脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

奈良クラブが読売新聞にて紹介される

2008年09月30日 | 脚で語る奈良クラブ
 30日付の読売新聞の全国版で奈良クラブの取り組みが記事として掲載されている。

          

 かつてこんな形で奈良のサッカーが取り上げられることはほとんど無かった。奈良県のスポーツ自体が全国版の記事になるのも滅多に無い。そういう意味では、この記事によって奈良クラブの存在が全国に知られる以上に、高校野球以外で奈良のスポーツが活気を得ようとしていることが伝われば、それは奈良の人間にしても歓迎すべき話題だろう。

 ただ、行政の支援はおろか、民間企業の支援もほとんど無いというのが新聞記事にも書かれているように実情だ。選手たちや応援する人間の手作りとも言うべき地道な活動で、奈良クラブはサッカークラブとして活動している。

 まだ日本サッカーピラミッドの最下層、都道府県リーグの位置にいる。記事の内容にもあるように、Jリーグまでは何年かかるか分からない。しかし、これまでとは違った高い志で県内にサッカーの息吹をもたらすべくボールを蹴る選手たちがいる。それが練習拠点にもなっているYANAGI FEILDのスクール生をはじめとした子供たちにも次第に認識されてきている。

 現場はまだ“草サッカー”に近い。県内には万全な施設が無いながらも、チームは動き出した。ただ、経験豊富な選手たちの加入で気持ちは変わりつつある。

 草サッカーからプロサッカーへの挑戦、そして変貌はわずかながら始まり出している。

<今後の奈良クラブの試合スケジュール>

10月5日(日)
奈良県リーグプレーオフ
10:00キックオフ @葛城市新町グラウンド

JST(奈良県リーグ1位) VS 奈良クラブ(奈良県リーグ2位)

10月18日(土)
全国社会人サッカー選手権大会 1回戦
11:00キックオフ @スポアイランド聖籠

奈良クラブ(関西代表) VS 松本山雅FC(北信越代表)

秘密兵器ミネイロ、3分で味スタを席巻

2008年09月29日 | 脚で語るガンバ大阪
 アディショナルタイムに入り、ロニーに代わって登場したのはDFミネイロ。G大阪史上希に見るマイペースなこのブラジル人は、その投入直後に左サイドをドリブルで疾走、豪快なシュートを見舞った。放送を観る限りでは、得点シーンを除いて味スタが最も響めいたのはこの瞬間ではなかっただろうか。その1分後にはまたもエリア内に突進。東京Vの土屋と福田に包囲されながらも強引にシュートまで放ってしまった。その際にシュートを振り抜いた左足は東京V福田の股間を直撃。とんだ巻き添えを食らう形になった福田はピッチでは立てず、担架で運ばれていく。スカパー実況の八塚浩氏と解説の川勝氏は揃って「この人は面白いですね。存在が。」とのコメント。直後にはハーフライン付近で守備に参戦しようと相手ボールホルダーを追いかけるやいなやいきなり一人でこけてしまい、終了直前には佐々木のサイドチェンジから欲張りにももう1本シュートを打とうと試み、空振りする。試合終了のホイッスルまでミネイロは味スタを、いや、テレビ観戦のG大阪ファンを確実に釘付けにさせてくれた。

 
 ゴールシタイ・・・ゴールシタイヨウ・・・

 屈託の無いその笑顔は何とも憎めない。思い起こせば今年の4月14日。東城陽で行われたサテライトリーグの京都戦では、開始早々14分に豪快なケンカキックで一発退場。その瞬間、ミネイロはG大阪の“秘密兵器”になった。試合後は自分が退場したことはすっかり忘れたかのようにご機嫌な振る舞いを見せていた彼。当時まだG大阪に在籍していた水本の苦悩続きの表情とは明らかに対照的なその笑顔とテンションはチームの空気もお構いなしだ。そう言えば、ACLグループリーグ第2節の全南戦の帰り、釜山の空港では出場機会が無かったおかげで疲労を蓄えた他の選手とは違ってすこぶる元気にバレーとルーカスに絡んでいた彼の姿もあった。

 
 ミンナ、ミネイロ、ミネイロッテイウテクレルケド・・・ 

 ブラジルの名門インテルナシオナルから入団し、ハワイで行われたパンパシでは“上がりっぱなし”というサイドバックにあるまじきプレースタイルで我々の前にそのベールを脱いでくれたミネイロ。あの大会以降、スタメンに名を連ねることがほとんど無かった(ACLグループリーグ1節チョンブリ戦にてスタメン出場)が、かつてブラジルでは鬼のようにレンタル移籍を繰り返し、そのチーム遍歴を見ても果たしてG大阪でフィットできるのかとシーズン前には不安になった。

 不安はほぼ的中した。ある意味裏切られた。キャラクターも含めて。そして今節のこのタイミングでの登場もそうだ。アディショナルタイムの3分間でシュートを欲張りにも3本も打ってしまおうと思った切り札ストライカー的な規格外の発想。そして本人はあながち“決まるんじゃないか”と思っていた伏すらあった。彼にはアディショナルタイムなど関係ない。常に考えもサッカーも前しか向いていない。おそらく来季の契約についてすら何も考えていないかもしれない。そんな愛すべき超ポジティブブラジリアン。そして空気の読めないブラジリアン。秘密兵器ミネイロはG大阪がかつてのストロングなパスサッカーを見せた時にピッチにほんの少しだけピッチに現れてくれるのだ。

