脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

両者優勝逃す痛み分け -関西大 VS 阪南大-

2009年11月30日 | 脚で語るその他国内
 第87回関西学生サッカーリーグは後期第11節を迎えて優勝争いがクライマックス。後期第10節を終えて首位に立ったのは立命大。それを追う関学大、関西大、阪南大の4チームが優勝に望みを懸けて戦う展開となった。最終節である今節では、それら優勝の可能性を残す立命大と関学大、関西大と阪南大が直接対決を迎える大一番となった。
 第1試合(長居ス)では、首位・立命大が関学大に1-3で敗れて優勝の望みを絶たれる。この試合に勝った関学大は、第2試合である関西大と阪南大の試合が引き分けに終われば優勝が決定する。その中で行われた試合は最後まで勝負が付かず、結局1-1の引き分けで終了。関学大の優勝が決定し、この結果、関学大、関西大、立命大の上位3チームがインカレ(全日本大学サッカー選手権大会)の出場権を獲得した。

 

 第1試合を隣の長居スタジアムで終えて注目度の増す長居第2陸上競技場。この試合に優勝の行方が左右される。試合は勝って優勝を自力でもぎ取りたい関西大が優勢に進めていく。スタンドは両校のファンだけでなく、この結果で優勝の決まる関学大の選手たちも固唾を飲んで試合を見守る。
 
 
 京都入団が決定している関西大GK児玉(4年)。
 要所を締めるセービングでチームを盛り立てる。

 
 ゲームキャプテンを務めた田中雄(3年)。
 粘り強い守備と労を惜しまぬアップダウンを見せた。

 両者決定機らしい決定機を迎えられず、試合はスコアレスで後半へ。後半は立ち上がりから阪南大が猛攻を仕掛ける。開始早々に井上がシュートを関西大ゴールに浴びせると、46分には前節も4得点と絶好調の細野が均衡を破るシュートを決める。この試合に勝利すれば優勝を引き寄せられる阪南大は執念を見せた。

 
 待望の先制点は絶好調のFW細野(3年)がゲット。
 阪南大ベンチを巻き込んでの歓喜。

 このままではいけない。優勝のためには2点が必要になった関西大はここから反撃に出る。56分には西岡(4年)のシュートがわずかにゴール左に逸れ、67分には藤澤(3年)の左からの折り返しを途中出場の金久(4年)が合わせにいくがわずかに合わない。まずは同点弾を狙いに前がかりに出る関西大と守りにウエイトを置いていく阪南大との攻防は続いた。
 74分、関西大は遂に中村(4年)が同点に追いつくシュートを決める。沸き返る長居第第2陸上競技場。更に加速する関西大の攻撃はもう1点を狙い続ける。76分には先日の天皇杯甲府戦でも得点を挙げたエース・金園(3年)、続いて金久のクロスに藤澤とシュートを繰り出すがゴールは遠い。ロスタイムには左サイドを攻め上がった田中雄のクロスに藤澤が合わせたが、これがポストに当たる不運。結局このままタイムアップを迎え、関西大、阪南大共に優勝には届かず。スタンドで戦況を見守った関学大が11年ぶり28度目の優勝を果たすこととなった。

 
 反撃の関西大、74分に中村(4年)が同点ゴールを決める。
 大分U-18出身のサイドアタッカー。チームに勢いを与える。

 
 しかし、阪南大は堅固な守備で関西大の攻撃を食い止める。
 ボランチ・井手口(3年)が広範囲にわたってカバー。

 
 76分には金園(4年)がこのボレーシュート。
 しかし、ボールはバーの上へ。

 
 ラストワンプレーのチャンス、焦る関西大。
 最後の最後で藤澤(3年)が惜しいシュートを決められない。
 万事休す。

 3年ぶりのリーグ制覇を狙った関西大と昨年度のリーグチャンピオンである阪南大が激しくぶつかった一戦。そのどちらも優勝に王手をかけながら歓喜は訪れなかった。しかしながら、残すは全日本大学選手権の舞台。関西代表として出場する関学大、関西大、立命大の3校の健闘を祈りたい。

ベースアップ

2009年11月29日 | 脚で語る奈良クラブ
 11月1日のKSLカップ敗退以降、来季へのシーズンオフに入っている奈良クラブ。この日は南津守でC大阪との練習試合を敢行。来季の関西リーグDiv1昇格に備えて抜かりのないオフにしたいところだ。

