脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

天皇杯への切符を獲得

2010年08月29日 | 脚で語る奈良クラブ
 天皇杯出場を決める各都道府県の戦いもいよいよクライマックス。2年連続2度目の天皇杯出場を目指す奈良クラブはディアブロッサ高田と奈良県選手権決勝を戦い、3-0と勝利。来月3日から開幕する天皇杯への切符を手に入れた。

 

 NHKで試合の生中継がされることもあって、いつになく緊迫した決戦の雰囲気が漂う橿原公苑陸上競技場。いつになく強烈な日射しと暑さが試合の過酷さを予想させた。リーグが7月中旬で中断して以降、全社関西敗退、国体予選敗退とこの夏は結果がついてこない厳しい夏を強いられている奈良クラブ。しかしながら昨年、福井でJ1新潟と対戦したあの感動を考えると、確かにチームを鼓舞させる目標としてこの大会はあった。負傷の橋垣戸光はベンチ入りするに止まったが、それ以外はほぼベストメンバーを組めた奈良クラブ。今季リーグで2人で10得点を叩き出している牧、檜山のコンビでゴールを狙う。

 試合が始まると、序盤は前がかりにきた高田のペース。再三ゴール前に迫られるが、GK松石の好セーブと三本菅、眞野のCBコンビが体を張って相手の攻撃を阻み続ける。前半途中から中盤でボールを回せるようになり、徐々に相手ゴールへと迫るようになっていった。
 早い時間帯に得点が奪えず、苦しい前半となったが、奈良クラブの先制点は34分。相手のボールキープのミスから大塚がボールを奪い、DFをかわして左足で決める。左右で畑中と機を見たポジションチェンジを繰り返して高い位置でプレスを行っていたのが吉と出た。

 
 
 
 大塚の久々の得点は大事なこの試合での先制点に。
 第一子誕生を祝ってゆりかごダンスのパフォーマンス。

 1-0で折り返した後半は、早速49分に檜山が追加点。右サイドの牧のスルーパスに呼応し、相手DFとの競り合いを制して倒れこみながらもゴールへねじ込んだ。この後も追加点を狙いたい奈良クラブだったが、攻撃のキーマン・畑中がこの日2枚目の警告で退場してしまうアクシデントがチームを襲う。残り40分近くを10人で戦うことを強いられた奈良クラブにとってはこの2点目は非常に心強かった。

 
 追加点は檜山が牧のアシストから決める。
 2人のチーム得点王が揃って大仕事。

 
 中盤で守備を軸に奮闘したMF李。
 攻撃でも効果的な飛び出しを見せた。

 
 もはやチームに欠かせない存在となっているFW牧。
 檜山、嶋の得点をアシスト。

 2点のリードを失わぬまま、スピードが武器である嶋を投入し、畑中の退場で失ったサイドアタックを取り戻す奈良クラブ。圧倒的なスピードで運動量の落ちた相手DFを翻弄し、早速2度の決定的なチャンスを作り出すなどこれが効果覿面。83分には牧とのコンビネーションで3点目を生み出した。

 
 後半途中に投入された嶋がスピードで相手を圧倒。
 83分には3点目を決めて勝負を決める。

 3-0という勝利で2年連続天皇杯出場を果たした奈良クラブ。この日の試合では守備陣が完封を果たすなど、快勝劇に貢献。主将・梶村のラインコントロール、中村はそのポジショニングの良さで相手ボールを効果的に奪い攻撃に繋ぎ、眞野は味方のミスを帳消しにするナイスカバーリングを連発。三本菅はゴールライン際での駆け引きにその経験を発揮させた。これで前線が結果を出せばうまく試合は回る。まずは相手に先制点を許す展開が多いチームだけに、この戦いぶりが再開後のリーグでも発揮されればと思える内容だった。

 
 2年連続で県内にも大きなアピールとなる天皇杯出場。
 NHKで試合が生中継されたのは大きい。

 天皇杯1回戦の相手はJFLの強豪・佐川印刷SC。当ブログでもその戦いぶりをレポすることが多いだけにその強さは既知の事実。非常に厳しい戦いになるだろう。しかし、これは大きな経験になるはずだ。ほんのわずかでも勝利へのチャンスがあればそこを狙っていきたい。とにかく県内にアピールするためにもこの切符を掴んだことは大事なことだ。
 今年の天皇杯は過酷を極める。この決勝を戦った後すぐに金曜日に行われる1回戦が迫っている。なんとJリーグクラブと相まみえることになる2回戦はそこから中1日、5日の日曜日だ。金曜に試合を催行すること自体が社会人チームには酷なのだが、準備期間を含めてコンディション調整は至難だろう。何としてでも2回戦へ進んでJ1京都との対戦を実現させたい。そうなればPR期間は限られるが、奈良から近場の西京極で効果的なクラブアピールができるのだが。

横浜FM、寄り切り勝利 -京都VS横浜FM-

2010年08月21日 | 脚で語るJリーグ
 J1第20節1日目、西京極では18位・京都が8位・横浜と対戦。試合はアディショナルタイムに横浜FMの河合が決勝点を決めて2-1で横浜FMが辛勝。西京極では今季3番目に多い13,963人の観衆を集めたものの、京都は4節以来16試合未勝利となってしまった。

 

 勝てない京都となかなか連勝を積み重ねられない横浜FM。横浜FMは仙台、清水に連勝しておきながら前節・山形に0-1と敗戦。今季から中村俊が加わったとはいえ、上位に定着できていない状態だ。ホームでこの横浜FMを迎え撃つ京都も完全に白星に見放されている。がむしゃらに勝利を狙いにいきたい思いはどちらも同じ。