 
 ホンマノナマエハ“ヘネス・マルセロ・モレス”ッテイイマンネン

 肝心のチーム自体は持ち前のポゼッションサッカーがほぼ完全復活。播戸とロニーの連携は課題が残るも、ロニー自身は明神のゴールをお膳立てするなど順調にフィットしてきている。遠藤が高い位置であれほど攻撃に顔を出せると効果覿面、佐々木の初ゴールが飛び出すなど今後に繋がる内容だった。ディエゴにゴールを奪われる直前で中澤は福西のパスに対応の拙さを見せ、仰転していたのは頂けなかったが、ああいった局面をしっかり締められたらもっと内容は良くなるだろう。5点は奪えたであろう攻撃陣は復調しているだけに、ミッドウィークも含め今後連戦が続くが、楽しみにしたい。ミネイロの登場には過度の期待を抱けないが。

得た結果と孕む不安 ~県リーグ最終戦 VS 信貴ヶ丘AURA~

2008年09月28日 | 脚で語る奈良クラブ
奈良県リーグ第5節(順延分)
12:15キックオフ @宇陀市榛原総合グラウンド

○奈良クラブ 1-0 信貴ヶ丘AURA●

得点
76分東

<メンバー>
GK31松石
DF4秋本、2梶村、20上林
MF16河合、5杉田、11松野智、24東、13金城
FW10松野正、19土井

 

 彼らが渡る橋はまるでいつ切れてもおかしくなかった。守備面では特に問題はないが、攻撃面で不連携と拙攻が目立つ。それは今季の県リーグの戦いぶりを如実に表したかのようだった。経験豊富な選手がいるが、それが揃わなければ全く意味はない。今季のリーグ戦での3試合の引き分けはそこに起因される。所用で来られない選手たちが試合の出来不出来を左右する社会人サッカー特有の難しさが時折奈良クラブを襲うのだ。蓋を開けてみればこの日も布陣はベストメンバーには程遠く、FW嶋、MF矢部を怪我で、MF和阪を警告累積の出場停止で欠いての臨戦態勢となった。

 明るい話題は、この試合が移籍後デビュー戦になったDF梶村。ディアブロッサ高田より加入した新たなDFリーダーは攻撃的な布陣の中で3バックの中央に鎮座し、終始コーチングの声を絶やさなかった。絶えず高いライン設定で、中盤の押し上げを図る。いつもはCBでプレーしている杉田がボランチで攻守の起点になった。あとはどれだけアタッカー陣が連携を取って点を奪えるか。しかし、相手は最下位ながらも、奈良クラブはなかなか思い通りのサッカーをさせてもらえなかった。

 
 移籍後初出場のDF梶村 安定感と最後尾からのコーチングは頼りになる

 
 ボランチでプレーした杉田 経験値でチームを鼓舞した

 前半からボールポゼッションは圧倒的に奈良クラブ。しかし、信貴ヶ丘は人数を割いて序盤から良く守った。エリア内でのシュートコースを消され続けた奈良クラブはボールを繋げる割には理想的な運び方でフィニッシュまで辿り着けない。結局ミドルシュートで最後を締めてしまう展開が続き、見せ場らしい見せ場が作れなかった。

 
 フィニッシュよりも捌き役で周囲を活かそうとしたFW松野正

 後半も得点を奪えない展開は続いた。足を攣りながらも決死の覚悟で守備網を敷く信貴ヶ丘を崩せない。パスミスを繰り返しては自滅する場面やアーリークロスのターゲットが全く合わないなど、拙攻の中で勝利を手繰り寄せられない焦燥感が次第にチームを包む。流れを決定的に変えられる選手もベンチにはいない。ピッチに立った11人が自力で結果を出すべく前へ前へとボールを運び続けた。69分には金城、30分には土井、32分には秋本が惜しいシュートをゴールに肉薄させるも得点が遠い。しかし、このルーキー3選手の奮闘はベテランの1発を呼び込むことになる。

 
 後半果敢にシュートを狙ったDF秋本 成長著しいルーキーだ

 
 クロスを上げるMF金城 サイドで再三の突破を演じた

 0-0で試合が終了するかということも頭を過ぎった後半36分に右サイドの展開から中央で金城が折り返したところに詰めていたのはMF東。振り抜いたシュートはゴールに突き刺さる。今季7得点目の東のゴールが決勝点になり、苦しい試合展開ながらも奈良クラブが勝利を手にした。

 
 決勝点を奪ったMF東 今季何度チームを救うゴールを見せたか

 失点の恐怖は無くとも、点を奪えない恐怖。勝利を決定的に手繰り寄せられないもどかしさ。メンバー編成の苦慮が滲み出た今季の戦いが最終戦でも露わになってしまった奈良クラブ。しかし、最低限の結果を出せたことは救いだ。とにかくこれでプレーオフはリーグ1位のJSTと10月5日に対戦することが決定。これに勝利すれば文句なしで奈良県リーグ代表として府県リーグ決勝大会へと進出できる。もし、プレーオフに負けた場合は、11月9日に3位VS4位(10月4日催行)の勝利チームと対戦し、勝利すれば府県決勝大会へと進出できる。

