脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

府県決勝大会を見据えて

2008年10月31日 | 脚で語る奈良クラブ
 奈良県代表として、12月の府県リーグ決勝大会に出場する奈良クラブ。徐々に新加入選手も合流し、関西リーグ昇格へ向けたトレーニングが着々と進んでいる。

【新加入選手】

DF 橋垣戸 光一 (←FCティアモ)
 3月の奈良クラブ立ち上げまでは、その前身である都南クラブでプレーしていた橋垣戸がこの度地元に帰還。G大阪、愛媛FCでもプレー経験のある選手で、身体能力は高い。今季は、大阪2部リーグFCティアモでプレーしていたが、府県決勝大会を機に移籍し、大きな戦力になりそうだ。

DF 石原 聡 (←ディアブロッサ高田FC)
 関西リーグでの経験豊富な左サイドバックが移籍加入。得点力もあり、間違いなくレギュラー候補の選手。関西リーグ時代のFC Mi-OびわこKusatsu(現MIOびわこ草津)でもプレーした。
    
 

 
 徐々に練習参加人数が増えて、充実したトレーニングが組めるように

 
 Jリーグでの経験もある橋垣戸の復帰加入は心強い

 
 新加入の石原 左サイドのストロングポイントになる

 
 府県決勝に備え、コンディション向上がまずは目標

 
 矢部を中心にチームは新たにまとまりつつある

 
 YANAGI FIELDスクール生の有望株もトレーニングには参加

 
 選手層は増してきた 河合も復調、レギュラー争いに名乗りを上げる

 
 ピッチ上のリーダーはこの男 杉田のリーダーシップに期待

 
 コートがレンタルコートで埋まってもこの通り練習はできる!

 今後、12月の決勝大会までにトレーニングマッチがいくつか予定されている。その緒戦となるのが3日(祝・月)のC大阪戦。初のJリーグチームとの練習試合にチームの士気は上がる。まずは、コンビネーションの構築だ。本番は1ヶ月先。奈良クラブの“進化と真価”を懸けた時期がいよいよ到来した。

【練習試合】
11月3日(祝・月)

セレッソ大阪 VS 奈良クラブ

10:30キックオフ
セレッソ大阪南津守グラウンド
 

アマチュアクラブ最高峰の戦い

2008年10月30日 | 脚で語るその他国内
 AC長野パルセイロの優勝によって幕を閉じた第44回全国社会人サッカー選手権大会の記憶も新しいところだが、11月1日(土)より5日間に渡って、秋田県にかほ市、由利本荘市にて第15回全国クラブチームサッカー選手権大会が開催される。一般的にはあまり知られていないかもしれない。参加資格は詳細に決められているが、簡単に言えば“都道府県リーグ以下に属するクラブチーム”の日本一決定戦だ。

 今季の大会には、9地域より各2チーム、そして前年度の国体開催都道府県代表として1チーム、前年度の国体開催市町村代表が3チーム、前年度の各地域全社(全国社会人サッカー連盟)登録数の比率から2チームと、計24チームが大会に臨む予定だ。一発勝負のトーナメント戦を5日間で消化していくわけだが、10月に行われた全社と違って、ほとんどが無名に近いクラブチームばかり。そのマイナーぶりから知る人ぞ知る大会であろう。

 しかし、立派に将来のJリーグ入りを目指すクラブチームも参戦している。昨季のこの大会で優勝を果たしたFCガンジュ岩手(岩手県3部リーグ)、群雄割拠の神奈川県から出場するS.C.相模原(神奈川県3部リーグ)などがその代表だ。

 昨季、岩手県4部リーグで優勝し、今季3部に昇格したFCガンジュ岩手。昨季は元Jリーガーの武藤監督の下、県4部リーグ10試合で130得点0失点と圧倒的な強さを誇示し、この大会でも優勝を果たした。MF斉藤乙(元水戸)、FW財津俊一郎(元清水、湘南)という2人のJリーグ経験者を軸にして、今季も岩手県3部リーグでは、69得点0失点(8節終了時点:10/12現在)と首位を走っている。グルージャ盛岡が何かと注目を浴びる中、岩手県内で順調にステップを刻んでいる。もちろん今大会も優勝候補の再筆頭だ。

