脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

矢部次郎、294日ぶりに帰還 -奈良県選手権VS JST-

2009年05月31日 | 脚で語る奈良クラブ
 今季の天皇杯の奈良県代表を決める戦いが始まった。社会人代表決定戦は奈良クラブ(KSL Div2)VSJST(KSL Div2)とFC橿原(奈良県1部)VSディアブロッサ高田FC(KSL Div2)という組み合わせに。
 第1試合を戦った奈良クラブはJSTに5-0で快勝。矢部の負傷からのカムバック、水越の今季初出場にFW陣が揃って得点と、ここまでリーグ3試合連続未勝利のチームには明るい収穫の目立った試合となった。

 
 メンバーが固定され、戦い方にも落ち着きが見られてきた。
 FW松野正が1月の府県決勝以来のスタメンに復帰。

 
 開始わずか1分20秒。
 檜山の右サイドからのクロスにその松野正が頭で合わせて先制する。

 
 ボランチの定位置を掴んだ東(龍)。
 東(幸)と共に“W東”の2人は攻守に効いている。

 
 25分にJSTがエリア手前でファウル。一発退場で数的有利を得る。
 この直後の直接FKを畑中が見事に決めて2点目。

 
 後半開始から水越が投入される。
 Jリーグでの百戦錬磨のベテランは府県決勝以来の公式戦出場。

 
 44分(40分ハーフ)には、檜山が2試合連続となる追加点を奪い3-0に。
 裏へ飛び出すスピードはチーム屈指。

 
 そして48分、遂に矢部次郎が途中出場でカムバック。
 昨年8月の奈良県リーグ第7節FC橿原戦以来294日ぶりのピッチに立つ。

 
 Jリーグ通算136試合出場11得点、JFL通算43試合出場5得点。
 1本のパスで局面を打開するこの男が遂に帰ってきた。
 コンディションはまだまだながら、随所に唸るプレーを披露。

 
 
 この試合でも特に際立つ存在だった畑中。
 FKにCKとこなし、ロスタイムにはこの日2得点目を決める。

 
 この試合の4点目を決めた石原。
 攻撃参加が冴え、今季公式戦では2ゴール目。

 
 チーム一結果にこだわる男、生え抜きのFW松野正。
 10番を背負う彼の復調はチームにとって非常に大きい。
 FWのポジション争いは熾烈になってきた。

 
 応援に駆けつけた子どもたちのユニフォームには“26”が。
 人気者の帰還でチームは今後盛り上がるに違いない。

 この日の天気とは裏腹に、ここ3試合全く勝てなかった鬱憤を晴らすかのような圧勝劇を演じた奈良クラブ。このリズムを来週から再開するリーグ戦に反映できるかどうかが重要。7節の順延で他力本願ながら“全社への道”もかろうじて残されている。Div1昇格はもちろんのこと、少しでも追いかけられる結果を手中にすべく6月、7月はリーグだけを突っ走らなければならない。チームの総合力が問われるのはここからだ。

 全社関西予選開催の兼ね合いもあって、関西リーグ側は先週の順延分の7節を来週末に開催する方向で検討しているらしい。まだ公式発表はされていないが、そうなれば来週は首位・京都紫光クラブとの戦いが待っている。

ヤングパワーみなぎる城福トーキョー -NC 京都VSFC東京-

2009年05月30日 | 脚で語るJリーグ
 Jリーグは中断期間に入ったがナビスコ杯は30日に予選リーグが行われた。西京極で行われた京都とFC東京の試合は、1-1の引き分けに終わる。京都は予選リーグ4試合勝ち星なし。FC東京はBグループの首位・山形が負けたため、この試合結果によってBグループの首位に躍り出た。

 

 FC東京は今野、長友が代表に招集されていることもあって、先発の椋原や田邊などの若手が好アピール。前半から試合のリズムを握ると、12分に石川が先制ゴールを決める。後半は久々に復帰の柳沢を軸にした京都の猛反撃を受けるも、失点はその柳沢の1点のみ。GK権田やDF平松、佐原の好守でグループ首位を掴むドロー戦を演じた。