 
 リーグでは5カ月近く勝てていない京都。
 それにも関わらず多くのサポーターがこの日も声援を送る。

 
 横浜からも多くのサポーターが来場。
 気温を更に上昇させるかという熱気で盛り上げる。

 序盤こそ京都に危ない場面を作られたが、前半からペースを握ったのは横浜FM。中盤で中村俊を起点にじわじわとポゼッションを掌握。坂田の俊足と渡邉千のポストプレーからチャンスを生み出す。対する京都はFWキムが前線で孤立してしまう場面が多く、中澤を中心とする横浜FMの守備網を切り崩せずエリア内まで侵入できない。ドゥトラやディエゴが遠い位置からシュートを狙うのみで、開始3分でゴールを強襲したように、渡邉大によるクロスから時折ゴール前を脅かすにとどまる。

 
 前半序盤から横浜FMゴールを脅かした京都MF渡邉大。
 弟・千真との直接対決で負けるわけにはいかない。

 
 攻守に献身的な動きが目立った横浜FM・兵藤。
 国見時代からのチームメイトの渡邉千と息はピッタリ。

 
 ドゥトラが包囲される。
 31分には惜しいチャンスを逃した。

 先制点は横浜FMだった。21分、中村俊が右サイドから一旦ボールをボランチの小椋に預けると、そのまま右足で再び右サイドへスルーパス。そこに上がってきたのは右MFの中村俊ではなく何とボランチを務めている松田。京都DF増嶋と中村太のマークをすり抜けてゴールライン際まで駆け上がった松田がそのまま折り返すと、坂田が走り込んでいたが結局は相手のクリアミスを誘いオウンゴールで先制点を奪った。横浜FMサポーターが時間差で歓声を上げるほどの唖然とした一連のプレー。ほとんど松田の得点ともいえる見事な攻め上がりは前半10分頃から何度か見せていたもの。中村俊をケアしがちな相手守備陣の隙を突いた松田のクレバーなプレーだった。

 
 堅実なポストプレーに得点力も備える渡邉千。
 陰ながらに周囲を生かすプレーに徹した。

 
 京都は中山がボールを散らす。
 ミスも少なく、潰れ役としても貢献。

 
 W杯の活躍もあって多くの声援を受けていた中澤。
 得意のヘッドで観衆を沸かす場面も。

 
 驚きの攻撃参加。
 ベテランとは言わせないと言わんばかりの松田のプレー。

 ここまで横浜FMはほとんどシュートが打てていなかったが、この先制点を機にパスが一層回るようになる。渡邉千が前線に張り付き、坂田が少し下がり目でボールを受けようとする。そこに兵藤が絡んでいく場面が多く見られたが、24分の渡邉千のわずかにゴールを逸した場面はその連携プレーが見事に現れた場面だった。
 京都も1点を必死に追いかける。31分にはディエゴのFKからドゥトラがフリーでヘッドを合わせるもわずかにゴールならず。前半は0-1と横浜FMのリードで折り返すこととなる。

 
 中村俊のプレーに柳沢がマーク。
 中村俊は決定機には絡めなかったが、堅実なプレー。

 後半に入って、横浜FMが51分、兵藤が絶好の追加点の機会を逃してしまうと、後半の頭から柳沢を投入した京都が持ち直す。前線でボールを呼び込む柳沢の動きと彼が潰れ役になることで前半よりも横浜FM守備陣をゴール前に張り付かせる形に。遂に64分には中村太の同点ゴールを生み出した。右サイドで張っていたドゥトラがボールを受けるとそのままドリブルで兵藤を抜き去り、柳沢へパス。柳沢はこれをスルーしてディエゴがポストでワンタッチ。ここに中山が走り込んで潰れながらも左サイドの中村太へパスを送った。完全にフリーの中村太はコントロールして左足を振り抜く。この日一番の鮮やかな京都の崩しとそこから生まれた西京極での6試合ぶりの得点に観客は湧いた。

 
 渾身の同点弾。
 中村太をディエゴが肩車でアピール。

 その後も京都は良い形でボールを奪って中村太の左サイドを起点に攻撃を重ねていく。72分にも中村太がフリーで飛び出しかろうじて中澤の必死のクリアに遭う惜しい場面を演出。73分には渡邉大の折り返しを柳沢が決定的なシュート逸。重ねる効果的な攻撃に勝利への追加点が期待された。

 

 ところがアディショナルタイムに差し掛かった頃、横浜FMは交代出場の河合からスルーパスを受けた山瀬がマイナスに折り返すと、そこにフリーで走り込んだのはその河合。ダイレクトでシュートを放つとこれが見事に決まって試合を決する得点となった。京都は残りわずかというところで数人の足が止まってしまい、勝点1ポイントすら落としてしまう展開となった。

 
 途中交代で決勝点を導いた山瀬。
 その場面での走力を見せた突破は脅威だった。

 
 アディショナルタイムと同時に生まれた決勝点。
 横浜FMの粘り勝ちとなった。

 横浜FMは後半劣勢を強いられながらも交代出場の2選手の活躍が試合を決めた。過去、岡田体制時にリーグ王者を経験した山瀬、河合の存在はサブであれども大きい。「ちゃぶる」とまではいかなかったが、この勝負強さを今後も発揮できれば横浜FMも上位に食い込んでくるのではないだろうか。
 一方の京都は、是が非でも勝っておきたかった試合だった。問題は同点に追い付いた後の逆転弾が遠かったこと。後半のリズムを前半から持ち得れば違った展開になっただろう。次節は首位・名古屋との対戦。負けはしたがこの上向きの内容を次節に少しでも生かしたいところだ。