 

 昨年からもう3度目となるC大阪との練習試合。相手は決してトップチームではないが、やはりJクラブとのこういう機会はクラブにとっても貴重な場。来季から挑むDiv1の戦いを考えればまだまだ奈良クラブに課せられた問題は多く、そういった部分を更に可視化するためにも良い機会となったはずだ。

 
 
 この日は0-4と一矢報えぬままに終わってしまった奈良クラブだったが、DF陣があまり揃ってないことを考えると、4失点で済んで良かったところ。サイドチェンジのタイミングやルーズボールの処理など随所にプロとの差は感じられた。カウンター時にもテンポ良くダイレクトパスを織り交ぜながらハーフライン付近まではボールを持っていける。後はどうやって相手のラインを崩すかが今後の課題でもありそうだ。

 選手の仕事面で引き合わせの機会が少ない奈良としては、もちろんこのカテゴリー。今後の選手の大きな入れ替わりには期待できない。現状のメンバーをベースにどこまでベースアップできるかにある。特にKSLカップでDiv1のラランジャ京都には現在の実力差をこれでもかと見せつけられた。おそらくそれは練習量に影響されるところが大きい。そのラランジャ京都でさえ、地域決勝の舞台では結果を出せなかった。それはいかにこのカテゴリーにおける全国的なレベルの差があるかを物語ってくれる。
 充実した練習場所の確保が困難な現状を考えると、当面の問題はまずそれらのハード面から。そういった様々な問題とも併走しながら、初年度のDiv1の戦いに挑んでいきたい。

完敗、立ちはだかった鹿島

2009年11月28日 | 脚で語るガンバ大阪
 J1はラスト2試合を迎え、優勝争いも降格争いもクライマックス。逆転優勝の望みを繋いで、首位・鹿島との大一番に挑んだG大阪だったが、1-5という完敗を喫して今季の優勝は夢と消えた。

 強い。ただただ鹿島のその強さに感服するばかりだった。後半だけを振り返ると0-0で折り返したのが不思議に思えた。前半の序盤こそ鹿島のペースで試合は進められたが、この大一番で舞台は大観衆の詰めかけたアウェイのカシマ。まずは相手の得点を許さないことが鉄則だったが、それに則して言えば前半のG大阪は相手のチャンスを良くしのいでいた。相変わらず前線のマルキーニョスは縦横無尽に動き、ボールの受け方が上手い。その背後から野沢や本山、内田といった選手たちが飛び出してくるその分厚い攻撃は脅威だった。
 
 開始1分から野沢のFKに興梠、マルキーニョスが合わせてくる。10分には個人技からゴールライン際よりマルキーニョスがクロスを入れ、興梠が合わせるなどやはりこのコンビが恐い印象を与えてくれていた。26分にはG大阪もペドロがエリア手前で倒されFKのチャンスを得る。このFKこそ遠藤が決められなかったが、その1分後にもペドロが相手エリア内に深くドリブルで攻め込むなど、少しずつ攻撃のリズムは乗りつつあった。37分には野沢の際どいシュートを藤ヶ谷がファインセーブするなど、後半先に1点を狙うG大阪にとってスコアレスで終われたことは想定内だったといえる。

 しかし、後半その考えがいかに甘かったかを思い知った。56分に鹿島は小笠原のパスに反応した興梠が2度の切り返しを仕掛けて先制点となるシュートを決める。58分には興梠のエリア手前のシュートから野沢がループ気味に追加点を決める。一気に2点を奪われたG大阪は、その1分後に二川が1点を返すものの、62分に再び興梠に3点目のワンタッチシュートを決められる。直後にルーカスを退場で失ってしまったこともあり、85分には途中出場したばかりの田代、終了間際にはダニーロにまで決められて5失点。鹿島の重戦車のような攻撃を弾き返すことができず、G大阪はカシマで力尽きることになった。

 ここまでリーグ9試合無敗という流れは鹿島が相手では通用しなかった。確かに加地や中澤、山口ら守備陣が負傷がちで万全ではなかったこともあるが、前半をスコアレスで折り返せただけに、僅差の勝負になるだろうと、またそこでG大阪の勝負強さに期待が持てた。しかしながら、後半の45分間でチーム力の差が残念なほどに出てしまった。特にルーカスの退場の場面は、まだ2点差だっただけに避けたかったところ。それ以上に立て続けに失点を許したことが相当なダメージにもなっていたのだろう。