 かつて名古屋、京都、仙台などに在籍した元日本代表MF望月重良が牽引するS.C.相模原は、まだ今年の2月に産声を上げたばかりの新興クラブチーム。鈴木健太(元甲府)、坂井洋平(元横浜FC)など、ここにも元Jリーガー2名が在籍しており、セルティックに在籍する水野晃樹の実兄、和樹選手も在籍している。既に横浜に2チーム、平塚に1チーム、川崎に1チームとJクラブが数多くホームタウンを置く神奈川県。昨季は神奈川県3部リーグは120チームが参加し、15のリーグで構成されているという厳しさだ。そんな中でS.C.相模原も順調に1年目を消化している。県3部リーグでは、現在もちろん無敗で6試合を終え、38得点1失点という戦いぶりだ。今季は少ないリーグ戦を補うために、県内の高校や大学と積極的にテストマッチを続けている。少しでも実戦の経験を積むために、この大会で初のタイトルを獲得したいところだ。

 かつては、石川県代表として天皇杯の常連だったテイヘンズFCや、数々のJリーガーを輩出し、将来のJリーグ参入も視野に入れる愛知FCなど、各地から注目チームが出場する中、関西からは、一昨年のこの大会の王者FC加古川(兵庫)と久御山FC(京都)、そして奈良県1部リーグからもAtleticoが参戦する。
 今季も奈良県リーグでは首位争いに加わったAtletico。天皇杯奈良県予選では、緒戦から奈良クラブを下した。関西代表決定戦では、クーゲルFC(和歌山県1部リーグ)を5-2で粉砕。本大会での躍進が期待される。是非、奈良県サッカーのレベル向上を結果で裏打ちして頂きたいものだ。

 存在自体は限りなくマイナーな大会で、賞金も無い。正直なところ各地域では、県予選を行わなければいけないという日程的な問題、及び予算上の都合(もちろん本大会参加は各チーム実費にて)から煙たがられている。県予選から棄権するチームも少なくない。
 しかし、そこに臨む選手たちには、それぞれの情熱が渦巻いていることだろう。日本サッカーの底辺から頂上を目指すために猛進を続けるクラブチームには、“経験を積む場”として軽視できない貴重な全国大会だ。モチベーションは各々違うだろうが、ここから物語が始まるクラブがあっても、全くそれはおかしくない。

スタンフォードブリッジ不敗神話崩れる

2008年10月29日 | 脚で語る欧州・海外
 プレミアリーグ開幕から8試合で、ともに6勝2分けと好調を維持してきた、チェルシーとリバプールの首位対決は、1-0でリバプールに軍配が上がった。これでチェルシーが2004年から続けてきたホーム、スタンフォードブリッジでの無敗記録は86試合でストップすることになった。

 開始9分、リバプールのシャビ・アロンソのミドルシュートを狙う。放たれたシュートはチェルシーのボシングワをかすりコースが変わった。名手チェフの目測をよそにボールはゴールに吸い込まれ、ゴール裏のリバプールサポーターの歓喜がこだました。チェルシーにとってはアンラッキーな失点だったが、相手のスローインからFWカイトが中に折り返したボールへのクリアが中途半端になり、エリア前の位置からシュートを許した。リバプールにとっては、昨季のチャンピオンズリーグ準決勝の雪辱もあったことだろう。最も手強いライバルにホームでの不敗神話は崩されることになった。

 ミッドウィークのチャンピオンズリーグをこの敗戦の言い訳にすることはできない。リバプールは、チェルシーと違って、マドリードまで遠征して戦っている。ともに万全のチーム状態ではないが、このタイミングで迎えた無敗同士の首位対決は必然だった。
 チェルシーは、やはりJ.コールの不在が悔やまれた。カルーを右に配置し、4-1-4-1の布陣を敷く現在のフォーメーション。この試合でチェフとカルバーリョが復帰、前節のミドルスブラ戦の大勝は少なからずもチームに現有戦力での自信を与えていた。そしてミッドウィークのローマ戦も手堅く勝利。ベストメンバーではないものの、確実に勝てるという自信はあったはずだ。
 しかし、リバプールほどの相手になれば、そのロジックは易々とは通用しない。徹底的に粘る彼らの守備の前に屈してしまうことになる。中央を完全にシャットアウトされ、サイドからのクロスを誘発させるリバプールの戦い方は、中央に高さが不足しているチェルシーにとっては攻略が難しいものとなった。