 目指せ“脱”奈良県。そのためにも関西リーグ昇格への道は今目の前に見えてきた。あとはメンバー編成も含めて皆がベストを尽くすのみだ。いつ切れてもおかしくない橋は時にこれ以上ない頑丈な橋にもなる。それがこのチームだ。その橋の上を一気に走り抜ける勝負の時はいよいよやってきた。いつでも不安を孕んでいないチームは無い。それを結果に変え、走り抜けていく原動力に変えていかなければならない。


奈良県リーグ 上位プレーオフ

10月5日(日)

JST(リーグ1位) VS 奈良クラブ(リーグ2位)

10:00キックオフ @葛城市新町グラウンド

 

堅守の4連勝 ~J1 27節 京都VS千葉~

2008年09月27日 | 脚で語るJリーグ
 16本のシュートを打たれながらも、千葉の堅守にはゴールを割られる気配が無かった。前半から京都に決定機を再三作られながらも、集中した守備で千葉が工藤のゴールを守り切り辛勝。ミラー監督就任直後も含め今季の千葉は京都に2タテ。4連勝を遂げた千葉にとって“最下位”の肩書きは既に遠い過去のもののようだ。

 

 90分通して、京都が主導権を握った試合だった。フェルナンジーニョをベンチスタートさせ、先発に名を連ねたのは西野。柳沢、渡邉と共にチャンスを前半から数多く作るがゴールが遠い。GK岡本と長身のボスナーを軸に盤石の守備を敷く千葉の壁は分厚かった。20分には渡邉が強烈なミドルシュートを放ったように、エリア内での駆け引きでは千葉が京都を上回り、次第に京都はゴールから遠ざけられている気さえした。

 
 工藤の決勝点をお膳立てしたFW巻

 
 勝負の厳しさを知るベテラン戸田の加入は千葉には大きい

 千葉はMFミシェウを中心に早いテンポからカウンターを仕掛けるも、京都も古巣を相手に闘志を燃やす佐藤を中心に高い位置でのプレスが効いていた。シジクレイと佐藤、そして両SBの増嶋と手島が奮闘。千葉に活路を見出させない。しかしながら中盤の戦いで一歩リードしながらも試合が均衡してしまったのは、あと一歩というところで得点の奪えない京都の拙攻。スタンドから何度も溜め息が漏れる前半の西京極だった。

 
 プレーメイカーとして千葉の攻撃を牽引するMFミシェウ

 
 千葉の左SB青木良と迫力あるマッチアップを繰り広げた京都DF増嶋

 後半に入っても守る千葉、攻める京都の図式ははっきりしていたが、ボスナーのFKぐらいしかチャンスを生み出せなかった攻撃陣の停滞を打破すべく千葉のミラー監督は、64分に深井を投入。慣れ親しんだ“盟友”巻との2トップは、ミシェウのボール保持によって前半は今一つ目立っていなかったMF工藤の存在感を浮き立たせた。小柄ながらスピードとテクニックに優れた工藤は躍動。67分に右サイドに流れてグラウンダーのシュートをゴール左隅に突き刺し、喉から手が出るほど欲しかった先制点をチームにもたらした。

 
 チャンスの少ないチームにリズムをもたらしたFW深井

 
 前半はミシェウの影に隠れていたが、値千金の活躍MF工藤

 その後も新居、深井、巻と連続してチャンスを迎えるが、追加点は奪えず。苦心してようやく奪った虎の子の1点を守備陣が集中して守り切る。特に京都は田原、フェルナンジーニョ、林と攻撃的なカードを次々と切ってきたが、守備意識を高めた千葉に試合運びは分があった。“点を奪いたい”という京都に対して千葉の“絶対に守り切る”という気持ちが勝ったか。大勢駆けつけたサポーターに4連勝という快挙をプレゼントした千葉が現在の順位を感じさせない戦いぶりを見せてくれた。

 
 フェルナンジーニョが入るも戸田を中心とした守備に封殺される

 
 時折、強烈なFKで見せ場を作ろうとしたボスナーは本職で貢献

 

 
 昨季まで在籍した古巣に敗れ、水本と佐藤の表情も悔しさに溢れる

関西リーグへの道 ~奈良県リーグ終盤戦へ~

2008年09月26日 | 脚で語る奈良クラブ
 28日(日)に奈良クラブの今季の奈良県社会人リーグにおける全日程が終了する。最終戦の相手は県リーグ最下位に沈む信貴ヶ丘AURA。よほどのことが無い限り負けることはないだろうが、とにかく勝利すれば文句なしでリーグ2位が決定。最終順位決定のプレーオフに好条件で出場することができる。

 

 この奈良県リーグには何とも“けったいな”このプレーオフが毎年慣例化している。リーグ戦における各チーム消化具合もバラバラで、雨天でも平気で順延になってしまう奈良県リーグは総当たりたった1回戦。これがせめて2回戦総当たりにでもなれば、こんなプレーオフなどせずに府県リーグ決勝大会へと進む2チームの代表を決められるはずなのだが。今季もそのプレーオフの時期が迫ってきた。日程は下記の通り。