奈良、大阪の壁を破れず

2010年08月20日 | 脚で語る奈良のサッカー
 20日より第65回国民体育大会におけるサッカー競技の近畿ブロック大会が京都府山城総合運動公園などで開幕。近畿2府4県による本大会出場枠「1」(成年男子の部)を懸けた戦いが始まった。成年男子の部は奈良県が1回戦で大阪府と対戦するも1-2で敗戦。滋賀県と戦う準決勝進出はならなかった。

 

 強烈な陽射しとグングン上がる気温、酷なコンディションの中で奈良クラブ単独でのチャレンジとなった奈良県代表成年チーム。第1試合の相手は大阪府代表成年チーム。関西リーグDiv1のアイン食品、阪南大クラブに加えて大阪府リーグの関大FC2008、新洋海運FCからの混合選抜チームだ。コンビネーションの面でもチーム単独で大会に臨んでいる奈良には有利であり、アイン食品、阪南大クラブ相手にはリーグでも勝ち星が無い。ここでリベンジといきたいところだが、加えて久々の本大会出場も目標にするならば大事な初戦でもあった。

 

 ベストメンバーとはいかないものの、負傷者が集中する守備ラインを除いてはいつもの陣容。1トップ気味に前線に張る牧にサイドから嶋、畑中、中央から大塚、そして深い位置から李と矢部のボランチコンビがボールを供給する。出足はまずまず、序盤から試合のペースを握ることには成功する。しかし相変わらず前線での決定力には欠け、シュートが枠を捉えきれない。徐々に大阪成年のペースに試合は傾いていき、決定機を作られていくようになった。

 

 前半こそスコアレスで折り返したものの、後半の立ち上がり2分にCKからDF岡本(アイン食品)に合わされて先制される。49分に畑中が牧の左サイドのクロスからボレーシュートを決めて同点に追い付くが、瞬く間に緩慢なマークミスから2点目を決められて1-2に。この後も果敢に交代選手を送り込み、ボールを回して攻め込む奈良成年だったが同点ゴールが遠く、そのままタイムアップ。奈良クラブでの国体挑戦は1試合で終わってしまった。

 

 勝ち切れない試合がリーグでも続く今季のハイライトのような試合になってしまった。やはり先手を打たれると非常に厳しい。今季はリーグその他の公式戦含めて逆転勝利がない。つまり、先制されると勝てないのだ。決められる時間帯にきっちり決められる決定力に乏しく、前がかりになった際にカウンターでチャンスを作られてしまうパターンが多い。またセットプレーでも取るより取られる方が多い傾向にある。来週末に大事な天皇杯県予選決勝を控えるチームとしては不安要素が残る試合となった。

 

 ただ、その中でもやはりMF畑中の存在は際立っていた。昨季の関西リーグDiv2新人王は得意のドリブルとクロスでチームに推進力をもたらす存在。唯一の得点もクロスに完璧にミートさせた豪快なボレーシュート。クロッサーとしてもスコアラーとしても武器を兼ね備えている彼は非常に心強く、来週末の爆発に大いに期待したい。

 この試合に勝利した大阪成年は明日、同じく球技場BにてBIWAKO S.C HIRAとルネス学園甲賀の混合選抜チームである滋賀県成年と対戦予定。第2試合で行われた和歌山成年と兵庫成年の試合は1-0で和歌山成年が勝利して明日の第2試合で佐川印刷単独で挑む京都府成年と対戦する。

夏場は負けない -G大阪VS鹿島-

2010年08月18日 | 脚で語るガンバ大阪
 非常にタイトな夏場のJリーグ。J1は19節に突入し、火曜日開催の4試合が行われた。上位への足掛かりを狙う6位・G大阪は3位に位置する鹿島と対戦。約1か月ぶりの万博での試合は満員の観客に埋め尽くされながら1-1でドローに終わる。これでG大阪はACLも含めて万博で12試合連続無敗となった。

 

 14日に仙台を3-1で下し、リーグ4連勝中のG大阪。清水との首位決戦を落として7試合ぶりの黒星となった鹿島は、前節FC東京に1-1の引き分けとややブレーキ気味。どちらも土曜の試合からわずか中2日の強行日程ながら、リーグ屈指の人気カードがこの時期にアサインされているとあっては観客も集まる。注目の一戦は双方上位を狙うためには譲れない試合となった。

 
 試合前には前節300試合出場を果たした二川へ花束が。
 本当に代表に縁が無いことが不思議でならない選手だ。

 G大阪は加地が警告累積による出場停止で、代役に抜擢されたのはなんと武井。王者・鹿島相手に何ともギャンブルな采配だったが、これが序盤に試合を動かすこととなった。6分、鹿島の左サイドのスローインから興梠が簡単に中へ折り返す。すると、ニアサイドへ走り込んできた大迫が角度のないところからヘッド。これが決まって鹿島が早い時間帯に先制する。リスタートの後に興梠に対する武井の寄せが甘かったが、スローインの際にゴール前で高木を置いていった大迫の動き出しも見事。昨季から全く勝てていない鹿島にG大阪は早速先制パンチをお見舞いされる。

 
 
 リスタートからゴールを狙った大迫の先制点。
 まだ今季は3得点目というのが意外なところ。

 いきなり1点を追う展開になったG大阪は、なかなかファーストシュートまで辿り着けなかった。遠藤がほとんど自由にボールを持てず、鹿島の最終ラインを突破できない。おそらくファーストシュートは17分の明神のミドルだっただろう。しかし、それを機に徐々にリズムを掴んでいくG大阪。19分には橋本のパスを受けた平井のシュートがわずかにゴール右へ外れる場面。21分には左サイドからの二川によるクロスに2試合ぶりに先発のイグノが飛び込むが惜しくも決まらない。22分には遠藤、26分には橋本がミドルを放つなど、例年攻撃力が売りのG大阪がいつ同点にしてもおかしくない展開が続く。