 やはり、マンチェスター・Uすら手玉にとったリバプールは侮れない存在だった。このリバプール戦の敗戦はおそらくプレミア序盤戦のターニングポイントになるだろう。おまけにこの敗戦で、ポイントで昇格1年目のハルシティが並ぶ結果になった。1ポイント差でその下からアーセナルが追いかける。

 記録はいつか破られるか、止まるものだ。決して悪い試合だった訳ではない。その相手が最も因縁を感じるリバプールだけあって、数日経った今、冷静に考えれば納得がいく。今季の“レッズ”は覇権奪回を狙うブルーズにとっては最も手強い相手になった。ビッグ3との対戦は全てホームで戦わなければいけない今季、スコラーリの手腕よりも問われるのは、チーム全体でリーグを獲りにいくことだ。

全国地域リーグ決勝大会の組み合わせ決定

2008年10月27日 | 脚で語る地域リーグ
 11月22日(土)から1次ラウンドが開幕する全国地域リーグ決勝大会の組み合わせが決定した。(会場名は1次ラウンド)

【A Group】@本城陸上競技場(北九州市)
 AC長野パルセイロ、ホンダロック、沖縄かりゆしFC、バンディオンセ加古川

【B Group】@春野総合運動公園球技場(高知県春野市)
 カマタマーレ讃岐、日立栃木ウーヴァ、V・ファーレン長崎、アイン食品

【C Group】@とりぎんバードスタジアム(鳥取市)
 レノファ山口FC、静岡FC、グルージャ盛岡、NECトーキン

【D Group】@コカコーラウエストスポーツパーク(鳥取市)
 佐川急便中国、FC町田ゼルビア、矢崎バレンテFC、ノルブリッツ北海道

 JFL昇格を懸けて全国の強豪チームが勢揃いするこの大会。今季は1次ラウンドを上記の4会場にて11月22日(土)~11月24日(祝・月)の3日間行う。決勝ラウンド進出チームは、各グループ1チームずつ。決勝ラウンドは、11月28日(金)~11月30日(日)の3日間、石垣島のサッカーパークあかんまにて行われる。

 この組み合わせを知ったとき、Aグループの顔ぶれに戦慄を覚えた。関西リーグ優勝チームでもあり、“4度目の正直”に挑むバンディオンセ加古川が非常に厳しいグループに入ってしまったからだ。
 まず、周知の通り、AC長野パルセイロは北信越リーグはおろか、先日は全社も強烈な力で制してしまった。もちろん、今季のJFL昇格候補の筆頭チームである。そして、JFL復帰を狙うホンダロックは、先日の全社1回戦でバンディオンセ加古川を5-1で破り、最終的には3位でフィニッシュ。この大会の切符を手繰り寄せた。沖縄かりゆしFCは混戦の九州リーグを優勝している。とにかくクジ運に恵まれなかったかと言わんばかりの強豪揃いのグループに入ってしまった。
 昨季は彼らだけJFL昇格できなかった“熊谷の悲劇”を生で観ているだけに今季は期待していた。この逆境を跳ね返す底力をバンディオンセ加古川には見せてもらいたい。

 Bグループは、V・ファーレン長崎が堅いか。カマタマーレ讃岐がどこまで善戦を見せてくれるかも期待すべきポイント。日立栃木UVAはダークホース、アイン食品は厳しい戦いになるだろう。

 Cグループは、全社で快進撃を見せたNECトーキンに期待。東北を制したグルージャ盛岡と静岡FCが下馬評では有利かもしれないが、レノファ山口もチャンスはあると思われる。実はこのグループが最も予想できないかもしれない。

 FC町田ゼルビアがぶっちぎりそうな予感、Dグループ。ただ、昨季全社ファイナリストの矢崎バレンテは対抗馬になる予感だ。この2強の直接対決が最大の見どころか。

 今年は、決勝大会が石垣島ということもあって、特別感が尋常ではないこの大会。日程の過酷さもさることながら、そこにあるのはテレビでは観られないアマチュアサッカー最大の悲喜。その悲喜こもごものドラマを今年も全力で追いかけていきたいと思う。