 
 ルーキーの田邊は先発の期待に応える働きぶり。
 左サイドでリズムを作った。

 
 後半にはスーパーセーブを見せるなど最後尾でGK権田が奮闘。

 
 先制点を決めた石川はシュート4本を放つなど最高の存在感。
 しかし、71分に脚を引きずりながら交代する。

 
 京都FW豊田は奮闘するがゴールを奪えず。

 
 FC東京はカボレが起点になって攻撃を組み立てる。

 
 京都はイジョンスの穴をシジクレイが補う。
 積極的に前にボールへ運ぶプレーでチームを牽引。

 
 時折差す日差しがもう夏の暑さを感じさせる。
 ハードワークを厭わない徳永も厳しい表情を見せる。

 
 予選リーグは3連敗の京都。
 水本が高い位置で東京ボールを摘み、チームを鼓舞。

 
 64分に途中出場で久々の復帰となった柳沢。
 5分後に同点ゴールを決め、西京極に歓喜をもたらす。

 
 フル出場でシュート3本を放った平山。
 勝ち越しゴールを決めたかったところ。

 
 右サイドバックとして先発し、90分を走り抜いた椋原。
 攻撃参加が光り、何度も京都陣内へ攻め込んだ。

 
 その椋原とは同期の大竹。途中出場で持ち味を見せる。
 2007年のJユースサハラカップ優勝メンバー。
 彼ら下部組織出身の有望株が城福トーキョーの屋台骨だ。

 
 昨季は公式戦18ゴールの赤嶺もベンチスタート。
 全ての登録選手がチャンスをもらっているのがFC東京の印象だ。

 
 不動のゲームメイカー梶山。
 あまり目立たないがしっかり効いている。
 是非フル代表を目指して欲しい選手だ。

 先日、UEFAチャンピオンズリーグを制したバルセロナのように有望な下部組織出身の選手たちが個性を発揮しているFC東京。リーグでは現在14位と落ち着いた戦いができていない様子だが、今季は無得点での敗戦は少ないだけにチーム全体としての守備が整えば巻き返せるはず。ナビスコ杯では、米本、椋原、大竹、田邊らニューヒーロー賞候補も多くいるだけに続く山形、清水戦はしっかり勝ちたいところだ。
 一方の京都は柳沢が復帰早々に早速重要な仕事をやってのけた。3連敗をストップさせる価値ある1発は、今後に繋がるだろうか。
 
 リーグに比べると注目度は劣るナビスコ杯。しかし、代表選手が抜けた際にチャンスを掴める若手選手を見ているとこの大会は面白い。すっかり夏の日差しを見せた京都の暑さが、これからも続く戦いをより一層熱くさせてくれる前兆にも思えた。

“新鮮”力の台頭 -キリンカップ日本VSチリ-

2009年05月28日 | 脚で語る日本代表
 長居スタジアムでの久々の代表戦、キリンカップサッカー2009第1戦が行われ、南アフリカW杯本大会出場を目前に控えた日本代表はチリ代表と対戦。本田、長谷部と欧州で優勝を経験した選手たちの活躍や岡崎の2得点もあり4-0と快勝した。これで来月のW杯アジア最終予選に備えたスタートを良い形で切ることができた。

 
 

 
 立ち上がり、チリはFWポセドールが何度も日本陣内に攻め込む。
 フィジカルの強い選手で、対応した駒野も苦戦した。

 
 20分、日本のゴールの口火を切ったのは岡崎。
 本田のシュートのこぼれ球を押し込んだ。
 23分には攻め上がった中澤のスルーパスに反応、2点目を奪う。
 嗅覚、ポジショニングともに抜群で大きく先発争いにアピール。

