも1点差の敗戦ということを考えれば、それほど福島Uにとってはマイナス要素でもないなと感じた。
 この1日目、第2試合を見る限りは改めて「死のグループ」といえる組み合わせに放り込まれたなと頭を掻くしかなかった。第1試合で勝点3ポイントを取っておいて本当に良かったと思う。

本命不在?を突破する

2011年10月20日 | 脚で語る地域リーグ
 第47回全国社会人サッカー選手権大会がその5日間の日程を終えた。3位決定戦ではShizuoka.藤枝MYFCが愛媛FCしまなみを2-1で振り切って勝利し、3位の座を射止め、関東勢同士の対戦となった決勝戦では東京都1部リーグの東京23FCが関東2部リーグでJリーグ準加盟のS.C.相模原を1-0で破って初優勝を果たした。都道府県リーグ勢の優勝は、96年の教育研究社(京都府1部)以来15年ぶり。Jリーグから数えて4部だった当時に比べると、現在はJ1から数えて6部。かつ5試合全てを無失点で乗り切るというまさに前代未聞の快挙となった。ちなみに無失点で優勝というと昨年の優勝チームであるカマタマーレ讃岐(現・JFL)が記憶に新しい。

 大会後に11月より開幕するJFL昇格への前哨戦、全国地域リーグ決勝大会の組み合わせ抽選が行われ、各グループの顔ぶれとそれぞれの会場が決定した。それぞれの組み合わせは以下の通り。
 【Aグループ】会場:福井・福井テクノポートスタジアム
 ・JAPANサッカーカレッジ(北信越/新潟)
 ・NPO横浜スポーツ&カルチャークラブ(関東/神奈川)
 ・バンディオンセ加古川(関西2/兵庫)
 ・Shizuoka.藤枝MYFC(東海/静岡)

 【Bグループ】会場:兵庫・淡路島アスパ五色
 ・クラブフィールズノルブリッツ北海道(北海道)
 ・奈良クラブ(関西/奈良)
 ・福島ユナイテッドFC(東北/福島)
 ・SC相模原(優遇措置/神奈川)

 【Cグループ】会場:高知・高知県立春野運動公園球技場
 ・デッツォーラ島根(中国/島根)
 ・HOYO AC ELAN OITA(九州/大分)
 ・黒潮フットボールクラブ(四国/高知)
 ・東京23フットボールクラブ(社会人大会/東京)

 日本サッカー協会/第35回全国地域リーグ決勝大会大会概要

 奈良クラブに話を絞れば、北海道リーグ王者、東北リーグ王者、そしてJリーグ準加盟を果たしているチームとの同居。なかなかタフなグループに入ったといえるだろう。どのチームが来ても申し分ないが、間違いなく「楽勝」とは形容できない。限りなく苦戦を強いられる組み合わせだ。しかし、先日の関東遠征で0-6と惨敗を喫した相模原をはじめ、ほとんど対戦実績のないチームばかり。相模原のテストマッチも3日目で臨んだことを考えれば、もう一度同条件下で真剣勝負を仕切り直したいところだ。間違いなく初戦から重要な戦いになる。チャンスは十分にある。相手に不足はない。挑戦者の意識を持って大会に挑まなければならないだろう。

 他のグループに目を向けると、全社枠のスライドによる地域補充枠で出場を掴んだ加古川が北信越リーグ王者・JSCと関東リーグ王者・Y.S.C.C.と全社3位で東海王者の藤枝MYFCと同居することになり、こちらも厳しい組み分けとなった。
 Cグループでは、しまなみの辞退によって出場を果たすことになった黒潮FCが全社優勝の東京23、九州王者のHOYO、中国王者の島根とどれほど戦えるか。その点では全社でビッグサプライズをもたらした東京23には一気に注目が集まるだろう。

 抽選が発表されると、いよいよという感じが漂ってくる地域決勝。「本命不在」と謳われるが、その中でいかに生き残れるか。「本命」である必要はない。何が起こるか未知の大会。この「本命不在」をいかに突破するかだ。