完敗、風前の灯 ~30節 VS清水~

2008年10月26日 | 脚で語るガンバ大阪
 ACL決勝進出を果たし、リーグ戦では少しでも首位に食らいつきたいG大阪。そして翌週にナビスコ杯決勝を控え、勢いを持続させるためにもホームで負けられない清水のマッチアップ。好調をキープするその清水の前にG大阪は1-3と苦杯を喫した。

 

 遠藤を出場停止で欠くG大阪は、前線に播戸と山崎を起用し、ルーカスを中盤へ。二川との左右のポジションチェンジを繰り返すことで、ポゼッションを確保する狙いがあったが、伊東、マルコス・パウロを軸に、守備時には兵働も下がって3ボランチ気味に守る清水の守備意識の高さに沈黙。パスを回そうにもすぐに囲まれてしまい、中盤から前線に良いボールを配給できない苦しい時間帯が続く。

 
 中盤の底に鎮座する伊東を中心とした守備にG大阪は手を焼いた

 
 先発で息巻いた播戸だったが、チャンスをものにできず

 相手陣内で数的優位の状況を作り出せないG大阪は、素早いプレッシングを持続させる清水守備陣の前に徐々に疲弊。33分には枝村、市川のコンビに左サイドを崩され、中央でフリーだった兵働に際どいシュートを許す。36分には中盤の連携ミスを清水に奪われ、ボールはダイレクトパス3本で左サイドに走り込んだ岡崎に。その岡崎がシュートし、GK藤ヶ谷が弾いたところに逆サイドに走り込んできた枝村に詰められるも、加地が間一髪のクリアで得点を許さなかった。しかし、徐々にG大阪の守備の綻びは見えてきたのだった。
 38分にハーフライン付近でボールを受けた原にエリア手前までドリブルを許すと、右サイドに走り込まれた枝村にパスを出され、その枝村が加地を振り切って先制点を決めた。このシーンではボールを受けてからの原の積極的な姿勢も光ったが、岡崎が囮で逆サイドに開いたことで、枝村が走り込んだエリアは大きく手薄になっていた。

 
 枝村の先制点、2点目をお膳立ての原 積極性が光った

 
 38分、枝村が試合を大きく動かす先制点を決める

 先日のACL浦和戦では、先制点を取られても動じることがなかったG大阪。しかし、そのG大阪の自信は清水の自信に打ち砕かれた。先制点を奪ったことでリズムを手中にした清水に後半の立ち上がりからやられた。
 47分、左サイドのタッチライン際でボールを受けた原に山口が緩慢なディフェンス。その山口を一気にドリブルで抜き去った原にグラウンダーのクロスを放り込まれると、ボールは足を伸ばしてクリアしようとした中澤の裏へ。ファーサイドに走り込んだ枝村に再び決められてしまう。しかし、この得点を生み出したのは直前の兵働の献身的なディフェンスによるもの。攻守の面でG大阪が清水に凌駕された決定的場面だった。

 
 47分、枝村がこの日2点目を決めて歓喜の輪

 その直後の50分には、G大阪が自陣でのスローインながら、このボールに明神と播戸がヘッドでお見合いしてしまい、そこを児玉にかっさらわれる。横パスを受けた岡崎が迷うことなく右足を振り抜くと、山口に当たったシュートはコースを変えてゴールマウスへ。ほぼ試合を決定づけられる3点目を奪われた。

 
 絶好調の岡崎の積極性が3点目を呼び込んだ 偶然でなく必然だ

 52分に佐々木が投入され、61分には2トップを丸ごとロニー、ミネイロに交代する荒療治に出たが、この日のG大阪には遅すぎた。何かを起こしてくれそうな予感だけでは勝てない。ロニーとミネイロもミスは少なかったが、決定的な仕事をできるほど連携は熟成されていない。例えば、明らかに長身のミネイロでなく、小柄なロニーがクロスにヘッドを合わせようとするシーンがあったように、長身の選手で固められた清水の守備陣を崩すことはできなかった。
 清水は、守備的な岩下を市川に代えて65分に投入し、ミネイロをきっちりケアするなど抜け目なかった。結果的に75分にロニーがCKから1点を返すにとどまったG大阪は、10戦ぶりの黒星。首位にしがみつきたい大事な一戦で痛い星を落としてしまった。