10月4日(土)
10:00キックオフ @奈良産業大学信貴山グラウンド
リーグ戦3位 VS リーグ戦4位

10月5日(日)
10:00キックオフ @葛城市新町グラウンド
リーグ戦1位 VS リーグ戦2位

11月9日(日)
キックオフ時間未定 @奈良産業大学信貴山グラウンド
5日の敗者 VS 4日の勝者

※10/5の勝者と11/9の勝者が府県リーグ決勝大会へ進出
 この府県リーグ決勝大会を勝ち抜くと関西リーグDiv2へ昇格
 ・優勝チーム自動昇格
 ・準優勝チームは関西リーグDiv2の7位と入替戦)
 12月より1次ラウンド開幕 1月に決勝戦

 
 現在、県リーグの1位を決定しているJSTは、1位でこの日程に臨むことが決まっている。奈良クラブの勝ち点差は4で、28日の最終戦に奈良クラブが勝利して、JSTが負けたとしても順位が入れ替わる可能性はない。ただ、2位の奈良クラブから3位のAtletico、4位のポルベニルカシハラまで勝ち点差はわずか1ポイントずつのため、仮に奈良クラブが28日の最終戦に負けてしまうと、3位もしくは最悪4位でプレーオフに臨む形になる。その違いはどうなるのかというと、上記の組み合わせを見てもお分かりのように、消化試合数の違いだ。

 2位で臨むことができれば、10/5の一戦に勝利するだけで奈良県リーグ代表の座を確定することができる。ただ、3位ないし4位の場合はなんと11月に上位プレーオフの敗戦チームともう1度試合を戦わなければならない。10/5の一戦に負けた際も同じことだ。戦力的には問題ないかもしれないが、精神的にかかるプレッシャーは大きい。

 昨年まで、なんとこの3試合を1日でやってのけるという催行の形を奈良県リーグは執っていた。つまり、ろくに休む間もなく連戦を強いられるチームが出てくるということだ。会場の確保及び府県リーグ決勝大会に進出するチームの決定を限られた日程で決めてしまわなければならない実情があるようだ。実は奈良クラブの前身である都南クラブは昨季のプレーオフをこれで落としてしまった過去がある。残念ながら実力は有りながらも府県リーグ決勝大会へ進出できなかった。都南クラブからの在籍選手も数多くチームの屋台骨になっている奈良クラブとしては昨季の借りを必ず返さなければならない。

 確実に迫ってきた負けられない戦い。幾ら経験者を数多く揃える奈良クラブと言えども今季の県リーグ戦績における3試合の引き分けを考えれば決して油断はできない。その1試合はおそらくプレーオフで再度対峙するであろうJST。決着をつける時が来た。

 選手たちはもう府県リーグ決勝大会のことを口にしている。そう、この近畿2府4県の代表チームが出揃い、互いにせめぎ合って関西リーグ昇格を目指す府県リーグ決勝大会こそ激戦の舞台となろう。奈良クラブは“奈良県を脱した”時に初めてその進化と真価を問われるのだ。

 28日は必勝でいこう。

 

スパイク無しでサッカーができるか!!

2008年09月25日 | 脚で語るサッカーギア
 当ブログでは依然サッカーギアに関してのアクセスが多いので、しばらくご無沙汰のサッカースパイクネタを。

 本当に商品サイクルが早くなったサッカーギア業界の昨今、スパイクに関しても自分の好みの配色がチョイスし易くなった、個性的なモデルが選び易くなってきた等、ついサッカーショップに顔を出すと気分がソワソワしてしまう。目まぐるしい勢いでの新商品と先進的なデザインの氾濫ぶりだが、本当に愛着を持って一足“これだ!”と一途を貫き通す人は少なくなっているのではないだろうか。

 多分それは間違っていないのだ。いつの時代にも心の中に“レジェンド”たる一足が存在し、ついソワソワして浮気をしてしまう。しかし、心の中では本命はいつも存在するのだ。さて、サッカーショップに行ったつもりで本稿では個人的に思いっきりソワソワしたいと思う。

  まず、最早世界を席巻するadidas。個人的には現在フラッグシップモデルとなっているプレデターパワースワーブのデザインは嫌いではない。現在ラインアップされているCLモデルなどは配色とこだわりが凄く良い。でもアディピュアになるとクラシック回帰路線は非常に分かるのだが、筆者のような頑固者にはコパムンディアルの幻影が付きまとう。あの古き良き逸品は最早“レジェンド”。やはりあの突出したモダンなデザインと質感は追い越せない。残念なのは昔に比べてコパムンディアルの折り返しベロは確実に短くなっていることか。

 
 イイゼ・・・この配色 08-09UEFA CLモデル
 
 
 adidasの粋な計らい こんなところにビッグイヤーが
 
 土のグラウンドではスタッドがすぐチビるこの崇高感が堪らない!

