脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

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最終戦、至極のマッチアップ -SAGAWA SHIGAvs長野-

2011年12月10日 | 脚で語るJFL
 今季のJFLも残すところ最終節のみとなった。最終節とはいえ厳密に言うと震災で延期となっていた前期第1節。佐川守山陸上競技場では前節の讃岐戦で2年ぶりの優勝を決めたSAGAWA SHIGA FCが2位につけるAC長野パルセイロと対戦。ハイレベルな攻防戦は、後半SAGAWA SHIGAがセットプレーから2点を奪うと、長野の反撃を1点に押さえて逃げ切った。長野もJFL昇格1年目ながら準優勝という結果で2011年シーズンを締め括った。

 

 

 
 SAGAWAは試合後に岡村の引退が発表された。
 GK村山は岡村の「6」のユニフォームを着て写真撮影に。

 
 長野は昇格1年目とは思えない善戦ぶり。
 勝てばSAGAWAとの勝点差1でシーズンを終えることになる。

 SAGAWA SHIGAは中村が出場停止で、御給、森田が控えスタート。今季のSAGAWAを見るのは初めてだったが、昨季までの良く知るSAGAWAとは少し陣容が変わっていた。しかしながら、天皇杯・G大阪戦でも度々Twitter上では話題に上がっていた若手の奈良輪をはじめ櫛引、清原、鳥養といった若手が先発出場。もちろん主将の山根をはじめ最終ラインを束ねる冨山、旗手、大杉、そして攻撃の核である大沢などは健在。中盤には出場停止の中村に代わってびわこ大から加入2年目の小池が先発に名を連ねていた。
 対する長野も今季から加入の谷口や寺田、向、藤井などの選手と、これまでチームを牽引してきた既存選手ががっちり融合しているようで、JFL昇格1年目ながら19勝6分7敗という驚異的な戦績。特に失点数25というのはリーグ屈指の数字で、守備出身の薩川監督の指導の賜物か。とにかく十分JFLで戦えることを証明している。思えば、1年前の地域決勝大会、1次ラウンドをワイルドカードで勝ち上がってきたというのが信じられない。前線の宇野沢、藤田のコンビはその時から変わらず。元々強いチームだということは自明だったが、それをJFLの舞台で見られるのは純粋に楽しみだった。しかも相手は王者・SAGAWA SHIGA。どんな戦いを見せてくれるのか。

 試合は序盤から激しい攻防戦。最終ラインからしっかり組み立てる長野に対して、サイドを効果的に使いながら緩急つけた攻撃で長野を揺さぶるSAGAWA SHIGA。9分には左サイドバックの藤井が威勢よくドリブルで進撃。最後は攻め上がった野澤が鋭いシュートを放つ。どちらも守備の堅いチーム、1点を争う勝負が予想されたが、序盤は長野がシュートを積極的に狙っていった。

 
 東京Vから移籍加入の向がドリブル突破。
 長野は中盤のスペースをドリブル多用で攻めていく。

 
 SAGAWA SHIGAのライトサイダー奈良輪。
 攻守に好プレーを披露。

 
 長野に今季から加入した谷口はかつて滋賀県リーグでプレー。
 先発のCBとしてチームを牽引していた。

 長野の攻勢にも怯まず、自分たちのサッカーにしっかりシフトするSAGAWA SHIGA。中村が出場停止だった面で攻撃の手数はかかっていたのだろうが、それでも大沢のドリブルや山根のパスによるチャンスメイクで次第に長野を凌駕。30分にはCKから櫛引が惜しいヘディングシュートを放つと、43分には山根が際どいシュートをお見舞いする。これはゴール左にわずかに外れたが、前半は0-0で両者後半へ折り返すこととなった。45分間があっという間の好ゲームだった。

 
 相変わらず宇野沢が存在感のある選手。
 本人ももう一度Jの舞台でやりたいはず。

 
 その宇野沢と組む藤田。
 昨季の地域決勝でもこのコンビは際立っていた。

 
 ベテラン山根はSAGAWA10年目。
 佐川東京時代からの古参選手だ。

 後半に入るといきなり試合が動く。開始1分経たぬうちにCKからこの日先発出場の小池がヘッドで合わせてゴールネットを揺らした。長野は完全に後半の出鼻を挫かれた。先手を打とうしていた長野は追いかける展開に。58分には藤田に代えて平石を投入して反撃に出る。64分にはこの平石が左から鋭いシュートを決めたが、判定はオフサイド。長野は1点が近いようで遠い。