 この時期、このタイミングでの鹿島との直接勝負は最も嫌なシチュエーション。しかし、ここを自力で突破できないと優勝には手が届かない。例え鹿島が自ら連敗を重ねて順位を落とそうとも、終盤での勝負強さは相手の方が遙かに上だと感じさせられた一戦だった。なんとも悔しい。一時は優勝の二文字も見えない位置まで沈んでいたことを考えれば、ここでこれだけ巻き返せたことは今後の大きな糧にはなるだろう。3位以内を決定させて来季のACLの切符は掴んだ。とにかく愕然とするスコアの前に、今はただただその切符の重みを噛みしめながらホーム最終戦を勝利で終わってもらいたいと思うばかりである。

ガンズスペシャル

2009年11月26日 | 脚で語る地域リーグ
  
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 松本山雅FCが地域決勝の1次ラウンドに臨む前に作られた傑作の動画。

 懐かしいアメリカ横断ウルトラクイズのテーマ曲が見事に勇ましい写真の数々とマッチング。

 これには選手もサポーターも奮い立たされる。

西野監督続投に思う

2009年11月25日 | 脚で語るガンバ大阪
 オフィシャルでも発表されていたが、G大阪の西野監督の来季以降の契約更新がクラブと基本合意に至ったようだ。まだ今季のリーグも2試合が残っており、優勝する可能性も残っている。天皇杯もベスト8進出を果たしており、その連覇も期待される中、J最長となる長期政権は、来季以降も更なる高みを目指していくことが決まった。

 監督の続投に関しては十分に想定内。むしろ西野監督しかいないとすら思える。しかしながら、一抹の不安は拭えない。ここ数年、もはやこの不安が恒例となっている。絶対的な若手の底上げ、特に中盤に関して懸念されるべき部分は大きい。

 思い起こせば、監督解任要望にまで及んだ今季中盤の公式戦における失墜ぶりは遥か昔のことのようだ。8月23日の名古屋戦(金沢)以降リーグでは9試合負けなし。泥沼を抜け出した7月19日の日立台での柏戦から数えれば4カ月強、公式戦で1敗しかしていない。あまりに極端な落差が見られた今季の戦いだったが、首位を走っていた鹿島が大きくつまづいたことによってもたらされた現在のリーグ状況を差し引いても、ここまで持ち直した成果はある程度評価できるはず。結局自明だったのは、ACLやナビスコ杯といった他のタイトルをリーグと並走して狙う総合力にはまだ一歩及ばぬということであった。

 さすがにマンネリ気分をどう解消していくかということが近年の契約更改時の口癖となっている気さえする西野監督だが、ここまで来るとこの人でないと現在のG大阪は成り立たない。仮に西野監督がチームを離れたとしても、この人の後で易々とリセットボタンを押せる度胸と器量を持った人物はそういないのではないだろうか。しかし、あえてこれまでの形をぶち壊す何かをチームにもたらさないと、このままで2010年から2シーズンを終えてしまうのではないかということも思えてならない。
 つまり、チーム主力選手の高齢化が大きな問題であることをもう少し考えるべきだ。守備の要である山口で来季の4月には32歳、加地も遠藤も年明けには30歳を迎え、明神も同じ1月で32歳を迎える。二川も6月には30歳になり、橋本も来季で31歳となる。こうなると、現状では中盤のスタメン候補で20代は佐々木だけとなる状況が考えられる訳で、先日の清水戦のスタメンを引き合いに出せば、1年後には20代の先発フィールドプレイヤーはペドロと佐々木、中澤の3名しか該当しなくなってしまうのである。これはさすがにそろそろまずいのではないだろうか。

 確かに02年に西野監督が就任して以降、遠藤、橋本、二川、明神(06年より加入)の牙城を決定的に崩せる若手選手は結局現れなかった。佐々木が昨季より加入してそのスピードあるドリブルを武器にスーパーサブともいえる活躍を果たしたが、それでも前述の4人を大きく上回るには及ばない。つまり、当ブログでも再三提起してきた問題だが、多くの若手選手たちが前述の4人の突き上げにすらならず、サテライトで燻ぶり続けるという構図が近年の典型的パターンである。前線も然りで、西野監督がいたく気に入っているという平井からはその気配すら感じないほど、今季はトップでの出場機会に恵まれていない。