 そのadidasと世界的人気を二分するNIKE。トータル90シリーズは個人的に好きだし、高級人工皮革で手間要らずのラインアップが多いのは少年世代にも人気の秘訣だろう。しかし今年のEUROでも釘付けになった元祖クラッシクテイストのティエンポシリーズの核、エアレジェンドのEUROカラーは唸るほどシブい。でもこのモデルもいささか土のグラウンドでは使用をためらうほどスタッドが短いのだ。
 
 ロングセラーモデルのエアレジェンド

 エアレジェンドがクラシックテイストを愛するユーザーの人気を独り占めすると思いきや、遂に10月にティエンポシリーズの最新ラインアップ、ティエンポスーパーリゲラが登場する。ベロを短く切り落としたデザインにシンプルなティエンポシリーズを表象するアッパーのデザイン。できればカラーはこの1色展開だけにして欲しいのだが。どうやらホワイトアッパーも出る様子。
 
 ティエンポスーパーリゲラは原点回帰の丸型スタッドだ!

 この2社を猛追するPUMAも負けてはいない。市場におけるハイテク路線が色濃くなる中で、PUMAは頑固にハイテクデザインとクラシックデザインをまんべんなくリリースしている。昔からのPUMAファンが今でも多くおられるのはこの豊富なラインアップが要因なのだろう。パラメヒコがスパイクの王道として絶大な人気を誇っているのは言うまでもないが、あれこれカラーリングの展開を出すのはあまり頂けない。せめてGCIソールを搭載するぐらいで止めておきたい。特価でパラメヒコのゴールドが売られているのを見ると少し哀しい気分になる。パラメヒコは特価になってはいけないのだ。
 そういえば、かつて中山(磐田)が着用していたパラメヒコデュエというモデルがあった。赤い長めのスタッドを搭載していたのだが、現在は正規ラインアップに入っていないのが残念なところ。
 
 キング・オブ・スパイク!パラメヒコ やはり黒白!
 
 ゴールドのカラーリングは・・・ちょっとなぁ・・・

 新旧融合を巧く成し遂げているのはデルムンドのラインアップ。先進的なソールとクラシックテイスト溢れるアッパーの混じり具合が何とも良い。PUMA好きの方は一度は手を差し伸べるモデルだろう。
 PUMAはアパレル展開もそうだが、小細工無しのシンプルなデザインが定評。v1.08モデルはハイテクながらもシンプルなデザインがカッコいい。
 
 デルムンドGCI PUMAの中核を担うモデル
 
 新製品のv1.08ワイド 新し物好きのPUMAフリークはこれ!

 しかし、特筆すべきは0255。PUMAはこのモデルを大切にして欲しい。プレストというかつて人気を博したモデルの復刻だが、このアッパーのしなやかさとベロの絶妙な折り返し具合。黒白モデルが見かけないのが悲しいほどだ。個人的にはフラッグシップのレッジェーロ(好きな方も多いはず!)も是非PUMAには復刻版を出して欲しい。
 
 This is PUMAなデザイン! 0255(赤)
 
 このしなやかなベロの折り返しに魅了される

 国内を中心に品質を履き心地で定評のあるmizuno。コパムンディアル、パラメヒコに並ぶベストセラーであるモレリアシリーズは国内でも数多くのJリーガーに愛用されている。長年変わらないスタイルは派生モデル(M8やULなど)を多く出しながらも健在だ。
 
 マイナーチェンジでベロが離脱着式になったモレリア2
 
 個人的には一番好きなモデルはモレリアウェーブ

 MADE IN JAPANの誇りをmizunoに負けじと提供するasics。かつての傑作インジェクター2002のような渋いモデルこそ最近は少ないが、DS LIGHTシリーズを中心に幅広くリーズナブルで高品質なラインアップを繰り広げている。ホワイトカラーのアッパーが最近はすっかり主流になっているが、ラモスが愛用したイエローラインのモデルや10番が良く似合う2002など、クラシックテイスト溢れた日本人の“心に響く”モデルがもっと出てきて欲しい。そういう意味では三都主(浦和)が愛用していたインジェクタージャパンは傑作。折り返しのベロが2002ほどのしなやかさに欠けるが、折り返すと日の丸が現れるデザインは秀逸。
 
 リーサルディグレオール asicsの中核を担うモデルだ
 
 “心に残る”asics近年の傑作 インジェクタージャパン

 上記以外のメーカーはまたの機会に。サッカーギアは永遠に不滅で、永遠にサッカーフリークの心をソワソワさせる。  

視野に入ったかアジアの頂点 ~ACL 準々決勝2ndleg VSアルカラマ~

2008年09月24日 | 脚で語るガンバ大阪
 久々のホーム万博での勝利に沸いたAFCアジアチャンピオンズリーグ準々決勝2ndlegアルカラマ戦。試合を終始支配しただけでなく、しっかりFW陣が2得点を挙げた攻撃面も含めて、確かに“完勝”と言える内容だった。

 

 先週、1stlegをアウェイで勝利していることもあって不安は無かった。週末には西京極で京都に勝利し、連戦の疲れはあろうものの、出ている結果が何よりも選手を鼓舞する発奮材料になっているはず。もちろん今日も選手、サポーターを含めて“0-1でも良い”とは思わなかったはずだ。