 
 1点目と4点目を生み出した本田。
 オランダで経験を積んだことで存在感がアップ。
 攻撃の核になった。

 
 散らし役の遠藤もチームのバランサーとして貢献。
 52分にはCKから阿部のゴールもアシスト。

 
 違う特性を持ったプレスキッカーが2人揃った。
 ここに中村俊も加われば直接FKの局面はこれから面白いことに。

 
 39分に登場した山田直。まだ18歳とは思えない堂々のプレーぶり。

 
 61分には遠藤に代わって橋本が出場。
 すっかりこのチームでも主力となってきている。

 
 77分、お待たせしましたとばかりに山口智フル代表デビュー。

 
 83分には期待の香川も登場。
 ホーム・長居の大声援を背に体調の悪さを感じさせないプレー。

 
 A代表初キャップを快勝で終え胸を撫で下ろす山口。
 このまま本大会出場を決め、最後までメンバーに残りたい。

 日本代表の好パフォーマンスに沸き返った長居スタジアム。コンディションが整わない様子の相手にもう少し決定機はあったものの、チリを寄せ付けない試合運びは今後の戦いに期待を抱かせてくれた。特に岡崎と本田の存在感は際立ち、山田直や数分の出場だった香川も今後が楽しみなプレーを見せてくれたことは収穫か。新鮮な新戦力の台頭で、今後を決する本番を前に良い出だしとなった。

奈良県リーグ漂流中

2009年05月26日 | 脚で語る奈良のサッカー
 4月に開幕した今季の奈良県社会人リーグ。昨季は奈良クラブとJSTの熾烈なデッドヒートがあり、結果的にその2チームが関西リーグへの昇格を果たすという活況なシーズンになった。もちろん既存のチームも刺激され、上昇志向が芽生えているチームもあるようだが、どうも今季の奈良県リーグは訝しげになるべきポイントがある。それは会場だ。なんと現在決まっている7月12日までの1部の日程において半分近くが“奈良県外”で開催されている。まさに今季の奈良県リーグは漂流しているといっても良い状態なのだ。

 奈良県社会人サッカー連盟のホームページに載っている今季の奈良県リーグの日程表を開いてみると、見慣れないグラウンドの名前が見える。その名も「ゆめが丘多目的グラウンド」。5月以降の1部リーグの日程において主力となっているこのグラウンドの所在地はなんと三重県伊賀市内。おそらく奈良市内からでも車で最低1時間程度はかかるだろう。
 また、以前からよく使われている京都府木津川市山城町の不動川グラウンドでの開催も健在。現在1部4試合がそこで行われている。奈良市内からは車で約20分の場所だけに下手に吉野や榛原、都祁の会場に行くことを考えればまだ楽かもしれない。アクセス面では酷な開催地が多い奈良県リーグとっては許容範囲かもしれないが、県外でこれだけ行われている都道府県リーグも珍しい。関西では奈良県だけである。

 かねてからグラウンド確保が難しい奈良県内。以前にも増してこれだけ県外開催が多い理由がある。奈良県が今年のインターハイ(近畿まほろば総体)の会場になっているからだ。サッカーの競技期間は8月1日から8日までの1週間のみだが、おそらくグラウンド管理には例年以上にシビアな姿勢を見せているのだろう。何せ県リーグでは雨が降れば容易に中止を断行される環境なのだ。サッカー競技に使われる県内の会場は8箇所。橿原公苑陸上競技場をはじめ奈良県リーグでは慣れ親しんだ会場ばかり。1日に3試合から4試合がコンスタントに行われる県リーグの開催は管理サイドからしても悩みの種にしかならないのだ。

 7月までの期間、県内の会場は榛原総合グラウンドと吉野総合グラウンドが使われるばかり。しばらくの間、奈良県リーグで芝生の感触を味わえるのは伊賀の会場だけ。関西リーグに昇格した奈良クラブとJSTが県内で試合をできる機会もリーグ戦14試合中わずか2度だけだ。例年グラウンド確保の難しさが問題になっている奈良県のサッカー事情、今年大きなスポーツイベントを抱えたことによる最大の難所を乗り切ろうとしている。

