脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

子供たちにビーチサッカーの息吹を

2008年09月23日 | 脚で語るビーチサッカー
 秋晴れに恵まれたこの日、兵庫県は潮芦屋ビーチで関西で初の試みとなる「関西ビーチサッカー大会U-15in芦屋」が開催された。

 

 主催は、以前当ブログでもご紹介したビーチプロジェクト。ビーチサッカーの普及と共に地球環境の保全や子供たちの育成、そしてサッカーの普及に努める団体だ。今回はプロデューサーの浜田裕一氏のお誘いを頂き、大会を観戦しに訪れた。

 後援に芦屋市の全面バックアップと教育委員会、市体育協会、そして兵庫県サッカー協会がサポートし、スタッフとしてこの潮芦屋ビーチを拠点にビーチプロジェクトの一環として活動するDORSAL M.FCの選手たちがレフェリーやルール解説、エキシビジョンマッチなどを務めて大会を盛り上げた。

 
 芦屋を拠点に活動するDORSAL M.FC 中心の佐藤選手は日本代表

 中学生の部と小学生の部に分かれて合計12チームで行われた大会は、初めてビーチサッカーを経験する子供たちが大半とあって大盛況。試合を重ねるごとに上達していく子供たちは夕暮れ前までの熱戦に身を注いだ。

 
 何しろ砂の上ではいつものようにうまくはいかない

 
 自陣からのFKは相手選手がゴールマウスの前に立つことができない

 
 チャンスと思いきや、砂に足を取られる・・・

 
 小学生の部もヒートアップ 技巧派が試合を引っ張る

 
 シュートも力任せではダメ 適度なコントロールが要求される

 
 ビーチサッカーの醍醐味 息を合わせてキックオフシュート

 
 初めてのビーチサッカー真剣勝負に子供たちも大はしゃぎ

 
 ドリブルは自分の思った所にボールを運べない

 
 エキシビジョンマッチではDORSAL M.FCが華麗な技で魅せてくれた

 
 2006年のビーチサッカーW杯に出場した日本代表佐藤義人選手

 
 戦いを重ねるたびに成長していく中学生たち

 
 中でも快進撃を見せたのはリベルタ明石FCU-15

 
 予選リーグ宝塚一中同士の対決はBチームが3-2と制した

 
 空き時間にこうなるのはまだまだ元気な証拠(リベルタ明石FCU-15)

 
 小学生の部決勝 末広FC VS HYOGO CHANCEN SV

 
 中学生の部決勝は芦屋SC.JrY VS リベルタ明石FCU-15

 
 予選リーグは苦しんだが決勝トーナメントを駆け上がった末広FC
 見事小学生の部を制す

 
 見事無敗で中学生の部を制覇したリベルタ明石FCU-15

 
 たった5人で今大会に挑んだ芦屋SC.JrYも負けたのは決勝だけ

 第1回の大会は見事大盛況のうちに終了。初めてビーチサッカーを楽しむ子供たちの喜びが満ち溢れた時間だった。
 今後は、DORSAL M.FCをコーチ陣とした定期的なスクールは引き続き行われる。そして将来的にはビーチサッカーの地域リーグなる構想も練られているようだ。今回の大会に触れることで、これまで知らなかったビーチサッカーの魅力は確かに伝わってきた。この大会が成功に終わったことで、ますますビーチプロジェクトの取り組みがビーチサッカーの魅力と共に広がることを楽しみにしたい。少なくとも今日この場にいた子供たちにはその息吹は十分伝わったはず。おそらく一生忘れ得ぬ時間を過ごせたことだろう。

 
 真剣勝負の中で楽しさは確かに感じ取れたはずだ

 サッカーのトレーニングの一環として、または独立した一つのスポーツとして、日本でも積極的にビーチサッカーが確かに裾野を広げつつあると実感した1日だった。その魅力はサッカーと違う面でも奥深い。


 関西におけるビーチサッカーの取り組み、是非興味のある方はこちらのリンクまで
 
 B→EaChプロジェクトオフィシャルサイト
 この活動をサポートするブルータグ株式会社

 

関西でビーチサッカーが根付く日

2008年07月09日 | 脚で語るビーチサッカー
 関西でビーチサッカーの普及に努める団体があることを皆さんご存じだろうか。

 ビーチサッカーはブラジルにその源流を汲む5人制の“砂浜サッカー”。細部に11人制サッカーとの違いは多少あるものの、基本的には変わらない。フットサル同様、誰でも気軽にできるスポーツで、砂浜でのプレーは足腰の強化にも非常に効果的だ。現在では毎年世界各地でFIFA主催によるワールドカップも開かれている。第1回のリオデジャネイロ大会(2005年)には、日本代表を指揮したラモス瑠偉氏をはじめ、世界でもお馴染みのスーパースターであるロマーリオ(ブラジル)、カントナ(フランス)らも各国代表の一員としてプレーした。