 05年のアラウージョ以降、Jリーグで十分実績のある外国籍フィニッシャーを前線に据え、前述の4人によってG大阪の醍醐味である攻撃の舵取りが成されてきた。しかし、長丁場のリーグでぶっちぎって優勝を果たせたことはない。05年が自力優勝ではなかったことを考えると、ここを総合力で優勝までこぎ着ける若手を含めたバランスに優れたチーム編成がそろそろ構築されて然るべきだ。自慢の下部組織も上野山氏が離れ、ユースにいたってはプリンスリーグ2部に降格するなど近年は芳しくない。
 そのためには、誰か若手の育成に定評のある人物を首脳陣に組み込むべきではないだろうか。西野監督を補佐するだけでなく、確実に若手を育て上げられる強い指導力を有した人物を。

 優勝まであとわずかながら、結局絶対的不利である状況を考えると、リーグを独走できる西野ガンバの完成がなおさら重要だとこの時期にいつも感じてしまうのである。

燃える松本、冬の陣

2009年11月24日 | 脚で語る地域リーグ
 全国4会場での全日程を終えた全国地域リーグ決勝大会1次ラウンド。その結果、1次ラウンドを勝ち抜いた以下の4チームが来月4日よりアルウィン(松本平広域公園総合球技場)にて行われる3日間の決勝ラウンドを戦うことになった。

<決勝ラウンド進出チーム>
・NPO横浜スポーツ&カルチャークラブ(Y.S.C.C.) (関東1/神奈川)
・日立栃木ウーヴァスポーツクラブ (関東2/栃木)
・松本山雅フットボールクラブ (社会人大会枠1/長野)
・ツエーゲン金沢 (社会人大会枠/石川)

 きれいに関東リーグの強豪2チームと北信越リーグの強豪2チームが相まみえることになった。この顔ぶれになったことは今季の全社の戦いを見ていると必然ともいえる。Y.S.C.C.も日立栃木ウーヴァも10月の全社ではベスト8に食い込んでおり、いずれも僅差(Y.S.C.C.はtonan前橋に0-1及び日立栃木ウーヴァは松本山雅に1-1(PK3-5)にて敗戦)で準決勝進出を阻まれている。その全社のファイナリストが揃っていることもあり、彼らのリベンジの場所としても申し分ない。

 しかし、やはり会場は松本山雅のホーム・アルウィン(収容人員20,396人)というだけあって、この3日間はこれまでにない雰囲気に包まれるであろう。何しろ地域リーグのカテゴリーとしては異例の1試合平均3,000人を超える観客動員が松本山雅の最大の強み。おそらく悲願のJFL昇格を懸けたこの戦いには5,000人規模の地元サポーターが駆けつけるのではないかとも思う。セントラル方式が醍醐味の一つでもあるこの大会、これまでにこの大会で地元でのJFL昇格を決めたのは01年の佐川急便大阪SCのみ。これほどのサポートを背に最も大事な3試合を戦えるのは松本山雅がおそらく最初で最後になるだろう。また、松本山雅にとっては、決勝ラウンド進出を果たせなかった2年前の大会(1次ラウンドの会場だった)雪辱を同じアルウィンでという思いもあるかもしれない。まさに必然の巡り合わせといえる。

 今季のJFLにおいて鳥取が最終的にJ2参入を果たせるか否かで自動昇格チームの枠数に変動はあるが、上位2チーム(3位チームは自動昇格はもしくはFC刈谷との入替戦)はJFLへの切符を掴むことができる。

 未曾有の雰囲気になることが予想される決勝ラウンド。セントラル方式に加えて第1試合と第2試合の間が非常にタイトなため、サポーターの多いチームはスタンドにおける設営の入れ替わりも大変である。そういったいらない心配も含めて、冬の松本での熱い3日間が非常に楽しみだ。

薩摩隼人の誇り -地域決勝 徳島セカンドVS鹿児島-

2009年11月23日 | 脚で語る地域リーグ
 第2試合は既に昨日敗退が決まっていた徳島セカンドと鹿児島の一戦。モチベーションの維持が難しい試合だったであろうが、勝利への執念が互いにぶつかった熱戦は2-1で鹿児島が勝利した。

 