影を潜めた得点力 -13節VS鹿島-

2009年05月24日 | 脚で語るガンバ大阪
 首位・鹿島を迎えた前半戦の大一番を万博で迎えたG大阪。前半に先制され、終始反撃を試みるが鹿島の堅守の前に攻撃陣が沈黙。結局無得点に終わり、0-1で敗戦。これで鹿島との勝ち点差は9ポイントと大きく差をつけられた。

 
 新型インフルエンザもどこ吹く風。
 アウェイ側は多くの鹿島サポーターが詰めかけた。

 
 鹿島は大迫とマルキーニョスの2トップ。
 大迫はスケールの大きさを見せたが、結果的にシュートは0本。

 
 ボールを持たせればこれほど怖い選手はいない。
 前半からマルキーニョスの突破にG大阪は苦しめられる。

 
 
 G大阪のサイドを効果的に狙い続けた内田(上)とパクチュホ(下)。
 前半で試合を決めるべくG大阪守備陣をオーバーラップで脅かす。

 
 16分、本山のクロスを逆サイドで中田が押し込む。
 大事な時間帯に痛い失点を喫してしまった。

 
 守りに入る鹿島を崩すべく宇佐美に代わり後半から安田理を投入。
 縦への推進力アップを図るG大阪。

 
 遠藤は持ち前のパスセンスを随所に見せるが前線と噛み合わず。

 
 佐々木がパクチュホとマッチアップ。
 再三サイドからのクロスを試みたが得点には繋がらず。

 
 鹿島を崩せないG大阪。苛立ちからかルーカスが岩政と熱くなる。

 
 チョジェジンは終始良い形でボールを受けられなかった。
 レアンドロの離脱が攻撃陣のリズムを狂わしている。

 
 こんなに1点が遠かったのものか。
 浦和戦に続く2戦連続の無得点ゲームに選手たちの顔も歪む。

 鹿島に先取逃げ切りを見事に完遂された試合。やはり1対1の場面や組織的な守備は流石で、G大阪は決定機をそれほど作れなかった。浦和に続き、やはり鹿島もリーグ屈指のチーム力だということを実感する内容だった。
 そして、レアンドロが負傷離脱してから攻撃陣の不振が顕著だ。ボールは回せるが、相手を崩す良い形が作れず、あれほど強烈だった得点力が影を潜めている。こんな時にチョジェジンやルーカス、控えの播戸がアピールして欲しいところだが、現段階では「レアンドロ頼み」と言われても致し方ない。水曜のACLでブレイクした宇佐美を前半で早々と諦めるあたりに西野監督の苦悩も見え隠れしていた。

 ここで1ヵ月ばかりの中断期間。浦和、鹿島の壁の高さを改めて実感できたこのタイミングで迎えるショートブレイク。G大阪の再出発のためには絶好の機会だと捉えたい。

遠い遠い勝利の味 -C大阪VS福岡-

2009年05月23日 | 脚で語るJリーグ
 新型インフルエンザの影響で関西リーグや滋賀開催のJFLが順延になる中、Jリーグは万全の体制で通常通りの開催。長居で行われたC大阪と福岡の一戦は、乾の4得点で4-1とC大阪が快勝。福岡は4月15日の勝利以来9試合連続の未勝利となってしまった。

 
 2007年に再降格したJ2での3年目の戦い。
 何としてでもここで勝ちたいアビスパ福岡。

 
 右サイドバックの宮本。前半好調だったチームをサイドで支える。

 
 G大阪時代は出番のなかった丹羽。
 福岡ではしっかりCBの軸として奮闘中。

 
 丹羽とコンビを組む田中誠。
 元日本代表というキャリアはチームにとっても大きい。

 
 前半ボールを回す福岡だったが、気を抜けばC大阪の攻撃が牙を剥く。

 
 福岡の守護神は大阪の2チームにも在籍していた吉田。
 古巣を相手に燃えていたに違いないが・・・

 
 前半優勢に試合を進めていた福岡だったが、42分に乾に先制される。

 
 