 
 疲れ知らずの三銃士 G大阪を牽引する橋本、明神、加地
 
 むしろ長距離の移動もあってか、疲弊が感じられたのはアルカラマの方だった。1stlegの際に序盤で顕著だった彼らの勢いは全く感じられない。先発メンバーこそ彼らも変動なしだったが、ホームのようにはいかなかった。

 橋本と明神がボランチに入り、遠藤が左に。そして播戸が先発に名を連ねたこの試合。前半は確実に先制点を奪いに攻めた。18分には下平が直接FKをゴール右隅に強襲させるなどチャンスを掴んでいく。1stlegでは20本のシュートを打ちまくることができた。最早苦手意識はおろか、負ける気がしない。前半は0-0で折り返しても“無難”だと安心できる試合運びだった。ヒヤリとしたのは32分のアルイブラヒムにシュートを打たせた局面ほどで、鋭さの失せた相手に対してG大阪は本来のポゼッションサッカーをしっかり実践する。

 
 18分下平がFKを見舞う もう少しでゴールという軌道は僅かに外れた

 
 高さで不安の残るG大阪にとってはDF中澤の高さは心強い

 アルカラマのジェンニアットとアルシュブリという両翼をしっかり抑えられたG大阪としては、効率よく加地、下平が攻撃参加できたが、気になったのは目を覆うばかりのシュート逸。名手のはずの遠藤を中心に予想以上に軌道が落ち着かないのはNIKE製のボールも影響しているのかという印象。とにかく点を取るべきはFWだ。その意味では、30分の播戸のヘディングシュートが決まらなかったのは彼の完全復活を願う意味でも非常に残念だった。バレーの幻影を払拭すべきストライカーの出現は今のG大阪に必要なことだ。

 
 前半からチャンスを演出したMF寺田

 
 怖さはほとんど無かったアルカラマFWアルイブラヒム

 試合が動いたのは63分。播戸に代わって投入された山崎が“ACL男”の異名通り魅せてくれた。右サイドから個人技で裏に抜けた山崎は角度の無い所からそのままシュート。これがゴールを射抜き先制点になる。そのわずか2分後にはロニーが持ち味の飛び出しで追加点。わずか2分間で万博のボルテージは沸点に達した。このまま2-0で試合は終了。長距離の移動による相手の疲れを差し引いても盤石の内容で準決勝進出。ネクストステージの相手は浦和に決まった。

 
 68分遠藤の決定的なシュートは惜しくも決まらず

 
 これがあるのを忘れていたぞ 輪になれ浪速 ワニナレナニワ

 本当に収穫なのはFW陣の得点。チャンスの数を考えると2得点だけだったのは物足りないと言われてもしょうがないが、得点へのプロセスも含めて良い試合運びで勝利をもぎ取れたと思う。徐々に実戦で経験を積む下平、ACLでの勝負強さを見せた山崎、ノッてきたロニーなどここからは上昇していく材料は不足していないはず。ここまで来たら狙うはアジアの覇権。しかも準決勝の相手は、国内屈指のライバル浦和とあって、史上空前の熾烈な戦いになるのは避けられない。今季のACL最大のハイライトが10月に待っている。

 
 アジアの頂点を懸けて次戦の相手は浦和 激戦必至

 

 

子供たちにビーチサッカーの息吹を

2008年09月23日 | 脚で語るビーチサッカー
 秋晴れに恵まれたこの日、兵庫県は潮芦屋ビーチで関西で初の試みとなる「関西ビーチサッカー大会U-15in芦屋」が開催された。

 

 主催は、以前当ブログでもご紹介したビーチプロジェクト。ビーチサッカーの普及と共に地球環境の保全や子供たちの育成、そしてサッカーの普及に努める団体だ。今回はプロデューサーの浜田裕一氏のお誘いを頂き、大会を観戦しに訪れた。

 後援に芦屋市の全面バックアップと教育委員会、市体育協会、そして兵庫県サッカー協会がサポートし、スタッフとしてこの潮芦屋ビーチを拠点にビーチプロジェクトの一環として活動するDORSAL M.FCの選手たちがレフェリーやルール解説、エキシビジョンマッチなどを務めて大会を盛り上げた。

 
 芦屋を拠点に活動するDORSAL M.FC 中心の佐藤選手は日本代表

 中学生の部と小学生の部に分かれて合計12チームで行われた大会は、初めてビーチサッカーを経験する子供たちが大半とあって大盛況。試合を重ねるごとに上達していく子供たちは夕暮れ前までの熱戦に身を注いだ。

 
 何しろ砂の上ではいつものようにうまくはいかない

 
 自陣からのFKは相手選手がゴールマウスの前に立つことができない

 
 チャンスと思いきや、砂に足を取られる・・・

 
 小学生の部もヒートアップ 技巧派が試合を引っ張る

 
 シュートも力任せではダメ 適度なコントロールが要求される

 
 ビーチサッカーの醍醐味 息を合わせてキックオフシュート

 
 初めてのビーチサッカー真剣勝負に子供たちも大はしゃぎ

 
 ドリブルは自分の思った所にボールを運べない

 
 エキシビジョンマッチではDORSAL M.FCが華麗な技で魅せてくれた

 
 2006年のビーチサッカーW杯に出場した日本代表佐藤義人選手

 
 戦いを重ねるたびに成長していく中学生たち

 
 中でも快進撃を見せたのはリベルタ明石FCU-15

 
 予選リーグ宝塚一中同士の対決はBチームが3-2と制した

 
 空き時間にこうなるのはまだまだ元気な証拠(リベルタ明石FCU-15)