 
 前半の序盤から遠藤が抑え込まれる。
 鹿島のプレスは慎重だった。

 
 2試合ぶりに先発のイグノ。
 万博での移籍後初ゴールが期待されたが・・・

 
 二川はこの日もチャンスを再三演出。
 昨季のカシマでの大敗時には一矢報いた。

 鹿島は前半にフェリペと野沢が流動的にポジションチェンジ。サイドからはジウトンが走力を生かした突破を見せるなど、緊急起用の武井にとっては厳しい戦いを強いられる。特にジウトンのアーリークロスは脅威だった。しかし、追加点には遠くどこか連戦の疲弊感が王者からは色濃く漂う。

 
 絶好調の平井には岩政の壁。
 次のW杯ではこの2人が代表の主力として躍動してほしい。

 
 中田を中心に固い鹿島の守備。
 思うようにボールを運べないG大阪。

 
 新井場は古巣との対峙。
 内田のシャルケ移籍で主戦場は右サイドへ。

 後半に入って、鹿島は小笠原に代えて青木を投入。前半の交錯プレーで頭を打ったのか交代の目的は定かではないが、疲れの見える両チームの攻防は采配の妙も大きく影響しそうな1点を争う展開。53分にはイグノが鹿島ゴールを脅かすがあと一歩ゴールが遠い。56分には見事なボールタッチで鹿島のエリア内まで侵入するなどイグノのプレーは万博を沸かす。62分には橋本のラストパスに呼応してゴールを狙うが、わずかに右に外れる。
 57分には二川に代えて宇佐美を投入。これで左サイドが大きく活性化し、チャンスボールが前線に入る場面が多くなる。時に自分でドリブルのできる宇佐美の投入は鹿島にとっては脅威。65分に鹿島・MF中田が2枚目の警告で退場処分になり、数的優位にも立った追い風のG大阪。あとはイグノにゴールが生まれるかと期待された。

 
 鹿島は後半に青木を投入。
 イグノが強烈なプレスに遭う。

 
 宇佐美は後半から登場。
 パスにクロスにドリブルに活躍。

 
 右に回ることも予想された安田理。
 気になるのはクロスの精度。

 鹿島は中田退場の影響もあって、大迫を下げて大岩を投入、守備に徹する意思表示を見せる。対してG大阪は武井、イグノを諦めての佐々木、チョジェジンの投入。守勢に回る鹿島を相手に何としてでも同点に追いつきたいメッセージの現れだった。この采配が結果的に同点弾を導くことになる。
 敗戦濃厚かと思われた後半のアディショナルタイム突入直前、左サイドで粘った安田理からボールを受けた宇佐美が中央へフィード。これをチョジェジンが渾身のジャンプヘッドで落とすと、間髪入れずに橋本が豪快なボレーシュート。これが決まってG大阪が同点に追いつく。なんと橋本は5試合連続の得点。まさに大車輪の活躍で試合を1-1の引き分けに持ち込んだ。

 
 チョジェジンと佐々木の同時投入。
 イグノは次戦以降の活躍に期待。

 
 橋本が渾身の同点弾。
 その手前で宇佐美も咆哮する。

 印象に残ったのは橋本の攻撃的な姿勢。現在のG大阪の中盤で最も躍動しているのではないだろうか。チャンスに橋本が顔を出すというぐらい攻撃に積極的に絡んでいる。5試合連続得点も頷ける気がする。W杯や同僚の遠藤の活躍にもに刺激されたか、今季の橋本は本当に一味違うようだ。
 ただ、試合は1-1の引き分けに終わったが、同点直後のアディショナルタイム、興梠にあわやという場面はいただけなかった。得点を奪った後での浮き足立った状態で食らう失点のダメージは大きい。結果的にリーグ優勝に終わったが、この1試合勝っていれば・・・という意味では05年の万博での鹿島戦(△3-3)を彷彿とさせる。
 勝てなかったことよりも負けなかったことの方が価値のある試合だっただろう。昨年同様、夏場に恐ろしく強い。まるで今季開幕当時のリーグ5試合連続未勝利というのが嘘のようだ。ここで首位・名古屋に挑めるのはタイミングが良い。

 
 次戦はいよいよ首位・名古屋との一戦。
 夏場に負けない強さ、どこまで続くか。

2年連続県予選決勝へ

2010年08月15日 | 脚で語る奈良クラブ
 8月といえば、国内アマチュアカテゴリーでは全国各地で天皇杯を目指す戦いが繰り広げられる時期。この奈良でもいよいよ関西リーグを戦う社会人代表を含めた奈良県選手権がいよいよ大詰め。準決勝では奈良クラブが奈良産業大と対戦。3-0と快勝して決勝戦に駒を進めた。

 

 今年は高校勢と大学勢が初戦で対戦し、大学勢と社会人勢が対戦する構図となった奈良県予選。3度の勝ち抜きを強いられた昨年に比べると、1試合少なくなったとはいえ、昨年の決勝を戦った奈良産業大とここで顔を合わせることになった奈良クラブ。ここまでリーグ戦の阪南大クラブ戦、全社関西のFC大阪戦、先週の国体強化試合と結果の芳しくない状態が続く中での大一番。負傷者が多い中で不安要素は少なくなかった。特に守備陣では主将の梶村、そして要の橋垣戸を欠いてしまうという現状。通常ボランチ起用となっている三本菅をセンターバックに回し、サイドバックでは左に久々に中村が起用される。