 
 山崎が清水ゴールに迫るが得点ならず

 
 佐々木も右サイドでチャンスを作ったが、決定的な仕事はできず

 
 ミネイロを警戒して、守備的な岩下を投入する清水は抜け目なかった

 “遠藤不在”は言い訳にできないだろう。明らかな完敗。G大阪は前半からポゼッションを握ったかに見えたが、明らかにコンセプト在りきで良いサッカーを遂行していたのは清水。後半から佐々木を投入できなかった采配ミスと2トップのギャンブル的入れ替えにしくじったことで、最後までペースを握ることができなかった。せめてもの救いは、週末に試合が無いことでACL決勝までの切り替えに猶予があることか。
 G大阪の清水戦績は、昨季は1勝1敗1分け、そして今季はリーグで1勝1敗。ナビスコ杯では1分1敗。確実にG大阪のサッカーを知り尽くした足跡が数字に表れている。G大阪が“手玉”に取られるサッカーをする清水は、この勢いでナビスコも制覇してしまいそうだ。
 

J1定着へサバイバル加熱! ~J1 30節 京都VS東京V~

2008年10月25日 | 脚で語るJリーグ
 13位に甘んじる京都。そして勝ち点1差で14位につける東京V。J1残留と今後の定着を目指し、今季昇格した2チームの対決。両者譲らぬ激しい火花が散った試合は0-0のスコアレスドローに終わった。

 

 ここ5試合で、勝ち点を1ポイントしか獲得できず苦しんでいる京都。フェルナンジーニョもケガから復帰間近で、DF水本、FW林もこの大事な試合で体調不良にて欠いてしまうことに。対する東京Vは、前節大宮を下してJ1残留に向けてチームの調子は上向き。両者共に負けられない意地とプライドが見えた試合となった。

 
 チームをどこまで上昇させられるか 柳沢にかかる期待は大きい

 前半開始早々に田原がオーバーヘッドシュート見せ、右サイドで渡邉が躍動するなど、勢いよくゲームに入った京都だったが、次第に中盤でパスを東京Vに奪われるシーンが目立ってくる。10分にはシジクレイが奪われたボールを東京V廣山に繋がれてシュートを打たれる。ポストが弾いたところを柴崎晃に狙われるも、増嶋がカバーに入り先制点を許さなかった。ワンボランチにシジクレイを残し、安藤、角田、佐藤で攻撃の形を作ろうとする京都は、肝心なところでパスミスが散見されるようになり、組織力では東京Vに一歩秀でるサッカーを見せるも、先制点を奪うことができなかった。

 
 少し前半は狙われたか ワンボランチのシジクレイ

 
 東京Vの攻守において中心は福西 存在感は絶大だ

 ただ、守備に関しては、DF増嶋、手島を軸に良く守れており、平本、ディエゴのアタッカー陣を抑え続ける。しかしながら、マイボールにしてからの連動性が迫力不足で、柳沢が中盤まで下がってボールに絡むなどなかなか最終ラインを押し上げられない。その京都のペースに足並みを合わせてしまった東京Vも、14分にDFの要土屋を負傷で下げてしまう展開でリズムをうまく作れなかった。前半から何度もCKのチャンスを得たが、得点に繋げられない。

 
 攻撃にも果敢に絡んだ中谷 しかし決定的な仕事はできず

 
 センターポジションで奮闘、主将の佐藤 勝ちたかった

 
 京都MF安藤と競り合う廣山 10分の決定機は決めたかった

 どうも首を傾げざるを得なかったのは、両者決め手を欠いた82分に京都ベンチが採った交代策。90分のラストスパートをかけるべき時間に、安藤に代わって投入されたのはアタリバ。しかし、このアタリバが攻撃面で大きくブレーキとなり、肝心なところでミスをしてしまうなど、たたみかけることができなかった。増嶋のロングスローも使い、何度もゴール前に迫りながら無得点。ここでもっと決定的な仕事をできる選手を投入すべきだったのは明らか。例えば、昨日プロ契約を結んだばかりのMF宮吉を起用して、一撃必殺のスルーパスに頼っても良かったのではないだろうか。
 互いに決め手を欠き、“凡戦”の枠を脱せなかった90分間。終了を告げるホイッスルはどこか寂しく聞こえてしまった。