 
 
 先制点の場面。セットプレーからSAGAWA SHIGAが先手。

 
 野澤は左ではなくて中央でプレー。
 昨季の地域決勝でも特に印象に残っていた選手。

 
 先制点を決めたSAGAWA SHIGAの小池。
 地元のびわこ大から加入して2年目の選手。

 72分には大沢を下げて宇佐美を投入し、逃げ切りの態勢を見せるSAGAWA SHIGAだったが、その直後にCKから今度は清原が合わせて追加点。長野を突き放す。崩せなくてもセットプレーで確実に奪えるSAGAWA SHIGAの強さを実感。

 
 清原が追加点。歓喜の先には引退を決めた岡村の姿が。

 
 大橋の献身的な守備は長野に欠かせない。

 
 大島も柏から長野へ移籍して3シーズン目。
 今では谷口とコンビを組む。

 76分に長野もFKから野澤が頭で決めて1点を返す。まだ時間は十分と言わんばかりに攻勢に出る長野。守るSAGAWA SHIGA。同点の機会も十分にあった長野だったが最後までSAGAWA SHIGAの守備を割ることはできず、2-1でタイムアップとなった。

 
 終了間際には御給(左)が途中出場。
 彼が途中出場というところに時の流れを感じる。

 
 長野の猛攻。
 宇野沢のシュートは体を張って止められる。

 JFLの1位と2位の対決に相応しいハイレベルな応酬だった。スコアも含めて勝敗を分けたのは僅差なものだった。メンバーが変わっても一定のクオリティを維持するSAGAWA SHIGAの層と質も驚きだが、そこに互角以上の戦いを見せている長野も素晴らしい。松本山雅と町田がJ2参入となるであろう来季は共に優勝候補に挙げられるだろう。スタジアム問題がクリアすれば長野もJ参入のチャンスは見えてくる。また、アマチュア企業クラブとしての矜持を「優勝」という形で改めて見せてくれたSAGAWA SHIGAも今後上位2チーム(2012年シーズンからのJ2とJFLの入替戦実施が濃厚。もし、その場合J2下位2チームとJFL上位2チームがその対象になるが、JFL2位チームはJ2・21位との入替戦を戦わなければならないことが予想される。クラブライセンスとの兼ね合いもあり、JFLからJ2への参入は一層至難となる見込み)となるJ参入枠の前に強固な「門番」として立ちはだかるだろう。
 とにかくSAGAWA SHIGA FC、2年ぶりの優勝おめでとうございます。

 
 佐川大阪時代から数えると6シーズン。優勝は3回。
 S級ライセンスを持つ中口監督。
 果たして近い将来Jで指揮を執る日は来るのだろうか。

 
 
 23勝1分9敗。総得点60、総失点34での優勝。
 JFL2年ぶり3度目の優勝を果たしたSAGAWA SHIGA FC。
 間違いなくアマ最強チームだ。
 


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2 コメント

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昨日お見かけしました! (Mac)
2012-03-12 12:43:33
ガンバとSAGAWAの藤澤選手を応援している者です。
万博で実はよくお見かけしていたので昨日守山でお見かけしたときには驚きました!
こちらのブログが大好きでよく見ていましたが、最近更新がなくて寂しいです・・。
良ければまた更新してもらえるとうれしいです。
昨日は藤澤選手の早々の負傷はホントに残念でした・・。
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Unknown (yoshi:D5)
2012-03-12 18:55:02
Macさん
コメントりがとうございます。

すいません。
シーズンオフで観戦数が減っていたのといろいろ忙しくて更新が滞っております(^_^;)
近日中に更新を再開しますので、しばしお待ちください。

藤澤は残念でしたね。
しかしながら、代わりにちょうど見たいと思っていた嶋田正吾のプレーを久々に見られたのは不幸中の幸いでした。
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