 昨晩、ひょんなことからこの活動に取り組むB→Eachプロジェクト運営事務局プロデューサー浜田裕一氏((株)コアエンタ代表取締役)とお会いさせて頂く機会があり、長い時間いろいろな話に花が咲いた。
 B→Eachプロジェクトとは、ビーチサッカーの普及活動とそれが日本サッカーの底辺からその発展に尽力していくことはもちろんのこと、地球環境保全に対する啓蒙活動と子供たちの心身育成を活動目的に立ち上げられた組織団体で、この4月から4歳~15歳までの子供たちを対象とした体験スクールを芦屋市は潮芦屋ビーチにて定期的に行っている。体験スクールの前には皆で砂浜のクリーン活動を行うのがこのスクールの特色。これまで3回のスクールはいずれも成功しており、6月に開催された第3回目には約40名ほどの子供たちが集まった。
 先日の7月6日には、第7回白浜ビーチサッカー大会において、このプロジェクトのコーチを務めるDORSAL M.FCが見事優勝を飾っている。

 今回、浜田氏とのお話の焦点となったのが、“関西地方でビーチサッカーが普及できるか”ということ。ご存じの様にビーチサッカーは前述のようにビーチの砂浜で行われるスポーツであり、基本的には海辺でのプレーがまず第一印象として挙げられるだろう。そう、日本でも代表チーム構成を見れば一目瞭然で、その競技メッカとなっているのが沖縄であることは言うまでもない。
 関西地方でも海辺でビーチサッカーのできる場所は限られてくるかもしれない。ただ、必ずしも“海辺”でないとすれば、その普及に込められている可能性はサッカー同様で限りはないことになる。奈良県などの海がない府県でも、砂浜を敷いてピッチを作ることができる。天然芝や人工芝のピッチを考えると遙かにコストと場所を取らない。“ビーチスポーツ”というものの世界的な統一定義が“海辺で行わなければいけない”ということであれば公式大会などは開催が難しいだろうが、あくまで普及の一環として考えればハードルは低いはずだ。そこで一つ話題に上がったのは近畿の水甕である琵琶湖の存在。琵琶湖沿岸でビーチサッカーの拠点になり得る場所はあるかもしれない。特に比良や近江舞子の地区などは、スペースの問題さえクリアできれば面白い箇所だと思うし、近くにはびわこ成蹊スポーツ大学もあり、連携していくことは出来るだろうと思う。

 フットサルがFリーグを発足させたように、ビーチサッカーが日本でも全国展開でリーグを発足できるようになれば“サッカー”自体の裾野と育成における架け橋にもなるだろう。世界各国からストリートサッカーで逞しい、そして美しい技術を有したスーパープレイヤーが誕生するのならば、近い将来ビーチサッカーで鍛えられた選手が11人制サッカーに“逆輸入”されることも夢ではないと思う。現段階では受け皿、つまりこういった潮芦屋ビーチで行われているスクールや白浜の大会がもっと到る箇所で開催され、絶対的な競技人口が増えなければ話にならない段階なのだが。ただ、既存のサッカースクールやフットサルスクールなどの「体験交換留学」という形で、少しでも多くの子供たちにビーチサッカーを味わってもらうことはできるはずだ。

 まだこのB→Eachプロジェクトの活動は始まったばかり。その存在が世間に認知されていないマイナースポーツだ。まだまだ障壁もあるだろう。しかし、現在日本サッカー協会と(有)釜本企画などが積極的に関西をはじめ、協力体制を築いている。関西だけでも多くの協賛法人会員が存在しているのだ。沖縄では10月に全国ビーチサッカー大会もJFA主催で行われており、日本代表も3回連続でワールドカップに出場している。もしかしたら、こういった地域ごとの取り組みがより一層活発化してくれば、全国リーグ発足の動きも夢ではないかもしれない。寒暖の差が激しい本州全土ではなかなか難しく、未だ南の地方や都道府県での動きしかクローズアップされていないが、中之島でビーチバレーも行われた。白浜ビーチサッカー協会もあるぐらいだ。関西にもビーチサッカーが根付く土壌は確実に見つかるはずだ。

 今後、浜田氏の活動を通して、関西でビーチサッカーがどういった盛り上がりを見せていけるか。可能な限りで筆者も尽力できれば幸いだ。こういった方の陰ながらの努力が、選手にも競技の機会を与え、子供たちにもその存在を知ってもらう機会を生み出す。
 浜田氏と出会った夜、これまで頭の片隅にしか無かったビーチサッカーが初めて脳裏を独占した。

 B→Eachプロジェクトオフィシャルブログ
 http://beachsoccer.cocolog-nifty.com/blog/