 容赦ない陽射しと酷暑の気温、整備された環境で毎日練習を行う学生相手に苦戦は予想されたが、前半から試合の主導権を握ったのは奈良クラブ。しっかりパスを回してサイドから中央から相手のスペースを突く。30分に、先週の練習試合でも得点を奪いその存在をアピールした後山のアシストで畑中が先制点となるシュートを決めると、その後も危なげない試合運びを見せる。しかしながら昨年の対戦時は1-0での辛勝。どことなく1点のリードでは逃げ切れるとはチームも思っていなかっただろう。非常に暑いコンディションが後半どう影響するか注目された。

 

 後半に入って、互いに運動量が落ちてきたが、石田、和阪を投入した奈良クラブはこの2人が公式戦における久々の得点を揃って挙げて試合を決定づける。結果的に3-0という内容だったが、ベストから守備陣が程遠い陣容ながらも完封で試合を締め括れたことは大きい。特にリーグ戦から陰ながらの貢献が光る眞野の存在は大きく、1対1にとことん強いストロングポイントを含め、ベテラン勢の多いチームにあって堂々とそのミスをカバーする働きを見せてくれている。攻撃面では無尽蔵のスタミナを誇る畑中の馬力に牽引されるということは言うまでもないが、相手をゴール前で引き付けてしまう大塚の動きも光っている。ここまで不動だった存在の牧を擁せず攻撃面で結果を出せたことも収穫だろう。チームが単体で奈良県代表として挑む国体予選を挟むが、2週間後の決勝戦にベストメンバーが揃えば期待できそうだ。

 決勝戦は29日。ディアブロッサ高田と橿原にて奈良県代表の座を争う。

ボトム組からの脱却 -神戸VS湘南-

2010年08月14日 | 脚で語るJリーグ
 お盆休みの真っ只中、J1は各地で第18節が行われ、ホームズスタジアム神戸では13位・神戸と17位・湘南が対戦。消耗戦の末に決着はつかず、0-0のスコアレスドローに終わった。

 

 神戸は前節の浦和戦を三原の終了直前の得点によって勝利、ここまで4得点を挙げている都倉、マルチな茂木が出場停止という苦しい状況ながら、降格争いから脱するためにも今季初の連勝を狙いたいところ。一方の湘南はここまで泥沼の4連敗中。J1残留を狙うためにも低迷する神戸を相手に勝点3ポイントを狙いたいところ。湿度が80%を超える厳しいコンディションの中、両チームとも何よりも勝利に飢える状況での試合となった。

 
 湘南に期限付き移籍したGK都築。
 しかし、不調に喘ぐチームの救世主とまではなっていない。

 
 前節の活躍でスタメンの座を勝ち取った三原。
 昨年、金沢のJFL昇格に貢献。経験を積んだ。

 前半から圧倒的に神戸が攻め立てた。前節の活躍もあって三原がボランチで初スタメン、サイドバックは右が石櫃、左が松岡という布陣で前線は大久保が1トップを担う陣容。前節の途中からこのパターンの布陣が効いたこともあって、自然とフィニッシャーの大久保にボールが集まっていく流れとなった。
 一方の湘南は、ここまで4連敗中の失点が14失点とかなりの重傷。坂本の出場停止に加えて、チームの主軸であるDF村松がフルタイム出場を続けていたにも関わらずスタメンを外されるという事態になった。田村がアンカーとなる4-3-3という布陣。前線は田原を中央に阿部と中村という陣容。神戸の攻撃を凌ぎ続ける時間帯が多く、なかなかパスを前線まで繋げられない苦しい展開が前半から続いた。

 
 神戸は前半から果敢にポポがゴールを狙う。
 前節出られなかった鬱憤は溜まっていたようだ。

 
 神戸の右サイドバックは石櫃。
 今季は先発起用が少なくなっている。

 
 湘南の守備を支えるベテランDFジャーン。
 早いもので湘南でのプレーももう4年目。

 大きな決定機は15分、神戸DF河本が大久保にスルーパス。これを受けた大久保がGK都築も抜いて無人のゴールに入れるかという場面があったが、かろうじてカバーに入ったジャーンにクリアされる。この試合がこの後予想以上に拮抗することを考えれば絶対に決めておきたい場面だった。

 
 大久保がこのシュートチャンスを決められない。
 あまりコンディションが良くないように見えた。

 
 湘南のキーマンはアンカーの田村。
 最終ラインと連携して必死に守る。

 防戦一方の湘南は前半のアディショナルタイムに田村のロビングパスを受けようとした島村が松岡にエリア内で倒されてPKを獲得。千載一遇のチャンスを得る。しかし、キッカーの中村がまさかの失敗。この局面はコースを冷静に読んでいた神戸GK榎本の活躍が光った。

 
 
 湘南が掴んだ数少ないチャンス。
 このPKを外したのは痛かった。

 
 神戸のボッティは何度もチャンスボールを供給。
 存在感は際立っていた。

 0-0で折り返した後半も続いて神戸がポゼッションを支配。新加入のイ・ジェミンが後半から入り積極的にシュートを放つ姿勢で更にチームに活力を与える。攻守の切り替えはスムーズだったが、肝心のゴール前で決定力に欠けていた。湘南もチャンスを逸し続ける神戸を尻目に、前半以上にセットプレーなどから得点を狙う。54分には阿部が左から走り込んで、中村からのパスをゴールにねじ込んだが無情にもオフサイドの判定。61分にも左サイドを駆け上がった阿部の折り返しを田原があと少しで詰められたという場面があった。しかしながら、両チームとも最後まで試合を決する得点は生み出せなかった。