 
 小学生の部決勝 末広FC VS HYOGO CHANCEN SV

 
 中学生の部決勝は芦屋SC.JrY VS リベルタ明石FCU-15

 
 予選リーグは苦しんだが決勝トーナメントを駆け上がった末広FC
 見事小学生の部を制す

 
 見事無敗で中学生の部を制覇したリベルタ明石FCU-15

 
 たった5人で今大会に挑んだ芦屋SC.JrYも負けたのは決勝だけ

 第1回の大会は見事大盛況のうちに終了。初めてビーチサッカーを楽しむ子供たちの喜びが満ち溢れた時間だった。
 今後は、DORSAL M.FCをコーチ陣とした定期的なスクールは引き続き行われる。そして将来的にはビーチサッカーの地域リーグなる構想も練られているようだ。今回の大会に触れることで、これまで知らなかったビーチサッカーの魅力は確かに伝わってきた。この大会が成功に終わったことで、ますますビーチプロジェクトの取り組みがビーチサッカーの魅力と共に広がることを楽しみにしたい。少なくとも今日この場にいた子供たちにはその息吹は十分伝わったはず。おそらく一生忘れ得ぬ時間を過ごせたことだろう。

 
 真剣勝負の中で楽しさは確かに感じ取れたはずだ

 サッカーのトレーニングの一環として、または独立した一つのスポーツとして、日本でも積極的にビーチサッカーが確かに裾野を広げつつあると実感した1日だった。その魅力はサッカーと違う面でも奥深い。


 関西におけるビーチサッカーの取り組み、是非興味のある方はこちらのリンクまで
 
 B→EaChプロジェクトオフィシャルサイト
 この活動をサポートするブルータグ株式会社

 

“勝つ”ことを思い出した ~25節 VS京都~

2008年09月22日 | 脚で語るガンバ大阪
 ACLシリア遠征の疲れもなんのその。国内で久々にもたらされた勝利はリズムの復調を感じさせてくれた。京都にアウェイ西京極で2-1と勝利したG大阪。ここから上位陣猛追なるか。全てにおいて負けられない局面の中で選手たちは良くファイトしたと言えるだろう。

 

 開始早々に得たCKのチャンス。山口がヘディングで合わせて幸先良く先制点を奪う。京都DF水本のクリアミスから二川がゴール前に迫ったところをCKへ逃れた場面が発端だった。1本目を渡邉がクリアし、2度目の遠藤のキックに山口が勢いよく飛び込む。マークに付いた水本を押し飛ばすその力強さは鬼気迫るものがあった。そう、ACLの勝利をリセットし、何が何でも勝つという気持ちが呼び込んだゴールだった。

 
 二川のマークをすべく水本が追いかける

 その直後に柳沢に決められたかと思いきや、これはオフサイドの判定に助けられる。オフザボールの動きに長けた柳沢を考慮してか、この日はラインコントロールにも一糸乱れぬ集中力が漲っていた。加えて京都はフェルナンジーニョが柳沢のセカンドトップとしてスルーパスだけでなく自らボックス内に勝負を仕掛けてくる。できるだけ中央突破だけは避けたいところ。どちらにしろ厄介だが、京都をサイド攻撃に縛り付けてしまえば凌げる計算もあっただろう。そうなると本当に要注意すべきは左右のサイドから自在にクロスを上げられる渡邉の存在だった。8分の場面はその象徴で、遠藤のパスミスを渡邉に奪われて一気にフェルナンジーニョにクロスを合わされている。これはバー直撃で難を逃れたG大阪だったが、流れの中での中央の高さではG大阪にわずかに分はあった。

 
 京都が誇る屈指のクロッサー渡邉がG大阪を苦しめる

 京都のボランチに据わっているシジクレイの能力の高さも非常にG大阪を苦しめた。比較的高い位置でプレーしようとするシジクレイは、G大阪時代よりも増して自由にボールを散らす役目に徹している。G大阪が人数をかけて守備に徹するべき場面で顔を覗かせる彼と共に必然的に佐藤や角田といった選手も高い位置でプレーする機会が多かった。それがG大阪が失点を食らった場面。23分に渡邉のクロスが逆サイドに渡って角田、中谷と繋いで最後は手島がシュートを試みた。しかし、そのボールはフリーの佐藤に当たり、これを上手く処理して反転した佐藤が自身でシュート。山口にボールが当たって軌道が変わったのはG大阪にとって不運だったが、ポジションを問わず高い位置でプレーを試みる京都に対して、中盤も含めた守備エリアのエアポケットが招いたしまった失点だった。ボールロストの場所も含めて、自分たちのポゼッションを上げてこれに対応しなければ、容易く京都にチャンスを奪われる危険性を孕んでいた。