 
 菅原に柳沢が激しくチェック

 
 東京Vの攻撃を牽引したディエゴは厳しいマークに苦しんだ

 
 徐々に活躍の場を増やす安藤 京都は彼が一皮剥ければ頼もしい

 残留を争う相手との直接対決をモノにできず、大事な苦しい戦いが続く京都。やはり攻撃面でフェルナンジーニョが頼りになるのは確か。チャンスメイクのできる選手が一人いるだけで変わるはずだ。その意味では“早熟”の感性を感じさせる宮吉を見たかった。選手層は薄くないが、その起用法に行き詰まりが見える感も否めない。そして、わずかなミスで得点を奪えていないのは悔やまれる。この日も増嶋、田原は放った際どいシュートは、京都の力を十分感じさせるものだった。残り4試合、忍耐の中で来季へ繋がるサッカーを京都は見せてくれるはずだ。

 
 J1定着を目指す京都 あとは“決めるべきところで決めるだけ”だ!

埼玉スタジアムで見た光景

2008年10月24日 | 脚で語るJリーグ
 史上初めてとなる日本勢同士のセミファイナル。アジアの頂点への挑戦権を懸けて行われた昨夜の戦いは、これまでのG大阪と浦和のライバル関係をより一層強い絆で結んだ一戦になったのではないだろうか。昨夜の埼玉スタジアムで見られた光景を振り返る。

 

 5.17の事件を糧に、今回の会場運営は厳重な警備体制の下で行われた。スタジアム入場の際に相手サポーターと出くわすことのない配慮とカバンの底まで丁寧に調べられた荷物検査の徹底ぶりは、試合前から会場の緊張感を生み出しており、前回の悪夢のような出来事を二度と起こさないという決意がひしひしと感じられた。サポーター同士にも密かに自制心を呼びかけるかのような配慮と警備は完璧だったと思っている。

 

 最も印象的だったのは、試合終了後にメインスタンド側の浦和サポーターの方々からエールをもらったことだった。ちょうど、G大阪サポーターが勝利の余韻に浸り、会場を後にしようとするその時、アウェイゴール裏と、メインスタンドの境界線に大声で詰め寄る方がいる。罵声でもブーイングでもやっかみでもない。それは大きなエールだった。

「絶対、アジア獲れよ!お前ら日本の代表なんだからな!応援してるぞ!お前らみんなアデレードまで行けよな!」

「ありがとう!浦和サンキュー!」

 大きなバリケードを隔てて行われたエール交換に自然と拍手が巻き起こった。それはこれまでにない光景だった。両者の間には5.17事件が常につきまとっていたが、あの事件から半年近くが経過した今、全く逆の光景が目の前に映っている現実に、素直にこの戦いの重要さと、憎しみだけでないサポーター間の本来の人間らしさが見えた。こんな素晴らしい試合後の光景が他にあろうか。試合中のそれとは比にもならない小さな拍手に包まれたやりとりは、実は、この試合の一番のハイライトだったのかもしれない。

 G大阪サポーターは帰路の際も、別に専用バスを用意され、最寄りの浦和美園駅、もしくは浦和駅まで運んでもらうことになった。埼玉スタジアムをバスが出て行く際にも、“Fight Togather for URAWA”という段幕を掲げるサポーターがおり、エールを頂戴したと個人的には思っている。あのメッセージが浦和の選手に対するものであろうと、我々G大阪側に向けられたものであろうと、同じ日本勢でこの大きな舞台を戦ったライバル同士、敗者チームの分も“共に戦う”ということを忘れてはならないのだ。

 

 選手を鼓舞するこれ以上ないクオリティの応援とその気持ちが全面に溢れ出るスタジアム。試合の合間に織り成すコレオグラフィと段幕の数々は、最早“芸術”の域に達している。そして、スタイルこそ対極的でありながらも、アジア最高のチームである浦和レッズとここで試合をできたことはG大阪のチーム、サポーターにとっても大きな誇りと自信になったはずだ。随所に互いの良さが見られた今回のAFCアジアチャンピオンズリーグ準決勝。埼玉スタジアムは最も“アウェイ”であり、“最高の場所”だった。