 
 湘南は阿部の得点がオフサイドの判定。
 あと一歩というところでゴールが遠い。

 
 70分に投入された湘南FWヴァウド。
 神戸の守備網の前にほとんど仕事はできず。

 結局スコアレスドローに終わったこの試合。終了のホイッスルと共に神戸サポーターが集うゴール裏からは怒号のようなブーイングが。それも確かにそうだ。今日のような勝てる試合を落とすことほど痛いことはない。しかし皮肉なことに榎本のあの1本のセーブが無ければ負けていたかもしれない。順位的に安全圏ではないこともあって、今季初の連勝を逃したダメージは大きそうだ。対する湘南も連敗はストップしたが、内容的にはかなりミスも多く、神戸との違いは歴然だったように思える。リーグワースト失点の汚名返上すべく守備陣は奮闘していたが、相手の決定力不足に勝点1ポイントをもらった感は否めない。
 両チームともこの夏はボトムグループから抜け出すためには非常にプレッシャーを抱えた試合が続きそうだ。

 
 この試合で最も目立った榎本の好セーブ。
 前線がそれに応えられず2ポイントを落としてしまった。

 
 下位争いから抜け出せず、苦しい戦いが続く神戸。
 中3日ずつで磐田、山形と試合は続く。

試練の夏

2010年08月09日 | 脚で語る奈良クラブ
 2年連続の天皇杯本大会出場を目指し、天皇杯奈良県予選のスタートを翌週に控えた奈良クラブは橿原公苑陸上競技場にて2試合のテストマッチを敢行。チーム単体で臨む奈良県国体選抜成年チームと三重県国体選抜成年チームの強化試合と共にバックアップメンバー主体でディアブロッサ高田(関西2部)と試合を行った。

 

 10時から行われた第1試合では、国体出場のできないメンバーと日頃バックアップに甘んじるサブ主体で構成されたチームがディアブロッサ高田と35分ハーフで対戦。前半こそ1-0とリードしながらも後半の息切れが著しく3点を返されて1-3と敗戦。前半の半分ほどの時間帯以外ほとんど「連携」という面では成果を見せることができず、後半はほとんどパスが繋がらず、トップチームとの実力差を垣間見た試合になってしまった。この後にジュニアの試合が控えていたこともあって、スタンドには多くの子供たちとその保護者の方々が来場していただけに、しっかり勝ってアピールしておきたかったのは正直なところだ。

 

 14時からは奈良クラブが単体で臨む今年度の奈良県国体選抜チームが登場。三重県国体選抜とのトレーニングマッチを行う(35分ハーフ)。ほぼいつもの奈良クラブのリーグ戦布陣で臨むが、東海2部リーグで最下位に沈むマインドハウス主体の三重県選抜に苦戦。前半こそ決定機を幾度も作ったが決定力不足が響き、後半に安易なシュートで被弾。これが決勝点となり0-1で敗れる結果となってしまった。
 先制点が遠いのはいつものこと。しかし前半で作った決定機を再三逃したのは痛かった。まずはシュートを枠に飛ばさないといけない。どれだけボールをキープできても同じこと。おまけに酷暑で後半は運動量が落ちてシュートを打つこともままならない展開になってしまった。後半ほとんどシュートは打てていなかった。
 
 「打倒・印刷」。奈良県協会が掲げる命題はこれのようだ。今年、奈良クラブが単体で国体で挑むことになったのもここに起因しているのだろう。毎年のように奈良県国体選抜成年チームは近畿予選で苦杯を喫している。サッカー競技の成年の部では84年のわかくさ国体以来、26年間本大会出場を果たせていないという。近畿では佐川印刷単体で臨んでくる京都府選抜に始まり、滋賀、大阪もなかなかの強豪であり、近畿予選を勝ち抜くことは並大抵のことではない。どこまでこのチームで結果を残せるか、県協会の期待も少なからず背負っていることを考えれば、この試合の結果はかなり厳しいものになってしまったのではないだろうか。

 まだ時間はあるとはいえ、来週から始まる天皇杯県予選と並走して戦わなければいけない。容赦ない暑さの中、例年より多い試合数をこなす中で例年以上の結果が求められる今夏の奈良クラブ。まさに試練の夏の真っ只中といっていい。

明と暗 -京都VS新潟-

2010年08月08日 | 脚で語るJリーグ
 JリーグはJ1第17節が行われ、最下位に沈む京都は7位の新潟と対戦。試合は0-2で新潟が勝利し、破竹の11戦無敗で7日現在暫定で4位に浮上。一方ホームで敗戦の京都はこれでなんと13試合未勝利となってしまった。

 

 現在、Jリーグで最も好調なチームと最も不調なチームの対戦カードとなったこの試合。前節より京都の新監督が秋田豊氏になったことで、ここで対峙する両チームの監督は鹿島の黎明期から黄金期を支えたOB同士ということになった。しかしながら、秋田監督は少し先輩となる黒崎監督から勝利を挙げることはできなかった。
 試合は前半から新潟がペースを掴む。加藤弘、中村太、宮吉と若手を軸に試合に臨んだ京都に素早いパスワークで揺さぶりをかけ続ける。京都も素早いプレスでシュートまで持ち込ませず、ボールを奪うとディエゴを起点にカウンターで速攻を仕掛ける展開となった。新潟はシュートこそ少なかったが、28分に左サイドでチョヨンチョルがボールを受けるとそのままドリブル突破。エリア左から狙い澄ましたシュートがゴールとなり先制点を叩き出した。先日、新生韓国代表に選ばれたサイドアタッカーの本領発揮といった場面だった。