 
 セットプレー時の高さも含めて散らし役として効いていたシジクレイ

 連携が向上して光ってきたのはFWロニー。26分に絶妙のタイミングでルーカスのパスに反応して京都DFラインの裏を取った。DF増嶋がわずかに届かなかったルーカスのアシストも素晴らしかったが、自陣山口からのロングボールを頭で1度橋本に弾き、ルーカスとのイメージの共有を図ったプレーは狭いプレーエリアの中でDFにコンタクトを許さないまさに阿吽の呼吸。ロニーはフィニッシュも落ち着いて決めて、G大阪は早い時間帯に勝ち越し弾を挙げることができた。

 
 ますますフィットしてきたロニー リーグ戦でも初ゴールをマーク

 
 途中出場で奮闘する山崎 リーグ戦でもっとゴールが欲しい

 先手必勝で常に試合のリードを意識できたG大阪。後半も京都の攻撃を守りきって、Jリーグでは7試合ぶりの勝利。負傷交代したルーカスの状態が非常に懸念されるが、次戦は24日に迎えるホーム万博でのACLアルカラマ戦2ndleg。もちろん負けられない。“勝つ”ことを思い出したG大阪がもう一度“らしさ”を取り戻すべく疲れを振り払って追い上げモードにシフトチェンジだ。

 
 まだ諦めない ここ2戦でその気迫は伝わった 勝負所は続く

第88回天皇杯2回戦 ~カターレ富山 VS ツエーゲン金沢~

2008年09月21日 | 脚で語る天皇杯
第88回天皇杯全日本サッカー選手権大会2回戦

●カターレ富山 1-2  ツエーゲン金沢○
得点
9分永井(金沢)
62分永井(金沢)
82分長谷川(富山)

13:00キックオフ @加古川市運動公園陸上競技場



<カターレ富山メンバー>
GK中川
DF26中田、3堤、4金、19西野
MF7朝日、8渡辺(66分=18羹)、16景山(55分=17木本)、10上園
FW13長谷川、15石田

 

<ツエーゲン金沢メンバー>
GK20水上
DF27大河内、19中尾、6森、4辻田
MF14稲垣、5山田、26奈良、10木村
FW8吉田(77分=16海野)、9永井(88分=22川上)

 
 試合直前には富山サポから金沢サポにきつ~い挑発が

 加古川で行われた北陸対決。遠方にも関わらず多数駆けつけたサポーターの前でジャイアントキリングは達成された。今季、群雄割拠の北信越リーグで3位に終わり全国地域リーグ決勝大会へ出場できなかったツエーゲン金沢がJFLのカターレ富山に挑んだ注目の一戦。前半の早々に先制した金沢が格上の富山を2-1で下し、3回戦進出を果たした。

 
 前半戦は豪雨にまみれた北陸対決in加古川!

 上空を厚い雨雲が覆い、13時キックオフにも関わらずスタジアムは照明に照らされた。前半の途中からは激しい雨が降り出したが、両チームのサッカーは互いのプライドが激しく火花を散らし、強烈な雨脚をモノともしない。
 この試合は徹底すべきサッカーのスタイルを打ち出した方の勝利だったと言える。格上の富山相手にまずしっかり守ってカウンターに徹した金沢は狙い通りだった。対して富山は、ボールをある程度支配できるもののミスが多く、終始攻守の緩急に欠けた。
 前半9分、攻勢に出ていた富山のDFラインの隙を突いて、ロングボールに抜け出した金沢FW永井がそのままGKとの1対1を冷静に決めて先制する。電光石火のカウンターで思いがけないリードを金沢が奪った。
 富山は、この試合に勝利すれば3回戦はホーム富山でのFC岐阜戦。何としてでも勝ちたい試合だった。先制された後も上園、朝日を中心に押し込み続けた。しかし、中央の2トップに良い形でボールが繋がらず、どうもシュートが的を捉えられない。攻撃のバリエーションも少なく、人数を割いて守る金沢を崩すことはできなかった。

 
 金沢の攻撃の起点になったMF奈良

 
 2得点でジャイアントキリングの原動力になった金沢FW永井

 後半も富山はボールをキープするが、ボールを奪ってからの連動性は金沢に分があった。62分に左サイドに走りこんだFW永井がこの日2点目のゴールを決める。MF木村、FW吉田、永井の3人がスピーディーに縦へ仕掛けていくサッカーは大いに見応えがあり、決して試合を支配した訳ではなかったが、永井の2点目で勝負は決まったと言っても良かった。守備面では、CB中尾と森が奮闘。ハイボールへの制空権を握り、PA内で相手2トップを封じ続けた。
 富山は途中出場の羹が何とかリズムを作って、82分にPA内でボールを受けたFW長谷川が意地の1発を返すが、終盤の富山の猛攻を凌いだ金沢が見事逃げ切り、3回戦のFC岐阜戦へ進出を果たした。

 
 2点目を決めてボルテージ爆発のスタンドへ向かうFW永井

 
 大挙して駆けつけた金沢サポも歓喜爆発

 
 奈良県出身のFW吉田も持ち味を発揮した

 加古川という互いのチームに縁もゆかりも無い地で起きたドラマ。勝どきを上げる金沢サポーターの歌声は試合後のスタジアムにいつまでも鳴り響いた。

 
 試合後、金沢サポからカターレ富山へエールの横断幕が

 
 次戦は皮肉にも今日勝った富山のホームでFC岐阜に挑む