角
スタジアムの熱気はブラウン管ごしでも充分に伝わってきた。昨夜、日立台に駆けつけることが出来たアントラーズサポーターは目の前で繰り広げられたドラマにしかと酔いしれたことだろう。殊勲のマルキーニョスを追い駆け走り出すピッチの選手達、それに呼応するように飛び出すベンチ陣、小躍りしながらサポーターを煽る監督、そして彼らとは対照的に倒れこむ黄色の選手達。両軍サポーターの表情は言うまでもないだろう。それはまるでタイトルが懸かった試合の後の様な光景であった。つまりは、それだけこの勝利が若いアントラーズの選手達には意味のあるもので、逆にそれだけレイソルの選手達にとって日立台は陥落させてはいけない城だったのであろう。
前節ホームカシマにてサンフレッチェを相手に大量得点による勝利を収めたアントラーズ。点差ほど圧倒した内容では無かったにしろ、決して爆発力があるとは言えない現在のチーム状況からして5得点は上出来なスコアであり、サポーターとしても勢いを感じる試合であったあったことは間違いない。だが一方で、どうしても諸手を挙げて喜びきれない気分が胸の内にあったことも確かなのであった。それは前々節アウェイに乗り込んでのトリニータ戦、ロスタイムに追いつかれ手痛いドローゲームを演じてしまったことに起因する。ほぼ手中に収めかけた勝利が残り数十秒でその手からこぼれ落ちてしまう、これはサッカーというスポーツにはありがちな現象であるが、若い力が躍動し、チーム状態が上向きな現在のアントラーズにとってはいつも以上に堪えるものであった。「勝負弱い」、個人的にはアントラーズにとって最も屈辱的に思えるそんな言葉が見事に当てはまるような内容に、若さゆえの甘さを露呈してしまったと感じずにはいられなかった。ラスト数十秒の集中力、これを欠いては決して強者の条件は満たせない。引き分けたことが問題なのではない。引き分け方が問題なのである。だからこそ、サンフレッチェ戦での勝ち方でこのトリニータ戦の屈辱を払拭することは出来なかったのだ。九石ドームでの悪夢に効く特効薬は、大量得点でも、若さによる勢いでもなかった。勝負強さを示すこと、それだけだった。
そして迎えた今節。レイソルが今期無敗を誇る日立台に乗り込んだアントラーズはロスタイムの決勝弾という形で見事に勝負強さを示してくれた。
前半のうちに相手のキーマンであるフランサが退場したことにより数的アドバンテージを得るが、日立台の魔物はそう易々と勝たせてはくれなかった。若さによる勢い、それならレイソルの方が話題的に旬だろう。期待された岩政の頭も古賀に封じられた。それでも最後の最後で、ボールを相手ゴールにねじ込んだ。
決勝点アシストの佐々木はサテライトでの絶好調ぶりを見事トップのゲームに還元し勝利の原動力となり、マルキーニョスは今後いよいよトップギアに入る予感を漂わせる。そして何よりオリベイラ監督が試合後の興奮の中、あのトリニータ戦の苦い同点劇を引き合いに出してこの勝利を称えていたことが印象的であった。九石ドームの悪夢が教訓になっていたのだ。この事実は日立台での勝利に勝ち点3以上の意味を持たせるだろう。若き鹿島の戦士達はひとつ成長したのである。これこそが劇的勝利の意味だ。
スタジアムの熱気はブラウン管ごしでも充分に伝わってきた。昨夜、日立台に駆けつけることが出来たアントラーズサポーターは目の前で繰り広げられたドラマにしかと酔いしれたことだろう。殊勲のマルキーニョスを追い駆け走り出すピッチの選手達、それに呼応するように飛び出すベンチ陣、小躍りしながらサポーターを煽る監督、そして彼らとは対照的に倒れこむ黄色の選手達。両軍サポーターの表情は言うまでもないだろう。それはまるでタイトルが懸かった試合の後の様な光景であった。つまりは、それだけこの勝利が若いアントラーズの選手達には意味のあるもので、逆にそれだけレイソルの選手達にとって日立台は陥落させてはいけない城だったのであろう。
前節ホームカシマにてサンフレッチェを相手に大量得点による勝利を収めたアントラーズ。点差ほど圧倒した内容では無かったにしろ、決して爆発力があるとは言えない現在のチーム状況からして5得点は上出来なスコアであり、サポーターとしても勢いを感じる試合であったあったことは間違いない。だが一方で、どうしても諸手を挙げて喜びきれない気分が胸の内にあったことも確かなのであった。それは前々節アウェイに乗り込んでのトリニータ戦、ロスタイムに追いつかれ手痛いドローゲームを演じてしまったことに起因する。ほぼ手中に収めかけた勝利が残り数十秒でその手からこぼれ落ちてしまう、これはサッカーというスポーツにはありがちな現象であるが、若い力が躍動し、チーム状態が上向きな現在のアントラーズにとってはいつも以上に堪えるものであった。「勝負弱い」、個人的にはアントラーズにとって最も屈辱的に思えるそんな言葉が見事に当てはまるような内容に、若さゆえの甘さを露呈してしまったと感じずにはいられなかった。ラスト数十秒の集中力、これを欠いては決して強者の条件は満たせない。引き分けたことが問題なのではない。引き分け方が問題なのである。だからこそ、サンフレッチェ戦での勝ち方でこのトリニータ戦の屈辱を払拭することは出来なかったのだ。九石ドームでの悪夢に効く特効薬は、大量得点でも、若さによる勢いでもなかった。勝負強さを示すこと、それだけだった。
そして迎えた今節。レイソルが今期無敗を誇る日立台に乗り込んだアントラーズはロスタイムの決勝弾という形で見事に勝負強さを示してくれた。
前半のうちに相手のキーマンであるフランサが退場したことにより数的アドバンテージを得るが、日立台の魔物はそう易々と勝たせてはくれなかった。若さによる勢い、それならレイソルの方が話題的に旬だろう。期待された岩政の頭も古賀に封じられた。それでも最後の最後で、ボールを相手ゴールにねじ込んだ。
決勝点アシストの佐々木はサテライトでの絶好調ぶりを見事トップのゲームに還元し勝利の原動力となり、マルキーニョスは今後いよいよトップギアに入る予感を漂わせる。そして何よりオリベイラ監督が試合後の興奮の中、あのトリニータ戦の苦い同点劇を引き合いに出してこの勝利を称えていたことが印象的であった。九石ドームの悪夢が教訓になっていたのだ。この事実は日立台での勝利に勝ち点3以上の意味を持たせるだろう。若き鹿島の戦士達はひとつ成長したのである。これこそが劇的勝利の意味だ。