 
 ゴール前に攻め込む宮吉にM.リシャルデスがこの守備。
 京都は再三ゴール前までボールを持ち込むが・・・

 
 新潟の左サイドバック酒井は持ち味を見せた。
 W杯にもサポートメンバーで帯同した将来性豊かな選手。

 
 韓国代表に選ばれた京都DFカクテヒ。
 しかし、同じく代表に選ばれたチョに先制点を献上することに。

 
 チョヨンチョルが先制点を挙げる。
 1人で持ち込んで決めたナイスゴールだった。

 新潟は1タッチないし2タッチで素早くボールを回す。本間、小林のベテランボランチがしっかり底からボールを捌き、ミシェウやチョ、そして司令塔として君臨するM.リシャルデスが前線に攻め込む。シュート場面こそ限られたが、中盤の構成力はなかなかのもの。前半は京都が守備面で苦労を強いられただろう。前半は1-0で新潟がリードのまま折り返すこととなった。

 後半に入って、試合は意外な展開。まず新潟のミシェウが54分に退場処分に。これは非常に不可解な判定だったが、どうやら直前のボールがタッチラインを割ったあたりで何やら京都の選手のユニフォームを掴んだということだろうか。奥谷主審が第4審に確認してレッドカードを提示したが、どうも後味の悪い厳しい判定だった。このミシェウの退場処分で新潟は残り80分余りを10人で戦うことを強いられる。
 しかし、これで京都に流れが傾くかといえばそうではなかった。56分にドゥトラが前線に走りこんでチャンスを掴むがオフサイド。68分には左サイドの中村太からのクロスをディエゴが決めたかと思いきやこれもまたオフサイドとあと一歩でゴールが遠い。1点をリードしている新潟はかなりペースを京都に奪われたが、相手の拙攻にも助けられてリードを失うことはなかった。それどころか78分には左からのCKをM.リシャルデスが蹴ると相手DFのオウンゴールを誘発。完全に軌道がゴールに向かう素晴らしいキックで思いがけない追加点を得ることになる。

 
 
 まさに変幻自在のキックで観客を魅せるM.リシャルデス。
 後半に追加点をそのキックで演出。1人でゲームを決めてしまう。

 
 京都は宮吉を生かし切れない。
 しかしながら宇佐美(G大阪)と並んで国内若手の最高峰。

 
 68分にはディエゴがゴールを決めたかと思いきや・・・
 無情のオフサイドに思わず詰め寄る。

 
 
 M.リシャルデスのキックを捕獲できずオウンゴールに。
 新潟のラッキーな追加点が生まれた。

 結局、試合は2-0で新潟が勝利を収めて、これが西京極での初勝利となった。後半は京都にもチャンスがあったが、追加点を奪ってから守り通した新潟守備陣の前に1点も生み出せなかった。ここまでチームの現状が試合に浮き彫りになるとは。まさに明と暗がそれぞれくっきりと出てしまった。これで11試合無敗。新潟の負けない強さはこの後に控える清水や川崎との試合で真価が問われそうだ。
 一方の京都はこれで丸4カ月間勝利に見放されるという事態に。13試合連続で勝利が無く、そして5試合得点が生まれていない。幸い下位グループは勝点差がまだ離れていないために1勝さえすれば良いきっかけになりそうだが、18日の湘南戦あたりが正念場になりそうだ。

 
 新潟で10年プレーするMF本間。
 彼の冷静なプレーぶりは新潟に欠かせない。

 
 ゴールこそ少ないが矢野の存在は不可欠。
 前線から良くプレッシャーをかけ続ける。

痛み分けのグリーンカード -MIOびわこ草津VS松本山雅-

2010年08月07日 | 脚で語るJFL
中断前のJFL後期第6節、皇子山では14位のMIOびわこ草津が8位の松本山雅FCを迎えて対戦。試合は2-2の引き分けに終わった。

 

 後期日程に入り、びわこは1勝2分2敗、松本山雅は3勝1分1敗と対照的な両チーム。特に後期に入って立て直してきた松本山雅は、先日東京Vから弦巻と飯田、岡山ネクストから武田という3選手の加入が発表されたばかり。積極的な補強で現在の順位は苦しいものの、悲願のJリーグ参入へクラブの動きは余念がない。この試合では、早速その新加入選手が結果を出すこととなった。

 前半からハイトランジションの攻防。目立ったのは松本山雅のゴール前でのチャンス逸。度々FW柿本が決定機を派手に外してしまう場面が目立ち、びわこもノーチャンスではなかった。特に前がかりになった松本守備陣の隙を突くMF安里を中心としたびわこの速攻も時折松本ゴールを脅かす。43分には安里の強烈なミドルシュートをGK石川がかろうじてセーブする場面も見られ、直後のCKの局面でもびわこはあと一歩までゴールに迫った。

 
 前半何度も決定機を逃した柿本。
 この数回のチャンスをものにしていれば・・・

 
 びわこもMF安里を起点に攻めたてる。
 左右にボールを散らせる彼の存在はチームにとって大きい。

 
 松本のクラッキといえばMF北村。
 攻守に動き回る彼にびわこMF大久保がチェック。

 0-0で折り返した後半、びわこはFW出口と阪本にチェンジ。すると、これで前線が活性化したびわこが51分にFW坂井が先制点を呼び込む。
 こうして後半序盤に先手を打たれた松本山雅は、58分にボランチの小松に代えて東京Vから期限付き加入したばかりの弦巻を投入。するとこの弦巻が入って3分ほどで活躍を見せる。中盤のルーズボールを落ち着いて胸でトラップ、そして反転した弦巻はすぐさま右サイドを走り込んだ木村にピタリとスルーパス。これを受けた木村がゴールにねじ込み松本山雅が同点に持ち込んだのだった。
スタンドから熱狂の松本サポーターが口々に「つるまきー」と叫ぶ。苦しい展開をそのパス1本で盛り返した救世主の登場にこの日も多く駆けつけたガンズサポーターは大興奮。スタンドは大きく活気づく。