 53分、ウェリントンのパスを受けた大久保がエリア左からシュート。
 福岡の同点ゴールを生み出す。

 
 同点ゴールに沸き返る福岡サポーター。
 しばらく味わっていない勝利の歓喜を掴むべく声を張り上げる。

 
 しかし、その福岡を一人で打ち砕いたのが4ゴールのC大阪・乾。
 香川と共にその存在感はJ2では際立っている。

 
 福岡の若きアウトサイダー鈴木。
 チームのリズムを変えたかったが、74分に無念の途中交代。

 
 77分から中払が投入される。
 しかし、福岡は攻撃を建て直す気力が残っていなかった。

 
 前半から前線で奮闘した田中佑。C大阪の強固な守備陣を崩せず。

 
 生え抜きの10番・城後も後半は運動量が落ちてしまった。

 
 突きつけられた厳しい結果・・・
 この9試合でわずか5得点という得点力不足も低迷の原因か。

 2006年にJ1で1シーズンを過ごしてから再びJ2での戦いを強いられている福岡。C大阪とのレベルの違いを痛感した試合だった。4節から8節までは5試合負けなしという快調ぶりを見せていたのに一体どうしたのだろうか。2本のシュートがバーを叩いた不運もあったが、前半は守備が機能していただけにゴールを早い時間帯に奪えなかったのは悔やまれる。
 J1では大分もこの日の敗戦で10連敗という状態。熊本も5試合勝ち星に見放されている。九州のチームが今季は予想以上に苦戦する展開。九州Jクラブの元祖である福岡には是非J1にカムバックしてもらうべく建て直して欲しいところだ。

3人の奮闘に期待!

2009年05月22日 | 脚で語る日本代表
 27日に始まるキリンカップ(チリ戦、ベルギー戦)及び2010年ワールドカップアジア最終予選(ウズベキスタン戦、カタール戦、オーストラリア戦)に臨む日本代表メンバーが26名発表され、G大阪から山口、橋本、遠藤の3選手が選出された。

 

 山口の選出には驚いた。確かに今のJリーグでは最もタフなDFの1人であるし、昨季からの厳しい日程を大きなケガなく安定したパフォーマンスで戦っている選手だ。何しろ約3年ぶりの選出。彼の代表選出を誰が予想しただろう。川崎の寺田が負傷離脱したということも影響したようだ。おそらくバックアッパーのスタンスになりそうだが、日本代表の今後がかかった大きな1ヵ月間だけに、G大阪の闘将にはしっかりといつも通りのプレーを見せてもらいたい。

 

 橋本も岡田体制では常連の1人になってきた感がある。現在のG大阪で彼の主戦場は“右サイドバック”。相変わらずそのユーティリティ性に対する評価は高い。3月のバーレーン戦では途中出場ながら最終予選のピッチに立った。ただ、その器用さから起用され続けているサイドバックではあまり彼の本領は発揮できていない印象。代表では久々に本職のボランチで勝負する橋本を見てみたい。

 

 もはや代表では大黒柱の遠藤。選出は既定路線で彼を欠かしての日本代表の今回のヤマ場は考えられない。そろそろ代表ではPK以外にも直接FKで沸かしてもらいたいところだが、3月のバーレーン戦でも顕著だった守備面での貢献がまた確実に遠藤の評価を上げたのではないだろうか。最終予選の3連戦のどこかで彼のゴールが見られれば嬉しいことだ。

 今回の代表メンバーには浦和の山田直が選出された。18歳とは思えない堂々としたプレーで、先日の遠藤との熾烈なマッチアップも記憶に新しいところ。この5連戦のどこかでサプライズをもたらしてくれそうな気がする。
 ただ、リーグでも好調な渡邉千真や佐藤寿人あたりは個人的にも選出されるのではと思っていただけにメンバー落ちは残念。常連のFW陣がこれ以上に奮起してもらわなければならないのだが。