 ほぼ不動のメンバーで挑む徳島セカンドに対して、鹿児島はこれまで中心として攻撃を組み立てていた諏訪園、スピードスターの豊滿を温存。メンバーを多少変えて戦いに挑んだ。両チーム共に消化試合にはさせんとばかりの気合いを見せた試合は鹿児島が前半からチャンスを作っていく。後半の開始から豊滿を出場させ、攻撃に拍車をかけた鹿児島が一歩徳島セカンドを上回った。

 
 鹿児島は主将としてチームを牽引するDF東が気迫の守備。

 
 Kyuリーグでは辻に次ぐチーム得点ランク2位の山田。
 この日も0-0で折り返した後半11分に先制点を決める。

 
 前半から集中して守っていた徳島セカンド守備陣。
 わずかなところで鹿児島に先制を許してしまう。

 
 徳島セカンドもこのままでは終われない。
 河村が左サイドから再三チャンスメイクする。

 
 66分に徳島セカンドはエース坂井が同点弾を決める。
 右の筒井昭の折り返しを落ち着いてシュートした。

 
 何が何でも勝ちたい。
 主審の曖昧な判定も相まって互いに徐々にヒートアップ。

 
 どこからそのモチベーションが湧き上がるのか。
 DF東が怒涛の攻め上がりを見せる。

 
 
 80分、左CKからその東が頭で合わせて勝ち越し弾を奪う。
 ボールは魂が乗り移ったかのようにゴールへ。

 
 終盤の徳島セカンドの猛攻を凌いでタイムアップを迎える。
 3日間応援し続けたサポーターにも報いる勝利。

 
 残念ながら3連敗で日程を終えた徳島セカンド。
 非常に若いチームだけに、また必ずこの舞台を目指したい。

金沢、ミッションコンプリート -地域決勝 金沢VS三洋洲本-

2009年11月23日 | 脚で語る地域リーグ
 最終日を迎えた全国地域リーグ決勝大会Dグループ。ここまで90分勝利で連勝の金沢がこの日の試合で90分間の敗退を喫しなければ、決勝ラウンド進出が決まる。対する三洋洲本も関西リーグ王者として、いとも簡単に負けるわけにはいかない。試合は三洋洲本の健闘もあり予想以上の熱戦となったが、スコアレスドローの末PK戦までもつれ込んだ試合は8-7で金沢が辛勝。4日から松本で行われる決勝ラウンド進出を果たした。

 

 3日目を迎え、双方の選手たちも体力的な限界を迎えていたはずだ。しかしながら、どちらのチームもこの3日間スタメンは不動のメンバー。そんな疲れを微塵も感じさせない金沢の猛攻で試合は幕を開けた。3分に右CKから諸江が右足で合わせてバーをかすめるシュート。6分には相手DFのミスから山道が惜しいシュートを放つが三洋洲本GKがきっちりこれをセーブする。続けて14分には込山が左CKからヘディングシュート。13分にはクリゾンが根本のクロスを頭で合わせるがゴールを割れない。

 
 相手陣内のゴールライン際でクリゾンがポストプレー。
 前半のうちに勝負を決めたい金沢、ラッシュを仕掛ける。

 
 しかし、三洋洲本のゴールにはこの男が立ちはだかる。
 守護神・浅野の好守に呼応されるかのように守備陣が奮起。

 攻撃ラッシュを試みるも先制点が奪えない金沢。彼らの焦りをよそに三洋洲本が落ち着いてボールを回すようになる。19分には向山が左サイドからのパスに合わせてシュート。28分には昨日スーパーゴールを決めた村上がゴールを肉薄するなど、20分辺りから明らかに三洋洲本が決定機を作るようになる。35分には、エース梅川が相手のパスミスから最大のチャンスを迎えるが、GKとの1対1を大きく外してしまう。三洋洲本は冷静な守備と相手のミスをしっかり中盤の村上、成瀬らのゲームメイクが相乗効果となっていつのまにか金沢を凌駕しだしていた。

 
 三洋洲本の主将・向山が19分に思い切ったシュート。

 
 35分に迎えた最大のチャンス。これを梅川が決められない。

 
 素早くプレスをクリゾンにかけるMF成瀬。
 三洋洲本は素早いプレスで金沢のミスを生み出す。

 
 ボールコントロールに長けたMF村上。
 スペースがあればドリブルでラインアップの矛先に。

 
 守ってはGK浅野、DF太田を中心に金沢ボールを弾き返す。

 前半で先制点を奪えず、スコアレスで折り返すことになった金沢には、多少なりとも焦りがあったはずだ。後半の立ち上がりも49分に太田のヘッドがバーを直撃するなど三洋洲本のリズムは右肩上がり。ここで金沢は59分にクリゾンに代えて斉藤を投入し、デニスを左MFに配置し、古部を1トップに張らせる布陣へシフト。セットプレー時には全員が自陣に帰還するなど守備意識を高める。そこをお構いなく突き破りたい三洋洲本との攻防は見応えがあった。