 そして、何よりも昨夜の埼玉スタジアムには“相手へのリスペクト”があった。

宿敵を粉砕!アジア王座に王手! ~ACL準決勝2ndleg VS浦和~

2008年10月23日 | 脚で語るガンバ大阪
 日本勢同士の対決となった今季のAFCアジアチャンピオンズリーグ準決勝2ndleg。アウェイ埼玉スタジアムで3-1と勝利を収めたG大阪がトータルスコアを4-2とし、初のACL決勝進出を決めた。もう1試合、クルブチVSアデレードユナイテッドはトータルスコア1-3でアデレードが勝利。G大阪はアジア王座を懸け、アデレードと来月5日、12日という日程で決勝戦を戦う。

 

 これまでここで、何度苦汁を飲まされたか。その記憶を払拭するには十分な完勝劇だった。FWを磐田戦のスタートと同じく、ベストメンバーとも言える布陣。ルーカスとロニーの2トップで臨んだG大阪。対する浦和は細貝、都築を出場停止で欠き、ここ5試合で勝利に見放される不安定ぶり。前半こそ浦和のペースにリズムを組み立てられず、36分に加地のヘディングによるクリアが中途半端になったところを高原に先制点となるシュートを決められる。しかし、それでも浮き足立つことなく己のサッカーを貫いたG大阪には希望が見えた。

 
 36分、先手を取ったのは浦和 高原が先制ゴール

 
 エジミウソンには山口がしっかり対応し、仕事をさせない

 
 闘莉王の攻め上がりは要警戒 中澤と橋本がカバー

 後半に入って、G大阪は佐々木を投入。スピードを活かした縦への推進力でチームにリズムをもたらす。すると、50分に遠藤の右CKから山口がヘディングで合わせ、同点弾を叩き込む。これまで何度も見たこのホットラインは大舞台で値千金のゴールをもたらした。勢いづくG大阪。浦和はその後、堤を中盤で遠藤にマンマークに付かせたが、佐々木というジョーカーが入ったG大阪には効果なし。磐田戦同様にスペースメイキングに努めた遠藤の動きによって、佐々木、加地、安田理の動きが活性化。橋本、明神もカバーリングに入る守備面ではキレの良い高原、シュートを果敢に狙うエジミウソンに仕事をさせない。ポンテのプレーエリアを消し、スペースを活かしたカウンター攻撃が徐々にG大阪の勢いを加速させた。

 
 50分、山口のヘッドでG大阪が追いつく!!

 
 持ち前のスピードでリズムをもたらした佐々木

 
 守備面で大きな貢献の明神は逆転弾も生み出す

 
 1得点2アシストの遠藤 まさにアジア屈指のプレーメイカー

 山崎を投入した直後の72分、再び遠藤の右CKからニアで合わせたのは明神。中央へ流そうと必死で彼が足に当てたボールは魂を込めたかの如くゴールへ吸い込まれる(相手の足に当たった感も否めないが)。待望の逆転弾は、試合運び、時間帯も考えると事実上浦和の息の根を止めるには十分だった。
 その4分後には、右サイドに攻め込んだルーカスが中央の橋本にパスを送ると、逆サイドでフリーだった遠藤にすかさずパス。易々とこれを遠藤が流し込み、完全に試合の行方を決めたのだった。

 
 明神のゴールが決まり、G大阪に歓喜が巻き起こる

 
 後半途中から投入された山崎 裏を狙い、3点目ではうまく囮に

 
 影のMVP GK藤ヶ谷も好守で勝利に貢献

 
 浦和は終盤、DF闘莉王が攻め上がり続けチャンスを狙った

 3-1と試合をモノにしたG大阪に対して、3点を追いかける浦和は、闘莉王の攻撃参加、途中投入の田中、永井のチャンスメイクに頼るが、ここまでくれば疲れの見えた相手に対するG大阪のパス回しは流石。ほとんど浦和にチャンスを与えることなくいなし続けた。セーフティにパスを回し続けるG大阪に歓喜をもたらすホイッスル。宿敵、そして昨季のディフェンディングチャンピオンの浦和を下し、遂にアジア王座へ王手と迫る決勝進出を決めた。

 
 ここまで来ればアジアを制するしかない 頂点まであとひとつ!