 
 びわこは先制してこのまま試合をリードするかに見えたが。

 
 
 
 
 弦巻のパスを受けた木村が持ち込んでシュートを決める。
 1本のパスで局面を変えた新加入の弦巻と歓喜の抱擁。

 これで勢いづいた松本山雅は、65分に柿本がエリア内で相手のファウルを誘ってPKを獲得。このPKを柿本自身が決めて松本山雅が逆転に成功した。

 
 
 
 続いて柿本が自身で得たPKをねじ込む。
 前半の度重なる決定機逸を挽回する得点で逆転。

 ところが松本山雅はこれでチームに安堵感が出たのか、びわこが徐々にペースを盛り返す。途中交代で出場のMF伊藤が79分に狙い澄ましたシュートを決めて同点として、束の間の「松本の時間」は過ぎ去った。
 この後も両チーム互いに最後までゴールを狙いにいくが試合は2-2のまま終了。勝点1ポイントを分け合うこととなった。

 
 
 途中出場の伊藤が目の覚めるようなシュートを決める。
 これでびわこは試合を振り出しに。

 最後まで拮抗した両チーム。互いに見どころが出た試合だったのではないだろうか。前期日程の前回対戦ではびわこが0-6と大敗を喫した。今季初見となったびわこは司令塔の安里、昨季徳島セカンドの一員として地域決勝の1次ラウンドで活躍した坂井も1得点と活躍。浦島や壽など長らくチームを支える選手たちも良い動きを見せていた。この試合を見る限りそこまで実力差はないと感じられたし、少し現在の順位が物足りないという戦いぶりだった。
松本山雅は、新加入弦巻の活躍は大きかったはず。徐々に順位を上げてチームを建て直しているだけに、守備面のテコ入れという点で新加入の飯田がフィットすればまだまだ上位進出もチャンスがあるのでは。4位以内が現実的にも狙える位置まで順位を押し上げてきた。そういう意味では少しもったいないドローという結果だったが、今後のチームの変化に注目できる試合だった。

 
 途中出場の木島はかつてびわこでもプレー。
 かりゆしを経て松本山雅で戦っている。

 
 鐵戸が残り10分で投入されたが3点目のきっかけになれず。
 負傷でしばし戦列を離れていたようだ。

 これにてJFLはしばし中断。後期第7節は9月11日からリスタートとなる。

山口を目指す戦い<5> -阪南大クラブ VS 神戸FCシニアB-

2010年08月02日 | 脚で語る地域リーグ
 FC大阪が全社本大会出場を決めた橿原での関西大会代表決定戦。14時から行われた第2試合では、阪南大クラブ(関西1部)と神戸FCシニアB(兵庫県1部)の試合が行われ、8-1という大差で阪南大クラブが勝利を収め、山口での本大会出場を決めた。

 

 第1試合を超える日差しと灼熱のコンディションの中、まるでスウェーデン代表VSフェイエノールトを想起させるような両チームのユニフォーム。意外にも先制点を生み出したのは神戸FCシニアBの方だった。11分にエリア手前右付近から23番の豪快なミドルシュートがゴールに吸い込まれる。前半早々に訪れた歓喜。兵庫県1部リーグでは現在5勝1分3敗で3位に位置する日本屈指の古豪チームのプライドが垣間見えた。
 しかし、あれよあれよという間に阪南大クラブが逆襲の狼煙を上げる。5分後の16分に片山のヘッドであっさり追いつくと、その1分後には銭谷のシュートで逆転。それから相手のオウンゴールもあって一気に3-1と形勢をひっくり返してしまった。神戸シニアBは、先制点の後に1人選手が倒れて無念の途中交代。ここが前半のターニングポイントだったのかもしれない。

 

 後半に入ると、足が止まった神戸シニアBに対して阪南大クラブはゴールラッシュ。45分にDF木許がヘディングシュートを決めると、51分には廣瀬が決めて5-1に。60分には交代出場で入ったFW荒木のクロスを片山がこの日2点目となるゴールを頭で決め、その直後に今度はその荒木自身がミドルシュートを決めて7点目。最後にはまたまた荒木の突破から得たPKを自身で決めてとどめの8点目を決めたのだった。

 
 5点目を決めたMF廣瀬。
 ドリブルにパスにチームの大勝に貢献。

 
 神戸シニアBは後半ほとんど阪南大守備陣を崩せなかった。

 関西屈指の学生チームが力を見せつけての大勝。1回戦のヤンマー尼崎戦も6-0と大量得点で勝利しており、多少楽なブロックであったことは否めないが、順当な本大会出場という結果だろう。
 特に印象に残ったのはその層の厚さで、周知の通り、関西学生リーグで戦うトップチームは今季絶好調。前期は11勝1敗で首位を独走している。2回生から3回生がチームの中心となっているこの阪南大クラブも、この試合得点を挙げたMF銭谷、片山は関西リーグでも共にリーグ得点ランキング3位タイという活躍を見せるコンビ。先日の奈良クラブ戦でも後半40分の同点弾はこの2人に完全に崩された。そこに後半現れたのが東福岡高出身のFW荒木で、馬力のあるドリブルとその決定力でその非凡な才能をアピールし、その将来性を垣間見せた。来季の関西学生リーグでは主力として活躍するかもしれない。
 関西リーグでも2位争いに加わる阪南大クラブ。これだけ質の高い選手が揃えば、対戦する相手が都道府県リーグレベルの純然たる社会人チームではかなり厳しいだろう。当然の大差がスコアに表れてしまった。数少ない学生チームとして、10月の山口では是非とも快進撃を見せて欲しい。

 
 後半途中から出場の荒木。
 圧巻の2得点1アシスト。