 
 第1戦・鹿児島戦の同点弾を再現するかのようなFKのチャンス。

 
 ここは直接狙った三洋洲本・MF稲垣。
 金沢は全員が自陣に戻り、ゴール前の守備を固めていた。

 
 三洋洲本・DF太田が金沢・FW古部と競り合う。

 
 三洋洲本、途中出場の中尾がサイドからチャンスを作る。

 
 昨季の今頃は千葉でJ1残留争いの渦中にいた根本。
 果たして過酷さではどちらが上なのだろうか。

 60分に中尾、70分に井上とボールキープに長けた選手を投入し、最後の最後まで攻め立てた三洋洲本だったが、金沢のゴールを割ることはできない。90分のタイムアップを告げるホイッスルが響いた瞬間、勝負は着かずとも金沢の決勝ラウンド進出が決定した。
 試合はPK戦に突入。せめて勝って帰りたい三洋洲本は、金沢3人目の根本のキックを浅野がしっかりキャッチするファインプレーで盛り立てたが、5人目の稲垣と9人目の友定のキックが木寺にセーブされ、金沢9人目の込山が成功したことで勝利をわずかに掴むことはできなかった。

 
 「せめて勝って帰ろう」という声援が届いたか。
 三洋洲本・GK浅野が金沢・根本のPKを完全にストップ。

 
 しかし、ここは経験値の差か。
 Jでのプレー経験も豊富な金沢・GK木寺が2本のPKをストップ。

 
 最後は9人目の込山が決めて金沢が3連勝を果たす。
 3日間勝ち続けて、来週アルウィンへ乗り込む!

 
 1勝2PK負けという戦績だったが、90分間では負けていない。
 三洋洲本の健闘は関西リーグの誇りを感じさせてくれた。

 後半からきっちり守備の意識を高めた金沢。絶対的有利な状況ではあったが、無理をしなかった。初挑戦ながらこの大会の勝ち方を弁えている勝利だといえる。決勝ラウンドは日頃北信越リーグで何度も戦っているであろうアルウィン。もちろんここで負けるつもりはないはず。このまま一気にJFLへ駆け上がりたい。

【速報】徳島セカンドVS鹿児島 試合終了

2009年11月23日 | 脚で語る地域リーグ
第33回全国地域リーグ決勝大会1次ラウンド3日目第2試合

徳島ヴォルティス・セカンド1-2ヴォルカ鹿児島

両チーム後半に入って攻守の切り替えが速くなり、ゴールへ向かう姿勢に拍車がかかる。

鹿児島は後半開始より豊滿が入って更に攻め立てる。56分に山田が決めて鹿児島が先制するが、10分後に徳島セカンドは坂井が筒井昭の左サイドからの折り返しを合わせて同点に。
その後も一進一退が続いた試合は、80分に鹿児島が左CKを東が頭で合わせて待望の追加点を奪い、最後の試合を白星で飾った。徳島セカンドは悔しい3連敗となってしまった。

少し主審にミスが多く、副審との判定に乖離があったのが残念。

【速報】徳島セカンドVS鹿児島 前半終了

2009年11月23日 | 脚で語る地域リーグ
第33回全国地域リーグ決勝大会1次ラウンド3日目第2試合

徳島ヴォルティス・セカンド0-0ヴォルカ鹿児島

注目を集めた第1試合と打って変わってギャラリーも減り、静寂さを取り戻した中始まった第2試合。

鹿児島は諏訪園や豊滿、辻といった一部主力を起用せずバックアップメンバーを数人起用。
徳島セカンドはほぼ同じ布陣。

確かに消化試合かもしれないが、このカテゴリーでは貴重な数少ない公式戦の場。
パスワークで試合を優勢に進める鹿児島は花房、山田、宇都、1勝を挙げて日程を終えたい徳島セカンドでは坂井や石島、河村といった双方の前線の選手に注目したい。