 とにかく、すっきりとした勝利でワールドカップ本大会出場を決めてもらいたい。そのためにも前述のG大阪3選手の奮闘に期待したい。

宇佐美貴史という収穫 -ACL VSFCソウル-

2009年05月20日 | 脚で語るガンバ大阪
 AFCチャンピオンズリーググループステージ最終節、FCソウルを万博に迎えたG大阪は1-2で敗戦。1位通過を決めており若手を中心としたメンバーで臨んだものの、この日がデビュー戦だった高校生プレイヤー宇佐美のゴールしか収穫はなく、今季のACLでは初黒星を喫するなど少し寂しい試合になってしまった。

 
 
 ゲートにはサーモグラフィを設置、マスクが配布される。
 新型インフルエンザの感染拡大を防ぐべく万全の体制がとられた。

 
 分かっていてもスタメン発表の際には宇佐美に歓声が巻き起こる。

 1992年生まれの高校1年生、まだ17歳になったばかりの宇佐美が万博を席巻した。稲本を抜く17歳と14日でのデビュー戦で64分に渾身の先制ゴール。試合開始10分でチームのファーストシュートも打つなど随所にそのポテンシャルの高さを披露。低調に終わってしまったチームの中で試合後も唯一大きな声援を得た。

 
 64分、倉田のパスに抜け出して鮮やかなゴールを決めた宇佐美。
 確実に何かを“持っている”。

 
 プレスキッカーとしても柱になった倉田。
 宇佐美のゴールを導いたパスは見事だった。

 
 右サイドバックに入ったパクドンヒョクがFKを狙う。

 
 “ACL男”こと山崎も果敢にゴールを狙うがこの日は不発。

 
 ソウルからもかなりの人数が来ていたのではないだろうか。
 FCソウルのサポーターが盛り上がる。

 
 1-0とリードしたが、74分にFCソウルに1点を返される。
 イ・スンヨルに出されたパスはオフサイドにも見えた。
 アシスタントレフェリーに抗議する中澤。

 
 終了直前のロスタイムにはCKからの折り返しを決められる。
 集中力の完全な欠如。
 ここ数試合見られなかったイージーな失点だった・・・

 
 サポーターと逆転勝利を喜ぶFCソウルサイド。
 G大阪サイドは消化不良の試合にブーイングが相次いだ。

 
 試合後、厳しい声援を受けることになった播戸。
 キャプテンマークを巻いて奮起するも、ゴールが求められる。

 日頃のメンバーとは違った若手主体の布陣だったが、やはりレギュラーメンバーとの実力の乖離は大きく、試合運びに未熟な面が目立った結果となった。しかし宇佐美のキラリと光るデビュー戦のインパクトは大きな収穫。今後、リーグでもその姿が見られることを期待したい。

 ラウンド16ノックアウトステージは川崎を相手に万博で6月24日に行われる。

ACL狂騒曲

2009年05月19日 | 脚で語るガンバ大阪
 今週はAFCチャンピオンズリーグ予選ラウンドの最終節。一足早く行われた19日の試合では川崎が浦項(韓国)に敗れたため、グループHの2位が決定。6月24日(水)にホーム万博でG大阪がラウンド16ノックアウトステージにおいて迎え撃つことになった。

 日本勢がどこかで顔を合わせることは、今のACLのレベルを考えれば必然だろうが、川崎とはなんとなく嫌な相手になったものだ。ここ3年間のリーグ対戦成績はG大阪の2勝1分3敗。おまけにアウェイ等々力の地ではG大阪がリーグ優勝を果たした05年のあの試合以降必ず3点以上取られている。ここ2年はどちらも4失点、どことなく川崎戦に対する良いイメージは作りにくいといった印象だ。
 そういう意味ではホーム万博で戦える“グループ1位の恩恵”をひしひしと感じられる対戦相手でもある。万博においてはこの4年間1度も川崎には負けていない。今季はリーグでもお互い得点力(12節終了時点でG大阪26得点:川崎20得点)を発揮しているだけに1戦勝負のこの戦いはかなりスリリングなものになりそうだ。