 何も言うことはない。G大阪VS浦和は因縁多きマッチアップだった。ライバル同士、アジア王者をかけたこの舞台で顔を合わせる宿命だったのかもしれない。日本サッカーの熟成を感じさせ、歴史に名を残す試合だったと思う。
 “日本代表”。昨季浦和が快進撃を続けたACLをこう思って見届けた。次は、日本を代表してG大阪が快挙に挑む番だ。

 ここまで来て負けたら意味は無い。いや、それを考える必要は無い。

 決勝で必ず勝つ。アジアを制す。それだけだ。

決戦直前!埼玉スタジアム ~ACL準決勝2ndleg~

2008年10月22日 | 脚で語るガンバ大阪
 
 浦和美園駅を降りると、浦和人を奮起させる段幕が

 

 

 

 

 

 
 その埼玉スタジアムに今、乗り込む!

 
 いつにも増して厳重な入場管理

 
 緩衝帯スペースも厳重な警備体制だ

 
 まさか、コーナーフラッグまで赤とは・・・

 
 戦いの火蓋が切られるまで、あと1時間!!

絶対に負けられない戦い ~ACL準決勝2ndleg前夜~

2008年10月21日 | 脚で語るガンバ大阪
 理屈では説明ができない。一体これまで何度、この青と赤は対峙を繰り返してきたのだろうか。時にはリーグ覇権を懸け、そして時には天皇杯を懸けた。その集大成とも言えるべき青と赤の激突において史上最大のハイライトが幕を開けようとしている。明日、1stlegの結果も含めて勝利を得たチームが、アジア王座へと王手をかける。

 皮肉なことを言うと、明日の埼玉スタジアムは、先日の日本VSウズベキスタンを上回る雰囲気に包まれるだろう。それだけ日本チーム同士がこの局面で対峙することには意味と価値が含有されている。それがリーグリーダーとしてJリーグを毎年のように盛り上げるG大阪と浦和の東西横綱対決なのだから尚更だ。熾烈な戦いになることは容易に想像ができよう。

 磐田戦を見る限り、G大阪は浦和より充実した雰囲気で試合に臨むことができそうだ。磐田戦では、時折相手のカウンターに手を焼いたものの、マンマークに苦しむ遠藤に代わって、後半途中から投入された佐々木が存在感を見せた。遠藤のCKが2得点のきっかけになったのもチームのノリの良さを窺わせる。明日は、まず先制点を狙いに行かなければならない。浦和の常套手段である“ポゼッションさせる”手口に乗せられることなく、明確な狙いを持って、“ポゼッションしていく”べきだ。リスクを省みず、アタックを繰り返して欲しい。

 ここで気になるのはFW陣。スターターも含めて、現在のG大阪が抱える最もナイーブな問題だ。得点力に陰りが見えているバレー離脱以降の戦いにおいて、コンスタントにゴールを挙げている選手はいない。チャンスメイカーのルーカスが安定した力を発揮しているものの、フィニッシャーではない。山崎がACLでは無類の勝負強さを発揮しているが、個人的には明日は是非播戸に復活のゴールを見せて欲しいという願いはある。ロニーも本来持っている勝負強さを見せてもらいたいものだ。この試合の重要性は選手たちには説明不要だろう。例年と比べても、すっかり大人しくなってしまったFW陣の大暴れに期待したい試合でもある。

 守備陣に関しては集中あるのみ。ミドルレンジのシュートだけは要注意だ。磐田戦でカムバックを果たした安田理は持ち前の突破を幾度となく試みていた。大舞台に強い安田理がこのタイミングで戻ってきたことはG大阪にとってはポジティブな要素だ。エリア内では相手FWに全く仕事をさせない徹底した守備を見せてもらいたい。

 アジア王座へ、残りは3試合。これ以上ない熱戦の火ぶたは第2幕を迎える。撃ち合いならそれで結構。泥臭く勝利を手にしろ!

 
 アジア王座を狙う日本頂上対決の場にここほどふさわしい場所はない