 G大阪も明日20日にFCソウルとの予選ラウンド最終節を控えている。新型インフルエンザの影響で無観客試合の方向も検討されていたようだが、観客を入れて開催することが決定した。手洗い場におけるうがい薬の設置、入場ゲートにおけるアルコール消毒液、サーモグラフィの設置など感染拡大の予防策をスタジアムで行うようだ。医師やナースも常駐されるらしい。しかし、外出自粛で休校となっている小中高生は自粛を求められるなど少し可哀想な面も(代替措置として年間パス所有者には別の試合に招待する様子)。今週末の関西社会人リーグが次々と中止の決定を食らうなど、スポーツイベントにもその煽りが見られる中で難しい判断だっただろう。
 
 さて、試合の方は1位通過が決まっているので、バックアップメンバーや若手中心の布陣になりそうだが、何と言っても高校生プレイヤー宇佐美の登場を心待ちにしているファンは多いと思う。個人的にも三木や高木、武井あたりは見てみたいところだが、西野監督は果たしていかなる布陣を構成してくるのだろうか。

最高の“好敵手” -12節VS浦和-

2009年05月18日 | 脚で語るガンバ大阪
 今季リーグ・ACL共に全ての試合で得点を重ねてきたG大阪を初めて完封したのは“堅牢”を誇る浦和だった。“ナショナルダービー”と呼ばれて久しい浦和VSG大阪の一戦はまたしても国内屈指の名勝負を見せてくれた。試合終了間際に珍しく足を攣っている佐々木の姿がその激闘を物語っていた。やはり浦和はG大阪にとって最高の“好敵手”と呼べる相手だろう。

 昨季、リーグ・ACL共に浦和戦3勝1分という戦績だったG大阪。レアンドロとチョジェジンの2トップが目下絶好調であり、その攻撃力そのままに浦和を叩いておきたかった試合だった。しかしこの対戦カードにそんなセオリーは通じない。昨季の屈辱を晴らすべくといった浦和の守りの前に前半のG大阪はほとんどチャンスに恵まれなかった。浦和の高いライン設定に好調のFW陣が良い形でボールに絡めない。ここ数試合攻撃を牽引する佐々木に対するプレスも素早く、G大阪がボールを回し出せたのは20分過ぎから。加えて前半唯一といっていいチャンスを生み出したレアンドロの負傷退場は痛かった。

 後半の開始直後に明神のシュートが惜しくもバーに嫌われる。数少ないチャンスを逸すれば、すぐさま浦和が反撃に転じる。山田直、原口の若手2人を中心に時折食らうカウンター攻撃の脅威。66分に下平に代えて安田理をたまらず投入したのは頷ける。それほどG大阪は彼らのケアにも追われ、マイボール時にサイドからの展開を抑え込まれていた。どこかで攻勢に転じなければならない。チョジェジンを最後まで残し、途中出場の播戸を諦めてまで山崎を投入したG大阪サイドの歯痒さは中継からもよく伝わってきた。結局今季最初の“対決”はスコアレスドローに終わった。

 結果を知っていて後で録画を観てもこの試合には釘付けになる。レベルの高いプレーと駆け引き、そして毎試合リアクションVSアクションという両チームの構図が色濃く出るカードだが、浦和のここまで10試合で26得点を稼いだG大阪をきっちり封じる堅守ぶりが凄かった。また、若手の積極的登用でチームは大きく変わろうとしている最中。確実に昨季より強くなっている印象を受けた。「世代交代」という点でG大阪が及ばない革新を浦和は成功させようとしている。この世代革新をそろそろG大阪も現実的に考える時期なのだが。

 次節は首位・鹿島との直接対決を控える。主砲レアンドロの離脱は大きい。持ち味である得点力の維持はなるか。それ以前に関西地方を席巻するインフルエンザの影響で試合自体が現地で観られない可能性もある。“好敵手”との好ゲームの後というのに皮肉な日程の妙を嘆かざるを得ないのが少し残念だ。